人狼物語 三日月国


326 【R18身内】Everlasting Summer

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視点:人 狼 墓 恋 少 霊 九 全 管


藤枝 真稀は 藤枝 真稀に投票した。
七川 惺は 七川 惺に投票した。
飛鳥 悠凛は 藤枝 真稀に投票した。
七川 幸臣は 七川 幸臣に投票した。

藤枝 真稀は村人の手により処刑された。

月が姿を変え、新たな一日が始まった。村人は集まり、互いの姿を確認する。
犠牲者はいないようだ。殺戮の手は及ばなかったのだろうか?

どんな古びた伝承も、今を生きる者たちの前では無力だった。
愛こそ最も尊いのだ。

名前ID生死勝敗役職
リーダー 高良 理仁master襲撃死
(2d)
敗北村人陣営:村人
  村人を希望
藤枝 真稀eyes2処刑死
(7d)
敗北人狼陣営:白狼
  白狼を希望
七川 惺rin生存者勝利恋人陣営:童子龍、恋人
  童子龍を希望
  恋人だった
運命の絆★飛鳥 悠凛
飛鳥 悠凛eyes生存者勝利恋人陣営:童子龍、恋人
  童子龍を希望
  恋人だった
運命の絆★七川 惺
七川 幸臣TUKISAYAKA生存者勝利恋人陣営:恋愛天使
  恋愛天使を希望

【人】 七川 惺


[憧れと情熱、欲望と執着。
 どれも今まで悠凛に向けたものばかり。
 それを隠すのではなく、大きく剥き出しにする。

 メソッド演技法。
 内面に深く着目し、自分の過去の記憶や感情を追体験する。
 俺はそれしか学んでこなかったから。

 役がおりてくる……なんてことが
 この後実際起きることもあるんだろうか?

 ケイツビーが悠凛≒リチャードに触れた時
 嫉妬したのは…俺だけじゃなかった気がするんだ。
 不思議だな。

 その前には欲望も煽られてたよな。
 
おあずけされてるからな……


 勿論、純粋にすげーとは想ったんだよ?
 悠凛のダンス観て。本番の方がよりすごかった!

 観客もそうだと思うよ?
 
観客も欲望煽られたかな?いやだなぁ…


 そんなことを考えていた時、目が合ったんだ。>>6:47 *]
(0) 2026/08/23(Sun) 0:23:50

【人】 七川 惺



  「ほら、惺君も着替えだよ!」


[ちょっとだけ、ぼーっとしてたらしい。
 スタッフさんにせかされた。

 とはいえ、俺の次の場面の着替えは、
 ほとんど長衣を脱ぐだけですむんだよな。

 長衣の下に、紺色のチュニックと
 黒のホーズを着てる。ホーズが黒なのは、
 さっきのシーンで裾が靡くからだ。

 チュニックの丈に合わせた長めのブーツに履き替える。
 仕上げは鬘。
 俺は舞台の前に少し前髪を切って襟足も短くした。
 鬘は、以前の髪型よりもっと幼く見えるように。
 前髪がやや揃っていて、短めのボブに近い。
 俺の高校時代の髪型に似てる。*]
(1) 2026/08/23(Sun) 0:33:28

【秘】 飛鳥 悠凛 → 七川 惺

[いきなり一人にして惺には悪かったな、と思うけど、 
 よそよそしく整ったホテルの部屋で独りになると、
 鬱々としたお腹の底のざわめきが落ち着いた。
 惺の体温も匂いもない冷えたベッド。
 リチャードは本質的に孤独だから、その方が合っている。
 リチャードと悠凛を行き来しなくて済む分、
 そういう意味での負担は楽になった。


 公演初日。良い集中が保てている。
 大切な仕事。
 楽しみにしていた、七川先生が
 俺に宛てて描いてくれたリチャードだ。
 その隣には、惺のバッキンガムもいる。

 及第点くらいじゃ、俺の気が済まない。

 リチャードに狂おしく恋焦がれ、求めても得られない
 バッキンガムには、俺の匂いの残るベッドで
 独り寝するくらいが丁度良かったりするんじゃないかな。
 タイミング見て、匂いつけに帰ろ。
 
 こんなこと考えてんの知られたら、
 惺に怒られるかな?*]
(-0) 2026/08/23(Sun) 0:56:37

【人】 七川 惺


[少年バッキンガムの扮装をした俺は
 出番を待ちつつ舞台袖から眺めている。

 リチャードは兄エドワード四世の命により、
 少年の頃ウォリック伯のもとで
 騎士修行をしていた時期がある。
 バッキンガムと出逢うより以前のことである。

 思春期前期のリチャードと、その四歳年下のアンは
 そこで出逢った幼馴染ともいえる。

 
 
──あんな風に出会えたらよかった。


 
あれ?これは誰の、いつの想念だろう?
*]
(2) 2026/08/23(Sun) 10:16:57

【人】 飛鳥 悠凛

[幼くして父を亡くしたリチャードは、
 ウォリック伯の庇護を受けて育つ。
 そこで後の妻となる、彼の娘アンとリチャードは出逢う。
 4歳年下の彼女は、騎士としての修行を受ける
 若きリチャードを、卵から孵ったばかりの雛のように慕った。]



  ……いつまでそこで見ている気です。

  飽きませんか?アン。


[長弓を練習するリチャードを、少し離れた
 木陰から熱心に見つめる少女。
 それに気づきながら声をかけないでいたリチャードが、
 矢をつがえながら尋ねる。]
(3) 2026/08/23(Sun) 10:35:21

【人】 飛鳥 悠凛

[不意に声をかけられはっとしたアンは、
 慌てて首を横に振る。
 リチャードが放った矢は、既に的に刺さっていた矢に
 弾かれ、土の上に落ちる。
 何本もの矢が、土塁に設えた複数の的の真ん中に
 集中して刺さっている。]


  そうですか。
  私は飽きました。

  このまま遠駆けに出ようと思いますが、
  一緒に行きますか?
 
 
[自分は飽きたとあっさり告げて、弓矢を片付けながら
 アンに尋ねる。
 ぱっと輝く少女の顔を見て、リチャードが小さく笑う。]


  お手をどうぞ、“m’lady”


[元々そのつもりだったリチャードは、
 城から程近い射撃場に馬を連れてきていた。
 彼女の手をとり、自身の後ろに乗せてやる。
 微笑み交わす馬上の少女と少年の姿が、遠ざかる。*]
(4) 2026/08/23(Sun) 10:50:24

【人】 七川 惺


[アンがリチャードを慕うようになってから数年が経過する。
 
 そうして場面転換し、
 少年バッキンガムの登場シーンとなる。

 リチャードより二歳年下のバッキンガムが
 外見上ではまるで先ほどのシーンに追いかけるように
 思春期前期になった。>>3:30

 リチャードと違って
 演技力だけでは中々その年頃に見えないだろう。
 けれどもメイクさんとスタイリストさんの力を借りて
 長身でもちゃんと少年に見える。
 なるべく声は、自分の中でできる高めを心がける。]


  「結婚なんてまっぴらだ。」


[
お仕着せの婚約が嫌で嫌でたまらない。

 
 回廊を歩く。
 
リチャードを誹謗する貴族達を蹴散らしてやりたい。


 その後、中庭でのリチャードとの邂逅がある>>3:33 


 その場面が終われば、舞台上で次にリチャードと逢うのは
 二人の初陣のシーンである。*]
(5) 2026/08/23(Sun) 10:58:57

【人】 七川 惺


[初陣。バーネットの戦い。
 リチャード18歳、バッキンガム16歳。

 バーネットの戦いと
 一か月後に続くテュークスベリーの戦いは
 ヨーク家のエドワード4世がランカスター家を破った
 決定的な二大戦闘である。

 この戦闘で初陣で年若いながら
 獅子奮迅の戦いぶりを見せたリチャードは
 兄王から絶大な信認を得、
 のちに次兄ジョージが燻る一因の一つにもなる。

 歴史上はウォリック伯もランカスターの王太子エドワードも
 リチャードの兄王の軍勢に打ち取られたという
 記録が残るのみで、
 特に誰が首級をあげたとは記されていない。

 ウォリック伯は濃霧の中で
 激戦の中討ち死にしたとされている。
 おりしもおきた濃霧のせいで、創作のしがいもあるらしい。
 王太子は戦士したとも捕縛されて処刑されたとも、
 諸説ある。

 しかし演出上は>>5:23のようにしている。]
(6) 2026/08/23(Sun) 11:36:45

【人】 七川 惺


[だが騎士修行の研鑽を積んでいたリチャードに比べ、
 バッキンガムの初陣での戦闘は劣る。

 舞台のバッキンガムは。混戦の中で他の騎士の助力も受け
 ウォリックに止めを刺した。
(手出ししたかはさておきケイツビーも傍らにいた。
 リチャードの視界にも入っただろう。)

 一方リチャードは、
 エドワード王太子と一騎打ちであった。*]
(7) 2026/08/23(Sun) 11:39:28

【人】 飛鳥 悠凛

[兄王エドワード4世の下で不満を燻ぶらせたウォリック伯。
 一度は彼を王と戴いたが、ランカスター派に寝返り
 兄王を国外へと追いやった。
 エドワード4世が兵を集めてイングランドに舞い戻り、
 ウォリック伯の軍と激突したバーネットの戦い。
 武術に優れ兄王の覚えもめでたいグロースター公
 リチャードは、初陣にしてヨーク軍の右翼の指揮を執った。]



  …ああ、血が騒ぐな。


  こんな時ばかりは、この身体にも
  温かな血が流れているらしい。


[甲冑を着せ掛けるケイツビーに聞かせるともなく、
 リチャードは薄く笑う。]
(8) 2026/08/23(Sun) 12:38:19

【人】 飛鳥 悠凛

[エドワード4世が位置する軍の中央には、
 赤地に金獅子が吠えるイングランド王家の紋章の御旗。
 右翼では、リチャードの旗印である白い猪が
 蹄で地を掻く御旗が翻る。]



  一寸先の見えぬ視界に、怯むことはない。

  我らの征く道は、王の御旗に照らされている。
  諸兄らが背負うは己が命ばかりではない、
  ヨークの名、我らが王の誉れだ。


  我らは今日ここに立つ。

  その剣で己が何者であるかを、
  神の代理人の御前に示すのだ──!



[霧の中、高らかにリチャードの声が奔り、
 馬が駆ける音が続く。*]
(9) 2026/08/23(Sun) 12:58:41

【人】 七川 惺


[高らかに迸るリチャードの声に続き、
 数多の馬が駆ける音が響く。>>9

 映画と違って
 舞台のセットでは馬上の戦闘は限界がある。

 背景にプロジェクションスクリーンで合成した映像を流し
 所々で馬自身が潰れたり、騎士が馬上から落馬したりすれば
 次第にスモークが濃くなってゆく。

 両軍からロングボウで騎馬隊を援護する音も聞こえる。

 板の上では、白兵戦も始まっている。
 そこに、負傷した馬を乗り捨てたバッキンガムもいる。*]
(10) 2026/08/23(Sun) 13:12:14

【秘】 七川 惺 → 飛鳥 悠凛


[殺陣はこの舞台が初めての体験だった。
 
 ただ、習い始めてすぐ、型は綺麗にできた。
 斬り込み、受け、すり上げ、突き。
 バレエの型を覚えるのにも似ていた。
 西洋の武術は突きが中心で、もう少しシンプルかもしれないが
 親父の演出は、まるで日本の剣術のようだった。
 
 もう少しスローテンポであれば、
 何なくこなせるようになったかもしれないが
 この舞台の殺陣は、スピードがあった。

 最初はそれに対応しきれなかった。
 スポーツチームのレギュラーになりそこねた補欠のように
 居残り練習が続いた。音を上げそうになったこともある。

 悠凛に、居残り稽古に付き合ってもらったこともある。
 そのかいあってか──…。]
(-1) 2026/08/23(Sun) 13:27:03

【人】 七川 惺


[ウォリック伯の方も一人ではなく、
 お互い味方に援護されながらも、最初は劣勢だった。

 ──と、その時。
 流れ矢(?)と思しき一本の矢が。
 ウォリック伯の足元を掠めた。
 負傷はしなかったようだが、その分、隙ができる。

 バッキンガムは一気に距離を詰める。

 そして鎧の隙間、顎の下めがけて剣を突き刺した。

 大きく息を吐いた。

 暫くして味方の方を振り返れば、少し離れた所に
 リチャードの鎧によく似た姿が霧の中に見えた。

 やがて濃霧が全てを隠して、そのシーンは終わる。*]
(11) 2026/08/23(Sun) 13:38:04

【人】 飛鳥 悠凛

[一時はウォリック伯に担ぎ上げられた
 兄のジョージは、リチャードの説得で寝返り、
 敵の軍勢は削がれている。
 霧に紛れて側面から回り込んで隙を突き、
 ランカスター軍の陣形は崩した。

 視界不良の中、敵味方が入り乱れての混戦。
 それでも指揮官のリチャードの周囲は
 ケイツビー始め臣下に固められている。
 リチャード自らも駆け抜けざまに敵兵を槍で薙ぎ払い、
 戦況が縺れ込めば、斬り込んでくる兵を剣で
 受け流し、鎧の隙間へと剣先を突き込む。

 伝令がリチャードの元へ駆ける。
 “──ウォリック伯です!”と叫ぶ声。

 劣勢を悟り敗走を試みたウォリック伯が、
 見つかったらしい。]

  
  ……ようやくか。

  待たせてくれたな、伯爵。


[戦場でリチャードが浮かべる表情は、
 猛々しくも好戦的な色を隠さない。
 愉しげに目を見開き、馬の踵を返す。]
(12) 2026/08/23(Sun) 14:32:06

【人】 飛鳥 悠凛

[霧に乗じて逃げおおせようと放棄してきたのだろう、
 ウォリックの旗は見えない。
 バッキンガム公の白鳥の旗印がやや遠目に見える。 
 あの少年も初陣だったはずだ。]



   ──弓を貸せ。



[弓兵から弓矢を召し上げ、乱戦の中心へと駆ける。
 ウォリックもバッキンガムも、既に馬はなかった。
 形勢が危ういのは──

 敵味方が入り乱れる隙間を通すようにして、
 リチャードが矢を放つ。
 足元を崩されたウォリックの顎下を、
 バッキンガムの剣先が捕らえた。
 迷いのない、潔い剣筋だった。

 地に臥し頽れるウォリックの身体。
 バッキンガムに止めを刺される所までを見取って、
 王への伝令を遣わすべくリチャードは引き返す。
 その後ろ姿に目を凝らすバッキンガムも、
 やがて濃霧に包まれ、かき消える。*]
(13) 2026/08/23(Sun) 14:48:11

【人】 七川 惺


[かくしてヨーク家の勝利は決定し、 
 エドワード四世が復位する。
 
 一時ウォリック伯の謀反に加担していた
 (というよりも次王の旗印とされていた)
 次兄ジョージは、戦いの終盤で兄王の元に下り、
 一旦造反したその罪を咎められなかった。

 やがて仮初の平和が訪れる。
 民衆は新時代の到来を期待する。

 しかし。
 かつては戦場で武勇を誇った兄王は
 現状への慢心から安逸をむさぼり、
 女色に走ったあげく病を得る。
 王を支えるべき次兄は、
 アンと結婚したリチャードに遺産相続で負け
 酒に溺れるようになり、その行動は目に余った。

 そんな時でも王の目の届かない辺境で小競り合いはある。
 勇ましく陣頭指揮に立ち続けるのは
 末弟のリチャードだった。

 そうしたある時、バッキンガムは
 リチャードに『暗黒の誓』を申し出るのだった。*]
(14) 2026/08/23(Sun) 15:43:25

【秘】 飛鳥 悠凛 → 七川 惺

[バッキンガムがウォリック伯を討ち取る、
 序盤の見せ場のシーン>>11

 うん、良い良いと表情に出さず内心で声援を送った。
 練習より本番のがキレが良かった。
 惺は上背もリーチの長さもあるから、
 迫力があって見栄えする。

 聞けば、惺は大学の公演でも殺陣の経験はなかった。
 オーディションの時に実演なくて良かったね、と
 いうのが真っ先な感想だった。
 あん時、ちょっと心配してたんだよな。
 
 元々運動神経は良いから、殺陣師さんに
 練習つけてもらえば大丈夫だろうとは思っていた。
 案の定、型の通りに身体を動かすのは
 呑み込みが早かった。
 主演の俺がドラマや舞台で殺陣の経験もあったから、
 元々今回戦闘シーンはしっかり組み込まれていて、
 後から加わった惺は殺陣の難易度を下げてもらうことなく、
 稽古でも食らいついていた。]
(-2) 2026/08/23(Sun) 16:26:47

【人】 七川 惺


[ジョージ殺害計画は粛々と実行される。

 兄王エドワード四世は母親に懇願され、
 一度は死刑執行を思い留まり、撤回命令を下す。
 しかし病の床からその伝令を頼まれたリチャードは
 すぐにはロンドン塔に伝令を飛ばさない。
 伝令が遅延しているうちに
 バッキンガムとティレルが処刑を実行する。

 弟に処刑命令を下したことを後悔するエドワード。
 その心労が、病の進行を速めたともいえる状態で
 兄王エドワードは身罷った。
 
 ほぼ同時進行で
 王妃エリザベス一派との、兄王の遺児の
 摂政となる権力争いにもリチャードは勝つ。

 しかし、それだけではリチャードは摂政のままだ。

 リチャードに王冠を被せるためには、
 二人の王子を何とかしなければならなかった。]
(15) 2026/08/23(Sun) 16:29:20

【秘】 飛鳥 悠凛 → 七川 惺

[殺陣師さんが帰った後も、惺は居残りで
 他のキャストさんと練習していることもあった。
 たまに都合が合えば、俺も付き合った。>>-1]

  
  そこは斬らない。
  
  受けて、一歩踏み込んでから。


  ……剣先止めんの手前過ぎるかな、
  もうちょい俺側に寄せてからでいいよ。

  行き過ぎたら俺が退くから。


[筋は良いんだけど、気が優しいから
 喉突く時とかやりにくそうなんだよな。
 まだ練習用の柔らかい樹脂の剣だから、
 思いきり来てくれていいのに。
 俺相手だと余計怪我させたくないっていうか、
 本能的に攻撃したくなさそうっていうか。

 まあ、リチャードが相手なのは終盤のシーンだけど。*]  
(-3) 2026/08/23(Sun) 16:32:44

【人】 七川 惺


[そんな時、リチャードを擁するバッキンガム達の元に
 とある情報が舞い込む。

 兄王エドワードは、ウォリック伯の反対を押し切って
 未亡人エリザベス・ウッドヴィルと結婚したが
 その前に別の女性と結婚していたとの事実が発覚。

 事実婚であり、
 それは正式な結婚ではなかったかもしれない。
 しかし、その情報に飛びつかない手はなかった。

 つまり、エリザベスとの結婚は重婚であり
 そもそもエリザベスとの婚姻自体が無効である。
 二人の王子はエドワードの血をひいてはいるが
 よって、王太子となる資格はないと。

 あることないこと証拠を揃えるが、
 それだけではまだ、
 二人の王子に同情するものも多かった。

 そこで、原典でもかの有名なバルコニーのシーンである。
 腹心バッキンガムの演出とされている、
 リチャードの一世一代の名演技が行われるのだ。*]
(16) 2026/08/23(Sun) 16:39:10

【人】 飛鳥 悠凛

[リチャードは動揺を見せない。

 自邸に少年のリチャードを引き取って、
 剣の稽古をつけ可愛がり、
 伯父のように面倒を見てくれた
 ウォリック伯が目の前で討ち取られても。

 幼馴染のアンの夫エドワード王太子を戦場で手に掛け、
 夫の棺の傍、涙に暮れる彼女を前にしようとも>>3:57
 
 実兄ジョージの処刑にも、
 兄王のエドワード4世の崩御にも。

 兄王と王妃は実は重婚の疑いがあり、
 幼い二人の王子は庶子といえるとの報せにも。]


  
  ……それは僥倖だな。   

  兄上の色狂いが役に立つ日が来ようとは。


[餌付けした庭の小鳥に、朝食の残りのパン屑を
 与えながら、小さく笑う。
 デザートを侍従に持ってこさせると変わらぬ調子で、
 ロンドン塔への幽閉を示唆した>>16*]
(17) 2026/08/23(Sun) 16:53:05

【人】 七川 幸臣

 ── Baynard's Castle ──

[ロンドン市内のベイナード城。
 威容を誇った中世の王宮は、
 1666年のロンドン大火で焼失し、現在は残っていない。

 そこは薔薇戦争期にヨーク公の所有となった
 ヨーク派の本拠地ともいわれる。

 実物の写真などないわけだが、
 美術スタッフが現存する書籍のイラストなどを参考に
 苦心して造り上げた城のセットだ。
 もっとも全容を造る必要はなく、
 バルコニー周りの部分だけの大道具である。

 始めは昏い照明で
 リチャードとバッキンガムが
 バルコニーの裏側の城内にいるのだが、
 演説が始まる頃には大きな舞台がゆっくりと回転し
 バルコニーの表側の壁面が現れ、
 そこに立っているのは司教達に挟まれているリチャードだ。

 バルコニーの下、舞台地上部分に民衆がひしめく。
 その最前列に、バッキンガムやケイツビーらがいる。
 ロンドン市長ら市民を誘導してきたのだ。

 司教達は壁面に隠れていたがバッキンガムは超速移動だ。*]
(18) 2026/08/23(Sun) 17:17:14

【人】 七川 惺


[開幕シーンを除けば、
 リチャードが純白の衣装に包まれて出てくるのは
 この場面だけだ。

 開幕シーンはベールを巻き付けただけの、
 少年のチュニックにも見紛うシンプルなものだった。

 明るいライトが当たれば煌めくスパンコールやビーズ。
 近くで見れば、凝った装飾が付いている。

 しかし昏い中では控えめで目立たず、
 むしろ、雪白一色の、花嫁衣裳のごとくだ。]


  あんたは……美しい……


[バルコニーの裏側で
 バッキンガムは、感に堪えたように呟いた。
 「乙女のごとく要求を跳ね付ける場面にふさわしい。」
 と、続ける。 *]


  悪魔のようだと誰が言ったのか。
  まさに神の代理人。そのものだ。
(19) 2026/08/23(Sun) 17:53:27

【人】 飛鳥 悠凛

[自分に思慕を寄せていると知る男からの、
 胸底から湧き上がったかのような賛美。>>19
 烏羽色の髪を引き立たせる雪白に身を包んだ
 リチャードは、隣に立つ男の顔を見上げて
 ふ、と顔を綻ばせる。]


  …その目で見てきたようなことを
  言うな、おまえは。

  神も悪魔も、地上の民で目にした者など
  誰もいないというのに。


[これから二人は、神をも欺く博打を打つ。
 恐るべき王位の簒奪者だと民は紛糾するだろう。]

 
  案ずるな、人の耳目を集める術なら具えている。
  “神”に俺を選ばせてみせるさ。  
  

[聖書を片手にリチャードは、バッキンガムの耳元に
 キスせんばかりに顔を寄せ、声を吹き込む。*]
(20) 2026/08/23(Sun) 20:41:09

【人】 七川 惺


[正しい道を説く天使の囁きと、
 間違った道に堕とすという悪魔の囁きは
 いったいどちらが甘美なのだろう…
 一瞬で身体が熱くなる。

 悪魔ではないと言い切ったばかりなのに
 キスするばかりに耳元近くで囁かれると
 そんな想念がよぎった。

 その想いを振り切る様に。]


  “偽りのない話は巧まず語るが一番効く”というが

   真偽はともかく、
   あんたの演説なら“神”をも説き伏せるだろうな。
(21) 2026/08/23(Sun) 21:54:56

【人】 七川 惺


 
  お手並み拝見といこう、我が王。


[実際にはまだ王冠は手に入っていないが
 すぐ手の届く所にあると思えた。
 だから、王と呼んだ。
 ほどなく群衆はリチャードを王と呼ぶと確信できる。]


   では、私は下界…群衆の元に行くよ。


[バルコニーの裏側の階段を降りてゆく。*]
(22) 2026/08/23(Sun) 21:58:06

【人】 飛鳥 悠凛

[どこか動揺が過ったようにも見える
 バッキンガムを前に、リチャードは笑みを深める。]


  待て。下にはケイツビー達が居るだろう、
  おまえが行く必要はない。

  此度の筋書きを書いてくれたのはおまえだ。


  それに──おまえはこちら側だろう?
  玉座の傍に侍るのならな。


[戦場でだけ見せる好戦的な表情を覗かせ、
 腹心の臣下に命じる。*]
(23) 2026/08/23(Sun) 22:18:32

【人】 七川 惺


[“こちら側”という言葉を聞いた時
 ピタリと、足が止まった。

 ……つと、振り返る。]


  玉座の、傍らに?


[既に市長達に根回しはしてある。

 市会の席でエドワードの子は私生児だと。
 だから王子達に王位に就く資格はなく、
 グロスター公リチャードこそ、
 プランタジネットの正統な嫡流だと。

 そうして市長に市民達を
 今日この日に連れてくるよう教唆した。

 確かに、下にはケイツビーもいる。
 彼ならば、台本に臨機応変な対応をしてくれるだろう。]
(24) 2026/08/23(Sun) 22:29:47

【人】 七川 惺


[階下から、司教が一人、上がってきた。
 息のかかった司教にも、
 よくよく言い含めてはあった。]


  司教様、私も共にバルコニーに出ても?

  リチャード様から聖旨を承りましたので。


[聖旨と聞けば、司教が拒否するはずもなかった。
 二人でリチャードを挟むようにして
 バルコニーの表舞台へ。

 偶然にも、雲間から光が降りてきた。
 いわゆる、天使の梯子。
 霧の日が多いロンドンでは珍しい現象だった。

 演出効果は絶大だ。神は既に我らに味方している。
 そう言いたげな顔をしてリチャードの方を向く。*]


  諸君。
  この方こそ。正統なるプランタジネットのご嫡流。

  グロスター公。この国の新王である。
(25) 2026/08/23(Sun) 22:42:20

【人】 飛鳥 悠凛

[出端に“新王”とは。
 リチャードは眉を顰めてみせる。>>25
 半ば本気で面白がってもいる。
 凡その筋書きは聞いていたが、いきなりそう来るとは。
 出逢ったその日のようにバッキンガムの手首を掴み、
 ぎりりと捩じり上げる。]


  ──気が触れたか、バッキンガム公よ。
  

  私は神の僕、
  神の代理人たる王の忠実な僕だ。
 
  “Loyaulté Me Lie”忠誠が我を縛る、我が銘が示す如くに。

  神に愛されるあまり御許に召された兄君の
  二人の王子がいらっしゃる。
  正統なヨーク家の血を継ぐ王太子が。 


[バッキンガムの手首を捕らえる力が、ふっと弱まる。] 
(26) 2026/08/23(Sun) 23:09:04

【人】 飛鳥 悠凛




  ……お労しい。

  その未だお若き背に負う重荷を支えるためにこそ、
  私は存在する。
 

[リチャードの憂う沈痛な面持ちが、
 雲間から差す光を受け、バルコニーの上照らし出される。*]
(27) 2026/08/23(Sun) 23:10:24

【人】 七川 惺


[はっと目を見開くバッキンガム。

 まるで、
この方は本当にそう思っている
、
 とでもいうように。

 そして美しさは罪、傾国である。

 であると同時に、どうしようもなく人々を惹きつける。
 廷臣らや市長と違って、
 ほとんどの民衆はリチャードの御姿を初めて見た。
 凱旋の時でも、兜を脱いだ姿を見る者は
 最前列に並ぶ身分の高い者や富裕層に限られている。
 平民で貌を拝める幸運に預かる者は、そういない。

 雲間から差す光がリチャードの沈痛な面持ちを照らせば
 しん…と場の空気が変わった。

 もう一息だ。]
(28) 2026/08/23(Sun) 23:27:34

【人】 飛鳥 悠凛



  父王を喪った王太子は、
  懸命に哀しみに耐えておられる。

  私には分かるのだ。


[憂いを帯び、臥せたリチャードの顔を、
 バルコニーの下に集まった群衆は
 初めて目の当たりにする。]


  ……あの時、私俺の心は一度死んだ。
  城壁に晒しものにされ、朽ちた父の首。
  涙の一滴も出なかった。

  ──……そんな私を、悪魔と呼ぶ者もいた。


[柔らかな微笑がその顔に滲む。
 赦している、そう言いたげな慈悲を浮かべて]
(29) 2026/08/23(Sun) 23:41:49

【人】 飛鳥 悠凛



  されど気づいたのだ。

  父上の躯と共に地中深く埋められたと思った私の心は、
  誇り高きヨーク公、“リチャード・プランタジネット”の
  魂と共に今も在る。


  この身体に流れる青き血潮が、
  父から賜ったこの名が、
  私を戦場に立たせ、民のために剣を揮らせてくれる。


[陽光の下、微笑みは語る。
 イングランドを、この美しき国の民を愛している──と。

 聖書に置いたリチャードの指が、
 こつりとバッキンガムに合図を送る。*]
(30) 2026/08/23(Sun) 23:49:05

【人】 七川 惺


 [合図が、あった──。]


  ──なんと、お優しくご立派な。

  けれど“義”が、全てではありません。
  間違いは正さなければなりません。


  何故なら、あの王子達は。

  前王エドワード四世の色狂い、
  重婚の果てに生まれた。
  元々結婚自体が無効だったのだ。

  神の御前で誓われた
  正しいご成婚によって生まれた子達ではない。
  よって、正当な後継ぎではない。

  これを正さずして、
  国の平穏がありえましょうか。


[どよめきが、バルコニー下の広場を走る。
 ケイツビーや市長らは、それを否定しない。
 民衆に潜ませていた“さくら”の数名が
 どよめきを煽り、
 それが真実だと肯定するに近い発言をする。*]
(31) 2026/08/23(Sun) 23:58:30

【人】 七川 惺


[その想いは真実だろう。>>29
 虚実の混ぜ方が絶妙だ。

 嘘ばかりではない。けれど真実ばかりでもない。]


  悪魔とは、なんと罰当たりなものいいでしょう。

  涙が流れなかったのは、
  涙が出ない程哀しかったから。
  誇りが、哀しみを表出するのを許さなかったから。


[
自身の虚実の記憶が混じってゆく。
]


  けれど、そもそもが間違いなのです。

  “リチャード・プランタジネット”様の魂は
  貴方様の…先の兄王には受け継がれていなかった。

  少年の日の勇猛さは、とっくに失われていた。
  受け継がれていたならば、最期まで
  戦場を駆けておられたでしょう。

  民の為に、ずっと剣を揮られていたのは、
  誰あろう、貴方様です。貴方、こそが……*
(32) 2026/08/24(Mon) 0:20:15

【人】 飛鳥 悠凛

[リチャードの手が腰へと閃く。
 鞘に覆われたままの剣を振り上げ、
 バッキンガムの喉元にひたりと押し当てる。]


  ───二度と前陛下をそのように愚弄するな。
 

  陛下は、情の深い方であらせられた。
  戦地に発たれる前に、愛しき婦人の許に
  必ず戻ると誓われたのだ。

  その後に、エリザベス様に出逢ってしまわれた。
  目の前の真の愛に眩むあまり、
  正しい順序で王妃を選べなかった。

  ……兄上の“罪”は、それだけだ。


[それは罪であるのだと、
 兄を庇いながらもリチャードは暗に示唆する。

 そう、それは確かに罪なのだ。
 出逢う順番も、愛する順序も選べはしない。]
(33) 2026/08/24(Mon) 0:27:43

【人】 飛鳥 悠凛




  ……信じられなかったからだ。


[傍らのバッキンガムを、リチャードは一度見る。
 ぽつりと呟く。
 伏した顔は、聴衆からは良く見えることだろう。]


  父上は…、ヨーク公に、
  私は真の王の姿を見た。

  国の平定に後一歩及ばず、
  志半ばにして戦場に斃れた父上。

  ……痛ましくも雄々しい立派な最期だったと、
  幼き私に、皆が聞かせてくれた。


[それこそ嘘だ。
 
俺にそんな慰めをくれる者はいなかった。
]
(34) 2026/08/24(Mon) 0:38:30

【人】 飛鳥 悠凛



  尊き国土と民を守るため、戦場に立って死んでこそ
  神に遣わされた王の器だ。

  父上は、身を以てそれを私に教えて下すった。


  私が望むのは唯、この国と民の安寧のみ。

  ──…無辜の血を流す諍いこそ、
  私が最も望まぬものだ。

  
[胸元で拳を握り、それだけはならぬと頭を振れば
 長い黒髪が揺れる。
 気まぐれな天使が味方する今なら>>25
 忌むべき不義の証だと呪われた漆黒にも、
 眩い日輪を戴くことが出来るだろう。*]
(35) 2026/08/24(Mon) 0:46:00

【人】 七川 惺

 

  前陛下を愚弄してはおりません。>>33

  ただ、貴方様の兄王は
  国の大義よりもご自身の“愛”を選ばれた。


[王としてそれは“罪”だと、貴方もご存知のはず。

 「……信じられなかったからだ。」>>34

 その言葉を聞いた時、バッキンガムは一度瞬いた。
 筋書きを探しても出てこない言葉だと思った。

 けれど“何を”信じられなかったのか、
 それを問うには至らない。

 この“舞台”の一幕を、仕上げてしまわねば、と。]


  貴方様のお父上の正統な
魂
は
  あの王子達二人には受け継がれておりません。

  そんな幼王を頂いた治世が乱れるのは
  歴史の例に事欠きません。
(36) 2026/08/24(Mon) 1:01:24

【人】 七川 惺



  貴方様こそが、王の器。>>35
  貴方様こそが、王になるのが正しき道。

  それを正すことこそが、民の幸せを導くのです。

  この国のために、どうか…!
(37) 2026/08/24(Mon) 1:06:33

【人】 七川 惺



  「そうだ!その通りだ!」

  「どうか、この国のために!」

  「貴方様こそが、我らの王に!」

  「王よ!」「我らの王よ!」


[“さくら”の声はもう必要ない。
 広場に、「我らが王!」というどよめきが
 怒涛のように広がってゆく。

 群衆には、リチャードの碧なす黒髪に
 眩い日輪の王冠が被さるのが、
 もう見えているのだろう。>>35 *]
(38) 2026/08/24(Mon) 1:07:36

【人】 七川 惺



  ──民衆の願いを、どうか。

  


  この忠誠愛の捧げ物、どうか拒絶なさいませんよう。*
 
(39) 2026/08/24(Mon) 1:10:32

【人】 七川 幸臣


[──それから間もなくして、
 前王の王妃エリザベスは聖院に送られ
 前王の王子達はロンドン塔に幽閉されることとなる。

 摂政の権利を争った末に
 謀反の疑いを駆けられ同じく塔に幽閉されていた
 王妃の弟リヴァース伯アンソニー・ウッドヴィルは
 それと入違うように、秘密裡に処刑された。**]
(40) 2026/08/24(Mon) 1:16:38

【人】 飛鳥 悠凛

[筋書きに沿わない言葉を吐露したのは一度きり>>36
 バッキンガムの“弁明”に耳を傾け、
 リチャードはゆっくりと剣を下ろす。

 訴える声は、望む声は、
 リチャードの息がかかった者だけが上げているのではない。
 熱狂が広場に渦巻き、バルコニーまで轟き、
 そこに立つ司教とリチャード達を呑み込まんばかりだ。

 リチャードはバルコニーの柵に手を掛け、
 一歩を進み出でる。
 聴衆から“尊顔”がよく見えるように。
 懺悔するかのごとく両の手を組み、浅く頭を垂れる。]



  ──…後の世の人は、私を“王”とは呼ぶまい。

  悪徳に塗れた簒奪者と呼ぶかも知れぬ。


  だが、私が立つのは神の御前だ。
  愛おしきイングランドの民の前だ。



[司教がリチャードの脇には控えている。
 神に選ばれし者なのだと裏付ける、権威の証。]
(41) 2026/08/24(Mon) 1:39:01

【人】 飛鳥 悠凛

[面を起こしたリチャードに、憂いの翳はない。
 “正統な王”を待ち望む民衆に応えるべく、
 誇らかに白衣を輝かせて、神の僕の声を届ける。]



  どんな謗りも試練も、
  神が与えし責務として
  甘んじてこの身に引き享けよう。
 
  天より授かった肉の器も、
  父から引き継いだ青き血の一滴、
  魂の一片までも捧げると、今ここに誓おう。
 

  誉れ高き我らがイングランドの名を、
  海の果てまで轟かせんことを───…!!



[拳を突き上げる聴衆の歓呼の声は、最早怒号に等しい。
 興奮が、熱狂が、人の波を伝播する。

 移ろわぬものなど存在しない。
 不変も永遠も、地上の何処を探しても在りはしない。
 それでも“この刻が永遠に続けばいい──”と。
 観る人に願わせる術は知っている。
            リチャードも、俺も。**]
(42) 2026/08/24(Mon) 1:53:19
村の更新日が延長されました。

村の更新日が延長されました。

【人】 七川 惺



  「王に忠誠を!」


[ケイツビーがバルコニーの下で一際通る声で叫ぶ。]


  「王に祝福を。」


[司教がリチャードの隣で静かに十字架の印を三度切る。

 リチャードがバルコニーの柵に手を掛け、
 一歩を進み出で、語り始める。>>41]


  『──…甘んじてこの身に引き享けよう。』>>42


[群衆は王位継承の請願を、
 リチャードが聞き入れてくれたのを知る。

 群衆の熱狂と興奮が最高潮に達する。]
(43) 2026/08/24(Mon) 22:15:43

【人】 七川 惺


[バッキンガムは跪いて“王”を仰ぎ見る。

 天使の梯子から降りてきた神が
 リチャードに冠を被せる瞬間が見えるかのよう。

 瞳を焼かれそうになって、眩しさに目を細めた。


 
──隣にいるのに、遠い。

 
これは誰の想念だろう?
 *]
(44) 2026/08/24(Mon) 22:18:52

【人】 七川 幸臣

 ── Standing ovation ──


[海外の熱量の高い公演では
 舞台の途中でもままあることだが
 日本では終演後のカーテンコールくらいでしか
 めったに起きえないこと。

 予期せず起きた、客席のスタンディングオベーション。

 客席も舞台の民衆と一体化しているのだ。


 ──リチャード三世という、稀代の王を仰いでいる。


 拍手が鳴りやまぬ中、緞帳が降り、第一幕が終わる。


 休憩を挟んだ後は第二幕第一場。
 スクリーンのシルエットで続く物語が短く挿入され>>40

 やがてスクリーンが巻き上がれば
 『戴冠式』のシーンへと続く。**]
(45) 2026/08/24(Mon) 22:24:06

【秘】 七川 惺 → 飛鳥 悠凛


[バルコニーシーンの後で、舞台袖に捌けた後、
 ケイツビー役の加藤 進さんに話しかけられた。

 役ではリチャードの二歳年上。
 役者の加藤さんは橋立カンナさんと同期の27歳。

 落ち着いた声の、精悍な顔立ちをした役者さんだ。

 その加藤さんがハイタッチを求めてくる。
 芸歴が長いのに、橋立さん同様、気さくな人だ。] 


 「最初は俺達、地上でやり取りするはずで
  ゲネプロで悠凛君が君を呼び止めて。

  アドリブで変えるんか?
  と思ったけど、結局この方が良かったよね。」


  あ、いえ、加藤さんがいい感じに唱和してくれたんで。


[そう言いながら、俺はちらりと悠凛の方を見た。
 ……圧巻だったな。*]
(-4) 2026/08/24(Mon) 22:44:42

【人】 七川 惺


[戴冠式の後、一夜限りの恋人の夜を過ごし
 そして想いを絶つ
はずだった
。
 朋友であり、腹心に戻る。

 ──なのに。

 ある日のリチャードの執務室。
 文机の上の空の花瓶を見れば。>>6:38

 そこに白薔薇以外の花が飾られるのを
 見たくなかった。
 平静でいられる自信がなかった。
 別の花が飾られる前に、ここを去ろう。

 自分は自分の“仕事”をしなければ。
 塔の中の王子達を、何とかしなければ。>>6:39

 王子達を“殺す”に至るかどうかはまだ決めかねるが。
 どちらにしても、リチャードの傍にいない方がいい。

 それをするのは、リチャードであってはならない。
 リチャード自身も乗り気ではないようだ。>>6:40
 そう、それでいいんだ。]
(46) 2026/08/24(Mon) 23:33:51

【人】 七川 惺


[スタンリーとリッチモンドが手を組もうとしている。>>6:30
 それが成ればかなり手ごわい。

 それとは別にリチャード反対派がまだ残っている今、
 王子達を“隠す”よりは“消す”方が憂いを残さない。]


  王子達が生き延びれば旗印に利用され、
  かといって王子達を殺せば
  幼い王子達への同情から非道の誹りを免れない。
 
  失踪という形が取れるのが最上…。


[そこまではリチャードにも言った。
 けれどもそれ以上は言っていない。

 一つ、考えがある。
 王子達は“消す”。
 それをリッチモンド&スタンリーの仕業に。
 そうするよう、仕向ける。

 
うまくいかない時は、自分が全ての罪を被れば。
]
(47) 2026/08/24(Mon) 23:54:45

【人】 七川 惺



  ……難しい。
  それで考えを纏めたいのです。>>6:39

  一度頭の中を整理して
からっぽにして
考えたい。


  ケイツビーはお傍に残った方がいいでしょう。


[何に替えてもあんたを護ってくれる側近。
 自分とは違う、
何の
見返りをも求めない清廉の士。

 ……禁断の愛欲に堕ちた自分とは違う。]


  ティレルは連れて行きます。
  着いてきたいと言っているので。


[ジョージを共謀して殺した日から、懐かれていた。
 彼ならば“消す”ことに決めたとしても
 躊躇いがないだろう。*]
(48) 2026/08/25(Tue) 0:06:17

【人】 飛鳥 悠凛

[司教の祝福。>>43
 跪くバッキンガム公。>>44
 止まぬ聴衆の声。

 片手を掲げ、鷹揚な笑みを浮かべて
 聴衆一人一人と視線を合わせるかのように
 バルコニーの上でリチャードは顔を巡らせる。

 其は何人のものたるや。
 この瞬間からリチャードは、
 民の父、この国の主にして守護者となったのだ。


 舞台の上から沸き起こっていた歓声に、
 客席からの拍手が被さる。>>45
 前方の観客が腰を浮かせ、顔の高さで拍手を打ち鳴らす。
 それを皮切りに、あちこちで立ち上がる観客。
 席の前後を問わず、この場の空気を共有した人々の間で
 興奮が伝染していく。

  
 ──…スタオベだ。

 胸に湧き上がる熱いものを堪えて、
 リチャードのまま恭しく胸に片手を当て、
 優雅に浅く頷き、群衆に応える。]
(49) 2026/08/25(Tue) 0:13:02

【秘】 飛鳥 悠凛 → 七川 惺



[──まずはやりきった。

 バルコニーでの演説のシーンは、
 台詞や仕草に俺の意見も取り入れて貰った。
 本来俺の歳とキャリアでそこまでやるのは、
 出しゃばり過ぎだとは思う。

 けれど、この舞台の要のシーンの一つだと思った。

 “悪魔のように魅力的な男“リチャード3世。
 普段自身を抑えて振舞うリチャードが、
 ここぞという時には雄弁に語り、
 人を魅入らせ、その心を掌握する。

 だからこそ、バッキンガムやケイツビーはじめ、
 数多の献身と犠牲に説得力を持たせられる。

 この後に続く栄華と悲劇が生きてくる。]
(-5) 2026/08/25(Tue) 0:14:33

【秘】 飛鳥 悠凛 → 七川 惺

[緞帳が降り切ったのを見届け、傍らで跪いたままの
 バッキンガムの手を取り、力任せに立たせた。
 無音で破顔してがっと首に抱き着き、
 やったな、とその背を叩いてすぐに離れる。
 
 休憩が入るとは言え、時間はないからだ。
 戴冠式のシーンに向けての着替えがある。
 あのシーンも好きなんだよな、俺。
 イングランドの紋章、赤地に吼える金獅子に倣った
 赤と金の盛装に王杖を携え王冠を戴き、
 いよいよリチャードは玉座に上り詰める。>>5:57

 やっぱり本番は、最高に楽しい。

 この身体に溢れる高揚感と、その一方で
 研ぎ澄まされていく五感。
 幕間に別の事をしていても、集中は切れない。

 舞台袖に捌けて着替えに引っ込む時、
 気づけば戴冠式の後の晩餐会に流れる
 音楽をハミングしていた。
 そしたら、惺の視線を感じて。
 「……うるさかった?」と首を傾げた>>-4*]
(-6) 2026/08/25(Tue) 0:18:09

【人】 飛鳥 悠凛

[バッキンガムの策略に耳を傾けるリチャードの顔には、
 珍しく険がある。>>47
 今王子に下手に手を出すことに懸念を抱いているのもあるが、
 それよりも───]


  くれぐれも逸るなよ。

  おまえの手業は即ち王に繋がる。
  何か動く前に、私に報告を。
 

[ケイツビーとティレルの処し方には、異論無く頷いて] 



  ……野薔薇が散る前には、戻ってくるのだろう?


[バッキンガムの視線が卓上の花瓶に向いたのは
 気づいていた。あれから一月が立つ。
 盛りを過ぎただろう薔薇が、まだ野に見つかるか
 定かではないが。*]
(50) 2026/08/25(Tue) 0:37:21

【秘】 七川 惺 → 飛鳥 悠凛


[割れんばかりの拍手が会場に響き渡る。>>49
 ──何とも言えない高揚感がある。

 跪きながら、長い間、王の姿に見惚れていた。

 
眩しさに目を細めたのは、どちらの俺?
 >>44

 
瞳を焼かれそうになったのは誰の記憶?


 
──隣にいるのに、遠い。と感じたのは?


 
 我が王は破顔して俺の首に抱き着いてくる。
 やったな、と俺の背を叩く。

 
夢が叶ってこの上なく幸せなのに。

 
夢が叶ったのにこの上なく切ない。


 
あんたが、遠い。このまま攫ってしまいたい。



 大道具を片付けるスタッフさんに肩を叩かれて、
 やっと我に返った。]


  ……あれ?俺、今………
(-7) 2026/08/25(Tue) 1:01:48

【秘】 七川 惺 → 飛鳥 悠凛



  いや、うるさいとかじゃない。


[ハミングしてる姿が普段の悠凛と重なって>>-6
 どこかほっとしている俺がいる。

 淋しくなったんだよね。なんだろうね。実力差とか…
 いや、それだけじゃないな……]


  けど、俺、その曲はあんま好きじゃねーな。


[嘘だ。アンとの結婚披露宴で流れるワルツよりも好きだ。
 モリスダンス?とかいうの?違うかな?
 一緒に踊るのが俺じゃないから、面白くないだけ。

 
嫉妬している。


 この感情はわかる。俺とバッキンガム両方のだ。


 まだ横にいた加瀬さんが
 「悠凛君すごかったねー」って褒めてる。
 うん、すごさは認めるよ。

 
お前にふさわしくなりたいな……
 見てろよ、千秋楽までに成長してやるから!
**]
(-8) 2026/08/25(Tue) 1:33:22

【人】 七川 惺


[“私に報告を。”>>50

 ──逐一報告するのでは、
 それこそ、あんたが疑われるんだ。書面には残せない。

 口には出さずに、曖昧に頷いた。
 
そうして少しずつ、二人の思惑はすれ違い始める。
]


  陛下に“額に巻かれた月桂冠”がある限り
  “輝かしい夏”は終わらない。


[実際、エドワードの在位二年間は
 法制度や社会の改革において
 多くの功績を残すことになるのだ。
 
戦場の最前線で実際に陣頭指揮を執った
最後のイングランド王でもある。
]


  ……けれど、野薔薇はどうでしょう。
  もう、盛りを過ぎました。
(51) 2026/08/25(Tue) 11:57:06

【人】 七川 惺


[──戻ってくるつもりだった。
 
この時には。


 未来さきを読むことができない情勢であはった。
 何が起きるかわからなかった。]


  野薔薇が散る前には無理かもしれませんが……

  この後、すぐ発ちます。

  無事を祈る抱擁をして頂けませんか。
  必ず陛下の元に還ってこられるように。


[
例え、魂だけになったとしても。
]
(52) 2026/08/25(Tue) 12:10:07

【人】 七川 惺



  “行くな”という言葉で俺を縛ってくれれば良かった。

   旗印のように白鳥は全てバッキンガムは王のもの。>>13

   そうすれば、この首は白鳥になって鎖に繋がれたのに。

 [──これは、独白。**]
(53) 2026/08/25(Tue) 12:12:20

【秘】 飛鳥 悠凛 → 七川 惺

[舞台袖で惺は、なんとなく面白くなさそうな顔をしていた。
 何でだろ?さっきのシーンも、練習より良かった。
 惺の演技も、日に日に良くなっていく。
 惺が作り上げたバッキンガム公だ。
 俺のリチャードの相手役として浮かぶのも、
 もう惺のバッキンガムでしかあり得ない。

 ハミングはうるさくはなかったらしいけど、
 その曲は好きじゃないって。]


  そう?
  ワルツより踊りたくなんない?


[イングランドの民族舞踊の音楽。
 俺はクラシックでロマンチックなワルツの三拍子も
 好きだけどね。
 俺が好きそうなものに惺が異を唱えるのは珍しい。

 ケイツビーの加瀬さんから声をかけてもらって
 パッと向き直り、あざっす!!とかやってるうちに  
 着替えで引き上げるタイミングになった。**]
 
(-9) 2026/08/25(Tue) 12:50:37
七川 惺は、✖エドワードの在位→〇リチャードの在位>>51
(a0) 2026/08/25(Tue) 16:50:10

【人】 七川 幸臣

 ──O, but impatience waiteth on true sorrow──

[「ああ、しかし真の哀しみには焦りがつきものだ」

 この台詞はシェイクスピアの前期歴史劇四部作、

 『ヘンリー六世 第一部』『ヘンリー六世 第二部』
 『ヘンリー六世 第三部』『リチャード三世』

 『ヘンリー六世 第三部』の中の
 ヘンリー六世の妻、マーガレット王妃のものだが
 続く『リチャード三世』に関連付けられるものとして
 引き合いに出されることがある。

 この舞台の上では
 その通りに声に出して語られることはないが
 バックボーンをよく表しているとして、
 台本ではこれからのシーンのサブタイトルに充てていた。]
(54) 2026/08/25(Tue) 18:31:03

【人】 七川 幸臣


[後にテューダー朝を起こす
 リッチモンド伯(後のヘンリー七世)は
 バッキンガム公ヘンリー
(ややこしいな)
の又従兄弟。

 もしリチャードとリッチモンド伯の王位争いが起きれば
 バッキンガムはリッチモンドの味方をするのが
 家系としては自然。周囲にそう思われるのは当然だった。
  
 また、薔薇戦争の終結後
 ヘンリー七世に重用されるスタンリー卿は
 再婚により、リッチモンド伯の義父になっていた。
 彼は老獪で潮目を読むのに長けていたと言われる。

 一部の者だけが、
 バッキンガムがリチャードの単なる腹心でなく
 どんなに心酔し、そして執着していたのかを知っていた。

 その一部の者の中に、リッチモンドとスタンリーがいる。
 スタンリーはリッチモンドに早くから内通し
 二人はリチャードとバッキンガムを
 引きはがそうと画策していた。

 それに気づかず、結果として
 バッキンガムは火中の栗を拾いに行ったことになる。

 そこに至るまでの背景が
 断片的にコーラスとシルエットで示されつつ
 舞台上の物語は続く。**]
(55) 2026/08/25(Tue) 18:39:01

【雲】 七川 惺


[白薔薇が、一輪、咲いている。>>50

 すぎゆく季節を惜しむように──…。


 
──ここはどこだ。


 夢なのか現実なのか。*]
(D0) 2026/08/25(Tue) 21:29:01

【人】 七川 惺


[バッキンガムとティレルが馬の手綱を引いている。]


  ──…お前も、もの好きだな。

  「どうして、一人でゆこうとしたのさ。」

[こちらの言葉には応えず、質問をしてくるティレル。
 年は一つ下。悪事を共有してから懐かれている。
 言葉遣いも大貴族を敬うでなく、
 対等の友達か、もしくは年近い兄に対するようだ。]


  我が王がいらっしゃらなければ、
  この国なんて愛しくもない。

[“Tis not the land I care for, wert thou thence”
『ヘンリー六世 第2部』サフォーク公の台詞のオマージュだ。
]


  王が一番愛しているのはこの国そのもの。
  王の半身の王妃が、その志を支える。

[王宮を離れたことへの遠回しな応えに聞こえるだろうか。]


  ……お傍にはケイツビーもいるしな。
(56) 2026/08/25(Tue) 22:06:32

【人】 七川 惺


[わかったような、わからないような、
 中途半端な顔をされる。]


  「ケイツビーになら“大義を見誤るな”と言われそう。」

   はは、実際言われたよ。

[ティレルが真面目なことを剽軽な様子で言うので
 笑ってしまった。ほんの少し、気が紛れた。]


   「…いいよ。貴方の行く末に興味があるから。」

[暫く押し黙ってしまった。それから居城が見えてきた。]


  あれが我が城だよ。

   「……出迎えがないね。」

  まあ、特に先ぶれはしていないしな。
  キャサリンはずっと実家に帰ったままだしね。

  ゆっくりと薔薇の下にて……


[はっと口を噤む。もうここには薔薇は咲いていない…。*]
(57) 2026/08/25(Tue) 22:21:55

【人】 七川 惺


[バッキンガムとティレルが舞台下手に捌けた後、
 場面が変わって、前王の后であった
 エリザベス・ウッドヴィルが軟禁されている聖院の中。

 そのエリザベス・ウッドヴィルが
 ランカスター派の王位継承候補であるリッチモンド伯の母、
 マーガレット・ボーフォードと密談している様子。

 そしてマーガレットが去った後、
 娘のエリザベス
(以下、ベス)
の登場だ。]


  「お母さま、どうしたの、ぼーっとなさって。」

  「あなたの婚約のことを考えていたのよ。」

  「……えっ?!
   私はリチャード伯父様が……」

  「アン王妃はこの頃病に伏しておれられるけど……
   側室にでもなるつもり?とんでもありませんよ。」


[当時は、伯父と姪でも、
 ローマ教皇に申請して特免状を発行してもらえば、結婚できた。
 ベスはアンの死を望んでいたわけではない。
 しかし、いつか…と、花嫁姿を夢見る程には
 リチャードを幼い頃から慕っていた。*]
(58) 2026/08/25(Tue) 22:59:27

【人】 飛鳥 悠凛

[野薔薇が散る前には、と仄めかせば。
 “もう、盛りを過ぎました。”
 “野薔薇が散る前には無理かもしれませんが”

 そう、バッキンガムは答える。]



  …………。そうか。


[文机の上の空の花瓶。
 そちらをゆるりと見遣って、視線を臥せる。
 請われれば近寄って、軽くその背に腕を回す。]


  神のご加護と祝福が、
  おまえの上にあらんことを。


[胸の前で十字を切って──苦く笑う。]
(59) 2026/08/25(Tue) 23:10:59

【人】 飛鳥 悠凛



  … 悪魔の祝福など、無意味だな。

  行くならさっさと行ってこい。
  早く帰れと私は言ったぞ。


[強く背を叩いて、するりと腕を離した。*]
(60) 2026/08/25(Tue) 23:11:55

【人】 七川 幸臣


[さらに場面は変わる。
 舞台の上にセットが複数置かれ、
 場面が切り替わるごとにライトが当たる部分が変わるのだ。

 複数の場所で謀略が進む。

 バッキンガムは自分が先を読んでいると思っていたが
 それは思い上がりだった。

 まさか、リッチモンドの母とベスの母までが同盟し
 そこまで速く、リッチモンドを旗印とする
 リチャード反対派の包囲網が出来上がっているとは。

 画面が切り替わる速度が速まる。]


  塔の王子達に死を!
  
塔の王子達に死を!


  下手人はリチャード!
  
下手人はリッチモンド!



[暫くは場面交互に掛け合いのような台詞が続く。

 そうして最終的に容疑者となるのは、どちらでもなく…。*]
(61) 2026/08/25(Tue) 23:47:12

【人】 七川 惺


[王子達の死は確認されていない。

 二人の王子は文字通り“消えた”

 時期を同じくして、
 リッチモンド伯とベスの婚約が発表される。
 アンも、一粒種の王子も今は病の床にある。]


  ……嵌めるつもりが嵌められた。


[バッキンガムは沈鬱な面持ちで呟く。
 傍にティレルが控えている。

 どちらの陣営も、いたいけな王子達を殺した者として
 (実際には殺さなくても)相手陣営を陥れようとしていた。

 そして今や、ランカスターとヨーク、
 両家を結ぶ旗印としてリッチモンドが有利になる。

 ティレルはロンドン塔に行ったが、先を越された。
 隠されたのか、殺されたのかも定かではないが…。]
(62) 2026/08/26(Wed) 0:01:33

【人】 七川 惺


[場面転換──牢獄。


 リッチモンドがバッキンガムの顎下に手を添える。]


  「……さて、どうしようかな、バッキンガム。」


[ハンサムではあるのだが、酷薄な瞳を細める敵。]


  「私の、キングメイカーにならないか?」


   ……嫌です。
   我が王は、リチャード陛下、ただお一人。


  「強情だな?それではこういう筋書きはどうだろう?」


[バッキンガムの裸の背中には、鞭で拷問された痕がある。]
(63) 2026/08/26(Wed) 0:14:42

【人】 七川 惺



   まだ塔の王子達は生きているのだよ。
   だが、いつでも殺せる場所にいる。

   ──殺すのはリチャードだ。

   最近、私の人気があがっていてね。
   民衆にそう思わせるのは、難しくないよ。
   
   あれほどの演説をしたのに
   兄王を、その遺児達を尊ぶ心は嘘だった。
   全ては、王位を簒奪したかったがため。

   その上、彼には男色の趣味がある。
   相手は朋友バッキンガム。
   
   リチャードは、神の御前で王に選ばれる
   資格は、始めから、なかった。

   ……密告が、あったのだよ。


 [ばかな?!覗いていた者がいた…?

  努めて冷静に反論しようと思った。
  だが、瞳が一瞬、揺れてしまった。]
(64) 2026/08/26(Wed) 0:26:31

【人】 七川 惺

[この上は、虚実を混ぜ、信じてもらうしかない。
 全部を否定してしまうのではなく。]


  ……何かのお間違いでしょう。
  いえ、全部が間違いなのではなく。


  リチャード陛下は清廉潔白。
  王妃様を、この国を、この国の民を、愛しておられます。
  横恋慕していたのは私一人。

  あの方は、何も汚れてはおりません。
  どこぞのやからが勘違いして
  話を大きくしたのでしょう。


[そうだ。嘘ではない。
 
俺はリチャードの心をもらっていない。


 もしもジョージ殺しのことまでつつかれるならば、
 クレランス公、ジョージ様を殺したのは私の独断、
 私一人がやりました、と言おう。
 お調べになれば、埃が出てくるでしょう。
 全ては、リチャード様に気に入られたいがためだったと。]
(65) 2026/08/26(Wed) 0:41:34

【人】 七川 惺



  私は、リチャード様に、想いを拒絶されました。

  そのせいで、塔の王子様達も殺すことにした、
  そう世間に思われてもいい。

  それでもまたリチャード様に拒絶されたのだ、と。


[そうだ。嘘ではない。
 
塔の王子達を殺すこと、一度は考えた。
]


  「では、私のキングメイカーになるか?
   さっきは嫌だと言ったようだが?」

   …………。


[素早く頭を巡らせる。
 リチャード意外に、誓はしない。*]


  私を、リチャード王討伐の前線に立たせてくれませんか。
  それを、手土産といたしましょう。
(66) 2026/08/26(Wed) 0:52:36

【人】 七川 惺



  我が王は言った。

  “何か動く前に、私に報告を。”

  手紙を認めなければ。


[──独白。

 牢から解放されて
 手紙を書いてティレルに渡すシーン。

 だが、ティレルは途中でスタンリー側の兵に捕まる。
 大雨の中、近場に手紙を隠した。

 奪われなかったのがせめてもの…

 けれどもその手紙がケイツビーに発見された時には
 文字が滲んで読み取れる部分は少なかった。

 ただ一言、「Forest of Deanにて」
 そして日時だけが読み取れた。

 その頃には、バッキンガムが反乱を起こしたとの情報が
 各地を巡っていた。**]
(67) 2026/08/26(Wed) 1:03:36

【人】 七川 惺


[“ディーンの森にて全てをお話します。

    ……そうして、もし、叶うならば……”


 いくら待っても手紙の返事はこない。>>67

 あの日が戦闘前の最後の別れになるのでは……

 心に暗雲が立ち込める中、
 バッキンガムは、執務室での別れを想い出していた。]
(68) 2026/08/26(Wed) 10:00:31

【人】 七川 惺


  “悪魔の祝福”などではありませんよ。>>60

  誓ったでしょう?

  “何をも厭わず恐れず、
   わが身を捧げる”と。>>4:23

  ……私は貴方様からの祝福を頂きたかったのです。
  
あんたに抱きしめてもらいたかったんだ。


  “神でもなく、
王でもなく。

  リチャード・プランタジネット様ただ一人”の祝福を。*
(69) 2026/08/26(Wed) 10:05:54

【人】 飛鳥 悠凛



  ……そうだな。

  おまえ自ら、地獄までの供をすると
  申し出たのだったな。

  おまえが望んだのは──…


[この頭上に王冠を被せたいと望んだ男>>4:18
 “神でもなく、王でもなく”と言い募る男。]


  ならば明かそう。
  おまえには。

  私は、真の“神の代理人”たりえない。
  神の報いも裁きも信じていないのだから。
  

[即ち王の資格など端からないのだと]  
(70) 2026/08/26(Wed) 11:14:19

【人】 飛鳥 悠凛



  幼い俺は、無邪気に神の救済を信じていた。

  高邁な魂と志を持つ父が、
  その身は剣に裂かれ、矢に貫かれ、
  魂の安息を得たはずの後までも
  惨たらしく晒し者になる姿を見るまではな。

  正しき志は果たされず、
  無辜の民の血は流れて留まるを知らず、
  同胞、肉親こそがこぞって殺し合う。


  ──全知全能の父など何処にもいないさ。

  天上の楽園に地上の地獄を看過する“神”が居たとて、
  俺はそれを神とは呼ばない。
(71) 2026/08/26(Wed) 11:19:57

【人】 飛鳥 悠凛





  母上は俺を、正しく見抜いておられた。

  “呪わしき悪魔が生まれ落ちた”──と。


  生まれながらに俺は、真実悪魔なのだろうよ。


[くすりと可笑しそうに笑うそこに、
 民の前で演説をぶってみせた赦しの慈悲深さはない。>>29]
(72) 2026/08/26(Wed) 11:22:58

【人】 飛鳥 悠凛




  だから、玉座を望む気などなかった。

  ──…おまえが私を王にと望んだ時。
  それでも思ったのだ。


  権力や享楽に溺れる者が王位に在るより、
  俺が王になれば護れるものの数は
  玉座までの“地獄行の露払い”の数を凌ぐだろうと。


  おまえの望みは、私の願いになった。

  ……苦労をかけたな、おまえには。


[バッキンガムの胸に頭を凭せ掛け、その顔を見上げた。*]
(73) 2026/08/26(Wed) 11:33:12

【人】 七川 惺



  あんたがあの時、
 “……信じられなかったからだ。”>>34

  と、言ったのは……


[そういうこと、だったのか?

 俺に出逢う前、
 “神の報いも裁きも信じて”おらず
 真の“神の代理人たりえる”とは思っていなかったと。

 胸に凭れ掛かるリチャードの後ろ頭に右手を添える。
 今はそこから王冠は外されている。]


  俺が望んだから、王冠を願うようになったと?


[ああ、それこそは、キングメイカーへの最高の賛辞。]
(74) 2026/08/26(Wed) 12:19:09

【人】 七川 惺



  二人で望んで、願って、叶えた、王冠だと?


[まるで自分の掌が
 王冠になったかのような気持ちだ──……。]


  俺の苦労など……。

  今のお言葉を賜った幸せに比べれば、
  何ほどでもありません。


[言葉遣いが、敬語と普段の言葉と
 ちぐはぐになっているのも気づかず。いや、
 気づいても気にせず、また咎められもしなかったろう。

 ──暫しの間だけ、右手はそのまま、左手は背中へ。
 リチャードをぎゅっと力強く、抱きしめた。

 
あんたが遠かった。でも、この一時だけは。
**]
(75) 2026/08/26(Wed) 12:26:52

【人】 飛鳥 悠凛

[バッキンガムの言葉を聞くリチャードは、
 怪訝そうな──呆れたような顔を浮かべた。]


  言っただろう。

  “おまえの望みを私が叶えてやりたかった”と。


[夜の森で二人交わした会話を>>6:18
 男に思い出させる。
 おまえの望むようにと口にしたのは、
 その時が初めてでもないというのに。]



  ……おまえが喜ぶことは、
  俺にはよく分からない。


[感極まったかに見えるバッキンガムに眉を顰め、
 それでも後頭に添えられた手も、
 背に回る手も好きにさせている。]
(76) 2026/08/26(Wed) 12:42:49

【人】 飛鳥 悠凛

[強まる腕の囲いの中、窮屈なそこに
 リチャードは収まっている。]



  … 手向けは俺の祝福で足りるのか。


  悪魔の誓約は、もう不要か?


[あれ以来、口接け一つしていない。*]
(77) 2026/08/26(Wed) 12:45:06

【人】 七川 惺



  あんたはあの時、すまない、と言った。>>6:18
  だから、俺は……

  “おまえの望みを私が叶えてやりたかった”

  その言葉は、俺の献身を憐れんでのことだと思った。
  だから、心はなくても身体を開いてくれたのだと。

  今の話を聞くまで、信じられなかった。
  俺が望んだことが、全ての始まりだったとは。


[“俺にはよく分からない。”>>76
 そういうリチャードに応える。

 これで、通じるだろうか?通じないかもしれない。*]


  ……悪魔の契約は……思い切ろうと思ったのに。
  あんたからそれを今、言い出すなんて
ずるい。


[苦しそうな顔をする。]


  ここでは誰が見ているかもわかりません。
  では、口吻けだけ……*
(78) 2026/08/26(Wed) 13:28:13

【人】 七川 幸臣

 ── Forest of Dean ──


[“ディーンの森にて待つ”

 その手紙がもし、
 正しい時期に正しくリチャードに届いていたとして。

 半リチャード派に包囲されていたその時の状況や、
 またリチャードの王としての判断により、
 バッキンガムが望む通りに事が運んだ可能性は
 非常に低い。

 手紙は万一敵側に渡った場合を慮って
 肝心な部分はぼかして書かれていた。
 逢って話したいとだけ、強調されている。

 できればどうか、と続けた追伸に至っては、
 冗談めかしてこう書いていた。

 I'd love to whisk you away.

 「あなたをどこかへ連れ去ってしまいたい」

 密書ではなく、
 まるで逢引きのためのラブレターのようだった。
 拾われても、そう見えるように書いていた。*

 
追伸こそが、バッキンガムの隠れた本心だったけれども。
]
(79) 2026/08/26(Wed) 13:34:27

【人】 七川 幸臣


[そして手紙が届かないまま、リッチモンド側の陰謀と、
 バッキンガム側とリチャード側のすれ違いが重なり、開戦。

 バッキンガム公ヘンリー・スタッフォードは、
 ウェールズのブレコンからロンドンを目指して軍を進める。

 行軍の途中でフォレスト・オブ・ディーンを抜け、
 セバーン川を渡ってグロスターへ入ろうという計画だった。

 しかし、その途中で
 大雨でセバーン川が歴史的な大反乱The Great Waterを起こす。**]
(80) 2026/08/26(Wed) 13:38:30

【人】 飛鳥 悠凛

[ますますリチャードの眉間の皺が深くなる。]


  ……“おまえの望みは叶えたつもりだった”、
  そうも言っただろう。

  この身をおまえに任せ、王となり、
  嗣子を作ろうと務めた。


[森でのやりとりをひとつひとつなぞって>>5:67
 思い出させようとする。]

  
  だが、おまえは笑わなくなった。

  それでも不足だったのだろう、
  そう考えたからああ言った。


[その後のやりとりは覚えている、
 男に思い出させてもらう必要もない。]
(81) 2026/08/26(Wed) 14:10:34

【人】 飛鳥 悠凛

[互いに顔を傾け、唇の曲線を添わせる。
 柔らかな口づけだった。
 バッキンガムの顎に指先を添え、ゆっくりと引き剥がす。]

  
  …もう良い。
  行くなら早く行け。


  早く戻れと言ったな、あれは忘れていい。
 
  そのまま血生臭い王都から離れ、
  領地を善く治め、子孫を増やし長生きするがいい。

  今からでも遅過ぎはしない。
   

[今なら分かる。
 この頭上に王冠を戴かせたい。半身となりたい。
 並び立たない願いがこの男の願いなら。
 望みの全てを叶えてやる事など、
 初めからできはしなかったのだと。

 その胸を押して離れ、文机の前へと腰かける。
 玉座で儀式めいた謁見を受けるより、
 法を整え、地方を鎮め、民の訴えを聞くに
 リチャードの時間は割かれる。*]
(82) 2026/08/26(Wed) 14:23:40

【人】 七川 惺


[“おまえは、私と来るべきではなかった”>>6:1

 今言われたことは。>>82
 あの時の言葉にも重なるのだろうか。違うのだろうか。

何故そう言われたのか正解に辿り着くことはない。
]



  ……王都から離れ。領地を善く治め……

  
それが、私の正しく生きる道だと?



[
もう遅いんだ。魂の王運命と出逢ってしまったから。


 
愛を得られないのなら。その次に賜りたいのは死。


 そう思ったところで、そう言ったとしたところで。
 ……せんなきこと。]


  ……失礼いたします。
(83) 2026/08/26(Wed) 15:20:28

【雲】 七川 惺


[道行く途中で、一輪だけ咲いていた、白い薔薇。>>D0

 それを手折って。]


  ……これを、かの人に届けておくれ。


[傍らで遊んでいた子に頼んだのだったか。
 それとも、森にそよぐ風に頼んだのだったか。**]
(D1) 2026/08/26(Wed) 15:24:14

【雲】 飛鳥 悠凛

[護衛と共に城下を馬で行くリチャード。
 若き王を見ようと路傍に立ち止まった人々の中に、
 白い薔薇を一輪頭上に掲げた少年がしきりと伸び上がって
 「王様!王様!」とリチャードを呼ぶ。

 馬を止めれば、少年が人混みから飛び出してくる。 
 「近い、無礼だぞ」と追い払おうする護衛を
 「よい、下がれ」と制止して手を伸ばす。]

 
  これを私に?


[「偉い貴族様から届けて欲しいって僕が頼まれたんだ!」と
 年端のいかぬ少年が誇らしげに言う。]

  
  …そうか、其方が頼まれてくれたのだな。

  有難う。
  貰い受けよう。


[一筋編まれた髪に薔薇を挿して微笑めば、
 少年の顔が、ぱあっと輝く。*]
(D2) 2026/08/26(Wed) 20:17:45

【人】 七川 惺


[開戦より遡ること一カ月前。
 塔の王子達が“消えた”。>>62

 “消えた”のか“消された”のか定かではないが
 バッキンガムの名が、容疑者として
 フランスに近い海岸地方で上がり始める。>>66

 それから暫くして、バッキンガムは牢から解放される。]


  「ケント伯と手を組んでもらうよ。彼も親戚だ。
   バッキンガム、お前が総指揮を執るんだ。

   前線に立つっていう約束だよなぁ?またいとこ殿。」


[リチャード包囲網は完成に近づいていた。
 一刻も早く、牢から出なければならなかった。
 一旦は自軍を率いて前線に出よう。
 機を見て、リッチモンド伯から離れるのだ。
 ウォリック伯を裏切って、
 エドワード四世の元に下ったジョージのように。
 リチャードの元へ。
その、つもりだった。
*]
(84) 2026/08/26(Wed) 20:33:02

【人】 七川 惺


[ケント伯が先走った。
 バッキンガムに相談なく開戦の火蓋を切った。
 手柄を焦ったか?

 
それは、リッチモンドの策略だった。


 ──バッキンガムが蜂起した。世間にはそう伝えられた。

 
バッキンガムを雁字搦めにするためだ。



 やむなくバッキンガムは、進軍することになった。
 手紙の返事を待つ猶予はなかった。

 
それでもまだ、方法はあると信じていた。



 やがて、東側をセバーン川、
 西側をワイ川という2つの川に挟まれた
 三角形の台地のような地形
 ──ディーンの森にさしかかる。

 グロスターシャー州にあるディーンの森は
 ロイヤル・フォレスト 王室林である。

 黒雲が立ち込め、雨が、降っていた──…。*]
 
(85) 2026/08/26(Wed) 20:57:45

【人】 飛鳥 悠凛

[領地に戻ったバッキンガムからの便りはなかった。
 来ぬ便りよりも先に、ケントでの反乱の報せが届いた。
 不穏な動きは予期していなかった訳ではない。
 軍をすぐに動かせる準備はしてあった。ただ。]


  バッキンガムが───?


  有り得ないな。 首謀は誰が……、


[ランカスターの中でもすぐに複数が浮かぶ。
 でもどうやって。
 バッキンガムには人質にとれる身内もいない。
 存在こそすれ、バッキンガムにとって
 それほどの価値のある者など──]
(86) 2026/08/26(Wed) 21:03:20

【人】 飛鳥 悠凛

[打つべき手に思索を巡らせていれば、
 跪いて報告をしていたケイツビーが、
 「恐れながら…」と胸元から何かを取り出し捧げ持つ。
 所々インクが滲み、まともに読めるのは数行。 
 “ディーンの森にて待つ”
 “あなたをどこかへ連れ去ってしまいたい”
 待ち合わせらしき日付は過ぎている。

 見間違いようもない筆跡だった。]




  これは──……、 何時届いた、



[主がこの世に生を受けた日から
 傍で仕えるケイツビーは。
 主が青褪めるのを初めて目の当たりにした。]
(87) 2026/08/26(Wed) 21:16:11

【人】 飛鳥 悠凛

[文机に肘を突き、組んだ両手に額を預け項垂れる。
 それは、民衆がリチャードを王にと望んだ
 あの日のバルコニーで。
 リチャードがとった告解の如くの仕草にも似ていた。

 人払いをさせるために、ケイツビーだけは
 二人の隠された関係を知っていた。

 知っていたのだ。]



  ………俺が、私欲に眩んで判断を見誤ると恐れたのか。
 
 
[掠れた声が囁く。]


  初めてだな。
  おまえが俺に背いたのは、


[おまえの処罰は後だと告げて、立ち上がる。

 己はとうに選んでいる。
 血の道を征くと。
 引き返す道も、とうにない。*]
(88) 2026/08/26(Wed) 21:29:38

【人】 七川 惺


[雨脚が次第に速くなる。]


 「公爵閣下、この雨では大軍を動かすのは無理です。」

 「雨の勢いが弱まるのを待った方が。」

  ……単騎ならばどうか。

 「斥候ならば、別の者に。」「ティレルが適任かと。」

  ティレルはまだ戻っていない。


[ティレルが密命を受けて後、戻らないことは
 ごく一部の者しか知らない。]


  私が、行く。
  全軍、私が戻るまで動かぬように。


[約束の日時はとうに過ぎていた。

 ──もう、引き返せない。

 それでも、一目、あんたに。]
(89) 2026/08/26(Wed) 21:39:31

【雲】 七川 惺



『Your soul is carried to the most suitable place with destiny.』

 [もしも、運命というものがあるならば。*]
 
(D3) 2026/08/26(Wed) 21:40:17

【人】 飛鳥 悠凛

[幸か不幸か、リチャード王は軍を率いて
 西に向かう拠点に逗留していた。
 王国を巡行する途上にあったのだ。

 それ故、バッキンガムが蜂起した西部へと
 直ちに向かうことが適った。
 反乱軍は、見紛うことなきバッキンガム公の
 白鳥を象った旗印を掲げていた。

 セヴァーン川を渡り進軍する予定だったのだろう 
 バッキンガム軍は、上昇する水位に足止めされる。
 リチャード軍は、反乱軍を迎え撃つべく待機していた。

 そんな折だった。
 ディーンの森を彷徨うバッキンガムの前に、
 黒馬に乗った単騎の兵士が現れたのは。]



   ──……何故。 ここに居る、



[アーメットの面頬を上げれば、愛馬の白馬に乗らず、
 騎士の重装ですらないリチャードがそこに顕れる。]
(90) 2026/08/26(Wed) 22:25:20

【人】 飛鳥 悠凛





   ……おまえに。


   俺が何故、領地に帰れと──……


[掠れた下問は、すぐに途切れた。

 分かっている。
 今更何を言おうと、何を聞こうと詮無いことだと。
 バッキンガムの謀反の噂が広まるのは早かった。
 調べれば、首謀が手を回した反乱の書状も出てくるだろう。

 蜂起の事実は動かしがたい。
 捕まれば、大逆罪が下るのは免れまい。*]
(91) 2026/08/26(Wed) 22:32:25

【人】 七川 惺


[黒馬に跨って現れた単騎の兵士は、リチャードだった。>>90
 言いたいことは、沢山あった…はずだった。]


  ……あんたに、逢いたかった。


[それだけの理由だったと、はた、と気づいた。
 一目見ただけで、自然と笑みが零れてしまったから。

 だが、全てはもう遅い。
 それだけの理由にしてしまえない。
 軍を、民を、巻き込んでしまった。]


  領地には、もう……思い残すことがなかった。


[酷いことを言うと、叱られそうだ。
 あんたの味方をするために馳せ参じた。
 そう、言いたかった──もう言えない。]


  あんたこそ、何故、そんな軽装で?


[わからなかった。何故、逢えたのかも。*]
(92) 2026/08/26(Wed) 22:54:41

【人】 飛鳥 悠凛

[露わになった主君の顔を見て、
 笑み零れる男と対照的に。
 リチャードはぐしゃりと顔を歪める。]




   ──…ッ、愚か者めが、



[王が今ここに居られる理由。
 ケイツビーに、失態の責任をとらせ協力させたまでだ。
 それを今教えてやる気はない。

 ───時間がない。]
(93) 2026/08/26(Wed) 23:05:11

【人】 飛鳥 悠凛



  この雨では他の反乱軍と合流はできまい。

  一度兵を退け、直ぐに国を出ろ。
  ブリストルから海峡を渡れ。


  テューダーに合流はするな、
  ……討たねばならなくなる。  
  

[簡潔に要件のみを伝えるべきだと、
 抑えた声で淡々と告げる。*]
(94) 2026/08/26(Wed) 23:06:51

【人】 七川 惺


[美しい貌が歪む。>>93

 
ああ、こんな顔をさせたいのではなかった。


 リチャードの、己を逃がそうとする声を
 どこか、遠いもののように聞いていた。

 ……と、その時。]
(95) 2026/08/26(Wed) 23:23:04

【人】 七川 惺



 「バッキンガム、戻れ!
  もうすぐ川を渡れなくなる…!」


[様子がボロボロになっているが、ティレルだ。]


  お前、無事だったのか?!


 「説明は後だ!いいから、早く!
  お前が号令しないと、軍が動けない。」


[はっと気づいた。
 自分にはまだ、失うものがあったのかと。

 リチャードと、ティレルの顔を交互に見やる。


 表情を引き締めて、リチャードに一礼した。
 ティレルも同様に。]
(96) 2026/08/26(Wed) 23:25:30

【人】 七川 惺



  退け!退け…!

  いや、俺のことは構うな。

  逃げられる者は逃げろ!どこへなりと!

  
だがリチャードの敵にだけは、なるな。



[最後の言葉は、濁流の流れる音にかき消される。
 ただの、豪雨ではなかったのだ。 

 この後、セバーン川が歴史的な大氾濫The Great Waterを起こす。>>80 


 ──低地に待機していた、バッキンガム軍は瓦解する。

 大河の氾濫は、謀略を、
愛も
、全てを押し流す。*]
(97) 2026/08/26(Wed) 23:29:40

【人】 七川 惺



  「え?バッキンガムが出頭してきた?!
   影武者じゃないのか?」

  「主君だけは、と。誰かが逃がしたのでは?
   それが、違うようで。本物、本人です。]


[リチャード陣営が、かしましい。]


  「首謀者が出頭する代わりとして、
   敗残兵は罪を問わないでほしいと。」


[そうして、ティレルはリチャード軍に拾われ、
 手厚く怪我の手当を受けたらしい。]


  「反逆罪でしょう?私権剥奪は免れないでしょう?」

  「それどころか……。]


[俺の私財と権利は、王のものになればいいのに。
 
巡り巡って後にスタンリーのものになるとは知らぬ。


 
あとは、死を賜りたいだけ。*
]
(98) 2026/08/26(Wed) 23:48:02

【人】 飛鳥 悠凛

[リチャードは、瞬きもせずにバッキンガムを見ていた。

 無言でこちらを見つめる瞳も、
 ティレルと言葉を交わす声も、
 こちらに深く一礼するその仕草も。

 素早く顔を上げ、背を向け、
 遠ざかっていく馬上の長躯も。]




  ──… おまえの上に、ご加護と恵みがあらんことを。



[天から降り注ぐ雨に全身を打たれ、馬上で昏い空を仰ぐ。
 一度閉ざした目をぐっと開けば、素早く馬の頭を翻した*]
(99) 2026/08/26(Wed) 23:50:41

【人】 飛鳥 悠凛

[王軍は、自壊する反乱軍を深追いしなかった。
 追えば自軍も危険に晒す。
 王の判断に異を唱える者はいなかった。

 やがてバッキンガムの出頭の報せを受けた
 リチャードは、その者の顔を暫し凝視する。]


  …………そうか。朗報だな。

  
  ロンドン塔に送り、牢に繋げ。
  追って沙汰を待つよう。


[顔色ひとつ変えずに、言いつける。*]  
(100) 2026/08/26(Wed) 23:58:48

【雲】 七川 惺


[逃げろ、と言われた。>>94]


  遠く海を渡って…?

  あんたの顔が見たくなっても
  馬で駆け付けられない所まで?


  ……それは、嫌だな。


[リチャードが俺の顔を見ていても>>99
 強い雨音が、俺の声をかき消したかもしれない。*]
(D4) 2026/08/27(Thu) 0:09:43

【秘】 飛鳥 悠凛 → 七川 惺

[大貴族たるバッキンガム公に宛がわれた牢は、
 塔の上にある簡素な個室だった。
 分厚い石造りの壁に、鉄格子の嵌った小窓。
 粗末な木製の寝台が燭台にぼんやりと照らされている。

 扉の前を守る衛兵に別の衛兵が、
 何かを耳打ちする。
 二人が足早にその場を後にしてから暫し。

 薄暗いロンドン塔の階段を上ってきた二つの人影が、
 入れ違いにバッキンガム公の牢を訪った。

 扉を押さえた一人が、後ろに続く一人を迎え入れる。
 外套のフードを剥いだケイツビーは、公爵に一礼する。
 すぐに部屋を辞し、来た方へと足早に姿を消した。


 手紙で乞われた、ディーンの森では叶わなかった時間。 

 束の間の逢瀬の人払いのためと心得ているケイツビーは、
 階段の中ほどに腰を据えた。]
(-10) 2026/08/27(Thu) 0:19:33

【人】 飛鳥 悠凛

[扉の傍に無言で立ち尽くしていた黒衣の男が、
 やがて目深に被っていたフードをぐっと剥ぎ、
 その顔を露わにする。
 バッキンガムの顔をひたと見据える
 冷ややかな双眸が、そこにはあった。]



  ……偉くなったな、バッキンガムよ。


  この俺の命が聞けなかったか。

  国を出ろと俺は言った。──そうだな?



[リチャードの顔に、酷薄な笑みがゆっくりと広がる。]
(101) 2026/08/27(Thu) 0:27:04

【独】 飛鳥 悠凛



[──腹の底から、ふつふつと滾るもの。

 煮え立つ怒り。
 憤り。
 哀しみ。

 幾度も触れた温かな身体を
 今はまだ喪っていない男に、
 再びここで相まみえた刹那の歓び。

 裡で入り乱れるどの感情も、
 王たりえる者として振舞ってきた
 リチャードが抑えてきたものだ。]
(-11) 2026/08/27(Thu) 0:29:35

【人】 飛鳥 悠凛




  ──…俺は誰だ。

  おまえが選び、戴いた王だ。
  この手をとって玉座へと導いた。


  おまえは俺に、おまえを殺させるため
  此処・・まで連れて来たのか。

  答えろ、バッキンガム──……!!!



[迸る絶叫は、分厚い壁と扉に閉ざされた石牢の小部屋に
 空しく木霊する*]
(102) 2026/08/27(Thu) 0:32:41

【秘】 七川 惺 → 飛鳥 悠凛


[ジョージを殺したのと違う部屋なのが、
 せめてもの救いだったな。

 おかげで、悪夢を見なくてすんでいる。

 分厚い石造りの壁に、燭台の炎が揺れる。
 こんな粗末な木製の寝台に、王子達は寝ていたのか。
 いや、王子達には
 ふわふわの布団を差し入れる者もあったろうな。

 面会に来る家族もいない。
 当然だ。俺は家族を愛していなかったのだから。

 鉄格子の嵌った窓に、青い鳥が訪れるはずもない。]
(-12) 2026/08/27(Thu) 0:45:00

【人】 七川 惺


[どんな奇跡が起きたのか。
 もう二度と逢えないと諦めていた顔がそこにあった。]


  ……国外追放では、ぬるいと思ったのです。

  なにしろ、私は、大逆の罪を犯していますから。


[
違う、こんなことを言いたいのじゃない。


 何でこんな憎まれ口を叩いているんだろうな、俺は。

 
同じ空の下に、いたかったんだ。死ぬその時まで。
]
(103) 2026/08/27(Thu) 0:53:44

【独】 七川 惺


[愛を得られないなら、死を賜りたい。
 できる限り、早く。

 ──そう言ってしまおうかと思っていたんだ。

 あんたに叱責される、その直前まで。]
(-13) 2026/08/27(Thu) 1:00:59

【人】 七川 惺


[石牢の小部屋に反響する声が、

 一つ一つ、残らず、俺の心に刺さる。>>102 ]


  あんたは我が王。

  唯一絶対と想い定めた、王。

  俺はいつでも、あんたの一番近くにいたかった。

  俺は、あんたにふさわしくなりたかった。


[何故、王は叫ぶのか。
 何故、こんなに心が痛いのか。
 もう少しで、答えがわかるような気がするのに。

 そんな、想いとは裏腹に。]
(104) 2026/08/27(Thu) 1:10:45

【人】 七川 惺



  俺が望んだのは──……

  いえ。
此処
まで一緒に来れて本望。


「でももう、俺は、罪にまみれている。
 あんたの、罪も、背負ってゆく。]


  今はあんたの影を踏み、
  あんたの影そのものになるのが望み。

  王をもっと、もっと。
  一層光り輝かせるために。


  ………どうか、俺を。
  神ではなく、あんたの殉教者に。
  
(105) 2026/08/27(Thu) 1:30:11

【人】 七川 惺



  ──旅立つ前に、抱きしめて下さい。*
(106) 2026/08/27(Thu) 1:31:44

【人】 飛鳥 悠凛

[下問への応えに、ぐ、と目を瞠る。>>103
 怒りで眩みそうだったからだ。
 言い募る男の声は、
 強張った顔を歪ませるだけ>>104

 
そんなことを、俺は望まなかった。
>>105]



  そうか。………そうか。

  では、おまえに罰を架してやろう。

  “地獄まで供をする”と誓いを違えたおまえを。


  おまえは、これから私の心を殺すのだ。
  その命を以ておまえが。

  その時おまえは、私の隣には居ない。
  


[悔いと嘆きの叫喚に喉が張り裂けようとも、
 その声を聞くべき者は地上に居なくなる。]
(107) 2026/08/27(Thu) 1:48:47

【人】 飛鳥 悠凛

[リチャードの脚は動かない。
 声を荒げようとも、扉の傍に留まったまま。]




  ……それこそが、おまえが殉ずる罪と罰だ。ヘンリー。




[“旅立つ前に”と優し気な声と顔で残酷に乞う男の前で、
 色を失った唇を震わせ、立ち尽くす。**]
(108) 2026/08/27(Thu) 1:54:16

【人】 七川 惺



  あんたの心を俺が殺す……?>>107

  
[俺にとって、あんたは全て。
 だけど、あんたにとっての俺は
 “半身”ですらない、“一部”なんだろう?

 ──その俺が、何故あんたの心を殺せるのか?


 粗末な木製の寝台に、まだ座ったままだった。
 今の立場として、不敬だったのかもしれないが。

 そのままの姿勢でリチャードを仰ぐ。
 激昂して歪む顔まで、どこまでも美しい。]
(109) 2026/08/27(Thu) 11:52:55

【雲】 七川 惺


[“──あんたの心が、欲しい。”>>6:3

 “心臓命を捧げるのは、
   あんたじゃなく……俺だろう?”>>6:7

 
心を掲げるのは 
 あんたじゃなく……俺だろう?”


 愛し愛されていると、見紛うほどの、快楽死を。


 星降る夜の記憶が蘇る。薔薇が咲いていた頃の。
 今の気持ちと、二重写しになる。]


 
何故あんたの心を俺が持って逝けるのか?



[けれども、そう小さく呟いてから想い出した。

 あの時リチャードが言おうとしていた?


 ── 『俺は唯、おまえを…… 、』 ──      ]
(D5) 2026/08/27(Thu) 12:05:52

【雲】 七川 惺


[リチャードは、あの後、眉根を寄せた。

 まるで泣き出すのを堪える子どものように。>>6:20


  『──… “ヘンリー”』           ]
(D6) 2026/08/27(Thu) 12:15:04

【人】 七川 惺



 「……それこそが、おまえが殉ずる罪と罰だ。ヘンリー。」>>108 


[現実に引き戻される。

 リチャードは声を荒げようとも、扉の傍に留まったまま。
 色を失った唇、動かない脚。

 決して、決して。
 あの時のような無垢でたどたどしい呼び声ではないのに。
 寧ろ真逆の、無慈悲で冷酷な声で、ぶつけてくるのは。]
(110) 2026/08/27(Thu) 12:23:37

【雲】 七川 惺


[──冷たく蒼白く輝く月の裏側。

 ──……昏く深い穴の中、切り立つ岩の隙間から、
 透明な湖のような哀しみが、垣間見えた気がした。]
(D7) 2026/08/27(Thu) 12:29:40

【人】 七川 惺


[今、抱きしめてもうらのではなく。

 俺が、抱きしめるべきなのは──……。


 間違っていてもいい。跳ねのけられてもいい。
 不敬でもいい。詰られてもいい。拒絶されてもいい。

 立ち上がり、一歩、二歩と距離を詰め。]


  リチャード……、


[この二本の腕が、棘のない白薔薇の蔓のように
 優しく強く、愛する人を囲えますように。*]
(111) 2026/08/27(Thu) 12:36:32

【人】 飛鳥 悠凛

[激情迸る言葉を、それでもバッキンガムが
 解することはないらしかった。>>109
 珍しいことでもない。
 リチャードの言葉の裏が、男に届くことはない。]



  愛妾にすらしてやれぬ男を、
  安い言葉一つで縛ってやれば、

  ……おまえは、それで満足したのか。


[ひたとその顔を見据えたまま、吐き捨てる。
 実を伴わない甘言を弄して、
 傍に留め置けば良かったのか。
 リチャードが陥れる相手にそうしてきたように。

 この男は、長らく傍にいた。>>104
 この身を許し、誰よりも近くに。
 誰もが腹心と認める立場にいた。

 それでも、こうなった。]
(112) 2026/08/27(Thu) 13:03:05

【人】 飛鳥 悠凛

[リチャードは、ただバッキンガムを見ている。
 距離が削れ、その腕が身にかかっても、
 冷えた身体は身じろがず、だらりと腕を垂らしたままでいる。

 “リチャード”自身が、バッキンガムに
 多くを望むことはなかった。]
  


  ──…おまえは、唯生きて、

  俺の傍に居れば良かったのだ。



[もう過ぎた事だ。だから口にした。
 リチャードを王にと望む男には、
 ついぞ叶えられなかった願い。

 その手を自ら血で汚しても、
 この男の性根は、魂は、
 未だあの日の少年のままだ。]
(113) 2026/08/27(Thu) 13:14:13

【人】 飛鳥 悠凛

[目の前の男は、死にゆく者だ。
 ならば、王としての務めがある。
 大儀の前に、私事は小事に過ぎない。

 男が何かを言う前に、口を開いた。]


  
  ……長年の忠誠と勲功、大儀であった。
  バッキンガムよ。


  私に忠義を尽くした臣下一人護ってやれぬ事を、
  主としてすまなく思う。

  おまえの一族を冷遇はせぬと約束しよう。
  後顧の憂いなく、神の御許に休むが良い。
   


[王の名の下に、既に処刑は決まった。
 覆せはしない。
 覆そうとも思わない。

 この男の最期の望みを、俺が叶えよう。*]
(114) 2026/08/27(Thu) 13:20:33

【人】 七川 惺


[『この愛の捧げ物、どうか拒絶なさいませんよう。』

 何度も繰り返されたその台詞。
 ここでは言う必要がなかった。

 拒絶されても、いい、と思ったから。


 抱き返してもらうことは、叶わなかった。
 だが、拒絶されたとも思わなかった。

 それどころか、
 リチャードのその言葉を聞いた時、>>113
 蜘蛛の糸のような、細い一筋の光が見えたと思った。
 白薔薇の蔓が、一筋だけ、届いたと思った。


 やがて王の口調がいつもの落ち着いたものに戻る。

 王は“バッキンガム”と呼ぶ。]
(115) 2026/08/27(Thu) 13:47:34

【雲】 七川 惺



  ……安い言葉、か。>>112
  沈黙は金。雄弁は銀。

  どうだろうな?
  あんたからもらう言葉なら、
  全て金に見えたかもしれないな。

  ……わからない、

[それとも、もっと、もっとと
 果てしなく飢えたように望んだだろうか。

 けれども、次の言葉には目を見開いた。>>113
 白薔薇の蔓が、一筋だけ、届いたと思った。]


  唯生きて、あんたの傍に?

  それは、王の望みではなく?


  ……………

  ……それこそ、この世では見果てぬ夢だった。
(D8) 2026/08/27(Thu) 14:47:18

【人】 七川 惺


[そうしてバッキンガムと呼ばれた後は、
 王の厚情に感謝し>>114 言葉遣いを改め。]


  ひとつ、戯言を言わせてください。

  例えばこの先、貴方様の長い栄光の時が満ち
  やるべきことを全て終え、この世に飽いた時。
  
  私のことを、想い出してくれませんか。
  あちらで、露払いをしてお待ちしています。


[地獄からでも、魂となっても。どこからなりと。
 馳せ参じる、と。]


  先ほど「その時おまえは、私の隣には居ない。」>>107
  そう言われて、肝が冷えたのです。
  あなたの隣にいられないことが、
  ひどく哀しかったのです。*
(116) 2026/08/27(Thu) 15:06:46

【雲】 七川 惺




  ──死神に捕まる前に

    あんたをさらってゆきたかった。*
(D9) 2026/08/27(Thu) 15:27:41

【人】 飛鳥 悠凛

[バッキンガムを見るリチャードの眼に、もう力は無い。
 男の言葉には、戯言を口にするような
 日常の他愛なさがあった。>>D8

 目を見開いて、男の表情が変わる。
 “この世では見果てぬ夢”だと]




   …… そうだな 、



[所詮叶わぬ夢だった。
 いつしか夢を見ていた。]
(117) 2026/08/27(Thu) 15:49:35

【人】 飛鳥 悠凛

[忠臣の言葉を聞きながら、
 王は顔を伏せる。>>116
 身体が触れ合う距離でも、長い黒髪が庇となり
 長身のバッキンガムからは顔は見えない。]



  ……………もうよい。

  もう良いのだ。
  無理を言った。

  おまえが悔いることがあろうと、  
  私が、おまえの全てを赦す。
  おまえの魂は清いままだ。


[死後の報いも神の救いも望みはしない。
 信じてもいないのだから。]


  もう、休め。 ……邪魔をしたな。


[暇を赦す王の声はひび割れ、
 腕の中の身体は人形のように固く動かない。]
(118) 2026/08/27(Thu) 15:58:23

【恋】 飛鳥 悠凛

[男が付け加えた戯言が、
 伏せた顔をふっと上げさせる。

 意図せぬことだった。

 開いた唇が、微かに動く。
 音は無い。
 光るものがその瞳にある。]




  ──… おまえの手紙が、届かなくて良かった。



[やがてゆっくりと微笑んだ王は、男に応えた*]
(?0) 2026/08/27(Thu) 16:06:17

【恋】 七川 惺

  

  どうして泣く。


[リチャードの瞳に光るものをみつけて狼狽える。
 静かに動いた唇から音は聞こえない。
 
 いつしかその両の頬を包んでいた。
 あの時リチャードが己にそうしてくれたように。>>6:13

 瞳に光るものを指腹で拭おうとした。

 と、その時。


 「手紙が届かなくて、よかった」と微笑む王。
 そう、これは、王の貌。

 その変化を、不思議そうに見やる。]


  どうして?


[今一度、問う。*]
(?1) 2026/08/27(Thu) 16:24:24

【恋】 飛鳥 悠凛

[リチャードの音なき声は、
 男には伝わってこなかったのだと知る。]



  ……分からなければ、それでいい。


[狼狽える男に、しんと静かに笑ってみせる。
 この男を亡くした後の想像をさせずに済むなら、
 その方が憂いなく逝かせてやれるのだろう。]



    お休み、ヘンリー。



[閨を共にした夜も、
 そんなことを口にしたことはなかった。

 頬に触れ、瞳を覗き込んで、
 そっと触れるだけの口吻けをする。

 それ以上の言葉を残すことなく、
 リチャードは牢を後にした。*]
(?2) 2026/08/27(Thu) 18:12:51

【人】 飛鳥 悠凛

[バッキンガム公を拘禁しているロンドン塔から、
 リチャードはウェストミンスター宮殿まで
 夜闇に紛れ黒馬で帰った。 

 夜更けに抜け出してきたリチャードが、
 私室に戻る前に向かった先は、
 宮殿に隣接するウェストミンスター寺院だった。

 戴冠式がそこで行われた時より、
 未だ数ヶ月しか経たない。


 ……たった数ヶ月前には。
 マントの裾を捧げ持つバッキンガムが、
 リチャードの影を踏む間近でここに居た。 


 祭壇の前で跪き、十字を切って
 深く頭を垂れる。]
(119) 2026/08/27(Thu) 18:24:38

【恋】 飛鳥 悠凛



  父なる神よ、どうか。


  ……どうか、ご慈悲を。


  私は御身に背を向けた救いがたき罪人です。

  悪魔に拐かされた哀れで善良なるかの者の魂に、
  どうか安息を──…  *
(?3) 2026/08/27(Thu) 18:28:55

【恋】 七川 惺


[王の貌とリチャードの貌がくるくると変化する。]


  「お休み、ヘンリー。」


[もうすぐ、俺に永遠の眠りが訪れる。

 
俺が憧れ、手を伸ばし、
 抱いて、愛したのは、どちらの貌なのか。


 しんと静かに笑うのは、どちらの貌なのか。

 
白薔薇を胸に飾り、飾られ、
 ふさわしくなりたいと願ったのは?



 瞳に映る、刹那の貌は?
 唇に泊る、蝶のようなキスをもらいうける。


  『……もらい受けよう。』


 ……いつかの、何度かの、声が、頭の中に響く。]
(?4) 2026/08/27(Thu) 18:34:50

【秘】 七川 惺 → 飛鳥 悠凛



  
………あっ。
(-14) 2026/08/27(Thu) 18:36:33

【独】 七川 惺



  
あああああああああああ!!!



[石造りの部屋に、絶叫が反響する。

 リチャードの足音はもう聞こえない。
 子供のように泣き叫んでも、
 今頃気づいても、もう遅い。

 生きては逢えない、もう、この世では。


  ──王の器の愛は、誰も飲み干せない。

  けれどもリチャードに、尽きせぬ愛をもらっていた。 **]
(-15) 2026/08/27(Thu) 18:44:33

【人】 飛鳥 悠凛

[────翌日は、よく晴れた日だった。
 薔薇咲き誇る庭園で、二人が出逢った日のように。]



  バッキンガム公 ヘンリー・スタッフォード。
  大逆の罪状は既に明らかである。

  法に従い王命を以て、斬首を申し渡す。


[その日の処刑場には、王の姿もあった。
 大貴族の反逆者の処刑を王自らが見届けるのは、 
 周囲への戒めなのだろうと臣下は囁き合った。]



  最後に、何か申すことはあるか。



[両脇を司祭と処刑人に挟まれ、地面に膝を突く
 バッキンガムに、リチャードは問う。*]
(120) 2026/08/27(Thu) 19:05:01

【人】 七川 惺


[──尽きせぬ涙は枯れぬ。
 けれど、無様な姿は晒せない。

 処刑の日の早朝、たっぷりとした
 冷水を差し入れてくれたのは誰だったのか。
 禊をする程の量はなかったが身体を拭き、顔を洗った。
 ぱしっと両の頬を軽く叩く。
 
 ──よく晴れた日だった。
 薔薇咲き誇る庭園で、二人が出逢った日のように。

 処刑場には、王の姿もあった。


 最期に、もう一度、相見えることが叶うとは。
 神の慈悲か、悪魔の悪戯か。それとも……
 そんな想念が頭を掠める。

 が、瞳は揺れない。
 司祭と処刑人に挟まれたリチャードを仰ぎ見る。]


  『最後に、何か申すことはあるか。』


[王の貌。王はしばしば太陽に例えらるが
 夜色の髪に縁どられた尊顔は、月に似ていると思う。]
(121) 2026/08/27(Thu) 20:26:42

【人】 七川 惺


[言葉を交わすことさえ、許されるのか。
 だが、ここで言える言葉は限られているだろう。

 月の裏側に向かって、語りかける──届け。] 


  ……二度とは、間違いません。


[悔い改める、
 司祭や処刑人には、そう聞こえるだろうか。]


  
赦されるならば
 >>118
  来世でお会いしましょう。


  リチャード……陛下、万歳。**
(122) 2026/08/27(Thu) 20:38:45

【人】 飛鳥 悠凛

[真っ直ぐにこちらを仰ぎ見る眼差し。
 粗末な服に身を包んでも、美しい男だと思った。 
 その全てがこの地上から喪われるのだ。
 永遠に。

 抱き締めてやりたかった。>>106
 おまえの望みを、全て。俺が。

 そうすれば、傍を離れられなくなっただろう。
 王としての判断を狂わせかねなかっただろう。]


  
  ──… 確かに 聞き遂げた。



[微かな笑みが、リチャードの顔を過る。
 観衆には、慈悲深い王の笑みに見えただろうか。]
(123) 2026/08/27(Thu) 20:54:07

【人】 飛鳥 悠凛

[王は厳かに告げる。]



  連れて行け。

  反逆者の首を刎ねよ。



[処刑台の前に連行されたバッキンガムが膝を突く。
 司祭は、祈りを捧げ続けている。
 処刑人が手にした斧を振り上げ────

 最期のその瞬間まで、リチャードが
 バッキンガムから目を離すことはなかった。
 司祭と処刑人の陰になっているバッキンガムからも、
 リチャードは見えただろう。

 最期のその刻まで。]
(124) 2026/08/27(Thu) 20:56:11

【人】 飛鳥 悠凛

[やがて、王が告げる。]



  ………大儀であった。


[それは、誰にであったか。]


  死者を丁重に弔い、埋葬せよ。


[処刑を見届けに集まった観衆はやがて去り、
 司祭だけが祈りを捧げるために留まっている。

 じきに墓掘り人が、未だ温もりの残る躯を運びにやってくる。]
(125) 2026/08/27(Thu) 20:59:38

【恋】 飛鳥 悠凛

[一度は去ったはずの王が、黒衣に身を窶し、
 側近を伴い処刑場を訪れる。

 在りし日は玉座を前に、王冠を戴くために
 優雅に跪いたリチャードが。
 処刑台の前に跪き、深く頭を垂れる。

 王の半身が、同じ場所でそうしたように。


 晒された首を両腕で胸へと抱き上げる。
 最後に男が乞うた望みを、 
 神の御許に旅立つ前に叶えるべく。>>106

 見つめるその顔は、血に塗れても愛しい男のものだった。

 色を失った唇に、温かな血の通う唇を捺し当てた。*]
(?5) 2026/08/27(Thu) 21:09:47

【人】 七川 幸臣

 ── Battle of Bosworth ──

[バッキンガム公の反乱と処刑は、
 リチャード三世に致命的な影響を与える。
 
 人心掌握術、武勇、智略、それに運。
 英雄と言われる者はそれらの幾つかを
 兼ね備えているだろう。

 リチャードは運命の神を味方につけていたとも噂される。
 セバーン川の歴史的な大氾濫The Great Waterも
 その一例である。反乱軍の動きを分断した。

 しかしバッキンガムの処刑後、その
運
に
 陰りが見え始める。
 大貴族の戦力を失ったことは勿論大きい。
 しかし、最も信頼する側近に裏切られたことが
 リチャードに心理的な負荷をかけたという説もある。
 二人は、正しく朋友であった。
 シェイクスピアの史劇では褒美に不服があったとされるが
 史実では充分な褒美を与えられており、
 バッキンガムの裏切りの理由は謎ともされている。]
(126) 2026/08/27(Thu) 21:28:58

【人】 七川 幸臣


[バッキンガムの処刑から僅か二年もおかずに
 薔薇戦争の最終決戦であるボズワースの戦いが始まる。

 結果としてイングランド国王リチャード3世(ヨーク派)が、
 王位を狙うヘンリー・テューダー(ランカスター派)に
 敗れる。
 始めはリチャード3世側のヨーク軍が優勢だったが
 スタンレー卿の軍勢がヘンリー側に加担したことで
 戦況が逆転。

 リチャードは最後の最期まで勇猛果敢に戦った。
 リッチモンド伯ヘンリー・テューダーの首級をあげるため
 先頭に立って切り込んだと言われている。
 その時リチャードは兜でなく
 王冠を被っていたとの目撃譚が伝わっている。
 王権の正統性を掲げて、味方の士気を高めるためだったと。
 近年の遺骨発見によって、
 その時確かに兜を被っていなかったのが裏付けられた。

 頭部に、九つの傷があったのである。
 致命傷は頭部の斜め後ろ側の傷。
 馬上にいるのでは、到底届かない場所。
 そのため、リチャードの最期は、
 馬を失い、多数の敵兵に囲まれた白兵戦の末、
 勇敢に戦って斃れたとされる。

 イングランドで陣頭指揮を執って前線で戦った、
 史上最後の王、それがリチャード三世なのだ。**]
(127) 2026/08/27(Thu) 21:32:35

【人】 飛鳥 悠凛

[バッキンガム公の処刑から半年後に王太子エドワードを、
 その一年後には王妃アンを、リチャード王は喪った。

 悲嘆と死の病の影は、
 リチャードの身体をも徐々に蝕んでいった。

 一時はフランスに逃げたランカスター派の
 リッチモンド伯ヘンリー・テューダーが
 侵攻してきたとの報せが届いたのは。
 アンの早逝から半年も経たないうちだった。]
 


  ……テューダー。


[バッキンガムを唆した。
 彼と同じ名を持つ、呪わしき男。]


  ようやく奴に逢える。

  俺の獲物だ。


[赤地に金獅子が吼えるイングランドの紋章に
 青地に百合のフランスの紋章を組み合わせた王旗。
 グロースター公の、地を掻く白い猪の旗印も翻る。

 銘は“Loyaulté Me Lie”──忠誠が我を縛る。]
(128) 2026/08/27(Thu) 21:41:21

【人】 飛鳥 悠凛

[戦況は、王軍に軍配が上がると思われた。
 兵士の数は優に勝り、ランカスター軍の倍を数えた。

 戦況が一気に傾いたのは、王国軍の半数の兵を持つ
 スタンリー卿の存在が故だった。

 その義息子たるリッチモンド伯テューダーは、
 内密に前王エドワードの娘ベスを娶り、
 妻の血統を味方に、土壇場で旗色を逆転させたのだ。

 王妃アンの喪に服していたリチャードには、
 成しえなかった謀略。]
(129) 2026/08/27(Thu) 21:43:24

【秘】 飛鳥 悠凛 → 七川 惺

[日和見をしていたスタンリーは、
 今やランカスター軍に寝返った。

 自軍だったはずの軍勢に囲まれている。
 テューダーの元には辿り着けまい。

 最早撤退すら────



 天を仰いでぐっと目を閉じ、見開いた。

 王が今、為すべきことを。]
(-16) 2026/08/27(Thu) 21:45:20

【人】 飛鳥 悠凛

[神の裁きも救いも届かぬのであれば、
 それは“神の代理人”が授けよう。
 永遠の安息の際まで、兵士達に救いを。]


  ──剣を掲げよ、槍を構え、弓をつがえ。

  父なる神は、我らを決して見捨てたもうことはない。
  神より託された祖国を護らんと戦う者にこそ、
  天の門は開かれる。 

  肉体は生まれながらに我らを囚う
  魂の牢獄に過ぎない。

  魂を解き放ち、天より授かった肉の器を今
  神の御許にお返しするのだ。


  我が愛する誇り高きイングランドの戦士達よ、
  進軍せよ────…!!
  

[勝どきのように誇らかな声が、戦場に響き渡る。
 地を踏み鳴らし、呼応する戦士の声は怒号に等しい。

 バルコニーの上、傍らにバッキンガムが跪き、
 聴衆の歓呼にこの身が包まれた日を思わせる程に。*]
(130) 2026/08/27(Thu) 21:54:19

【恋】 七川 惺


[晴天の空の下、バッキンガムの瞳に
 この世の最期の瞬間に焼き付けられたのは、
 愛しいリチャードの美しい貌だった。>>124

 そうしてリチャードも、バッキンガムが首を落とされる
 残酷な瞬間にも目を逸らさなかった。


 だからなのだろう、運命の神は>>126
 約二年の間、バッキンガムの魂を地上に留めた。

 バッキンガムの魂は地獄に堕ちず
 かといって天にも昇らず
 埋葬された墓所をも離れ
 王宮の、白薔薇の蕾と共にあった。

 一輪だけ、咲かぬ蕾。
 二年の間に、そこに目を留めたものはあったろうか。

 誰かに口吻けするように、仰のいたその蕾を。*]
(?6) 2026/08/27(Thu) 22:06:11

【人】 飛鳥 悠凛

[王自ら先陣を切って馬を駆り剣を揮う、
 “獅子王の再来”と謳われたその背に兵は続いた。

 士気で勝る王軍の兵を、それでも数で勝る
 ランカスター軍が屠っていく。
 テューダーの姿はどこにも見えない。

 自身が聖戦の旗印となるべく、
 王冠を戴き胸に白薔薇を挿し、白馬に跨るリチャードは、
 近づく兵を片端から一騎で薙ぎ払う。
 遠巻きに長弓で執拗に馬を狙われ続け、
 後足で立ち上がった馬の背から落馬する。]



   ッ、 馬を、馬を持て!



[──脚を挫いたか。

 だがまだ戦える。終わっていない。
 戦場に立ち続けてこその王だ。]
(131) 2026/08/27(Thu) 22:28:39

【恋】 飛鳥 悠凛

[剣のぶつかる音が、怒号が、
 馬の嘶く声が頭上を飛び交う。
 視界が白んでいく。
 それでも。]

 

  我らが王国のために──…!



[我らが手にした、美しい王国。

 おまえの夢は、俺の。
   我が夢はおまえの───……*]
(?7) 2026/08/27(Thu) 22:31:58

【恋】 七川 惺


[巡り巡って。

 運命はリチャードの胸に開かぬ蕾の白薔薇を飾った。

 戦いの最中、少しずつ、少しずつ、
 開いてゆくように(見える)]


  ああ、俺は。今、あんたの傍に──……


[バッキンガムの声だけが、激しい戦場の中に、──
通る
。]
(?8) 2026/08/27(Thu) 22:41:01

【人】 七川 惺



  
お迎えに参りました、我が王。


  
さらいにきたぞ、リチャード。



[馬を牽いて現れるバッキンガム。

 馬も、バッキンガムも蒼白い。

 声の音声が、二重になっている。]


  
あんたの望むまま、どこへなりと、ともに──。



[今度は、肉声一つ。*]
(132) 2026/08/27(Thu) 22:49:49

【人】 七川 惺


[果敢に戦った王の印、
 リチャードの頭から王冠が転げ落ち、
 どんどん転がってゆき、
 戦場の中で誰に拾われたのか、
 もう、探しても見つけられない。

 血を流し、倒れ込んでいるリチャードに、
 バッキンガムの声は届いたろうか。

 蒼白い馬は、離れても戦場の中で、逃げない。

 バッキンガムは、
 リチャードに歩み寄って助け起こそうとする。*]
(133) 2026/08/27(Thu) 23:00:30

【人】 飛鳥 悠凛

[……あの男の声がする。
 俺が欲すると思うものを、今日も捧げに。

 
馬鹿な男だ、それが何かも分からずに。



 ──いや、馬だ。]



  血迷ったか、バッキンガム。
  俺は王だ。

  戦場で戦って死んでこその──…



[声は途切れる。
 やけに静かだ。
 頭が軽い。

 伸ばした腕も、
 手を引かれ助け起こされた身体も──]
(134) 2026/08/27(Thu) 23:12:38

【人】 飛鳥 悠凛

[立ち上がる仕草は軽い。
 王冠の重みから、
 魂の牢獄から解き放たれた軽さ。

 いつしか戦場は静まり返っている。

 愛しい男だけが、馬の傍に立っている。]



  ……二度と違えぬと誓ったな。


[睨むように細めた眼差しを、ひたとその顔に据え]
 

  連れていけ、どこまでも。
  地獄までの行軍だ。


[高らかに宣言する声には、喜色が滲む。
 馬の背に飛び乗り、その手を取って引き上げる*]
(135) 2026/08/27(Thu) 23:21:54

【人】 七川 幸臣

── The fall of the curtain ──


[緞帳が降りる。

 ──暫しの間、会場全体が、
 深い森の中のように、しん……としていた。

 それから、割れんばかりの拍手。
 拍手は、いつまでも、鳴りやまない。


 そこからCurtain callへと移行する。

 まずは、端役や合唱など全員が集合する形式の
 「アンサンブル・カーテンコール」。

 それから、主要出演者が手を繋いで舞台前方に。*]
(136) 2026/08/27(Thu) 23:24:41

【人】 七川 惺

 ── Curtain call ──

[千秋楽で、これをするのが夢だった。


 悠凛のリチャードの身体をふわりと持ち上げるんだ。
 まるで重力なんか感じられないように。

 
バレエの練習の成果だぞ。


 抱き上げ、くるくるっと回すつもり。

 悠凛と手を繋いで舞台前方に出る。*]
(137) 2026/08/27(Thu) 23:27:59

【人】 飛鳥 悠凛

[涼し気な笑みを浮かべて優雅に腰を折りながら、
 ウィッグの下の額にはびっしり汗が滲んでいる。

 日頃鍛えてるとはいえ、
 重装備風の衣装で剣振り回すのは
 結構キツイ。それがまたいい。]


 
  ッ、ぅわ、 ……っはは、



[隣から片手をぐっと引かれて、
 俺のバッキンガムに抱き寄せられた。
 まだリチャード王で居る気だったのに。
 でもいいか、お客さんも千秋楽の空気だ。

 惺の腕に向かい合わせでくるくると
 抱き上げられて、ふわりと着地する。
 観客席ぎりぎりの前方まで出て、
 手を繋いだまま改めて、深々とお辞儀を。*]
(138) 2026/08/27(Thu) 23:36:22

【人】 七川 惺

 ── Epilogue ──

[後ろ手に隠して、持っている。
 それなりに大きいけど、俺の背中に隠せるくらいの。]


  ……はい、これ。
  
  悠凛、誕生日おめでとう。


[イミテーションジュエルの王冠。
 ラインストーン、クリスタル、パール。
 あと模造宝石だけど、それなりにキラキラなんだ。]


  悠凛の自然な髪色に、
  のっけてみたかったんだ。

  今日は何をしましょうか?
  何なりとお申し付けください。

  あなたの望むまま、どこへなりと
  お付き合いしましょう。**
(139) 2026/08/27(Thu) 23:38:41

【人】 飛鳥 悠凛

[リチャード3世王は、戦場の最前線にて果てた。
 零れ落ちた王冠を拾い上げたスタンリーが、
 テューダーの頭上に被せたという。

 傷だらけの骸は、丁重に葬られることはなかった。
 父と同じく、衆目に晒され朽ちた。

 骨は修道院に埋葬されたらしい。
 その後修道院が解体され、
 墓所も長らく不明となったという。
 その結末は、バッキンガム公も同じだ。]
(140) 2026/08/27(Thu) 23:40:42

【恋】 飛鳥 悠凛

[───これは悲劇の物語だ。

 口先ばかりが器用で、
 人の心を惑わす術ばかりに長けた、
 その実不器用な男の、叶わなかった恋物語だ。

 ソファに腰かけている“俺”は、
 膝上に広げていたパンフレットを閉じる。
 表紙の中央に並ぶ俺達二人。うん。絵面がイイ。

 「このメイクも妖艶で悠凛に似合ってる。
  なんで俺はナチュラルメイクなんだろ…」とか
 隣で惺はぼやいてたけど、
 そのまんまのおまえが俺は好きだよ。]
(?9) 2026/08/27(Thu) 23:40:46

【恋】 飛鳥 悠凛

[ころんと恋人の膝に寝転がって、
 両腕を伸ばしてキスを強請る。

 “俺”にはそれが許されている。
 俺が俺に、それを許しているから。

 神の代理人と半身の望みへの忠誠に縛られ
 生きて死んだ王とは違う。]



  ──ね、惺。

  俺なら“王冠”より惺を選ぶよ。

  その時がきたら玉座なんて誰かに譲って、
  惺に攫ってもらう。



[少し前の俺なら、そう言い切れは
 しなかっただろう。

 この仕事を、掛け値なく愛している。
 まだ幼かった俺が、自我もアイデンティティも
 綯い交ぜに築いた“飛鳥悠凛”としての生き方と生き甲斐。

 一度はそのために手を離した、俺の運命。]
(?10) 2026/08/27(Thu) 23:41:32

【恋】 飛鳥 悠凛

[俺がこよなく愛してきたもの以上に、
 この男を愛している。
 この先、俺達の未来に何が起きたとして、
 俺が選ぶのは惺だ。 

 ──いつからそうだったのか分からない。
 今そう思っているのは、確かだった。

 俺の後頭に手を添え、身を屈めて
 キスをくれる恋人に微笑みかける。]


  愛してる。 
  惺、愛してる。

  ……愛してるよ。


[惜しみなく、俺は捧げる。
 劇中バッキンガムが何度求めても、王で在り続けた恋人に
 言葉にだけはして貰えなかったそれを。

 こいつ本人も相当鈍いからな。
 公演中、リチャードの台詞や行動の意味聞かれて、
 「おまえそこ分かんないで演ってたのかよ!」
 「え、これは?こっちは??嘘だろ……」と
 つい激詰めしてしまった。

 俺は浴びせるように言ってやろうね。 
 毎朝毎晩、おまえの隣で。*]
(?11) 2026/08/27(Thu) 23:44:29

【雲】 七川 惺


『Your soul is carried to the most suitable place with destiny.』

                      ───**
(D10) 2026/08/27(Thu) 23:49:32

【恋】 飛鳥 悠凛

[身体のおっきい恋人が、その背に
 何かを押し込めるように隠している。

 差し出されたのは、
 きらっきらの王冠。]


  ……ぅん? ッはは、


[誕生日プレゼントかなって予想はついたけど、
 これは予想外過ぎて、
 きょとんとした後、笑み崩れる。]


  このキラキラ具合さ、おまえん中での
  俺のイメージでしょ。

  やっぱウィッグにしといて良かったね?


[その場で優雅に跪いて、
 惺の好きなストロベリーブロンドの頭に
 恋人の手から王冠を授けてもらう。
 バッキンガムが望んで、
 果たせなかったことのひとつ。

 おまえは影踏める後ろになんか、居させない。]
(?12) 2026/08/27(Thu) 23:52:42

【恋】 飛鳥 悠凛



  んー……

  どしよっかな。
  山ほどやりたいことあんだけど。

  着せ替えデートでバチイケの彼氏
  連れて歩きたいでしょ?

  高校生みたいなデートもしたい、
  テーマパーク貸し切って。


[王様ゲームみたいなこと
 持ち出した恋人の前で、指折り数えて見せる。]
(?13) 2026/08/27(Thu) 23:55:25

【恋】 七川 惺



 「愛してる。 
  惺、愛してる。

  ……愛してるよ。」


[その言葉に包まれて毎晩隣で寝るのは、
 なんて幸せなんだろう。]

  沈黙は金。雄弁は銀。
  そんなの誰がいった?

  やっぱり言葉にしてもらうと嬉しいんだよ。
  俺は鈍いからな。でも、バッキンガムよりは鈍くない。


[どっちもどっちって悠凛に言われたかもな。]


  愛してるよ、悠凛──。*
(?14) 2026/08/27(Thu) 23:55:36

【恋】 飛鳥 悠凛


  ……でもやっぱ、俺が一番好きな
  オフの過ごし方は。

  独占欲強い恋人の腕ん中から
  出してもらえない一日、かな。


[久々のオフだからね。
 公演中いきなり別居するわ、
 巣温めに帰るって言っといて
 ろくに顔出さないわで。]



  おまえだけの王様にして。



[全て許す、と囁いて。
 まずは、お互いへのご褒美のキスを叶えた**]
(?15) 2026/08/27(Thu) 23:59:33

【恋】 七川 惺



  よし、全部叶えよう!


[悠凛の提案に一も二もなく頷いて。]


  俺達なら、きっとできる!すべてを。
(?16) 2026/08/27(Thu) 23:59:41
:
 




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69回 残----pt

悠凛くるくる

飛鳥 悠凛
61回 残----pt

惺だっこ。

七川 幸臣
11回 残----pt

息子達がんばれよ

犠牲者 (1)

高良 理仁(2d)
0回 残----pt

 

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0回 残----pt

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