人狼物語 三日月国


111 【身内村】あの日の、向こう側【R18】

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到着: 木峰 夏生

【人】 木峰 夏生


[ たん、と薄いキーボードを叩いた小気味良い音が
指先から伝わるのを合図にして、ふと軽い息を吐き出した。

凝り固まった肩を上下させて、首をぐるりと回す。
ようやくひと段落した仕事を確認しながら、
手元に置いてある煙草を一本引っ張り出して咥えた。

生温いリモートワークにすっかり馴染んだ身体は、
堂々と煙草とコーヒーを相棒に据えて。
咎める人は今ここには居ない。
喫煙者には肩身の狭いご時世、けれど町外れに
ぽつんと忘れ去られたように建つ
この小さなカフェでは当たり前のように
白い陶器の灰皿が置かれていて、俺の格好の溜まり場、
もとい居心地の良いオフィスになって久しい。 ]
 
(24) 2021/12/01(Wed) 8:24:36

【人】 木峰 夏生


[ シルバーのジッポライターはカチンと
透明な金属音を立てる。
火をつけた煙草をゆっくり、深く肺の隅々まで
行き渡らせるように吸い込んで、
細く、長く吐き出してからちらりと時計に目をやった。

相変わらず仲の良い両親は少し前から不在。
だから仕事だって家でやりゃあいいんだけれど、
仕事そっちのけで夢中になるものがすぐ近くに
存在してるもんだから一向に捗りはしないわけで。

そりゃまあ長年ドス黒く渦巻いて、
どうにも消化できずにいた想いが、神の悪戯か気まぐれか
通じ合うなんて奇跡が降って湧いたというのだから、
少しくらいはしゃいでしまうのは仕方がないと思う。

初めて恋人が出来た中学生となんら変わりはしない。

呼吸をするよりも触れたい、なんて。
 ]
 
(25) 2021/12/01(Wed) 8:27:44

【人】 木峰 夏生


[ 俺の自制心とか貞操観念とか社会的道徳とか
懸命に保ってきたものはあっという間に
絹ごし豆腐より脆く柔らかくなっていて、
さすがに少し物理的な距離を置かないと、
当の本人以前に猿にさえ呆れられてしまいそう。

ゆらりとのぼっていく紫煙を目で追って、
それからスマホを手に、メッセージを送った。 ]


   『しごおわ♡』
   『まだ学校?』
   『今から帰るけどメシどうする?』


[ 事務的な短い吹き出しをいくつか並べて。
ちょっと考えてから、ころんとしたフォルムのうさぎが 

おとうとがかわいい♡


と呟くスタンプを添えた。


海斗。
───おれの、大切な人に。
  ]
 
(26) 2021/12/01(Wed) 8:34:48

【人】 木峰 夏生


[ 同期もぽろぽろと結婚して、父親になっているやつも
少なくはない。そんな年代。
当たり前とされる幸せに身を置いて、
当たり前のような幸せに包まれて、
当たり前に祝福されて。

柔らかな陽だまりに似た光景を見るたびに、
心の片隅に本当は、小さな苦味が込み上げる。

俺は、なによりも大切な弟から、
そういう機会を奪ってしまったのではないだろうか、と。

本当に、これで良かったのだろうか、と。


あいつの心がいつか、俺から離れて、
真っ当な道を歩む日が来ることを、
実は心のまた違った片隅でも願ってしまう。 ]

 
(27) 2021/12/01(Wed) 8:38:00

【人】 木峰 夏生


[ とは言え、家に帰れば。
えらく早い時間だというのにすっかり風呂上がりの
海斗が台所へ向かって歩いているわけで。>>23
しっとりと水気を含んでハリのある肌は
ほんの少し赤く火照っていて。
がしがしと髪を拭く手の動き、水しぶきがきらりと跳ねて
いい匂いが、して、


───理性なんて簡単に吹っ飛びますよね知ってた。 ]
 
(28) 2021/12/01(Wed) 8:39:37

【人】 木峰 夏生



  ただいま。


[ 頬が緩む。だらしないほどに。
締まりのない口元を動かして、早かったなと付け足した。

夕食をどうするかと考えていたのだけれど、
海斗から冷やし中華の言葉が聞けたのなら、
さらに唇は弧を描くだろう。  ]


  メシ作ってくれたの?
  悪りいな、嬉しい。
  ありがとな。
 
(29) 2021/12/01(Wed) 8:41:16

【人】 木峰 夏生


[ 着替えもせず、手さえ洗わず、このまま
押し倒してしまいたくなる。
どうせ大暴れして、手を洗え、うがいをしろ、
そして着替えろって言われるだろうから、
ぐっと堪えて洗面所へ向かうのだけれど、それでも
一度、足を止めて、 ]



  ───そんでもう風呂まで入ったんだ?



[ にや、と意地悪な笑みを浮かべるくらいは許されたい。]
 
(30) 2021/12/01(Wed) 8:45:04

【人】 木峰 夏生



  『おかえりなさい!ごはんにする?お風呂にする?
   それとも、あ・た・し?』

  
  ───って言ってもらうの
  男のロマンなんだけどダメ?



[ くつくつと笑いながら、海斗に向かって
両手を伸ばせば、さて気まぐれな王子様のご機嫌は
いかがなものか。
どんなことでも、仰せのままに。


お前が望むならなんだって全部、やるから。
 ]**
 
(31) 2021/12/01(Wed) 8:46:55

【人】 木峰 海斗

[ 風呂上り、タオル越しに髪を乾かしながら、
  ぺたぺたと、裸足で廊下を歩く。

  片手でスマホをつければ、
  兄貴からいくつかメッセージが来ていた。>>26]
 
 
   ……ッ、


[ ハートも見慣れて、動揺することも
  殆どなくなったけれど。

  最後に追加されたうさぎのスタンプに、
  思わず、かっ、と頬が熱くなる。

  てか、こんなスタンプあるのかよ。
  ―― いや、リアルにあるからそうだんだけど


  呼吸を整えるように、ふぅと一息つけば、
  残念ながら、今回は10回に1回や、
  5回に1回、3回に1回の気まぐれな日ではなくて。

  そのまま、既読をつけただけ。
  どうせ、すぐ帰ってくるだろう。]
(32) 2021/12/01(Wed) 19:56:57

【人】 木峰 海斗

[ 相変わらず、俺は、
  そっけない態度を取ることの方が多い。

  それでも、想いが重なっていることを知っている。
  それでも、兄貴が嫌ってくれないのは分かってる。

  相変わらず、俺は、
  そんな態度で、兄貴に甘えていた。
 

 
  兄貴に周りで、結婚したとか、     
  子どもが生まれたとか、        
  そういう話を聞く度に、        
  早く、この手を離さないと、      
  そう思うのに、放せないでいた。    

  
  お伽話みたいに、
  このまま、ずっと一緒にいられたらいいのに


  いつかこの恋草が枯れる日がくるってこと。
  分かり切っているというのに、
  まだ、心の片隅で子どものように願ってしまう。]
(33) 2021/12/01(Wed) 19:57:00

【人】 木峰 海斗

[ そう思っていれば、予想通り
  玄関の扉が開く音がした。>>28
 
  火照った顔を隠すように、
  髪を拭くタオルを引き寄せて、
  真っすぐに、だらしない顔で近づいてる方を、
  何でもない風を装って、ちらりと視線を向けた。]
 
 
   ん、……夕飯、冷やし中華あるから
   いや、まぁ……たまには、な


[ ただいま、と言われても、
  おかえり、なんて可愛らしく迎えたりはしない。

  お互いの気持ちを理解していても、
  兄貴みたいに好意を表現するのは、
  やはり、恥ずかしくて、苦手で、


  ふい、と顔を反らせば、
  手を洗って、うがいをして来いと、
  ひら、と手を揺らせば、

  意地悪げな笑い声が、鼓膜を揺らすものだから、]
(34) 2021/12/01(Wed) 19:57:02

【人】 木峰 海斗

 
 
   今日、暑かっただろ
   汗かいたから、さっさと入っただけだよ


[ 小生意気そうな笑みを浮かべて、
  へら、と笑って返してやった。

  ―――― だけど、続く言葉に、>>31   
]    

  
(35) 2021/12/01(Wed) 19:57:04

【人】 木峰 海斗

  
 
   
ばっ
、か、じゃねーの……
   さっさと、手洗って来いよッ


[ 新婚さんの定番台詞というやつ。
  誰が、そんなこっぱずかしい言うかよ。

  片方の手の甲を口元に寄せて、
  一瞬で、風呂上りというだけではない色を
  頬の乗せて、一歩後ずさる。

  それから、ちら、と視線を寄越せば、]
(36) 2021/12/01(Wed) 19:57:06

【人】 木峰 海斗

 
 
[ ぼそ、と小さく一つ落とせば、
  逃げるように、ぱた、と足音を鳴らした。*]
 
  
(37) 2021/12/01(Wed) 19:57:10

【人】 木峰 夏生


[ W普通の幸せWを得る権利なんて、
とうに捨てたつもりでいる。
自分の想いを自覚すると同時に
それは手に入らないものだと理解したから。

代わりにあいつの幸せを願う。そりゃあもう心から。
全身全霊をかけて世界中の誰よりも
幸せになって欲しいと希っているのも、嘘じゃない。

決して重ならない、ふたつの想望。 ]
 
(38) 2021/12/02(Thu) 8:11:03

【人】 木峰 夏生


[ 自分の未来など髪の毛ほどもどうでも良いというのに
このままでいいはずがないと知りながら、
滾る欲を曝け出しぶつけてしまう俺は、

やっぱり人としてどうかしているのだろう。 ]
 
(39) 2021/12/02(Thu) 8:11:51

【人】 木峰 夏生



[ 求めるように、受け止めるように、差し出した手に
愛しい熱は来なかったから、行き場のない掌は空を握る。

それでも、その頬に、風呂のせいではない赤が
さっとさしたのが、隠した手の向こうに
はっきりと見えたので>>36 気分は上々。

母親よりもうるさいお叱言に、はいはいわかりましたと
吹き出しながら足を動かそうとすれば、
ぽそりと鼓膜を震わせるのは、

可愛げのない、捻くれた、照れ隠しの…… ]
 
(40) 2021/12/02(Thu) 8:13:10

【人】 木峰 夏生


[ 片眉をぎゅ、と持ち上げて、こみ上げる笑みを口元に
浮かべたまま、逃げるように背を向ける海斗に
視線を投げた。 ]



  マジ?
  じゃ、とっととごはんにして、おふろにして、
  それから
あ・な・た♡
にしよ。



[ にんまり笑いながら口にすればまた叱られるだろうか。
その先の夜を思えば少しの文句どころか
二、三発殴られたところでぜんぜん構わないから、
さっさと手を洗っていそいそと食卓へ向かおうか。 ]
 
(41) 2021/12/02(Thu) 8:15:48

【人】 木峰 夏生




  美味そう、いただきます。



[ トマト、きゅうり、ハムがきちんと大きさを揃えて
切られ並んでいる、お手製の冷やし中華。
もしかしたら簡単なものだと言うのかもしれないが、
何種類かの具材を切ること、暑い最中に湯を沸かすこと、
やはり手間はかかる。

自分でも料理はやるからこそわかること。
感謝と喜びは自然に湧き上がって、
しっかり両手を合わせて目を閉じた。 ]
 
(42) 2021/12/02(Thu) 8:17:30

【人】 木峰 夏生



  マヨネーズかけていい?



[ 冷やし中華にマヨネーズ。
賛否両論あるけれど俺は譲れない派。
ただし作ってくれた人に敬意と感謝が先立つから、
一応確認してからにしよう。

学校はどうだったとか、こんな仕事をしてきた、とか、
かわいいスタンプを発見した、とか。
俺からの食事中の会話はもっぱらそんな感じ。
海斗からの返事があれば箸を止め、
昔から変わらない日常を楽しむ。 ]
 
(43) 2021/12/02(Thu) 8:18:34

【人】 木峰 夏生



[ ふたりはいつまでも、いつまでも
  しあわせにくらしました。


そんな御伽噺のエンディングを
うっかり望んでしまうのは、意外にも乱れた夜以上に
こんな時なのかもしれない。 ]
 

(44) 2021/12/02(Thu) 8:19:55

【人】 木峰 夏生


[ 食事が終わったら俺が片付けを申し出よう。

構ってくれるらしい気高い彪は
本日はなにをお望みか。

その言葉尻から捕まえるのは少し難しいから
───なにせツンデレが極まっているので


風呂に入るついでに諸々準備も済ませるつもり。 ]*
 
(45) 2021/12/02(Thu) 8:22:10

【人】 木峰 海斗

[ 可愛げのない言葉を落として、
  逃げる背にかかる声に、うるさいという様に
  ひらひらと、手を振れば、赤い頬を隠すため、
  さっさと、一人台所へと足を向けた。


  素直に、あの腕の中に入る          
  それくらいできたら、そう思うけれど、    
  長年の癖や矜持が邪魔をする         


  代わりに、少しだけ、
  以前は、邪険に払っていた
  触れてくる手を避けることは減ったし、
  時折、自分から触れることは増えた方。]
(46) 2021/12/02(Thu) 18:48:48

【人】 木峰 海斗

[ 冷蔵庫から取り出した冷やし中華。
  誰が作っても、そう味は変わらないが、
  美味そう。と言われれば、悪い気はしない。]
 
 
   ……ん、いただきます


[ 自然と、頬が緩み、
  仄かに浮かべた笑みに気付かぬまま、
  刻んだ具材と、麺と、スープを箸で混ぜていれば、
  わざわざ、俺に聞く必要はないだろうに、
  マヨネーズをかけていいかと、問いかけられて]
(47) 2021/12/02(Thu) 18:48:50

【人】 木峰 海斗

 
 
   好きにしろよ
   俺は別に、気にしないし


[ 俺は、マヨネーズかけない。
  だけど、否定するつもりもない。

  つるつると、何でもないように麺をすすった。
  酸味のある独特の香りと風味、
  トマトやきゅうりで、少し緩和されて、
  程よい味わいに、悪くない出来、と一人笑う。

  学校は、いつも通り。
  授業が少ない日だったから、少し帰りが早かった。
  あのスタンプなんだよ、とか。
  他愛もない会話をする。

  少し前までは、こんな会話をすることも
  あまりなかった気がするけど、どうだったか。

  最近では、会話をすることが増えて、
  それが、当たり前になってきていた。

  こういう、何でもない日常が、
  実は、少しだけ幸せだ。
  なんて思っているのは秘密だ。
]
(48) 2021/12/02(Thu) 18:49:08

【人】 木峰 海斗

 
[ いつか、"普通"の兄弟に戻る日が来ても、
  このしあわせは、つづけばいい。

  神話だって踏み入れていない許されない領域に、
  足を踏み入れてるっていうのに、
  こんな時すら、望んでしまうんだ。


  ―――― 都合の良い、
い夢 
]
      

 
(49) 2021/12/02(Thu) 18:49:32

【人】 木峰 海斗

[ 食事を終えて、
  片づけを申し出るなら、
  それを断る理由は、俺にはないから。

  素直に任せて、
  それでも、隣に立って、
  食器洗いくらいは手伝っただろう。

  きゅ、と最後の一つを拭いて、
  籠の中に置けば、

  とん、と、わざと肩を触れさせて、
  ちら、と、見上げて、にやりと笑みを浮かべた。]
(50) 2021/12/02(Thu) 18:49:44

【人】 木峰 海斗

 
 
   じゃ、俺の部屋で、な


[ 今日は、どっちの気分。とか、
  そういうのは、ないけど。

  先ほど、風呂でしていたことを思い起こすと、
  腰の奥が、僅かに疼くの感じて、
  ほんのり熱を帯びた瞳を緩く細めていた。

  離れる間際に、
  ひょい、と背伸びをして、頬に唇を寄せたが、

  それも、一瞬のことで、すぐに
  するり、と気まぐれな猫のように
  離れていこうとしたけれど、兄貴が捕まえようと、
  伸ばした手から逃れられたことなんて、
  そう多くないことは、お互い知ってるよな。**]
(51) 2021/12/02(Thu) 18:49:59

【人】 木峰 夏生


[ 俺の記憶の中の夕食の光景は、ずいぶんと昔に遡る。

父と母と、今よりずっと小さな海斗。

今日の出来事を矢継ぎ早に喋っていたら
母が呆れたように、
口にご飯入れたまま話さないの、と笑う。

他愛もないことで海斗が笑ってくれるのが嬉しくて
注意されたしりからまた喋って、叱られて、笑って。 ]
 
(52) 2021/12/02(Thu) 22:45:23
 




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