「ここで出会ったのも何かの縁だ。
　　　　　　　　その話、乗りましょう。」

　　　サルコシパラには分かっていた。

　　　そうなってしまう原因は
　　　彼女のことをあまりに知らなすぎるからだと。

　　　彼女の過去も、心も>>64。何も知らないまま
　　　自分達は此処まで来てしまったのだと。

　　　その憂いに応えるかのように
　　　ウユニの声に決意が帯びていく。



　　　一度彼女から目を離し、背を向け
　　　花々の様子を伺っていたサルコシパラが
　　　もう一度導かれるように振り向くと

　　　

　　　衣服の擦れる音
　　　純白の肌に囲まれて

　　　サルコシパラは驚きを隠せずに
　　　思わず息を飲んでしまう。


　　　　　　「それが……あなたの……？」


　　　あと数年しか生きられない身体だとか
　　　癌に侵されているだとか

　　　思いつく限りの最悪な想定の外側で
　　　彼女の秘密が明かされていく。

　　　独りなんて、嫌だった。
　　　でも、信じていた人たちに裏切られたり、
　　　傷つくのも嫌だった。

　　　

　　

　　　　「ありがとう。
　　　　　次に住む場所を見つけるまで……。

　　　　　よろしくお願いします、ね？」

　

　　　背を向けていた彼がこちらを振り返って。
　　　驚かれるのは当たり前だと、思っていたから
　　　私は貴方の反応を見ても顔色は変えず。
　　　

　　　　「花咲病。身体に花が咲く、病です。」
　　　

　　　
　　　治療法について聞かれたなら、
　　　探している途中だと、をついたでしょう。


　

　　　肝心なことはまだ言わず、それでも
　　　私にとって、この病を明かすこと自体は
　　　かなり勇気のいることだったから。
　　　ふ、と目を伏せて。
　　　はだけた服を戻しながら、





　　　か細い声で、聞いてしまうの。
　　　貴方なら違う、と思っていたから
　　　話したのに、それでも信じ切れないのは、
　　　家族につけられたが深いから。

　

　　　
　　　
　　　　「こんな女を住まわせていると知れたら。
　　　　　貴方も困ったことになるかもしれない。
　　　　　もし、家族だと呼ぶのなら、なおさら。

　　　　　それでも、

　

　　　その先を口にすることはできなかった。
　　　家族のように寄り添って欲しい、なんて願う資格は
　　　私にはないのだから。



　　　それでも一方的に寄り添って欲しいなんて
　　　わがままにもほどがあるから。