01:04:26

人狼物語 三日月国


169 舞姫ゲンチアナの花咲み

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【人】 ウユニ


  ***


   私は、弟妹の世話をしていたこともあって
   家事は一通り、できるつもり。
   掃除は特に、出来るだけ積極的にしていたの。
   何故かって?

   見たことのない花弁が
   いつも床に落ちていたら不自然でしょう?


   だから花咲病の痕跡を残さないように、と
   出来る限り、私が使う部屋、
   出入りする部屋は綺麗にしていた。
   彼が触れて欲しくない物には触れないように
   入ってもいい場所、触ってもいいものは
   事前に確認していたから。
   彼の気を悪くするようなことはしなかった…
   そのはずだけれど、どうだったのかしらね。


   秘密を明かした後も、習慣づいてしまったものを
   変えられなかった、というのはまた別の話。

 
(78) alice0327 2022/08/11(Thu) 0:48:45

【人】 ウユニ

   
 
   普段はそうやって家事をするだけではなくて。
   街に出て、布を買ってきては
   服や帽子を作って、
   店に持ち込んで買い取ってもらう。
   私はそんな風に生活にかかるお金を賄って。

   住まわせてもらっている対価のつもりで
   貴方へと稼ぎを渡そうとしていたけれど…
   受け取ってもらえなかったのなら、
   家のどこかに纏めて置いたままにしていたでしょう。


 
(79) alice0327 2022/08/11(Thu) 0:50:28

【人】 ウユニ



   裁縫が得意だとは彼にも伝えていたから。
   彼の服のボタンが取れていたり
   ほつれていたりするのを見つけたときは


    「それ、直しますよ?
     そのままだと着づらいでしょう?」


   と言って、服を直そうとしたこともあった。
   また、ある日には。

 
(80) alice0327 2022/08/11(Thu) 0:50:58

【人】 ウユニ



    「売り物にするには作りが甘くて。
     もしよければ、貴方に貰って欲しいんです。」


   と、もっともらしい理由をつけて
   貴方にひざ掛けを作って渡そうとしたこともあった。
   竜胆の刺繍飾りがついた、
   充分売り物になりそうな、ひざ掛け。

 
(81) alice0327 2022/08/11(Thu) 0:51:29

【秘】 ウユニ → サルコシパラ

   

    心に寄り添うあたたかなものを、と。
    ひざ掛けを選んだ理由は無意識だった。

 
(-34) alice0327 2022/08/11(Thu) 0:52:16

【人】 ウユニ



   住まう場所を提供してくれる彼に
   何かを返したい、そんな思いを形にした贈り物。


    「使わないのなら、私が使いますし
     無理に、とはもちろん言いませんから。」

  
   押し付けるのは本意ではなかったから。
   そう付け加えて、差し出したそれは
   受け取ってもらえたんだったかしら…?*   

 
(82) alice0327 2022/08/11(Thu) 0:55:05

【人】 サルコシパラ



   病気は感染るもの。>>74
   我が身可愛さに身内をも切り捨てる。

   それはトカゲの尻尾を切るのと
   同じだとでもいうのか。

   繋がり、応える手はそんな残酷な過去への
   反抗だったのかもしれない。>>76



(83) 西 2022/08/11(Thu) 8:08:46

【秘】 サルコシパラ → ウユニ



   「花咲病…………」


   知らないと言わんばかりに
   サルコシパラは彼女の告げた病を復唱する。

   聞けば治療法は今も探している途中で
   この先どうなるかも分からないようだった。

   彼女が恐れているのであろう拒絶よりも
   サルコシパラが思ってしまうのは強い不安。
   病気などという不透明なもののせいで
   家族
を失うかもしれないのだから。


(-35) 西 2022/08/11(Thu) 8:10:00

【秘】 サルコシパラ → ウユニ



   「思いませんよ。

      私は普通ではありませんので。」


(-36) 西 2022/08/11(Thu) 8:10:42

【秘】 サルコシパラ → ウユニ



   サルコシパラは不安を胸に抱えながらも
   怯えたようなウユニに向かって
   正直に自身の思いを告げてみせる。

   W普通Wの反応をよく知っているウユニは
   W普通Wの答えを強く恐れている。

   サルコシパラにはそんな様に思えてならず
   強い否定の気持ちが募っていく。

   サルコシパラは気づけば
   ウユニの手を取り、強く握りしめていた。


(-37) 西 2022/08/11(Thu) 8:11:10

【秘】 サルコシパラ → ウユニ




   彼女が勇気を持って飛び越えた一線。
   その一線はサルコシパラの強い感情を
   理性の檻から解き放つことにもなる。

   ウユニが自身と家族でありたいと
   そう思ってくれてるのだと考えれば
   これ以上の幸福などありはしない。

   サルコシパラにとってそれは願いであり
   望んだ未来の形そのもの。



(-38) 西 2022/08/11(Thu) 8:11:41

【秘】 サルコシパラ → ウユニ



   「ウユニさん。

      どうか、此処にいてください。
      私にはあなたが必要なんです。」


(-39) 西 2022/08/11(Thu) 8:13:00

【秘】 サルコシパラ → ウユニ



   途切れた言葉のその先をなぞるように
   サルコシパラは真っ直ぐにウユニの瞳を覗く。

   いてもいい、のではなく
   いてほしい、のだと。

   その言葉の違いはウユニにしか伝わらない。
   ウユニの想いの全てを知らないままの人間は
   身勝手に、貪欲に、彼女を受け入れる。

   それがサルコシパラの答えなのだ。


(-40) 西 2022/08/11(Thu) 8:13:44

【秘】 サルコシパラ → ウユニ



   結局はわがままと一緒だ。

   彼女がこちら側に歩み寄ってくれたから
   サルコシパラも一線を超えることに
   もう耐えられなくなってしまったのだから。**



(-41) 西 2022/08/11(Thu) 8:14:12

【人】 サルコシパラ



   それはウユニがサルコシパラの家に
   住むようになってからしばらくのこと。>>78

   生計を立てるという人間の義務を
   二人が免除されるなんてことはない。>>79

   その代わりということだったのだろうか。
   ウユニは家事を全てこなすようになった。
   サルコシパラが済ませようと腰を上げても
   ウユニが既に済ませてしまっている。

   その度にサルコシパラは妙な罪悪感に
   見舞われることになった。


(84) 西 2022/08/11(Thu) 8:14:52

【人】 サルコシパラ



   またしばらくすれば
   今度はウユニは自ら生計を立てる術を
   身に付け、その手腕を発揮する。

   裁縫が得意という言葉に嘘偽りなく。
   確かにその力は本物だった。

   なんと頼もしいことだろう。
   そんな感心を抱くサルコシパラには
   彼女の稼ぎを貰おうなどという発想などなく。



(85) 西 2022/08/11(Thu) 8:15:44

【人】 サルコシパラ



   ウユニがサルコシパラに稼ぎを
   渡そうなどという時には仮面越しにも
   伝わるほどの拒否感を滲ませて。


      「それはあなたのものです。
       もし私に渡そうなどというのなら
       私は今すぐあなたの為に服を買います。」


   なんて言って冗談交じりに
   淑女が着るようなドレスのカタログを
   見せたりもしたことだろう。


(86) 西 2022/08/11(Thu) 8:16:23

【秘】 サルコシパラ → ウユニ



   たった数年とはいえ
   共に過ごせば少しは性格も分かる。

   ウユニが義理堅いことを知った
   サルコシパラはウユニがお金を使わずに
   貯めているのではという考えに至れば。


      「貴女に似合いそうなドレスですね。」


   そう言ってニッコリと圧をかけながら
   ウエディングドレスの写真でも見せることも
   あったかもしれない。


(-42) 西 2022/08/11(Thu) 8:17:24

【人】 サルコシパラ



   そんな経緯を経て
   この共同生活も板についてきた頃。

   服がほつれていることに気づかないまま
   過ごしていたサルコシパラに
   ウユニから申し出があり。>>80


     「あ…すみません
      ではせっかくなのでお願いします。」


   お言葉に甘えてと照れくさそうに
   頭を搔くなんてこともあった。

   それはサルコシパラにとって
   ウユニは信頼に値する人であるという証明で
   家族としての絆を育んでいる何よりの証拠。


(87) 西 2022/08/11(Thu) 8:18:21

【人】 サルコシパラ



   そんな時期にもなれば
   貰い物を遠慮する気持ちよりも
   歓喜の感情が先回りしていくもので。

   差し出されたひざ掛けを>>81


     「ありがとうございます。
      せっかくあなたがくれたんですから
      もちろん、大切に使いますよ。」


   そう言って受け取りもしただろう。>>82
   充分売り物になりそうな仕上がりの
   竜胆が彩るひざ掛けの意味は
   口にするのも野暮というものだ。



(88) 西 2022/08/11(Thu) 8:18:56

【人】 サルコシパラ



   幸せな日々というものを
   サルコシパラは日々感じるようになった。

   ウユニの存在はそれだけ大きく。
   次第にサルコシパラに強い感情も芽生えて。

   それでもこの関係をより深めなかったのは
   彼女が病に侵されているという事実が
   頭の中にあったからだ。



(89) 西 2022/08/11(Thu) 8:19:25

【秘】 サルコシパラ → ウユニ



   彼女が病に侵されていても
   自身の気持ちが変わることは無い。

   しかしその身体が虚弱だったとしたら
   やはりどこか気は遣ってしまうもの。

   けれど病のことを打ち明けられれば
   今度はサルコシパラの強い感情が
   彼女と一線を越えようと暴れ出す。



(-43) 西 2022/08/11(Thu) 8:20:53

【人】 サルコシパラ


   この未来を辿ったきっかけは

         彼女の勇気と──────。**


(90) 西 2022/08/11(Thu) 8:21:44

【人】 サルコシパラ


   ウユニから病気のことを告げられた日の夜
   サルコシパラは珍しく夜更けになっても
   眠りにつかないまま自室にいた。


   部屋が複数あるサルコシパラの自宅では
   リビングの他にサルコシパラの部屋と
   ウユニの為の部屋、そして空き部屋があり
   夜は特段の用事がなければ
   互いの部屋に入ることも滅多に無い。



   脳裏によぎるのはもちろん
   ウユニの抱えている病のこと。

   彼女の家族でありたいと願う者として
   病のことを知るのは責務だと
   サルコシパラはそう考えていた。


(91) 西 2022/08/11(Thu) 8:39:15

【人】 サルコシパラ



   しかし本を読み漁っても
   有力な話は何も出てこずに

   深夜、サルコシパラは独りで
   落胆し、肩を竦めていたのだった。


(92) 西 2022/08/11(Thu) 8:39:28

【秘】 サルコシパラ → ウユニ



   それから普段なら眠りにつく所を
   サルコシパラは立ち上がり部屋を後にする。

   そうして向かったのはウユニの
   彼女が眠っているであろう部屋だった。



(-44) 西 2022/08/11(Thu) 8:39:50

【秘】 サルコシパラ → ウユニ



   彼女を起こさないように静かに扉を開ける。
   普段被っている仮面を今だけは付けもせずに

   彼女が寝静まるであろう時間を狙って
   サルコシパラは彼女の部屋に入ると。

   暗がりの中、ベッドに座り
   ウユニの姿を視界に捉えて
   その頭を優しく撫でてみせる。

   もしかしたら目覚めているかもしれない。
   でも願わくばもう少しだけ目覚めないで欲しい。


            そんな想いを抱えて。



(-45) 西 2022/08/11(Thu) 8:41:05

【秘】 サルコシパラ → ウユニ



   募っていく想い。
   たとえ変人であろうとも
   病に侵されていようとも

   同じ屋根の下に男女が二人
   何も起きないはずもなく。

   サルコシパラは
   髪を梳くように優しく撫でると。



(-46) 西 2022/08/11(Thu) 8:41:59

【秘】 サルコシパラ → ウユニ




   「ウユニさん。

      ……もし起きているのなら
      もう少しだけ…眠ったフリをしてください。」



(-47) 西 2022/08/11(Thu) 8:42:30

【秘】 サルコシパラ → ウユニ



   眠っているか起きているか分からない
   ウユニに懇願するように囁くと。


            彼女の額に口付けを捧げた。*

   
(-48) 西 2022/08/11(Thu) 8:43:13
 




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