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人狼物語 三日月国


169 舞姫ゲンチアナの花咲み

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【人】 サルコシパラ



   そう、全ては直感だった。

   運命を感じたことも。
   この場所で出会った彼女と
   ここで今生の別れにしてはならないと
   そう思わずにはいられないことも。

   そこには合理性も理性も何もなく
   ただ情動に赴くままの選択。

   己の直感に従った結果だ。


(52) 2022/08/09(Tue) 1:12:23

【人】 サルコシパラ



   どちらがきっかけであったのか。
   それはもう、些細なことなのかもしれない。




(53) 2022/08/09(Tue) 1:13:06

【人】 サルコシパラ



   「えぇ、確かにそうかもしれません。>>46

    しかし『
寂しい愛情
』などという花言葉を
    充てがうような人もいるくらいですから。

    寂しさを受け入れられない
    そんな竜胆がいてもいいと思うんです。」


(54) 2022/08/09(Tue) 1:15:22

【人】 サルコシパラ



   どれだけ精神を研ぎ澄ませようとも
   決して慣れることなど無い孤独の感情を
   サルコシパラは誰よりも知っているつもりだった。

   そして孤独の痛みを紛らわす方法は
   自ら孤独を選び、他者を排除すること。

   喧騒の街から逃げるようにここに来ること。

   他者に踏み込むことをやめ、佇むこと。>>47



(55) 2022/08/09(Tue) 1:38:50

【人】 サルコシパラ



   サルコシパラが彼女を放っておけなかったのは
   ぽつりと湧いて現れた同族意識のせいだったのか。


   「安心してください。
    貴女が住む場所を持たずに
    路頭に迷っていることくらいしか
    聞いてはいませんから。」


   意地の悪い答えを返すと
   サルコシパラは被っていた仮面をずらして
   街の人々には魅せない己の心境を零す。


(56) 2022/08/09(Tue) 1:39:50

【人】 サルコシパラ



     「独りになりたくなくて
      独りになろうとここに来ました。

      この丘の上が、好きなんですよ。」


(57) 2022/08/09(Tue) 1:41:53

【人】 サルコシパラ



   孤独にはなりたくないのに
   いつか自分から人を遠ざけ孤独を選ぶ。

   矛盾に満ちた己の行動を
   孤独を埋める形でひとつの線に繋げてくれた
   彼女はむしろサルコシパラにとっては感謝の相手。

   それが、ウユニのか細い不安への答え。*

(58) 2022/08/09(Tue) 1:42:25

【人】 ウユニ



   奇病のせいで家族に家を追い出されてしまった。
   路頭に迷った理由はそれしか言っていなかった。

   住まわせて貰うのはせいぜい数ヶ月。 
   密かに、貴方の知らないうちに出て行こう。

   当初はそう思っていたから
   過去を話す必要もないと思って。
   思ったよりも貴方の家に長居してしまったのは
   私にとっては誤算だったわ。

   仮住まいだとしても帰る家があることに
   貴方の傍にいることに、居心地の良さを覚えて
   それに甘えてしまっていたのでしょうね。


 
(59) 2022/08/09(Tue) 12:18:06

【人】 ウユニ

   

   だから、なのかしら。
   貴方の過去の断片を聞けば
   より、貴方から離れがたいと思ってしまうの。
   貴方の悲しみに寄り添いたい、と。
   今までそうしてはいけないと思っていたのに
   そうしたい、と思うのは……
貴方のことが…。


 
(60) 2022/08/09(Tue) 12:18:58

【人】 ウユニ



   彼の強い意志に背を押されて。
   私は、最善とは言えない未来を、
   この手で選び取ってしまった。


       
貴方を苦しませると、予想できる未来を。*


 
(61) 2022/08/09(Tue) 12:25:56

【人】 ウユニ



   いいえ、本当はずっと前から。
   選んでしまっていたのね。

   あの日の出会いを始まりにするのでなく
   終わりにするべきだったの。
   今生の別れにするべきだった。

 
(62) 2022/08/09(Tue) 12:26:19

【人】 ウユニ



    「そんな竜胆が咲いているのなら>>54
     きっと、誰かに手折られるのを
     声に出さず待っているのでしょうね。

     
それは、果たして私の事かしら?」


 
(63) 2022/08/09(Tue) 12:26:52

【人】 ウユニ



   寂しさを受け入れられない、という言葉は
   私には当てはまることだったから。
   心を見透かされたような気持ちになってしまうの。

   でも、それだけではなくて……
   まるで彼のことも指しているような
   そんな気もしてしまって、思わず発した言葉に
   貴方はどう思ったのかしら。


 
(64) 2022/08/09(Tue) 12:29:15

【人】 ウユニ



    「全部聞いていたってことじゃないですか。」


   少し意地悪な答えに思わずふふっと笑って。>>56
   でも、その後に見えた貴方の心境に>>57
   私は魅入られてしまったみたい。

 
(65) 2022/08/09(Tue) 12:29:52

【人】 ウユニ



   独りになりたくないのに
   独りを選ぶところが、同じだったから。


 
(66) 2022/08/09(Tue) 12:32:15

【人】 ウユニ



    「私も独りなんです。
     珍しい病気に罹った私を、
     家族は疎んで追い出したから。」


   そう、言った後、冗談のような口調で、


   「ここに、行く宛てのない人が居るんです。
    その人を連れ帰れば、独りじゃなくなりますよ。」

   
   口元に手を当てて、静かに笑った。*

 
(67) 2022/08/09(Tue) 12:33:00

【人】 サルコシパラ



   あの言葉は未だ忘却に至ることがない。>>67
   独りじゃなくなると悪魔のような提案をする彼女の姿に
   僅かばかりの優しい棘を感じたことも。

   つまるところ利害関係でしかないし
   それ以上に至らないための線引き。

   彼女の言葉をサルコシパラはそう解釈していた。


(68) 2022/08/10(Wed) 21:46:48

【人】 サルコシパラ



   珍しい病気だというのに
   寄り添うどころか疎んだという彼女の肉親に
   サルコシパラは内心ささくれ立った。>>59

   その奇病がどんなものであったとしても
   サルコシパラの思う家族の在り方の中では
   誰よりもウユニの味方であるべきなのだから。


   その小さな苛立ちは同情へと変わり
   いつかは彼女を慮る心へと変革を遂げ
   ついには彼女がどれだけ住まうとも構わないと
   明確な意志へと育まれていった。



(69) 2022/08/10(Wed) 21:47:54

【人】 サルコシパラ



   だからあの時、静かに笑うウユニに…>>67


(70) 2022/08/10(Wed) 21:49:13

【人】 サルコシパラ



   被っていた仮面をずらして
   サルコシパラは彼女に微笑んだのだった。**


(71) 2022/08/10(Wed) 21:50:12

【人】 サルコシパラ



   しかしサルコシパラには迷いもある。
   手折られるのを待つ竜胆が彼女なのか
   それとも自分なのだろうか。>>63

   あの日から数年が経った今でも
   その答えを導き出すことが出来ないでいた。


(72) 2022/08/10(Wed) 21:50:55

【人】 ウユニ

   

   私はひどい提案をしたと思う。
   
貴方を利用します、
と言っているようなもの。

   勿論利用されるのは構わなかったし
   例えば家事とか、私にできることを頼まれるのなら
   こなすつもりでいたし、たとえ頼まれなくとも、
   何かの形で貴方へ恩を返すつもりでいたの。


 
(73) 2022/08/11(Thu) 0:05:38

【人】 ウユニ



   人は自分の理解を超えた出来事に弱い。
   人であり花になりかけている私を見て
   どうしても理解ができなかったのだろうし

   
―――――感染るかもしれないと。

   
   そんな恐怖があったのだとしたら
   家族を責めることも躊躇ってしまう。>>69


   それでも味方でいて欲しい、なんて
   私のわがままでしか、なかったのよ。
   そうして諦めなければ苦しくて仕方なかった。


 
(74) 2022/08/11(Thu) 0:06:44

【人】 ウユニ



   あの時選び取ってしまった理由の一つはきっと
   心のどこかでは諦めきれなかったから。

  
  
(75) 2022/08/11(Thu) 0:09:13

【人】 ウユニ



   淡く微笑み返して、>>71
   叶うなら、握手をしようと手を差し出したの。**

 
(76) 2022/08/11(Thu) 0:10:22

【人】 ウユニ



   数年たっても秘密を守っていたのは
   そう、最後の線引きのつもりだった。

   花咲病のことは、
   これだけは、知られてはいけない。
   知ってしまえば、病を背負わせること、
   私の心に踏み込ませることと同じだと思うから。

   彼のためだから、そうやって言い訳して
   ずっと言わなかった。


 
(77) 2022/08/11(Thu) 0:10:54

【人】 ウユニ


  ***


   私は、弟妹の世話をしていたこともあって
   家事は一通り、できるつもり。
   掃除は特に、出来るだけ積極的にしていたの。
   何故かって?

   見たことのない花弁が
   いつも床に落ちていたら不自然でしょう?


   だから花咲病の痕跡を残さないように、と
   出来る限り、私が使う部屋、
   出入りする部屋は綺麗にしていた。
   彼が触れて欲しくない物には触れないように
   入ってもいい場所、触ってもいいものは
   事前に確認していたから。
   彼の気を悪くするようなことはしなかった…
   そのはずだけれど、どうだったのかしらね。


   秘密を明かした後も、習慣づいてしまったものを
   変えられなかった、というのはまた別の話。

 
(78) 2022/08/11(Thu) 0:48:45

【人】 ウユニ

   
 
   普段はそうやって家事をするだけではなくて。
   街に出て、布を買ってきては
   服や帽子を作って、
   店に持ち込んで買い取ってもらう。
   私はそんな風に生活にかかるお金を賄って。

   住まわせてもらっている対価のつもりで
   貴方へと稼ぎを渡そうとしていたけれど…
   受け取ってもらえなかったのなら、
   家のどこかに纏めて置いたままにしていたでしょう。


 
(79) 2022/08/11(Thu) 0:50:28

【人】 ウユニ



   裁縫が得意だとは彼にも伝えていたから。
   彼の服のボタンが取れていたり
   ほつれていたりするのを見つけたときは


    「それ、直しますよ?
     そのままだと着づらいでしょう?」


   と言って、服を直そうとしたこともあった。
   また、ある日には。

 
(80) 2022/08/11(Thu) 0:50:58

【人】 ウユニ



    「売り物にするには作りが甘くて。
     もしよければ、貴方に貰って欲しいんです。」


   と、もっともらしい理由をつけて
   貴方にひざ掛けを作って渡そうとしたこともあった。
   竜胆の刺繍飾りがついた、
   充分売り物になりそうな、ひざ掛け。

 
(81) 2022/08/11(Thu) 0:51:29
 




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