― 町の魔法店にて ―

　　　　・・
　冒険者風情と組むなんて、私はまっぴら御免だね。
　野蛮人は野蛮人同士で仲良くしていればいい。
　君も、そうは思わないかい？


[ ――― 魔術というのは、ある種の高等技術だ。
　"ただ扱うだけ"なら誰にでも出来るかもしれないが、
　その深奥を究めんとすると、これ以上に奥深く困難で、
　しかし興味深い分野というのは存在しないと私は考える。
　
　故に我々魔術師というのは、多くの知識と優れた知恵、
　高い見識と深い教養が求められる「選ばれし者」と呼んでも
　おそらく過言ではないだろう。
　
　その中でも更に上澄みの、偉大な魔女であるこの私が、
　たかだかダンジョンひとつ踏破しようとするのに、
　どうして仲間など必要とするはずがあろうか。]
　

　― 魔法店前 ―


　　……おや？


[ >>77街中へ繰り出そうと店を出て間もなく。
　今しがたすれ違った姿にどことなく覚えがある気がして、
　少し遅れてちらりと振り返ってみたならば、
　ちょうど同じようにこちらを見る視線と目が合って。]


　誰かと思えば、マギカメラの人じゃあないか。
　いい映像は撮れているかい？


[ 立ち止まり、くるりと向き直り、
　挨拶代わりにやんわりと微笑む。]
　

― 以前の話・いつかの魔法店にて ―


　おや、この魔石はずいぶん質がいいね。


[ >>89雑多に陳列された商品のうち、
　たまたま目に止まった魔石をひとつ取り上げ、
　誰に言うでもなくぽつりと零す。
　
　高純度の魔力が込めたれた氷の魔石。
　多少値は張るが、素材としては一級品に違いない。]