人狼物語 三日月国


303 地久節に吟うprélude RSS
(2025/07/05(Sat) 22:00:00 に更新。 )

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一日目

村人:3名、人狼:1名

【人】 孤城   

 

  ーーそれは、万物を、静かに見守る
(0) master 2025/06/27(Fri) 22:00:00
コミット要求:ON

【人】 今宮 水芭   

ぬるく蕩けた風が、額を撫でて通り過ぎました。
遠くで、水平線の丸みに添うように赤く揺れる一帯があります。彼岸花の群生が、緩慢な風とともにユラリ、ユラリと靡いているのです。

足元には細切りにしたような茶の岩肌がデコボコと続いており、踏みしめると危うげに撓みます。
岩肌から、まばらに木々が伸びていました。カメラのファインダーを覗き込んだ時のように、一部が膨れゆがんでいて、これらもまた、例の微風に攫われながら、川底の水草のように揺らめいているのでした。
(1) 榧 2025/06/28(Sat) 20:29:48

【人】 今宮 水芭   

景色全体が、上野公園の観魚室にあった大きな水槽を思わせました。いつでも、横から上から、好きなように眺められるけれど、手を入れ掻き回すことは出来ない水槽。

私の居る此処もまた、幾度となく出会い、くまなく見渡したことがあり、それでいて、石一つ動かすことすら叶うことのない場所なのでした。
(2) 榧 2025/06/28(Sat) 20:31:27

【人】 今宮 水芭   

群青に塗り込められた空は彼岸花の方角に向かうにつれて水を混ぜたように薄くなり、代わりに萌え立つような赤丹色が天空を支配するように輝いていました。

夜が明けやしないか……空のあるじが決して現れぬことを知りながら、私はその訪れを待ちます。ささやかな期待はついぞ届く事なく、地平に伸びる橙は表情を変えぬまま、寄せ返す小波のように色めくのみ。

葉擦れの音くらい聴こえてもよいものを、不思議とそこには何の音も見つけられません。それでいて、何かが遠くくぐもるように響いてくる気もするのです。

やがて、耳の奥をぐっと押されるかのような感触があります。粟立つような全身の強張りがあり、目を上げると、海底のような空を裂く、大きなものが現れます。
(3) 榧 2025/06/28(Sat) 20:39:44

【人】 今宮 水芭   

それは鮫でした。
鶯茶色の体躯に、薄い腹を赤く光らせた鮫。この場の主たるものは自分だと言わんばかりに、長細くも厚みのある恵体を闇夜に泳がせています。

景色は例外なく此処で途切れます──
(4) 榧 2025/06/28(Sat) 20:53:04

【人】 今宮 水芭   

次に居たのは、とある路地裏でした。
見知った場所です。家より半刻ほど歩く、日中寄った商店街よりさらに先の、うらぶれた地域。

淫靡で陋巷としたその一帯を、私は避けて歩くのが常でした。ところがその時の私は、買い物にでも出掛けるような軽やかさでそこを横切ろうとします。

うねうねと入り組んだ商店の横合いを曲がり、曲がり、行った先には──
(5) 榧 2025/06/28(Sat) 21:11:43

【人】 今宮 水芭   

人が、倒れていました。
壮丁です。私より二、三ばかり歳上の男が仰向けに伸びています。
着流しの絣が、だらしなく開襟されて地面に広がっています。着物と帯もろとも巨大な鋏のようなもので同時にバッサリと切り落とされたような妙な断面を持っていました。そのせいで男の、かつては健康であったであろう腹部があえなく晒され、月夜に照らされています。

彼の首は、Lの字を描くようにぐにゃりと曲がり、その肩に密着していました。
往来を行く人間がなべて持っている筈のものが、その人間から喪われていることは明白でした。
(6) 榧 2025/06/29(Sun) 4:19:49

【人】 今宮 水芭   

傍には、人間が一人立っていました。地面の男よりもふた回りほどの小ささで、状況さえ違えば親と子と見紛うほどの体格差です。
人間はしばらく屍体を見下ろすと、挙手をするかのように右手を振り上げました。月を背景に、その小さな手が黒く浮かび上がります。それが異常なほどに長く伸びた指へと変貌したかと思うと、一瞬のうちに、屍体の腹へ向けて振り下ろされました。

まるで水風船を割ったようでした。
生命を稼働する諸組織を包み込んだ皮が力任せに破かれ、中から迸る、黒と赤と白。
固液混交のその物質は、薄明かりにも鮮やかに視界を覆い──
(7) 榧 2025/06/29(Sun) 4:37:39

【人】 今宮 水芭   

 

  ──そこで、目が覚めました。
 
(8) 榧 2025/06/29(Sun) 4:39:41

【人】 今宮 水芭   

がばりと半身を起こすと、湿った襦袢が肌に貼りつきました。手足の先が凍えるようです。大量にかいていたらしい寝汗は外気でとうに冷え切っていました。

ここまで生々しい夢を見たのはいつ振りでしょうか。虚脱感に顔を覆うと、今しがた観た光景がまた蘇りそうになり、無理やり顔を捻って外の方を見やりました。

昨日となんら変わらない庭がありました。
既にあたりは明るく、やはり昨日のようなしつこい日差しが照りつけています。
ゴーン……と、間延びしたような鐘の音が響きました。護国寺の時報が、朝を報せているのでした。
(9) 榧 2025/06/29(Sun) 5:02:18

【人】 今宮 水芭   

そう、朝です。

弾かれたように立ち上がり、寝室を出ます。
途中ですれ違う女中らの挨拶も耳に入らないまままっすぐ玄関に向かい、今日の新聞を乱暴に開きました。
一面、二面と捲る度に、ひきつるような緊張と安堵がないまぜに押し寄せます。

記述がないことが分かると新聞をその場に放りだし、次は居間へ。ラジオは付いていました。ぎょっとする家族をよそにツマミをがちゃつかせながら、拾える電波は一局しかないことに気付き、のろのろと株式事情を読み上げるひび割れた声に苛立ちまで募って、そこから身を翻しました。

最低限の身支度のまま、外へ。
(10) 榧 2025/06/29(Sun) 5:24:52

【人】 今宮 水芭   

徒歩で行くにはやや長い道のりを、無心で進みます。地面の砂を蹴りあげる勢いで足袋が汚れるのも構わず、前のめりに、小走りで。

ここ最近は無かったんだ、今度こそは間違いであってはくれないか……と願うも、その場所が近くなったところでひしめき合う人群れを見た時、その願いが打ち砕かれたことを知りました。

それでもまだ、歩みを進める足は止まりません。
(11) 榧 2025/06/29(Sun) 5:41:21

【人】 今宮 水芭   

なんと諦めの悪い人間なのでしょう。その先にあるものを九割九分理解していながら、人波を乱暴にかき分けてゆくのですから。

果たして、"それ"はありました。
いえ、正確には"それ"は麻布に覆われ、運ばれてゆくところでした。"それ"があったと思われる所に、大きな水溜まりのような黒いものがテラテラとぬめり光りながら地表を湿していました。

物々しい兵装の人間達が担いだ担架から、切断された着物がだらしなく垂れているのが見えました。
(12) 榧 2025/06/29(Sun) 6:02:16

【人】 今宮 水芭   

それまで機械のように動くことをやめなかった足が、ここで初めて疲れを知ったように力を失いました。
私は腑抜けたようにその場にくずおれました。

人は皆、その生をる糸の繋ぐ先を見通すことは叶わない。
けれども私だけは、何処かの誰かのその糸が絶たれるその様を、知ることができる。
ときには同時に、ときには未来を見通す形すら取って。

忘れもしないあの
九月一日
にこのことを知り、私は年不相応にも、世の中を下瞰しているかのような倨傲と、それと相反するように己の前途への諦観とを、手に入れるに至ったのでした。
(13) 榧 2025/06/29(Sun) 6:51:17

【人】 今宮 水芭   

ふいに、昨日露店で見た西洋人形を思い出しました。
夢とうつつの狭間で踊る彼女らのガラス玉のような目に射られる心地がし、
その正体が、今自分の背後に刺さっている視線と気付きました。

ざわめきを覚えながら振り向いた先にはしかし、ただ変哲のない背広の男がそっぽを向いて立っているのみでした。

辺りを見回しましたが、当然人形はそこになく、
あの亜麻色の髪をした女もいませんでした。*
(14) 榧 2025/06/29(Sun) 7:02:14

【人】 人形技師 サレナ・アントワーヌ

翌朝。
サレナは、宿の一室で、目を覚ました。

そこは、他とは一線を画す、要人や上流階級の華族が通う、名のある迎賓館。

窓の外は、どんよりと怪しい雲が広がっている。

「やな、予感がしますね」
(15) uebluesky 2025/06/29(Sun) 12:31:36

【人】 人形技師 サレナ・アントワーヌ

サレナは、師匠に想いを馳せる。
それは、生命の息吹を与えてくれた人。

「先生が亡くなった日‪も、こんな日でしたね」

初日で完売したトランクを眺める。
このトランクは、サレナの師匠から受け継いだものだった。

サレナは、再び、ベッドに仰向けになり、ふっと目を閉じる。
目を閉じると、まるで、サレナ自身が等身大の人形のようだ。
(16) uebluesky 2025/06/29(Sun) 12:38:43

【人】 人形技師 サレナ・アントワーヌ


まるで、魂の無い抜け殻のような。

再び目が覚めると、あたりはすっかり明るく、昨日のような照りつける太陽が昇っていた。

「今日は、お商売はお休みね。少し、日本観光しようかしら」
*
(17) uebluesky 2025/06/29(Sun) 12:47:51

【人】 人形技師 サレナ・アントワーヌ

サレナは、川辺を歩いていた。
この国特有の居心地の悪い湿気た風が、亜麻色の髪を撫ぜる。

舗装のされてない土手沿いの道は、サレナの底の厚いブーツでは本来は歩きにくいはずだが、滑らかに足を進める。

ふと、視界に赤い影が走ったような気がして、サレナは振り返る。
しかし、そこには何の変哲もない土手で、夏特有の深緑の種々が静かにゆらりゆらりと揺れる。

「そろそろ、巡り合わせの時間ですね」
(18) uebluesky 2025/06/29(Sun) 22:08:21
 




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