言われたとおりに一枚引いてから困ったように眉を下げた

『興味本位で来ているとおもわれたら　申し訳なくて
　犯人と話がしたいんだ』

それは解決のようでなにか
個人的な目的があるような言葉に聞こえた
会議円滑ももちろんだが、ひとり邪な考えだと思っているようだ

戦車の逆位置を見てザダルは首を傾げキファの言葉が続くのを待っている

『内緒』

風邪を疑う言葉にサダルは答えを与えた
寂しそうな顔をして包みを大切そうに抱えればブラキウムを安心させるように笑みを浮かべる

『落とし物が見つかるように　この声も治るよ
　ヘイズやルヘナには特に言わないで欲しい　声を心配してくれたんだ優しい子たちなんだよ』

「あーあー、分かっている。
　興味本位の輩は、書記なんて真面目で面倒な
　お役目を引き受けたりしないのは、知っている。

　……ふむ……」

　あなたの言葉を聞いて、何かを思案したように。
　それから、占いの結果を告げる。

「七番、戦車の逆位置。
　暗示するのは”暴走、不注意、焦り、挫折、劣勢”……。
　ネガティブなキーワードに思えるが、
　これは未来へのアドバイスとも読み取れる。
　
　闇雲に犯人捜しをしても、おまえが危険にさらされるだけ。
　慎重に行動せよ。
　そういう解釈ができるな。

　どうだ、なにか心当たりはあるか？
　心の奥底で、焦燥を感じているんじゃあないか？」

　占いの結果は兎角。
　断定的な口調は、占い師による話術の一環だ。
　あなたがどう感じたかは、あなたの自由。

『見つかって　身の危険がないといえるかな』

サダルはこういいたいのだ
「自分の身の安全なんてはなから考えていない
　会えたときは事件に巻き込まれる時になるだろう」と

『早いほうが　みんなが』

書く文字が止まってまたタロットをしばらく眺めた
当たっているとその表情が物語っている、わかりやすい性格のようだ

『これをよかったら』

手には小さなが渡されていた
その灯りは願えばどこかにいるサダルの元へと導くのだという

『声をかけることが　できなくなってしまったから
　道案内を星に頼んでいるんだ』

時間が空いたら会いに来てほしい、と改めて伝えるだろう

「サダルちゃんじゃない。さっきは書記お疲れ様」

　ふわふわした捉え所のない笑顔で振り向く。

「贈答用？　オッケー！
　すぐ包むから待ってて！」

　そう言い残して、どこかに行った後。

▽

　──程なくして戻って来た。
　両手に収まるくらいのプレゼントボックスを持って。

「(558)^10D100 Gになりまーす。
　うっかり開けたら『気分』がサダルちゃんのになっちゃうから気を付けてね！」

　サダルに箱を渡す。
　箱は軽く、まるで何も入っていないかのようだ。

「普段なら別段会わないと死ぬ訳でもねェ依頼は、
　探偵にでも頼んでな。って一蹴するんだがなァ。」

考える様に暫く無言で吸い続ける。
三度煙を吐き終え、視線を寄越す。

「俺ァ口は軽い自覚はあるが、
　それは対価を貰ってないからだ。
　しィっかり口止め料を貰った依頼については、
　地面に掘った穴くらいにしか話してねェよ。」

チップめいた物を渡せば黙っている。
最もあくまで口約束だ。この男が本当に守る性質か、
出会って数日では見極めるのは困難だろう。

「相場を決めるにはちと情報が少なすぎる。
　奪われた、って辺りをもう少し教えてくれるかい？」

「ふぅむ……」

　キファは、キセルの煙を吐くように緩慢な
　溜息をひとつ吐いてから。

「おまえは皆を護りたいのだな」

　サダルの述べたいことは理解できた。
　けれど、だからこそ。
　それ以上の言及を、意図的に、避けた。

「こう見えても、吾は責任感が強い。
　この事件を、解決したいと願っている。
　ギルドがどうであるかは関係ない。個人的にだ。
　
　サダル。正義漢のおまえに提案がある。
　吾と手を組まないか？」　→

「──吾は道士として、卜占の鍛錬を重ねてきた。
　卜占には、神の声が宿る。
　それを極めた吾は、神の声を訊くことができる。

　”そいつの真の正体を、知ることができる。”
　それは最早、一種の魔法と言ってもいい──
　

　・・・・　・・・・・


　……必ずや、おまえの助けになれると思うぞ？」

　密やかに言葉を交わす。
　大丈夫だ。この話を、耳にする者は居ない。

/天啓者COです。

まだ良心的の範囲、と、少し恐る恐るお金を払う
利用は初めてだったらしい

『お礼をしたい子がいて　喜ぶものがわからなかったから　助かります』

その気分の信憑性より、気持ちを優先した
ルヴァの店を面白そうに信用して使うつもりのようだ
大切そうにどこにしまおうかと考え(インベントリーにしまうように)魔法で隠してしまったあとふとボードを見た

『気になったことってなに？　聞いても良ければ教えて欲しい』

　書紀として顔を見たことのある男だ。
　スケッチブックの文字を見て、状態を察する。
　
　「いいや問題ない。強い……？　とはどういうことだろう」
　
　とはいえ手の中のものを捨てる様子はない。
　資料を受け取り、改めて感謝の言葉を述べた。
　
　「後で資料に目を通すよ。
　　だから大丈夫。忙しい中、お疲れさま。
　
　　事件のことはわかっているが、『the gift of elves』として
　　できることはないだろうな。大手もそうだろう。
　　だが俺個人としてギルド員への注意喚起は行う」
　
　大手技術職ギルドと方向を違えることはなさそうだ。
　職人は性分が似るのかもしれない。
　
　「以上か。
　　ちょっと、待て」
　
　ポケットから紙包みのハニーキャンディーを取り出し、
　差し出した。

ブラキウムは、その笑顔を見て心配そうな顔をします。

「……わかったのだ。でも具合が悪くなったらすぐに言うんだぞ。
ブラキは心配だ！」

ブラキウムは、時々あなたを振り返りながらその場を去るでしょう。

信頼の証か、会議を混乱させたくないのか何度か豪華な飲み食いできそうなお金をメレフに渡す

『シータ事件が起きた痕をみたことがある　その事件を起こした犯人を捜している』

『記憶が曖昧でしっかり覚えてもいなくて　犯人がどんな姿か知らないけれど　もし犯人が1人じゃないなら事件の建物や人で心当たりがあるかもしれない』

『どうして殺したのかを聞きたい　法則があるのかを聞きたい
　何のために殺しているのかを聞きたい　見たあのときから心が囚われている　大好きだった舞台もなにもかも身に入らなくなってしまった』

『したいのか　この感情が怒りなのか　興味なのかもわからない　だから』

会いたい、と口を開けばこぼれた灰が紙にのって驚いて飛び跳ねた
いそいで払って大事にならなかったのをほっとひといきをつく
あたふたとしながら吸い殻を捨てて慣れない煙草を味わいつづけた

見直し、そこにあった文字を消した

『「」でした』



顔が赤くなるのをスケッチブックで隠して
ぺこぺこと謝るように頭を下げる

『情報がない中意見を出してくれるだけでもありがたい会議でした
　協力してくれようと　出席があるだけで　嬉しいんですよ　嫌な空気でないのならよかった』

冷めない頬を冷やしながらラサルハグの待てに首を傾げると
渡されたキャンディーをサダルは受け取った

『これはなんですか？』

　朱の差す頬に頬がほころぶ。

　「いいよ。そうずっと書いていたら間違えるのも仕方ない。
　　頭を上げてくれ」

　「実りあるものならよかった。
　　早く解決すればいいんだがな。
　　」

　小さくこぼす声は、
　まるで『誰かこの状況を望むもの』を知っているかのようで。
　聞き取れたところで違和感を与えど掘り下げるに値するだろうか。

　「飴だ。飴は知っているよな」

　とんとん、と横にした手で自身の喉を軽く叩く。

　「喉、悪いんだろう」

　あなたの声が出ない原因を体調不良だと考えている。

『手を組むのは　いいよ　だけどキファの役に立てるかわからないし　自分はキファが思うような人間じゃ　　　　』

正義漢だとサダルに告げる少女を見て胸に小さな痛みを感じる
そんなに格好良くない、キファを利用するだけ利用するような人間かもしれないと信じてもらおうとは思わないのだと続けた

それでいてサダルはあなたの言葉を疑う脳もなければ性格でもない
ストンと落ちてきたそのはサダルを喜ばせるものだった

『ほんとうに？　キファは見つけてくれるの？


　』

『組めないのなら言えない　かわりに情報を欲しいとも言わない
　必ず黙っておく　キファに迷惑はかけないようにすると誓う
　親切を捨ててしまうのが　申し訳なくて仕方ない
　
　現に自分は犯人に会えさえすれば解決を望んでいなかったから』

手を組むというのはお互いの目的が一緒であることが前提である
だがサダルには少なくとも利害の一致以上に――なにかしらの要求をのんで欲しそうにしている
なにか目的があるように思えてならない、そしてキファを害したくないのもはっきりとわかるだろう

『　　　　　　』

　ラサルハグの言葉を聞いて目を泳がせたあとに
スケッチブックを落としたサダルの違和感は掘り下げるに値するだろうか


ゆっくりと拾って何事も無かったかのように飴に対する返答をした

『気遣ってくれて　ありがとうございます
　たくさんのひとが気遣ってくれて
　星に入れておいた声しか　聞かせられないのが惜しいです』

食べてしまおうか少し迷って今はまだとオタノシミを残すように鞄へとしまった

　「大丈夫か」

　落とし物を拾うために屈み──それは必要なかったが──、
　
　「」

　と尋ねた。他意のない言葉だ。
　口下手で、気持ちをうまく表せず、
　言葉足らずであったり誤解を与えた経験が多い。
　だから脅すつもりはないのだ。

　さもなくば体調不良の影響か、と今だって推測している。

　声のおさめられた星を手で遊ばせて返答を待つ。

力の入っていないがたがたとした文字で書かれたスケッチブックをおそるおそる掲げてみせる

『本当は犯人の人に会って話がしたくて　そのために事件を調べていたんです』

解決が目的の彼らと似て非なるものだとサダルは申し訳なさそうに懺悔した
叱られるのではないかと怯えながらあなたをゆっくりと見ている

「怒るわけないだろ。
色々なことが出来る魔法は貴重だ。
純粋にすごいと思うよォ、おれはね。

だから、そんなに怯えないでくれ。
褒めてくれて嬉しいよ、照れ臭いけどな」

アハハ、と愉快そうに笑った。

「おれがそんなに心の狭い人間に見える？
こう見えて結構心広いですからねえ、さすがギルドの長！
ン？……あれ、なんか付いてる？」

向けられた視線に首を傾げた。
自身の前髪に手をやって、微かに笑う。

「前髪かァ、ははは。
こう見えてシャイなんでね、目を合わせるのが苦手なんだ。
許してくれ、気になるとは思うが。

ところで、その荷物は？」