【秘】 奔放 メイジ → 遊惰 ロク「……そうなんだ。ロクさんも医者だったの? それとも、戦──」 頭に手を置かれる寸前、びくりと身を縮めた。 けれどあなたの手に粗暴さを感じなかったゆえか 蹲ったままじっと耐えるように目を閉じているだけだった。 「……あ」 「──りがと、手当てしてくれて……」 やがて眼をあけると、へらりと笑った。 (-230) 2021/06/30(Wed) 20:08:10 |
【秘】 奔放 メイジ → 発熱 ニエカワ雨と風の音だけが響き渡る暗闇の中。 雨戸から吹く隙間風の音が誰かの悲鳴のように聞こえた。 がたがたと雨戸が揺れる音に、びくりと身を縮める。 メイジは目を開けた。閉じてからそんなに時間は経ってない。 ──あなたが、すっかり寝静まったのを確認すると メイジはこっそりと、ベッドを降りた。 掛け布団をかけなおしてやり、足音を立てないように 部屋を出て行った。 (-231) 2021/06/30(Wed) 20:27:21 |
【人】 被虐 メイジ風のうなる音、ガタガタと雨戸が震えている音にすら メイジは時々恐怖を覚えることがあった。 罵声、怒声、物を投げる音、壊れる音。 いろいろなことを思い出す。 「……オレ、帰れるかな」 ひとり呟いた言葉は雨音にかき消えた。 (76) 2021/06/30(Wed) 20:50:49 |
【秘】 遊惰 ロク → 流転 タマオ「フゥン」 あたかも気の無い様な相槌を打ちながら、内心。 理不尽な飢えを思って――芽生えたのは勝手な同族意識。 それは警官というだけで翡翠の瞳の男へ抱いていた警戒を 少しばかり払拭する程度には、男にとって重要なことだった。 「そりゃァリッパな心がけだなァ。 ――お前サン、飢えを知ってるんだろ。 今はよかろうが明日、明後日。同じことが言えるかねェ」 そう言った口で、真逆と言って良い問い掛けを口にする。 首を傾げた拍子、十字架が揺れた。 「ンで、その“市民”の中におれは入るかい?」 (-232) 2021/06/30(Wed) 20:52:05 |
【秘】 焦爛 フジノ → 遊惰 ロク「……無理して見なくて、いい、から」 視線から逃げるように体ごと顔を背ける。 好奇の視線は苦手なのだ。その後にかけられる言葉なんて、大体ロクなものではなかったのだから。 手足の細さの割に、胴体はそこまで細くは見えない。 所謂女性的な体つきにも見えはしなかっただろうけど。 (-233) 2021/06/30(Wed) 20:59:18 |
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