人狼物語 三日月国


77 【ペアRP】花嫁サクリファイス 弐【R18/R18G】

情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 エピローグ 終了 / 最新

視点:


[犠牲者リスト]
マモノ

二日目

事件:楽観

本日の生存者:シーナ、水分神、龍之介、紅鉄坊、千、ラサルハグ、ソフィア、かんぅ、ヤオディ、茅、天狗、冥桜、リン以上13名

【人】 水分神

 
[つまらなさそうな顔で
 果物を床の上に転がす。]


   美味しくないのじゃ……
       どうしてかのう……


[これらは本来ならとっくに尽きて
 村人たちにお代わりを要求している所。

 日に三度の食事とおやつが楽しみで
 間食をすることが減っていたから
 抱えられるほどに残っていた。

 そんなことにも気づかぬ、まま。]
 
(0) 2021/06/22(Tue) 10:57:17

【人】 水分神

 
[月が一巡りする間に
 減っていったものは、他にもある。]


    ……あれでもするかの


[毎日片付けをさせられる彼は
 気づいただろうか。

 幾らか読めるようになっているだろうか。

 ────人の子が使うのと
 異なる文字で綴られた書き物だ。]
 
(1) 2021/06/22(Tue) 10:57:22

【人】 水分神

 
[綺麗に洗われて柔らかく解れた筆を
 硯の墨に浸す。

 半ばの文章は時によって異なるが
 出だしと締め括りは毎度同じ。

 届けられることのない、故郷への便り。]
 
(2) 2021/06/22(Tue) 10:57:31

【人】 水分神

 

   ……。


[止まる筆。
 最後の文字が黒く滲みゆく。**]
 
(3) 2021/06/22(Tue) 11:00:01

【人】 『村娘』 ソフィア

  

  今まで見ていなかった現実>>1:103
  それを知ってから少しして
  この世界を変えなければいけない、と。
  そんな思いを私は胸に抱くようになった。

  このまま悲しい思いをする人を増やしてはダメだ
  犠牲によって成り立つ村では。
  
  でも、なにからすればいいかわからなかったから。
  まずは、一番親しく味方でいてくれるであろう
  両親に、想いを相談することにしたのだ。
 
(4) 2021/06/22(Tue) 11:25:35

【人】 『村娘』 ソフィア

 


   『 お願いだから、なにもしないで欲しい。 』


  一人考え、整理したことを伝えれば
  返ってきたのは行動を否定する言葉。

  両親は今の安寧が大切だからと、皆そう思っていると。
  私に言い聞かせるように
  真剣な面持ちで優しく言葉を連ねる。
  
  まさか味方になってくれないとは
  思ってもいなかった私は、信じられない想いで
  呆然とその人たちを見つめた。
 
(5) 2021/06/22(Tue) 11:26:14

【人】 『村娘』 ソフィア

  

  彼らは本気だ。
  本気で、この歪な世界を良しとして、
  犠牲を仕方の無いものと受け入れている。

  理解出来ない。
  でも、歪ながらも真剣に生きようとしている彼らを
  否定することも私には出来ない。

  もし手を入れて崩してしまったのなら?
  大勢の生活を奪う責任を取れるのか?
  
  暗闇の中に立たされたような心地。
  私は身動きが取れないまま
  その場で立ち止まっている。*

 
(6) 2021/06/22(Tue) 11:28:14

【人】 『 大蛇 』 ラサルハグ



   人間はそう強くない。
   人間が強いなどというのは古来人間が謳う
   空想暗示の戯言に過ぎぬ。

   弱き大人は少女の気づきを闇に葬る。>>5>>6

   それが歪であろうとも
   自分達が間違いであったとしても

   人は自身に降り注ぐ災害を恐れ
   いつしか疑問を持つことに怯え
   疑問を抱く叡智(Sophia)を拒み始める。

   それは偽りの平穏を壊し真実に差し迫る賢者を
   その一切まで淘汰するがごとく。


   
(7) 2021/06/22(Tue) 16:54:37

【人】 『 大蛇 』 ラサルハグ




   疑い、問うことをやめた時
   人間は「死」を迎えるものだ。


   かつて我が主が神に淘汰されたのと同じ。

   神々に淘汰された我が主
   村の者たちに淘汰されんとする花嫁



      人間は今宵もまた神の真似事に精を出す。




(8) 2021/06/22(Tue) 16:56:07

【人】 土地神 リン


  悲しそうなものを選べるあたり
     お前のことだ悲しがりはしないだろうよ
         むしろ蛙の真似でもしそうなものだ


[ どうにも上手くかわされている気がする
 突っ掛からなければ良いのも知っている
 それでも、突っかかってしまうのは性分だ

 これからこの先何年間も
 こうしたやり取りを続けていくのだろう
 そう思えばなにやらむず痒い様な気もして ]
(9) 2021/06/22(Tue) 18:16:18

【人】 土地神 リン


  んー……。たしかに
     これから共にいるのならば
          そのようなもの、か?

   丁度好い感じになるまで
      雑に洗われそうでなにやら怖いが


[ されたらその分だけ返してやろう
 ふん、と鼻を鳴らせば先の字の間違いを指摘され ]


  ぬぁぁぁ!!?
     それは、わざとだ!!

    それともお前はあれか
        本当に阿呆と書かれたいと


[ 悔し紛れに飛び石を踏み鳴らし
 先へと遠慮なしに歩みを進めていく

 途中、小石を蹴り飛ばし
 ささやかな八つ当たりなどを繰り返し ]
(10) 2021/06/22(Tue) 18:16:40

【人】 土地神 リン

[ 漸く機嫌が治ったのは
 目的地である井戸へとついた頃

 最後に一つ足元の小石を
 藪の中へと勢いよく蹴り込むと ]


  この配置か……
    さぁな、我は知らぬ

   我の前の我か、さらにその前か
      目の不自由な嫁がいたかも知れんが
         個々の記憶は継いではおらぬ故


[ 重たい滑車が回り、遠く水の音がする
 キィと軋む音と共に桶が引き上げられれば
 駆け寄り、それを受け取り ]


  ──あぁ、たしかに。ここは蘇芳の笛も
       緋扇の舞も、お前の三味線も
          邪魔するものはないからな


[ 米を研ぐ音すらよく響く
 シャキリと米を研ぎ、ザルにあげ
 次いで適量の水に浸しておき ]
(11) 2021/06/22(Tue) 18:17:46

【人】 土地神 リン

 
  箒と塵取りはこちらだ
     それと、布団は干した方が良いか?


[ 時間は無限にあるようでいて
 その実、刻一刻と進んでいくもの

 己は眠らなくとも構わないが
 あの嫁はそうもいかないだろう

 空を見て陽の位置を確認し
 暮れる前に、と声をかけてみて* ]
 
(12) 2021/06/22(Tue) 18:18:11

【人】   天狗

[余韻に浸るかに目を閉じていた小僧が漸く目を開ける>>1:126
その目の
が変わっていることに気づかない天狗ではなく]

 あぁ、小僧にはちぃと強すぎたかの……

[などと呟き苦笑する
天狗の毒の副作用でそうなる者も稀にいるからで
その背に起きている異変はまだ見えていないから

少しは気遣わなければすぐに壊れそうだと
不安に
思ったので]

 大丈夫か?

[そう声を掛けて、頬に触れようかと手を伸ばした**]
(13) 2021/06/22(Tue) 19:49:49
  天狗は、メモを貼った。
(a0) 2021/06/22(Tue) 19:55:01

【人】 五色 冥桜

[成程、言い得て妙であるとしたり顔で頷いた。
他愛もない言葉のやり取りを楽しんでいるのは男の方である]


  そのようなものだ、な。
  雑にはせぬと約束しよう。
  絹ごし豆腐のように優しくしよう。


[それはそれで身悶えそうであろうがそれもまた楽し。
大仰に額を手で叩いて良い音を出すと――]


  おお、そうであったか。
  これは突っ込んだ方が恥ずかしいというやつだな。
  してやられてしまった。


[可愛い八つ当たりの雰囲気に笑いながらも男が引っかけられた風に言葉で飾り、実態は果たしてリンの胸中にのみぞあるようにした]


  ふむ、ふむ。
  歴史ある建物よな。
  掃除も大変そうであるが――。


[米を研ぐ音に耳を澄ませ、笊にざらざらと流れる粒の音に炊きあがりの姿を思い馳せながらリンの頭に手を乗せた]
(14) 2021/06/22(Tue) 20:35:31

【人】 五色 冥桜

  ご苦労さま。
  よき米の演奏であったよ。

  そうさな、奏でるのは自分で楽しむための者と。
  誰かに聞かせるを楽しむ者がおる。
  予は聞き手を邪魔だと思ったことはない。

  ただ物理的に邪魔されると少し業腹ではあるが。


[声も床踏む音も生活雑音も全て呑み込んでしまえば良い。
男は淡とそういうと示された箒と塵取りを手に取り戻る]


  少しだけ干しておこうか。
  それで明日も晴れならば改めて朝から干そう。

  陽が低くなっては台無しであるからな。
  そちらは予が運ぶとして干すのはどの場所だ。


[水に浸した米は少しばかり置いておくものだ。
その間に掃除をしようとリンを誘い、家中に戻りて四角い部屋を丸く掃く程度の気持ちで掃除をするとしよう。
本格的なものは後で良い。

そうしながら布団を干し、後は干し鰻を炙るための木炭を用意するとして――*]
(15) 2021/06/22(Tue) 20:35:38

【人】 『村娘』 ソフィア

  

  もっと愚かであれば、立ち止まることなく>>6
  前に進むことも出来たのかもしれない。

  もっと賢ければ、他にいいやり方を
  探すことも出来たのかもしれない。

  私は半端者だ。
  愚かでもなく、賢くもなく、
  なにも出来ずに時を浪費する。

  選択しなければ何も始まらない。
  だというのに、なにを選ぶ勇気も持たない。

  
(16) 2021/06/22(Tue) 20:56:30

【人】 『村娘』 ソフィア

 


   ( 嗚呼、私は、
     ……私は、どうすれば良いのだろう。 )


 
 
(17) 2021/06/22(Tue) 20:57:10

【人】 『村娘』 ソフィア


  何に祈ればいいのかもわからず。
  苦悩に揺れる心は晴れることなく。

  季節は巡り、また犠牲者を産む。

  世界は変わることなく明日を描き
  人々は自分たちの望む日常を送る。

  そして。




─── やがて、少女から女へ成長した私は      

『神の花嫁』に、選ばれることとなる。*

 
(18) 2021/06/22(Tue) 20:57:56

【人】 土地神 リン

[ ああ言えば、こう言う
 こう言えば、ああ言う

 他愛のない言葉のやりとりが
 鞠投げのように続くのがまた楽しい

 絹ごし豆腐のようにと云われれば
 それはこそばゆそうだと
 くすぐられる前から笑い声を上げ

 わざとらしく額を叩く様には
 どうせわかっているだろうと睨んでみたり

 そんなふうに遊んでいれば
 日常の雑事もまた遊びの一つのようで ]
(19) 2021/06/22(Tue) 22:19:43

【人】 土地神 リン

[ 頭を撫でられれば
 乗せられた手に己の手をぴたりと重ね ]


  この屋敷は古くて広い
    だから掃除は使うところだけ

   そうでもせんと、な
      井戸水で手が凍る
        

[ 井戸の水は冷たい
 米研ぎしただけでも指先が凍るよう

 暖を分けてもらうよう
 冥桜の手をぎゅっと握り、また緩め ]


  聞き手を邪魔だと思ったことはない、か
      その辺りは蘇芳や緋扇とも同じだな
         物理的に邪魔されると怒るのも……

    いや、お前の邪魔はしないでおく
         お前は怒ると怖そうだからな


[ 確証はないが、勘がそう言っている ]
(20) 2021/06/22(Tue) 22:20:06

【人】 土地神 リン

[ 屋敷の中よりも外の方
 縁側は風がある分、埃はない

 布団を干す場所を尋ねられたなら
 縁側で干そうと提案し
 次いでに米も縁側の隅へ置き ]


  水拭きは明日で良いか?
    ──ハタキかけはどうする?

   あぁ、替えの衣は
     そこの箱を使うといい


[ ドタバタと片付け物を終わらせていく
 薪やら木炭は、勝手口の傍にある箱の中

 包丁はここ
 まな板はここ、と進めていき ]
(21) 2021/06/22(Tue) 22:20:45

【人】 土地神 リン

[ 気がつけば、掃き掃除は終わり
 米も程よく水を吸った頃
 洗った釜に米と水を入れ、炊く準備をし ]
 

  食事の後に三味線か?
     それとも、その前に風呂か?
      

[ これから先、共に暮らすに困らぬように
 流れを問いかけて* ]
(22) 2021/06/22(Tue) 22:31:22
書生 茅は、メモを貼った。
(a1) 2021/06/22(Tue) 22:45:40

【人】 五色 冥桜

[手を差し出されると自然と包み込むように握ってやる。
言の葉の通り冷たい指先が温まり々温度になるまでそうしながらまたからりからりと笑っては大仰な動作で身を振って見せる]


  そう、逆に聞き手が少ない方が寂しいものだ。
  あとはずっと聞いてくれる者であれば良い。
  お主がそうであるならばこの上ない幸福であろうよ。


[男は音と詩を好んでいる。
毎日ずっと嗜んでいても飽きることはない程に。
そして同時に共にそうして過ごせる者を望んでいた。

あっさりと騙されたのはその為だ。

繋いだ手の指の一本一本を柔く揉み温もったことを確認すると手拭いを取り出し拭いてやる]
(23) 2021/06/22(Tue) 22:53:54

【人】 五色 冥桜

  それは懸命だ。
  お主であればお尻ぺんぺんしていたところだ。


[他愛もない話を続けながら縁側へと辿り着けば場所を想い起しながら覚えていき、衣の変えがあるならばと箱の中を漁り中から藍染の甚兵衛を取り出すとよしとそれに着替えてしまおう。

無論隠すつもりはなかったが着替える場所を言われればそちらへと向かってのことだ。

その間にも準備をしてくれていたならば早速と木炭に火を起こす準備をしていき、味噌と薬味も準備をしよう]


  水ぶきと隅の方、ハタキも明日以降だ。
  今ハタキをかけると埃が落ちてしまうぞ。
  それが落ち着くまで時間もかかるしそれは明日だ。
  予は埃ぽいのは分かるのだ。


[見えてなくてもにおいでわかる。
リンが米を炊く準備をしているのは音で分かる。

音で分かることは意外と多いものだ。
分からぬことは言の葉で語り聞けば良い]
(24) 2021/06/22(Tue) 22:54:01

【人】 五色 冥桜

  食事の後は歯磨きだぞ。
  それが終わればゆるりと時間を過ごして。
  それから風呂にしようと思うがリンはどうだ。

  風呂が先の方が良いか?


[団扇を手にしおが屑に火をつけ放つ。
燃えやすいものから順番に、少しずつ風を送り木炭に火をつけていく*]
(25) 2021/06/22(Tue) 22:54:07

【人】 書生 茅

[漸く開いた視界に、天狗さまの姿を見止める。>>13
夜陰に目が慣れただけではない、はっきりと見える姿に青年自身が違和を覚えることは無いが、その言葉の意味もよくわからぬままに、ふにゃと溶けたような笑みを返す。
天狗さまの醸し出す空気が、青年には何故だか心地よくて、とろとろと、そのまままどろみそうになる。]

 大丈…夫、

[触れようと差し伸ばされた掌に自ら頬を寄せるようにしたのは、撫でられたら気持ちよさそうだと思ったからで、側に置いてもらえたらいいなぁって思ったのは、打算も何もない、勿論村のことなんて微塵も頭にない、ごくごく素直で純粋な願いで、

そう、本当に、忘れていたのだ、この瞬間まで]
(26) 2021/06/22(Tue) 23:18:42

【人】 書生 茅

       
――――本当に馬鹿な子だよ、


[さわり、頭蓋の内側をなでるような声に、瞬く。
それは聞き覚えがあるような、無いような、そんな声。
否、声自体には聞き覚えがある。
けれど、その声音には聞き覚えがない、というような。]
(27) 2021/06/22(Tue) 23:19:05

【人】 書生 茅

 
本当、馬鹿な子、


[ざわり、と、背筋を寒風が吹き抜けるような錯覚を覚える。
聞き慣れた声、聞きなれない声音。
それはいっそ、聞き知らぬ声の方が、よっぽどましだったかもしれない。
だって、あの人が…お嬢さんが。
こんな、冷たい声で笑うなんて、そんなこと、あるはず……]

   
――――あっはははは!!!


         
あはははははは

     
ァハハハハ
ハハ


              
アハ、ハハハ……



[誰かの、誰の、嗤い声が、木霊する。

                 
木霊する。
]
(28) 2021/06/22(Tue) 23:19:23

【人】 書生 茅

 あ……嫌………

[脳みその内側で、ガンガンと響く嗤い声が煩くて、突き刺さって、
青年は涙目になりながら両の耳を抑える。

なんだ。なんだこれ。
分からない。

天狗さまを見やる。
頬を撫でようとしてくれたはずの天狗さま、
目があったか合わなかったか、割れるように痛む頭にその姿は判然としなくて、
けれど多分、原因は天狗さまでないことだけは、漠然と知れて。
本当なら、天狗さまの妖術を真っ先に疑うべきなのかもしれないけれど、とてもそんな気にはならなかった。


どんなに強く強く両耳を抑えても、響く声は止まらない。]
(29) 2021/06/22(Tue) 23:19:44

【人】 書生 茅


 
しかしお前、大丈夫なんだろうね、あれは、
             化けて出たりしないだろうね、
  しっこないわ、好きで身代わりになったんだから
    第一あんた、アレが理解しているとでも本気で思ってるのかね、
   
   分かるわけないさ、だってあれは、

       
        
根っからの、阿呆なのだから!!!!


[
ゲラゲラ、げらげら。


 なんだろうこれは、何なのだろう。
多分これは、聞こえちゃダメな奴だ。ダメ、ダメなのに、

 
聞かない術が、わからない。
]
(30) 2021/06/22(Tue) 23:19:59

【人】 書生 茅

 や……なに…なん……、なん…だ、これ……

[ぼろぼろと、溢れだす涙が止まらない。
痛い、
痛い。
痛い。

頭が、耳が、抑えた掌が、いいや何よりも、

胸が痛い。


がやがやと、雑然と、嗤いながら交わされる会話の全てが聞き取れずとも、
その内容の総てが理解できずとも。
分かった。
分かってしまった。

つまり、嗚呼。そう。
俺は、きっと。

 
利用されていたのだ……と。



青年は初めて、
ヒトの悪意
を知ってしまう。]
(31) 2021/06/22(Tue) 23:20:21

【人】 書生 茅

[愛していた、あの村を
愛していた、あの村の人たちを
愛していた、村長さんもその家族も
愛していた、お嬢さんのことだって

だから、耐えたのだ

例え満足な衣食住がなくても
例え不出来さに鞭を与えられても
例え覚えのない罪を責められても

  例え
        例え……

彼女の為に命を差し出すことになっても。

見返りを求めてはいけないと、村長さんは言った

けれど、見返りではないけれど、
ただ、ひとかけらの情を返してもらえたなら、それだけで……
それだけで。よかったのに―――――!]
(32) 2021/06/22(Tue) 23:20:36

【人】 書生 茅

[青年を、嘲笑う声がする。
無駄だと知りながら、青年は両の耳を強く強く抑える。

痛いのが身体なのか、心なのか、なんだかもう分からなかった。
多分はじめっから分からなかった。

痛いのが愛しいだなんて、誰が言った。
痛いのは、嫌だ。
いやだ。]

 
俺はただ……

   居場所が欲しかった、だけなのに……



[嗚咽の隙間に小さく小さく呟いた。**]
(33) 2021/06/22(Tue) 23:21:27
書生 茅は、メモを貼った。
(a2) 2021/06/22(Tue) 23:21:53

【人】   天狗

[大丈夫と蕩けるような笑みを浮かべるのに安堵する>>26
壊してしまわなかったと、人など壊しても構わぬものだったはずなのに
触れた手に懐くように寄せて来るのに目を細める
まどろむような様子に、暫しこのままで置こうかと]

 眠いなら寝ても……

[言いかけたところで小僧が瞬く>27
一瞬呆けた様子を見せて、そうして]

 どうした?

[小さく呟き耳を押さえる様子に真っ直ぐ小僧を見る>>29
天狗の声が聞こえているのかいないのか、こちらを見る視線もどこか危うい
小僧の身に何かが起きている、その原因は間違いなく天狗の毒……体液に潜む妖力だ
だが、今までのどんな相手も、このような反応はなかった
こんな、まるで何かの幻に囚われているかのような反応は]
(34) 2021/06/23(Wed) 1:16:30

【人】   天狗

 おい、小僧……

[恐る恐る、天狗にはらしからぬ慎重さで手を伸ばす
こんな時に呼ぶべき名を、天狗はまだ知らない
壊れたのではない筈だ、壊れるなら注いだ時に疾うに壊れているだろう
では、何故に

そろり、小僧に触れた指先から伝わるのは渦巻く闇
悲しみと、怒りと絶望が混じりあった深く渦巻く闇の色>>31
それが今の小僧の胸の内と気づきはっとする
何かを拒むように強く耳を押さえ涙を零している小僧には
天狗には見えない、聞こえない何かが「聞こえている」のでは、と]

 まさか、妖力が暴走しとるんか……

[天狗の声は強く耳を塞いだ小僧には聞こえないのか嗚咽は止まず
その隙間で、小さく、小さく呟く声は儚げで、悲し気で>>33]
(35) 2021/06/23(Wed) 1:18:16

【人】   天狗

[天狗は、この時初めて「恐れた」のだ
天狗の妖力の暴走、心が闇に囚われたまま飲み込まれてしまえば
心を無くしただ荒れるだけの鬼となる
物の怪よりも質の悪い魔性、そんなものに、小僧を変えるわけにはいかないと]

 
落ち着けぇ、小僧!!


[声を上げ小僧の顔をあげさせ唇を合わせ軽く吸う
小僧が、それを喜んでいたと、欲しがる様を思い出して
そうして、体を引き寄せ、強く、強く抱きしめる]

 お前の居場所はここじゃ!
 お前はワシの嫁じゃ、そうじゃろう?

 ここに居れ、何処にもいくな、
小僧!


[呼びかける、生まれてこの方、初めて
愛しい
と思った者に
届かないなら、何度でも**]
(36) 2021/06/23(Wed) 1:21:34
  天狗は、メモを貼った。
(a3) 2021/06/23(Wed) 1:24:42

【人】 鬼 紅鉄坊



[ 腕の中の若者の母親は──恐れを知らず強情な娘だった。
 望まぬ許嫁と結ばれる未来を憂い、
 その輿入れにより益を与える家のことも嫌悪していた。

 鬼に懐く程、村に居場所を見つけられなかったのだろう。
 いつしか己に会いに来ることも山に踏み入る目的となってしまい
 何度もこうやって抱え、探しに来た家の者に引き渡したものだ。 ]
(37) 2021/06/23(Wed) 1:49:14

【人】 鬼 紅鉄坊



[ 抱けぬ筈だったあの娘の子供の重みを感じていると、
 やはり鬼などの元に置いてはおけないと強く感じた。

 ──母親が叶えられなかった夢を、継がせてやろう。 ]
(38) 2021/06/23(Wed) 1:50:04

【人】 鬼 紅鉄坊



[ 暴れも嫌がりもせず、大人しく抱えられているのは>>1:139
 この行いが正しいからこそであると、鬼は思っていた。
 繰り返す言葉が何をその胸に与えているのか、気づくことはなく。

 知らぬ過去があれば、その想起は読めまい
 過去を見ていれば、側にいる者の心は分かるまい。

 互いに互いを分かっていたつもりになっていた鬼と鬼子、
 今この時はそこに通い合うものは、失われている。 ]
(39) 2021/06/23(Wed) 1:50:18

【人】 鬼 紅鉄坊



さあ……着いたぞ
ほら、此処から先は山の外だ。初めて見たのではないか?

[ どれ程歩いたのか、廃寺のある辺りからは反対側。
 優しく下ろしてやり、口を開く。
 途切れた木々の並びの先に見える開けた世界は、光に溢れていた。 ]

私も実際に見たわけではないのだが、
真っ直ぐに歩いて行けば、半日程で村に着くらしい
山と比べてずっと歩きやすい、思うよりはきっと辛くないさ

そこはお前のことを知らない者達の住む場所だ
誰にも虐げられないところから、新しく始められる

本当はもっと、時間を掛けるつもりだったのだが
……否、きっとこれでいいのだろうな。こうなる定めだったのだ

[ 千太郎と暮らし始めてから鬼は少しは饒舌になった。
 それでもここまで口を挟ませずに一方的に語ることは無かった、
 無論、意図的なものだ。 ]
(40) 2021/06/23(Wed) 1:50:34

【人】 鬼 紅鉄坊



心配するな。千太郎は賢いし、怠け者ではない
髪は戻してやれなかったが……もう身体もあの頃とは違う
少しばかり口に気をつければ、働き先は見つけられるさ

お前の母親は、村から出て自由になることが夢だった
彼女の……さとの叶えられなかった夢を、果たしてくれ

[ 寺の外に千太郎を置き、勝手に包んで来た荷
 持ち込んだ品と共にあの書物も入れておいた。
 例え嫌がられても強引にでもしっかり抱えさせ、両肩に触れる。

 常のように加減した力は容易に緩み簡単に離れ、鬼は背を向ける。 ]
(41) 2021/06/23(Wed) 1:50:50

【人】 鬼 紅鉄坊




既にあの寺はお前の家ではない
再び山に入れば、私の同胞に殺されると思え

[ 低い声を更に低くし、はっきり聞こえるよう脅しを掛ける。
 望んでいるのは役目を与えた者に求められること
 ならば、ただ死にたいわけではない筈だ。 ]

お前との日々は、とても幸せなものだった
人間たちと共に暮らし、同じ気持ちを感じてほしい

[ 何を見ても何が聞こえても振り返ることなく、
 本来の歩幅と歩調で慣れた山の中に消えて行った。 ]*
(42) 2021/06/23(Wed) 1:51:10

【人】 鬼の子 千



[鬼子にはとても恐ろしかった。

交わされているようで突き放されている会話が、
見る見る内に慣れた道を過ぎて、知らぬ場所へ運ばれていくことが
鬼が自分を見ていない事実が。

行動を起こせる時間は充分あったというのに、決定的な瞬間まで何も出来なかった。]
(43) 2021/06/23(Wed) 1:51:46

【人】 鬼の子 千



 だから何で、

[こんなところまで来たのか、と
少し踏み出せばそこにある外の世界にも目もくれず、問い詰めようとしたのだが。

次々と語られると挟むことが出来なく、それ以前にあまりの内容に声も失い固まってしまって
その間にされるがままに荷を抱え直されることとなり、肩に大きな掌を置いた鬼を呆然と見上げた。

喉が乾いた音を鳴らす、離された肩が震えた。
用意されたこれからの為に大切な内容も真摯な励ましの言葉も、賢いと称された頭には少しも入らない。]
(44) 2021/06/23(Wed) 1:52:00

【人】 鬼の子 千



[ただ、穏やかな鬼に向けられたことのない声は耳に留まる。

それはまさしく決別の証。
静かで低く紡がれた言葉が、怒鳴られるより鋭い棘になる。]

 何で、どうして……
 待って、待ってくれよ……

[明滅する光の幻に視界を奪われる
自分の物ではないように遠のく手足の感覚。

その中で必死に伸ばした手は届くことなく鬼は踵を返し、大きな背は直ぐに見えなくなった。
嗚呼、今まで随分気を遣って横を歩いてくれていたのだ。現実逃避の思考が過る。]
(45) 2021/06/23(Wed) 1:52:13

【人】 鬼の子 千

[暫くの間、足は石のように動かなかった。*]
(46) 2021/06/23(Wed) 1:52:24

【人】 鬼の子 千



  ─ 少し後/帰り路を求めて ─



[朧な足取りで、鬼子は歩き始める。

望まれた光のある世界ではなく、閉じた山の中へと。]
(47) 2021/06/23(Wed) 1:52:36

【人】 鬼の子 千



[人間の人生の二つ分よりずっと多く、鬼は山で生きている。
きっと隅々までよく知っていて、遮る枝も草もあの身体が簡単に退けてしまう。

今から追いつくことは不可能だろう。
それでもいい、寺にさえ帰れたのなら同じことだ。

喰らうことを拒まれるのもまた同じこと。
求めてもらえたというのは勘違いで、どれだけ過ごしてもその気にはなってもらえなく、ついには役目を果たさないまま別れを告げられた。

再び連れて行かれることになるのかもしれない。それでも──]
(48) 2021/06/23(Wed) 1:52:49

【人】 鬼の子 千



[日の出と共に目覚め、日暮れと共に眠るのが人間というもの。
鬼に許されていた範囲ですら夜には出歩かなかったのだ。

初めてやって来た廃寺から離れた場所は、夏の日差しを頼りにしても同じような風景が続いているようで分かり難い。
気づけば昼間とは表情を一変させた宵闇の中に独り彷徨っている。

重なる睡眠不足を抱えていた身体は、疲れ果て不安定な軸で歩みがぶれている。
それでも立ち止まらなかった。あの大きな身体と紅い目を、ひたすらに求めていた。

だから側の茂みから音が近付いてきた時、期待を持って呼んでしまった。]
(49) 2021/06/23(Wed) 1:53:39

【人】 鬼の子 千




 紅鉄様……?

[だが、現れた姿は彼ではない。
鬼はおろか自分よりも背が低くより濃い異形を持った何かは、毎年花嫁を求めている妖怪の内の一体なのは確かだ。

あの鬼が絶対に会わせなかった仲間、いつでも側にいたのにもしもの時について話した理由。
目を見開き後退り、すぐに逃げ出す。

老人にも赤子にも思える不鮮明な笑い声が、背後から聴こえる。]
(50) 2021/06/23(Wed) 1:53:58

【人】 鬼の子 千

[早く寺に、早くあの男の元に────

視界もまともに確保出来ない夜の山、地を蹴り駆ける。
追いかける音が一体分ではないことに、すぐに気づいた。
ただの人間にも、この山の夜の異様な雰囲気が今は分かる。

戻らせない為の脅しも、確かに自分を想っての言葉ではあったのだ。]


あっ、……!

[廃寺はおろか、門すらも見えない内に声が上がった。
太い根に躓き、呆気なく逃走劇は終わる。

手から離れ解けた包みより零れた何かが、地に伏せた頭の近くに落ちた。
それは持ち込んだ薬より大きく、替えの着物より小さい。

あの時花を挟んだ、いつか鬼と開く筈の。]
(51) 2021/06/23(Wed) 1:54:18

【人】 鬼の子 千

[本当に捨てられたのだと、そう思った瞬間。

身体に力が入らなくなった。
これから起きる全てがどうでもよくなってしまった。*]
(52) 2021/06/23(Wed) 1:54:35

【人】 鬼 紅鉄坊



[ 仕方なかった。生きる世界が違った。
 最初から理解し目的を定めていた筈なのに、
 脳裏に何度も言い訳のような──自分を慰めるような言葉が浮かぶ。

 これ以上共に在れば、いつか喰い殺していたかもしれない。
 この選択が間違っているわけがない。

 今日からまた独りになる廃寺、不要になる品をどうするか考えねば
 しかし何故か帰る気にはなれなくて、
 大木を背に座り込み、色を変えていく空を見上げていた。 ]
(53) 2021/06/23(Wed) 1:55:08

【人】 鬼 紅鉄坊


[ さとによく似た形の目が、
 呆然とこちらを見上げていたことを思い出す。>>44

 そこまで喰われたかったのか、
 生きたくはないのかと思うと心苦しい。

 共に過ごした時間、幸せだったのは自分だけだったのだろう。
 ならば新しい村で、今度こそ幸せを見つけてくれたらいい。 ]
(54) 2021/06/23(Wed) 1:55:52

【人】 鬼 紅鉄坊



なんだ……?

[ 風もないのに森がざわめく。
 同胞たちの気配の幾つかが、同じ場所に集まっている。

 昼間の熱が半端に冷めたような、生暖かい空気の中
 鬼は来た道を戻るように、気配の元を辿っていく。

 本当は暫く独りになりたかったのだが、
 どうしてかとても気になってしまった。 ]
(55) 2021/06/23(Wed) 1:56:11

【人】 鬼 紅鉄坊

[ どこぞの娘が一人で山に入り込み、
 奥まで行ってしまった時も確か────

 はっと目を見開いた鬼は歩みを早め、やがて走り出した。 ]
(56) 2021/06/23(Wed) 1:56:22

【人】 鬼 紅鉄坊




「捨テタ!捨テタ!紅鉄坊ガ花嫁ヲ捨テタ!」


   「喰ッテモイインダナ!」

            「男ハ美味クナイケドナ」


  「人間ハ中々喰エナイ、ワシハ男ノ肉デモイイゾォ」


[ 興奮した様子の妖怪らは──より異形を持った鬼たちは
 喚くように叫ぶように同胞と言葉を交わし合う。

 一番先に会った一体が、転んだ獲物の上に伸し掛かるように乗り
 手に比べ長細い指の先の鋭い爪を、その首に向けて振り上げ── ]
(57) 2021/06/23(Wed) 1:56:43

【人】 鬼 紅鉄坊

やめろ!

[ 近付いてきた草を掻き分ける音の正体が、鬼がそれを掴み上げ近くの木に叩きつけたことで阻まれた。]

違う、違う!私は千太郎を捨ててなどいない!
帰れ、お前たちにこの子を喰らう権利はない!
──聞こえないのか、散れ!

私はお前たちを叩き潰す為にあの方に口添えしてもよいのだぞ!

[ 口々に上がる不満の声。繰り返される「捨てた」
 同胞と千太郎の間に立ち塞がりながら、声を荒げ怒り言い争う。

 両者にある隔たり、どちらも互いの言葉を真実と認識している。
 その中で同胞が引くことになったのは、
 実質的な山の主を引き合いに出したが為に。 ]
(58) 2021/06/23(Wed) 1:57:02

【人】 鬼 紅鉄坊


何故だ、何故帰ってきてしまったのだ……
私はあれ程言ったではないか

[ 漸く静かになった闇の中。

 膝をつき抱き起こしながら、鬼は嘆く声を上げる。
 夜目の効く紅色が見下ろした顔は、どんな表情をしていたか。 ]**
(59) 2021/06/23(Wed) 1:57:17

【人】 水分神

 
[ミズガミ様、ミクマリ様は
 人の子らが裸で駆け回っていた時代から居る。

 ずっと同じ個体ではなく代替わりをするもので
 ひとりの任期は二百年から伍百年程。
 どこからともなく現れては勤めを果たし
 元の世へ還っていく。

 人の世に居る間は人の子を娶り
 相手が天寿を全うするたびに
 新しく娶りなおすのが常であったが────、

 そうではないミズガミ様も居た。]

 
(60) 2021/06/23(Wed) 9:24:20

【人】 水分神

 
[先代が正に、そうではない方だった。

 最初に得た嫁が輿入れから
 ほんの数年で逝ってしまった。
 けれどその後差し出される替わりの嫁は全て断り
 最後まで抜かりなく任を果たした。

 ただひとりを想い続けたのだと言う。]

 
(61) 2021/06/23(Wed) 9:24:25

【人】 水分神

 
[当代は其れを否定した。]


   
人の子など取るに足らぬ存在よ

          
心を寄せて何になる?



[彼らと我らには、与えられた時が余りに違うのだ。]

 
(62) 2021/06/23(Wed) 9:24:45

【人】 水分神

 

    ……、……


[筆を置き、ぐしゃぐしゃと紙を丸めた。]


   (そう言えば……、
    出立前、何か作っておったな……)


[探せば其れは見つかった。>>1:64
 小さく形の整えられた白いあれ。
 普段は丸い器に盛られるやつじゃ。

 箸や匙を使うたことがなく
 此れは道具を使わずに食べるものとも知らぬまま
 手で掴めば、口の中へ放り込む。]
 
(63) 2021/06/23(Wed) 9:25:31

【人】 水分神

 
[彼奴の料理の腕だけは認めておる。
 
……あ、あと、掃除とか、

 
妾に向ける笑顔とかも、すこし。


 この白いやつも文句なしに美味いじゃろう。
 そう思いながら咀嚼し、嚥下したが。]


    ……全然美味しくないのじゃ


[がっかりじゃ。
 けれどその手は休むことなく次を口に運び続ける。
 ……最後の一つに至るまで。]
 
(64) 2021/06/23(Wed) 9:25:51

【人】 水分神

 
[彼奴も失敗することがあるらしい。
 帰ったら酷いんじゃからな。]


    っっ、ひっく、えっぐ……っ
    こりぇ……塩っぱすぎるのじゃよぉ……っ


[……嘘じゃ。甘ぁくてンマイのに
 余計な味をつけてしまっておるのは妾じゃ。

 前が見にくくて苦しくて仕方ないのじゃ。]
 
(65) 2021/06/23(Wed) 9:26:07

【人】 水分神

 
[……けど、本当に外れもあったのじゃ。]


    っっ?! しゅっぱーい!!


[其れを引いたときには
 唇をきゅーっと窄めるのじゃった。>>1:121**]
 
(66) 2021/06/23(Wed) 9:26:17

【人】 土地神 リン


  お前の音をずっと聴く──か
    あぁ、そうだな。それが出来れば


[ 手指を温められ温もりは分けてもらった
 戯れ合うことで笑う楽しさを思い出した
 汚れた床は掃き清められ
 薄暗かった屋敷に灯りが灯ったよう
 
 人一人、訪れただけ
 それだけの変化がもたらしたものは
 この数刻で彼が己に与えたものは酷く大きい

 叶うなら、与えられた分だけ
 己も彼に何かを──幸せを与えたい
 そう、思いはするけれど ]


  お前が弾くならば、終わるまで
     聴き続けることはできるだろうよ

   寝ずに聴けというならば
      我はそれも可能だからな


[ 永遠に続く『ずっと』を誓うことは難しい
 けれど、一つの演奏が終わるまで
 その場限りの『ずっと』を誓うことはできるから ]
(67) 2021/06/23(Wed) 12:44:48

【人】 土地神 リン

[ 温められ、拭われ
 綺麗になった手で指切りの形を作り
 絡めることなく左右に振って

 それでも、感傷に浸り切らないのは
 己の性かはたまたこの嫁の性質か

 いずれにせよ、お仕置きの話が出れば
 ぐぬ、と渋い顔を作り ]
 

  あのなぁ……尻叩きは
      あれは意外に痛いのだぞ!?
   
    それを蘇芳のやつ
        我のこと鼓みたいに叩きおって


[ 寝てるところ髭を描いたのがいけない
 即座に捕まり、酷い目にあった
 その他にも叱られたことは多々あるが
 あの尻叩きが一番に痛かった

 万が一にも試しにされてはかなわぬと
 指切りの手で尻を隠したりなどしていれば
 いつのまにか相手は着替え始めていて ]
(68) 2021/06/23(Wed) 12:46:55

【人】 土地神 リン


  ……ふむ、ヘソはあるか
     まだとられてはいないようだな


[ 着替える様に、ふむり
 頷いてから、己はどうだったかと
 ひとしきり首を傾げたりなどした後に ]


  うむ。風呂が後か、わかった
      沸かす手間もないからな
 

[ その点だけは便利である
 と、いうよりもそうでなければ
 きっと己はそのまま水風呂に浸かっていた

 パチパチと火が音を立て
 細かな火の粉が空にふわりと舞う
 その度、冥桜の背に隠れ
 おっかなびっくり様子を見守り]
 

    切るのと洗うのはやるからな
        火の番は……その、頼む


[ 釜が噴き、置いた蓋が音を立てる
 小さく悲鳴を上げ、男の背に顔を埋め* ]
(69) 2021/06/23(Wed) 12:48:49

【人】 書生 茅

[ヒトの身に、天狗さまの妖力は過ぎたものだった。
だから青年の身体はそれに見合わんと、変わらんとするのだが…まだ、まだ。足りない。
巡る妖力が暴れ、扱いを知らぬ青年は振り回され……遠くの声を、音にならぬ声までを拾ってしまう。

いっそ、憎めたらよかった。
  憎むには、愛しすぎた。

呪えたら、よかった。
  呪うには、情が湧きすぎた。

生まれついての化生であれば、こんなにも青年を苛むことはなかったろう。
ヒトで、なければ。
  ヒトで、なくなれば。

ざわりと、青年の背中で黒い靄が渦巻く。

欲しいなら、奪えば良い
けれど青年の欲しかったものは…
欲しかった、ものは……]
(70) 2021/06/23(Wed) 20:15:37

【人】 書生 茅

 
[
『落ち着けぇ、小僧!』


その声>>36に、横面を張られたように錯覚した。]
 
(71) 2021/06/23(Wed) 20:16:15

【人】 書生 茅

[気づけば重ねられた唇に、瞬き一つ。
奪うような口づけではない。
少しだけ吸われ、腕の中に囚われる。

いつの間にか、頭蓋の内側で響いていた声が、幕の向こうのように遠のいていた。
自然、解放した耳から、『青年の為の言の葉』が滑り込む。]

 『お前の居場所』

       『お前はワシの嫁じゃ』

   『ここに居れ』


        
              『何処にもいくな』
(72) 2021/06/23(Wed) 20:17:20

【人】 書生 茅

[腕の中で青年が伸び上がり、天狗さまの頬を両手で包んで口を吸う。
その言の葉一つ一つも喰らわんとする様に。

伽藍堂の心臓を、温かいもので埋めたくて。
飢え切った雛鳥は、いくらでも餌を求めて嘴を開く。

ちゅちゅ、と唇を重ねる内、『要らない』声が遠のいて、消えた。
代わりに青年の背中に、黒い翼が揺れる。
天狗さまのそれと比べればずっと小ぶりで、飾りみたいなものだけど。
瞳の色は落ち着いた朱に変わる。]
(73) 2021/06/23(Wed) 20:18:37

【人】 書生 茅

 嫁、なら…
 一緒に暮らして良いの?

[何度も唇を啄んで、ようやく満足した頃青年は小さく問うた。
あんたのとこに、居ていいの?

捨てられることはないと確信したからこそ、口にできた問いだった。

これから先、天狗さまが与えてくれるものが無ければ、どうにも青年は生きていけそうになかった。**]
(74) 2021/06/23(Wed) 20:18:53

【人】 五色 冥桜

[ずっと聞くことなど叶わぬことだ。
その様なことは重々承知している。
何よりもただ聞くだけでは男は自身がそれを許さぬことも知っている。

音も、詩も。
心を動かしてこその代物であり変化を求めてしまうのだ]


  夜は寝るものぞ。
  寝る前に弾くものもあるがな。


[寝ずに聞けということはない。
ただその一度の調べに向き合ってくれればそれで良い。
左右に振られる手に目を凝らしてからそっと頬を撫でてやる。
撫でていたからこそ表情の変化にも気づけたもので盛大に噴き出すと楽しそうに笑い声を漏らして頭を撫でてやろう]


  それはハリが良いのだろう。
  鼓も同じでハリのないものは音が悪い。
  お主の尻は叩き甲斐があるのだな。


[尻を隠し始めるとその仕草もまた可愛らしく。
ヘソを見られると余計に見せてやりもした。

生活の順を考えるのは大切なことで。
少しずつリンとの生活時間を確立していくのはそれぞれが何を行うのか役割分担は臨機応変に]
(75) 2021/06/23(Wed) 20:50:26

【人】 五色 冥桜

  ん、なんだ、どうしたというのだ。
  お主……火が怖いのか?


[背に隠れるリンへと首を後ろに回して小さすぎて姿は頭くらいしか見えず。
肩を竦めては赤子ないてる蓋を棒で押さえた。
怖いということで茶化すことはせず揶揄いもしなかった]


  何、そういうこともあるものだ。
  こうしたものはな、道具を使うものよ。
  上手く炊くには今しばらくは待たなければならないがな。


[目が見えぬ分は音で分かるのだが後ろの悲鳴と前の鳴き声がとても混ざり合っていて微妙に分かり難い。
少し早めに木炭を崩して火力を削っていきその分少しだけ長めに炊くことにした結果、蓋を空けるとお焦げが出来た塩梅の炊きあがり加減となっていたことだろう。

米が炊けたならばその木炭を七輪に移して包丁を入れた干し鰻に串を打ち込み炙っていきながら残り火に葉に包んだ薬味入り味噌を放り込み熱していった。

少し経てば良い香りがしてこよう*]
(76) 2021/06/23(Wed) 20:51:16

【人】   天狗

[小僧の身に何が起きているか天狗にはわからない
だがそれでも、元が自身の妖力であるがゆえに「わかる」
絶望と困惑に飲まれた小僧が人ではないものに変わろうとしていることに>>70
闇に飲まれたまま、変わる自覚のないまま

恐れた、天狗を受け入れた無垢な小僧がそんなことで「壊れる」ことを
満たされたように笑う小僧を、無くしたくないと初めて心から思った

声を上げる、何処にもいくなと心の底から
足りぬかと、そう小僧を見遣れば、伸びてきた手に「すくわれる」]

 ん

[欲しいというなら、何度でもくれてやろうと強請られるままに吸い合って
抱いていた手を背に沿わせればそこに感じる違和に目を瞠る>>73
当人は気付いていないのか、まっすぐな瞳を天狗に向けて、問うた>>74]
(77) 2021/06/23(Wed) 22:34:07

【人】   天狗

 当り前じゃ、言うたろう
「嫁は共に暮らすもん」
ってな
 それにな、小僧、何よりワシがお前と一緒に居たいんじゃ

 その証拠に、なぁ

[そ、と小僧の背に触れる……正しくは、小僧の背に現れたそれに]

 ほれ、まるで子天狗じゃ
 驚いたぞ、小僧……ワシの妖力をこうもきっちり受け入れてくれるとは思わなんだ

[おそらくは望んだのだ、互いに「同じでありたい」と]

 人には扱えん力じゃ……だからお前さんはああなったんじゃが
 いったい何が起きたんじゃ?

[問うは小僧を心配してのもの
しかし、小僧が「聞いた>>30」話を聞けば、表情は険しいものになっただろう]
(78) 2021/06/23(Wed) 22:35:27

【人】   天狗

 
……小賢しい連中とは思っとったが、そこまで腐れておったとはな


[小僧が助けたいと望んだ村だ、絆されれば見逃すこともあっただろうが
その思いを踏み躙る奴らにはもはや嫌悪しかなかった
この件で天狗の怒りを買ったなら「馬鹿なよそ者が勝手にやったこと」と
何しろ嫁は「殺される」のだ、死人に口なしと小僧一人に押し付ける気だったに違いない

だが小僧は死なず、こうしてすべてが露呈した
どうしたものか、などと考えるまでもなかったが]

 のぅ、小僧……
まだ村を助けたいか?

 もし小僧がその気なら、ワシに考えがあるんじゃが、聞くか?

[悪いようにはしないと人の悪い(天狗だが)笑みで問う
もう小僧には必要のない場所だろう村の処遇を**]
(79) 2021/06/23(Wed) 22:37:34

【人】 土地神 リン

[ 己は必ずしも眠りを必要とはしない
 それでも夜は寝る、その習慣は染み付いていた

 理由は簡単──
 これまで共に暮らしたどちらの嫁も
 夜には床へ入っていたからだ
 
 日が落ちれば共に布団へ入り
 物語など語ってもらい目蓋を閉じる
 そうして物語の続きを考えているうち
 いつのまにか日が昇り、また朝がくる
 
 己にとっての眠りとはそういうもので ]


  寝る前に弾くもの──……
      子守唄みたいなものか?

    寝る前は物語が多かったが
         違うのもまた、良さそうな


[ 培われた流れを変えるのは少し怖い
 そのくせ、違いを求めてみたくもなる
 これもまた新しい嫁
 ──冥桜がもたらしたものだろうか
 
 楽しそうに笑う声に頬を膨らませつつ
 言葉を重ねれば重ねるほどに
 たしかに形作られていく関係を感じながら ]
(80) 2021/06/23(Wed) 22:44:00

【人】 土地神 リン

  
   そう、だな
      火は少しな……苦手だ

    火の粉は綺麗だが
       燃えれば何も残らんからな
         全て飲み込むのが恐ろしい


[ 嫌いなもの、怖いもの、苦手なもの
 弱点を、弱みを曝け出したのは
 これからを共に歩む相手だからこそ

 そうでなければ決して教えはしないこと
 ぐつぐつと暴れる蓋が棒で押さえられれば
 背中にいてもわかるほど、大きく息を吐き ]


  成る程、冥桜は賢いな

   う、我のことは気にせずとも
     離れていれば大丈夫だからな
         急がずとも、問題ない


[ 火は怖いが美味しいものは食べたい

 炊き立ての米の旨さを思い浮かべると
 逃げるのをぐっと堪え、背中にピタリ
 おっかなびっくり冥桜の様子を伺っていたが ]
(81) 2021/06/23(Wed) 22:44:23

【人】 土地神 リン

[ しばらく後

 米が炊け木炭が七輪に移され
 煙も火の粉も、だいぶ収まった頃

 辺りに漂う良い香りに耐えきれず
 こそりと七輪の近くへ寄り ]


  お味見は、ないのかや?
     

[ 一口くれと、口をぱくり

 無理ならそれはそれで仕方がないと
 さっきより少し急いでお膳を整えるだけ* ]
(82) 2021/06/23(Wed) 22:44:47

【人】 書生 茅

[強請るままに与えられる幸福を、あんたは知っていただろうか?>>77
飢え続けてきた者にとってそれは、とてもとても信じられないような恵みだった。

合わせた唇を何度でも、吸うことを赦し、吸ってくれる、だからそんな、甘えたことも口にできたのかもしれない]

 ふふ……
 共に、うん、そう、共に暮らすもの、

[一緒に居たいって、言われた言葉にまた悦びながら、寄り添っていると、背中の『存在しないはずの場所』に触れる感触に、驚いてびくりと身を跳ねさせた。]

 え?
 …え??

[指摘されて初めて存在を知った小さな翼を、はたはたと羽ばたかせる。
動くなら、これも身体の一部ということだろうか?
どう見ても、ヒトの身体の一部ではないけれど
]
(83) 2021/06/23(Wed) 23:55:22

【人】 書生 茅

 あぁ…うん……

[問われ>>78、しょん、と翼が垂れる。
暫しの間をおいて、ぽつぽつと語るは『聞こえるはずのない声』の話。
聞いただけではきっと、幻聴か何かだと思うのが普通だ、
けれどそれが幻聴でないことは、天狗さまだから分かってくれること。
青年自身も理屈抜きにそれが真実であると確信していた。]

 腐れ……

[行き所を無くした想いを持て余していると、天狗さまが代わりに言葉にしてくれる。>>79
そうか。
腐ってる
のか。

青年は、ヒトだった。
今はもうヒトなのか分からないけれど。
それでも“ヒト”への情が一朝一夕に無くなるものでもない。

けれど、そうか。
腐っていたのか、彼らは。

ならば他を腐らせる前に、
『切り取らねばならぬ』
。]
(84) 2021/06/23(Wed) 23:55:55

【人】 書生 茅

 え?
 いや…別に……

[助けたいか、問われて初めて明確に気づく。
青年にとって、あの村は最早『どうでも良い』こと。
だってもう、青年は居場所を手に入れた。
いつまでも、しがみつく必要もない。

天狗さまが、笑っている。
人の悪い笑み、けれどそれも、嫌いじゃない。
だから、青年も笑みを返す。
く、と小首をかしげて見せ。]

 何?
 良いコト?

[それとも
『悪いコト』


どちらでも良かった。
天狗さまが、青年にとって悪いことを、考えるはずもないので。**]
(85) 2021/06/23(Wed) 23:56:17

【人】   天狗

[小僧の背に生じた子天狗の羽は、猫の目のように小僧の感情を写すようで
混乱の原因を問えば、しょもんとそれはもう力なく垂れてしまう>>84
それだけ慕っていたのだろう、身代わりになろうと思うほどに
だからこそ
「腐れている」
と切り捨てた
居場所を得て、欲しいものを得て悦ぶ小僧を利用した者どもを]

 そうか、別に、か
 正直じゃの、お前さんは
 それじゃ、あの村は潰してかまわんか

[身を投げ出してまで一度は助けようとした村というのに
その小僧に見限られたなら、天狗にとっても「価値はない」]

 ワシがお前さんにとって悪いことをするわけがなかろ

[などと、小僧がそう思っているとは知らずに答えて]
(86) 2021/06/24(Thu) 1:22:00

【人】   天狗

 小僧、ワシの眷属にならんか?
 今のお前さんは人としても天狗としても半端もんじゃ
 嫁としては申し分ないが、今のままじゃ人と同じで妖力を抑えきれん
 下手するとすぐ死んでしまうかもしれん、それはワシが嫌じゃ

 眷属になれば人じゃなくなるが、妖力を好きに使えるようになる
 本物の子天狗になるんじゃ
 それにな、ワシと同じで長く生きられるようになる
 
 ずっと、この先永劫、ワシの嫁としてそばに居らんか、小僧

[思いついたことを、それはもう一息に伝えて反応を待つ

そうして、はたと今更のように気付くのだ]

 そう言えば小僧……お前さん、
何という名じゃ


[大事な嫁の名前を、まだ訊いていなかったということに**]
(87) 2021/06/24(Thu) 1:26:25

【人】 五色 冥桜

  その様なものだ。
  静かな夜を彩るのは夢の国へ続く道のりで。
  寝る前の物語と言えば幾夜にも渡り語るものもある。


[日により気分により謳うものは変えると良いものであるし三味線で弾く音色だけではなくそれは笛の音であっても心落ち着かせてくれるものである]


  火は便利なものだが怖いものでもある。
  畏敬、畏怖……火は人の営みと共にあり。
  同時にそれ自体が信仰の対象でもあった。


[押さえている棒から中の具合は伝わってくるものだ。
賢いと褒められれば満更でもない笑みを浮かべる]


  そうであろう。
  とは言えど離れてしまえば炊きあがる最中の香りや。
  炊きあがり蓋を開けた瞬間の最高に良い香りは逃してしまう。


[逃げぬ姿勢を褒めようとして、その目当てが味見となるといよいよと盛大に笑いだす]
(88) 2021/06/24(Thu) 1:52:12

【人】 五色 冥桜

  はっはっ、こちらは怖くはないのか?


[火の粉が飛ぶ程の火力でもないが木炭はそれでも煌々と赤く光っているものだ。
それは確かに熱を感じさせるもので火に通ずるものであるが――]


  少し待て、味噌の具合をな――。


[放り込んでいた葉に包んだ味噌を取り出し包みを解く。
中では熱された味噌が薬味と合わさった良い香りをさせており開封と同時に周囲へと広がった。
それだけで白飯はいけるのだが――。]


  これをな、こうするのだ。
  匙はこれか。


[炙り柔らかくなった干し鰻の身を少し崩し、白米を匙の上に乗せそこへ更に崩した身と乗せ味噌を乗せる。
一口大の本日の夕餉を作ればそれを雛鳥のように口を開くリンへと差し出した]


  熱いからふうふうして食せよ。
  それとも予にしてほしいか?


[からり笑いながら皿に炙った干し鰻を乗せ味噌を添え膳を作ってしまえば夕餉は完成した*]
(89) 2021/06/24(Thu) 1:52:24

【人】 鬼の子 千


[乱入者の登場はその場の者達にとって予想外。
諦めた獲物も興奮した捕食者らも、音に配る意識が欠如していた。

故にあっさりと取り返される。
気の合わない同胞が捨てたものを拾いに今更やって来ても、
納得はしないままでも、言い争いの結末として彼らは引かざるを得なくなった。

闇に潜み様子を見ていた者達も、黙したままに離れていき
そうして、鬼と鬼子だけが残される。]
(90) 2021/06/24(Thu) 1:57:54

【人】 鬼の子 千



 何も違わねぇよ……

[場が静まるまで地に伏したままでいた鬼子は、抱き起こされ漸く顔を上げる。そうして閉ざされない右目の紅を睨みつける。
返したのは嘆きではなく、言い争う最中鬼が叫んだ言葉への答え。

何故戻ってきたのかなど、こちらが聞きたいくらいだった。
要らないのなら、捨てたのならそのまま喰わせれば良かったのに。

そう思うと、ふつふつと滾り奥底から湧き上がるものがあった。
今まで経験したことがない感覚は、抑えが効かなかった。]
(91) 2021/06/24(Thu) 1:58:12

【人】 鬼の子 千



 誰がこんなことをしてほしいなんて言った?
 誰があんたと暮らすのが嫌だって言った?

 あの時愛想を尽かしたなら、そう言えばいいだろう
 お前なんて嫌いだ、だから捨てるって言えよ……!
 望んでもいないことで、俺のせいにするな!
 自分の気持ちで自分の言葉で拒絶しろ!

 さと、さと、さと。今傍にいるのは俺なのに!
 あんたはこっちのことは少しも見ずに、
 最後には死んだ人間の夢まで押し付けて!

 俺はさとじゃない。俺は、俺は…………
(92) 2021/06/24(Thu) 1:58:37

【人】 鬼の子 千



[俯き、厚い胸板を何度も拳で打つ。
響かないと知りながら、痛まないと分かりながら、
加減のない力に、言葉になりきらず自己でも解釈しきれない感情を乗せ、何度も繰り返された。

村人に浴びせられ、そして浴びせてきた罵りは
ただの一つも口にせずに。*]
(93) 2021/06/24(Thu) 1:59:22

【人】 鬼 紅鉄坊



[ 予想外の一言が鬼の思考を停止させ、>>91
 昼間の意趣返しの如く口を挟めなくなる。

 数多の言葉が山の中、大きな身体に降り注ぐ。
 いつか誰かを刺した罵りではない、
 小さな人間の中に溜め込まれ吐き出された想い。
 鬼が知らず置き去りにしてしまった遣らずの雨。>>92
 身を濡らすことはないまま深くに染み渡り、頭を冷ますようだった。

 望みを叶えない鬼との生活は、嫌ではなかったというのか。
 相手のことを考えていたつもりで、自分勝手になっていたのか。
 真にこの若者から自由を奪ったのは、己だというのか。

 軽すぎる拳が、何より重い。]
(94) 2021/06/24(Thu) 2:00:18

【人】 鬼 紅鉄坊



そうか、そうか、……

[ 腕に収めていなければ届かない、囁きめいた大きさで
 見目に不似合いな幼い響きが落とされた。
 頷きあやすように背を撫で、叩き付けられた全てを噛み締める。 ]
(95) 2021/06/24(Thu) 2:00:58

【人】 鬼 紅鉄坊


すまなかった……千
私たちは互いに、言葉が足りていなかったな

[ 恐ろしい思いをさせてしまった理由も、呼び名も
 きっとこれが正しいのだと、すんなり受け止めることが出来た。

 両親に愛され真っ直ぐに育った可能性の中の千太郎を想い
 親無し子で歪んだ男を哀れむのではなく、あるがままを視る。
 此処にいるのは千であることを受け止める。

 押し潰さず、添えるだけでもない力加減で抱き締める。
 誘われるまま犯しそうになった過ちと近い距離
 今は本能はざわめかず、ただただ胸に満ちるものがあるばかり。

 他者には捨てたようにしか見えない行為をしながら、
 何故あんなにも憂い足を留めてしまったのか、今なら分かる。 ]
(96) 2021/06/24(Thu) 2:01:07

【人】 鬼 紅鉄坊



お前が本当に望んでいるのは、喰われることでは無いな

[ 当人に自覚があるのかは怪しいが、
 思えば最初から、言葉の節々に表れていた。

 人の一生はとても短い。
 何も求められず望まれず、ただただ物のように闇に置かれる十年は
 役目を担う鬼の百数十年より、長く感じるものなのかもしれない。 ]

なら、与えることが出来るのかもしれない
帰ってきてくれ、私の花嫁よ

……あの娘やお前の為ではなく、私が望んでそう願いたい

[ 理解していない様子でも教えることはない。
 身を離し、しっかりと目を見つめながら代わりに口にするのは、

 自分の気持ちで自分の言葉で紡ぐ、千を求める想い。 ]
(97) 2021/06/24(Thu) 2:01:55

【人】 鬼 紅鉄坊



[ 散らばる荷を集め、拒まれなければまた抱き上げて
 独りでは見つけられなかった帰り路を、共にしようか。

 要らなくなった物は何も無い。
 明日も廃寺には変わらない朝が来るだろう。 ]*
(98) 2021/06/24(Thu) 2:02:11

【人】 鬼の子 千



[言葉が足りていなかった。それは真に違いない。
何事も口にしなければ明確な答えは得られないだろう。
何故戻ってきたのか、鬼の口から語られはしなかったように。

しかし、本当に相手を見ていれば伝わるものはある筈だ。
あやす掌の慈しみや強すぎる抱擁の中にある感情が、鬼子には痛い程に感じ取れた。
初めて会った時は鬼を理解出来ない男と思っていたのが嘘のようだ。

拳はとうに解け、下りた腕は広すぎる背に回っている。
穏やかな影色に包まれて、強い雨は勢いを失い消えた。]
(99) 2021/06/24(Thu) 2:02:44

【人】 鬼の子 千



 俺も……悪かったよ
 紅鉄様を無理矢理、けだものにしようとしちまった
 文句を言いもしないでさ

[心から謝るなど、今まで一度でもしただろうか。鬼子はふと疑問に思う。

随分とそのせいで取り返しのつかないことになり、気にもしてなかった。
むしろそれこそが満たされる唯一の方法だと思っていた。

千、そう自然に響いた呼びかけが、鬼子にらしくない言葉を紡がせたのかもしれない。
知らぬ母が嫌いなのではない、本来はそう名付けられる筈だったと知っている。どう呼ばれても構わないと思っていた。

それでも千として生きてきた。だから漸く、認められた気がした。]
(100) 2021/06/24(Thu) 2:03:12

【人】 鬼の花嫁 千




 …………そうなのか。そう、かもしれねぇな
 何しろあんたが言ってるんだから

[少し考え、ぎこちのない返事をする。

未だ実感が沸かない。でも、何となく分かる気もした。
それ以上にこの鬼の言葉に強い信頼感が今はあった。]

 ひひ、本当に酔狂な鬼だなァ
 言うことも聞かない、迷惑を掛ける
 女でもない白髪の嫁なんぞでいいのかい?

 
紅鉄様がなんと言っても、俺はあんたがいいけどな


[らしく不気味に笑って見せても、ほろりと覗く別の顔。

表層を剥がされたのは、鬼子のほうであったらしい。]
(101) 2021/06/24(Thu) 2:03:47

【人】 鬼の花嫁 千




[運ばれ置かれた記憶はまだ新しすぎる。
伸ばされる腕を避けるが、代わりに隣に立って腕を掴んだ。

合わない身の丈の男同士では、なんともちぐはぐな絵面なのだろうが
どれ程怠く感じ痛んでも、辿り着くまでは離さなかった。

その夜、眠るまで部屋にいてほしいと望んだ願いは叶えられただろうか?**]
(102) 2021/06/24(Thu) 2:04:07

【人】 書生 茅

[純粋で無垢だった心についた染みは、和紙に落とした墨汁のごとく、黒々として、広がってゆく。
『あの村は潰してかまわんか』>>86
問われた言葉に、それは無邪気に笑ってみせた。]

 いいよ!

[今まで気づかなかった、否、目を背けてきたあらゆる『悪意』に気がつけば、それはもう、青年にとっては文字通り騒音に他ならない。
それに……

語る天狗さまの言葉>>87を聞く内、背中の小さな翼がぱたぱたとはためく。
それは恐らく、『ごきげん』のしるし。

ヒトでなくなることに、躊躇は無かった。
だって、嫁にしてくれる。
ずっと、側を許してくれる。
他ならぬ、あんたが。
そして、最後の最後、思い出したように問われた内容に、声をあげて笑った。]
(103) 2021/06/24(Thu) 20:06:57

【人】 書生 茅

 茅、と申します。
 不束者ですが……
 末永くよろしくお願いいたします。

[なんて、わざと三つ指ついてみたりなど。
天狗さまの婚姻は、きっとヒトのそれとは違うだろう。
けれど、“ヒトだった”青年が、本当にヒトを捨てる前に、最後に行う“ヒトの真似事”だった。

そして、“ひとでなくなった”青年が、本当にヒトを捨てて最初に行うのはきっと……]

 ねぇ、天狗さま。
 眷属にしてもらったら、俺でもできるかな?

[あの村を、潰してしまうことが、って。**]
(104) 2021/06/24(Thu) 20:07:16

【人】 土地神 リン

[ 夢の国──
 その言葉に息を吐き、目蓋を閉じる

 神だからか、単に己がそうなだけか
 幾ら物語に耳を傾け目蓋を閉じようと
 その先にあるのは昏い世界が広がるだけ
 彼の云う彩りなどはありはしない

 昏い中、聞かされた物語の続きを考える
 己にとって物語とは、目蓋の下の闇を払うものであり ]


  夢の世界とはよいものなのだろうな……

   火も、眠りも嫌いだ
     お前たちは歳を経るごと長く眠るようになる
       やがて眠ったまま目を覚まさなくなっていく

     ──蘇芳も、緋扇もだ
         夢の世界から帰ってこなくなる
            我は夢の世界が少し、にくい

  
[ ポツリと吐き捨てた言葉は半ば独り言
 やがて話題は火へ、鍋の蓋へ移り変われば
 心の中に巣食う靄も少しずつ薄れていき
 
 賢いと彼を褒めた頃には
 すっかりといつもの調子を取り戻し ]
 
(105) 2021/06/24(Thu) 20:47:22

【人】 土地神 リン


  ほ、ほら。香りは離れていても届く
      完全にではないが、多少はな

   だが味の方はそうもいかない
       だからこれぐらいの我慢なら……
        ……あ、こら!笑うなっ!!!
     

[ 盛大な笑い声に、地団駄ひとつ
 ぷい、とそっぽを向きかけたものの
 美味しい予感が加われば怒るに怒れなくなり ]


  匙はそれだ
    ふうふうは、してほしいが
      お前に頼むと食べられそうだ


[ せめてもの憎まれ口
 そのくせ、自分で吹くことなく口を開け
 早くくれとばかりに着物をついと引っ張って

 そんなふうにして夕餉ができれば── ]
(106) 2021/06/24(Thu) 20:47:43

【人】 土地神 リン


  なぁ、冥桜。夕餉が終わったら
     先に約束した通り……曲を
         

[ よく笑い、話し、動く新たな嫁
 ──冥桜と過ごし違いを見たためか
 眠った緋扇はもう目覚めない
 うっすらとそういう予感が胸にあった

 緋扇の分の膳をと求めることなく
 茶碗を二つ、箸を二膳、二人分の盛り付けをして ]
 

  それでな、冥桜
    縁側で食べぬか……?


[ 風が涼しく、心地よいから
 そんなふうに理由付けをし、問いかけを* ]
(107) 2021/06/24(Thu) 20:47:57

【人】 五色 冥桜

  さて、どうであろうかな。


[空ろに見える世界を瞼で遮り闇の世界へと視線を移した。
そこは闇の中ではあるが何も見えないわけではない。
聞こえる息遣いや気配がありありとリンの姿を浮かびあがらせてくれるのだ。

夢の世界が憎いとリンは語るが確かに大切に想う相手が自分以外の元へと旅立つのは憎くも感じよう。
ただそれだけではないと教えてやれると良いのだが――]


  笑ってしまうのは仕方なかろう。


[変わらぬ調子に戻り、更に地団太をして拗ねる雰囲気は中々に笑い声を誘うものである。
ただそれは馬鹿にする類のものではないのだが中々どうしてリンは喜怒哀楽に富んでいる]


  何せお主がそうやって予を笑わせてくれるのだからな。


[ふぅ、と匙のミニ干し鰻丼に息を吹きかける。
幾度かそうして冷ませば開かれている口へと匙を差し入れた]
(108) 2021/06/24(Thu) 22:30:02

【人】 五色 冥桜

  匙は噛むのではないぞ。


[唇を閉じれば匙を引き抜き空となったのを確認する反応を窺うのである。
さて、此度はどのような反応をしてくれるのか。

それを見る前から小さく笑っている男は肩を揺らしながら膳を整えていた]


  良いぞ、お主が誘ってくれるのだ。
  予はどこへでも向かおう。
  夢の世界は大方神代の世界か現実の苦楽であるが。
  此処の情景はその意味では夢の様であるからな。

  その前に――。


[膳は更にもう一つ。
永く眠る者へは小さな小さな椀に白米を載せ干し鰻を一切れ自分の分から取り載せておく]
(109) 2021/06/24(Thu) 22:30:09

【人】 五色 冥桜

  これを緋扇の枕元へ置いてやると良い。
  阿修羅というものは腕が六本あるそうだが。
  予の手は二本しかないからな。


[男の手には自分のものとリンのものの膳しか持てぬと告げ、作った椀を示す]


  永く眠る者へはこれくらいで構わぬものだ。
  こうしてやって、曲で知らせてやればな。
  夢の中ででも気づけるらしい。


[そこを断定で伝えることはせずぼやかして。
縁側に案内してくれとせっつこうか]
(110) 2021/06/24(Thu) 22:30:17

【人】   天狗

[村の処遇を問えば、無邪気に是が返り
その様子に天狗の懸念も晴れた>>103
もう、小僧にもあの村は必要ないのだと、ならば躊躇う筋もない

そうして、眷属になれと理由と共に告げたなら、背の翼が軽やかにはためいた
真っ直ぐに感情を向けてくる小僧が可愛くて仕方がない
妖力を受けヒトではなくなりつつあって、歪むことのないその様子は
確かに天狗を安心させたのだ、きっと眷属となっても小僧の本質は汚れないだろうと]

 
そんなに笑わんでくれ


[今更に名を問うのに小僧が笑うが、今の今まで他人の名なぞ気にしたことがなかったのだ、仕方がない、と思う

暫し笑ってから、どこか芝居じみた仕草で「名」を告げるのを聞く>>104
人が嫁入りするときの約束事らしいとは、長く生きた中で聞いたことはあるが
つまりは、「茅」の中での婚姻の意思なのだろう
人の子が生まれた家を捨てて他家に嫁ぐように、「ヒト」を捨て「天狗」へと嫁ぐのだと]
(111) 2021/06/24(Thu) 22:45:55

【人】   天狗

 そうか、「茅」というのか
 お前さんらしい素朴な名前じゃの……ん?

[教えられた名を大事な物のように口の中で転がす
真っ直ぐに天狗を見て問う言葉に、意を得たというように笑って頷いて見せた]

 ああ、
出来る

 そのための眷属じゃ、茅が力を使いこなせるようにするためのな
 お前さんを騙すような村じゃ、お前さんが潰すのが一番よかろ

[自分らが騙し嘲笑った「阿呆」に潰されるとなれば、あの村の奴らはどんな顔をするか
それだけのことをしたと思い知ったところでもう遅いが]

 住処まで帰るつもりじゃったが、善は急げじゃ
 ここで眷属となる契りを交わしてしまおうかの……


[最後に名を呼んだ声音は不思議な力を孕み
すぅ、と表情が真剣なものに変わる……気さくな天狗から山神のものに]
(112) 2021/06/24(Thu) 22:47:53

【人】   天狗

 契りっつーても難しいことじゃないから安心せぇ

[そう言いおいてから左手を口元へと運び薬指の先へと歯を立てる
ぷつりと、僅かに黒みを帯びた
い血を零す指を、まっすぐに茅へと向け]

 ……茅よ、お前にワシの血を授けよう
 眷属となってこの先永劫ワシにしたが……違うか、ワシのそばに居るために

 まあ、ちぃっとこの血を舐めればいいんじゃ、簡単じゃろ?

[正式な文句やら手順やらはあるがそれは形だけのもの
面倒だと放り投げ、一番大事なことだけを茅に告げる
本来なら猛毒となる強い妖力持つ天狗の血は
眷属となる契りを望む者の前では、「媚薬」のように
甘く
香る**]
(113) 2021/06/24(Thu) 22:50:18

【人】 龍之介

 
  
── 裏の森 ──

 
[掃除で日々鍛えられた体。
 慣れぬ足場に苦戦することはあっても
 息が上がることはない。

 ただ、焦りから来る疲労は
 空っぽの籠を担ぐ肩に重く伸し掛かっていた。

 それでも、探す目を手を足を緩めずに
 一刻半で尽きる蝋燭の
 三本目が残りわずかになった頃]



   ────!!



[漸く見つけた手がかりに息を飲む。]
 
(114) 2021/06/24(Thu) 23:51:01

【人】 龍之介

 
[慌てて地面に手を伸ばし、提灯にかざせば
 ぷちぷちとした細かな実が
 集まった一房だった。

 小鳥が美味しいところだけ啄んで捨てたのか
 天敵でも現れて急いで逃げたのか
 食べかけのもの。

 匂いを嗅ぎ
 指で潰して汁を舐めてみれば
 淡い酸味と甘さが口の中に広がっていく。



    (これなら…!)



 ミクマリ様が
 好んで召し上がられているものと比べれば
 食べでがあるとは言い難いけれど…

 甘さを足して煮詰めて
 まんじゅうや寒天などに添えたりすれば
 おそらく満足していただけるはず。

 それには量が必要だと
 見上げる梢は、確認できぬほど高かった。]
 
(115) 2021/06/24(Thu) 23:51:07

【人】 龍之介

 
[逸る気持ちで荷を下ろし
 背負い籠だけになると
 二拾尺、いや三拾尺はありそうな樹を登り出す。

 途中、何度も足を滑らせて
 ひやりとしつつも
 どうにかこうにか辿り着けば
 鈴なりの豊かな実りが待っていた。



   (ああ、よかった…!!)



 空が薄っすらと染まり始める中
 熟している房だけを選び
 手早くもいで籠に入れていく。

 山盛りとは言えないまでも
 それなりの量を確保して降りる頃には
 空だけでなく
 指先も赤く染まっていた。]
 
(116) 2021/06/24(Thu) 23:51:13

【人】 龍之介

 
[荷は増えたはずなのに軽く感じる籠と共に
 するすると降りて
 暗い地表が近づいて来た、その時。


 ────
ガッ



 何が起きたのか分からぬまま
 衝撃に転がった。


 ぱきり、と
 ひしゃげた籠が悲鳴をあげるから
 ミクマリ様への土産を気にして
 即座に身を起こそうとする、すぐ傍で


   
グルルル…
 


 獰猛な獣の、低い唸り声が響く。]*
 
(117) 2021/06/24(Thu) 23:51:20

【人】 書生 茅

[分かりやすい形式的な婚姻を踏まなくたって、嫁入りはつつがなく完遂される>>111
名前を褒められればまた、嬉しそうに翼が揺れた。
名前だけは、何もかもを忘れて路傍に転がっていた茅が、唯一記憶の向こうから持ち越せたものだったから。
唯一それだけが、本当の意味で己自身のものと、自身を持って言えたから。
]

 んふ、

[茅本人が村を潰すのがよかろうと、天狗さまも言う。>>112
青年自身もそのように思っていた。
かつて村へと抱いていた愛の清算に。
憎しみではない。
これも、愛故である。
“ヒト”は、そうは思わないかもしれないが。]
(118) 2021/06/25(Fri) 0:14:24

【人】 書生 茅

 ……ハイ、

[名を呼ばれ、青年の表情が、すぅと静かなものに変わる。
ヒトならざるモノへと変貌したとて、青年のあまりよろしくない頭が劇的に良くなるわけではない。
だから単純化された儀式は正直ありがたかった。>>113
指先にできた
い玉に、視線が吸い寄せられる。
い、香りに誘われるようにして、青年は差し出された手をそうと両手で捧げるように添えた。
その指先に、そ、と唇を寄せる。
ちろりと舌先を見せると、与えられた血の雫を、つ、と掬った。**]
(119) 2021/06/25(Fri) 0:14:50

【人】 土地神 リン

[ 背中に張り付いていれば
 冥桜の表情を伺うことはできない
 目蓋を閉じたことも
 その先に何を描いているのかも
 
 ただ、伝わる温もりが
 耳に届く相手の声が
 確かにいると教えてくれるだけ

 そもそも、同じ身体ではないのだ
 これまで辿った道も、個も違う

 同じものを見ているようでいて
 決して完全に同じとは言えない
 だからこそ、共にいる意味がある

 喜怒哀楽
 己一人なら小波すら起きなかったものが
 冥桜がいるだけで、水面に石を投げられたよう

 笑い声にすら怒ったり喜んだり
 自分でもわかるほどに
 目まぐるしく反応してしまうから ]
(120) 2021/06/25(Fri) 0:20:53

【人】 土地神 リン


  むっ……ぐ、笑わせてなど
    そも、我は赤子ではないのだ
      言われなくとも匙など噛まんわ


[ 反論ついで、勢い余って匙を噛む

 それ見たことかと言われぬよう
 素知らぬ顔でそのまま味見を続ければ ]


  ん、む
    ──んまいな


[ 脂の乗った干し鰻が飯の上でほろりと解ける
 噛むごと、口に味噌の香ばしさが広がっていく
 ゴクリと喉を鳴らし、ただ一口を味わって ]


   なぁ、お代わり──っと
       んや、これは味見だったか


[ 忘れていたと、赤い舌を出す
 夕餉は縁側でと伝えたのはその後だったか

 小さな膳を拵える冥桜を見
 鰻の端が彼の膳から分けられたのをみれば ]
(121) 2021/06/25(Fri) 0:21:19

【人】 土地神 リン


  ながく眠るものの膳、か
    そうだな動かず食べれば肥えるからな 


[ それでは動く者の分
 今日、働いた冥桜の分は
 己の分から補うことにしよう

 広いとは言え、限りはある屋敷の中
 炊事場から緋扇の眠る褥まで小走りに
 枕元へと膳を置き、目蓋を閉じ ]


  ──今日はな
    縁側で食べるからな


[ 声に出し伝えたのは多少の後ろめたさから

 そうして、そっと冥桜の袖を引き
 こちらへと歩みを促して ]
(122) 2021/06/25(Fri) 0:21:43

【人】   天狗

[ひとおもいに村を潰すのは、天狗からすればある意味「慈悲」でもある
なぜなら、守りの力を断ちじっくり苦しめて潰すこともできるから
そしてまた、茅本人にそうさせるのも、村に罪を教え悔やむ機会を与える「慈悲」
これ以上腐れる前にという「慈悲」だと、人ではないがゆえに思うのだ>>118]

 このまま放っておいてもよくならんじゃろ、あの村は

[そう、天狗にしてみればそんな理由でしかない

そのための、そしてそれ以上に末永く共にあるための儀はつつがなく
思いっきり省略したので滞りようもないのだが>>119
差し出す指先の赤に引き寄せられるかのように唇寄せる姿に頷いて

舐め掬い取る舌先に、満足げに口元を緩ませる**]
(123) 2021/06/25(Fri) 2:17:02

【人】 鬼 紅鉄坊



[ 二度と離さまいと手を引いて連れ帰った花嫁の細やかな願い>>102
 叶えない理由は、ありはしない。

 横たわる身体の傍ら、壁に背を預け胡座をかいた。
 眠れぬようなら話でも聞かせただろう。

 さととの思い出、
 自分がどのようにして千を知ったのか、
 何故置き去る程に喰らいたくないのか、
 あの時去ってから何を思っていたのか。

 聞きたくない話もあったのかもしれない。
 しかし、鬼には今の千なら受け止めてくれるような気がした。 ]
(124) 2021/06/25(Fri) 3:31:39

【人】 鬼 紅鉄坊



[ やがて黒い眼が閉ざされても、その場に在り続けた。

 いつかは死体と見紛う寝姿に心穏やかではなかったが、
 見つめる先に彼が怪我一つない身体で眠っていることが、
 行灯の光が色の無い髪に仮初の暖かさを宿す光景が
 不思議と気持ちを落ち着かせてくれる。

 その内訪れた目の奥が沈むような感覚に身を任せ、
 座したままの姿勢で、鬼は花嫁の部屋で夜を明かした。 ]
(125) 2021/06/25(Fri) 3:32:14

【人】 鬼 紅鉄坊

── 後日 ──


小さく軽いものだからな
転んだ時、合間から落ちたのだろう
風に乗ればもう見つけようはあるまい 

気にするな。元はと言えば私が強引に事を為そうとしたのが悪い

……新しい村で過ごしても、思い出してくれたらなどと
欲を出したのも、うむ。私の責任だ

[ いつか挟んだ花のことを思い出したのはどちらだったか。
 荷は全て回収していた為、確認するまでには数日掛かった。

 その時点で望みの薄さは分かりきっていた。
 あの時千が襲われていた辺りに出向いては見たが、
 やはり見つかることは無く。
 今一度共に部屋の中を確認し、そう結論付けた。 ]
(126) 2021/06/25(Fri) 3:32:48

【人】 鬼 紅鉄坊



もう簡単に花を摘み取りはしないだろう?
なら、あれも無意味だったわけでもないさ

それに、全て千が生きていてこそだ

[ 本当に、間に合って良かった。
 そう言い添えた鬼は、太い指で不器用に白色を撫でた。

 幼子を愛でる触れ方とは違う、掬うように慈しむように。 ]

……お前も変わったが、私も以前のままとは言えないな

[ ふ、と短く息を吐き。一時逸れた目線は
 山の深くへと続く方角へと向いていた。 ]
(127) 2021/06/25(Fri) 3:33:05

【人】 鬼 紅鉄坊


[ 誰かの意味の為に摘み取られた花が
 この山の何処かで躙られ、潰えてゆく。

 それを理解しながら見ないふりをして、
 忘れぬよう刻むなどという、救いにもならない贖罪を重ねて

 手の中の一輪を、実を結ばない花だけを大切に抱える。

 鬼の両腕の届く範囲は、見目よりずっと狭かった。
 己を挟む二つの存在のどちらも捨てられず、
 選ぶことも出来ずにいた腕が唯一を見つけた。 ]**
(128) 2021/06/25(Fri) 3:33:29

【人】 鬼の花嫁 千


[ 自分が眠らなければ心優しい鬼は自身の寝床に戻れないというのに
 一向に目を閉じようとせず、語り部とさせてしまったのは
 再び捨てられると怯える疑心からなどではない。
 
 静かに目を細め聞き入る姿には、信頼と安堵が宿る。
 聞きたがらなかった母親の話にも、
 今は嫌がる様子は見せず、静かに相槌を打って受け入れた。 ]

成程な、あの村らしいやり方だと思うぜ

汚いものは他の誰かに捨てさせるか、隠しちまうのさ
そこを暴くのが愉しくて愉しくて仕方なかったもんだ

[ 口を挟んだのは、確かに知らなかったこちらを鬼が知った経緯。
 釣り上がる口角、過ごした日々を思い出すが
 とても遠い記憶のように感じ、それは語り口に表れる。 ]
(129) 2021/06/25(Fri) 3:34:31

【人】 鬼の花嫁 千



[その夜の寝顔はきっと、常よりは安らかなものだった。]
(130) 2021/06/25(Fri) 3:36:15

【人】 鬼の花嫁 千



  ─後日─


 散々紅鉄様を誂ったものだけど
 案外、俺も楽しみにしていたのさ

 それに、強引にさせちまったのもこっちだ

[花の出来上がりではなく、その時相手と何を話すのかを。

故に慰めを受けても首は横に振られる。落ち込むことはなくとも、少し残念だった。
思い出ごと不要とされたのではなく、鬼の側にとっても大切なものだから持たされたのだと分かったのなら一層に。]
(131) 2021/06/25(Fri) 3:36:45

【人】 鬼の花嫁 千


 へぇ……へぇ!
 鬼様にもそういう欲もあったんだなァ

[僅かに言い淀んだ様子を見逃さず、紅色を覗き込むのは根付いた癖がさせたこと。
しかしあの夜、置き去った後の鬼が抱いていた苦しさを聞かされていたが為に、それ以上言葉を求めることもなく鬼子の顔は引っ込んで。

まるで子供を教育するような問いにも、素直に顎を引く。]
(132) 2021/06/25(Fri) 3:36:53

【人】 鬼の花嫁 千



 ……俺も今はそう思ってるよ

[あの夜出会った、血肉を求め喰らう者
奪われんとしたその瞬間、何の喜びも生まれなかった。

髪を撫で梳く手の甲に指で触れ、隆起した命の流れをなぞる。]

 なら、これからも変わっていくあんたを見ていられたらいいね

[交わる視線は離れ、互いに同じ方角へと向いた。

思わぬ邂逅を果たした傍らの男の同胞を思い、唇は引き結ばれた。**]
(133) 2021/06/25(Fri) 3:37:13
 




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