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【人】 高山 智恵 今度はナナの方が「高山さん」と、通話を切ろうとする私を引き止めた。 そして彼女は、私のように逡巡を挟むことなく、スピーカー越しにはっきりと告げてきた。 『なんなら私、高山さんと結婚してもいいと思っています。 そのくらい、高山さんが側にいてくれると、 助かりますし嬉しいです。 だから私、31日にそちらのカフェに来ます。 私は店長から貰った黒猫マントを着ようと思うので、 高山さんは一昨年の魔術師マーリンの仮装で来てください』 え? と思った矢先に矢継ぎ早に告げられたのは、何かとんでもない無茶振りだった。 (114) 2022/10/24(Mon) 12:51:01 |
【人】 高山 智恵 確かにハロウィーン前日と当日は学生諸君客のハロパに合わせる形で、接客担当は何かしらの仮装をしてくるのが通例になっている。 (なので、基本裏方に徹していたナナは仮装をしなかった。彼女が貰った「黒猫マント」というのは、バイトのホールスタッフからイベント後に返品されたものが彼女に回ってきた形だ) 仮装の度合いもカチューシャ一つから全身コスプレまで業務に支障を及ぼさない範囲で様々だが、大学時代のことが切欠で決定された私のマーリンはその中でも結構なコスプレだった。 衣装の詳細は皆々様のご想像にお任せしておこう。 「う、うん……分かった。 じゃ、来てくれるの、待ってる」 『はい。それでは失礼します』 こうして今度こそ、通話は打ち切られた。 (115) 2022/10/24(Mon) 12:51:40 |
【人】 高山 智恵 はあ、と狭いリビングのカーペットの上で溜息をつき、仰向けに寝転がった。……なんか何時かの写真のだるだるなカナブンの幼虫みたいだな私、なんてぽつりと思う。 ………………。 ちょっと色々なことがありすぎた挙句、最後の仮装の無茶振りに全部持っていかれて呆然とするばかりで――。 どうでもいいけれどこのアーサー王伝説のマーリン、相当な ナンパ男 だったっていう伝説もあるんだよね……。多分ナナはそこまで深く考えてはいないだろうけれど。そう、魔術師マーリンの再来の件のインパクトで、一瞬、記憶から抜け落ちていたのだけれど。 基本的に、ナナは嘘を吐けない>>2:107。嘘を言っていたとしたら、それは彼女自身が真実だと誤認したことだ。 そしてこれまた基本的に、彼女はわりと物言いが直接的だ。含みを持たせた言い方だとか比喩だとかは、皆無という訳ではなかった気もするけれど、あまり言わない方だ。 そしてそんな彼女は確かにさっき、あんなこと>>114を口にしていた。 それも、わざわざこちらを引き止めて言い置く形で、だ。 (116) 2022/10/24(Mon) 12:52:46 |
【人】 高山 智恵「 ……そういう、こと、なの ? 」 「もしかして」、という期待自体は確かにあった。けれどそれは全部、ただの自分に都合の良い妄想だと思っていた。 だから――この状況に対して、全く現実味が追い付いてきていない。 どうする。どうすればいいの私。本当どうすればいいの?? もう一回電話掛け直して問い質す? いやいやこんな調子で問い質しに行って私ちゃんと喋れる?? 大人しくじっと塀の上で佇んでいた野良猫にいきなり襲撃された時でも、こんなに動揺したことはなかった。 ――とりあえず落ち着こう。落ち着こう……。 買ってきたばかりのプラリネの箱を開け、シンプルに徹したくちどけと甘味に意識を一旦向ける。 本当は彼女の恋路を応援する心算で買ってきたこのチョコレートだった、けれど……その恋路の先が本当にどこに繋がっているのか、すぐさまにはちょっと予想図が描けない。 (117) 2022/10/24(Mon) 12:53:25 |
【人】 高山 智恵 ああ全く、本当に、本当に。 猫は気まぐれで、薄情に見えて、時に凶暴なようでいて――それでもちゃんと体温のある生き物で。 そんな一見気まぐれにも受け取られかねない正直な一言に、こんなにも揺り動かされている。 ――ううん、これは猫の一言じゃない。人間であり、ナナという人だ。 本当の意味で、私はあの娘から離れられなくなった。離れようがなくなった。 ナナの言葉の真意は、それでも未だはっきり自信を持って確かめられたわけじゃない。けれど。ううん、だからこそ。 せめてハロウィーンの当日には、ちゃんと彼女の思いに向き合って――私の想いも、今度こそ伝えよう。 (118) 2022/10/24(Mon) 12:54:47 |
【独】 高山 智恵/* エピのうちになんとか〆られるところまで〆ようとしたら異様に長くなってしまった……! どうしようかなーと大分迷ったんですが、片想いor失恋、とのことでしたので、それに甘えてこんな形の終わり方に落ち着かせました! と、昨日から体調は大分戻ってきています。ご心配おかけしました……! とはいえもう一度顔出しできるかちょっとわからないので、今の内にご挨拶。 さかのかです。今回飛び入りでこの村をお見かけして、丁度今なら入れる!と思って飛び入りいたしました。 ゆるっと参加の中でも他の方と素敵なお話いただけたり久々にがっつりソロル頑張れたり、絡みのないところでも陰から皆様の想いの物語にどきどきさせられたり、ですごく楽しかったです! 村建てくださったもくもくさん、ご一緒くださった参加者の皆様、ありがとうございました! (-67) 2022/10/24(Mon) 13:01:37 |
高山 智恵は、もう一度戻れたらいいなの期待を置きつつ、どろん** 2022/10/24(Mon) 13:07:08 |
【独】 霧ヶ峰 友紀/* そういうことなの…!?(ぺんらいとふーりふり そして、きょうはさすがになにかおとーす! そのつもり…そのつもりなんだけど、9時になるともう眠くてもう…( (-68) 2022/10/24(Mon) 13:39:04 |
【独】 古寺 貴菜/* 終わるまでに何か落とそうと思ってはいるけど、練れば練るほど「こいつ【人の心】ないな」になるし、出力という形にするだけの体力もなく……落としたい気持ちはあるんですよ、気持ちは!! 交流もできんかったなあ…… 落としにこれたらいいなと思いつつ、来れなかったときのためにお疲れ様しておきます…… (-69) 2022/10/24(Mon) 14:10:52 |
【独】 室生 悠仁/* 高山さんの、素敵な物語でした……! 勢いのある話の運び方に思わず唸るオチが好きです 俺もこの先来れるかわからないので、一足先にお疲れ様でした。 またどこかで! (-71) 2022/10/24(Mon) 20:21:01 |
【置】 楯山 一利─恋心─ 中学になると、恋愛に対して関心が強くなり それまでなんとも思っていなかった異性が 一人の女性として、すごく綺麗に見えるようになる。 俺もそうだった。 亜由美の事を、ずっと姉みたいな存在で 俺は弟みたいなポジションなんだと思っていた。 それは、家族愛にも似た温かな感情。 だけど家族愛は ───"恋"に変わった。 (L6) 2022/10/24(Mon) 20:54:48 公開: 2022/10/24(Mon) 20:55:00 |
【置】 楯山 一利中学のスキー合宿。 俺にとっても、亜由美にとっても 初めてのスキーだった。 だから俺たちは、初心者コースから 始める事になったんだけど……。 合宿当日、スキーのグループが "男女"で分けられた。 アイツとは別のグループになったんだ。 小学生の時の林間学校や、修学旅行でも 男女部屋を別々にさせられるけど それとは訳が違う。 スキーはスポーツだ。 なのに、わざわざ男女を分ける必要があるのか? 当時そんな疑問が湧いた。 だって小学生の時は、運動会も体育も 男女で分けられた事なんて一度もなかったし いつも、亜由美と競い合っていたんだ。 ところが、このスキー合宿では それが許されなかった。 最初は意味が分からなかった。 (L7) 2022/10/24(Mon) 20:55:38 公開: 2022/10/24(Mon) 20:55:00 |
【置】 楯山 一利でも、周りの男子たちと話していると 『〇〇さんが可愛い。』だとか 『××さんの胸が大きい。』だとかの話になって……。 それまで全く何も思わなかったけど 男女の違いや、性について初めて知ったんだ。 そして、亜由美は、 "女の子"だったんだ、と……。 …月日は流れ、俺の身長が伸びて来て 遂にアイツを追い越した時。 それを再認識させられたんだ。 (L8) 2022/10/24(Mon) 20:58:32 公開: 2022/10/24(Mon) 21:00:00 |
【置】 楯山 一利それからは、女子の中でも 亜由美が一番綺麗で可愛く見えていた。 アイツが他の男子と話してるのを見たり アイツに気がありそうな男子がいると知ると モヤモヤしたり、ムカついたりもした。 でも亜由美は、最後はいつも俺の所に来てくれる。 他の奴には話さないことも、俺には話してくれた。 苦手な勉強だって、付きっ切りで教えてくれた。 ガキの頃から毎年贈ってくれた、 バレンタインチョコ(義理)だって 中学になっても変わらずくれたし。 俺との約束は、絶対に守ってくれた。 俺という存在が、他の誰よりも 優先順位が高かったことが嬉しかった。 (勿論、俺の一番はずっとアイツだった。) (L9) 2022/10/24(Mon) 21:01:12 公開: 2022/10/24(Mon) 21:05:00 |
【人】 霧ヶ峰 友紀─そして─ カズさんと言う新しい人と出会い、カフェのバイトも終わってまたさらに日が経った頃。 私は家の花壇のヒマワリを片付けていた。 あの人が好きだった向日葵の花。 夏を思わせるその花の花言葉は 『憧れ』 『情熱』 『貴方だけを見つめる』 他にもあるけれど。 (120) 2022/10/24(Mon) 23:13:26 |
【独】 霧ヶ峰 友紀あの人に向ける想いは、まるでその花言葉のようだったと思う。 あの人が大好きで。 あの人に憧れて。 でもその想いは裏切られてしまったけれど。 太陽を見つめ続ける向日葵のようなその想いは、枯れてしまったけれど種を残している。 次に続く想いの種。 新たな出会い。それが恋に繋がらなくても。 新たな推しを見つけることもあるだろう。 それがいつになるか、分からないけれど。 (-72) 2022/10/24(Mon) 23:13:41 |
【人】 霧ヶ峰 友紀花を切り、種を採る。 網籠の中に入れて種を日陰で休ませて乾燥させる。 花や茎は細かく刻んで花壇の土に混ぜ込んだ。 次に何かを植える時の肥料になるように。 それはまるで禊ぎのようで。 次に来る恋の、そのために傷を癒すようでもあって。 (121) 2022/10/24(Mon) 23:13:54 |
【人】 霧ヶ峰 友紀向日葵の花枯れる頃。 都合よく次の想いに繋げられるわけではないけれど。 私は、私なりに消化して。 今までの思いも経験も肥料にして。 きっと次の花を咲かせようと思う。 きっと私は、次もまた。 大きな向日葵の花を咲かせるはず。** (122) 2022/10/24(Mon) 23:14:11 |
【独】 霧ヶ峰 友紀/* なんっっっっっとか、〆だけ描きました。 村たてとして村のタイトル回収だけはした! そして皆様、素敵なRPをありがとうございました。 語彙力死んでますが、本当に皆様素敵で…またどこかでお会いできたらと思います。 そして、ソロ可のこの形式が、体力自信ない自分にはちょうど良いかもと思ったのでまたこの形式で立てるかもしれません。 その時や、他の村でお会いできた時にはよろしくお願いします。** (-73) 2022/10/24(Mon) 23:16:03 |
【人】 楯山 一利─告白─ もう今更、好きだなんて言えない。 …そう思ってずっと伝えられなかった気持ちを やっと口にすることが出来た。 言葉にした後は、恥ずかしさよりも 不安の方が勝っていた。 「……なぁ。どうなんだよ。」 まだ答えない彼女に痺れを切らして、 もう一度どう思っているかを訪ねる。 今、何を思っているのか。 俺に告白されて、どう感じているのか。 イヤだったのか嬉しかったのか……。 それでもまだ口を噤んだままだった。 彼女は、膝元に置いていた手で スカートの裾を握り締めている。 (123) 2022/10/24(Mon) 23:19:25 |
【人】 楯山 一利そうしたまま、どれくらい経ったろう。 …とても長く感じた。 30分以上は経過していたような感覚だった。 『………ごめん。』 やっと口を開いた彼女だったが 出て来たのは、謝罪の言葉だった。 「なに、謝ってんだよ……。 俺の気持ちには応えられないってこと? だったら、そう言ってくれよ。」 『………。 ごめん。 どう、言ったら良いのか。 上手く言葉が見つからなくて。』 「なんだよそれ……。 別に、俺を傷付けないようにとか そういう気遣いはいらないからな?」 フラれたらそりゃショックだけど。 ハッキリしないままの方が不安を煽られる。 だったらスパッと無理と言って、 この硬直状態をなんとかしたい…。 (124) 2022/10/24(Mon) 23:19:53 |
【人】 楯山 一利『ううん、そうじゃないの…。 私もね。 カズの事、好き…… なんだと思う。』 「だと思う、って…。どういうこと?」 俺と同じ気持ちなのかと期待が膨らむ反面、 曖昧な言い方で終わった事に、モヤモヤとする。 『自分でも、よく分からないの。 ずっと、私はカズのこと 弟みたいな子だと思って接してた。 でも……時々、分からなくなった。 カズが、智恵さんとか… 他の女の子と楽しそうに話してる時も ブレイクダンスの話をしている時も 胸が苦しくて仕方なかった。 心配とかそんなんじゃなくて "寂しい"って思ってたの。』 (125) 2022/10/24(Mon) 23:20:27 |
【人】 楯山 一利「寂しい……?」 その気持ちの意味は何なのか? 何処から来るものなのか? それが分からないと言った口ぶりだった。 『でもそれは、カズが私の元から 巣立って行っちゃうことなのかなって。 でも、そうじゃないのかも……。 カズの気持ちを聞いてたら、 嬉しいって気持ちもあるし。 …分からないの。』 ごめんなさい。そう付け加えて 亜由美は苦い表情で俯いた。 なんだろう……コレ。 ストレートにフラれるより辛いかも。 男として好きとも言って貰えてないし かと言って、否定もされていない。 (126) 2022/10/24(Mon) 23:20:49 |
【人】 楯山 一利『…ちょっと、時間が欲しい。 一人で考えたい。』 なんだよそれ。変に期待しちゃうじゃんか。 でも結果的にやっぱり無理でした。 ってなったら、崖下に突き落とされるのと 同じくらいショックがでかいと思う…。 それでも、俺は待つんだろうな。 彼女の中で答えが見つかるまで……。 「……分かった。待ってる。」 それからは、二人一緒に互いの家に帰って 連絡は取らないまま、眠れない夜を過ごした。 想いは実る事も、枯らす事もないまま 今日という日が終わりを迎えようとしている……。 (127) 2022/10/24(Mon) 23:21:09 |
【赤】 楯山 一利俺は友紀さんに、幼馴染へ告白したことと その結果どうなったかを報告するために スマホを取り出して、トーク画面を開いた。 「友紀さんこんばんは。 さっき、アイツに告白しました。 でもYESもNOも貰えませんでした。 ちょっと考えたいみたいです。 だから、それまで待ってみます。 以上、報告でした。 また進展あったら連絡しますね。 勇気を、ありがとうございました!」* (*1) 2022/10/24(Mon) 23:21:45 |
【独】 楯山 一利/* ギリギリ〆投下出来てよかった……。 村建てさん、同村して下さった皆さん 楽しい村をありがとうございました! りおでした。 一期一会の出逢いに感謝。 (-74) 2022/10/24(Mon) 23:23:03 |
【独】 楯山 一利/* 友紀さんのエンディングも見れて良かった!! タイトル回収素晴らしい…。 本当にお疲れ様でした! 皆さんお大事に。またどこかで。 (-76) 2022/10/24(Mon) 23:29:26 |
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