人狼物語 三日月国


111 【身内村】あの日の、向こう側【R18】

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視点:



[ さっきまで見下ろしていた綺麗な瞳が、
今は俺の顔の上で煌めく。
……ずいぶんと色を変えて。

覆い被さって降る口付けは情熱的で、
食らいつく唇をされるがままに受け止める。
甘くて、激しい。

ネコタチが時に入れ替わる俺たちだけれど、
攻めていても攻められていても、
ギラギラした欲望を滾らせて優位に立とうとする
海斗はとても好き。

喰らい尽くしたい、と溢れる熱を浴びて
幸福感に包み込まれて、
暴れる舌に口内を素直に明け渡した。 ]
 


[ 唇を喰まれれば大袈裟に眉間に皺を寄せて、
切なげな吐息を零す。
掌をさすり上げて、背中を撫でて、後頭部に触れて。
頸にかかる生え際の髪を指で弄び、
赤い花が見えれば指でそっと撫でて。

飲みきれない唾液が口端から流れ伝う。
キスの好きな海斗が、満足気に笑うのが見えた。 ]
 


[ キスをしながら器用に片手で蓋を開ける
ローションのボトル。
手の中に満たされたそれは海斗自身の手でまた
後ろに塗り込められていく。
この体勢からじゃ良く見えないのが残念だなぁと
下卑たことを思った。 ]


  俺がやりたいのに、それ。


[ わざと駄々を捏ねるように口にすれば
心底楽しそうな悪戯な顔で、俺の下腹部に
無造作に注ぎ落とされるローション。

敏感な皮膚に、それなりに冷たい粘液が
纏わりついて、びくんと背が撓る。 ]
 



  ─── 、ッ


[ 刺激と同時に、海斗の考えていることがわかって
少し慌てた。 ]


  おい、ナマはやばいって、


[ 咎めるように腰を引こうとするけれど、
そんなことお構いなしといった様子で先端が
後孔に導かれてしまう。 ]


  ちょ、まっ、って、ん、っ、ううぅっ!


[ 止める間も無く、一瞬でがつんと体重がかかり、
一気に飲み込まれる熱芯。
あまりの衝撃と快感に、後頭部をシーツに押しつけて
ぎゅっと目を閉じた。
瞼の裏で、火花が爆ぜるよう。
あられもない嬌声が漏れる。 ]
 


[ 俺が掘ってるはずなのに、犯されている。
そんな背徳感にひどく興奮してしまう。

煽るつもりはなかったけれど、さっきの海斗と
同じように、手の甲を口元に当てて、
歯を立てて声を殺して苦し気に見上げてやった。 ]


  ん、……ぅっ、かい、と、
  知らねぇぞ、中で、出したら、っ、は
  腹下すん……だから、


[ そっと口元から手を離し、海斗の様子を伺い見る。 ]
 


[ 海斗に余裕がありそうならば、 ]


  そーか、出さなきゃ、いいのか、


[ なんて、ふ、と表情を変えて、にんまりと
唇を歪ませてみようか。
今度は意志を持って、愉悦を逸らしながら、
揶揄ってみたくて。
煽られっぱなしじゃ、悔しいじゃない?

とは言え、中は熱くて蠢く腸壁で締め付けられて
そんなに余裕はないのだけれど。
下から腰をがっしり掴んで突き上げて
腸の行き止まりのその先まで、がつがつと
抉ってしまいたい。
そんな欲望に手綱を引いて、初心な女みたいに
ゆっくりと、ほんの少しだけ、腰をくねらせるだけ。 

─── それだけでも脳髄を快が貫いて、
結構ギリギリでやばい気はしてるんだけど。
 ]**
 

[ 柔い唇を食んで、歯を立てて、
  歯の形を舌でなぞり、口蓋を擽る。

  自由にさせてもらえるなら、と
  遠慮なく味わい、口内を弄べば、
  切なげな吐息が耳を擽るから、余計煽られ、
  口づけの激しさは、増していった。

  俺の身体に触れてくる、固くて優しい指先が、
  首筋の赤い花を弄ぶと、くすぐったくて、
  でも、それだけじゃない、もどかしいような
  微弱な快感に、キスの合間に甘さの滲む
  吐息を、そっと吐き出して。

  棚の方へと手を伸ばした。]


   ん、―― また、今度な?


[ 駄々っ子をあやすように、言葉を返せば、
  にやり、と笑みを浮かべながら、
  自身の後孔に指を突き入れて、入口をぐるり、と
  輪郭をなぞるように、皺を伸ばすように、
  滑りやすくするため、ローションを塗り込める。]

[ 浅いところしか、弄れないのがもどかしい。
  はぁ、と眉を寄せながら、
  声が跳ねそうになるのを噛み殺して、
  切なげな吐息を漏らす。

  適当に解し終えれば、腰を下ろすと、
  慌てた声が聞こえてきて、おかしそうに笑った]
 
 
   いい、だろ―― ッ、ん"……ッ、


[ 腹を下したって、構わねーよ。と、
  ぐ、と一気に埋め込めば、
  兄貴の口から、犯されているみたいな
  いやらしい声が溢れ出して、
  蠱惑的な瞳をいっそう、熱に濡らして、
  まだ乾ききっていない、唇を舐めた。

  少し、腰を浮かして、
  また、腰を落とす。

  ぐちゅ、ぐちゅ、と
  再び部屋に響く、淫らな水音と、
  リズムと合わせるように、漏らされる荒い吐息。

  腰を揺らして、くゆらせて、
  強く締め付けては、緩めて、
  奥を狙って腰を、落とす。]

[ 何も阻むものもなく、本当に繋がっている。

  熱くて、固くて、求めるように
  互いに絡み付き合う肉の感触に恍惚する。

  やっと本当に、一つになれた気がした。


  本当は、ずっとこうしたかったんだ。と
  身体も心も悦んでいて、羞恥心も何もかも、
  今は捨てて、腰を動かした。]


   はッ、ん、……はぁ?
   そんなん、できんの、―― かよッ?


[ ぐ、とまた腹に力を入れて、
  締め付けながら、搾り取るように、
  腰を浮かせば、ずちゅ、と勢いよく、腰を落とす。

  脳髄まで駆け巡るような快感に、
  目の前が、一瞬、チカチカとして、
  自身の体重でより、深いところを犯せされれば、
  堪えきれなかった甘えた鼻にかかった声が、
  ぬるい空気をまた、震わせた。]

 
 
   あ、ッ、はッ、……それ、とも、
   ふっ、―― 優しいにいちゃんは、
   俺の為に、我慢……ッ、して、くれんのか?


[ 余裕なんて、ないけれど。
  余裕そうに、唇を歪めて目元に張り付く
  前髪を掻き上げながら、煽るように微笑む。

  両手を伸ばして、握りあえば、
  支えてもらうように、体重をかけて、
  さらに腰を動きを激していって――…

  ぐっと、前かがみになって、顔を覗き込みながら、
  ずるりと、ギリギリ、まで
  生の肉の感触を引きずりだして、]



  なんか、背徳感でお兄ちゃん死にそう。
  お前がそんな、自分から、さ───


[ 臆することもなく、なんだったら見せつけるみたいに
自身の後ろを解しては、熱の篭った吐息を
吐き出して咲う海斗を、下から見上げる。

全身に力を入れていないと持っていかれてしまいそう。
ぎり、と眉根は寄せて、それでもどこか
隠しきれない嬉しさが浮かんできてしまって、
困った顔で笑った。 ]
 


[ 現実的な理性の膜さえ放り捨てて、
隔たりのない皮膚と粘膜が触れ合う。
ぐちゅ、といやらしい音が部屋中に響いて、
耳から神経を伝い脳が溶けそう。 ]


  ……ッは、ァッ……ぁっ……くっ、そ、


[ 耐えきれずに喉の奥がぐうと鳴った。
0.02ミリの薄い壁でさえ感じられなかった、
直に伝わる振動、衝撃、快感。


ああ、これが、
本当に、海斗が望んでいたことだったのかな。
ひとつに、溶け合う、みたいなさ。
 ]
 



  ……やれっ、て、言われたら、
  出すなっ、て、言うならさ、
  頑張っては、みる、かな、  ッ、は───


[ 挑む表情で、言葉通り締め付けられたり
搾り取られるように上下されれば、
なかなか難しそうではあったから、
面目にかけるならば自分の根元を握ってでも
耐えたいところ。
だけど海斗は許してくれなさそうで、
両手が伸ばされて握られて。 ]
 


[ 勢いよくずりゅ、と落ちてきた腰は、
腸の行き止まりのその先に触れる。
ふに、とした異なる感触に先端が喰われて、
一瞬意識が飛ぶほどの快感に襲われる。
眼前が明滅して、頭の中が真っ白に爆ぜそうで。
全力で唇を噛み締めて耐えた。
ふつ、と歯が柔らかい皮膚を突き破る感覚があって
鈍い痛みが、ほんの少しだけ、現実に戻してくれる。 ]


  やっ、ぱむり、かも、……ッゔ
  ……てめぇ、覚えてろ、
  あとでぜんぶ、ッ、……ぅ あ゛、
  掻き出してやるからな───

 


[ 前屈みに近づく瞳。
余裕ぶった煌めきと笑顔。
悪魔の囁きに、
心の底から満足気に笑んでしまう。

絡めた指に力を入れて、下から
腰を思い切り突き上げる。
幾度も幾度も。

本当は、ずっとこうしたかったんだ。と
身体も心も悦んでいて、羞恥心も何もかも
今は捨てて、腰を動かした。 ]
 


[ 口内に錆びた鉄の味を感じながら、
一層深く抉った瞬間。

腸の奥深くに、白濁が迸る。

脳から全身から、繋がった結合部から、
ぜんぶ、全部、溶けてしまうような錯覚を感じて。

唸る声を噛み殺して、 ]
 

[ 見上げる視線を感じると、
  羞恥心から反抗心がむくり、と顔を出すけれど、
  ふい、と視線を外すだけで、言葉を向ける
  余裕はなかった。

  笑う声に視線を戻せば、

  眉を寄せて、困りながらも、
  嬉しそうに笑う様子が目に入って、
  幸せだと思う。]

[ 気持ちが良すぎて、腰が震えて、だけど
  上手く、自分でイイとこを擦れずに、
  もどかしそうに、腰を揺らしながら、
  必死に兄貴を達せさせようと、締め付けて。

  声も、呼吸も、弾ませながら、
  耐えきれないというように、
  兄貴の口から、漏れ聞こえてくる。

  唇に滲む赤すら興奮を誘って、
  色っぽい吐息と、悪態が、堪らなく
イイ
――]

 
    あッ、くっ、……ふ、ッ――
    いいぜ、……ん、ん"ッ


[ 掻き出さないといけないくらい。
  たくさん、俺の中に出せよ。

  言葉にならない挑発を受けてか、分からない。

  兄貴からも突き上げられれば、
  堪らず、身を捩り、身悶えて
  蕩けた鼻濁音を響かせて、絡めた指に力を込めて、
  身体を支えられながら、勝手に動くまま腰を揺らす。]

[ 指を絡めて、腰をくねらせ、
  幾度も、奥深く、本来なら侵させては
  いけない場所を犯されて、抉られて、満たされて。

  触れられていない俺のものは、
  既に腹につくほど、昂っていて、
  先走りと、汗で、また兄貴の肌を
していた。

 
錯的で、
徳的で、
  その光景にすら、欲情を煽られる。


  唇から意味をなさない声を溢れさせながら、
  快楽に脳を、思考を、染められながら、
  満足そうに破顔する愛しい人の顔が見えて、]

 
 
    ――ぅ、あッ、あ……に、きッ、
    夏、き……ッ、き、だ……


[ ぐちゃぐちゃになりながら、
  愛しさから、満たされる幸福感から、
  生理的だけではない雫が、頬を伝って、
  ぽたり、と兄貴の肌を伝っていく。

  ―― 涙ですら、兄貴を穢せたらいい


  そんな些末なことにすら、独占欲を滾らせながら
  兄弟だからかな、タイミングよく、
  腰をおとして、突き上げられて、
  蝶の奥深くを抉り犯された衝撃と快感に、
  ほぼ同時に、どく、と白濁を解き放った。]

[ 膜越しじゃない熱が、腹を満たす幸福感。
  こうして注がれても、何も生まれない。
  それは分かっていても、嬉しくて――]
 
 
    …… 知って、る


[ ふふ、と無邪気に、
  可愛くない返事をしながら、
  繋がったまま、胸の中に倒れ込み、]

[ べたべたで、ぐちゃぐちゃで、
  それでも、ひっつきあって、
  触れ合った熱の温度は、不快さなんて微塵もない。

  心地良くて、幸せで、満たされる。

  繋がったまま、この胸の中で眠ってしまおうか。
  そんな考えが頭をよぎるけれど。

  腹に収めたままでは、腹を壊すというのは、
  さすがに理解している。

  シャワーに行こうとか、風呂に入ろうとか、
  そういうことを提案されたなら、素直に頷いた。

  一緒に入ろうと言われたら、
  狭いだろ、と眉間にしわを寄せただろうが、
  掻き出してやる。という約束を持ち出されたら、
  ぶつくさ言いつつ、しぶしぶ了承しただろう。]

[ 風呂にも入って、ベッドの片付けもして、
  寝る準備を整えたなら、自身の部屋は、窓を開けて
 
  換気をしていて、暑いだとか。
  まだまだ、残暑厳しく寝苦しい夜だからとか。

  色々な理由をつけて、]
 
 
   今日は、兄貴の部屋で寝ようぜ


[ そんな風に強請ったなら、
  まぁ、弟に甘い兄のことだ。
  きっと、了承してくれただろ?

  満足そうに笑って、きっと同じ布団に潜り込む。]


   …… 俺だって、不安だったんた
   兄貴は、いつでも手放せるようにしてる
   そんな気がして――…


[ 愛してる。
  ただ、それだけなのに、
 
  ただ、それだけが難しい俺たちは、
  きっと、お互いに、終わりが来る日を悟ってた。

  だから、自分からは言わないけれど、
  相手に、終わりを言われたら、受け入れようとしてた]

 

   でも、さ……
   やっぱり、どう考えても……無理、だろ?

   手放せない、手放したくない
   そんなこと―――― 許せねー


[ ぽつり、ぽつり。
  喘いで枯れた、いつもより低く艶のある声で、
  語らなかった胸の内を語る。

  キスマークをつけられて、不安になった。
  兄貴に幻滅されたり、軽蔑されたり、
  ―――― 嫌われて、終わりになるのが怖かった。

  だけど、最中の黒い嫉妬の色濃い言葉を聞いて、
  俺は、不謹慎にも嬉しかった。同時に、腹を決めた]

 

   少なくとも、今はそんなこと考えられない
   今も、これから先も、――――


[ かたん、と空調の口から響く音に、
  微かに肩を震わせて、冷えた空気から逃れるように、
  逃がさないように、縋るように、
  兄貴の胸に顔を押し付ける。

  抱くのも、抱かれるのも、
  時に逆転する俺たちだけど、
  どんな形であれ、こうして心臓の音を
  一番近くで聞ける場所に、居続けたいと思う。]


[ ほたり、ほたりと涙の雫が落ちてくる。

熱で溶けてしまったみたいな身体に
冷たさが沁みて、心地良くて。

雨、みたいだな、と思った。

乾いた地面に染み込んでいくように、
俺の肌から吸収されればいいのに。

なにも、逃さないで、ぜんぶ、俺のものに。 ]
 


[ 繋がったまま倒れ込む身体をがっしりと
受け止めることが出来たのは良かった。

海斗の出したものが腹の間でサンドイッチの具になって、
汗だくだしもうなんかぐちゃぐちゃだったけれど、
珍しく囁かれた素直な愛の言葉は、
やっぱりとても小さかったから。

声も吐息も、一言も聞き漏らさないように
きつく抱き寄せたなら、
頬に触れたキスのお返しを、

俺は優しく、唇に。 ]
 


[ べたべたで、ぐちゃぐちゃで、
それでも、ひっつきあって、
触れ合った熱の温度は、不快さなんて微塵もない。

心地良くて、幸せで、満たされる。

繋がったまま、この胸の中で眠らせてしまおうか。
そんな考えが頭をよぎるけれど。

腹に収めたままでは腹を壊すというのは、
俺が口にした通り。
経験談?さぁどうだったかな。
 ]
 


[ とりあえず重たい身体を引き摺るように起こして
風呂に入ろうと提案したら、素直に頷いたかな。

きっと狭いだのなんだのと
眉間にしわを寄せただろうが、
掻き出してやるっつったろ、と有無をいわせず
にんまりと嗤って約束を持ち出せば、

ぶつくさ言いつつ、しぶしぶ了承してくれただろうか。 ]
 


[ あの夜とは比べ物にならない、自宅の浴室。
幼い頃から、何度も一緒に入ったけれど。

さすがにせまいな、とそれでも心底楽しそうな表情で
男二人、みちみちと入浴を楽しもう。

ざざっと浴槽を流して湯をためる間、
シャワーを手にして、海斗の後ろへ。
適温の湯を頭からかけてやりながら、
どうしても身体が密着してしまうのは、狭いからよ?

シャワーフックに引っ掛けて、
海斗がシャンプーでもしていれば、
ボディソープを手にして背中を洗ってやろう。

もちろん下腹部も尻のあたりも、念入りに。 ]
 


[ 泡だらけの身体を一度、流してしまえば、
壁に手をつかせてシャワーを手に取る。

せっかく綺麗にしたのにまたローションを纏わせて
ゆるりと後孔へ忍ばせた指を、ゆっくり沈めていく。 ]


  ……掻き出して、いいんだっけ?


[ と背後から耳元でいやらしく囁けば、
ぐにぐにと無遠慮に動かしてしまおうか。

だってほら、出さなきゃ腹下すからさ。 ]
 



  腹に力入れてよ。


[ と愉しげに耳朶を喰みながら、
ベッド部を外したシャワーをそっと、当てて。
人肌に温い湯をほんの少しの水流で、入れて、
流して、綺麗にしなくちゃな。

変態、恥ずかしい、そんな罵倒もどうぞご遠慮なく。
甘んじて受けましょう。
だって腹、下すよりいいだろ?
やっていいって言ってくれたし、と
にっこりと笑いながら、いい加減怒られるまで
しつこく洗浄しようかな。

風呂から出たら、シーツとバスタオルをはがして
洗濯機に突っ込めば、
必然的に俺の部屋へ来てくれるだろうなって、
海斗の顔を思い浮かれるのは、

めちゃくちゃ、いい気分。 ]*
 

[ 一般家庭の大きさよりは、
  多少広いという認識はあるけれど、
  それでも、大人の男が二人、入るには狭い。

  そんな風呂場に、渋々同行して、
  心地良い温度の湯をかけられながら、
  背中を向けて、鏡に手をつく。

  密着されると、今更だとしても、
  すべてが終わった後は、やはり照れくさく
  避けるように、出来る限り距離は置こうとする。

  真っすぐ鏡を見つめれば、
  濡れて曇ったガラスの向こう側でも、
  視線が絡みそうで、視線を逸らしながら、
  髪を濡らして、シャンプーを泡立てていく。

  触れてくる指や手のひらの感触は、
  意識しないようにしようと努力するけれど――]

 
 
   う、……ッ、ん……
   さっさと、しろよ――


[ 鏡越しに、羞恥に染めた瞳で睨み
  気を抜くと、甘くなりそうな声を耐えながら、
  兄貴の手を攫うことなく、自由にさせた。]



   ……っ、ぅん、掻き出す、だけ、だろ


[ まだ、ひくつく肉壁が、
  指を埋め込まれて、嬉しそうに波打って。

  思わず、甘え切った吐息が漏れてしまって、
  八つ当たりのように、言葉を紡ぐけれど、
  無遠慮に動かされてしまうと、
  それ以上、文句も言えず、

  耳朶に走るもどかしいような、優しい刺激に
  肩と、声を、跳ねさせ、意図せず、
  言うとおりに、腹に力が入れば、
  とろり、と粘度の高い白く濁ったものが、
  足の間を垂れていく。

  それは、すぐに温い湯に紛れて、足元を通り、
  排水溝へと消えて行ってしまった。

  あぁ、と熱い吐息が、切なげに漏れる。
  出て行ってしまうのが、ほんの少し寂しくて。]

 

   ば、ぁ……か、もう……ちょ、


[ 大体、掻き出しただろうに、
  しつこく弱いところを捏ねくり回されると、
  垂れ下げっていた俺のものが、
  少しだけまた、首をもたげ始めてしまって。

  罵倒を口にするけれど、
  どこ吹く風と受け流されて、
  この野郎と、心のうちで幾度も文句を言いながら、
  兄貴が機嫌良さそうに、笑っている声を
  蕩けそうになる思考の端で、聞いていた。

  風呂の後は、大分ぐったりしていて。
  いつもの強がりや反抗心も口にする気にもなれず、
  兄貴の部屋で寝かせてくれと、
  それでも、多少の言い訳のようなことを
  織り交ぜながら、強請ったのだった。*]


[ 本日二度目の風呂と、ついでにシャンプーだったのかも
知らない。
だから長湯をすればのぼせてしまうな、とは
心の片隅では海斗を案じながら、
それでも注ぎ込んだ胤が湯に混じり流れていく様に
視線ごと身体を離すことが出来なかった。

鏡に映る海斗の白い肌に、いくつもいくつも
赤が咲いていて、感じたことがないほどの
充足感に満たされてしまうから。

ぶつけるつもりなどさらさら無かった、
それでも迸らせてしまった嫉妬と執着心を
思い出せば我ながら呆れて苦笑いするしかない。

受け止めてくれた海斗が愛しい。

あんなにどす黒い、穢い欲望なのに。 ]
 


[ 排水口に消えていく白に、抱きしめた海斗から
吐息が漏れる。
ほんの少し、切なさと寂しさを含んでいるような声に
俺も気付かれないよう眉尻を下げた。

必要以上に丁寧な愛撫を文句も罵倒も聞き流して
しつこく続ければ、3回も出したものがまた
ゆらりと反応を始めているのが、
動かしている手に微かに触れる。

くつくつと含み笑いを噛み締めながら、
それでもこれ以上ふやけてのぼせると危ないなと
理性を奮い立たせて身体を離した。

湯船に浸かるか、もう先に出るか、
どちらにしても海斗が離れればその間に
俺もざっと身体を洗う。 ]
 



[ ふいに痛みを感じたのは肩で、
視線を落とせば歯形とそこに沿う傷が鮮やかで。


キスマークより深く、きっとそれより
ずっと消えづらい所有印。

さらに満足気に湯気のカーテンの下、ひとり笑んだ。 ]
 
 

**

[ 海斗は部屋の窓を開けていて。
俺は一応、酷使された働き者のマットレスに
シトラスの香りの除菌消臭剤をシュシュっとしておいた。

自室に戻る前にリビングに寄って、
親父の好きなジャパニーズウイスキーをちょっと拝借。
グラスを氷と琥珀色の液体で満たして、
それを手に自分の部屋へ戻れば、

幼い頃と同じように、遠慮もなく俺の布団に潜り込む、
変わらず愛しい弟が居て。

酒を一口、ぐいと呑んだ。
喉を焼くアルコールが心地良い。 ]
 


[ ぽつりぽつりと語られる胸の内。
声はいつもより掠れて、低く艶を帯びて。
妙に大人びて、色っぽく鼓膜を揺さぶる。 ]


  ……まぁ、な。
  どっかで、俺のこと嫌いになって、
  離れていってしまうことを望んでた。
  それが、幸せだって
  思い込もうとしてたから。


[ 返す言葉を、同じように訥々と。
期せずして海斗も同じ気持ちだった、と悟るから、
声はやっぱり同じように少し掠れて。

きっと、俺から終わりを示唆すれば
受け入れるつもりだったのだろう。

避けた唇に、酒が滲みる。 ]
 



  ───…… ああ。
  おれも、おんなじ。


[ 社会的な道義や、モラルや常識の傘を被って、
目を背けていた自分の感情に、
不謹慎にも嬉しくて、
不覚にも、喜んでしまったから。

だから、腹を括る。

高い酒をそんな飲み方するなと
親父の憤慨する声が聞こえそうなほど、
グラスの中身を一気に呷って。

海斗の覚悟を全部受け止める。
そんな決意を一滴残さず、飲み干すように。 ]
 


[ ベッドの海斗にゆっくり近づいた。
胸元に押し付けられる温もりを、優しく、
そしてしっかりと抱きしめながら
狭い布団に滑り込む。
あたたかい、離したくない。
離れたくない、誰にも、渡せない。 ]


  ああ、そうだな。
  ずっと、な───。


[ 自信に満ちた表情でにやりと笑う、
その唇に口付けを落として、髪を撫でる。 ]
 



ふたりは、いつまでも、
   しあわせに、くらしました。




[ いい歳して、デカい図体で、

そんな御伽噺を信じるロマンチックな兄貴でも


海斗おまえは、
しゃーねぇな、良いよって

言ってくれるだろ?─── ]**
 

 

[ 少し日焼けした肌に、
  白く普段晒されない肌に、
  愛しい人にしか見せない肌に、

  一片、二片――…
  無数に散った
い花弁が、
  鏡越しの曇った視界の向こうに滲んで見える。

  痕の数だけ、それ以上に、
  愛情を感じるように、ふいに胸の奥が熱くなった。

  そして、ちら、と
  視線をあげれば、兄貴の肩に浮かぶ、
  赤い歯型の痕―― 俺がつけた独占欲の
。]

* * *

[ 布団に潜り込んで待っていれば、
  兄貴は、片手にグラスを持って戻ってきた。

  父のとっておき、という奴。
  グラスの中で揺れる煌きを、ぼんやりと見つめて
  心の内を吐露すれば、おなじだったと、と。]

[ グラスを呷って、喉元が上下する。
  その光景すら少しだけ、どきり、としてしまう。

  頬が赤くなりそうなのを、隠すように布団を被って
  抱きしめられてもいないのに、兄貴の匂い包まれて
  これは逆効果だな、と顔をまた出して。


  近づく足音に視線をあげて、
  抱き寄せながら、一緒にまた横になる。

  怖いものなんて、なにもない。
  そんなことは、本当は言えないけれど。]
 
 
   ……その言葉、忘れんじゃねーよ?


[ ずっと、な―――。        
  その言葉を信じるから。 ]     

[ 髪を撫でる感触が気持ちよくて、
  さすがに疲れた身体から力が抜けていく。

  子どもに聞かせる御伽噺。
  寝物語の絵本の終わりの言葉。

 
しあわせな しめくくり


  ふわふわとした、微睡みの中で、
  それを耳にしながら、ふにゃと、

  仕方がねーな
  夏生あにきだから、許してやるよ、って

  至極幸せそうに、破顔った―――― **]

【人】 木峰 海斗

[ あれから、何度か切り出そうとして、
  他の奴らの邪魔が入ったり、タイミングを掴めず、
  首につけられたキスマークのことは、聞けず仕舞い。

  何か、切っ掛けはと思っていれば、
  以前、借りた参考書のことを言われて、
  そういえば、返してなかったことを思い出す。]
 
 
   あぁ? あ、あぁ……今は使ってねーや
   明日、持ってくるか――

   それか、急ぎなら今日取りに来るか?


[ いつもの調子で、明日。
  と終わらせようとして、一瞬だけ考えて。

  いい機会かと、家に誘ってみたが、
  割と察しのいい此奴が、
  ずっと俺に何も言ってこなかったことが、
  少しだけ、引っかかっていた。

  分かってて、避けていたんじゃないかって
  らしくなく、少し伺うような瞳で見つめてみたが]
(1) 2021/12/13(Mon) 23:20:31

【人】 木峰 海斗

[ 友人を家に誘ったのは、大分久しぶりだ。

  兄貴と恋人関係になる前は、時々誘っていたが、
  夜遊びに出ていた兄貴とは、
  そう多く顔を合わせることはなかっただろうが
  数度くらいはあっただろう。


  今日は、早く帰ってきてないといいんだけど、
  キスマークをつけたと思われる奴と、
  意図せず、顔を合わせることになったら、
  そこだけ少し心配だったが、真相を確かめないと、
  睦月との距離感を考えあぐねて、
  気持ちが悪いのも確か。

  二人で一緒に電車に揺られて、
  お互いスマホを見ながら、時々、最近のドラマや
  他の友人に彼女ができたとか、フラれたとか、
  他愛もない話をしながら、家路についた。]
(3) 2021/12/13(Mon) 23:20:38

【人】 木峰 海斗

 
 
   ちゃんと手洗えよ、
   あとは、リビングで、
   適当に座って待ってろよ


[ カチャリ、と鍵を開けて入った家は、
  変わらず、この時間は誰もいない。

  ただいま、なんて小さく律儀に口にしながら
  自分はさっさと手洗いを済ませて、
  返すものを先にとってこようと、
  俺は、一人、二階へ向かった*]
(4) 2021/12/13(Mon) 23:20:45

【人】 木峰 海斗

 
 
   おっかしーな、
   ここだと思ってたんだけど


[ 仕舞ったはずの場所に、目的の参考書がなくて。
  記憶を辿るように、部屋をぐるりと見渡す。

  空調の聞いていない部屋は、
  少しずつ、涼しくなってきたとはいえ、
  さすがに暑くて、とりあえず窓を開けて、
  薄いハイネックのシャツの首を、伸ばして、
  パタパタと仰いだ。

  項に並んだ、赤い花弁が二片。
  多少薄れて、薄桃色に近い色合いになっていた。
  暑いが、絆創膏を貼るのは、逆に目立つし、
  こうして消えるまで隠しておこうと思っている。


  だが、完全に消えるまでに、
  睦月には、きちんと確認をしておきたい――]
(14) 2021/12/14(Tue) 9:48:30

【人】 木峰 海斗

 
 
   ってのに、見つからねー


[ 引き出しの中を見たがなく。
  本棚を上から順番に、確認する羽目になり、
  ぶつくさ、言いながら探していれば、
  階下で物音がして、兄の呼ぶ声が聞こえれば]
 
 
   やっば、


[ 兄貴が帰ってきた。]
(15) 2021/12/14(Tue) 9:48:32

【人】 木峰 海斗

 
 
   すぐ行くから、
   睦月に変なこと言うなよ!


[ その一言だけ、返して。
  参考書探しに急いで戻った*]
(16) 2021/12/14(Tue) 9:48:34

【人】 木峰 海斗

[ 本棚の奥に仕舞っていた参考書を見つけ出して、
  慌てて引っ掴んで、階段を下りていけば、
  一見、和やかそうにソファに座って、
  二人は、コーヒーを飲んでいた。]


   睦月、待たせて悪い
   ほら、これだろ?


[ たん、と足音を鳴らして、兄を無視して、
  睦月の方に近づくと、本を差し出した。

  それから、ちらっと兄貴の方に視線をやって、]
 
 
   じゃ、こいつ駅まで送ってくる


[ 親指で、友人を指せば、
  そのまま、くるりと踵を返して、玄関へと向かった。]
(33) 2021/12/14(Tue) 22:41:47

【人】 木峰 海斗

[ 駅まで送ることを断られれば、
  さて、話す機会をどうするか。
  そんなことを考えながら、玄関に立って、
  靴を履く姿を眺めていれば、出ていく間際に此奴。

  いとも簡単に、俺が悩んでいたことを
  さらっと謝罪してきやがった。]
 
 
   はぁ? ちょっ、
睦月っ!!!



[ しかも、こっちの文句は聞きやしないときた。
  この野郎、と悪態を吐きながら、
  それでも、結局許してしまおうとしている俺がいる。

  はぁ、と深くため息をつけば、
  たんたん、と、不機嫌を隠さない
  いつもより足音でかくリビングに戻る。]
(37) 2021/12/14(Tue) 22:42:09

【人】 木峰 海斗

 

   それで? メシって何の話だよ?


[ 腕組みをして、弟ではない顔を向ければ、
  なんと返ってきたかな。

  どんな答えでも、溜息を吐いて。
  ソファに座った兄貴を後ろから、
  そっと、抱き寄せれば]
(38) 2021/12/14(Tue) 22:42:11

【人】 木峰 海斗

 
 
   犯人……わかったけど、
   まぁ、大丈夫だろ?


[ もう隙は見せないし。
  あの様子なら、反省はしているようだし。

  少し甘いかもしれないが、
  兄貴が文句を言わないのなら、このまま
  あのことは忘れるつもりで、そう零した。
  あとで、なんか奢れよくらいは、送っておくけど。


  今は、一つ悩みが解消して、
  胸の中に蟠りが、多少解れたから。

  腕の中のぬくもりに体重をかければ、
  首筋に顔を埋めて、ちゅっと軽くキスをして、]
(39) 2021/12/14(Tue) 22:42:17

【人】 木峰 海斗

 
 
 心の奥底で、ずっと粘つき、燻っていた。
 ―――― 許されない
心。

 あの日、
てようとした想いは、
 あの日、掬われ繋がり
なった。
 
 
(40) 2021/12/14(Tue) 22:59:53

【人】 木峰 海斗

 
 
 
 枯れさせなければ、いけなかった
草は、
 その色をより色濃く鮮やかとなって、
 この先も季節を超えて、咲き誇り続ける――…
 
 
 
(41) 2021/12/14(Tue) 22:59:55

【人】 木峰 海斗

 
 
 絵本や童話、御伽噺たちとは違う。
 これは現実だから、物語の締めくくりも、
 誰にとやかく言われる筋合いはない。

 あれから先も続いている。
 この物語は、幸せなものなんだって。
 読者のいない物語なのだから、

 結末が幸せかどうかは、
 ―――――――― 俺たちが決めていいだろ?

 だから、これからも俺たちは紡ぎ続ける、
 
 
(42) 2021/12/14(Tue) 22:59:57
 




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