人狼物語 三日月国


69 【R18RP】乾いた風の向こうへ

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   ……いつもあなたが来てくださるのを、
   困りながら喜んでいました。

   するりと差し込んでくれる食べ物も
   ありがたかったけれど、
   あなたのドレスの裾が花が咲いたように
   舞う様が好きだった。


[ 拗ねたようにすたすたと数歩離れては
  ちらりとこちらを振り向くピヤールに
  ふふ、と笑いながら。

  自らの気持ちを言葉にして伝える。

  手にした自由の責任とその重さに
  決して負けぬよう、顔を上げて。 ]
 



 おはようのキスをしてもいい?

[ ヴィはその時どこにいたんだろう、バカみたいに毎日繰り返してやろうと思っている。そうしたらいつか当たり前のことになって習慣になるはずだから。*]

 

[しかし、木漏れ日も差し込まない日陰の語らいは、
太陽の下で読むどんな長編小説よりも楽しくて。

 見知った土地が物語の舞台であるならば、
 かつて鼠が見つけた抜け穴を教えたり、だとか。
 話の途中で見知った登場人物があれば、
 その御老体は歓楽街の見回りの時に見かけたぞ、だとか。


 これでもいくらか、
 彼の国の言語をただの趣味で学んで来たのだ。
 聞き手ではなく同じ語り手として、

 初めて己の中に、柳緑花紅の華を咲かせる。]

 お前が語る物語の中で、
 お前が主要人物でないとは言わせないぞ? 
 
[その名が出てこなければ、隣にすら立てやしない。
それでも拒むのなら舞台に引きずり降ろすまで――]*


[魔法が盛んなこの国では『未然に防ぐ』発想の方がスタンダード。なので余程の突発的なことが無い限り、多くの民間人は日常に怪我をしないだろう。街の外科医は軒並み内科医に転向し、治癒系魔法具の商売に精を出す者もいた。

ダレンが手当てに使う道具たちを珍しく思って、その手際の良さに惚れ惚れした。]


 ……うん、そうだね……今日はやめる。


[逸れされた話題にほっとしたような寂しいような複雑な心持ちになったのも束の間、嫌われたかもしれないという強い不安が過る。
主だから、抵抗できなかったりしただろうか。ぐるぐると思考しながら、会話を続けた。]

                
.



 みんな、魔法具で危険を避けるから、
 怪我する人って少ないかも。
 宮殿では怪我しても治さない兄弟も多かったな。
 命に関わらない限り、痛みを知る事も必要
 なんだ、って。

 街のお医者さんは魔法具屋さんになった人も
 多いみたい。みんな怪我を未然に防いじゃうから
 商売あがったりなんだって。

 魔法具なら、今日のお店に寄ってみよっか
 俺も、行きたいし……


[声に力が入らないのは、きっと疲れているからだ。状況が目まぐるしく、気持ちもだいぶ振り回された。いまだって振り回されている。]


 (そうだった、俺が勝手に好きなだけで、ダレンはそうじゃないんだ。一緒にいられる事につい、喜んじゃったけど……)


                
.



[それだけで十分ではないか。なんの前触れもなく急に主従を解消するといった自分に、この国を出ないかと言ってくれて、事実そのように事は進んでいる。

喜ばしい事なのに、またじくじくと胸が痛む。

『こんな関係じゃなくても、側にいてほしい、ずっと。自分の気持ちを、嫌がらないでほしい。』

手の痛みが甘い考えの浅ましい自分を相殺してくれるような気持ちで救われる。そんな自分がまた卑小で、笑ってしまう。]


 (俺、って、なんでこんなに欲が深いの)*

                
.

やめると素直に言う主を見て頷いた]


  軽食くらいは私も作れるが、
  レシピを覚えるほどではなくてな。
  隣で教えてくれれば、私が代わりにやろう。


[そう手際は良くないかもしれないが、時間が有り余っているわけでもない。時間を無駄にしないためには、それがよいのではと申し出て。

 魔法具の話を聞けば、文化の差を実感した]


  そうか……。
  であれば負傷を防げる魔法具を手に入れようか。

  アレフシルバーか。
  そうだな、明日にでも行ってみよう。


[話しながらも、主の声が弱々しいことに不安を覚える。
 主をどう思っているか、誰かに盗み聞きされても差し支えのない内容はどんなものだろうとダレンは必死に考えた]

 
  ……ハールーン殿。
  私は、貴殿の望む生き方を叶えたいと思っている。

  それに、私は……
  『アルファルド皇子』ではなく
  『ハールーン殿』にお仕えしているのだが。


[それで伝わるものだろうか。
 主が皇子だからではなく、主の人柄に惹かれたから仕えているのだということが。

 彼が主でないとしたら友人と思うのも、主従でないとしても彼の幸せも彼との交流も望むからだった。

 けれど、短い間とはいえ従者であり続けた弊害だろうか。
 主の想いを察そうが、手に主の唇が這おうが、拒む気が起こらないのは少々服従しすぎではなかろうか。
 内心では少し不安を抱いていた]*






               駒の数を数えて遊ぶ
         吹く風はカラカラと乾いたままで


                       **
 


[それは、嬉しい言葉だと思う。実際『ありがとう』と言おうとして、口を開いた、筈だった。]


 ──……お仕え、しなくていいよ。


  お仕え……しないで…………っ、


[喉が灼ける。人生で感じたことの無い痛みに、身体は正直だ。まるで深く傷を負ったみたいにとめどなく涙が流れる。

ダレンからしたら意味不明な光景だろう。いや、初めからそうか。なにせ大前提を抜かしたまま事を進めてしまっているのだから。
『あなたが好きです』というその一言を抜かして、空洞のまま装った。『主従』という関係を。

きっと自分は分かっていたんだろう、]



(愛を告白……してしまえば、受け取ってもらえないだろうって、きっと理解してた、だから騙し討ちしてたんだよずっと……!)



 俺はね、ダレンが…………好き、なんだよ……


                
.



  だから主従関係なく、一緒にいてほしいの

  家族、に……なって、ほしくれっ……


[泣いてるせいで噛んだ。もうどうにでもなれ。
いや、だめだろ、踏ん張って自分、とは思えども。]



  …………望みを叶えてくれるっていうなら
  一緒にいて。俺の気持ち嫌がらないで

  なんにもなくても、一緒に生きてよ……!



[こんなに駄々をこねたのは、この家を貰うため父に進言した以来、人生2回目だ。

仕えなくて良いと言ったそばから、命令みたいになってしまって全くどうしようもない。
『不良債権』はピッタリかもしれない。
力もないのに、欲しがるだけの自分は。]

                
.


[ダレンは、わかり易くないから、少しでも嫌がっているならそれを見極めなくては。

それを見つけられたなら、潔く身は引く。
普通の家族でも見つけて家の駒として動くのも良いのかもしれない。そうでもしないときっともう上手く生きていられない。

水分を吸いやすそうな状態の左手で涙を拭って、自由がきくこの右手で、ダレンの手に触れてみた。]*

                
.

 
  ……私は、思っていることを伝えるのが
  下手らしいな。


泣き出してしまった主に心を痛めて苦笑しながら、触れられた手を握り返した]


  一緒にいたいと思わなければ、
  主従を解消すると言われながら
  共に国外に出ようなどとは言わないのだが。

  貴殿の想いはあのとき察したが、
  嫌ではないからそばにいるのだが……。


[それを言い換えたら本当に友情なのだろうか。
 それを突き詰めるのはこの国の中ですることではないと思った。

 あと一歩で無事に出られそうなところを、その直前に罪を見出され処刑されたのでは、これまで何のために主が耐えてくれたのだろうか]

 
  この国の中では、想いを返したら罪になってしまう。
  あと少しなんだ、ほんの数日耐えれば
  別の国に行けるんだ。

  ……そばにいるから。
  共に行こう。

  別の国に着いた後でなら、もう少し前向きに
  考える余裕もできると思うから。


[想いを向けたら、己が原因となって主を殺す。
 想われることに抵抗こそなくても、返すことを考えられないのは、それを恐れるあまりなのだろう。
 護りたくて、望みを叶えたい、支えたい相手。皇子だからではなく、ハールーンその人だから。

 そう思うのは従者だからだ。
 この国ではそういことにしておかなければならない]**


   ────セ、ト?

[ ふと、手の甲に唇が当たった。
  その唇はまだ乾いているようで
  少し硬さが感じられたが、
  嫌な感じは全く感じられなかった。

  彼の瞳を覗くことができたなら、
  澄んだ瞳だと改めて彼女は感じた。 ]


   まぁ……困っていたの?
   困るのに喜ぶなんて不思議な人。


[ 困ることと喜ぶことは普通共存しない。
  だから、首を少し傾げてつつも
  拗ねてばかりはダメよ、なんて
  ピヤールへと声をかけていると
  ふと聞こえた告白。

  彼はなにを言っているのだろうと
  理解をするまでに一拍の間が。
  そして、反応するまでにもう一拍。 ]


   な、っ……!





[ まだ彼女はそういう感情に自信がなく、
  彼の手を軽く握って尋ねる。
  それは多分、これから先彼女が
  しっかりと理解していくための第一歩。 ]






【人】 ひとりの娘 アウドラ

    *

   拗ねていたようだけれど、
   すんなりあなたのもとに戻ってしまうのね。
   私に似て、……現金な子だわ。

   その話し方はおやめになって。
   私とあなたはもう……
   対等であるはずなのよ?
   少しお腹を満たして、
   大河を使って出ましょうか。
   …………あてはないけれど、どう?


[ 彼の口調がまだ前のままだったことに
  水を飲んであたまがすっきりしたことで
  気付いた彼女は、すっと彼の唇に
  指をおいてムッとした表情をみせたはず。

  でも、すぐに表情は戻って
  彼の問いかけに答えるのだ。
  それは少しでも早く行動に移すため。
  彼が同意するなら何か手軽なものを
  オーダーしようとメニューに目を通してみた。 ]*
  


(40) 2021/04/25(Sun) 21:49:50
[ 朝刊を受け渡す際に、ダンテがおはようのキスをしてもいいかと問うたので笑った。一々に問うその律儀さと、どうだ、とでも言いたげな様と気恥ずかしさが混じった様子が愛らしい。
 身を伸ばすと、頬と瞼に口吻けた。

 列車が目的地に着く頃、自分が目を覚ませばもう一度その機会がある筈だ。
 昼と夜、過ごす時間が異なるなら、おはようと交わす節が二度あってもいい。]*


[ それから長椅子の前にかがみこんで、おはようのキスをねだった。ヴィが苦笑しているように見えたが不愉快さなどはなかったとポジティブに判断して。

 頰とまぶたへの口づけを受けて自分は嬉しげに笑った。*]


 うーんと、 …
 
  いや、あとでいう

[ 言いかけてやめたのは時間が差し迫ってるとかではなく]



 いいよ寄りかかって

[ そう言えば、再び重みは帰ってきただろうか。
 彼が目を覚ましたならおはようと夕刻に。

 もう国境を超えた、
 彼の今の姿であっても口づけをねだっても良い。

 それから思い切り抱きしめても良いかと尋ねよう。

 今の彼なら、あまりに華奢で壊してしまいはしないかなんて心配しなくていい。**]


[満たされて、言葉もない。


『そばにいるから 共に行こう』

それは長いこと求めていた言葉な気がした。一緒に生きてくれる人が、ずっと欲しかったんだ。]


 ……ありがとう


[もっと伝えたいことはある気がするのに、今は形にならない。言葉の代わりに強くダレンに抱きついた。]*

                 
.

 
  ちょっ……落ち着いてくれたまえ。


泣いたかと思えば抱きつかれて、ダレンは大いに狼狽えた。
 軽くハグし返してから、そっと肩を押して]


  ほら、途中になっている作業を終わらせて
  片付けるぞ。

  明日は町に出るんだろう。
  休んでおかないと。


[残り時間はそう多くない。
 心残りこそ無いだろうが、やらなければならないことは済ませてから旅立ちたかった]

[片付けの途中、ふと口を開く]


  どこの国に運んでもらったものだろうか。
  どこか目星はあるかい?

  なるべく、皇子たちの手が届かないところが
  いいと思うのだが……。


[他国へは魔法で移動することは困難らしい。
 となれば、できるだけ遠く。
 空路でも行きづらいようなところ……。

 そんな遠くにダレンの伝手はなかった]**


[狼狽えるその人を見るのがちょっと楽しいことに気づく。あんまり無い光景だからかな。うわの空になっていた自分はどこ吹く風だ。気持ちはすっきりしていた。]


 うん! えっと、じゃあこの残りのデーツ
 ダレン剥いて貰っていいかな。
 半分に割って種ごと身だけ出して欲しい。


[作業途中になっていた調理を頼む。治療できる魔法具が買えないとしても、誰か持ってる人に使わせてもらえないだろうか?片手が使えないとやれる事が一気に減るなと実感した。

そしてを問われれば、少ない人生経験を手探りする。]


 うーん、……国、かぁ。知ってる人がいる他国って
 レグルスの所……すら分かんないや俺。

 イスハークの手が届かない場所なら、多分うちと
 仲の悪い国が良いのかなって思うけど……
 でもそんな場所には送ってもらえないもんね。


[アンタルは『向かう先によっては』と言っていた。ならば、輸送可能な先は友好国に限られるだろう。]

                
.


 
 近場の大きめの国に下ろしてもらって、
 そこから陸路で小さい国に、行く?
 伝手がないから、ホント冒険みたいになりそう


[自分がここを出た一年前は、母が手引きしてくれて色んな国に滞在したけれど、身内に関わってしまう場所は避けたい。]


 ひとまず俺は、コレを治さないとね!
 魔法具屋さんに、治癒魔法具のサンプル
 とかないかな〜?


[左手をひらひらさせて苦笑する。うっかり怪我防止のアイテムは必須だな。]*

                
.

 
  ん。わかった。


デーツを剥いてと頼まれると、指示通りに剥き始める。初回こそ勝手がわからないものの、すぐに慣れて手つきはそこそこ。果物を剥くくらいはできるらしい。

 他国の話には]


  レグルス殿のところは内乱の直後ではなかったか?

  そうだな……送ってもらうなら
  友好国でないと難しいだろうな。


[空路で運んでもらうなら余計である。
 亡命を手助けして狙撃されたのでは話にならない]

主の案を聞くと納得した様子で]


  それはいいかもしれないな。
  ある程度の場所まで送ってもらった後、
  自力で住み良い国を探して旅をする。

  ……気の長い話になりそうだが。
  足取りは追いにくかろう。


[できればアンタルからも追跡されない場所、とダレンは考えていた。
 イスハークは主を手中に収めようとするかもしれないが、アンタルはそれを利用するかもしれないと。

 兄弟との関わりを絶たせてしまうことになるが、ふつうの暮らしをするには、皇子たちの諍いから完全に届かない場所に行くしかないだろう]


  魔法具屋はいくつか回ってみるかい?
  この国が便利すぎるとも言えるけれどね。


[痛い思いや不便な思いをするから傷を避けようとし、注意力が養われるのでは、とダレンは考えていたが。魔法が根付ききっていない国ならではの発想なのかもしれない]**

 




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