【秘】 高等部 ラピス → 花信風 トット何度、微睡みに浸かっていく姿と向き合っただろう。 甘さを口の中で転がして、問い掛けに耳を傾ける。 「………」 少年にとっては、咲くことが、 使われることが存在意義なのかもしれない。 静かに黒板をチョークがなぞる。 『咲かない花があっても、良いと思います』 『世の中全てのものに、使い道は必要ないと思います』 花はただ、咲けるときに咲くだけ。 咲かないなら、そういう花だっただけ。 それが自然なことだと少女は思っていた。 使われなくても、誰が見ていなくても、花はそこにあっていい。 そこにあったことを覚えている人がいれば良い。 『私は、許しますよ』 それが答えだった。 (-240) 2022/05/06(Fri) 20:19:09 |
【秘】 司書 エルナト → 中等部 バラニ渡されたそれを見る。 ラベルがあるならそれを見て。 無いなら多分、見た目などで。 それの正体を看破するのだろう。 抗不安薬。 それは、無理やり精神を安定させるための薬。 もちろん、治療の一環として普通に使われるものではあるけれど。 でも。 「………こんなのに頼って、不安を払拭したって。」 「…何の意味もないんじゃないの………。」 これは、いうなれば"治った気になる"だけのものだ。 実際には治ってないのに、もう大丈夫だと自他に思わせるだけのもの。 飲んでる内はいいかもしれない。 でも、やがて効き目が薄くなり、もっと強いものを……となれば。 絶対に今よりひどくなる。絶対に。 「……これを飲まないと酷い事されるの?飲まなきゃいけないの?」 「ねぇ、バラニ………こんなの飲んじゃ駄目だよ………」 ぎゅっと、薬を握り締めて。 懇願するように告げた。 (-241) 2022/05/06(Fri) 20:20:02 |
【秘】 高等部 ラピス → 雷鳴 バット『では、私は今まで通りバットくんと呼んで良いのですね』 人によって違う。 そこにどんな意味や目的が隠れているのかはわからない。 でも、今まで接してきた"少女にとっての青年"はバットだから、これからもそのままで良いかなと思った。 『呼び方がいくつかあるのは不思議な気分です』 『なぜ、咎められてしまうのでしょうか』 同じように、適当な木の根元にちょこんと座る。 小さな体躯はすぐに木々や茂みに紛れてしまいそう。 普段より更に低くなった目線で、また頭上の枝葉を眺める。 ぼうっと過ごす時間は嫌いではない。 (-242) 2022/05/06(Fri) 20:20:30 |
【置】 充溢 バレンタイン『……え?』 その電子音を皮切りに、大人たちは口々に何かを言って、 身体を這うのを続けるもの、慌ただしく部屋を出ていくもの、 まるで働きものの虫たちを眺めているような気分だ。 『なに、やめ───僕、を─── ───!』 『───? どういう、こと……?』 頭で喋りたいと思ったことを、代わりに言ってくれている。 でもフィルターが、マイナスの言葉を濾しとっていくように。 不安の糸から紡がれるものは何もかも、出ていかないように。 そうしてようやく、今自分が置かれた状況と、 その意図を全部理解した。ような気がする。 (L5) 2022/05/06(Fri) 20:24:23 公開: 2022/05/06(Fri) 21:35:00 |
【秘】 花信風 トット → 司書 エルナト美味しい、と。 その言葉で、なにか どこか 今までにないくらい、色んな気持ちが溢れた。 「おいしい」「あは」 「ふ、んふ あはは えへ ああ……」 「おれおいしいっ?おれたちのことたべてくれるのっ?」 「つかってくれる?おれやくにたつ?」 「うれしい」「うれしい!」「おれたち、もっとさきたい」 ……ゆっくり立ち上がる。足が震えるのは、痛いからではなくて。 体に力が入らないから。ぬるま湯に浮いているような感覚だ。 多幸感。 年相応にはしゃぐ姿は、けれどいつもよりどこかおかしい。 「おれ〜 あは とってくるねぇ」 「もっとあげる んふふ」 言うやいなや、ふらりと図書室を出ようとした。 まるで褒められた犬のよう。……無抵抗に、無邪気に、盲目に。トットは 喜んでいる。 (-243) 2022/05/06(Fri) 20:29:58 |
【置】 充実 バレンタイン『─── おはよう、ございます』 どれだけ強迫的な妄想に取りつかれても、 それはもう、外側に溢れていくことはない。 容れ物に、ちゃんとした蓋がついたのだ。 (L6) 2022/05/06(Fri) 20:30:48 公開: 2022/05/06(Fri) 21:40:00 |
バレンタインは、充溢した不安と、それと同じくらい希望に満ちていた。 (a29) 2022/05/06(Fri) 20:33:09 |
【秘】 雷鳴 バット → 高等部 ラピス「わからない。でも、理由はあるんだと思う。 ……ミゲルって呼ばれたのは、久々だったかも。 先生たちもたまに、そう呼ぶ人はいるけど」 曖昧に混在している理由は、少なくとも青年はきちんと認知できていないようだった。 どうして自分がそう呼ばれているのか、意味や実情も理解していないのだろう。 だから含みもなく、貴方と同じように首を傾げるだけ。 傍に座った貴方の横に身体を寄せて、じっと見下ろす。 視線の向いた先は自分と同じように、手袋をした手先。 しばらく黙ったまま視線だけが刺すように落ちた。 考えていることを隠すように他愛のないことで間をつなぐ、なんて、 器用なことは青年には出来ないらしかった。 不自然な間があってから、ようやくといったふうに声を出す。 「……ラピスは…… どうして、手袋をしているの。」 (-244) 2022/05/06(Fri) 20:35:11 |
【秘】 司書 エルナト → 花信風 トット「気持ち良いんだ。」 「………へぇ………。」 というのは、少し揶揄いの混じった声と目線。 こんなに小さくても。 そう言うのはあるんだなぁ、と。 くす、くす、笑って。 実際に目の当たりにしたそれは確かに。 実際にしてる行為は違えど、そうであると言ってもいいもので。 その表情を可愛いと思い、汗ばんだ顔を美味しそうと思い。 ただ、幼子が自分を慰める行為を、目前で見ている。 慰めた君が出したものを、口に運ぶ。 美味しくて、美味しくてたまらない。 もっと食べたい、もっと欲しい。 ▼ (-245) 2022/05/06(Fri) 20:36:09 |
【秘】 半分の仮面 リアン → 神経質 フィウクス「全くだ」 肩を竦める。 配られているカードだって、中抜きされていたり 目の前で握りつぶされたりした先の残りものなのかもしれない。 これを捨てる事は、人生からのリタイアと同義なのだろう。 僕達はよほどでなければ、それを選べないだろうが。 「使いたくはなかったが、僕の持っている切り札の出番も近そうだな。 どちらにせよ、希望を持たせるには―――僕自身の"治療"だってしなければならないだろう」 必ずしも他者に影響を及ぼすカードではないけれど。 自らの立場を少しでも良いものにするのであれば。 (-246) 2022/05/06(Fri) 20:36:40 |
【秘】 半分の仮面 リアン → 神経質 フィウクス「何だろうな。君が前触れなく腹を立たせるのは、いつものことじゃないのか?」 なんて笑みを浮かべたまま嘯いて。 しかし、君とこうして結託するのであれば―――このまま何もしないのは、惜しいな。 だから、踵を返した君の腕を掴んだ。 そして、逆の手で。 握手の形を取る。 「そんな誓約書なんて用意する時間で、生徒の為の行動が幾つ出来る? 僕達には、これで十分だろう。改めて、宜しく頼む」 目を細めて、満足そうに笑って。 そしてまた一方的に手を離すのだろう。 きっと君はこの行動にも、苛立って仕方ないだろうから。 これ以上の負担はかけないつもりだ。 ―――気に入らなかったときは、八つ当たりの覚悟くらいはしているけどもね。 (-247) 2022/05/06(Fri) 20:37:30 |
【秘】 花信風 トット → 高等部 ラピス「…………、……ふふ」 蕩けていく思考の中。狭くなった視界であなたの文字をなぞって。 「よかったぁ」 「じゃあ、 おれ さけなくなっても」 「まだ さけてても」 「いーんだ」 遠のく意識の中、置いたカップは もう空だ。 「ありがと」 「……らぴす」「これ」 座っていられなくなって、机に伏せた。 おもむろに頭に──花飾りに手を伸ばして、 ぷちり、と 音がした。 「……じつは これも」 「おれ のはな……ヘヘ」 「あげる」 あなたのカップの横に、そっと置いて。 そのままふと、意識を手放した。 幸せそうな顔で寝息を立てている。 (-248) 2022/05/06(Fri) 20:39:40 |
【秘】 司書 エルナト → 花信風 トット「…君の事、全部食べちゃいたいな………」 君の中の、その全部。 部屋に貯めこんでるものも。 全部、全部、全部。 全部が欲しい。そしたらお腹いっぱいになれる。 「君がくれると、とっても助かるんだ………」 恍惚とした顔で、蜂蜜のような声を漏らす。 様子のおかしい君を、その言葉をぼんやりと聞き。 取ってきてくれるんだ、嬉しいな、と。 思って。 「トットくん………大丈夫………?」 ふらりとした足取りに、ほんのわずかに残った理性で手を伸ばし。 叶うなら体を支えるようにして、問いかけた。 大丈夫だというなら、そのまま。 部屋に行かせるだろうけど。 /* 更新時間が近づいてきちゃったので、ふわっと区切ってもらっても大丈夫です! 勿論続けてもらったら喜びます!どちらでも大丈夫なのでお好きなように! (-249) 2022/05/06(Fri) 20:42:09 |
シャルロッテは、浅はかで愚かな■の子。 (a30) 2022/05/06(Fri) 20:43:14 |
充実 バレンタイン(匿名)は、メモを貼った。 2022/05/06(Fri) 20:43:55 |
【置】 恋の呪い シャルロッテ日の暮れる頃、バラニと話した後。 少■は一度シャワーを浴びて、服を着替え、それから学舎へ。 先生に授業を欠席したことを叱られながら、いつものように穏やかに笑っていた。 「ごめんなさい、先生」 「あのね————」 『少女』は囁く。 家族が教えてくれたから、どうすれば許してもらえるのか知っている。 家族が教えてくれたから、どうすれば男の人に優しくしてもらえるのか知っている。 家族が教えてくれたから、どうすればお願いを聞いてもらえるのか知っている。 やっぱりなにかがおかしい。 おかしいことに気が付いて、けれど、それを利用することにした。 少■は大人たちの間を渡り歩く。 たくさん頼めば、誰か一人ぐらいは気まぐれを起こしてくれるだろう。 ————さあ、美しき時を取り戻そう。 あなたがそれを望まないとしても。 あなたと大切な話をするために、その心を取り戻さなければ。 (L7) 2022/05/06(Fri) 20:44:21 公開: 2022/05/06(Fri) 20:55:00 |
シャルロッテは、その日、夜遅くまで部屋に戻らなかった。 (a31) 2022/05/06(Fri) 20:44:44 |
バレンタインは、同じく、夜遅くまで部屋に戻らなかった。心配する人はいない。 (a32) 2022/05/06(Fri) 20:46:26 |
【赤】 高等部 ラピス「………。」 夕方、誰もいない空き教室。 静かに席に腰掛けて、壁掛け時計の針が進むのを見ていた。 今日は珍しく黒板に文字を書き殴っていないらしい。 淹れた花のお茶のおかげだろうか。 手元にあるマグカップはとっくに冷めていたけれど。 少しの間ぼうっとして、中身を全て飲み干してから教室を後にした。 (*28) 2022/05/06(Fri) 20:47:54 |
恋の呪い シャルロッテ(匿名)は、メモを貼った。 2022/05/06(Fri) 20:48:01 |
【置】 花信風 トットトットの部屋は、トットが一人で使っていた。 寂しがりやのトットが自分から「一人部屋が良い」と申し出た時は、周りから驚かれた事を覚えている。 トットの部屋にはトットしかいなかったから、閉め忘れた部屋の鍵を掛ける人も居ない。 薄く開いた部屋の扉の隙間から、ひとひら。 それから、開けたままの窓から吹き抜けた風が扉を押して。 花を、 花を、 花を、 花を、 花を、 ゜花を、 花を、 *。 花を。 廊下へと散りばめるように、花を溢した。 部屋の中は行き場のない花に溢れている。 ベッドに、棚に、机に、床に。 遅すぎる花信風が吹く部屋に、今夜トットは帰らない。 (L8) 2022/05/06(Fri) 20:51:47 公開: 2022/05/06(Fri) 20:55:00 |
【秘】 童心 クロノ → 司書 エルナト「───………」 後ろから抱き留められれば、 誤魔化そうとしたものは、誤魔化し切れず。 ぴき、と言う音の後に少女の面は、身体は、 成熟した女のものになる。 それでも、その中味は変わらない。 「……わ、」 「……分かった…………。」 艶やかな女の声は、困惑を宿したまま言う。 誰もいないところでなら、と言ったのは自分だ。 自分の言ったことと、あなたの言葉で、 それはもう供物にならざる負えない。 優しい声で囁けば、囁かずとも、抵抗の余地も無い。 あなたに捧ぐ雫の源泉は、逃げる事も無い。 自覚の無い自己犠牲は、都合よくあなたに使われる。 ──さあ、今日も、悪魔に供物を捧げよう。 (-250) 2022/05/06(Fri) 20:54:41 |
【秘】 高等部 ラピス → はなわずらいの トット寝息を立てる姿を見て、黙り込む。 最初からそこに声は無かったけれど。 ゆっくり、手袋を外す。 その下にあったのは、所々が青い鉱石で覆われた肌だった。 夜空を映したようなそれは、まるで ラピスラズリ だ。眠りに沈んでいくあなたの頭にそっと、その手を置く。 きっと記憶にも残らないかな、なんて思いながら数度撫でて。 カップの側に置かれた花を指先で拾い上げて、大事に抱える。 大人たちが迎えに来るまで、少女はずっと側にいた。 ありがとう。良い夢が見られるといいね。 ………おやすみ、トット。 (-251) 2022/05/06(Fri) 20:55:26 |
【秘】 はなわずらいの トット → 司書 エルナト「ゎ」 体を支えられて、ハッとしたようにそちらを見る。 少しだけ元に戻ったような様子は、あなたの恍惚とした顔に、耳に残った蜂蜜のような声に、また溶かされて。 「……ん〜ん」「だいじょぶ!」 今度はさっきより確かな歩みで。 「おれ ほんとにうれしいから」「おれいにあげる」 「あは」 風に乗るように、ひらりと開けた扉の隙間からすり抜けた。 ……それから、トットが戻ってくる事はなかった。 少なくとも、今日は。 (-252) 2022/05/06(Fri) 20:59:24 |
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