[無言で、ぎゅう]

────……百継、様。
申し訳ござりませぬ。

何を言うておる。
十分じゃ。あまり落ち込むと、こうなのだ。
[軽く額をはじく]

なあ、徽子を叩くこと、儂に撫でられること、真実どちらを望んでおったか？

………………っ。

[額に弾けたごく軽い痛みに目を白黒させて]

────あれ、は。あの女は。
殴ったところで、何も伝わりますまい。

一葉は、百継様に褒められたかったでございますよ。
……慰めではなく。

[続く戦いをひたと見つめつつ]

[にこーーーっ]

当然。
儂を選ばんかったら頬を張っておったかもしれんな？

なんての。
褒める、とか、褒美ではない。
素直に、好んでおるからこうするのじゃ。
普段ははばかられるのでな、そっと。

[首に抱きついて頬擦りした]

ももつぐ、様。

[ふわりと抱きついてきた百継様を、そっと、そっと抱き締め返した]

継置様が氐宿様を。
私たちの継置様は、お強い、ですね……。
ふふ、お強く、なられた。本当に。

[己の声が涙混じりなのはもう伝わってしまっていると思うけれど]

！！
な、涙は気が早いのだ、ばか。

[袖でせっせと一葉の顔を拭っている]

わ、かっております。

…………おります、が。

[半ば百継様にしがみつきながら流れる涙を自覚せず、継置様を見つめ続けている]

も、ももつぐさま、ももつぐさま

つぐおきさまが、つぐおきさまがああああああ

[号泣]

ああ……やってくれた。

あの男は、成し遂げたのだ！！