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![]() | 【恋】 飛鳥 悠凛[遠ざかった気配が また近くにあることに、 俺は気づけない。 微かな息遣い。 力強く熱孕む身体を持った男の。 俺の───…] …… ヘン リー 、 [吐息混じりの譫言だった。 クッションを抱く腕に、微かに力が籠った*] (?24) 2026/08/22(Sat) 1:18:42 |
![]() | 【恋】 七川 惺ああっ……! [その瞬間、呼ばれた、と思った。] ……えっ? [呼ばれた、と思った。 俺の名を。 ]俺の、名前…… どちらの名前を? [夢、見てるのか?] 悠凛? リチャード? (?25) 2026/08/22(Sat) 1:48:23 |
![]() | 【恋】 七川 惺[腰回りに大判のタオルを巻いた。 ──かっこつかねーな。 けど、そんな場合じゃないと思って。 悪夢を見てるのか? クッションを抱く悠凛の片腕を掴む。*] ……俺は、ここにいるよ? 迎えに来るよ、必ず。 (?26) 2026/08/22(Sat) 1:50:30 |
![]() | 【雲】 七川 惺[……わかったぞ。 バッキンガムは最後の最期まで裏切っていない。 最期までリチャードを護ろうとしたんだ。 ……それが、俺の解釈。 だけど、やり方を間違えた。他にも方法はあったはず。 リチャードの傍を、離れるべきではなかった。**] (D4) 2026/08/22(Sat) 1:56:24 |
![]() | 【恋】 飛鳥 悠凛[目を開く。 ──夢かな、と思った。 名前で呼んで欲しいと言われたけど、 “俺”は最低限に留めた。 その方がらしいと思ったから。] ヘンリー… [だから呼んだ。 今なら許されるかと思って。 甘く、柔らかく。本当はそうしたかったように。] ヘンリー、 [微笑んで。夢を見るように、 口づけをねだるように、うっとりと瞳を閉じる。**] (?27) 2026/08/22(Sat) 1:57:03 |
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![]() | 【雲】 飛鳥 悠凛[──何もかもを一度に手にしたいなんて夢見事で、 大切な何かを犠牲にしてしまうくらいなら、離れた方がいい。 そういう染みついた考え方を根本的に変えるのは やっぱり無理な話だ。 でも、惺の手を突き放した時とは今は違う。 そんな深刻に考えることじゃない、はずだ。 だから、あっけらかんとした軽いトーンを心がけて ある朝、朝食の片づけをしながら切り出した。] 惺。俺今日から、ホテルに詰めるから。 独りで集中したい。 惺は良かったら、この家使って。 [そこは任すけど、と予洗いした食器を食洗機に入れながら話す。 ほんとはここに居て欲しいけど。 実家帰る方が先生も居て一人じゃなくて、 惺は心細くならないかも知れない。 惺にとっての初の舞台。 もっと気にかけて、不安や緊張を少しでも 和らげてやりたかった。 俺が支えられなくて、ごめん。 でも舞台の上では隣に立つ。 主演として、座長として。引き上げてみせる。そのために。] (D5) 2026/08/22(Sat) 12:36:51 |
![]() | 【雲】 飛鳥 悠凛[公演は一ヶ月続く。 毎夜、惺の恋人に戻って愛し合い、 昼間はリチャードとしてバッキンガムを利用し、 その心を惑わせ、報われないままに殺して、 また惺の恋人に戻る。 その繰り返しに、平静を保てる自信が今回はない。 俺の不安定を惺に感染させてしまうかも知れない。 プロの舞台が初の惺に当たって、 コンディションを乱させたくない。] 公演休みの曜日あるでしょ。 そこに他の仕事も入ってきちゃうけど、 都合合えば、そん時会お。 [後は舞台の上でね、と告げて手を拭いて 荷物の方へ行く。 実は今朝、惺が起きる前に荷物はまとめておいた。 “俺からは絶対離れない。” “別の場所へなんか行かない。”>>2:D7 そう惺が言ってくれたのが嬉しくて、 その想いを裏切ってしまう気がして踏み切れなかったけど。] (D6) 2026/08/22(Sat) 12:54:40 |
![]() | 【雲】 飛鳥 悠凛[昨夜も気絶するように眠ってしまって、 今朝早くに目が覚めて、独り決めたこと。 ……昨夜、惺とたっぷり愛し合っておけば 良かったな。] ごめんね。 相談しないで勝手に決めちゃって。 長丁場だし、舞台の後その日に話したいこととか あるかもだし、何かあったら電話して。 ……別に何かなくても。 リチャードじゃなく、 俺の声聞きたいってだけでも。 [すれ違って1ヶ月連絡とってなかった期間、 その前は毎日電話していたんだと思い出して付け足す。 わりとすぐに一緒に暮らし始めて、 あまり長く続かなかった習慣。*] (D7) 2026/08/22(Sat) 13:03:05 |
![]() | 【人】 飛鳥 悠凛── 幕開け ── [ゆっくりと上昇したせりが、舞台の床と一体になる。 舞台の中央に立つ黒髪の人影は、純白のチュニックの軽装で 無垢な表情を湛えている。] ──父上! [舞台の上凛と響く、幼い声。 リチャードは、齎された悲報を信じていない。 王にならんと約束して戦場に赴いた 高潔で偉大な父が、身罷るはずがないと。] ──…… 父上、 [城壁の上、御首級を見つける。 はっと肩で息を呑み、凍りつくその様が、 二階席からも分かるだろう。 それでもまだ信じてはいない。] (42) 2026/08/22(Sat) 18:23:55 |
![]() | 【人】 飛鳥 悠凛[従者の制止を振り切り、階段を駆け上る。 体重の軽い子供の俊敏さで。 顔を見定められる距離に近づけば その足取りがいっそう急く。 一瞬の躊躇も見せずに父の首を降ろし、 顔の高さへと掲げる。 その虚ろな目と視座を合わせて] ああ……── 父上、 [劇中で一番の、愛おしさと哀切が露わな囁き。 額にキスをする横顔は、敬虔ですらある。] (43) 2026/08/22(Sat) 18:26:26 |
![]() | 【人】 飛鳥 悠凛[父の首を胸元で片腕に抱いたまま、 床に這いつくばり、また立ち上がり、 のたうち回るようにリチャードは躍る。 踏み締める足元から、白と赤の花弁が舞い乱れる。 やがて、父の首を従者の捧げ持つ盆に乗せ、 リチャードは服を剥ぐ。 遠目には純白のトレープがたっぷりとした チュニックに見えていたものは、ヴェールを 腰で絞り、身体に巻き付けていたのだと分かる。 舞台脇には黒一色に身を包む人々がささめき合う。 ──あれだけ御父君に可愛がられていたのに。 ──涙ひとつ零さない。 ──やはり御父君の血を継いでいない、 不義の子だからでしょう。 ──御覧なさい、あの不吉な黒髪を……] (44) 2026/08/22(Sat) 18:29:24 |
![]() | 【人】 飛鳥 悠凛[全身から迸っていた混乱と絶望。怒り。痛み。 混沌は、一枚ヴェールを剥ぐごとに 次第になりを潜めていく。 その度、舞台脇に立つ人々も、 リチャードを謗るコーラスも様変わりする。 リチャードの母。兄。 父なき後に庇護者となるウォリック伯。 母君はおぞましいものを見るかのように、 リチャードの伸ばした手から顔を背けた。 薄衣を剥ぐ度、代わりに成熟と妖艶を 纏うように踊りは続く。 リチャードに見入る貴人。見蕩れる貴婦人。 彼らを誘いかけるかのような淡い微笑。 周囲から伸ばされた手を断ち切るかのように身を翻せば、 艶のあるシルクの裾と薔薇の花弁が、 リチャードの周りで舞い上る。] (45) 2026/08/22(Sat) 19:51:51 |
![]() | 【人】 飛鳥 悠凛[肌の上に残った最後の一枚が剥ぎ落ちれば しなやかな肉と骨格を持つ男の身体が顕れる。 より肉感的に、激しさを増していく舞。 舞台の両脇には、リチャードを見守るケイツビーと 瞬きもせずリチャードを見つめるバッキンガムが 佇んでいる。 己が身を片腕で抱き、 徒手は長い黒髪を滑って首筋へと絡み── つと、がくりと傾ぐその首。 リチャードの行き着く果てを、 観る者に想わせる静寂。 いつの間にか傍に立っていたケイツビーが、 恭しくリチャードの裸体に上着を着せ掛ける。 首裏に回した両手の甲で肩へと黒髪を払えば、 気位と誇りの高さを湛えた顔が露わになる。 朗々と響き渡る独白>>2:2 そこで舞台は、暗転する。*] (46) 2026/08/22(Sat) 20:40:19 |
![]() | 【恋】 七川 惺[愛しい運命が名を呼んだ。 呪いのような、祝いのような、言霊の緊縛。 とっくに捕らえられていた。 吸い込まれるように溺れてゆく。 その渦の中心へ。自ら望んで。] 『おまえはそれまでも、それからも。 俺の隣に居るんだよ。』 [そんな台詞が続くはずもない──これは夢だ。 ──離れるべきではなかった。 王の半身になれなかった俺は 安らかでない 死に向かうような 眠りに落ちる。*] (?28) 2026/08/22(Sat) 21:36:19 |
![]() | 【雲】 七川 惺……えっ?!嘘だろ、どうして? [夢見が悪かった翌日、 悠凛が突然別居を提案してきた。 「ホテルに詰めるから。独りで集中したい」だって?>>D5] 締め切り前に缶詰になる作家かよ…… [ジョークのオブラートに包んで返事をしたが 語尾がゆれてしまった。 あっけらかんとしてる様子だけど 俺は一寸だけ、“省エネ体質なんだよ”と 悠凛が言ってたことを想い出した。 何か思い悩んでるのか?って感じたのは 昨日今日のことじゃない。 俺のことを慮ってのことなんて 気づくこともできない。 “ごめんね。”に続く言葉に 「ったりめーだ」と低く呟いた。] (D8) 2026/08/22(Sat) 22:07:07 |
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![]() | 【雲】 七川 惺別の場所へなんか行かない。>>2:D7 毎夜この巣で待っている。 [俺はこの巣を離れない。 夜毎お前の気配を感じていなければ、 初舞台はきっと、乗り切れない。 ……せめて声を、聞きたくなる。 ああ、そういえば。 この頃は稽古でも会えてたし 夜は例え短い時間でも一緒に過ごすことがほとんどで 電話なんか、あんま必要なくて…… まさか、こんなことになろうとは。 そう思うのに。 口からついて出たのは、強がり。*] ──お前こそ、来いよ。何かあったら。>>D7 [舞台の先輩に向かっていう言葉じゃないよな。 何かあるはずも、ないよな。 でも売り言葉に買い言葉ってわけじゃないんだけど……。] (D10) 2026/08/22(Sat) 22:46:53 |
![]() | 【独】 飛鳥 悠凛/* >>D9 そう……そうなんだよね、ごめんね惺…… >夜毎お前の気配を感じていなければ、 初舞台はきっと、乗り切れない。 アーッ(そうか、ごめん惺) (-29) 2026/08/22(Sat) 22:53:05 |
![]() | 【雲】 七川 惺[何で俺を置いていくの?なんで傍にいてくれないの? そういう非難めいた気持ちがどこかにあったんだろう。 相変わらず悠凛の憂いには気づけない。 だけど強めの言葉とは裏腹に、後ろから抱きしめた。 せめて──…。] 「行ってきます、のキスは?」 [どうしようもなく、甘えたい気持ちだった。 今だけでいいから。*] (D11) 2026/08/22(Sat) 22:53:35 |
![]() | 【人】 飛鳥 悠凛[一旦人の捌けた舞台のスクリーンには、 シルエットで騎乗の兵がひしめく。 三十年に渡る薔薇戦争の間でも熾烈を極め、 イングランドを二分して争われたタウトンの戦い。>>2:2 それを横目に身体を拭い、舞台袖の奥で素早く着替える。 全身に汗が滲んでいる。 リチャードの人生の縮図を思わせるような踊り。 洗礼者ヨハネの首を求めた、 サロメの7つのヴェールの踊りのオマージュ。 母親に従順な新約聖書のサロメよりも、 俺はオスカー・ワイルド版のサロメの方が好きだ。 一目で恋に落ちた洗礼者に拒まれ、 それでも“おまえに口づけをする”と誓い、 巧みな踊りの褒美として王から賜った ヨハネの首に、口づけを果たすサロメ。 ──とはいえ、サロメの気持ちは正直共感できない。 俺が何かを本気で欲して、 自分の物にしようと心に決めた時に、 それが手に入らない所がいまいち想像できない。 俺は結局の所、傲慢で俺様なラッキーボーイなので。 俺のバッキンガムも、同じ側の舞台袖に捌けている。 視線が合って、にっと微笑みかける。] (47) 2026/08/22(Sat) 22:59:53 |
![]() | 【秘】 飛鳥 悠凛 → 七川 惺[勝手でごめんね。惺。 でもこの舞台、俺は成功させる気しかないんだよ。 唯の成功じゃ気が済まない、 皆が期待する以上のものを。 そのためにとれる手段があるなら、 俺はそうするよ。*] (-30) 2026/08/22(Sat) 23:03:26 |
![]() | 【恋】 飛鳥 悠凛[近づく足音。もう一度振り返る前に、 後ろから抱き締められた。 俺がたまに言うようなことを、今朝は惺がねだる。 愛おしくて、いじらしい。俺の恋人。] ……ごめんね、一緒に居れなくて。 でも、劇場で毎日会えるから。 何もなくてもたまに帰ってくるよ、 巣あっために。 [孵す卵はまだないけど、俺の番を待たせてるから。 行ってきます、と囁いて、 顔のあちこちに優しいキスを捺した。*] (?29) 2026/08/22(Sat) 23:21:38 |
![]() | 【人】 七川 惺[──本番の開幕シーン。 ここで、一気に観客を舞台の世界観に引き込めるかどうか。 成功不成功の鍵は、半分は幕開けの演技にかかっている。 主演・悠凛の人気と親父のネームバリュー。 それだけでも初演は満席になる見込みはあった。 そして実際、最終日まで席が埋まっている。 けれども幕開けと共に観客は知るだろう。 飛鳥悠凛という役者の力を。 艶めく黒髪を跳ね上げて踊る悠凛。 少年の日はアーモンド形に見えることが多く 成長するにつれ切れ長に見えることが多くなる瞳。 完全に移行しきるのではなく、瞬き一つで変化する。 バッキンガムは、舞台の上手にいる。 途中から舞台上手袖から出たが、最初は気配を消していた。 濃いこげ茶色に染めた髪と、 漆黒に僅かにラメの入った長衣が 長身のバッキンガムを群衆の陰に隠していた。 そうして少しずつ、少しずつ、前方に出てゆく。 憧れと情熱が入り混じり、欲望と執着が入り混じる、 それでいて静の演技──できているだろうか。] (48) 2026/08/22(Sat) 23:39:49 |
![]() | 【人】 七川 惺[そのバッキンガムの演技が、静から動に動いたのは。 七枚のヴェールを全て取り去った半裸のリチャードに 舞台下手から歩み寄ったケイツビーが 上着を着せ掛けた場面だ。 一歩踏み出すバッキンガム。 その一歩の足元から巻き上がる白薔薇。 実際には赤薔薇も少々混じっているのだが、 ライトの反射の関係でそれは目立たない。 このシーンでは少年の衣装ではなく 長じてからの黒い長衣だ。衣の裾が揺れる。 大人びた顔に浮かぶ表情は、妬心──。**] (49) 2026/08/22(Sat) 23:49:33 |
![]() | 【人】 七川 惺[薔薇戦争の開始である 第一次セント・オールバンズの戦いを経て、 最大の激戦となったタウトンの戦い。 この戦争でヨーク家が勝利し、 エドワード四世が王位につく。 舞台ではその経過が、 スクリーンに映るシルエットで表現されている。 それを横目で見るふりをしながら、 俺はリチャードの汗を拭く姿に視線を送っていた。 リチャード≒悠凛と、目が合う。 俺はなんとも複雑な表情を浮かべていたかもしれない。**] (50) 2026/08/22(Sat) 23:58:47 |
![]() | 【赤】 メンバー 藤枝 真稀[生の舞台は、滑り出しが肝心だ。 流石七川先生、悠凛の使い方がよく分かっている。 掴みが抜群だな。 公演初日にうまく都合をつけられたから、 中二階の良席を確保してもらった。 ツいてるね、日頃の行いかな。] ──… うん、いいね。 [紹介してもらった時にも思ったことだけど、 生で見るといっそう、並べた時の二人の華がある。 こうでないと、と頷いて。 椅子に浅く腰かけ直した。**] (*0) 2026/08/22(Sat) 23:59:21 |
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