「……それなら、日記取ってくるのだ。ブラキは最近忘れやすいから、書いてある。」

*トボトボ*

ブラキウムは、自室へ日記を取りに行きました。
暫くすれば、戻ってくるでしょう。

>>円卓会議

「ただいま〜……。」

ブラキウムは、ヌンキとラサルハグに連れ添われながら戻ってきました。

「……んっと、サダルみたいにやっていいか？
ブラキは上手く言えるか、わからないのだ。」

*ガタガタ*

ブラキウムは、手近な椅子をボードの前に運んできます。
椅子の上に立つと、ペンを持ちました。
……実はちょっとだけ、使ってみたかったという気持ちもあります。

*キュッキュッ*

ブラキウムは、字がとても綺麗です。
使う言葉こそ幼いですが、まるで機械仕掛けのような字を書きます。

言葉を口にしない分、こちらの方が上手くまとめられそうな気がしました。


【１にちめ】
かいぎにきた。はねをなくした。

【２にちめ】
シトゥラから、シトゥラかサダルっていってた。
このひは、シトゥラとあさまでいっしょだった。

【３にちめ】
しっぱいした。
カウスがみんなのなかに、はんにんがいるっていった。

ラスとあうやくそくをした。

【４にちめ】
しっぱいした。
ラスとルヴァと、ないしょのはなしをした。
しんじゃうのはかなしいけど、ルヴァがいればだいじょうぶになる。

だからいいとおもった。

>>G128 日記

*ポイ*

ブラキウムの日記は、4日目までは順調でした。
しかし昨日の分になると、ノートを円卓に放ります。
どうやら書いていないようです。

【５にちめ】
サダルがなしとげた？
ゲイザーをまもりにいきたかった
カウスがいくなっていった
ゲイザーをまもれなかった
カウスもまもれなかった

*キュ*

……段々と書くまでに、時間がかかるようになってしまいました。

>>G129 日記

ブラキウムは、自分で考えるのが苦手です。
日記を掻い摘むだけでも、常に誰かに教わっていることがわかるでしょう。

「……ブラキがやってたことは、こんなかんじなのだ。
でも今はルヴァがいないし、死んじゃうのは悲しいままになる。
だからもう、このやり方はできない。」

ブラキウムは、��死�≠ｻのものに魅入っているわけではありません。
ただ行き詰まったとき、提案された手段が��死�≠ﾅした。

それはみんなを守りたいのに守れなかったブラキウムにとって、蕾が花開くように素晴らしい案だったのです。

>>円卓会議　日記

ブラキウムは、頷きました。
自身で考えていれば、こうはならなかったかもしれません。



……しかしブラキウムができる、最大限のことをしてきたつもりです。
いつか、指針は示してもらいましたから。

「キューのこと、ブラキだけじゃきっと助けられないから……。だから、みんなと頑張る。
ブラキにできることは、何だってやるぞ。」

ブラキウムは、目元を一度拭うと椅子から降りました。

>>円卓会議

「勿論だぞ。厨房へのオーダーなら任せるといい！」

ブラキウムは、本来物覚えが良いです。
きっとどんな複雑な注文でも、間違えずに伝えることができます。
配膳は少し不安がありますが。

>>円卓会議？

……しばらくして。
温かい食事と焼き立てのパンが円卓に並ぶでしょう。
少々形が歪な物もありますが、しっかりと捏ねられた美味しいパンです。
ブラキウムは、既に摘み食いをしていました。

「……領収書は誰に渡せばいいのだ？」

領収書は大人の物です。
ブラキウムには、扱えない物でした。