人狼物語 三日月国


150 【R18G】偽曲『主よ、人の望みの喜びよ』【身内】

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【秘】 日向の再会 マユミ → 晴の再路 カナイ

――おひさまのような、あたたかさ。

マユミは、今、生きています。

    
in the sunshine.

あなたと一緒の場所で。
(-31) 2022/06/17(Fri) 0:45:20

【秘】 晴の再路 カナイ → 日向の再会 マユミ


──日は沈めばまた昇る。

暗く、寒く、寂しい死の夜は終わり、
少し眩しいけれど、暖かな日の差す時間がやって来る。
夢も悪夢も一様に、覚めても消えて無くなりはせず
一度夢から覚めた人間の歩む路の名は現実だ。

「────あ わ、 
〜〜ッ


いつかの時と、似ているけど違う。
なんとも格好の付かない声を上げて、それでもちゃんと。
若干バランスは崩しかけたかもしれないけれど、
ぐっと踏ん張って、今度こそ、確かにあなたを受け止めて、
(-32) 2022/06/17(Fri) 4:46:43

【秘】 晴の再路 カナイ → 日向の再会 マユミ


「………おはようございます、弓日向さん。」

一つ息を吐いて、へにゃりと笑った。

紛れもなく、現実だ。
今ここにある、明るさも、あたたかさも。
確かにあの時、自らの意思であなたを手に掛けた事も
そして、確かに今こうして互いに生きて居る事も。
(-33) 2022/06/17(Fri) 4:47:20
カナイは、きっと良い事ばかりではないけど、それでいい。
(a28) 2022/06/17(Fri) 4:47:28

カナイは、今ここにある安堵もまた、現実なのだから。
(a29) 2022/06/17(Fri) 4:47:36

【秘】 晴の再路 カナイ → 日向の再会 マユミ


比喩ではなく自分が血に塗れている事もまた、現実で。
血に塗れた手も袖も、あなたの涙を拭うには憚られた。
だからその頬を伝うあたたかさは暫し流れるままにしておこう。

殺して、殺して、殺して、殺して、死んで。
その後に、一度は潰えた路の先へ、手を引かれて。
だから今こうして、その続きを歩んではいるけれど。

じっとりと血を吸った服をどうにかする間も無く来たものだから、
こちらも殺人現場から抜け出た惨殺死体宛らといった有様で。
近付いた分きっとひどく血の臭いを感じるだろうけれど、
これはお互い様という事で許されないかな、なんて現実逃避。

そんな詮無い事を考えながら。
あなたが落ち着くまで、言葉通り、ただ傍に居た。

触れようとする事に拒絶を示されなければ、
そっとその背を撫でる事は、あったかもしれないし。
そうでなければ、もう一度その手を取るだけで。
(-34) 2022/06/17(Fri) 4:49:59

【人】 棕櫚の主日 コゴマ

>>8 >>9
例えばあの時貴方達が敵であることをわかっていなくとも、
今ならわかっているか、と言われたら。
この不安定な力をそこまで意識的に扱えたのだ、なんて確証もないまま、
そうに違いなかったろうと、確信めいて思うことはできなかった。
そして、古後愛施は小さな疑念を過ぎ去った後まで持ち出す人間ではない。
自分以外の人間に、さほど価値を見出していないが故に。

「些事でも助けになったのなら何よりですよ。
 僕は自分の周りのことしか、わかりませんので」

貴方の感謝の念の重さに比べれば、返した言葉のなんと軽いことだったろう。
背中越し、或いは横顔から放たれた"どういたしまして"がどれほど価値の在ることやら。
兎角、この出来事を超えて変わった様子のあった貴方に比べたら、
この青年ときたら、最初に偉そうにしていた様子から大きな変わりもなく。
それでも、返る言葉を受け取る腕は、変わらずそこに、あるだけだ。
(11) 2022/06/17(Fri) 4:53:32

【人】 棕櫚の主日 コゴマ

>>10 伊縫
「結局のところここから離れるまで安心できるわけでもない。
 僕は戦うための力というわけでもないけど……まあ、保険だ」

例えばひとたび使うだけで追手を振り払えるようなものだったなら、
もう少しだけ渋る理由もあったかもしれないし、或いは危険視されてしまって、
今よりも早くエマから駄目押しの注射が振る舞われていたかもしれない。
誰かを斃すに向かずとも、何が出来るわけでもない、とは思っていないようだった。

「……何が怖かったら手を握っててやる、だ。
 注射が怖いから躊躇しているとでも思っているのか?」

長い前髪の向こうで眉間に皺を寄せて、渋い顔。
貴方の忠告を侮られたとでも思ったのかもしれない。
作業の手を止めて、伸ばした人差し指で額をつついてやろうとしたかもしれない。
けれども少なくとも。貴方の言葉に思うところは、あったのだろう。
まとまった荷物を脇に置いて、貴方の隣に座り込む。

「――でも、そうだな。
 ここから出ていくまでの道中が恐ろしいなら。
 僕が、お前の手を握っていてやるさ」

手を、差し伸べて。
(12) 2022/06/17(Fri) 5:14:49

【秘】 晴の再路 カナイ → 日向の再会 マユミ

そうしてあなたが幾許か落ち着きを取り戻した頃に。
ぽつりぽつりと切り出したのは、この後の事。

暗い夜を越え、朝に目覚めた者が、再び現実を歩む為に必要な事。

「…脱出経路は既に確保されていて、
 おれが見た時は、無事な人の大半は資料室に居たはずだけど
 そろそろ出口に向かってる人も居る、かもしれません……?」

エマの帰還と、それが齎したもの。
それから他の生存者達の様子だとか、
自分が把握している範囲の事を整理する傍らに。

仮眠室に置き去りにされていた誰かの上着と、
それから傍らに置いていたタブレットをあなたに差し出した。

「それから……おれと同じなら、多分。
 薬の影響で使えるようになっていた力は……
 …もう使えない、みたいです」

それはつまり、あなたの望みは再び困難なものになったという事。

視線は一度、空っぽの注射器へ向けられて。
それから、自身の疵だらけの右手へと落とされた。
聞いた分には、そもそも力の抑制が主な用途のようで。
自分達に齎された作用は飽くまで副次的なものなんだろう。

「……でも…もう、一人ではなくて。
 だから……どうすればいいか、これから一緒に考えましょう。
 おれにできる事は、手伝いますから」
(-35) 2022/06/17(Fri) 5:21:04
カナイは、自分のそれは、どこまでも一方的な感謝だったのだと思う。
(a30) 2022/06/17(Fri) 5:48:45

カナイは、だからあなたが言葉を受けて、それに言葉を返してくれた事。
(a31) 2022/06/17(Fri) 5:48:56

カナイは、その重さや価値の如何を問わず、ただその事だけで十分だった。
(a32) 2022/06/17(Fri) 5:49:05

【秘】 日向の再会 マユミ → 晴の再路 カナイ

目を覚ました少女は、おはようの言葉を確かに受け取ります。
ほろりほろり、幾つもの生きている証を零しながら、
同じ分だけ頷いて、声のないおはようを返します。

背中に手が伸びれば、やはり一度小さく震えますが、
しかしあなたの手を受け入れるでしょう。
代わりに、より強くあなたを腕に抱いて。
骨が突き破った和装はぼろぼろで、
指先はその背に直接触れる事になるかもしれません。
もしそうなら、その指には幾つもの深い溝……
鞭で刻まれた大きな傷跡の感触が伝わります。


落ち着くまでは……きっと、血を吸った服を握りながら。
涙で血を洗い流す事は出来ませんが、零した分だけ――
あなたと共有した分だけ、薄まっていくはずです。
(-36) 2022/06/17(Fri) 11:13:54

【秘】 日向の再会 マユミ → 晴の再路 カナイ

随分長くそうしていた気がします。
やっと落ち着いて、目元をごしごし。
自分が夜に居た間のあれやこれやを聞き取って頷いて、
上着を差し出されて初めて自分の格好に驚いて、顔を赤くして。
そして……使えなくなった力には、ほんの少し俯いて。
タブレットをゆっくりとなぞりました。

『わかったのです。
 ありがとうございます、叶様。
 とても心強く、そして嬉しいのです』

と全てを纏め、飲み込んでそう見せて微笑んでみせました。
あなたの視線を追って、……そしてそこでまた目を丸くして、
あなたの身体を慌ててぺたぺたとまさぐります。

上着を着るのもそこそこに、
タブレットを大慌てで叩いて、画面を見せて。

『血怪我大丈夫』

と、大変分かりやすい6文字の表示。
つまり、心配していました。とても。それはもう、すごく。
目前の少女は不安げに、視線をあなたの全身に注いでいます。
(-37) 2022/06/17(Fri) 11:14:33

【人】 海底撈月 ヌイバリ

>>12 古後

「うんうん、こんな場所のことすっかりさっぱり忘れたい〜!って人もいると思うしな。
……あとはまあ、出る前に怪我とかする人も、いるかもだし……」

いない方がいいのは間違いないが、途端に不吉な想像が湧き上がる。
見知った顔が苦しむ顔も、血に塗れた姿も、もう見たくないものだ。
腕を組んで深く頷いた。

「あ〜、今のは言葉の綾ってやつでぇ〜……
あてて、ごめん、ごめんって!注射する前にはちゃんと消毒しろよ!」

いつぞやのように、眉間に皺を寄せるあなたの顔を見て。
仕返しのようにつつかれた額を抑えて、青年はやっぱり笑った。
膝を抱えるように座ったまま、頭も膝に乗せるようにして丸くなる。

そうしてそのまま、差し伸べられたあなたの手を見て。
何やらむにゃむにゃと言葉にならない声を発してから、意を決したように口を開いた。
(13) 2022/06/17(Fri) 13:12:35

【秘】 暗夜行路 ヌイバリ → 棕櫚の主日 コゴマ

「……ありがとうな、愛施。
俺、ずーっと怖かったんだ。
お前がそこにいてくれて、本当に嬉しいよ」
(-38) 2022/06/17(Fri) 13:17:18
ヌイバリは、差し伸べられた手をとった。
(a33) 2022/06/17(Fri) 13:18:26

ヌイバリは、ずっとずっと、怖くて仕方なかったけれど。
(a34) 2022/06/17(Fri) 13:18:43

ヌイバリは、一人ではないので。
(a35) 2022/06/17(Fri) 13:19:40

ヌイバリは、やっぱり、あなたに会えてよかった。
(a36) 2022/06/17(Fri) 13:26:12

【人】 篝屋に来た カジヤマ

「ぎっ……ぐァッ……!
 いっでェ……!! マジきっっつい…」


焼けただれている背中と、傷ついた身体を起こす。
目を開けて、声を聞いた。ああ、本当に聞きたかった声達だ。
二日程眠っていた身体は不思議と大きな傷口だけを閉ざす形で再生した。

想像よりはひどくない、明らかに緩和している症状と怪我。
あり得ない治癒力と、まだ鈍く身体に残る痛みに思わず笑ってしまった。
これが、はじめての"治りかけている"という感覚だった。

「―― あは」


部屋で心配をされながら、笑って受け答えて内面を隠す。
今は叫んでいる暇はない。


 また生き残ってしまった。

 まだみていないからだ、あの日焦がれた炎を。

 死んでもみたかった、この傷を与えたあの美しい光景を見ていないからだ。

 これは、生きていたかったからじゃない。

 醜い執着のせいだと、いつか、ぶちまけようかとは思っている。


「めっっちゃ、遅くなった。皆ただいま〜」
(14) 2022/06/17(Fri) 20:44:27

【独】 篝屋に来た カジヤマ

『可哀想ね、一人になってしまって』
いらない。


『とても痛々しいわ、大丈夫?』
いらない。


『これからどうするつもりなの?』
一番知りたいのは、この俺だ。



思い出させる者全て燃えてしまえば良いのに。
自分の身体さえも、記憶さえも、全て消えてしまえば良いのに。
全部思い出させる、嫌なほどこの火傷が
一番美しかった景色[輝かしい豪炎]

一番嫌だった景色[大切な家族を喪ったこと]
を思い出させる。

生まれつきの変異した細胞と、虚弱体質。
病気が治らない、誰もかれもが匙を投げた。
現状維持と当たり障りの言い言葉をかける。

無能だ。
お前達は、自分の身体は、無能でしかない。



だから唯一俺は、俺だけを見捨ててはいけない。
――誰も俺を助けなんかしない。
――誰も俺を助けられなんかしない。

――ああ、生きて居るのに死んでいる気分だ。
(-39) 2022/06/17(Fri) 20:47:36

【独】 篝屋に来た カジヤマ

火事で身内を見失ってから、全てが壊れた。

迷子になっている。家族は許してくれないだろうか、
俺が、そちら側に行くのを許してくれないだろうか。

問いている時点で、答えなどできっていた。

『なー』
『俺ちゃん、寂しい系』
『――――――』
『……けっこー元気。
 もうちょっとで就職、できそう』
『食事は、怒られてばっか』
『……自炊は、微妙。鍋とたこ焼きなら出来る』
『誰かと集まる時間があったら、パーティーしてえよ』
『また、あの日みたいに……』
『できんのかなァ』


立ち直れるなんてこと、できるのか。

「聞こえない、ってことは」
「もう天国にいったってことでいいんかな!」

馬鹿みたいに前向きに考えるの、好きな人達だった。
俺ちゃんもそんな馬鹿みたいな考え、いつだって好きだ。
病は気からなんて、何れだけ勉強してもわかんねえのにさ。
(-40) 2022/06/17(Fri) 20:53:01

【人】 篝屋に来た カジヤマ

「さとみん、あんがと。」

付き添ってくれた後輩にお礼を言う。
まったく、無理矢理付き合わせてしまった。
歯医者に生きたくない子供のように。

「今皆の現状は……どうなってる系?」

冷や汗をかきながら、状況を確かめた。
特効薬……? が見つかったらしい。
そして、それぞれに手配されたと。

――この薬を研究したい、まっさきに思いついたのはそれだ。
これさえ大量に作ることが出来れば、
己の怪我も誰かの怪我も簡単に治すことに繋がる。
病は気からというが、全く本当にどうして。

こんな曖昧な定義だからこそ、人は救われるのだ。
できるだけ頼み、薬を斡旋して貰う。
少なくとも自分の分と誰かに与える分は用意できた。


残り、ここで命を落としてしまったのは――……
(15) 2022/06/17(Fri) 20:54:43

【秘】 篝屋に来た カジヤマ → 氷肌玉骨を手に ナオアキ

『――あきちゃん』

能力が消える前、吐き気を我慢してあなたに問うた。
この声は届かないのかも知れない。

『俺ちゃん、あきちゃんに生きて欲しい系』

要約して薬が見つかったことを告げた。

あなたの身体も己の身体もどこにあるかわかるのは初めてだ。
眠っていないのにこの能力を使っていると言うことは、
目を開けながら寝ているのと同じ気分で、相当気分が変だ。

『……なあ、もう化け物として生きるのは難しくなったよ。
 戻ってきてくれねぇの? 普通に。
 励ましてくれたとき楽しかったよ。
 話そうって言ったのに、おねーさんのことまだ聞いてないし。
 女装の話もまだじゃん。

 …… 怪我治るんだって、
 俺ちゃんもこうやって喋れるぐらいには、なってんの。
 あんたの頭も治んねえ……? ……殴りかかられたくねえよ
 それより、もっと。もう話せないのが嫌なんだ』

『せめて身内に手を出すのやめちくりー……』


ただ、届くかわからない言葉をその場で呟いて。座り込んでいた。
報復が嫌なわけでも、怖いわけでもない。
命を喪う瞬間が好きじゃないだけだった。
(-41) 2022/06/17(Fri) 20:58:46

【秘】 晴の再路 カナイ → 日向の再会 マユミ


そうして、あなたからの言葉もまた、確かに受け取られる。
声は無くとも、その息遣いが伝わって。
こんなに近くに──同じ場所で、傍に居るのだから、きっと。

ぎゅうと抱かれた腕の中。
指の先に触れた傷には、ほんの少し目を伏せて。
それでもただそっと、その背を撫ぜるだけ。
あなたを理不尽に傷付けるものは、もう無いのだと。
少なくとも、今この時だけは、そう思えるように。
(-42) 2022/06/17(Fri) 22:46:32

【秘】 晴の再路 カナイ → 日向の再会 マユミ


そんな、一時の静かで暖かな時間の後。

あなたが顔を赤くすれば、
流石に一度、そっと気まずそうに目を逸らして。
タブレットをこちらへ向ける、見慣れた動作が
視界の隅に映れば、またそろりと視線を向けた。

「……今はまだ、何ができるか…
 どうすれば、少しでも良い方向に進んで行けるのか。
 おれにもわからない事ばかりですけど……でも、」

「神様は、おれ達の事を助けてはくれなくて。
 人も、……皆が皆、信用できはしないけど。
 それでも、助けてくれる人は、確かに居るみたいなので」

暗い死の闇は晴れて、日向の路は続いていく。

それでも進むべき路が何処かは今はまだわからなくて、
それでも、手を引いて、同じ路を歩いてくれる人は居て。

それでいいんだろう。結局はそれが現時点の結論だった。

「だから……、 エッ待っ ど、」
(-43) 2022/06/17(Fri) 22:46:59

【秘】 晴の再路 カナイ → 日向の再会 マユミ


どうしたんですか、だとか言う間も無く。
そもそもの話どうしたもこうしたも理由は明白なもの。
それは不安げな様子と、表示された文章もまた物語っていて。

「………えーと……」

どうしようかな、なんて心の内では呟くけれど。
それは言い逃れを考えたわけでは、なくて。


はぐらかすのは、違う気がする、というか。
自分の行いが招いた結果には向き合うべきで、
つまり当たり前に怒られるべき事は、怒られるべきで。
たとえ気遣いからであっても、誤魔化しを雑えるべきではなくて。

「その……ちょっと死……にかけました、けど。
 あっいや、誰かにやられたとかじゃなくて、その…
 殆ど自業自得というか……そんな感じで……」

「…でも、……助けられちゃった、ので。
 元気って言ったら嘘になります、けど、大丈夫です。」

「もう大丈夫。
 だから、一緒に帰りましょう」

既に起きてしまった事実と、それから。
今はもう、心配するような事は無いという事実。
その二つを伝えるのが、きっと今の自分にできる一番の事。
(-44) 2022/06/17(Fri) 22:47:32
氷肌玉骨を手に ナオアキは、メモを貼った。
(a37) 2022/06/18(Sat) 2:40:11

ナオアキは、口に出していた。>>-41>>a37
(a38) 2022/06/18(Sat) 2:40:38

【秘】 日向の再会 マユミ → 晴の再路 カナイ

ぢっ…………と、視線を送ります。
それからふっ、と短く息を吐いて笑いました。

『生きていてくれたのです。
 その上、僕を何度も助けてくれました。
 ここは信じておくのです、叶様を。
 はい、一緒に帰りましょう』

タブレットを見せながら、微笑んで。
シーツから脱し……ようとして、
袴もまたボロボロになっている事に気付き。

『自爆とはいえ、一張羅が完全におしまいなのです。
 今後の路上生活に完全に支障をきたすのです。
 流石の僕も半裸で公園のベンチやら
 植込みの茂みやらで寝る勇気はないのです』

そんな文字を表示して、ひとまずしかたなしと
シーツを腰にぎゅうと結びました。
破れてしまったサラシのせいで豊満な肉体も露わでしたが、
今は無理矢理閉じた上着のお陰でなんとか隠せています。
(-45) 2022/06/18(Sat) 3:10:57

【秘】 日向の再会 マユミ → 晴の再路 カナイ

『後は僕の弓だけは回収したいのですが、
 流石に望み薄な気がするのです。
 服もない、弓もない、住居もない、ないない尽くし。
 ですがまあ。命はありますのでよしとするのです?』

見せながら、あなたの血に濡れた袖を指先でつまみます。

『叶様もいてくれますし?』

なんて文字も躍らせて、甘く微笑んで。
ひとまず、本人的には脱出準備は完了のようです。
服装は非常に怪しいですが。

後はあなたに何かやりのこしたことがあれば、
少女はそれに付き合うつもりのようです。
他の面々が残っているなら、挨拶してもいいでしょう。
本来の持ち物が資料室にあるならそれもよし。

何もなければ、揃って帰っていくのでしょう。
放たれた矢のように。本当の太陽が待つ、日向へと。
(-46) 2022/06/18(Sat) 3:14:17

【秘】 晴の再路 カナイ → 日向の再会 マユミ


穴が開くほど見詰めるとはこの事か。
自業自得とはいえ、ほんの少しばつの悪い気持ちで居たけれど。
暫しの後、ふ、と零されたあなたの吐息と、その笑みに。
やや気が抜けたようにこちらもゆるゆると息を吐いた。

「…そうですね、ちゃんと……生きてます。
 正直、これで良かったのかもわからない、ですけど…
 ……ろ、路上生活」

きっと表沙汰にはならないとはいえ、犯した罪は消えはしない。
自身の抱える歪なものもまた消えて無くなったわけではなく、
何より法や社会はきっと自分を許さないだろう。それでも。


生きる事を望んだ人達が居るから、今こうして生きている。
その事だって確かな事実だから、それは言わずにおいて。
そうして、再び液晶に表示された文章には流石に面食らった。

理不尽に家から追い出された、という事は聞いていたけれど。
この場所で再び会う以前、街中で会った時は、確か。
知り合いの家を転々としている、と聞いていたものだから。
オブラートの下、現実は思ったよりも逼迫しているようで。
(-47) 2022/06/18(Sat) 5:40:04

【秘】 晴の再路 カナイ → 日向の再会 マユミ


「……見付からなかったら、新しいものを。
 ここから出た後に、ゆっくり探せばいいんです。
 生きているから……これからが、あるんですから。
 …弓日向さんが嫌でなければ、家に来ても良いです、し」

ちょっとぎこちなく笑みを返し、そこまで言って、ふと。
帰った後の事を少し考えて、真っ先に思う事と言えば。

「次の仕事、探さないとなあ……」

あの場所では、もう働きたくはない。
確かに恩義はあるけれど、後ろめたい仕事を続けたくはない。
とはいえ逃げ場はそう多くない事は想像に難くなく、
今後も後ろめたい仕事を続けなければならないのであれば。

毒を食らわば皿までとはよく言うもので。
いっその事、この会社の翼下に入ってしまおうか。

そんな詮無い事を考えながら。
血濡れた白衣を放って、もはやどす黒く染まった上着も捨てて。
仮眠室に置き去りにされていた適当な衣服を拝借して、
惨殺死体宛らの見て呉れを少しばかりましにした後に。

あなたを連れて、あなたの手を引いて、戻って行く。
信じてくれた人の所へ、待っている人の所へ。

これまで通りの、とはいかないだろうけれど。
それでも、きっと悪い事ばかりでもない、そんな日常へ。
(-48) 2022/06/18(Sat) 5:44:16
カナイは、望みは叶い、日は巡り、夜を越えて、また朝が来る。
(a39) 2022/06/18(Sat) 5:44:37

カナイは、いつか日が沈むまで、いつか月が昇るまで。
(a40) 2022/06/18(Sat) 5:44:46

カナイは、ただ日向を目指して、晴の路を歩く。
(a41) 2022/06/18(Sat) 5:44:52

カナイは、人がいつかは行き着く西方は、けれど今は未だ遠くの彼方に。
(a42) 2022/06/18(Sat) 5:45:48

【秘】 日向の再会 マユミ → 晴の再路 カナイ

『即今、当処、自己。
 禅に曰く、変えられるのはその3つだけなのです。
 今、ここ、自分、その3つ。僕は』

弓禅一如。弓道を修めていた時に習ったのでしょう。
そんな言葉を見せながらそこで一度区切ります。
再び見せた画面には、ほんの少しの血と、少しのヒビが
ここで起きた出来事のように、残っています。けれど――

『少し、急ぎ過ぎていたのかもしれません。
 叶様の言う通り、ゆっくりでも。
 探して行こうと思うのです。
 やるべき事とは別に、僕が変わっていける道を』

その顔は、とても穏やかで、そして晴れやかでした。
それから僅かの間を空けてタブレットをなぞります。

『叶様が、居てもいいと言ってくれるのなら、
 御厄介になるのです。
 その分荷物持ちでも家事手伝いでも
 その他なんでもさせて頂くのです。
 ですから 不束者ですがこれから、宜しくお願いします。』

深々、頭を下げました。
ポニーテールが零れ落ちて、上がった顔に笑顔をひとつ。
引かれる手を、きちんと握って。
共に、夜明けの道をいくのでしょう。
(-49) 2022/06/18(Sat) 11:25:30
マユミは、願いは届き、日は巡り、夜を越えて、また朝が来る。
(a43) 2022/06/18(Sat) 11:26:28

マユミは、いつか日が沈むまで、いつか月が昇るまで。
(a44) 2022/06/18(Sat) 11:27:41

マユミは、矢のように走るのではなく、人のように歩く。
(a45) 2022/06/18(Sat) 11:29:38

マユミは、いつか日が沈む時、いつか月が昇る時も――
(a46) 2022/06/18(Sat) 11:30:38

マユミは、あなたを、隣で照らしていたいのです。
(a47) 2022/06/18(Sat) 11:31:38

マユミは、いつか月が沈むまで、いつか日が昇るまで。
(a48) 2022/06/18(Sat) 11:32:11

【置】 暗夜行路 ヌイバリ

>>叶

それは、叶の端末に届いたひとつのメッセージ。
いつの間にやら届いたそれを、あなたはそれを読んだかもしれないし、読まなかったかもしれない。

『はばかりさんへ
…やっぱり今は叶さんて呼んだ方がいいのかな、
わかんないや。ごめんね。
高校の時、姉ちゃんの周りちょろちょろしてた俺の事、覚えてるかなあ?
俺もようやく思い出したくらいだから、
覚えてなくても当然なんだけど…

直接顔を合わせたら怖がらせちゃいそうだから、
こういう形にしました。

助けてくれてありがとう。
皆を守ってくれてありがとう。
こんなことでお礼を言われるの、嫌かもしれないけど。
辛い思いもたくさんして、悩んで、
これから、たくさん大変なことがあるかもしれないけど。
どうか少しでも怖いことが起こらないように、
平和に過ごせるよう願ってます。


いつかお礼ができるように、
今住んでる住所と連絡先書いておきます。
思い出したくないな、って時は消しちゃってください。


(漢字、覚えてなくてごめんね…)
(L2) 2022/06/18(Sat) 19:01:39
公開: 2022/06/18(Sat) 19:10:00
ナオアキは、聞こえなくなった声について考えてしまった。
(a49) 2022/06/18(Sat) 19:46:11

ナオアキは、死ななければならない。
(a50) 2022/06/18(Sat) 19:46:20

ナオアキは、罪の意識はやっぱりないけれど、人が罪と呼ぶものを犯したとは認めている。
(a51) 2022/06/18(Sat) 19:46:25

ナオアキは、人に咎められる望みを叶えようとした。が、
(a52) 2022/06/18(Sat) 19:46:37

ナオアキは、ここでやり切れなかった。二度とこんな機会なんて訪れないと思っている。
(a53) 2022/06/18(Sat) 19:46:39

ナオアキは、後戻りをしない。手を伸ばすことをやめない。これは譲れないこと。だから、
(a54) 2022/06/18(Sat) 19:46:50

【神】 氷肌玉骨を手に ナオアキ

 

「ああ、詰んでるなァ」
 
(G0) 2022/06/18(Sat) 19:47:50
ナオアキは、思ってしまった。
(a55) 2022/06/18(Sat) 19:47:56

ナオアキは、死ななければならない 生きていても望みは叶わない 
(a56) 2022/06/18(Sat) 19:48:09

ナオアキは、会議室でお喋り。最期まで。
(a57) 2022/06/18(Sat) 19:48:33

ヌイバリは、皆と、自分を傷つけた人のことを、許せない。
(a58) 2022/06/18(Sat) 20:49:52

ヌイバリは、許せなくても、理解できなくても、褒められた喜びは忘れられない。
(a59) 2022/06/18(Sat) 20:51:35

ヌイバリは、時折うずく痣と一緒に、奈尾さん・・・・のことを思い出す。
(a60) 2022/06/18(Sat) 20:54:22

【人】 棕櫚の主日 コゴマ

>>13 >>-38 伊縫
「結局僕は自分の力でどこまで出来るのか、試したわけでもないしな。
 ……土壇場までも楽な航行になるかなんてのは、誰にもわからない」

エマに聞かれれば、そんなことはこちらが心配することではないのだと叱られそうだ。
けれども彼女であっても、或いは他の誰であっても。
素直に聞くようには出来ていないのだから、簡単には楽観視してしまえない。

溜息をついて、わざとらしくどこか迷惑がっているような態度を取って。
そのくせあらかた準備を終えて先を征くための用意ができたなら、
叶や深和、彼ら"背負った"人間が戻るまでの短い時間を、待つことにした。
そう長いことではなく、ここに居座るでもなくて。恐らくはちょっと休憩する程度。
身体を休める、なんてことにも満たないくらいの、ほんのちょっとの話。
指先に灯る熱が重ねられるにしろそうでないにしろ、青年はそこに居た。
(16) 2022/06/18(Sat) 20:54:48

【秘】 棕櫚の主日 コゴマ → 暗夜行路 ヌイバリ

「……僕は何もしていない。
ただ、怖かっただけだ。
お前があそこで、消えていってしまうのが」
(-50) 2022/06/18(Sat) 20:55:50
コゴマは、神の愛とは何のためにあったのだろうと、考える。
(a61) 2022/06/18(Sat) 20:56:35

コゴマは、乗せられた掌が違ったなら、掛けられた期待の形が違ったなら、此処にはいなかったのだろう。
(a62) 2022/06/18(Sat) 20:57:16

コゴマは、私の全ての労苦と、父の家のすべてのことを忘れさせてくださった者の祝福に祈った。
(a63) 2022/06/18(Sat) 20:58:01

【置】 晴の再路 カナイ


斯くして悪夢は覚め、けれどその記憶は消えはしない。

癒えた傷も、その傷痕は残り続けるように。

この数日間に起きた事の全ては、たとえいつか記憶は薄れても
それはきっと、人の一生を構成する要素の一つとして
自身の一部となり、内に溶け、馴染んでいったのであって。

良くも悪くも、消えて無くなりはしないだろう。
(L3) 2022/06/18(Sat) 20:58:11
公開: 2022/06/18(Sat) 21:00:00

【置】 晴の再路 カナイ


だから、そう。

自分がこの場所でしてしまった事も。
自分がこの場所で誰かに貰ったものも。
自分もそうなっていたかもしれない、誰かの行く末も。

いつの間にか届いていたメッセージも。

何もかも、過ぎた事として、この場所に置いて行きたくはなくて。
だから忘れはしないだろう。向き合い続けるだろう。
いつか自分の一部として、記憶の内に溶けて行くその時まで。

きっと外は、朝日が昇る頃。
斯くして悪夢は覚め、けれど時折それを思い返す者が居る。
傍で歩む誰かと共に、現実という路を歩きながら。
(L4) 2022/06/18(Sat) 20:58:41
公開: 2022/06/18(Sat) 21:00:00
 




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