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人狼物語 三日月国


167 【R18G】海辺のフチラータ【身内】

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【人】 高らかに、あなたの元へ届け ストレガ

>>8 リカルド
「あ?……うわ、すげえ。
 あんだけあたいが言ったのに出歩いてるド級のバカがいる」

ぐりんと振り向くその顔に、呆れと呆れと呆れを貼り付け、
そんな言葉。常なら雷だっただろうが、
まあ、なにせ今は普段そうやらない"暗殺"帰り。
暗というには派手な鐘の音ではあったものの、
つまりは魔女のやり方があの子とは違うというだけの話。
とにかく、両手は塞がり、背中に荷物。
ついでに疲労と頬の欠けもくっつけて、
釘打ち機を取り出すような気力は今はなかった。

「交友ね……ま、そうかもね。
 ビビってる腰抜け共の態度に比べれば、
 あたいのは十二分に交友だと思うよ」

ほんの僅かの間、閉じた瞼に浮かぶのは
いつも変わらないあの顔と、それが少しだけ動いた時の顔。

「……。……で?まだしないわけ?」

あたいの方のことはさておき、と目を開いてそう切り出す。
何を、とでも返せばもう一太刀。

「ケツ拭いてもらった相手の顔に向かって
 思いっきりクソを塗りたくるような現状への言い訳。
 そろそろ来るかと思ってんだけど」

魔女は、多少疲労した所で、辛辣さが抜けるわけもなかった。
(9) 2022/08/25(Thu) 18:37:39

【人】 銀の弾丸 リカルド

【路地の店】>>9 ストレガ

予想と違わず辛辣な言葉を受け、さすがの仏頂面も少しばかり眉を下げ。
それでも、辛辣な言葉の裏に面倒見の良い一面がある事を知っているから、降参の意味を込めて軽く両手を上げた。

「お前の言葉には何一つ言い返せないな」

頭を撃たれて絶対安静にならないわけがない。
ド級のバカと言われればそのとおりだが、どうにもそういう訳にはいかない。
外回りを押し付けられてる時点で、色々警戒すべきこともあるのだが、それはさておき。
正面から貴方の顔を見れば、流石にその大荷物と欠けた頬と耳の状態には気づくだろう。

「……だからその傷を作ってきたのか?
 その大荷物も気になるが……闇医者で見た時はそんな傷、なかっただろう」

表に見える範囲でしか、彼女たちの交友を知るわけもなく。
自分とて、あの2人上司とラウラを殺した人物は洗い出したいと思っているから、その様子を見れば何をしてきたかくらいは想像がついた。
断られるだろうなとは思いながらも、両手に荷物があることを良いことに流してある横髪に触れ、傷を診た。

「俺が密売に使ってる港の5番倉庫の地下によかったら来い。
 綺麗に手当をしてやろう。女の顔にこの傷をそのまま残すのは忍びない」

続く言葉には「言い訳……」と頬をかけば、

「テンゴさんがそこで、俺以上の重体で寝ている。
 俺が今、ベッドで寝ている時間は1秒たりともない。心配させてすまんな」

と言い、そこには最新の医療施設を作っていると告げ、そこでマウロを手術したことも告げた。
貴方になら、あそこに今寝ているテンゴにも会わせてもいいと、思っているからこそのことだった。
(10) 2022/08/25(Thu) 19:39:01

【人】 高らかに、あなたの元へ届け ストレガ

>>10 リカルド

「言い返してたらあんた今頃女になってるよ。
 ついさっきも女を一人造ってきた所だから、すぐやれるね」

ふん、と鼻を鳴らす。命の保証のない性転換の話、
分かるものはこの場に魔女しかいないだろうけど。

「ま、そんなとこ。住処を吹き飛ばしたんでね、
 ああ、あとあたいここに引っ越すから。この店貰うよ」

上への確認もなしに、勝手な事を言いながら。
髪に触れた瞬間、ぐんと首を逸らして避けて、
「次勝手に触れたら指なくなっても文句言うんじゃないよ」
なんて恐ろしい事を口走る。

「まだヤクが抜けきってないのがよくわかるね。お断りさ。
 これくらいある方が、かえってハクがつくよ。それに――」

数日前、烏に言った言葉を呼び起こし。

「『忘れねばこそ、思い出さず候』、ってね。
 これはあたいのものだ、あんたなんかにあげない」

魔女は魔女らしく、凶暴に笑う。
きっと、大きな疵痕になる。
だが、魔女はそれを捨てる気はないらしい。
(1/2)
(11) 2022/08/25(Thu) 19:59:55

【人】 高らかに、あなたの元へ届け ストレガ

>>11
そして言い訳に関しては、

「お、よかった。頼りになる幹部殿が2人とも……
 じゃああたいとしても困るからね。
 腑抜けの下につくつもりもないし」
「ま、気が向いたら見舞いにくらいいくよ。
 ……あんたはさっさと用事を済ませて
 マウロ共々ベッドに戻るんだね、
 じゃなきゃあの時のあんたのツラと状態について
 ソルジャーの間でもちきりの噂にしてやるから」

と、やはり恐ろしい事を口にした。何が恐ろしいか。
それは、この魔女なら本当にやりかねない、という事。
あなたは身体を大事にしなくてはならない。自分の為にも。
そして、ファミリーの為にもだ。
(2/2)
(12) 2022/08/25(Thu) 20:03:51

【人】 銀の弾丸 リカルド

【路地の店】>>11>>12 ストレガ

「……それは、そいつは大層泣きわめいたことだろうな」

それは大体の男は震えあげる話だった。
言葉通りに受け取って、それを想像してみれば痛いどころの話ではなく、いっそ死にたいくらいの絶望だろうなと理解した。

「時計塔まで吹き飛ばしてきたのか。その荷物は引っ越し道具か?
 ……まぁ、いい。今の話で件の経緯はだいたい予想はついた。
 この家は好きに使うと良い。
 ……下手人は、トスキファミリーの者かどうかだけ教えてくれ」

これが今ここにいる本来の仕事のため、確認を取り。
内容を聞き出せれば、助かったと礼を言う。
避けられ断られとするだろうから、然程気にはしてない様子だが、あなたの言葉には「わかったわかった」と返している事だろう。

「ヤクについてはしばらく後遺症が残るかもしれん。
 とはいえそれでお前に迷惑をかけるつもりはないから安心しろ。
 ……まぁ、お前がそれを残したいというのであれば無理強いはしないさ」

この傷は、お互いにきっと、一生残る。
大きさや酷さの話ではない。
強い願いを成す傷とは、案外消えずに残るものなのだ。
その傷を持つものが、忘れない限りは、ずっと。

(13) 2022/08/25(Thu) 20:43:43

【人】 銀の弾丸 リカルド

【路地の店】>>13 ストレガ

「あぁ、手当はともかく見舞いには行くと良い。
 あの人も話し相手が出来れば喜ぶだろうからな」

ただの昼行灯ではないと、ちゃんとわかっている人間がここにもひとりいる。
それはとても良いことだ。
あの人がどう思おうと、まだまだ彼には現役で居てもらわなくてはならない。

「あの時の件については是非内密にしていてもらいたいものだが……、
 状況が許してくれるようになれば、その時はゆっくり休ませてもらうことにしよう」

随分心配をしてもらえたものだなと、小さく笑った。

……俺が、ツィオが、マウロが。そして貴方も。
それぞれ力をつけて立てる日が来るまで、あの人達にはずっと見ていてほしいと、そう思うのだった。
(14) 2022/08/25(Thu) 20:44:44

【人】 孤独では死なない兎 ツィオ

>>5 >>6 負け犬 猫被り
【ノッテアジト廊下】

はぁ、と嘆息して、
マウロの横でそのザマを見る。
なんともまあ……締まらない。
それくらいが、自分たちには似合いなのかもしれないが。

「噛まれたらコトだから、
 手出さない方がいいんじゃないかな。
 もしかしたら野良犬かもしれないしな」

拾ってくれる優しい飼い主がいたら、
今度こそ首輪の一つでもつけてもらいたいものだ。
マウロの後ろから、近寄っていく。
(15) 2022/08/25(Thu) 21:17:12

【人】 銀の弾丸 リカルド

【ノッテアジト廊下】>>15 幼馴染のくそったれ共

締まらない。
それはそうだろう。
頭には幾重も巻かれた包帯が巻かれていて痛々しい。
血の気のない肌に、泣いた後と窺える目の腫れは隠しきれるものではない。

「……誰が野良犬か、くそったれ共」

貴方達の声が聞こえ振り向いた顔は、実にスン……とした表情だ。
それでも、二人の様子がわかればこそ。
悪態をつきながらもほっとした心は、内だけでとどめておいた。
(16) 2022/08/25(Thu) 21:48:00

【人】 風は吹く マウロ

>>16 悪ガキ達
【ノッテアジト廊下】

「どの面で"無理するな"なんて言ってんだかな」
「人に説教する前に、自分を鏡で見てみろよ。箱入りの室内犬でももう少し自分の世話が出来るんじゃないのか?」

人に見せられないような顔で出歩くなんて本当にらしくない。
本来ならもう少し手心を加えてやるところだが。
なにしろ、君には言いたいことが沢山沢山あるのだ。

「とりあえず座れる場所に行こうぜ、会議の疲れもあるしな」
「"リック"の部屋でいいだろ、五体満足なんだから荷物くらい持ってやれよ ツィオ」

いつからか呼ばなくなった愛称を口にして。
先に部屋の方へ向かって歩き出すのだろう。
(17) 2022/08/25(Thu) 23:12:36

【人】 孤独では死なない兎 ツィオ

>>17 >>16 腐れすぎ縁
【ノッテアジト廊下】

「見てみなよリック、
 俺たちの愛息子はこんなに立派に育ってるのに、
 ベビーシッターのお前がそのザマじゃ笑いが出るな」

やれやれ、世話の焼けるやつらだと肩を竦めて。
生憎、女性以外の荷物を持つように、
俺の肩は出来てないんだけどなと言いながら荷物を持つ。
肩に荷物を抱えたまま。二人の前を行き、振り返る。

「まあ、病み上がり二人抱えて、
 こんな場所でダンスを踊るつもりはないから安心しなよ。
 たださ、キミら俺に何か言うべきことあるんじゃない?
 なあ、マウロ、リック」

そろそろ俺も――"おかえり"が言いたいんだが。
それは言葉にせずに、たった四文字だけ相手に求めて。
右手をマウロのために、左手をリカルドのために。
すれ違いざまにそれが出来るように、顔の横で相手に向けて開いた。
(18) 2022/08/25(Thu) 23:43:14

【人】 銀の弾丸 リカルド

【ノッテアジト廊下】>>17>>18 どうしようもない奴ら

「随分良いように言ってくれるじゃないか。
 散々面倒をかけてくれるのはいつもお前たちだというのにな」

荷物を奪われ、少しだけ慌てたように「それは大事なものだから、丁重に扱え」と指示をして、前を歩くツィオの後に続く。
慎重に歩かねばならないのはマウロと同じだから、ゆっくりとした足取りだ。
ふらふらした様子を見せないのは、気を張っているからだろう。

それでも、ツィオがこちらを向いて手を掲げれば、
貴方達にしか見せない顔が、ここに確かにあって。
本当に泣きそうな、それでいて安堵したかのような。そんなくしゃり、とした笑みを浮かべて手を伸ばす。

「――ただいま、兄弟」

こつん。
本当に軽く、拳を手のひらに当て、
その開かれた左手にそっと手のひらを重ねた。
(19) 2022/08/26(Fri) 0:17:24

【人】 高らかに、あなたの元へ届け ストレガ

>>13 >>14 リカルド
「そりゃね。玉と棒に1本ずつ、合計3本釘打ったからね」

女性にはその痛み、想像し辛いという。
恐らく9割方の男性は、或いはあのツィオや、
下手をすればコルヴォでさえ、
この話を聞けば顔を引きつらせるかもしれない。

「荷物はそんなとこ。ああ、トスキの屑だったよ。
 立場は知らないけど、末端のカスにあの子が
 やられるとは思わないからそこそこの立場じゃない?」
「ま、ダクトテープと布切れよりはガーゼの方がいい。
 その内行っとくよ。今は優先事項があるんでね。
 精々内密にして貰えるように振舞いな」

「んじゃ、あたいは店ん中に用があるから。
 この辺一帯も改造しなきゃな。ソルジャーも配置して……」

結局。魔女は、魔女のまま。
なんだかんだと先を見て、自分のことを優先して。
好きなように、生きていく。

チリン、と鳴るドアベルが、或いは猫の鈴のようだった。
(20) 2022/08/26(Fri) 0:58:42

【人】 高らかに、あなたの元へ届け ストレガ

【アンティークショップ】

そして、ストレガは店内に足を踏み入れた。
首を左右に、何かを探す様にして。
(21) 2022/08/26(Fri) 1:02:46

【人】 誰も殺さなくていい レヴィア

>>21 ストレガ

猫が好きだった。
死を悟り、誰もいない場所に消えるその生き物が好きだった。
死を見るのが嫌いだった。
どうしようもなく悲しくて、泣きそうになってしまうから。
だから、猫が好きだった。

猫のようになりたい、と誰かに言った。
死んだ時、どこへでも消えて、無くなって。
誰も悲しませないように、そんな生き物になりたかった。




女は、店の中にて。
2匹の猫を抱いたままの体勢で、そこに居た。
猫になれなかったのか、ならなかったのか。
烏はまだ来てないのか、置いてあるだけか。
何もかもわかることはないけれど、ただ。
女がそこに居る事だけが、確かだった。

店は散々な状況だった。
撃ち抜かれて止まる時計、割れたランプ。
壁も窓も、扉だって傷だらけ。
激しい戦闘が行われたのだろうことが分かる。

女は、無防備に眠るような顔で。
横たわっている。
(22) 2022/08/26(Fri) 17:38:52

【人】 高らかに、あなたの元へ届け ストレガ

>>22 レヴィア
「よう、Piccolina.おちびちゃん

女は、それらをすべて見て。
見た上で、軽く手をあげてそう言った。
軽い挨拶を、いつものように。

それから眠る姿の隣に行って、散らばる木くずや、
ガラス片なんかを軽く足で払って。
重い荷物を下ろすと、女の隣にあぐらをかいて座り込んだ。

「はあ。おかえりが言えなくて残念だよ」
「……なあ、寝ながらでいいから聞いてくれよ」
「ちゃあんと、あんたの仇は討っといた」
「それもとびっきりの方法でね」
「それに、吹っ飛ばした分だけよく聞こえたろ?」
「弔いの鐘って奴。いい音だったと思うんだ」
「まあ、あんたのグラスハープには負けるけどさ」

返事もない、他愛のない話。
傷だらけの店をぼんやりと眺めながら、
笑い交じりにぽつぽつと落としていく。


魔女は、猫が好きだった。
可愛い顔して、人を寄せ付けず、かと思えば寄ってきて。
自由そうで、不自由で、その癖時々凶暴な、ワガママな奴。
まるでどっかの誰かみたいだ。
そんなやつが、魔女は好きだった。
(1/2)
(23) 2022/08/26(Fri) 18:50:55

【人】 高らかに、あなたの元へ届け ストレガ

>>23
女は、眠り姫へと手を伸ばす。その髪を軽く撫でてやる。

「……。ああ、そうだ。時計塔、吹っ飛ばしちゃったからさ。
 あたいここに住む事にしたから。いいだろ?
 これなら毎日、借りに来ることが出来るじゃんか」

勝手な事を口にして、髪を撫でていた手を離し、
抱かれた猫の片方、くたくたになった黒猫の頬を突く。
くにゃりと曲がった顔は、首を傾げるようだった。

「でもさあ、あんたは……あんたはさ、
 いつまでもここにいる訳にもいかないだろ?
 それにハエなんかたかってるの見たら、
 あたいがまた住処を吹っ飛ばしちまいそうだし。
 ……だからさあ、提案なんだけど」

そう言って、抱かれた猫の内、幾らかしゃんとした
白い猫を腕の中から抜け出させてやる。

「あたいがこの子、借りていくよ。
 で、あんたにはその子、貸したままにしとく。
 それでさあ……いつかまた会う時が来たら、
 お互いの猫を返すってのは、どうよ?」

名案だろ?なんて微笑んで、返事もないのに様子を窺った。
(24) 2022/08/26(Fri) 19:01:00

【人】 誰も殺さなくていい レヴィア

>>24 ストレガ



「馬鹿ね、そんな事で住処を吹き飛ばすなんて。」
「貴女がどこに住もうと、興味がないわ。勝手に─────」



(25) 2022/08/26(Fri) 19:16:26

【人】 誰も殺さなくていい レヴィア

>>24 ストレガ

そんな声が聞こえてくるわけもない。
死体は何の音も立てない。
もう口から冷たい言葉を吐くことも。
細い指先がグラスを撫でる事もない。
何もかもが終わってしまった、ただの肉の塊。
もう少しすれば死の匂いが強くなり、やがて腐り。
きっと見るに耐えない姿になっていく。

黒猫を、胸に近い側に。
白猫を、その一つ外側に。
そうやって抱きかかえていたから、死後に固まる腕の中、
黒猫の方は随分ぎゅぅ、と抱きしめられていた。
まるで離さないとでもいうような、いいやきっと、
それはただの現象でしかなく、そこに意味などないのだけれど。
それでも何となくそう思えるような、抱きしめ方で。

白猫は、すんなりと取れる。
黒いリボンが一つ増えている。
女の頭のリボンが一つ減っているのも、貴方にはきっとすぐわかる。
足の付け根には拙い刺繍。
L..v...と、少しぐちゃっとした文字のようなもの。
殺すだけの女の手では、針子の才能はなかったようで。
手袋の取れた指、何度か針の刺さったような傷がその証拠。

背中にも、目立たない縫い目がある。
中に何かを入れて、また閉じたのか。
やはり拙いそれは、糸を切ればすぐに開いてしまうような
縫合だったけれど。
(26) 2022/08/26(Fri) 19:24:18

【人】 高らかに、あなたの元へ届け ストレガ

>>25 >>26 レヴィア

窺えど、返事もなければ、身じろぎもしない。
当たり前だ、それは死体で、終わった話。
ため息ひとつも零れるだろう。

それでも、強く抱かれたようにみえる黒猫と、
"大事にされていた"白猫を見れば、口元には笑みが浮かぶ。

「……ありがと。次会ったら裁縫くらい教えてやるよ」

ぽつりと呟いて、またその髪を撫でた。
それからふと、白猫の背中に拙い縫い目を見つければ。

「……。ちゃんと後で縫い直してやるから、
 ちょっとだけ……ごめんね」

片手をカバンに、工具箱から小さなニッパーを取り出して。
努力の証を開くのも、なんだかなあと零しながら
糸を切って中を確かめてみた。
(27) 2022/08/26(Fri) 19:59:35

【人】 誰も殺さなくていい レヴィア

>>27 ストレガ

教えてやる、と言われて返す言葉は、きっと決まってる。
いつもと同じ温度で、同じ抑揚で、きっと頭の中に響く。

猫の胸の辺り、心臓の代わりに入っていたのは、
小さな紙きれ。
少し丸い文字が並んでいる。口語体の文章。

『貴女がこれを読んでいるなら、きっと私は死んだのね。
 そして貴女は生きている。そういう事だと思うわ。』
『件の抗争は決着がついてるかしら。
 ついてたらいいわ。そうしたら、死から少し遠くなる。
 怪我はしてないかしら。治さなきゃだめよ。
 貴女、ただでさえ目立つって自分で言ってたもの。』


『貴女が今どんな感情でいるか、なんて知らないけれど。』
『私、濡れるのは嫌いなの。』
『貴女の雨で濡らさないで頂戴ね。』


『手紙なんて、書いたことがないから、
 何を書けばいいのか分からないわ。
 何事もなく終わって、ずっと後にこれが見つかったら、
 どんな顔をすればいいのかしら。』


『そうね。』
『伝えたい事があるの。それを書いて終わるわ。』
(28) 2022/08/26(Fri) 20:41:18

【人】 誰も殺さなくていい レヴィア

>>27 ストレガ

『私、誰でも殺せる女なの。』
『敵も、味方も。殺せと言われたら殺せるわ。』
『つい最近も、ノッテの人を殺したもの。』
『誰を殺せと命令されても、その通りにしてきたわ。』


『でも最近、命令をされるのが怖かったの。』
『あなたのせいよ。』
『貴女が懲りずに話に来て、律儀に飲みものを用意して』
『贈り物なんて考えて、いってらっしゃいなんて告げて』
『怖がりもせずに、当たり前のように接してくるから。』
『怖かったわ。』
『怖かったのよ。』


『───命令で貴女の名を呼ばれる事が、怖かった。』



『だって、私、そうなったら。』
『きっと』
『きっと、命令に添えなかったもの。』


『私、貴女だけは殺せそうにないわ。』
『あなたのせいよ。』
『馬鹿。』

(29) 2022/08/26(Fri) 20:49:50

【人】 誰も殺さなくていい レヴィア

>>27 ストレガ

『……それだけよ。』
『ねぇ、これを読んでるのが、殺せない貴女なら。』
『どうか、祝福してくださらない?』

『貴女を殺さずにすんだ、殺すしか能のない女の事を。』
『祝ってほしいの。』


『文字を書くというのは疲れるわね。』
『ここまでにしておくわ。』
『じゃあね、唯一人の貴女。』
『Arrivederci.』



『PS:』
『リボンは貴女がつけなさい。』
『嫌そうな顔をしないの。』
『その方が』


『目立って見つけやすいかもしれないじゃない。』




そんな拙い文章の手紙が数枚、
ぬいぐるみLevia心臓部こころに入っていた事だろう。
(30) 2022/08/26(Fri) 20:55:52

【人】 高らかに、あなたの元へ届け ストレガ

>>28 >>29 >>30 レヴィア

きっと、いつもの通りに返されれば、
いつものように返すのだ。『かっわいっくねえー』なんて。
そして、いつもの言葉を脳内で呼び起こしながらも、
隠されていた心を読めば読むだけ、言いたい言葉が一杯だ。

『遺書を用意するなんて、用意がいいのね、だっけ?』とか。
『なんで生きてないんだよ本当に、あー無駄になった』とか。
『馬鹿なのはどっちなんだよ、まったく』とか。
『あたいにリボンとか、趣味が悪いよあんたは』とか。

だけど、そのいずれも出やしない。
代わりに、雨が降り出した。それは、どしゃぶりの雨で。
濡れるのが嫌いなあなたを濡らさないように、
無理矢理に手で掬うから、その手に赤い雨が滲むのだ。
強い風は唸り声と紛う事もあるというから、
今吹き付ける甲高い嵐もきっと何かと紛う事もあるだろう。

ああ、それにしてもまったく、魔女というものは
誰にとっても、本人にしたって、御しがたいもので。
きっとそれは、猫のように、気まぐれで、自由で。
お願いしたって、碌に聞いてくれやしないのだ。
傷だって、ずっと持っていこうと思っているし。
雨だって、当てないようにしたって少し零れているし。
どうしようもないほどに、ままならない。

あなたの言葉を借りるなら、きっとこの魔女ストレガは馬鹿だった。
(31) 2022/08/26(Fri) 21:26:54

【人】 高らかに、あなたの元へ届け ストレガ

>>28 >>29 >>30 レヴィア

やがて、その雨風が弱まって。
時計の音が雨音をかき消すくらいになった頃に。
やっと、落ち着いたストレガは口を開く。

「……悪い、ちょっ、とだけ、濡らしたね」

がらがら声が、無理矢理に元気を作っている。
白猫Levia手紙こころを返して、優しく抱いて。

「まあ、……許してよ。次会う時、怒ってくれていいからさ」
「それで、祝福だっけ?あたいそういうの、
 全然知らないんだよなあ……するように思える?
 思えないだろ?そもそもさあ……はあ〜〜〜〜……」

ぐちぐち、続けそうになった口を適当に切り上げて、
代わりに溜息を吐いて。肩を竦めた後、
目元を親指でぴっ、と拭う。

「あんたは、ノッテ・ファミリー家族
 だけど、それ以上にあたいの……ハ、唯一の。友達だよ。
 言っとくけど!家族になるより友達になる方が
 何百倍も難しいんだからね。ことあたいにとっては!」

なんだか、ちょっと怒ったような口調でそう言って。
黒いリボンを、おもむろに白猫からひとつ、解いて見せた。

「……友達の頼みじゃ、一等断れない。
 まったく、ちゃんと見つけないと承知しないからね」
(32) 2022/08/26(Fri) 21:43:39

【人】 高らかに、あなたの元へ届け ストレガ

>>27 >>28 >>29 唯一人の貴女

そうして、ぼさついて広がった髪を後ろでひとまとめ。
根元をきゅっと、黒いリボンで結わえて。

Ti voglio bene, Levia.
次に会うのを楽しみに待ってなよ、レヴィア


呟くと、物言わぬあなたの、額に唇を落とした。
少しだけ長く、別れを惜しむように。
やがて離れて、最後にもう一度だけ髪を、そして頬を撫でて。

「……やれやれ、最後に一仕事だけしなきゃ」

鞄を探ると、取り出したのは針と糸。
黒い猫には白い糸を。抱かせたままに、縫い付ける。
友達が縫った所と同じ場所に、『Strega』と。

白い猫には、黒い糸を。背中を敢えて、
はじめと同じように少し緩めに縫い合わせ。
友達の名前は、そのままに。これが、一番いい形だから。

「出来た。……なあ、次に会うのは随分先になるからさ。
 そん時はレヴィアの顔、驚きと喜びで
 ふにゃふにゃにさせてやるからな?
 ……おやすみ、唯一人の貴女」

そう告げて、……一旦。この場を去るだろう。
一枚、烏達に向けて。「ぬいぐるみと一緒に、頼む」と添えて。
(33) 2022/08/26(Fri) 22:00:43

【人】 貴女の友達 レヴィア

>>33 ストレガ
結局、一つだって約束を守ってくれない貴女。
それでも女が怒ることは、きっとない。
たとえ頬を突かれたって、怒ったりしなかったのだから。

だから、女は。
もうあなたに見える事も、触れる事も出来ない、
曖昧な存在のまま、
雨が降るのをただ見ていた。
まさか見られてる、なんて貴女は思わないだろう。
貴女もそんな顔するのね、なんて言葉も、届かないだろう。

「友達、そう。」
「………馬鹿ね、人を見る目もないなんて。」

「リボン、やっぱり似合わないわね。」
「見つけやすくて助かるわ。」

伝わらずとも、そんな事を呟いて。
ぬいぐるみに刻まれる名前も、閉じられていく傷も見届けて。
全部、全部、全部。
その最後まで、見届けて。

額にキスされたのを見れば、そっと、顔を寄せて。
ぐっと背伸びして、同じようにして。
きっと貴女の額には、届かなくて、それより下になったけど。

「Anche io.」

そんな言葉を、呟いて。
(34) 2022/08/26(Fri) 22:24:37

【人】 必ずまた会いに行く レヴィア

>>33 ストレガ

最後に黒のぬいぐるみを傍に置かれて、
立ち去っていく貴女を、その背中を眺める。

「……必ず、見つけに行くわ。」
「だって私、暗殺屋だもの。」
「必ず、必ずよ。」

だからそれまで、待っていてちょうだい。
次に会った時、それが貴女とは違う姿形で、
私も違う姿形だったとしても。
絶対に見つけて、また、同じように。
貴女に同じ言葉を言わせるわ。

だって、私は暗殺屋。
暗殺屋は、狙った標的を絶対に逃がさない。


レヴィア暗殺屋が狙う、最後で、最初の標的は────
(35) 2022/08/26(Fri) 22:32:59
レヴィアは、指鉄砲を、貴女のに突き付けて。
(a2) 2022/08/26(Fri) 22:34:23

レヴィアは、くすり、年相応に、楽しげに笑って。
(a3) 2022/08/26(Fri) 22:34:52

【人】 暗殺屋 レヴィア





BANGばーん




───暗殺屋と魔女の物語、つづく遠い未来に
(36) 2022/08/26(Fri) 22:38:45

【人】 風は吹く マウロ

>>18 >>19 馬鹿ども
【ノッテアジト廊下】

「誰が息子だ、気持ち悪いこと言うな」
「面倒掛けてんのはお前も一緒だろうが、自分は大人だとでも思ってそうだな?リック」

揶揄うように笑いながら。
横を抜けていくツィオの姿を横目で見て。
そして振り返った君が手を挙げたのならば。少し面食らったような顔。
ああ―――と、納得をしたように笑みを浮かべ。
何でもなさそうな顔で、君の元へ歩いていく。

「遅くなった。―――ただいま、兄弟」

奇しくももう一人の幼馴染と同じ言葉を乗せて。
開いた手を、君の右手にぶつけ。
ぱん、軽い音を響かせた。
(37) 2022/08/27(Sat) 1:49:06
鳥葬 コルヴォ(匿名)は、メモを貼った。
2022/08/27(Sat) 2:36:40

鳥葬 コルヴォ(匿名)は、メモを貼った。
2022/08/27(Sat) 2:36:57

【置】 家族愛 サルヴァトーレ

「​────Abbie,」
(L11) 2022/08/27(Sat) 19:12:04
公開: 2022/08/27(Sat) 22:10:00
 




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