人狼物語 三日月国


68 【身内】空想模倣機体は駒鳥達の夢を見るか?【R18G】

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NIA[NPC]<β>

 
そのアカウントはサルガスに発見された。


 現実の自分を忘れて、けれど。――変わることは許されなかった。
 意地っ張りで、捻くれてて、可愛くない性格。
 冷めた顔立ち。ひょろりと細い手足。印象より高い身長。

 いっときだけでも捨ててしまいたかったそれらを、すべて抱えたまま。
 この世界に、生きることになる。

NIA[NPC]<β>★

 少女は他のプレイヤー同様、『課題』を与えられた。
 ロール名、
「餓狼」

 強すぎる承認欲求。倫理観の著しい欠如。餓えた獣。人殺しの役割。
 少女は殺人鬼へと成り果てた。

NIA[NPC]<β>★村人

 最後に、表向きの肩書き「村人」をぺたりと貼り付けて。
 これで「村人 ニア」の完成。

(→)


サブイベントNo.XX
『パルテノスの悪魔』


あの最近有名になり始めた
パルテノスって役者が集まってるギルド
なにやら魔獣がいるって噂らしい。
……調査してくれないか?



【ソロール】→



「俺、最近このギルドに入ったんだが
 ある夜忘れ物を取りに戻ったらさ

 謎の影が徘徊してるのを見たんだ!
 ぜったいやばいって、頼む!調べてくれ!
 魔獣とかだったら倒してくれていい!」

「報酬ならはずむからさ!」


▷はい
 いいえ





アクションXXでヘイズを呼び出せます。
ヘイズはあなたと同じ特性の技を覚えます。
ヘイズはあなたが戦闘不能になれば力を失います。
ヘイズは死の先であろうとあなたに着いて行くのです。
ヘイズは………………



「いつか、あんたのこと。
 殺してやろうって思ったりもしたわ。

 ――メサにしたのと、おんなじように」

 
「アイツの欲しがってた言葉を殺した!
アイツの、口を塞いだんだ。
アイツは、望んでた。きっと、僕が!欲しかったんだ!
愛してほしいって、きっと思ってた……」


 彼の言葉を思い出して。
 あの路地裏が、脳裏をよぎる。

(→)

竪琴の音。


 [鳴り響く][つい昨日も爪弾いていたのに]
 [酷く久しぶりに鳴らした気が、する]

「聞こえるか?」
「返事は、できるか?」

「もしできないのならいいんだ」
「もしも返したくないのなら、いいんだ」

「……ハマルはうまくできただろうか。
 ハマルはシトゥラの遺したものをきちんと使えただろうか。
 ハマルは信用に応える事ができたならうれしい」

「シトゥラが居てくれて嬉しかったんだ。
 声を聞いてくれて嬉しかったんだ。
 声が聞こえて、嬉しかったんだ。

 もう起きる事なんてないと思っていたんだ。

 ……ハマル
<【俺/私】>
はそれを伝えたかった」

「そうですね。
アンタは頑張ったと思います。
僕が居なくても、僕が必要なことすべてを残して行かなくても。
ちゃんと走り切った、それを誇りに思います」

青年は彼に、嘘はつかなかった。
けれどすべてを伝えても行かなかった。

「アンタの歩いた道は、きっといばらの道だった。
そこから逃げ出さなかったこと。
先に進むために足を止めなかったこと。
これは、称賛に値します。

よく頑張りましたね、ハマル」

「ハマルはな。

 ハマルはシトゥラの一番になりたかったんだと言われたんだ。
 でも、きっと違うんだ。

 ハマルの『一番』はシトゥラの『一番』と同じ意味ではない。
 ハマルの『特別』はシトゥラの『特別』と同じ意味ではない。
 ハマルの『好き』はシトゥラの『好き』と同じ意味ではない。」

「……それでも、やはりハマルは。
 シトゥラが『一番』で、『特別』で、『好き』だった」

「ハマルは頑張って、頑張って、立ち止まらないで、生き続けて。
そうして、いつか会えたら」

 [■■■■■事ではないとわかっていたけれど]

「……『褒めて欲しかった』」


「!」

 [聞こえた声に金が瞬く]

「……ハマルは。本当に頑張れたか?
 きっとシトゥラのように上手にできなかった。
 何度も手を掴み損ねた。
 ハマルは、」

 [言葉が零れ落ちていく]

「ハマルは、シトゥラに生きていて欲しかった。
 ハマルはずっと一緒にいて欲しかった。
 ハマルはシトゥラの『特別』も聞けなかった。
 ハマルはシトゥラとお酒を飲んでみたかった。

 
……ハマルは約束を、
守って欲しかった


 [消え入るような声でそう呟いた]
 [だってこの言葉達はきっと、貴方の信用に応えていない]


 すべてが夢だった。
 いつわりだった。
 まぼろしだった。
          
としつき

 彼と過ごした10年の年月も、
 抱いた思慕も、
 数日のうちに急速に変化させられた感情もなにもかも。


 それでも幻の中で抱いた感情は、
 自分の心のすべては嘘ではない。

 彼に会わなければいけない。
 "おわかれ"をしなければいけない。


「それより先に、一発ぶん殴る」

                      ──強い決意☆


「メレフ。どこだ」

 愛想の欠片もない、不機嫌さの伺える声。
 慣れたものならその声から怒りを拾える。

「ツラを貸せ」


 やさしい言葉遣いを心がける男に
 荒っぽい言葉を使わせるほど…………、怒っている。
 
ヌンキの件で。



「…………ハイ。」

あんなに格好良く付けた台詞を吐こうが、
怒られるものは怒られる。当然の摂理だ。

素直にあなたの側(店の近くだろうか)に
姿を見せる。いつでもどこからでも殴れる。
最早サンドバッグと言っても過言でもないくらい容易だ。

 メレフ

 店先に現れた姿にためらいない足取りで近寄る。
 纏う怒気に小鳥は囀りをやめて逃げ出す。
 GoodByeおやすみよ。
 
「あなたは」

 
ビンタ。

 
「隠し事が多いのは知っていたが」

 
ビンタ。

 
「他の者と寝てから日もなく恋人を申し込むとかまともか?」

 
ビンタ。


「本気であることに疑いもしないが」

 
ビンタ。

 透き通った思考にビンタのノリがいい。

「それはそれ。これはこれだ」

 
ビンタ。

 職人の手が痛むが、廃業済だ。問題ない。



「誠意のない関係を俺は好まない」

 
ビンタ。

 溜め込んだものが堰を切ったように溢れてビンタに変わる。

「それとも他の者と関係を継続したままでも」

 
ビンタ。

 
「俺が許すと考えていたなら心外だ」

 
ビンタ。


「あんたは一度、人の心を学習し直せ」

 
ビンタ。

 手を下げる。



「…………はあ」

 叩いた手は赤く、ひりひりと痛む。
 仮想空間に演算された痛みは本物のように感じさせる。
 
 そして演算範囲の対象外である人の心が得た痛みは、
 加減なしの本物として反映される。

「あんたはプレイヤーでいいのか」

ビンタ音で念を越えちゃった

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「ハマル、きっとアンタは知らないだろうけれど。
約束のすべてが守られるわけではない。
何かを手放さなければ手に入らないものもある。

僕は、今回はそれを掴むために、
それ以外を全部手放した。
手放した中に、ハマル──アンタのことも含まれている。

だから、アンタに手を伸ばすのは不誠実だと思った。
だから、アンタに連絡も、言葉も残さなかった。

ハマル、アンタに話す僕の特別は、
アンタたちを手放した先の話だ。
それを話すことに、躊躇いがある。

それでも聞きたいと願いますか?」



呆れた、とばかりにため息をついた。
こんな質問するんだからわかるだろうとばかりに。

「俺もそうだよ」

だからあんたとの付き合いはまだ続くだろう、
なんて喜ばせるような言葉は続けない。
躾には適度な飴と鞭の使い分けが必要なのだ。

「探したければ探してもいい。禁止はしない」

想いが偽りじゃないなら本気で探せ、
ということである。

結局見つけようとしなくとも自分から探すし、
もしも見つけてくれたなら、
今後も間違いがあってもこうして許してしまうんだろうなと
予感しながら。


この世界でのラサルハグのおはなしはこれでおしまい。

未来の話はまたどこかで。

 


「……ハマルは、守られない約束を知っている。
 零れ落ちたものを知っている。
 掴めなかったものを知っている。

 けれどハマルは手放したくはない。
 いくら失っても手放す事は、したくない。
 シトゥラの事だってそうだ。

 シトゥラが手放してしまうのなら。
 ハマルは掴もうとし続けよう。

 お前が落としたものを、全てハマルは拾い続ける。
 ハマルがそうしたいと、思うから」

「それに、 シトゥラはハマルに最期言っただろう。
 『一番の話が出来るようになりました』と。
 言葉を残してくれただろう。
 約束を守ろうとしてくれただろう。
 躊躇うという事は完全に捨てきれてはいなかったのだろう。

 シトゥラの中にひとかけらでも残っていたのなら」

「……寂しくはある。
 けれど。それでも、よかった」

 →

竪琴の音が鳴る。


「言えない事。言いたくない事なら。
 無理に言わなくても構わない。

 けれど『話』をしよう。シトゥラ。
 見てきたもの。触れたもの。
 話したくてもできなかった事。
 伝えられなかった事。

 ハマル達はそれしかできない。
 ハマル達はそれでも。
 言葉を交わすこの場所で繋がったのだから」

 [是と言われれば、ぽつりぽつりと話し始めるだろう]
 [過去の話][いつかの話]
 [果たされる約束][果たされない約束]
 [『現実』の話だって出たのかもしれない]

 [否と言われても]
 [最後に貴方に伝える言葉は決まっている]
 [『またね』][そうして竪琴の音も途切れるのだ]



青年も話し始める。
やってきたこと、大事なものの話。
空いた時間を埋めるように、言葉を重ねていく。

青年の話はけして長くはない。
大事なことは、言葉に上手く出来ないものだ。
だから事実と少しの気持ちだけを言葉に乗せる。

またね、の約束は果たされるのだろうか。
ハマルに彼は“現実の自分の連絡先”を手渡した。
あっちでも再会しようという約束を。


 [ここでの残り時間は有限だ]

 [きっと互いに語り交わしあった言葉は少ない]
 [それでも大事な事は伝えられただろう]

 [渡された連絡先に、【日辻 春】の連絡先を返して]
 [果たしたい約束を再び結んで]

 [そうしてこちらでの二人]
 [『ハマル』と『シトゥラ』の話は終わったのだ]


「 
Huh? Darn it!!!
 」


ハローハロー、当方です。
当方は今、貴方の脳内に直接語り掛けています。

この世界がβテストである時間もあと少しですね。
意味の分からない方は聞き流してくださって結構です。
その疑問はきっと後に解消されますから。

さて皆様、やり残した事はありませんか?
忘れ物はありませんか?
ほら、そこのギルドの長失格さんとか。
『壊れた時報』からの信用消失具合、いっそ笑えますね。

HAHAHA

ホワイトボード
は見ましたか?

「それで終わり」「僕はギルドの長失格です」
「僕の話はここまでだ」

『壊れた時報』は、これらの言葉を信じていません。
当方のこの言葉が理解出来ない程、
貴方はお馬鹿さんではありませんね、ギルドの長失格さん?

失礼、私信が入りました。ソーリー。
当方は皆々様に言葉を投げ、羊を夢見に戻ります。

シーユー
 

ぼく、ヘイズ!
人外だらけの役者ギルドで、愛らしい子供を演じる魔獣!
……っていう没データがこっそり残されてたNPC!

しかも、謎のゲームの参加者に選ばれちゃって…!?
ぼくはデータ通りになんとか宿主という名の師匠になってくれる人を会合で見つけようとして…選ばれたのがサダル!

どうしてサダルが選ばれたって?ギルドが同じだから?
それとも演技の特訓をしてくれたから?いいえ
彼が迷える子羊ちゃんのぼくに気づかせてくれたからでしょう!

それからぼくは人のいろんな感情に触れました。
死体をみた時の、殺す時の、死ぬときの…
あれ?ポジティブなこともあったのに忘れました!
あはは!ウソです。ちゃんと覚えてます!憧れですから!

ところが、みんな別の世界に本当の自分が
いるってきいてビックリ!くそ〜!
でもでも、パーフェクト弟子だったぼくは
いろんな世界へと渡る希望の星を師匠から与えられました☆彡
サダル!ルヘナさん!みんな!
きっとぼく行きますよ!待っててくださいね〜!

次回、空想模倣機体は駒鳥達の夢を見るか?

『Hello, World!これ師匠のスマホですか?』

ぼくたちの舞台はまだはじまったばかりだ!!!


「ごきげんよう、ニアよ。
 ――ここでは『ガルデニア』と名乗るほうがいいかしら」


 同じ『陣営』として設定されていた者たちへ、
 最後の挨拶を贈る。

「……あのお願い、聞いてくれたのよね」


 あまりにも一方的で身勝手な、今際の言葉。
 必死だったあの願いを聞き入れてくれたこと。

「キュー、ラム、モス。
 それから、フール、スクリプト、リリス。もう一人の誰かさん」


 それから、仲間であってくれたこと。
 ……『設定』と言ってしまえばそれまでだけれど。
 少女は彼らに手を伸ばさずに、彼の手を取ってしまったけれど。

「悪い子のニアに付き合ってくれて、ありがとう」


 それでも、ひとりではなかった。
 少女はきっとそのことに――彼らに、甘えていた。

「――ニアの人生も、悪くはなかったわ」


(→)

 




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