22:34:41

人狼物語 三日月国


105 身内村

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視点:


プロローグ

【人】 とある書物

これはとあるありきたりな話。
(0) master 2021/10/27(Wed) 22:35:10
到着: 夏越

【人】 夏越

[そう、これは本当に在り来りな話。

 一人の男が恋をして、
 だけれど彼は心の内を声に出す勇気が無くて、
 代わりに─────とんでもないことだけれど
 たった一人愛する人に拳を向けることにした。

 わかってほしい。
 どうか、この孤独を埋めて欲しい。
 どうか、僕の傍を去らないで。

 そんな気持ちを不機嫌なため息に、
 壁に投げつけたマグカップに、
 夢に向かってひたむきに歩き続ける、
 最愛の妻の顔へと振り下ろす拳に載せる。]
(1) シュレッダー 2021/10/27(Wed) 23:01:36

【人】 夏越


[それが大嫌いで、大嫌いな、
 もう一人の「僕」の話。]
 
(2) シュレッダー 2021/10/27(Wed) 23:02:38

【人】 ろぼ先生 夏越

  ー 夢の途中 ー

[小さなちゃぶ台の上で男は身をかがめながら
 モニターとにらめっこをしている。
 なにせモニターの画面いっぱいに、
 桃農家のご夫婦と息子さん、
 自治会長のおじいちゃんや小学生、
 思い出溢れる顔が並んでいるのだ。

 遠く離れた場所にいても
 向こうで過ごした時間や結んだ絆は消えない。
 桃農家さんとの月一のテレビ通話の時間に
 変わらず顔を出してくれる、“僕”の大事な人達。]


  あ、健太くん怪我治ったんだ!
  ……ふふ、良かった。入院生活は?
  え、病院にお化け?あはは……

  ……え?先生のビームで退治?
  出ないってば!もー!


[他愛のない話に花を咲かせて笑う
 このひとときが大好きだ。]
(3) シュレッダー 2021/10/27(Wed) 23:17:39

【人】 ろぼ先生 夏越

[彼らと過ごしたのは“僕”だ。
 よく似た「彼」じゃない。

 画面に向かってけらけら笑ったり、話を聞いたり。
 しばらくそうして過ごしたなら、
 男はモニターの電源を落として深く息をつく。
 傍らにあるコーヒーの入ったマグカップに口付けて。]
(4) シュレッダー 2021/10/27(Wed) 23:25:47

【人】 ろぼ先生 夏越

[そういえば、もうそろそろ自分用のマグがほしい。
 「お客さん用」じゃないやつ。
 男はそう考える。
 急いで山梨から出てきてしまったから
 慌ただしい日々の中ですっかり忘れてしまってた。

 清華にデートのおねだりをしてもいいのかな。
 “僕”のマグカップがもう一度欲しいんだ、って。]*
(5) シュレッダー 2021/10/27(Wed) 23:31:56

【独】 ろぼ先生 夏越

/*
なんかとても久々に動かすキャラだからとてもドキドキドキドキしてる。
(-0) シュレッダー 2021/10/28(Thu) 0:12:01
村の設定が変更されました。

到着:春野 清華

【人】 春野 清華



 これは、ありきたりな話。

 きっと、ごく普通に、ありふれた話。

 愛した人と、噛み合わなかっただけ。
 うまく、いかなかっただけ。
 誰も悪くない。わたしも、悪くない。
 彼も、悪くない。
 ただ、それだけの話。

 
(6) ななと 2021/10/28(Thu) 1:06:24

【人】 春野 清華


 
 仕事を終えて帰ると、そこには小さな画面に向けて
手を振るW彼Wの姿があった。
相手は桃農園で出会った家族なのだろう。
綻んだ顔で、画面に向かって語りかけている。

その横顔をただ黙って、見つめていた。

 別れの言葉を告げて、電源が切られる。
かたん、と音がして、そばにあった
コーヒーのカップを持ち上げる。

それは『彼』のでもなくW彼Wのでもない
来客用の───他人のための、もの。

 
(7) ななと 2021/10/28(Thu) 1:06:42

【人】 春野 清華



彼をこの家に連れてきたとき、その荷物の少なさに
驚きを覚えたものだけれど。
わたしが、何も知らない、何もわからない
彼のことを置いていったから。
あの日から今まで、彼の中で変わったことを
何を知ったのか、何がわかったのか
それすら知らないまま。
その荷物の少なさが、何かを物語っている気がして
ただそのなにかがわからなくて、
わかる、とはおもえなくて。

いまだにその距離を計りかねている。

 あの日別れを告げた彼にもう一度出会って。
どうしようもなくまた、焦がれてしまった。
ああやはり、私は《彼》から、離れられない。
そこから動くことができない。
触れたい。この人のことを、愛している。

 
(8) ななと 2021/10/28(Thu) 1:06:59

【人】 春野 清華



W彼Wが『彼』と同じでないことはわかっている。
脳では理解していても、感情は追いつかない。
奇妙な感覚だ。わたしはあのとき、あの場所で
再び出会ったW彼Wを愛していると、
確かに言えるはずなのに。
『彼』のことも、未だに愛している。
忘れられるわけがない。
それが膿んだ傷だとしても、一生。

その横顔から視線を落とした。一歩踏み出す。


 「ただいま」


そう、声をかけた。

夢を見る。
おなじ、夢を見てくれる。

私と彼は今、どんな、関係なのだろう。*

 
(9) ななと 2021/10/28(Thu) 1:07:17
離脱:ろぼ先生 夏越

到着:ろぼ先生 夏越 清正

【人】 ろぼ先生 夏越 清正

[くる、と振り向けば妻がいる。
 幸せな結婚をした記憶を持って生まれて1週間で
 一緒に市役所に緑の紙を出しに行ったはずの。

 男は彼女を愛している。
 空っぽの家に取り残された時や、
 自分を受け入れてくれる土地を探して
 心許ないままさまよった時ですら
 その想いは変わることはなく。
 ──アンドロイドとしての刷り込みが消えた今も。]
(10) シュレッダー 2021/10/28(Thu) 3:10:04

【人】 ろぼ先生 夏越 清正



  おかえり!


[そう、ふにゃりと笑う。
 もしかしたらさっきまでのテレビ通話を
 見られていたかもしれない照れを滲ませながら。]


  今ね、山梨のみんなとおしゃべりしてた。
  前の教え子だった健太が
  坂道を自転車で転げ落ちて骨折してたの、
  ようやく退院出来たんだって。


[季節のパフェの主役を飾る桃の作り手や、
 未だにロボットネタでからかってくる悪童共、
 その他同僚やらご近所やら、
 男の話には毎度登場する人々のことは
 清華もある程度は知っているだろう。

 それは確かに男が“ 僕 ”として生きて
 絆を獲得した人達。]
(11) シュレッダー 2021/10/28(Thu) 3:24:24

【独】 ろぼ先生 夏越 清正



  みんな、“僕”だけの大事な人。

  「彼」のものじゃない。

 
(-1) シュレッダー 2021/10/28(Thu) 3:25:44

【秘】 ろぼ先生 夏越 清正 → 春野 清華

[妻の中には、確かに“僕”がいる。
 しかし、彼女の心の中には「僕」もいる。

 辛い記憶が付けた傷ごと消えてしまえ、
 “僕”こそが彼女を愛しているのだから、と。
 何度打ち消しても、男の脳裏には
 時折そんな言葉が浮かんだ。

 でも、もう絶対に口にはしない。

 彼女が男に心の自由をくれたのと同じように
 男もまた彼女の心に自由をあげたい、と。
 大事な人達を持ったことで、殊更強く
 そう思うようになったから。]
(-2) シュレッダー 2021/10/28(Thu) 3:35:42

【人】 ろぼ先生 夏越 清正

[でね、それでね、と外出から帰った母親に
 矢継ぎ早に今日の出来事を報告する子どもみたいに
 面白おかしくさっきまでの話を聞かせたら
 清華はどんな反応をしてくれたろう。

 なんとなく子どもじみた甘え方をしてしまうのは
 再度の離別への恐怖ゆえか、
 それとも未だに「僕」と“僕”と彼女の関係の
 しっくりくる置きどころが分からないせいか。]


  お店は、どうだった? 
  新しいメニューの反応とか。


[もう桃や葡萄の盛る時期は過ぎた。
 カフェでも暖かなメニューが愛される時期だろうか。
 そんなことを考えながら、尋ねよう。

 自分の店を持って、たくさんの人を笑顔に。
 そんな大事な夢が「叶った」と思えるまで。]
(12) シュレッダー 2021/10/28(Thu) 4:07:28

【人】 ろぼ先生 夏越 清正



  それでね、あの…………。


[男は不意に言葉を区切って、
 握ったままのマグカップに視線を落とす。
 誰のものでもない「お客さん」のやつじゃなくて
 “僕”のマグカップが欲しい。
 前に買ったのはひどい騒動のせいで
 割れてしまったから。

 そう言おうとするのだけれど、
 誘うことで要らぬ傷を開きやしないか。
 少し心配で、頭の中で言葉を探す。
 
なるほど、言葉に出すのって照れくさいし難しい。



  あの、一緒に、お買い物行きたい。
  清華が、嫌じゃなければ。


[何度かつかえながらも、言った。
 ちゃんと目を見て。頑張った。
 ……“僕”は、「僕」とは違うのだから。]*
(13) シュレッダー 2021/10/28(Thu) 4:17:54
村の設定が変更されました。

【人】 春野 清華


 振り返って笑う、そのふにゃりとした表情を。
わたしはかつて、暮らしていたその人の
そんな表情を、うまく思い出せなかった。

思い出せないのならば、見ていないのと同じだろうか。
……それとも、思い出せないのではなくて、
本当はそんな表情、見せてくれたことは
なかったのかもしれない、とさえ。

 
(14) ななと 2021/10/29(Fri) 1:04:13

【人】 春野 清華



嬉しそうに、楽しそうに話してくれる彼に
こちらも微笑みを浮かべて頷き返す。
 
その内容は確かにW彼Wの見つけて手にした、
大切な大切な日々のかけらだった。

W彼Wと「彼」が別のひとなのだと実感するたび
重ねてしまう罪悪感がつきんと痛む。
わかっているのに、うまく処理できない。


 「うん、そっか、いいね、」


 一生懸命話してくれる彼に微笑みを浮かべて、こくこくと頷きを返しながらエピソードを聞く。
その間も、つきん、つきん、刺すような痛みが。


 「あ……うん、順調。
  おいしかったって、好評だったよ」


 そう微笑みかけてから、彼の話を促した。
(15) ななと 2021/10/29(Fri) 1:04:32

【人】 春野 清華


 ふと、彼の言葉が不自然に途切れる。


 「うん?」


 首を傾げてそちらを見れば、落とされた視線に
釣られるようにして、そちらをみる。
そこには他人用のマグカップがひとつ。
言葉を待って、それから微笑み返した。


 「……もちろん。…大丈夫、明後日お休みなの。
  マグカップ、買いに行こう。」


*
(16) ななと 2021/10/29(Fri) 1:04:59

【独】 なごっち 夏越 清正



 だって、僕が強い男たるべきならば、
 そうである、とせめても見せかけたかったならば、
 一体どんなふうに、どんな時に笑えばよかったのか。

 誰も教えてくれなかったんだ。

 
(-3) シュレッダー 2021/10/29(Fri) 13:07:24

【人】 ろぼ先生 夏越 清正

[まるで、苦い粉薬を包みこんで飲み込ませる
 オブラートみたいに、薄い膜が間にあるよう。
 時々、清華と話す時に男はそう感じることがあった。
 近くにいることを許されては、いる。
 だけれどあと一歩のところで近付けない。

 だけれどそれに気付かないふりをして
 男は自分の大事な人達の話をする。

 いつか、お互いのベストな心の距離が見つかるまで
 いつまでもいつまでも待とう。
 ……そう、心に決めて。]
(17) シュレッダー 2021/10/29(Fri) 13:36:21

【人】 ろぼ先生 夏越 清正

[そして、獲得したデートの確約には
 素直にぴょい、と小躍りして。]


  わーい!ずっと欲しいのがあってね!
  一緒に来てくれたら、嬉しいな。


[いつか、黒い海がうねる街で選んだものは、
 男が使う間もなく割れてしまった。
 今度行きたいのは車で十数分ほどのところにある
 小さくて可愛いお店。
 男一人で入るには、ちょっと気恥しいのもあるし
 単に一緒に出かける理由が
 欲しかっただけかもしれない。]
(18) シュレッダー 2021/10/29(Fri) 13:47:15

【人】 ろぼ先生 夏越 清正

[「僕」とは違って、“僕”は感情を表にする。
 どうする「べき」か、じゃなくて
 どうし「たい」かを優先する。
 それが、清華が男に授けてくれた“意思”という宝物。

 だからデートの約束にけらけらと小躍りしながら
 ふと、清華の頬に手を伸ばして]


  …………ね、いい?


[肌に触れて、キスをする許可をもらうのも
 男がそう「したい」から。
 ……でもそれはお互いの意思確認が
 なきゃいけないことだから、小さな声で尋ねよう。]*
(19) シュレッダー 2021/10/29(Fri) 14:05:55

【人】 春野 清華




 名前のない関係を、私たちがどうしていくのか
それは、きっと互いにしかわからないこと。
それでいて、今はきっと、どちらにもわからないこと。

計りかねた距離が、この奇妙な関係を曖昧にする。
夫婦でも、友人でもない。名前をつけるなら、
W恋人Wが近いのかもしれないけれど、
そう呼ぶにはずいぶんとぎこちなかった。

「彼」との関係を進めた時、わたしは、
一目散にそちらに向かって走ることができたのに
今は、それがうまくできそうになくて。
それがどうしてかと尋ねられれば、
あの日々のことが……
───いいえ、それに繋げてしまった、
きっと、自分の中の何かがまた、W彼Wを
苦しませてしまうのではないか、と
思ってしまうからかもしれない。


(20) ななと 2021/10/30(Sat) 7:07:19

【人】 春野 清華




あの日々の中、わたしも苦しかった。
彼もきっと、苦しんでいた。
何一つ、生み出さないあの時間を、
ただ互いに削り、疲弊し、枯渇したあの時を
また、繰り返すのだけは恐ろしくて。

彼のことを解放して、
私も自らを解放したかった、のかもしれない。
それがただの自己愛で、彼にとっては
苦しめるだけになるとわかっていたのに。


(21) ななと 2021/10/30(Sat) 7:07:38

【人】 春野 清華



 微笑みを返すと、彼が子供のようにはしゃぐ。
「ずっと欲しいの」という言葉に、唇を結ぶ。 

また、気づけなかった。W彼Wの求めるもの。
あの頃のように、W彼Wは手を挙げることはない。
同じ顔。おなじ、声。同じ背丈だけれど、
彼はその人じゃない。
W彼Wは怒鳴らないし、手を上げない。
それでも、私が気づかないことばかりが続けば
いつか、その手が振り下ろされるんじゃないかと
フラッシュバックして身構えることもある。
頭では理解しているのに、この人は、
きっとそんなことしないって、わかってるのに。
どうしたって求めてしまう。
「彼」に望まれた自分になれないかと、いまだ。
囚われて、ばかりだ。

 
(22) ななと 2021/10/30(Sat) 7:07:59

【人】 春野 清華



 伸ばされた手が、頬に触れる。
滑らかで、柔らかなその熱に、眉を上げた。
問われた事柄に、ぱちぱちと瞬きをして、
それから結んだ唇を解き、返事の代わりに目を閉じた。

優しく触れた唇に、少しだけ肩が上がる。
離れれば、薄く目を開いて、まつ毛の隙間から
彼の顔をじっと見つめる。
いまだ、計りかねる距離を縮めたいとは
ずっと、ずっと思っていて、だから。

包み込む。手の甲に自分の手を重ねて
軽く頬を寄せ,目を閉じる。

いつだってそう、優しく問いかけてから触れるのは
彼もきっと、計りかねているから。


彼は、『ヒトではない』はずなのに。
どうしてこんなにも優しく、あたたかいのか。


 
(23) ななと 2021/10/30(Sat) 7:08:28

【秘】 春野 清華 → ろぼ先生 夏越 清正




  わたしはね、あなたを愛してる。


    
───WあなたWを愛したいの。



 
(-4) ななと 2021/10/30(Sat) 7:09:20

【人】 春野 清華




ゆるく、口許は弧を描く。
ゆっくりと瞼を開いた。


 「ねえ、清正くん」


やり直すわけじゃない。
ただ、もう一度。
ただ、───何度でも。


 「明明後日も、お休みにするから、
  どこかに泊まって、小旅行、しない?

  場所は、清正くんの行きたいところがいい。」


 あなたとの思い出を重ねたくて。*

 
(24) ななと 2021/10/30(Sat) 7:09:57

【独】 ろぼ先生 夏越 清正

/*
きゃーーーーーーーー!!!!!!
(うれしくてオフトゥンの中で転げまわるPL)
(-5) シュレッダー 2021/10/30(Sat) 8:27:05

【独】 ろぼ先生 夏越 清正

/*
それをさ、清華ちゃんから言ってもらえるの、ろぼくん絶対嬉しいと思うのよ。
(-6) シュレッダー 2021/10/30(Sat) 8:28:04

【人】 ろぼ先生 夏越 清正

[言葉にしなくても、そっと閉じられた瞳に
 意図を察して、まるで教会でするみたいなキスを
 いちばん愛する人に注ぐ。

 重ねた手は温かい。
 男にはない鼓動が分け与えられるよう。
 角度を変えてもう一度、手を頬から滑らせ
 背中をそっと抱き寄せる。

 震えてない?もう、怯えてない?
 “僕”は、君のそばにいてもいい?
 言葉に出来ない意思確認を掌に乗せる。]
(25) シュレッダー 2021/10/30(Sat) 12:00:59

【人】 ろぼ先生 夏越 清正

[閉じた瞼を開いて唇を離せば視線が通い合って、
 男は照れくさそうに、ひひ…と笑う。
 自分からキスを強請ったのに、
 このつかの間満たされた空気が
 流れるのは慣れていないのだ。

 緩く弧を描く清華の唇に倣って
 微笑んでみせようとするのだけれど、
 どうしても恥じらいが邪魔をする。

 だけどそのもにゃりと不格好な唇の笑みは、
 清華の言葉で弾けて、より深い喜色に変わる。]


  いく……!え、いいの?


[一緒に泊まりの旅行なんて、あの時以来。
 数ヶ月悩んでたセレクトショップのカップが
 頭の中からぽーいとすっ飛んでいって
 男は早速、お土産にカップを買うことを考えている。]
(26) シュレッダー 2021/10/30(Sat) 12:17:42

【人】 ろぼ先生 夏越 清正

[行きたいところ、というのがパッと思いつかなくて
 んー、うーん、と清華の肩に手を置いたまま
 悩んで唸ってしばし。]


  …………今度は、ビジホじゃないとこにしよ。


[インパクト大な女社長の顔が
 至る所にあるあそこじゃなくて。
 冗談半分、半分は本気。]
(27) シュレッダー 2021/10/30(Sat) 12:22:05

【人】 ろぼ先生 夏越 清正

[結局、今すぐ「ココ!」となる場所が思いつかなくて
 少し時間をもらうことにした。

 写真の撮影しがいある、映え、なところがいいかな。
 今なら渓谷の紅葉が綺麗かな。
 あーでもない、こーでもない。
 PCとにらめっこしたり、
 本屋で旅行雑誌を立ち読みしたり。

 しかしいまいちピンと来ない。

 その日の夜も、ノートPCを膝に載っけて真剣な顔をして。
 不安定だと、椅子に座った手で太腿をぴちぴち叩くのは
 オリジナルにはない、桃農家の息子さんから移った癖。
(28) シュレッダー 2021/10/30(Sat) 12:30:54

【人】 ろぼ先生 夏越 清正

[けれど翌朝、清華と朝食を取っている時に
 たまたまつけていたテレビの旅番組を見ていたら
 画面にものすごいものが写った。

 温泉の地熱ですくすく育った、
 ものすごーーーく大きな、
もやし。


 農家のおじさんの膝より大きく育ったそれは
 正しくは「そばもやし」という、
 スーパーで見かける「まめもやし」とは違うもの。
 それにしても、でかい。
 レポーターがそのでっかいもやしを使った料理を
 がつがつと頬張っている。

 温泉があるとはいっても、それ以外何も無い。
 だからもやしを栽培してみたのだという。
 恐ろしく映えない光景だけれど、
 なぜだか男は画面に釘付けになってしまった。]
(29) シュレッダー 2021/10/30(Sat) 12:38:42

【人】 ろぼ先生 夏越 清正



  清華…………あれ、


[食べに行かない?と続ける。
 場所は青森だから、朝早くに出なくちゃだけど
 行って帰ってこれる距離だ。

 清華はもっと華やかなところがいいだろうか。
 でも、紅葉の山に囲まれて人も少ない場所で
 ゆっくり体と心を休めるのもいいかな、と。

 もしそれでOKがもらえたならば
 いざ、もやしといやしを求めて
 何もしない旅に出よう。]*
(30) シュレッダー 2021/10/30(Sat) 12:43:33

【人】 春野 清華



 彼の喜色を帯びた表情に安堵する。
ほ、と胸を撫で下ろして、それから笑んだ口許。


 「もちろん」


とつぶやいてひとつ、頷いた。
彼が唸る。考え込む様子をみていたら、
出た結論に、また唇は少し弧を描いた。

 
(31) ななと 2021/10/30(Sat) 18:39:05

【人】 春野 清華




 「そうね、温泉あるとこに、しよっか」


別にビジネスホテルが悪いわけではないけれど、
せっかくの旅行なのだから、少しいいところに
泊まったってきっとばちはあたらない。

わたしがリクエストしたのはただそれだけ。
あとは、彼にお願いしておいた。
───無責任かもしれないけれど、
わたしは、彼の行きたいところに行きたくて。
彼の、みたい景色が見たかった。

ろくに遠出もできなかった『彼』への
せめてもの、償いだなんて思ってない。
ただ、わたしはW彼Wの目から見た世界を
「彼」じゃないその世界を、知りたい。

 ささいな仕草を見ていると、あの頃よりも
ずっと、「彼」とはちがっていて。
W彼W自身がちがうひとになっていっている
そんな気もしてくる。
それにどんな感情を抱いているのか、
わたしには自分でもよくわからなかった。

 
(32) ななと 2021/10/30(Sat) 18:39:24

【人】 春野 清華


 そんな、翌朝。
つけっぱなしのテレビをとくに真剣にみるわけでもなく
スマホで天気を確認して、コーヒーを啜っていたら
彼が声をあげたから、わたしも小さな画面から
顔を上げて、そちらを見た。

ぱちぱちと目を瞬かせ、指されたテレビの画面には
それはそれは立派なもやしの料理がうつっていて。
首を傾げて、まるで麺のようなそのもやしを見る。


 「これが、食べたいの?」


 たしかに、珍しそうではある。
正直、もやしにそこまで心惹かれるかといわれると
それは残念ながら否、ではあるけれど。
それでもそれが、彼のしたいこと、ならば
断る理由などひとつもなかった。

 
(33) ななと 2021/10/30(Sat) 18:39:37

【人】 春野 清華



 「……うん、いいよ。
  じゃあ、青森、行こうか。」


と微笑みかけて、コーヒーをまた一口。


 「普通のもやしなのかなあ……」


リポーターの頬張る料理を見つめながら
ぼそりとこぼす。
おばけもやし、とでも称されそうなその大きさ。
そばもやし,と呼ばれているのを知って、
麺類というのはあながち間違ってなかったな、
なんて考えながら。
み青森って他に何があるんだろう。
青函トンネルとか、りんご?」と、それはそれは
薄い青森知識を頭の中で巡らせた。*

 
(34) ななと 2021/10/30(Sat) 18:39:49

【人】 ろぼ先生 夏越 清正



  食べたい、とは少し違うかな。
  見た事ないじゃない、あんな大きいの。


[男も、オリジナルも、そこまで
 もやし好きではない、はず。
 不思議そうに小首を傾げた清華に
 こてん、とこちらも首を傾げながら、男は言葉を探す。]


  見た事ないから見に行きたい、が近いかも。
  もちろん食べるのも楽しみだけどさ。


[知らないものを見に行って、触れたい。
 普通はどうするべきかはともかく
 自分の気持ちと向き合ってみたい。
 そういう、気持ち。]
(35) シュレッダー 2021/10/31(Sun) 9:21:17

【人】 ろぼ先生 夏越 清正

[レポーターが美味しそうにパリパリ音を立てながら
 もやし炒めを平らげているが、その味は未知数。
 テレビではもやし炒めのほか
 もやしをたくさんのせたラーメンを紹介していたがさて。

 日が暮れると氷点下を下回るらしいから
 しっかり暖かいものを用意して
 男は清華とともに北の大地に旅立とう。
 新幹線とはいえ数時間はかかる道のり、
 ガイドブックを捲りながら旅程を組もう。]


  もやしのある温泉地には
  ほぼ観光できるところないね……
  弘前駅のまわりを少し観光してからいこうよ。


[弘前城や、りんご公園、ねぶたを展示した資料館。
 もう少し海が近ければホタテやイカなどの
 海鮮にありつけたかもしれないが。]
(36) シュレッダー 2021/10/31(Sun) 12:11:41

【人】 ろぼ先生 夏越 清正

[都心から離れるにつれて、車窓から眺める風景は
 ビルの林が次第になだらかになって、
 やがて畑の中に家が点在するようになり、
 最終的には完全に森の中へと変わっていく。

 その次々変わる景色は、カメラには収められない。
 代わりに男はつぶさに記憶にとどめようとするように
 じっと景色を眺めている。
 心做しか、北上するにつれて肌寒さを感じ
 男は首元に巻いたマフラーに頬を埋める。]


  青森っていったら、やっぱりりんごかな。


[また巡り会えた場所が桃農家だったのもあって、
 男は何の気なしに、青森でも
 おいしいリンゴを探すのか尋ねようとするだろう。]
(37) シュレッダー 2021/10/31(Sun) 13:36:29

【秘】 ろぼ先生 夏越 清正 → 春野 清華



  
例えば旅先で素敵なものを見つけてさ、
  それを使って美味しい料理を作ったら、
  もっとお客さんが喜んでくれるんじゃないか、って。

  “僕”だって、君の夢の続きが見たいんだ。


 
(-7) シュレッダー 2021/10/31(Sun) 13:48:27

【人】 ろぼ先生 夏越 清正

[しばらく続いたトンネルの真っ暗闇が晴れると、
 朱や黄に色付く木立が広がっていた。
 花の盛りのような光景に魂を奪われしばし
 黙って目を向けていたが、やがてまたその林がひらけ
 赤く色付く果実を実らせた畑がちらほら見えてくる。]


  ね、りんごなってる!


[山梨や、普段の景色と違う風景に歓喜する男は、
 数十分後、目的地に着いた途端に
 肌を切るような寒風の歓迎を受けることを
 まだ知らないでいる。]*
(38) シュレッダー 2021/10/31(Sun) 14:02:09
到着: VI

 




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生存者 (2)

清華
16回 残----pt

 

夏越 清正
9回 残----pt

すきすき

犠牲者 (1)

とある書物(2d)
0回 残----pt

 

処刑者 (1)

VI(3d)
0回 残----pt

 

突然死者 (0)

舞台 (0)

発言種別

通常発言
独り言
内緒話
囁き系
死者のうめき
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