──　現在　──


［　

　　歩き回って疲れたのか、
　　宿屋へと迎えば日の落ちて暫くには
　　ヴィオラ様は眠ってしまわれた。

　　霧の外を眺め一人、
　　昼間手に形づくられ
　　声の聞こえたの花弁を思う。　］
　

　　　　……どこで待ってるっていうんだ。


［　呟けば、手から花弁が落ちて空へ。
　　ひらり、ひらりと舞う
　　花弁を拾い上げんと立ち上がり
　　捕まえようとするも、手をすり抜ける。

　　　　　　　　　　　　　　　

　　…追いかける前に見やったのは、
　　起きる様子もなく寝息を立てている少女。　］
　

　






　　
　

　
［　離れていても位置を知ることが出来
　　動向を知ることが出来る
　　術者本人だけであればその場へと移動できる





　　…私と王女は、例外的に国王に許可されている。
　　私が傍を離れる時には、かけるようにと。
　　少し重くなった身体に鞭を打って、
　　追いかける。　
　　
　

［　街灯と花弁に誘われ >>n1
　　深い霧の中、町外れに近い所から
　　だったとはいえ20分ほどは歩いただろうか

　　一度訪れた時から、寸分変わらない様子の建物と
　　を胸元に刺す
青年が見えた >>69　］
　

　　　　…あなたが？


［　
　　その声には聞き覚えがあった
　　こんな所まで舞って案内してくれた青い薔薇にも。

　　ははっ、と息だけに近い嗤いが零れる。
　　ゴースト達の開く酒場、…どうやら本当らしい


　　開かれた扉の明かりで、
　　霧の中に一線の光明がさす。

　

　──城下町〜『MiraggiO』──

[点々と咲く青い花に導かれるまま暫く歩いた。



もうそんなに時間がたったのか？
東の国に比べて西の国は日没が遅いというが
どうしたことだろう。
ほの光る薔薇は残照を集めていたのだろうか？

と、一つの薔薇から蝶が飛び立った。
飛び立つ先を目で追うと、街灯が、ぽっと灯った。>>n0



そんなことを思ってから、ふと、後ろを振り向いた]

[少し前から薄霧がかかっているのには気づいていたが、
……霧が濃度を増している。
ずっとずっと濃い。辺りが急に昏くなったのはこのせいか。

　

子供の頃
耳に馴染んだ童謡が脳裏を過った。

]

[けれども、前方には、一際強く道を示すような街灯の列>>n1
街に不案内な自分が引き返しても、濃霧の中で道に迷うだけ。

そう考えて一歩踏み出す。

『MiraggiO』の扉にたどり着くまでに
誰かと合流することはあっただろうか]

　──……待っていた？

[『MiraggiO』の前に静かに佇む男性に向かって問い返す。
青い薔薇を胸元に刺していたから、
自分達をここへ呼んだのは彼なのだろう>>69]

　

[冗談めかして、ついそう付け加えてしまったのは
この状況が、ちょっとだけ怖かったから。
逆に強がりの気持ちが頭をもたげてしまった結果だ。


だって、噂が……噂を思い出したから。

でも、『青い薔薇の人』の返事がどんなものだったとしても
店の中に足を踏み入れたんだ。
……店の中からいい匂いが漂ってきて、お腹がぐぅと鳴ったからね]**

　　　　　　


　

　　　


　　　
　　　


　　

　　　
　　　

　　　　　　　　　　　　

　　

――　霧夜の酒場　――




　　

　　自室に戻って、いつの間にか寝てしまって
　　気づけば夜。……の深い夜。
　　立ち上がる。
　　元々、行って見たいと思っていたし
　　行く理由だってあるから、迷わず外へと。
　　女性が独り歩きするには少し遅い時間だけど
　　そんなことは気にしなかった。
　　こんな夜に出歩く人は少ないはずだから。

　　あの時髪に飾られたを手に歩き出した。>>0:395

　

　　町を照らしているはずの明かりは
　　今日は頼りにならない。>>n0

　　それでも、昼に行っていたからか
　　酒場近くまで…導くように並ぶ街灯までは
　　迷わずに行くことが出来た。


　　　


　　街灯の列と共に見えるのは見覚えのある花弁で。
　　道標を辿るように歩いて出会うのは
　　胸元にバラを飾った青年。>>69

　　思わず手の中のバラと見比べてしまった。