[さて。3年の時はまだ気楽に遊び歩いてたけど、
就活が始まったら流石に忙しくなった。
二人の時間も今までより取れなくなって、
不満を抱えてたのは俺も同じだったりする。

俺には昔生活リズムが合わなくなって
すれ違った挙句振られたっていう
苦い思い出がちょっとあるんで
一緒に住も？って要の申し出は渡りに船だった。
まあその前からちょこちょこそんな話はしてたけど
卒業を前に一気に現実的になった感じ。

ああ、就活の方だけど
俺は無事TV番組の制作アシスタントに就職した。
番組の企画したりロケの手配したりする仕事。
副業OK服装髪型自由ってのが魅力だよな。
仕事内容も割と向いてたみたいで今のとこ楽しくやってる。

配信者の方もちょっとペースは落ちたけど
趣味の範囲でのんびり続けている。]

[二人で住める物件探して家具揃えて、
最初はくだんねー喧嘩したりしてさ、
なんやかんや結構大変だったけどその辺は割合。

少しそんな日々にも慣れた今は
忙しさに追われながらも俺たちは仲良くやっている。

お互いの休みの日にはこうして
二人の時間を満喫したりしながら。]

ん――……かなめ……？　もー朝………？


[要の腕の中に抱き寄せられて、
むにゃ、とまだ夢うつつのなかぐずった。
もそもそと身を寄せて、要の肩に顔を摺り寄せる。

あ〜〜休みの日に恋人とぐだぐだできる
この瞬間ってまさに幸せって感じだよな。

要にひっつきながら
まだ布団から出る気にはなれなくて、
心地よいぬくぬくを享受する俺だ。**]

要とのことはプライベートだしさ、
そんなに配信で公にするつもりもなかったんだけど。

あのホラー配信以来、
ちょこちょこ要は実況にゲスト枠として出てくれて
絡みが一部の女性リスナーに割とウケがいいもんだから
今はもうなんとなく公認彼氏みたいになってたりする。
まあガチで付き合ってると思われてるかどうかは定かではないけど。

要の方も持ち前のコミュ力と親の人脈を生かして
仕事忙しいなりに上手くやってるみたいだ。

家事は分担ってことになってるけど
どうしても帰りが遅くなる日が多くて
俺の生活が荒れてるのを気遣ってか
最近は野菜中心の飯作ってくれたりする。

代わりに休みの日は俺が飯作ったり
ねぎらってマッサージしたりとか、するけど。]

………ん―――じゃあパン………

[言いつつまだ要のぬくもりを離しがたくて
ぼさぼさの頭を、撫でてくれる手に擦りつける。

お互いの休み合わない週もある分
休日は求め合うことが多くて。
昨日も愛し合って寝たから
俺はまだ裸のままだったりする。

朝起きてそのままもう一ラウンドってなることも少なくないけど
今日の要はまったりモードっぽい。
…まあ、朝から勃ってるモノは
今もぐりぐり押し付けられてるわけだけど。]

したいことなあ……
……今日は俺食べるって言わねーんだ？

[少しばかり覚醒した俺は、
にまりと悪戯に笑って
手を伸ばしてゆるく要のをにぎにぎ。

しながら、囁きに目を瞬かせて。]

へえー、海外旅行。
いーじゃんいーじゃん。
俺行ったことねーわ海外。

[社会人になるとなかなか纏まった連休って取れねーしなあ。
恋人と夏のバカンス。アガるじゃん。
うきうきと目を輝かせて。]

どこ行きてー？アジア？ヨーロッパ？
やっぱ夏だし海あるとこもいーよな。
ハワイとかさあ。

[なんて言いながら、要の意見を窺う。**]

じゃーフレンチトーストで…
ん、食う……

[朝飯の提案に頷きつつ、
半分戯れまじりにさわさわしてると
掌の中で要のが一回り大きくなる。

相変わらず元気だなお前！]

[触りあいながら尋ねれば、やけに具体的な国の提案。
へーお前って拘りあったっけー？なんて思いつつ。]

そっか、南半球は冬かー。
ん……ぁ、　じゃ…オランダかカナダかなあ。
せっかくだし夏感満喫したい。
どっちも景色きれいなイメージあるし。映えそ……　……っ

…………、

[考えながら、緩い愛撫にとろんとしかけてたけど、
さらっと告げられた言葉にぱちぱち瞬きして。]

…………。　……結婚式？



[誰と誰が。いや俺ら以外にいないけど。
え、俺ら結婚すんの？なんて、
思わず間抜けに聞き返してしまったわけで。**]

[そんな中、要の言葉にぽかんとしてしまって。

興味ない、っていうか、
いや、まあ、あれよ。

思い返してみれば前々からこいつ
うちの親をお義母さん呼びだったりとか、
指輪貰った時に左手に嵌める時は……とか
それっぽいニュアンスのことは言ってた。

言ってたけど、長年日本の異性愛者として生きてきた俺は
同性で結婚するって認識がそもそもなかったわけで。
寝耳に水と言いますか。

もそもそシーツから這い上がってきた要が
俺の顔を見てにっと笑う。]

[これは、えっと、なに？
いわゆるプロポーズ的な何か？ってこと？
って、思い至った瞬間、ぼふっと顔が真っ赤になった。]

え、　あ、え――――………？？？

ご、ごめ、ちょ、ちょっと急で、混乱してるってか
その、もちろん、嫌とかじゃなくって、
俺だって要とずっと一緒に居たいし………
男同士でもそーゆーことできるんだなって、考えたことなかったから……

[てかこいつは結構前からそんなこと考えてたんかな！？
ってしどろもどろしちゃったけどさ。]

[俺はさ、別に式にも結婚自体にも
そこまで夢見てたわけじゃないし。

法に縛られなくてもずっと要と一緒に居れるなら
それでいいかな〜くらいに考えてたんだけど。
でも、要は興味あるって言う。

こいつがさ、自分が「フツー」じゃないってこと
どことなーくひけめに思ってるの
あんま自分から表にはしねえけど、
付き合ってく中で俺は何となく感じるとこはあって。

だからさ、なんだろう。
要がそういう…上手く言えねーけど、
関係を形にしたい？みたいなのがあるなら
出来るだけ希望を叶えてやりたいとも思うんだよな。]

[というようなことを俺は、
少し視線を落として数分考えまして。

ぱっと勢いよく顔を上げて、
頬を両手で挟んで要を見た。]


よし！わかった！結婚しよう、要！！


[いや、どういう形が可能とか、難しいことは
調べてみないとまだよくわかんねーんだけど。
まあ何とかなるだろ。
思い切りの良さは俺のいいところ！だと思う！多分！]

不束者だけどよろしくな、ダーリン♡


[ちゅ、と唇にキスを落として
まだ赤いまま、にへーっと笑みを浮かべた。**]

　
[要に恋して、愛し合えること。
そんな何気ないフツーの日々が、俺を特別にしてくれる。]

　

[空気を呼んだのかそっと指を引き抜いて
要がじっと俺を見つめていた。

式恥ずかしい……とかはねえんだけどさ、
なんせ女子のためのもの、みたいな印象あったんで
いまいちピンと来てねえのはあるかなあ……
あーでもタキシード着た要は多分カッコイイから見たい。
…ってまあ、とりあえずそれは置いといて。

ぱっと顔あげて要を見れば
なんかちょっと不安そうに首傾げてて>>28
それが俺の言葉で赤くなって、ほっとしたように緩んで。
あ〜〜〜〜愛しいなあお前〜〜〜〜〜って思っちゃうんだよな。

くふくふ笑いながら、少し照れ交じりにおう、と答えて。]

そうなー。
あー、なんだっけ、同性で結婚はできなくても、
パートナー制度…？みたいなのあるらしいじゃん。
俺もよく知らんけど。


[俺も同じ籍に入りたいってわけじゃないし
養子縁組とかはなんとなく違う感じがするので
こないだ聞きかじったばかりの単語を出してみる。

式挙げるならあれよな、
手続きしやすいとこがいいよなー、とか。
まあ考えることはあるんだけど。

今はほら、目の前の幸せを満喫するとするかな？]