>>51

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──商業区──


[死後の世界なのに、見慣れた景色にみえる。店、店、そして魅せ。まさか綺羅びやかなねーちゃんまで居るとはね……どこに行っても、人間の営みは変わらないという事か。皮肉だね、もう人間じゃないケドね。占いの館まであって、はは。何を見るって言うんだよ、未来か？


そのゴチャついた色達のなかでも、ソイツは目立った。
人間じゃないからだろうか？　『精霊』──ジン、と呼ばれる者の事は、殺した相手からよく聞いていた。つまり、金のある者にしか縁がないと、思っていたけど。]


　──おい。


[大して張りもしない音声で呼び掛ける。でも分かるだろ。鎖が、ついてんだから。だからソイツは振り返った。その表情が、どういう気分を表すのかは分かんねぇけど。]

[捕まえたは良いが、場を作るのが俺は上手くない。場を読んでいく──まァ殺すためにね──のが常だったからな。あーくそ。一体、俺は、何をしたって言うんだよ。何でこんなことをする羽目になってんだ！]


　……ナディル。


[願いを叶える精霊。鎖を繋がれてすぐ、コイツが気に食わない事だけは解った。けれど理由は分からない。ちょっとおかしな事を言えば、俺の中に、理由が多分無い。]


　──オマエの事、教えてよ。


[自分の力で叶えられない願い。
そんなものがあるのか。願うなら、自分のことだろ。それを何かの力に頼るなんて、想像がつかなかった。]

[パス]