中庭が夜空に近づき星が煌めく。そこだけ厚い雲で隠されたように暗闇が訪れる。
欠けの無い月は会場を不自然な程に明るく照らしている。

………小さな偽物の夜空がそこに成った。

中身をくり抜かれた南瓜の中に火が灯る。
電飾に色取り取りの陳腐な明かりが付く。

されど君の目に映る空が何色かは誰にも判らぬ事だ。

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クロノが”神隠し”された。否、わざわざ殺された。
”神隠し”するならそれだけでいい筈なのに。
始まりだから、ハデにやった。そう言わんばかりに。

あなた達はそれに気づくだろうか？
時刻の証明さえ難しいこの屋敷で。

中庭の物陰に落ちる血痕が惨劇を物語る。
返り血を濯いだのか噴水は僅かにほの赤いけれど、
すぐに循環され、元の美しい水面に戻るだろう。

外の世界で一晩が立つ頃には、
清掃担当たちの手によってきっとすべては元通り。
使用人が1人程度消えたところで、業務は滞ることなく進んでいく。

使用人たちが噂する。

『この屋敷には死神がいる。
　不気味なローブを着た人影を見た』
『ハロウィンパーティの仮装でしょう？』

ハロウィンパーティーが始まってから、暫くした頃。小さなカボチャのランタンが、ふよふよ、中庭を漂っていました。賑やかな輪からは、少し外れたところです。

皮と中身とおんなじ色の、オレンジの光を飲み込んだランタンは、そのまま会場から遠ざかっていきます。ふよふよ、ゆぅくり、ゆうっくり。

>>11

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