「ぁー、かわんねー。
　誰か引っかかってくんねぇかなって思ってんだけどよ」

「って何言ってるかわかんねぇか。
　ま、知られてもいいし……独り言だと思って」

「ちょっと異能で、俺の“声”が聞こえる人間がいるか試してるんだよな。
　聞こえたら俺の虜になるの。
　うまく行くかわかんねぇんだけどさー。
　面白いこと起きるの祈っててよ」

「うわー、やべー。
　そうなんだよな、お前わかりにくいんだマジで。
　脳みそ入られてんなら仕方ないよな」

気に食わないが、どうにもならないのなら仕方ない。
似てないことも無いから。
同時に、自分の異能があんたにきいたらどうなるのかは気になっている。

「だーれかひっかっかってくんねえかな。
　同室、本当つまんない奴らばっかで―――そろそろ骨のあるやつがきてほしいんだよ」

勢喜光樹の同室者は現在いない。
不良だったり問題を起こしていた生徒がみな退学になっているらしいが、それが彼のルームメイトだったりしたのは、小さな噂になっている。
本人は家庭科男子なため、まったく、関与がないとされている。

「なんか騒ぎ起こしてる犯人捕まえるだとかどーでもいいから。
　増えねーかなー……愉快な仲間達。犬科とか。
　犬好きなんだよな、犬」