人狼物語 三日月国


149 【R18身内村】LOVE OR ALIVE

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【人】 雨宮 瀬里

 


 「 …っ、ごめんなさい
   泣くつもりとか、なくて 」


 意に反して流れ出た涙を
 あたたかな指先が拭うなら、
 私は思わずそれを否定するけれど、
 涙は簡単には止まってはくれなかった。

 それでいて、もっと触れていたいと思ったのは
 昨日までの私?それとも今の私?

    それとも、全部、私なのだろうか。


 
(97) ししゃもん 2022/05/29(Sun) 8:44:32

【人】 雨宮 瀬里

 

 洋服の好みが変わっても
 恋矢が刺さって恋心を抱いても
 それがまた喪われて想いが消えてしまっても

 私に起きた変化はすべて、
 雨宮瀬里そのものなのだろうか。

 貴方に出会って、貴方が日常を満たして以降の
 私自身の記憶は喪われたままだというのに


 
(98) ししゃもん 2022/05/29(Sun) 8:45:06

【人】 雨宮 瀬里

 

 こんな終わり方は嫌だ。
 はっきりと音になって耳に届いたそれに
 私はこくりと頷いた。


 「 私も。こんな終わり方は嫌 」


 理由なんて私だってわからない。
 だけど、こんな終わり方は絶対に嫌だというだけ。

 
(99) ししゃもん 2022/05/29(Sun) 8:45:18

【人】 雨宮 瀬里

 


 「 私ね、記憶を取り戻したい
   どうしたらいいか、わからないけど… 」


 恋をしていた私も、今の私も、私だというのなら
 恋をしていた時の私の記憶を、取り戻したい。
 オーディオからは相変わらず透明な歌声が響いている。 *

 
(100) ししゃもん 2022/05/29(Sun) 8:45:30

【人】 雨宮 瀬里

 


 「 ……恋人に? 」


 私が浮かべるのは困惑の色。
 それでも頬に触れた手を避けることもしないまま
 貴方の両の瞳を見つめる。

 恋心とはどんなものだっただろうか
 思い出せぬままに、恋人の振りをするのは

 ──── ああ、それはかつての私。
 そんなことも忘れているくらいに、
 いつの間にか私は変えられていた。

 憶えていないから、きっと貴方のお陰。

 
(103) ししゃもん 2022/05/29(Sun) 11:12:42

【人】 雨宮 瀬里

 


 「 ……うん、構わない。
   瀬里≠熈蓮司≠烽サれを望むもの。 」


 流れていた涙が止まったから、
 きっと、そうなのだろう。


 「 ……改めて、っていうのもなんだけど
   雨宮瀬里です。……よろしく……? 」


 きっと2回目の初めまして。
 はにかんだ笑顔は、営業スマイルなんかじゃない。
 
(104) ししゃもん 2022/05/29(Sun) 11:13:20

【人】 雨宮 瀬里

 


 「 恋人はじめに、もう少し、
   ドライブデート、しませんか。
   歌も、聞いていたいし、
   もう少し、話がしてみたいから。 」


 例えばひとつ先の駅まで。
 例えば乗り換えのターミナル駅まで。
 家までは、少し気が引ける距離だけど。

 もしもドライブデートが叶うなら、
 きっと最初から、お互いを知っていこうかな。
 私が陶芸を生業にしていることとか
 貴方は珈琲を好むとか、きゅうりが嫌いだとか

 他愛のない話を、いくらでも。

 
時間制限はどこにもないから。
*
 
(105) ししゃもん 2022/05/29(Sun) 11:14:33

【人】 雨宮 瀬里

 

 記憶から抜け落ちてしまった欠片を拾い集める
 私たちにとっては初めて手に入れる欠片は
 新鮮味がなく、どこかすんなりと馴染んでいく

 隣の駅を越え、
 ターミナル駅を越え。

 記憶があいまいであっても
 私は正しく貴方に住所を伝えることが出来たはず

 だけどそんなことしなくたって
 ナビの履歴に残っていたかもしれないし
 ナビを見なくても……
 貴方は、問題なく車を走らせたかもしれない


 
(109) ししゃもん 2022/05/29(Sun) 20:03:23

【人】 雨宮 瀬里

 

 街灯の少ない小さな町。
 こうして夜の助手席に座っていることも
 なんだか、初めてではないような感覚に陥る
 事実、初めてではないはずだから当然だけど

 貴方の左隣に居ることが、
 なんだか、至極当たり前≠ナあるかのような感覚。

 オーディオからゆるやかに流れる音楽
 窓の外を流れる夕景 いくつもの標識
 低いエンジン音と 僅かな車の振動

 ああ、いつだってこうやって、


      離れがたい
      どこにも着きたくない
      そんな気持ちを重ねていたのは、

      ………誰、だっけ。


 
(110) ししゃもん 2022/05/29(Sun) 20:04:04

【人】 雨宮 瀬里

 

 気づけば、私の家へとたどり着く。
 記憶がはっきりしている実家ではなく、
 記憶が朧げだった一人暮らしの小さなアパート。

 だけど確かにここが私の家なのだ、と
 住所がそらで言えたように、知識として理解してる



 「 遠くまで、ありがとう 」


 すっかり辺りは昏くなってしまった
 途中お昼や休憩に立ち寄ったとはいえ
 随分と長いドライブデートをさせてしまって
 素直に…ほんの少し申し訳ない気分になったけど。

 
(111) ししゃもん 2022/05/29(Sun) 20:04:19

【人】 雨宮 瀬里

 


 「 蓮司さん、……あの、 」


 言葉を投げかけて、詰まらせて。
 何か言うべき言葉があった気がして、
 それでもそれは何処にも見つからなくて。

 
(112) ししゃもん 2022/05/29(Sun) 20:04:31

【秘】 雨宮 瀬里 → 宮々 蓮司

 


    …だから。というわけではない。

    それは、随分と自然に、
    最初からそうしたかったかのように
    私の右手が勝手に、動く

    手のひらを差し出す動き
    貴方が手を取ってくれるなら、
    添えるように、貴方の左手に重ねる


 
(-5) ししゃもん 2022/05/29(Sun) 20:04:57

【秘】 雨宮 瀬里 → 宮々 蓮司

 


 とん、

 色のない人差し指が貴方の掌を叩く
 
誰かに褒めてもらった、大好きな爪



   とん、
 
   いつかも、こんなリズムで
   
暖かな掌を爪で弾いた、懐かしい記憶



     とん、

     掌に、重ねた想いは、なんだっけ
     離れがたい、どこにも着きたくない
     記憶がすこしずつ、色づいていくような *



 
(-6) ししゃもん 2022/05/29(Sun) 20:06:46

【秘】 宮々 蓮司 → 雨宮 瀬里

俺の左手が勝手に呼応する。

お前の手を、それが当然という様に、そっと。

それからお前の左手がさらに重なる。

 
(-7) JohnDoe 2022/05/29(Sun) 22:13:48

【秘】 宮々 蓮司 → 雨宮 瀬里


オーディオから透明な声が恋の詞を歌う。

とん、とん、とお前が掌を叩く。

いつしか俺はその指を捕まえる。

掌を合わせて指を交互に絡めて、ぎゅっと握る。

お前の柔らかな手を。
(-8) JohnDoe 2022/05/29(Sun) 22:14:25

【秘】 宮々 蓮司 → 雨宮 瀬里


相変わらず記憶は曖昧なまま。

だけど、色づいていくものがある。

もっと触れていたい。

手だけじゃなく、もっと瀬里おまえに。


この気持ちは誰のものだ?
(-9) JohnDoe 2022/05/29(Sun) 22:14:56

【秘】 雨宮 瀬里 → 宮々 蓮司

 

 えっ、と声を出した時には
 もう、貴方の顔は近くにあった。
 私はそっと、瞳を閉じて顔を傾ける

 私にとっては初めてのキス
 …なのに身体は、ちゃんと覚えている
 瞳の閉じ方も、顔の傾け方も、
 貴方の唇の温度も柔らかさも。

 
唇が離れるときに、名残惜しいと思う気持ちも。


 
(-10) ししゃもん 2022/05/30(Mon) 8:22:13

【恋】 雨宮 瀬里

 


 この暖かな気持ち忘れていた気持ちはなんだろう。


 
 
(?4) ししゃもん 2022/05/30(Mon) 8:22:42

【秘】 雨宮 瀬里 → 宮々 蓮司

 

 もう一回、なんてお願いするよりも早く
 私は、貴方にふたたび唇を重ねる。

 貴方とのキスの仕方は、身体が憶えている。
 指先を絡めて、ギュッと握りしめたら
 もう少しだけ、深いくちづけを。


 「 ……おかしいね、私
   蓮司さんと、離れたくないんだ
   ずっと、こうしていたいの。 」


 記憶が戻ったわけじゃないし
 貴方に恋をしたって断言はできない
 好きという気持ちもわからない


 だけど、心が、身体が、貴方を求めていた
 全部、全部、頭じゃない部分が憶えている
 貴方がくれる、
びも、全部。 *

 
 
(-11) ししゃもん 2022/05/30(Mon) 8:23:18

【秘】 宮々 蓮司 → 雨宮 瀬里

一度目は自分から、
そして、二度目は彼女から。

握り合う手と手。
絡め合う指と指。

触れ合う柔らかな唇。
二度目はより深く、より官能的に。
(-12) JohnDoe 2022/05/30(Mon) 12:18:46

【秘】 宮々 蓮司 → 雨宮 瀬里

 
 「 俺も、同じだ。
   お前といつまでもこうしていたい。」


 記憶だって戻らない。
 これが恋なのかもわからない。

 だけど、心が、身体が、お前を求めていた
 全部、全部、頭じゃない部分が憶えている

 
お前が欲しいと、お前の全部、全部。

 
(-13) JohnDoe 2022/05/30(Mon) 12:20:01

【秘】 雨宮 瀬里 → 宮々 蓮司

 

 唇が重なる。指先が重なる。
 それから気持ちが、言葉が重なった。

 どこにも着きたくないと願ったいつかの気持ちが
 今新しい感情として、蘇る。
 だけど……着いてしまったから。
 この車を降りたら、また離れ離れになるから。

 
(-14) ししゃもん 2022/05/30(Mon) 13:08:16

【秘】 雨宮 瀬里 → 宮々 蓮司

 


   
「 今日、泊まっていきませんか 」



   はしたない、と思いながらも
   ちいさな声で貴方に尋ねる
   答えはどうだっただろうか。

   我慢、と言われたら、
   車の中で、貴方ともう少しだけ。
   
そうじゃなければ続きは…きっと暗い部屋の中で。


 
(-15) ししゃもん 2022/05/30(Mon) 13:09:00

【恋】 雨宮 瀬里

 


   これはきっと私にとって
   二度目の、初恋だった。


 
(?6) ししゃもん 2022/05/30(Mon) 13:09:16

【人】 雨宮 瀬里

 


 部屋のあちらこちらに貴方のものがあること
 気づいたのはもう少しだけ後の話。


 
(113) ししゃもん 2022/05/30(Mon) 13:09:32

【人】 雨宮 瀬里

 

 その日の夜か、翌朝か。
 貴方と別れてからというものの
 貴方のことがどうしたって頭を離れず
 どこか熱に浮かされたような心地は続く。
 
 溜まっていた写真や、メールのやり取りから
 どうやら週末だけ私たちは会っていたようだし
 彼のことを、蓮司、と呼び捨てにしていたようだ

 貴方が居ない部屋で「蓮司」と呼んでみて
 なんだか恥ずかしくなって顔を赤らめたのは
 貴方が知らない私だけの秘密。

 
 『 また週末、会ってくれますか 』


 貴方に一文メールを送るだけでも、心が跳ねた。

 
(114) ししゃもん 2022/05/30(Mon) 13:10:04

【人】 雨宮 瀬里

 


    貴方に再び恋をした今、
    記憶なんてなくてもいいと思う自分がいた

    だけど

    貴方に再び恋をしたからこそ、
    貴方との過去を取り戻したいと思う自分がいた
 
    お見合いで出会ったのだろう人々との
    縁を思い出したい、そんな気持ちもあった


    それに ──────

 
(115) ししゃもん 2022/05/30(Mon) 13:10:38

【人】 雨宮 瀬里

 


 貴方は、何を言おうとしてたんだろう。
 手紙の最後に書かれている文章を目で追う。

 それから何か ── 私たちは約束を交わしたような、


    ………そんな気がずっとしていたんだ。 *


 
(116) ししゃもん 2022/05/30(Mon) 13:10:56

【秘】 宮々 蓮司 → 雨宮 瀬里

返事を返さずにその唇を塞いだ。
交わすキスは、瀬里を強く深く求める。
誰も見ていない、真っ暗な車の中で、聴き慣れた歌とキスの音だけが耳に届く。


 
「 ……行こう、…… 」



耳元にそっと囁くと、エンジンを切った。
オーディオから聞こえていた歌が途切れる。
その衝動はきっと瀬里と同じなんだ。

 
(-16) JohnDoe 2022/05/30(Mon) 14:39:54

【秘】 宮々 蓮司 → 雨宮 瀬里

─── 暗い部屋に影が二つ。

強く抱きしめ、唇を重ねる。
指先が、唇が、瀬里の肌に触れる。
絹のようななめらかな触り心地。

首筋に紅い花。
人に見えてしまう場所。

深い口付け。
何度も何度も重ね合わせ、何度も何度も絡み合う。

 
(-17) JohnDoe 2022/05/30(Mon) 14:40:47
 




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