人狼物語 三日月国


90 【身内】ifかもわからん!【R18G】

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視点:


1日目の夜、どこからかお囃子がぽんぽこ聞こえてきた。

月が姿を変え、新たな一日が始まった。村人は集まり、互いの姿を確認する。
岩崎裕三が無残な姿で発見された。

伝承は真実だった。異形の刃を持つ魔物“人狼”は、確かに存在するのだ。

もはや村人たちに猶予は無い。早く人狼を見つけ出し、処刑しなければ。罪のない者を処刑してしまう事もあるだろうが、それも村のためにはやむを得ない……。

好晴
今日はどんな嫌な気分も吹っ飛んでしまいそうなぐらい良い天気だ!
こんな星々もよく見えそうな日ならきっと、みんなの失われた力も戻ってくるだろう。

現在の生存者は、静子・ギブソン、井上清春、黒沢誉、堀江豊久、市川夢助、勢喜光樹、千葉郁也の7名

「なんで、怖いわけないやん」

平気ではない。
平気ではないけれど、言動のおかしさをそう見られているとしたら本意でなかった。
自分が恐れているのはあなたじゃない。それを示すために腕を伸ばし、柔らかく手を取る。

それから、『大丈夫』を言って聞かせようと、座ったままあなたを見上げてみて。
いつもどおりの筈の貌からつい先程の色香が滲んでいるように思えて、ふと意識が奪われた。

「…………」
「あ、うん、まあ、せやから……一緒に寝よか」

普段ならその選択に大した躊躇もなかっただろう。
不用意に近付くことに不安はあったが、よそよそしさで傷つけてしまうことはしたくない。
そう言い訳を作った。


期待したものをそのままのかたちで手に入れたのに、
それだけで満足できなくて新たな欲求が生まれる。

「ほんと?」

わかりきったことを確認する。
こんなときにあなたはつまらない嘘をつかない。
傍にいていいことも一緒に寝ていいのも本当のことだ。


手のつながりはそのままに隣へ腰かける。

「とよひ、さっき、こわがってた」

ぼやけた蜂蜜があなたを捕まえる。
傷つけたくないとか、
さわってほしいとか、さわりたいとか、

頭の中はぐちゃぐちゃだ。
この問いかけの目的が心配だけなのな、
もしくは触る赦しがほしいのか
自分でもわからない。

「おれの聞いちゃいけないはなし?」

甘えるみたいに小首をかしげて質問した。

「うん、ほんまに」

嘘はついていない。
そして、それが卑しい正当化だと自覚している。

「怖ないよ」
「キヨくんのことは」

すぐそばに在るあなたが、必死に隠している異様な熱を引きずり出す。
握った手がいとおしくて、もっと触れたくて、心のうちに立ち入りたくて、
「ちゃうねん、自分が、」

「自分がこわい」

「キヨくんが優しいからって」
「もっとひどいことしてまいそうで」

訥々と白状した言葉はひどく散らかっていた。

「……や……その」
口元を押さえて目を逸らす。
「ごめん、変なこと言うて」

「うれしい」

熟れきった果実がぽとりと落ちた。
赦されたと思った。

握られた手を持ち上げて頬にあててもいいと。

「こわくないのも、あまえられるのも、」
「どっちも」

歓喜と熱が吹き出してもうずっとおかしくて
狂った唇は裏のない感じたままを紡ぐ。
欲しがるだけ甘やかしたい。
「ひどいこと」は甘えられたと同義だ。


目がよそを向いてるのがさみしくなった。
とろけた瞳で追いかけて覗きこむ。
赦されたから。


「俺はとよひにさわれると落ちついて、
 そわそわするから、もっとさわられたい」
 

「でも、」
「とよひは俺とでほんとにいい?」
「俺は俺がいちばんしたいことしてる」
「とよひもおなじ?」

あなたのいちばん、おしえて。

甘い甘い許容の言葉を聞く。
とろりと弛緩した表情を見る。
掌に当たる頬の体温を感じる。

そのどれもが堪らなく切なくて、熱を持て余している深奥がもっと強い知覚を求める。

「なんで」
ぽつりとつぶやいた。

「なんでそんなに」


腰を上げる。


ぎし、とスプリングが軋み、深く沈み込んだ。
あなたの両脚を挟むよう、ベッドの縁へ膝立ちになって向かい合う。

「俺のしたいこと」

空いている片手を、あなたの首筋にかける。
髪をはらって指を絡め、親指で顎の下をさする。
シーリングライトのつくる影の下であなたを見つめる視線は淀んでいた。

「知りたい」

「中身まで土足で踏み込んで」
「心も体も好き勝手さわって」
「キヨくんが隠したいと思っても、泣いても喚いても無理やりこじ開けて」

いちばん許容され得ないところを選んでぶつけた。
薄暗い気持ちがあるのは嘘じゃない。

けれども、あなたのことが好きだから、傷ついてほしくなどないから、実際は絶対にしたくないことだった。

「そういう、ことやねん」
「ひどいやろ」
「こんな」

つとめて起伏のないように。
そう思って発した声は、少し震えていた。

視界がぐらりと反転して天井を見た。
遅れて彼が現れて、安心からふにゃりと笑った。

夢心地の貌に降り落ちる暴力と懺悔という名の甘露に浸る。
芯の部分に走る苦味も愛おしい。


繋がったままの手をぐいと引っ張り、
スプリングが軋む音ともにあなたが近づく。


「いいよ」

耳元で囁いた返事は淫靡な顔に合わないほど
穏やかなものだった。
これまで負ってきただろう痛みを労るように
やさしく触れるだけの手つきで頭を撫でる。

「話してくれてうれしい」
「たくさん傷ついてきたんだ」

その性質を起因として体験した苦しみが、
やさしい彼を怯えさせたのだろうと推測した。

「俺はそれだけで傷つかないよ」
「とよひーはそんなので俺を傷つけれない」

安心を与えたかった。
口にした言葉は強がりじゃない本心からのもので、
現に
悦び
はあっても恐怖はかけらと存在しなかった。

顔が見たくて彼ごとごろりと横に転がる。

「とよひー」
「したいこと、本当にそれだけ?」

どんな表情だったとしても大切にしたいなと気持ちが湧いて、
触れるだけのキスをした。
離れてしまえばすぐにでも繋がりたくなって
はしたない考えが頭を塗りつぶしていく。

「おれは」
「体拓いて好きなだけ覗いて侵して」
「嫌じゃない」
「とよひならなにされてもたぶんうれしい」
「いやがってもぜんぶ見て」

どうして許容できるのか尋ねられても明確な答えはない。

想像力の欠如から彼の想定より矮小に捉えている。
ひとりで抱え続けた痛みを分かち合いたいと思った。
でもそれらは本質じゃない。

振り翳せる限りの刃もやさしく取り上げられる。
どれだけ伝わっているかなんて分からないのに、再び虚勢を張ろうにも攻撃的な感情など最早奮い立てられない。

頭を撫でられるとすっかり毒気を抜かれてしまって、あとは抵抗もできず隣へ転がされるままだった。


苦悶と安堵が綯い交ぜになったような表情が部屋の灯りに照らされて、
ぐったりとしたまま、触れるだけの口づけを施される。

「……なんで……そんな優しくしてくれるん、キヨくん……」


再三の問が、再び唇から零れた。

「……………おい………」

宿泊所にいるであろう市川に声をかける。
最初に部屋に入る時は2人じゃなきゃいけなかったのだ(多分)

「…………あ、ちーちゃんせんぱい」

受付の前でスマホを見たり周りを見渡したりしていた。
振り返り近寄る、やや足取りが覚束無い。

「先輩たちいませんねえ、
もうみんなチェックインしちゃったかも。」

それかたまたま見当たらないがとにかく居ない。(時間軸を考慮しながら)

「……二人一部屋らしいですよ」

「なんでって、」

彼の苦しさを消したい。
熱に浮かされてもそれだけは明瞭として存在し、
向けられた問には真剣に答えたかった。

「とよひーだから。
 でもそれだけじゃなくって、」

傍にいたからじゃ足らない。
それだけで悍ましさすら帯びた執着を受け入れられるほど
聖人ではない。
やさしくされたから、息がしやすいから、気質が好ましいから。
どれもが正しくてしかし足らない。

「わからない」
「やさしくしたい理由はたくさんあるけど
 言葉全部集めても違う気がする」

胃の腑を裂いて見つかるものならばどうか暴いて
そんなことを答えれば悲しませることはわかっていた。


「……だから。
 一緒に探したいじゃダメかな」

それがこの場で出せる答え。

「…………………………」

最悪だ…。と思った。
だが同時に他の奴らよりはマシかと思い、心が2つになった。

マシな訳ないので頭を振る。

「入ったら、俺は即寝るからな………………………」

「…………はあい」

もう1人の僕と戦っていそうな先輩をよそに
受付を済ませ部屋へと向かう。

部屋に入る。

布団が敷いてある。2枚の布団は
なんだか近い

「…………」

ちら……と先輩を見る

布団を離した。

え〜と不満の声

「……は……、……照れ屋さんだなあ……」

吐き出す息を堪えるように悪態を着く。
あつい。

ぱっと顔を上げて部屋を漁り始める。
備え付けの冷蔵庫にすげー精力剤が入ってた。

そっと閉じた。

「……喉、乾いた………
飲み物ねぇのか…?」

「……よく冷えたすごい良さそうなのがありますけど、いります?」

再度開き、見せる前に
すげー精力ラベルを剥がしておいた

「フン………寄越せ」

奪い取るように貰うと
すげー精力剤を疑う余地なくゴクゴク飲み干した。

「…?なんだこれ…水じゃね……え……?」

ドクン…ドクン………と心臓が鼓動を早めた。
寝れば治るか!?ふらつきながら布団の方へ向かう。

「栄養ドリンク……ですかね……」

全部飲んだ……

全部飲んだんだ……

[[千葉の様子を伺いながら自分も布団に行ったor千葉にそろそろ……と近寄り、耳に息を吹きかけてみるor効果を確かめるべく任意の場所⤵︎ ︎に触れてみた]]

vil



千葉の様子を伺いながら自分も布団に行った

「………………………」

布団の方を向いて立ち止まっている。

「……ちーちゃん…先輩?」

鼓動がはやくなる。

そ〜……っと、静かに覗き込んだ。

「………」

突然市川の胸ぐらを掴むと、
引き寄せて無理やりキスをした。

「っ?、!ん……」

ビク、として思わず千葉の腕を掴もうとする

腕を掴まれてもそのまま離さない。
それどころか、舌で市川の口をこじ開けようとする。
舌は風邪を引いたかのように熱い。

「…………っふ」

「……あっ………、んん、…」

ちーちゃん先輩の舌が熱い、
心臓の鼓動が更に早まる。
このままでは千葉に流されてしまう。
それは少し、困る。

「っ……!ま……っ」

抵抗する手を止めず、静止しようと口を開く

それを好機と言わんばかりに
開いた口に舌をねじ込んだ。

市川の手を、もう片方の腕で掴んで外して
抵抗出来ないように拘束する。

「ーーッ!、っん、……う、んッ……ふ、……」

熱と熱が触れ合ったところが ビリ、と脳を刺激する。

押し出そうとする舌がかえって絡めとられ、もう、おかしくなる。

足の力が抜けていく

頭がぼうっとする

沈んでいく体を引っ張るように胸ぐらを掴んでいたが、
押す力が強いのか段々と引っ張りきれなくなり、落ちていく。
鬱陶しくなったのか、口を離すと布団に倒した。

「っはあ………、ハア…………、ハア………」

飲み込むことを忘れられた唾液が、市川の鎖骨に落ちる。

「……、はっ……はあ、……っ…はあ……」

力なく布団に倒れ込む。
一度落ち着けたはずの熱が、今度は更に強く理性をすり減らすように熱を帯びている。
もう、焦点の定まらない瞳で千葉を見つめるだけだった。

「……、……」

あつい

ちーちゃん先輩

呼び掛けは声にならず、よろよろと、手を伸ばし
自我を忘れた獣の生贄になるかのように身を差し出す
自身が何をしているのかなんてわかんない。

数秒の沈黙があって。

「一緒に」


独り言のように復唱してから、徐にあなたの胸元へ顔を埋めた。
上になったほうの腕をあなたの背中へ回して抱きつく。

「ううん、駄目やない」
「そうか」
「……」

「ありがと」


布越しの胸に額を寄せて、くぐもった声がぽつり、ぽつり。
声色には幾分か安堵が漂っていた。

「……したいこと……な」
「嘘やないけど、ほんまはそれだけやなくて」

「俺も……キヨくんにやさしくしたい。大事にしたい」
「キヨくんが嫌なことは、したない」


そこまで言うと、顔を上げてあなたの表情を伺う。

「……でも、そうやないことは……
 そうやないことが、たぶん、俺のいちばん『したいこと』」


背中を抱いていた手がするりと位置をさげて、
物欲しげに腰を緩くさすった。

「な」
「キヨくんが許してくれたこと、欲しがってくれたこと」
「俺、ほんまに……信じてもええん」

その手をまるで気にせず、直ぐに覆い被さると口を塞いだ。
抵抗したとしても受け入れたとしても、
獣はただ憐れな獲物を本能のままに喰らうだけだ。

「…………はッ、………ふ、………」

下は地面。逃げ場はない。
手首を捕まえたまま、口内を蹂躙するように雑に貪る。

「ん゛っ、ふ、っん、は…、んッ」

荒い捕食に意図せず短い息が漏れる。
1度捧げようとした身体はそれに本能的に抗おうする、
力はどうしたって叶わないのに。
後ずさるように床を蹴っても、それはただ白いシーツを泳ぎ波打たせるだけに終わるだけだ。

それでも足りないというように
角度を変え、深さを変え、
息継ぎに離しては、勝手な都合でまた塞ぐ。

「っんく、……は、…………ふ、……フーッ」

暴れるように抑えた脚の浴衣の隙間に手を入れ、
意図せず市川の太腿に手が這う。

この答えで受けいれてくれたことに安堵の息を吐いて、
じんわりと嬉しさが広がっていく。

「一緒に」


ことさらに小さな声で重ねて抱きしめ返した。

密着したことで
鎌首をもたげるよからぬものからは

いまはまだ目をそらしていたかった。

甘やかしているような体勢なのに、
後頭部を見下ろす瞳は穏やかに
とろけている。


幾ばくか不安を取り除けて嬉しかったのに、
胸にあたる吐息や、回された手が背を抱き留める感触に、
淫らな熱がとろとろ身を焼いてあつくてくるしい。


こちらこそ、とか返事をしたいのに
焼かれた思考はまとまりを取り戻せない。
酸素を求める金魚みたいに口をぱくぱくさせてしまう。

あなたの言葉と匂いと感触のすべてが、
その気なくとも悦びを与えて導いていく。

やさしくしたい。

色の欠片ない言葉ですら嬉しくておかしくなってしまうのだ。


だからあなたの目に映った顔が次なる質問のこたえである。

欲にほてる頬に、うれしくて吊り上がる口端、
我慢できなかった涙を浮かべてあなたを見上げる。

そんな表情で、
腰をびくりと震わせて快楽の声を漏らした。

「とよひ」

「みて」

「うそじゃないのわかるから」

あなたの下腹へ擦りつけるそれは膨らみを持ち、
思いを直接的に露わにした。

「やらしいことして」

「ーッ?、!」

身体が跳ねる。
――触れられただけなのに?

「、ンっ!あ、!、」

どうして、なんで
じわじわ、あつくて
なんか、やだ。

不規則に口を塞がれては息を詰まらせることしか出来ず
迫り来る変な熱に焦燥感を走らせ、
ただ目で訴えては空気を吸い込むことに精一杯になる。

そのまま腿を伝って脚の付け根へ。

ビクリと震えるのを見る度に体の奥底が熱くなる。
早く、この柔らかい肉に挿れたい。

「ふーッ、…ふーッ…、」

はやる気持ちを荒い息に漏らし、
下着に手をかけ、下ろす。性急だった。

「っ、せんぱ、……ん、…まっ、…おち……はあ、…あっ、あッ……!」

自身を守る布は簡単に剥がされた
トロ、トロと先端からは既に透明な熱を溢れさせている

「……っ、……あ……、」

性急な動作にうるさいぐらい鼓動が早くなる
困惑と恐怖と期待が混じった顔からは
普段のように余裕に誘う姿は欠片も見られない。

外気に晒された秘部はまだ少し緩く
再び千葉を望むようにヒクヒクと動く。

自分の下着を下げ、血猛った己を晒す。
ひたりとそこに当てれば、すぐにでも入りそうだった。

「…………市川……」

熱っぽい声で名前を呼んで、
劣情に塗れた瞳で見下す。

今から始まることを否が応でも思い知らせた。

ゾクゾクと背中に電撃がはしる。
欲望をぶつけられそうになりながら
そんな声で名前なんて呼ばれたらもう
ずくずくに全部溶かされてしまう

求める声に身体が喜んでいる。堪らなくなってる。
ほしい、はやく、ぐちゃぐちゃにしてほしい。

「っ……ちーちゃ、せんぱいっ、ま、でんき、けし」

それでも微かに残る理性が
最後の抵抗を見せるように、視線で縋るように懇願する。

全身で示される淫らな期待が、行き場なく疼き続けていた情念を導く。
求めあっている事実に疑いを差し挟む余地はない。


上になった側の脚をあなたの脚へ絡めかける。
腰がぴったりと密着するように。
あなたのものと触れた本能もまた、あなたを欲しがって既に滾っている。

そうして下衣越しに、膨らんだ熱と熱を、確かめるようにゆっくり擦り合わせた。

「すき、……キヨくん、」
間接的な甘くもどかしい感覚に息が詰まる。
もっと知覚したくて、腰に添えた手に力が篭もる。
「すき」

聞かなかった。
そのまま躊躇もなく、思い切り一気に突き入れた。

「…………は………」

柔らかい肉をこじ開ける感触を
熱を持った自身で感じる。
間髪入れず、腰を引いては打ち付ける。

どうしようも無く気持ちよかった。

「ーーーッ!!」

中を無理やり押し入られ
圧迫感と痛みと、待ち望んでいた熱が

「あっ、ぁあっ、ひ、っん、ふっ、…っ!、〜ッ!、」

腰を埋められる度に中がうねり千葉を捕らえようとする
おかしくなる
無遠慮に突かれ溢れる嬌声を必死に抑えた

ゆるゆるとした擦り合わせがもどかしい熱を与えてほしがりにさせる。
すぐにでも下肢をくつろげてより強い刺激を得たいけれど
そうできないのはあなたの求めるものを覚えたいからだ。

どういったものを好み、
どのような瞳を浮かべてこの身を漁り、
どうすれば求めるすべてを明け渡せるか。

「とよひ、きもちぃ……あっ」

そのためなら刺激で生じるはしたない声も抑えない。
自身の喉から生じた弱々しくか細いたぶらかす声に興奮して、
背中へ回す手の力が増した。

すき。

おれもすき。

とよひがすき。

すき。すき。すき。すき。


与えられた言葉は脳髄にじんと染みわたり、
まだ名前のなかった感情は縛りつけられて
あなたに掌握される。
この身すべてあなたのもの。

教えられたことばをうわごとみたいに繰り返すたびに
息継ぎできない深い場所へ心が溺れて
もうもどれない。
もどれなくていい。



同じだと言葉以外でも伝えたくて首筋に顔を寄せて甘えた。
鼻を擦りつけたり、舌でなぞったり、精一杯の愛撫をしながら、
耐えきれなくなった腰をぎゅうと押しつけた。

「はっ………、はあッ…………、おい………、」

声を抑えられたのが不服で
掴んだ片脚を広げさせて、もっともっと奥へ。
抵抗されるほど、千葉の無意識下の嗜虐心が熱を持つ。
密着しようとする中をめちゃくちゃにする快感が止まらない。

繋がった部分がぐちゅ、ぐちゅ、と音を立てた。
こつ、と1番奥を隔てるような壁に当たる。

「っ、あ?!…あ、……や、だ、やだ、っひ……!」

ヒュっと喉が鳴る

「…ちゃ、せんぱ、……っや、おねがい……やめ、っ…あ、あ、」

いやいやと弱く首を振る
腰を浮かして遠ざける
片脚を掴まれているせいで上手くいかず
ゆるゆると中を刺激する

「っ………」

命乞いも今となっては促進剤にしかならない。
折れそうなほど細い腰を無情に掴み、
必死にのがれようとする獲物を捕まえる。

「……逃げ、んな………………………よッ……………!」

──千葉のすべてが最奥までを一気に貫く。
ごちゅん、と鈍い音が市川の中を揺さぶった。

「や、やっ、ま……っひ、ッッ〜〜〜〜あっ゛!!」

最奥を暴かれ、ガクガクと何度も背中を弓なりに反る
先端から溢れるものは無く、ビクビクと跳ねるだけ

「ぬいてっせんぱ、や、ひっイッ……たぁ、!ぬいてっ!あっあっやっ、やだっやだあっ!あっ!」

「てめぇがッ…………!てめえッ、が、悪いんだからなッ……!」

何度も、何度も何度も奥を抉る。
暴力的なまでにゴツゴツと何度も鈍い音を鳴らす。
跳ねる体を押さえつけ、まだ逃がさない。
もっともっと自分で掻き乱して、壊してしまいたい。
力が入り、腰に爪を立てた。

「…………はあッ………、……てめえ、がッ………」

律動を早めながら口からは荒げた息を吐く。

「あっ、!あぁああっ、あっ!あっ!い゛っぁ、!」

最奥への律動の度に身体をビクビクと反応させ
そそり立った先端が垂らす透明な汁で腹の上がぬらぬらと艷めく

「あっ、もっ……っ…とに、!おかしく…なっ……!ぁ、あぁっあ、あ……っひ……ん……っ!あ、またっイ、っ!」

「てめえ、が…ッ…………!」

うわ言のように繰り返す。
ひときわ大きく打ち付けると、
奥の奥へ、擦り付けるようにゆっくり腰を進める。

「…………ッ!っ………
……ふ…………うッ…………………」

市川の中でびく、と震えると、
腰を引き寄せて余すことなく精を注いだ。

「ッあ、あっ、!あぁああっっ!!〜〜〜…ッ!!♡」

同時に2度目の絶頂を迎え、
ぱたぱたと落ちて千葉の腹と布団を汚す

「はっ、…く、ぅ……ふーっ……、ふーっ……♡」

一番奥に出されたものを味わうように薄い腹が上下に動く。
とろ、と蕩けた顔にはもう、理性など微塵も見られない。

「…はあッ……、はあッ…………、っ、
……フーッ……………………」

だが当然のように昂りはおさまらない。
自身を引き抜くと、
余韻に浸る途中の市川をごろんと転がす。

うつ伏せになっている体を掴んで膝を立たせると、
自分の出したもので濡れそぼったものを
後ろから、ぐぐ、と埋めていった。

「え、あ…う、そ、……はあっ……はい、また、はいっ……てっ……あっ♡」

突然視界が反転した
しわくちゃのシーツを握りしめ、為されるが儘に
ず、ずぷ、と難なく咥えてしまう
布団に広がるシミはもう、どちらのものかわからない。

「は…………ッ、…………はッ…………、」

柔らかく解れたそこに包まれ、
深く入れる為に市川に覆い被さる。
熱を持った吐息が耳元を犯す。

「……………」
市川、


そう呟いた次の瞬間には、首を噛んでいた。

「ーッ、い…゛…ん、ぁ……は……♡」

強い痛みに息を詰まらせ
同時に耳にかかる熱に身体を捩らせても
背中を覆う獣は自由を許してくれないだろう。

「っ、は、あ……う、……も…おくまで、ぜんぶ……ちょうだい……ちーちゃん、せんぱい……♡」

もう己は逃げられないんだと悟ると
身体を震わせ、口角をあげた。

「っ、ん」

生温い舌先に喉仏を舐めあげられて小さく息を漏らした。
注いだだけ返ってくる『すき』に愛しさが込み上げ、下敷きになったほうの腕を引っ張り出してあなたの癖毛を緩く掻き乱す。

溶け合いそうなくらいの熱量を感じているのに、隔てるものが邪魔だった。


「もっと」


さわりたい。


ゆっくりとのしかかるようにして――ちょうど先程の動きを逆にしたように――あなたを仰向けに倒して、その上へと再び覆いかぶさった。
圧し潰さないよう膝と片肘で体を支えると、自然、触れ合わせていたふたつは離れる。

かわりに、ズボンのウエストへ指をかけて、

「直にさわらして」

耳のすぐそばでそう囁くと、あなたのピアスに唇が触れた。

ピアスごと噛みつかれるんじゃないかって
甘い期待に身体は震えて
言いなりになるのが嬉しくてこくこく何度も頷く。

不自由な体勢に焦る感情が
ベルトを外す動作をもたつかせて、
ようやく引きずり下ろしたそれを乱雑にベッド下へ放る。

尻ポケットのスマホの振動を確かめる余裕はなかった。

グレーのボクサーパンツは内側から押し上げられて、
下着の上からもかたちがはっきりとわかった。
しかも先端が当たる部分は湿って色を濃くしている。

情けない声をあげる間にもその中へ彼の手は入り込み、
下生えをすきながらしとどに濡れた幹を撫でた。

「あっ、あ、とよひ、っ」

人に触られたことなどない人体の急所ともいえる部位なのに
恐ろしさを飲み込む熱さに
快楽のためだけに存在する器官かと思えた。

自分でするように吐き出すためだけに絞り上げるのではなく
意図を持った動きがきもちいい。
とろとろと先走りを零す小さな孔を嬲られれば、
女々しい声があがる。


「とよひ、は、」
「きもちいいから、とよひも、したい」

両手は背をすべり腰へ辿り着く。
衣服がまだ乱れていなければあなたに同じことを施すだろう。


────────────────────、


─────────


────



「………………」

ぐったりとしている。動く力は微塵も残っていない。

途中何度も意識を飛ばしたし、何度も強い刺激で呼び戻された

おかげで最後の方はもうどうなったかも覚えてない。

「………………」

壁にもたれかかって、力なく横たわる市川と
視線を合わせないようフードを深く被っている。

精力剤が切れるまでに、カーテンを透かせていた日は落ち、すっかり暗くなってしまった。
時間を確かめようにも、
スマホを取りに行くのさえ億劫で動かない。

市川の後処理は一応少しはしたが、量が多くて諦めた。

自身の状態を見る限り
いつも通り放ったらかしにされてたんだろう

重い腕を動かそうとすれば
ぐっしょりと濡れたシーツがそれを阻んでくる。

「……ねるばしょ…いっこ、なくなった。」

独り言のようにぼんやりと
枯れきって掠れ、ほぼ息を吐いただけに近い声で。

「俺は床で寝る」

返答なのか宣言なのか、それだけ言ってまた口を閉ざした。

意外だ。床で寝ろって言われるかと思っていた。

思うだけで口にする体力がない

「いっしょじゃ、だめですか?」

「は?」

先程まで自制できないほどに肌を重ね合わせたというのに
触れれば、また自分が何をしでかすのかも分からない。
千葉なりに申し訳なさを感じているのだ。

「ダメに決まってるだろ……………………
また散々泣かされてぇのかよ……」

「……でも………………」

この有様だ、当然困るのだが。
でも床硬いですよ、とか、風邪引きますよ、とか
色々言葉にしたくて小さく口を開く

「……さみしい………」

「…………………………………………」

「さっさと体洗ってこい………………」

市川が気を失っている間
目を覚ますために冷水を浴びたので、
自分はシャワー済みだ。

「はあい……」

笑って伝えるとしばし間を置いて

何とか重い身体を持ち上げ、立ち上がると、
壁を支えにしながら部屋備え付けのシャワーへと向かった。

「………………」

酷い有様になったシーツを足で蹴って隅に追いやる。
重い匂いにまだ眩みそうになる。頭を降った。

布団を適当にさっきの場所と離す。

都合のいい換気をつけると、
布団の凄い隅っこに横になった。
眠い。

程なくして帰ってきた。替えの浴衣があって良かったな。

隅にぐちゃぐちゃに追いやられた布団を見て小さく笑うと
引きずってシャワー室に投げておいた。怒られるかも。

布団の凄いすみっこに寝転ぶ千葉をみてニヤ〜と笑うと
いそいそと布団へと潜った。

「……つかれましたね、せんぱい」

「………………絶対寄るんじゃねぇぞ…………………」

市川に向けた背中から唸るような声。
体を労る素振りも見せない。

「………………」

答えずにもぞ…と布団に顔を埋めた。
言われた通りにはするようだ
小さくなったまま背中をじっと見てる。

「…………………………………」

備え付けのリモンコで電気を消した。

時々ガサ…モソ…と音がして、
起きているのがわかる。

「……………………………………………………」

「………………」

暗闇でもじっと見てる

「………………………」

見てる

「………………………おい……………」

視線を感じた訳では無いが、
小さく呼びかけるように口を開いた。

「……?はい」

「……………………………………………………………」

ボソボソ…

「……せんぱい?」

怒られなさそうな程度に身を寄せた

意を決して何か言いかけて、
でも市川も普段自分のこと散々にしてるしな、と思い
言うのをやめた。

「…………寝る」

「……おやすみなさーい…」

飲み込まれた言葉を問い詰めるのはやめた。
布団の中の距離は縮まらないまま、
程なくして疲れきった身体は眠りに落ちるだろう。

暫くして。こっそり寝返りをうって、
暗闇の中で布団にうずまっている市川の顔を見た。

「……………」

寝ているのを確認すると、体を少し浮かせ
覗き込むように
口にキスした。

口を離して、寝ているのを確認すると
また背を向けて、今度こそ眠りについた。


ぐっすり眠っていたのか、寝たフリだったのか。
どちらにせよ反応は返さなかった。

朝起きた千葉に、ご機嫌にぴっとりとくっついても、
それはよく眠れたお陰かもしれない。

くっついてんじゃねぇ!!!!!!!!!!!!
とブチ切れたが、
何故か蹴り飛ばしたりしないまま
暫く受け入れてたのは
朝のお話

「……ん……」


手の動きに合わせて甘ったるく啼く姿を言葉もなく眺め続けていたが、切れ切れに紡がれた言葉ではっとしたように瞬きをして、それから頷く。
鈴口のかたちを覚え込むように擦っていた掌がいっとき離れた。

自分のベルトに手をやると雑に前へぐいと引っ張って、片手でバックルを外す。
フロントボタンも外してしまえば、あとは腰にかかったあなたの手で下腹を顕にされる。

前を寛げて楽にされたそれは、素朴な好意から狂った執着まで一緒くたの熱を宿して、痛いくらい屹立していた。

「俺も、よくしてくれるん」

鼻先で微笑む。
様相だけは正気に近く見えたとしても、薄目を開けた薄茶色の瞳からは情欲と甘えでぐずぐずの心が漏れ出ていた。

掌がもたらす愉悦に溶かされた。
捕食者の目に囚われながら、
自ら火の中へ身を投じる愚かな兎みたいに、
今にも泣きだしそうな顔であなたに強請る。


よくしたい。
さわりたい。
おれのからだつかって。


見せつけるために開いた口から覗く舌は
赤く湿って欲を誘う。
体のいい言葉でほしがりで我慢できない本心を隠すさまは、
あなたのための純粋な奉仕とはもういえない。

指先よりもっと太いもので犯され、
匂いに満たされ味わいたい。
それに喉を塞がれ呼吸できなくなっても
望みなら全部受け止めたい。
きもちいいから。


「このままするのと、」
「どっちがいい?」

この体勢か、それとも。

あなたが何を強請ったのかはすぐに理解できた。
ほんの一瞬だけ、逡巡が過ぎる。

けれどもあなたが吐いた赦しの言葉は毒のように全身に回って、迷いはみっともなく溶かされてしまって。


『それ』をしたらどうなるんだろう――
そんな、あなたへの剥き出しの興味を止められるほどの正気は、この場に残っていなかった。


「……」
「このままはしんどいやろ、キヨくん」
「いっぺんおきよ」

上体を起こしてあなたの腕を引く。
一度助け起こしたら、あとはきっとあなたの楽なようにさせるのだろう。

「……ん………」

腕を引く手のやさしさが嬉しくてじんわりした暖かさが広がる。
こうした気遣いがすき。すきのひとつ。


反面、『このまま』でも良かったとも心が言う。
きっと身動きのほとんど取れない格好で
口の中いっぱいを満たすそれが喉奥まで突き立てられて
抵抗のひとつもできずに好き放題されただろう。
酸欠の中で揺さぶられて道具みたいに扱われても
興奮に変換できた。
……被虐の気なんてないはずだったのに。


四つん這いになって尻を高くあげて、
彼自身へ鼻先をすりつけた。
匂いがする。


少し高い位置から口をあーんと開けて、
唾液を湿り気の代わりとした。
片手でやわく擦りながら、舌先でぺろぺろとなめる。
上目遣いに覗いた表情から快楽には物足りないようだ。

「とよひ」みて。

声とともに思い切りよくふくんだものの愛撫はたどたどしい。
口をいったりきたりするだけの単調な動きに
興奮したのは自分自身で、
ふるふると悶えるように尻を揺らして、
あなたがもういいと静止をかけるまでへたくそな奉仕を続けた。

なまあたたかい口内を、身体の一番敏感な部分で知覚した。

平時からおよそ想像もつかない淫らな貌。
いじらしい奉仕の感触。
知らない部分を見ていることに歪んだ欲求が満ちて、また下腹の熱が上がる。

「っく、」
生殺しの心地よさに小さく呻き声を漏らした。
慣れない愛撫も高まりきった欲動の前では甘い痺れとなって背筋を走る。


でも、
あと少し……
ものたりない。



夢中で奉仕するあなたの頭上に手をのばす。

あと少しだけ深く咥えこんでくれたら。
そうしたら恐らく、もっとよくなることができる。

もしいまこの欲に任せて、逃げられなくして奥まで突いてしまったら、あなたは一体どんな顔を見せて

茹だった思考からあらわれた妄想に小さく首を振る。
殆ど無意識にあなたの後頭部へ這わせかけていた手は、そのままねぎらうように頭を撫でることに使われた。

「ええよ、キヨくん。大変やろ、
ッ……

「気持ちよかった……ありがと、」

空いた片手で口許を押さえる。
やましいことがあるときの癖だったが、気持ちよかったという言葉にも嘘はなかった。

「んぅ」

頭に近づく圧を察して目を細め
いつものように
撫でられると期待したものへ
甘えたにすりつく。
解放された顎は強張っていてじんといた。

「へぇき」

口を覆う仕草は自分でもわかる嘘だ。
きもちよくなんてなかったろうに。


それでも
すきな
やさしさが嬉しい。
うれしいからもっとよくしたくなる。

「もっとさわらせて」
「最後までしよ」

膝立ちになり、正面から彼の肩へもたれかかりながら、
不埒な手が屹立の先端を撫でる。
すべりおりた手は彼にされたことを意識しながら、
口腔とは異なる熱と慈愛をいとしいものへ与えた。

柔らかな茶髪の感触を楽しむ。
薄暗い衝動をぶつけてしまわなかったことに、それを受け入れさせてしまわなかったことに、依然情欲に濁る意識の中でも確かに安堵した。


「ぁ、ん……っ」


切ない声が鼻から抜ける。
健気な口淫に育てられた期待を今度は優しく弄られて、這い上がる好い感覚で腰が引けそうになる。
凭れてきた頭を片腕のなかへ抱え込んだのは、受け止めるというよりはしがみついているような気分だった。

「キヨく、」


同じようにされるのは嬉しい。
さっきあなたがどうやって蕩けていたのか、教えてもらえているようで。

あなたの背中で遮られて下は見えないまま、さまよった指の腹が体の正中をなぞった。
へその窪みに緩く引っかかって、下へ下へとくだって、さいごに張り詰めたそれを探し当てる。

「キヨくん、」
「キヨくんも」


「最後まで、一緒に、しよ」

握り込んだ五指の中で熱く渦巻いているあなたの欲望を、解放へ導くためにゆっくりと上下に扱き始めた。

ほてった肉体はわずかな刺激も敏感に感じて、
耳元に吹き込まれるあなたの声だけで達しそうなほど
すき


「とよひ、たぶん、」
「こうすると、もっときもちいい」

一歩前へ出て、猛る熱を擦りつける。
裏筋を擦り合わせるように動かせば、
それに合わせてあなたの手が二人分を握りこんだ。

「すき」


腰の動きが止まらない。
混ざり合った体液がいやらしい水音を響かせて
まるで下でもキスしてるみたいな快楽に背筋が震え、
──さいごまで、一緒。



「………」

手で受け止めきれなかった奔流は腹を汚し、
とろとろ粘度をもって脚の間へ流れていく。
おもむろに濡れたままの彼の手をとり自身の太腿へ導いた。
好きなように触られれば白が広がり、
濡れたそこがあなたを受け入れたがっている。

「……もっと、する?」


くったりとした身体をベッドに沈み込ませる。

満足するまで熱を吐き出しあって、
汚れたシーツを剥いで、
べとべとの体を室内つきの浴槽で身を清めながら
また触り合って。


惚けたような顔で視線は彼を追いかけていた。

あなたの視界の中で、冷蔵庫から取り出した水入りのペットボトルに口をつけ、ずるずると寝床まで体を引きずっていく。
それから、ぼふ、とあなたの隣へ勢いよく倒れ込んだ。

「……しんど……」

ぼんやりした蜂蜜色の目を覗き込む。
あれだけさわったのに手はまたもあなたのほうへ伸びて、湿った髪を撫でつける。

「キヨくん水飲んだ〜……?頭いたなるで、飲んどかな」

「の〜〜む〜〜〜」

ぼふんと倒れた体をぽふぽふしてペットボトルを受け取る。
ほんの一瞬だけその瞳は唇を映してすぐに逸らされた。


「は〜〜〜〜……いきかえる…………」

頭へ触れた手にぉぁーと鳴く声は、
甘さを隠した理性あるもので意識して色を消そうとしていた。

「もう今日は動けそうにないや。
 ごはん食べてないけどこのまま寝ちゃっていいかなあ」

「俺も無理かも。明日まで我慢でええかなあ」
ごろんと仰向けになる。

「あ」
「ちょお待ち。そういえばさっき……」

思いついたように声を上げて、上半身を起こした。
ベッドサイドのテーブルから何かを拾う。

「なあなあキヨくん、これは?」
あなたに向かって掲げたのは、ルームサービスのメニューだ。

「天才! とよひー、さっすがー!」

ごろりとうつ伏せで這って、
上半身をあなたの膝へ乗せる。ぺたり。

「ふんふん。いろいろあるねー。
 俺はデトックスピザにしようかな。
 とよひーは。それともわけっこする?」

「どうしよ、キヨくんと同じやつがええな〜。わけっこさして」
膝に猫が乗ってきたみたいな感じでメニュー片手になでなで。

「ほな電話……あれ」
内線電話に手を伸ばしかけたとき、近くにあったあなたのスマホに目をやる。
確かズボンと一緒にぽいされてしまっていたが、諸々が落ち着いてから拾って置いたのかもしれない。

「キヨくん、だいぶ前にLIME来てるわ。代わりに返しといたろか?」
パスもかかっているだろうし、さすがに冗談だと思われる。

「……おねがい! パスコードは俺の誕生日」

4桁なら0104。6〜8桁なら生年も入れた数字。
代わりに内線電話をとって注文する。

15〜30分くらいだらだら待っていればピザが来ただろう。
やったね!

「んで誰からだった?」
LIMEのこと。

「マジで? ええよ」
答えながらぱぱっとパスを入れて解除した。
注文をおまかせしてLIMEの新着メッセージを見る。

「勢喜くん。『明日ってスケジュールどうなってましたっけ』やって」

そんな会話をしたのとほぼ同時に、ポケットに入れていた自分のスマホからLIMEの通知音が鳴った。
引っ張り出して通知を見ると、ちょっと申し訳無さそうな顔で笑う。

「なはは……言うとったら俺のにも似たようなメッセージ来たわ。ごめんて勢喜くん」

あなたのLIMEから一緒に返事すればいいやと思って、自分のスマホは脇に置いた。

「あ〜……悪いことしちゃったなあ。
 連絡ありがと」

ぽりぽりと頭をかいて明日の集合時間や必要事項を伝える。
そしてあなたが連絡を済ませれば、
よくできましたと頭を撫でた。

スマホを返してもらおうという素振りは微塵もなかった。

「ん〜ん〜。注文ありがと〜」

頭を撫でられると嬉しそうにニコニコと笑った。
それから人のスマホを持ったまま、あなたを捕まえて諸共ベッドに倒れ込もうとする。
できるだけいつも通りに、他意のないよう、勢いよく接触したことだろう。

「甘えたさん〜」

互いに向き合う横臥の体勢で背中をぽふぽふする。
後輩たちの距離の近い他意なきふれあいを意識して、
もどれないのをわかっていながら昨日までをなぞる。

「とよひーは甘やかされるの好き?」

だからこれも他意なんてない。

「ん〜? せやなあ、キヨくんに甘やかされるんは好き」
背中に感じるリズミカルな振動が心地よく、目を閉じて身を寄せた。

甘えるのは得意じゃなかったし、甘やかされるとどう応じればいいか分からなくて緊張する。
要するに苦手なのだが――いまはあなたの腕の中で幸せそうに落ち着いている。

「ん〜……キヨくんにもやったろ」
目を閉じたまま腕を回し、おなじように背中をとんとん。
手つきが怪しくならないよう細心の注意を払っているのは秘密だ。

返答に機嫌をよくして猫の口でにんまり笑う。

甘やかしてばかりの男が
今は自分の腕の中で甘やかされている。
しかもこの座は自分のものかと思えばとても気分がいい。

「んん〜……俺もとよひーに甘やかされるの好き。
 だけどこれは眠くなってきてマズイかも……」

などと言いつつ止めるどころか鼻先をあなたの顔に懐かせて、
心地よさを体で表す。
こうした動作は慣れていないのでだいぶ気恥ずかしい上に
距離が近すぎる気もした。

「嬉しいこと言うてくれるやんか。
 俺もキヨくん甘やかすん好きやで〜。おおよしよし……」

顔が近づくと深い口づけの感触が意識の淵にちらついて。
内心穏やかではない。

「んん、せや……ご飯頼んでるもんなあ。
 キヨくん〜寝てしもたら起こして……」

疲労があるにしてもとても眠れる状況じゃない。
きっとピザが来るまでなんだかんだ寝ることはなかっただろう。

背中に心地よい刺激を与える指先が口内を弄り、
あらゆる部分を調べられた。
唇のあわいにしまわれた舌に蹂躙されて
自分の知らない部分も全部食べられた。


気を抜けばすぐにでも浮上しそうな熱を
必死に追い出していつもどおりを演じている。
力が入りすぎてそれはもういつも通りとは言えないものだけど。

「ピザきた」

大皿にどんと乗っけられたピザを行儀悪くベッドの上に置く。
どどん。
濃いチーズに隠れた生地には
デトックス効果のある薬草が練り込まれ、
健康が与えた熱をいい具合に落とすといわれる。

……ということを二人が知る由もない。


「みてみて、チーズよくのびる」
みょい〜〜〜ん。

ところでデトックスピザって一体……?

/*
すげえタイミングで答えが示されたよ
ごめんね

「お? お……おお〜のび〜! 写真とったろ」
撮った。
そして適当に一切れつまんだ。チーズのび〜。

「こう、ベッドの上でご飯食べると……""悪""感、あるわあ」
案外育ちは良い。

わけっこしたデトックスピザのデトックス効果で体の火照りはおさまって、疲労も相まってそれなりにすこやかに眠れたらしい。

/*
おもしろ……

 




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