>>8 ナディルへの秘密開示

[神殿の礼拝堂にナディルを呼び出した。

この間ぴっかぴかに掃除をして曇りの取れた硝子から、きらきらと光が降り注いでる。
綺麗ね。静謐で、神聖で、とっても綺麗]


────ねぇ、ナディルは、願いを叶えるんでしょう？


[くるり、とあたしは振り向いた]


それって、誰でもいいの？
天使でも、対象になるの？

それには対価が必要？
あんたの罪を教えれば、対価になるかしら？

………


[天使の瞳が、濃い紅へ染まる]

[ナディルの返事を待たず、あたしは言い切った。
天使ですもの。勝手なのよ]


さあ────あたしが知ってる事は、教えたわ。

ナディル、あなたはどうするの？

ファルーサと私、並んでお風呂に入っています。

羽根をしぴぴぴぴと震わせたら、動物と親しいファルーサは、私を鳥類か何かと重ねたようで、少しだけ緊張が解けました。


「ねえ、ファルーサ。
　私はキミが、とても煉獄に向いていると思うのです」

湯気で少々息苦しい。
口説き文句もするする出よう、ですよ。

「だってキミは、
　強さでしか世界を計っていないんです」

たぷたぷと、お湯が揺れます。

「キミの価値観はとても強く美しい。

　しかしそれは他人を無視した価値観ですよ。
　若いから気づいていないのでしょうか。

　
」

浴槽からあがって、羽根をぴるぴるさせてお湯を切りました。
そして、振り返ります。