名前をと聞かれれば
　　「そんな者必要ねぇだろ」と出しかけて。



　　相手が名乗ればと一言溢す。　］

　

　　へえ？　名前、いくつも持ってんのか
　　ゴーストなんかに肩入れすんな
　　と忠告はしておくぜ

　　　ウーヴェだ
　　　昔冒険者をしていたことがある程度さ


　　聞いたからには忘れんなよ

　

　

　　太陽の名を授かるなんて
　　凄いことだな

　　けれど太陽は全てを照らさなければいけない
　　そこでファーストネームの真価だな

　　陽の葵、陽を受けて育つ者
　　その笑顔にぴったりだ



　

　

　　　それで？
　　　お嬢ちゃんのやりたいこと
　　　決まったんなら
　　　決意表明くらいなら聞くけど？

　　　言葉にしてみな
　　　心で思うのは一人だが
　　　声に出せば誰かに届く
　　　聞いてるやつがいる
　　　届く声もある

　　　そして何より決意が固まるぜ

　

　　名前は教えてもらったからには
　　呼ばないと失礼だろ？



　　だから


　
　　　　　　　　　　　この言葉を続けた。　］**

　

　　　？…ああ、いや、
　　　話すと長いんだけどさ




　　28。所帯を持っていてもおかしくない歳なんだろう。
　　守るべきもの、大切なもの。

　

［　現実は厳しい。
　　それだけの言葉に隠した は山ほどある。






　

　　　──はは、うん、…それはそうだ。


［　返ってきた当たり障りのない返答に感じたのは安堵。
　　…これで話は終わりでよかったんだ。



　　どんな、の内容を続けることがなかったのは、
　　また揺れ動く気持ちの曖昧さゆえ。　］
　

　　　いいよ、
　　　出来ることを、していたいだけだから


［　誰かの為になっていたかった。
　　求めてくれる誰かの為なら、
　　息苦しさなんてものはなかった。



　　自分では解消できない悩みなら
　　ユスターシュの方が僕よりも息苦しいんじゃないか。

　

　　　うん、そこなら知ってる

　　　…へえぇ、そうなんだ、


［　頭に名を焼き付ける、と同時に
　　訪れたのは混乱。


　　そんな劇場でやっていそうな話~この子、貴方の子なの~が
　　現実に起こっているというのも、
　　かなり奇なことだ。
　　　］
　

　

　　頼むと頭を下げられた時に、
　　すぐに承諾の返事が出せなかったのは


　　──先の質問の返答に話が戻るとは、
　　思っていなかったこと。　］
　

　　　...それは、


［　突き放すような言葉。>>2:55
　　全部見透かされているようで、
　　ぐっと言葉に詰まる。




　　その言葉に、瞳が
　

　　　

［　じわり、じわりと胸に染みる、








　　　

　─　小話：厨房で　─

［ウーヴェに声をかけられれば>>97
　その足を止めた。］


　いいよ、別に隠すように
　話した訳じゃないんだし


　秘密主義さんよぅ。人の事ばーっかでさ


［互いに踏み込み切れなかったのは>>0:452
　棚上げしておいた。
　ウーヴェがあちこちで話をしていたのは気付いていた。
　人たらしが発動していたのを分かっている。］
　　

　

　……そうだな、
　って、おいおい
　保護者同伴で遠足行くんじゃねーんだから


［流石にそこを見られるのはこう、
　なんというか、こう、
　未練が晴れる時は、一人でいい。>>98］
　

　
　




　

　

　と、まぁそれは置いておいてさ


［折角の機会。
　もう少しだけ話を続ける事にした。］


　俺さ、家とか家族とか仲間とかさ
　上手く作れないくせに憧れはあったんだんだと思う



　それでも、相手に踏み込むのなら
　己も同等のものを差し出すのが礼儀だ。］


　娘が出来たのはだから、幸せだった。


［髪をかきあげて、視線は相手を捉える。］
　

　

　ここもさ、俺にとっては
　居心地よかったんだわ。




　自分が死者なのは弁えている。］
　　

　お前が言えないなら>>1:123
　無理にただいまって言わなくてもいいけどさ

　俺を送り出す時は、
　行って来いって送り出してくれよ。




　自分は彼に対して何が言えるのか
　考えた末に出て来たのはこの言葉だった。］
　

　

　マスターがさ、言ってくれたんだ。
　大切なのは忘れないことだって>>0:108


［己は人に殺された。
　相手を恨んでいるか、と問われるのなら
　怒りはなくもないが、そこまで恨んではいない。


　娘を、家族をくれたのは間違いなく彼女だ
　あの子が居なかったら生涯孤独のままだった
　その点でだけで感謝はしている。

　己が幸せでいる大事さを、彼には忘れて欲しくない。］


　居場所ってさ、あると幸せなものだよな
　俺たちは死んでるけど、ここに居て誰かと関われている。


　

　

　それでも、無いままよりある方がいいと
　家族に飢えた己は信じている。
　人に向き合って言葉をかけられる奴が、
　しけた顔したままでいい訳がない。
　
　ここはゴーストの酒場。
　居ていいと>>0:210、気付いてほしい。
　この言葉が届いてほしい。


　それが仮初の宿だとしても
　居心地はいい方がいい。
　彼なら大事に出来ると、今でも男は信じている>>0:-144］**
　

　
［お客がクレープを食べてくれるのを少しだけ見ていた。>>49

　首を振ったかと思えば余すことなく食べてくれるようで。
　美味しそうにしてくれるのを見届ければ
　満足げにその場を離れた。

　食べ終わった後の綺麗な皿は>>80
　自分が片付けさせて貰った。］


　綺麗に食べて頂けて、有難うございました。


［心底嬉しそうに笑って、一声かけておいた。
　作った物を美味しく食べて貰えるのは
　幸せな事だった。］**
　

　　― 閉店後：MiraggiO ―


　　　お疲れ様会……か


［　カイルらしい、良い提案だと思った>>46


　　何も答えず
　　片手を軽く上げて店の外へと出る。




　

　

　　　




　

　

［　　酒場の外から
　　　朝日をただ、眺めていた。　］