何が起きているのか、直ぐに理解することなど出来ず。
大きな声と、大きな音。

転がり落ちたものを瞳に映した瞬間。


震える声で、彼の名を呼んだ。

きっと端にいたから近くではなくて。
縺れる足で2人の元へと駆け出して。

>>4 タンジー

見えた全てに首を横に振り、叫ぶ。

いつもよりも荒い言葉で。
それが何をもたらすとしても。

やめて、嫌。私は、

零れ落ちる結晶は、命の色をしている。




「…………どうして、知らないままに」
誰かを傷付けることが出来るの？

震える吐息を零して。

「」

──…タンジー(>>7)へと掴みかかる。


ぽろぽろと零れ落ちる涙が視界を滲ませて。

>>9 タンジー
掴み返され、振り払う……ことはせず。



リディは信じるなどと、口にしていない。

誰かを庇っているとしても、それが彼だとどうして思うのか。
仮にユングフラウがクロについて口にしたのだとすれば。

「…………私は、クロを……信じているわ………っ」
苦しげに歪むタンジーの表情は、涙で見えない。

力で敵うはずもないから、この身は突き飛ばされ床に打ち付けて。


もう一度響くであろう大きな音に、嘆きの声をあげるのだろう。

床を這いずるリディは、4度目の狂気がクロを襲う頃。
──…その動きを止めた。



ガリガリと床を引っ掻いて、小さな悲鳴を零す。



「………………皆、……、卑怯です…………ッ」




「謝るなら、……クロを………………」
泣くのも、恐怖するのも。

「…………貴方達は、……」
許されるべきではない。きっと、覚悟をしていたのでしょう。

覚悟をした上で、誰かに刃を向けたのでしょう。

>>21 モノ
渡された赤を両手に乗せ、強く握りしめる。

泣く権利がないのは、きっとリディ自身。
それなのに、涙が止まらなくて。



「」
震える声で告げたお礼は、酷く弱々しいものだった。


逃げるように去っていくノル(>>22)の姿は、見えなかった。
言葉はきっともう、

クローディオを見つめる視線はいまだに逸らされず。


「都合が、いい。…こんな時は動けるんですね」
どうせ思考は届く。だからこそ呟くように声にして。

「ユンが誰かのためになんて言って、クロに狂気を向けて。
そのくせ、逃げるようにユンをおいてどこかへ行く」
言葉を止めない。止まらない。例え何を言われようとも。

感情が溢れて。
結晶を握りこんだまま徐々に握る力は増し。



「…………」
吐き捨てるように告げた後、何処かへ向けて歩き出した。

体を引き摺るようにあるから、歩く速度は決して速くないが。