[こそり、こそり…。お布団お化けが忍び寄る
眠る相手にそぉっとお布団を上からかけて
もそもそ隣に潜り込んだ。

乗っからないで背中にぴっとりとくっついて
自分の高めの体温が伝わるように。
これなら重たくないだろうって布団の中でドヤ顔。

重たいのはだめ。いっこかしこくなった。



いっこかしこくなったぼくはもう知ってる。
重たいのはだめだ。
だからこれは、要らないおはなし。]

[いつもは布だけなのに今日は布団がかかってる。
それだけじゃなくて、背中が温い。

おやおや？
不思議だなぁ、なんて呑気に思うはずもなく。
くるっと反対側を見てくっつく物体を確認した]

……うん、これはたしかに重たくないね。

[乗っかられるのが嫌な訳じゃないけれど、
こっちの方がいいやってもぞもぞ。
もっとこの湯たんぽを堪能してやろうと
抱き枕の如く抱き締めてもう1回おやすみなさい]

[もぞもぞしてるから起きてるって気付いてる筈だ。
それでも抱き締めてくれることが
傍に居てもいいって許しみたいに都合よく感じて
じんわり視界が歪むから、そのまま顔を上げることなく
腕の中にすっぽりと大人しく納まった。

重たくなければ、間違えなければ
こんな幸せな気持ちになれるのなら
このままでいいやってごちゃごちゃしてる気持ちを
要らない言葉みたいにごくんと呑み込んで
伸ばし掛けた手を引っ込める。

あったかくて、きもちよくて、しあわせなのに。
なんかすごくくるしい。

………へんなの。]