「みーちゃんこっわ」
「うるさい」
「なーなーみーちゃんは、結婚するならどんな結婚式がいいん？」
「いきなりだなぁ……」
「気になるやん、いつかはするんやし」
「否定はしないけど……そうだなぁ、私はあまり人を誘いたい方じゃないからあれなんだけど、友達を誘わない結婚式と友達オンリーの結婚式がしたい」
「え、2回もするん？」
「2回もっていうか、片方は盛大にお父さんにでもお金出してもらって、もう片方は小さく近い友達だけを誘って自分で経費払うやつ？」
「まさかの片方はお金出してもらうつもりなん？」
「んー、伊織の言い分を借りるなら、
『父の知り合いの先生たちを呼ばないわけにはいかないから』
っていうやつかな。私も伊織も、ちゃんとお父さんの知り合いの先生の顔は覚えてる方だし、小さい頃からお世話になってる人も多いからさ、どうしても、ね？」

「そういえば、せやったなぁ……」
「それに、新婦側だけじゃなくて新郎側もかなりの量呼ぶでしょ？」
「まぁなぁ」
「まず15確定で……あそこらへん来るよね？」
「30確定のほうが正しいんとちゃう？」
「そっか、奥さんたちも一緒に来るもんね。子供たちがいるところもあるからそうなるし……100は堅いね」
「せやなぁ。後は仕事先でお世話になってる人とかもちょくちょく呼びたいしなぁ」
「ほら、そうなると合わせて300は堅い」
「それくらいで済むん？」
「結局は私たちの結婚式だから500以下にしたい」
「せやなぁ。……なら、そのときの資金ちゃんと貯めんと」
「こんにちはー」
「伊織、今日は1人？」
「うん、彼は仕事だから大丈夫。何の話？」
「結婚式」
「2回？」
「うん」
「流石。僕も同じ考え。……僕らは多分、3回だろうけど」
「3回？」

「僕らふたりと、神父様の結婚式」
「あはぁん……」
「僕の彼のことだから、言ってくると思うよ」
「そっかそっか。私たちはいいや……って思うけど、どうせならうちは家族婚する？」
「家族婚？」
「今私が作ったんだけど、ほら両家の家族だけの小さな結婚式。伊織たちがやらないなら一緒にやるのもありじゃない？」
「姉、何言ってるの……。結婚式は基本的に新郎新婦が1組で執り行うものでしょ」
「伊織こそ何言ってるのよ、結婚式だけなんだから少しくらい自由でもいいじゃない」
「恋人の教育、なってないんじゃない？」
「いーちゃんに言われるとは思わんかったわぁ……。ほな、こういうのはどや？」
「ん？」

「1週間の家族旅行で2日目と4日目にそれぞれの家族婚やるっていう」
「なんで2日目と4日目？」
「1日目は移動で大変やろ？せやから2日目に1組。ほんで、3日目は休憩日ってことで改めて4日目にもう1組。これならみーちゃんの希望もいーちゃんの希望も取り入れられるわ」
「おー……早速どこかいい結婚式場ないか探さなきゃ」
「姉……それでいいの？」
「だって、ほら盛大なやつは時期ずらしてあげたほうがお父さんの為だけど、海外旅行となるとお父さんも1週間休み取れるかどうかだから寧ろそのほうがいいんじゃない？」
「内容ないよ今の発言」
「つまり、海外結婚式はぎゅっと短期間に。日本での結婚式は期間を置いてのんびりと？」
「……あぁ、ご祝儀問題もあるもんね」
「そういうこと」

「なら、姉が先に日本で結婚式してね」
「まさかのおねえちゃんが先……」
「いや、むしろなんで僕が先になるの」
「伊織先でいいじゃん、私たちのんびりしてるから」
「聞いた？ねぇ？」
「いーちゃんとこ、子供ほしいほしい言うてるさかい、案外ワイらより先になりそうって話はしててん……」
「あっ、それは僕じゃなくて……！！」
「伊織自身じゃなくても、変わらないでしょ。そうねぇ……どこで結婚式する？ホテル？ちゃんとした式場？」
「キャパに見合うところ」
「まともな回答面白くないなぁ」
「……じゃぁテーマパーク貸切で」
「それやる人違う」
「どちらかというと真理絵ちゃん」
「そういえば大好きとかまた聞きした」
「彼女、告白もプロポーズも両方テーマパークだよ」