人狼物語 三日月国


147 【ペアソロRP】万緑のみぎり【R18G】

情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 エピローグ 終了 / 最新

視点:


フレディ12票
テンガン・カルシャック1票

処刑対象:フレディ、結果:成功

[犠牲者リスト]
該当者なし

決着:龍人族の勝利

村の更新日が延長されました。

村の更新日が延長されました。

[ご褒美のキスをされて、そしてゆっくりと彼の腕によって立ち上がらせられる。
 その際に、玄関脇に活けた彼からもらった花が飾られた花瓶から、ふわりと香りが漂ってくる。

自分の問いに答えるより先に、彼の手は自分のむき出しの肌――服のデザイン的に開かれた肩や背に触れていく。
そしてそれだけでなく、先ほど彼に見せた下着すらも触れてきて。

あ、ばれちゃう。

彼に奉仕しているだけで感じていたことを彼に知られることが恥ずかしいのに、その手を止めることはできなくて。
震える体で彼に寄りそうようにしている]



 他の男がくるなんてありえないけど、あったとしてもドア開けないわ。


[夫はきっと帰ってこない。
そしてもし、他の荷物が送られてきたとしても、そういう連絡サービスはきていないし、急いで服を着替えるだけだし。
 何を言っているのだろうと思ったが、彼の指が敏感な箇所をつまんできて、ぶるっと太腿と腰を揺らした。

 そして続いた言葉で、彼が危惧していることがようやく見えてきた]


 大好きなおちんちんなんて、1つあればいいじゃない?


[こんな自分好みのものが他にあるとも思えないし、それが最大限自分を満足させてくれるのがわかっていれば、危ない橋を渡って他のに手を出すつもりもないし。
 頬にキスをされて彼の言葉を否定すれば、何かを目の前につきつけられた。
 なんだろう、これは。

 そう思っていたら、彼の指が濡れた箇所にするりと抵抗なく入ってきて。
 囁かれた言葉で、その可愛いピンクの物が何かがわかった]


 もう……エッチなんだから。
 いいわ、着けて待ってるから、早く帰ってきて……?


[顔を傾けて、スカートの裾を両手で持ち上げ、着けて、とおねだりをした。
 内心ほっとしていた。
 こんな仕込みをしておいて、戻ってこないなんてことはないだろうから。

 彼の手が自分の下着をおろしてローターを着けてくれるのを待つ*]

[達した余韻にぼんやりとしながら、
宥める彼の声をうつろに聞く。

可愛いと彼はいうけれど、恥ずかしいぐらい乱れてしまって、
うう……と小さく唸りながら両手で顔を隠した。
口端からは飲み下しきれない唾液が溢れ、
目尻に溜まった涙は、幾筋も後を付けて流れている。

とても可愛いなんてものじゃない。
顔中を汚しながら、は、は、と呼吸を紡いで胸を喘がせていた。]


 ……んッ、……テンガン……ッ、
 ……テンガン……ッ……、

 ぎゅうって、して……?


[少しの隙間も惜しい程、両手を伸ばして彼との隙間をなくすようにねだる。
こんなぐちゃぐちゃになった顔、見られたくないけど。
離れるのもいやで、そんなわがままを言いながら。]

[シーツの上に倒されれば、彼の影が頭上に掛かる。
覆い被さる彼の姿は怖くない。
繋がった部分は、未だいやらしい音を立てたまま。
少しでも身じろげば、熱さが伝わってくる。]


 ……ぁ、……ン、……うん……、


[顔が見られるということは、自身も彼の顔が見れるということで。
優しく笑う彼の顔を見たら、とくりと胸が波を打つ。]


 ……ん、いっぱい、愛して……
 
 ぁ、……ふぅ、ンッ、……ンッ、ンぁッ……


[両手を彼の頬に添えて、ちゅ、と唇を触れ合わせて。
するりと腕を首筋に回して、彼の髪を梳く。
緩やかに再び律動する動きに、ぁッ、と淫らな声が響くのは、
それからすぐ後のことで、一度漏れ出た嬌声はとどまることなく、
室内に高く、甘く響き渡っていった。]



乱れているからなんだというのか。
乱れていてもかわいいものはかわいい。
だから彼女が顔を両手で隠してしまえば
こら、と優しく声をかけて片手くらい
顔の前からとってしまう。
涎も、涙も、すべてからめとるかの如く、
彼女の顔を猫のようになめて行って。

けれども彼女からのおねだりを聞けば、
ふたつ返事で隙間を埋めるように
ぎゅうっとしっかりと抱きしめる。
そのせいで彼女の顔が見えなくなっても
それはそれ、と気にせず彼女を宥める。





「わがままなお姫様。
 そういうところも、すごく好きだよ」

くすっと笑うくらいは許されたい。
そう思いながら、抱きしめた彼女を優しく
ガラスを扱うかのようにベッドに寝かせ
桃色の瞳に吸い込まれるように顔を近づける。





「愛してる。この世界で、誰よりも。
 ミンナ、俺のそばから離れないで」

頬を両手で掬われ、唇を重ねれば
彼女の腰に手を添えて蠢いて離れない中を
緩急をつけ蹂躙していくように動いた。
そうすれば、部屋に響き始める嬌声。
ほかの客に聞こえていてもそこはご愛嬌。
目覚めにいい声を聴かせてもらっているのだから
むしろ感謝されてもよいのではないかと思う。





暫くして、彼女の腰を少しだけ浮かせたなら、
上から下へと杭を打つような動きで
ぐ、っと奥を目指し、終わりへの準備を始めて。


「すごく、響いてる……ミン、えっち…」


彼が1度動くだけでぐちゅにゅちゅ、っと
音が立つのだからそれを何度も繰り返していれば
部屋には水音がとても響いて。
その音も、彼を掻き立てる良い原動力になっていた。



[濡れた下着に手をやれば、
震える躰は腕の中、寄り添うように自分たちは立つ。恋人同士、と言い切れぬ関係なのは彼女の周りにある関係で、それを自分は何時だって危惧している。もっと早く生まれていれば、もっと早く出会っていれば、足掻く程に焦がれ、言葉の裏には嫉妬が宿る。青さを自らの長所ととらえるにはまだ若く燻っていた。

だが、其れを彼女は思わぬ方法で解決してくれた。
ふっと小さく笑い、取り出したのは可愛らしいピンク。最も用途はかわいらしいものではなく。彼女の言葉に笑むように目を細めて楽しむのは昼下がりにはいささか破廉恥が過ぎていたかもしれない。が、其れもまた秘密の逢瀬らしく。]


 …ナナミさんほどじゃないっすよ。
 はい、ちゃんと帰ってきます。

  …貴女の大好きなおちんちんも


[かえってきますから。と額にキスをした。
彼女が求めるのは己の躰なのだと何処かで思っている。それで良いとも、惚れぬくが故に思っていた。]


  俺、頑張りますからね?


[貴女の好みであるように。
筋トレの量を増やして更に体を鍛えて、彼女を満足させ続けるように頑張るのだと甘く唇に囁き。一度指を抜けば、持ち上げられたスカートの中へ身をかがめ。

期待に濡れる箇所を確かめるように
近く覗きながら、下着に手をかけた]


 ナナミさんの此処 
   すごく良い匂いがするっす。


[ゆっくりと彼女の下肢が露わになる。
茂みの中、熟れて濡れたそれにちゅとキスをして、芽にと吸い付き。露わになった其処へ指を入れれば、開き。緩やかな動きでピンクの球体を滑り込ませていく。

其れをまじかで見つめ]


 …美味しそうに食べてますよ。
 食いしん坊だな。

[ピンク色の球体が見えなくなるまで
指で押せば、線だけが淫部より出るのを眺め、妙な達成感ととも彼女の反応を伺った。痛みや不快感を訴えるのなら、抜くつもりだが、彼女が良いのなら、一度、ボタンを押して、球体を振動させただろう。

――もちろん、刺激は強で。
其れは彼女の快感になるか、手探り*]


[彼が思っていることが知れたら、貴方の全てが好みなのだということが言えただろうに。
 彼の指が雄弁に中を探ってきていたけれど、下着を脱がされていく。彼の目の前で。
 スカートの中に入り込む彼がどういう表情をしているのかわからない。
 しかし、良い匂いと言われてどういう顔をしたらいいのかわからなくなるのはこっちだ。
 つん、と紅芽が痛み、彼が吸い付いたのだとわかる。
 それとほぼ同時に淫花に何かひやっとしたものが入っていくのがわかった。

 からかうように、奥へ奥へと入っていくそれ。
 奥まで入ったのだろうか。
 ふう、と息をついたら唐突にそれが震えだす]


  ひぃい……っ


[突然訪れた強い刺激に、がくがくと脚が震えだす。
立っていられなくなりそうで、彼の頭と肩に手を置いて躰のバランスを無意識にとった。
 まるで尿意を我慢しているかのように膝を震わせて、足を閉じて。
そうすると彼の手を無意識に挟んでしまう。

 このままの状態で彼を待つのだろうか。
 自分は大丈夫だろうか。
 不安になるけれど、でも、彼が帰ってくるというのなら我慢できる、と思った]

 いってら……しゃい……っ!



[半ば、追い出すようにして彼を外に出して。
 そのまま、玄関先に座り込んだ。
 彼が運び込んだ酒や調味料がその拍子に倒れて転がった]


 ん……ふぅ……!
 

[中がこれほど感じるのだって、ようやくこないだ覚えたばかりのことだった。
 この状況にも感じているし、彼のもの扱いされているようなコトにも興奮している。
 玄関先にべったりと倒れこみ、着乱れた服はスカートがめくりあがって下半身を丸出しになる。
 服そのものが刺激になる。
 胸元を大きく開いて露出させて、自分で乳房を掴んで彼がしてくれたように、その先端部分をこね回す。
 玄関にある姿見に目をやれば大きく足を広げて、だらだらと淫花から涎を流している自分が映る。
 赤く腫れあがったクリトリスにももっと確かな刺激が欲しくてつまんだり潰したりもするけれど彼が奥に与えてくれた満足感にはほど遠い。]


 
 ん……ぁああ……くふぅ……


[こんな玄関先で自慰をしているなんて。声が外に漏れてしまう。

 ただ、頭には“泰尚くん、早く帰ってきて”の文字だけが浮かび、先ほど彼が言ってたように、このタイミングで彼以外の誰かが訪問してきても、ドアを決して開けることなどできないと思った*]

[覆い隠した顔を遮られ、腕を外されて。
さらけ出してしまえば快楽にだらしなく歪んだ顔が覗く。
涙や、口端から溢れたものを丁寧に舐め取られて、
うう、と羞恥に小さく呻いた。

その代わりに甘いおねだりは受け入れられて、
両手でしっかりと背を抱きしめ返される。
肌を通して伝わる体温、耳元で聞こえる彼の呼吸。
ひとつひとつが、愛おしくてまたじわりと涙が浮かんだ。

わがままと言われても良い。
受け入れてくれる彼が居るから。

髪をシーツに散らしながらベッドに埋まり、
一秒でも離れることを惜しむように、彼を見上げる。]



 ……私も、
きだよ。
 テンガンのこと。

 …………ううん、
してる。


[瞳を付き合わせたら、桃色の瞳が緩やかに弧を描く。
空に浮かぶ三日月のように柔らかな光を放って。
テンガンの黒の瞳を己の瞳に映し出す。]

 
 世界でいちばん、テンガンが好き。
 ――――ずっと、離さないで。


[最後の言葉は彼の唇に寄って掻き消えていく。
緩やかに動き始める彼に合わせるように、呼吸が乱れていく。
唇の中に吹き込まれていく嬌声は、
唇が離れていくと同時に辺りに響いて。

既に朝日が差し込むほどに明るくなってきているのに、
部屋には淫らな音といやらしい声が響いていた。]


 ……んぁッ、ぁッ、ンンッ……、
 アッ、ぁ……んぅッ……、いいッ……、

 はッ……、ぁぅッ……、や、ぁンッ……


[喉奥から溢れ出す声は、抑えが効かなくなっていた。
室内だけでなく、外まで響いていると知れたら、
顔中だけでなく耳までを赤くして、枕で顔を覆ったことだろう。
今は、気づかずに喉を反らして彼を感じることだけに溺れて。]

[ぱつ、ぱつと肌の擦れ合う音が、ばちゅんと激しくなる。
身体を引き寄せられて、より繋がりが深くなる。
上から打ち込まれるような、奥まで抉られる感覚に、
呼吸をするのも忘れて、はくはくと声もなく身悶えた。]


 ひぁッ……、あッ、あンッ……アッ、
 あぁ、ンッ……ぅッ、や、いわないでっ……、

 ……はッ、ぅ……ンンッ、んぅッ……、
 だめッ、も……ぅ、イくッ……イっちゃう……!


[わざと羞恥を煽られるようなことを言われて赤面する。
なのに身体は悦ぶように疼いて、彼を深く飲み込んで。
肌のぶつかり合う音がより激しくなっていく。

あまりの刺激にくらくらと目眩を覚えながら、
再び襲い来る『イく』という感覚が近くなってくるのを感じて、
ぎゅうっと彼に縋りながら、限界を訴えた。]

[小さなすれ違いはきっと些細な事。
逢瀬を重ね続ければ、知る側面。彼女の中を暴くのが得意になれば良いと思う。吸い付く其処は甘く、喉の渇きを潤すもの。だけど、まだ足りない。もっと欲しい。もっと捧げたい。この感情は独善的で盲目で欲に染まっている。
触れた箇所にと埋まった球体は艶やかな痴態を生み出した。その瞬間、自分は密かにほくそ笑んだ。]


 ……ナナミさん。


[がくがくと震える脚が閉じられる。
頭と肩に手を置いてバランスを取っていた彼女が、手を閉じる。足と足の間、挟まれたそれは離さぬというよう。ぎゅっと結ばれた身にまかせ
本能のままに快感へ落ちる彼女を見つめ
絶頂に達したい。

そんな気持ちすら抱え込む
だが、其れを制するのは彼女の方だ]

[ 望む言葉をかえしたつもりなのに
 どこか釈然としない翳りの滲む表情に見えて
 なにか間違えただろうかと小さく首を傾げる。

 その所作に促されるように話し始める言葉は
 ちっとも理解できなかった。
 やっぱり欲しがってるのは同調のような気がするのに
 「そんなことないよ」の言葉が不思議と彼に届かない。 ]


 どうして……?
 

[ どうして拒まれると思ったの?
 どうして嫌われる覚悟でこんなことしたの?
 そのどちらかか、或いはその他にも受け取れるかも知れない
 
 彼が一番聞いて欲しい言い訳したいのは何か
 どう受け取るか知りたくて
 甘えるように寄りかかりながら短い疑問の言葉で問う。]

[ 世間にはきっと言い訳なんかしないだろう。
 俺の知る限りは彼はそういうひとだ。
 例え俺が望んだとしても、例え俺の為だとしても
 きっと馬鹿正直に償おうとする気がする。

 罰されて償うほうが楽なのかな。
 そんな気はするけれど、だからこそ
 赦し受け入れてやろうと思ってしまう。

 そのほうが特別な感じがするから。
 それが彼の望む特別なのかはわからないけれど。 ]

[ 「おいで」と呼ぶ声に応えるように胸にぼすりと飛び込んで
 くふくふと笑いながら抱きついた。

 互いの体温も、熱も忘れ、汗も乾いてしまった肌の
 違う温度が少しだけ悲しくて、
 馴染むまではとギュッと抱きつく。

 乾いた汗の臭いと時間の経過した精液の饐えたにおい。
 好ましい香りなはずはないのに
 ふたりの臭いが混ざっていると思えば
 洗い流してしまうことが惜しいとすら思う。 ]


 おふろ。また一緒に……?
 
 お湯入れるのはもうやだからね。
 さっき、ウォシュレットで軽く流したし。
 それで十分じゃない……?

 誠丞サンの、ゆびとか、いれられたら。
 俺、きっと……またしたくなっちゃうし。

 

[ 流石に抱き上げて欲しいわけじゃないので
 張り付いて体重を軽く預けたままだが
 自分の足でちゃんと立って移動する。
 きっと普段使わない筋肉を使ったのであろう股関節が
 やべー違和感を醸しているけれど立てないほどでもない。

 裸のままで風邪をひかせるつもりはないらしい。
 風邪なんかひきそうもないくらい調整された空調だけど。

 まだ幼い頃、雪の日に遊びに行こうとする俺を
 靴とコートを洗ってしまったと使えなくするやり方で
 引き止めた母を思い出していたのに。

 どうやら服は取り上げられないらしい。

 素っ裸で過ごす趣味があるわけではない。
 空調が完璧だろうとそれとはべつに肌寒さを感じる。
 だから服を与えられることは願ってもないことなのに

 物足りなさを覚えてしまうのは何故だろう。
 もっと束縛してほしいのに、と。 ]

[ 自分でもよくわからない鬱憤を晴らすように
 風呂場で散々煽って甘えて誘いまくったのに
 『多少の悪戯』程度で済まされてしまった敗北感に
 不貞腐れながら彼のベッドメイクの腕前を鑑賞する。

 機嫌がよければ手伝っても良かったけれど
 『多少の悪戯』程度で軽くのぼせかけているので
 手伝いを申し出ても断れてしまいそうで
 彼が慌てて探してきた飲み物で水分補給しつつ黙っておく。

 暇な間に病室の物色を始める。
 手の届く範囲のところからはじめて、
 だんだん離れたところまで。

 入院時に度々世話になっていた慣れた個室よりも
 随分と広い部屋の中を
 好き勝手に歩き回るほど、隣でくっついている時より
 彼の意識も視線も向けられることに
 気付いてからは探索に夢中になった。 ]



 ん〜……これといってとくには。

 あ。そうだ。
 誠丞サンが何を食べたいか、知りたいな。

 一緒に食べてくれるんでしょう?
 誠丞サンのすきなものをたべたい、一緒に。


[ 一緒に食事をして、一緒に寝起きして
 好きなだけセックスに溺れて
 ずっと二人きり。

 なんて素敵なんだろうと思う。
 けれど、同時に、彼はどこまで耐えられるだろうかと思う。
 疲れて壊れてしまわないかな、少し前の俺みたいに。
 
 だから少しでも自由を与えてやろうと
 好きなものを用意しに行く時間と
 好きなものを食べる自由を提案する。

 少しくらいの自由は与えてやりたいと思うんだ。
 自由なのに戻ってくる方が
 より満ち足りた気持ちになれる気がして。  ]

[ 母と同じように閉じ込め押さえ込むやり方を取ることに
 嫌悪感や罪悪感を抱く彼の心の内など知る由もなく
 俺自身は、むしろそれを与えて欲しいとさえ思っていた。

 だって、自由なんか望んじゃいなかった。
 今更そんなもの与えられたって持て余すだけだ。

 その愛され方しか知らないから
 その愛され方以外だってきっとあったろうに
 その愛され方以外取りこぼしてきてしまったから
 そうやって愛されないと不安で、不安で。

 気まずそうに見せられた不信と同義の愛情の形に
 正解と教えるみたいに目を輝かせて、頬を染めた。
 掴まれた腕から力を抜く。
 拒む意志なんか欠片もないと表明するために。

 拒む理由なんてない。
 だってこれで繋ぐってことは
 絶対に外しに戻ってくるって約束の証だ。 ]


 それがひつようなら。
 いいよ。誠丞さんが決めて。

 俺の主治医はあなたなんだから。


[ 彼の不信愛情信頼愛情で返して
 望んでいたくせに、容認するみたいな言葉を紡ぐ。
 彼が赦される事を望んでいるように見えたから。

 愛して、愛されて、ただそれだけなのに。
 何も悪いことなんてしてないのにな。

 何時か彼も慣れてくれたらいいのにな。
 俺を閉じ込め独占ようとするその執着愛情に。 ]


 さみしいから、はやくもどってきてね?


[ 俺には余計でしない不必要な自由を奪う拘束を
 恍惚に染まった眼差しで見つめてから
 甘えた声で、見送る彼に強請った。* ]

[古いマンションの、薄いドアだから声を張れば外からの声は十分に聞こえる。
だからこそ、中からの声も音漏れしそうで我慢するしかなくて。
どれくらい待っただろうか。彼の声がした。
立ち上がる気力すら起きず、蕩けきった体はピンク色に色づいて彼を待ち受けている]


 はい……って……っ
 鍵は開いてるから……っ!


[必死になって声を張り上げて。外にいる彼に聞こえるだろうか。
もし自分の声が聞こえずに彼が自分が不在だと思って帰ってしまったらどうしよう。
 そう思うとこんな状態で放置されてしまう自分が不安でみじめで、涙ぐんでしまう。
 身を起こして、ドアに手を伸ばした瞬間、中で震えるピンクの球の位置がずれ、甘い声で嬌声をあげ、わなないてしまう。

 外まで聞こえちゃう!

 思って体を硬直させた瞬間ドアは開いた]


 あ……お帰りなさい……っ


[こんなにみっともない恰好で出迎えられるとは、彼は思っていなかっただろう。
まるで誰かに犯されたかのように着乱れて、下半身をいやらしく、しとどに濡らす液が足を伝い。
自らむき出しにした白い胸は彼に触れられてもいないのに、先端を赤く腫らして凝らせて。
 彼の手で、どんどん自分はいやらしい下卑た女になっていく。

 こんな自分、見られたくないのに。
 見て蔑まれたり、不快そうにされたらどうしようと不安に思うのに。 
 でも、見られて興奮している自分がいる]



 泰尚く……ん

 待ってた、から、……はやくぅ♡


[彼の手によって入れられたローターは、彼の手によって外されるべきだから。
 開かれたままのドアに向かって、見せつけるように脚を開いていて。
 誰かが廊下を通ったらわかってしまうのに。
 彼を煽るように、ちゃんと待ってたからご褒美くれるわよね、と笑顔で、両腕を開いておいでのポーズをしながら、彼を招いた*]






[ ……紛れ込んでこないでよ、
 やだよ、……やなの、おねがい。


 ……くはぁ、って苦しげに息を吐く。
 苦しくて少し眉を寄せてしまったけれど
 潮音には見えないように抱きついた。

 他の私は要らない、いらない、いらない ]


[扉を開ければ、其処に彼女がいた。
ただ先ほどと違うのは乱れ、余裕のない熟れた身体を持て余しているということ。切羽詰まった声が促した開錠が生み出した美しい光景。其れに自然と息があがった。蕩けている。裸エプロンを用意する事も出来ず、玄関には配達物を散らばらせ、彼女がずっと其処に居たのを示している。

赤く腫れた先端もしとどに濡れた足も
淫らな女の香りをしていた。

自分が壁にならねば、扉の外に丸見えの痴態を彼女は晒す。
―――おかえりなさい。に続く言葉は
あまりにも、甘く]


 ただいまっす、ナナミさん。


[このまま扉を開けたまま
彼女を犯したい。そんなイケナイ事を考える。けど、羞恥を浮かべ尚、欲を欲する彼女の先を思い。後ろ手で扉を閉めた。そうして、脚を開き、両腕を開く彼女へゆっくりと進み。じじっとチャックを開いていった。

其処は既に勃ちあがり
天を向いて重く
一度見せつけるように扱きて]


 ナナミさん、待ってくれていたんですね。
  ……どんな風に待っていたのかな。
  不用心に鍵もかけずに。


[俺以外が開けたら。と
自分のせいなのに、彼女に問うた。
その癖、招く腕に誘われ、頭をいい子いい子と撫でて。片手は彼女を床へ。立っているのもつらいだろうと玄関で寝かせた。痛いかもしれない、けどこのままの方が辛いだろう。労わるように撫でる手はやがて大きな乳房へ向かい。

むきだしの其れの先端を摘み。
ぐりぐりと押しては
引っ張り]

 やらしい乳首。
 赤く腫れて、…こんなになるなんて
  どんだけ虐めたんです?


[指先で扱くように其れを刺激し。
引っ張っては、パッと離し。ぷるんと揺れる乳房を愛でた。我慢の利かない、おっぱいだな。なんてわざとらしい言い方でいじめ。手は下肢の方へ伸びる。濡れる下肢、ピンク色の球体を飲む淫花へ。

そこで咲き誇る赤花を摘み]


 此処も―――
  こんなに赤くして
    先を尖らせて、ふっ。
      可愛い。


[これが貴女の興奮の証なんですね。
なんて、明るく楽し気に。手は摘まんだ其れをつつき。姿見に映る彼女に気づけば薄く笑い。ご褒美あげないとねと繰り返し、それから彼女の足を開くのを手伝い。

扉を一度気にして]

 えっちで可愛い、ナナミさん。
 …ご褒美、何が欲しいっすか?
 言って


[貴女は素敵だ。
蔑むことも不快に思う事もない。
だから、大丈夫だと彼女の心根を知ったら伝えただろう。

いやもっと、体で言葉で示して欲しい。
そう示し、彼女の淫花に雄の先端を押し付け、ぱくぱくと吸い付く其処に何度もキスをして、ちゅぱちゅぱと淫らな水音を響かせ、此処で言ったら、外に聞こえるかもっすけど。なんて悪く。
片手は球体のスイッチを探し

彼女が喋りやすいように刺激を強から中に、
それでも苦しいのなら弱に変え

少しばかり中から引っ張って
位置を変えて、花のみちを
刺激させる*]

 
[横たわった彼女の上、抱きしめられる。
 流歌が何に苦しげに息を吐いていたのか
 それも僕にはわからない。

 わかったとしても。
 流歌を邪魔するのがほかのきみでも。
 僕が大切にしてきたきみのかけらでも。

 僕はやっぱり面白くないんだろう。

 流歌は僕だけ見てて。
 僕だって、流歌しかみてないよ。
 もう、ずっとさぁ……。]
 

<lucent>

 ……っく 


[ 今更所有者みたいな顔しないでよ、
  息をもってかないでよ、
  ……堪えきれず小さな咳をしたら
  あのときみたいに血がまじってる。

  ……このまま目を閉じてしまったら 
  幸せなおばあちゃんになる、約束も果たせない。

  潮音に心配かけちゃったかな、
  ちょっとだけ潮音の顔に落胆みたいなのが、見えた。 

  ……頭の中、子守唄が流れた。
  大丈夫ですよ。

  私なら、きっと、何度だって
  シオンを見つけ出すことができます。

  何千年も、何万年も、
  もう彼だけを愛していますから。 


  ――安心して、眠って。
  また、……出会えるから。 ]

 




[ 大好きな人と引き下がれようとする悲劇を
  神様が叶えてくださろうとするものだから 

  乙守流歌とは欲深いもので
  もっと好きになってほしいとか
  独り占めしたいって思えるような女の子になりたいとか

  魂の果ての果てから 願ってる。 

  カミサマ目が私に向いてる?
  実際そうだったとしても、潮音の思い込みでも
  どっちだったとしても私にはわかんない。


  私には、潮音しかいらないの。
  それすらも理解しないカミサマなんていらない。 ]


  



彼女の体液は全て彼の魔力に変わる。
それを抜きにしても彼女の全てを受け入れたい。
彼女の男は後にも先にも自分だけだと、
改めて思わせてくれるようなこの仕草が、
この上なく好きだと感じている。
男に慣れている女性の多くは、
こんな風に顔を隠したり恥ずかしいと口にしたり
あまりしないような気がするからなのかもしれないが。





彼女のわがままは彼にとってもご褒美だ。
だからこそ受け入れてそのわがままを叶える。
彼女がそれで笑顔になってくれたり、
幸せになってくれたりするというのなら、
彼は死さえも厭わない。
彼女に言ったら嫌がられそうだけれども。


ベッドに体を預けていく彼女の髪が広がる姿は
桃色の花が花開くような姿で、
その周辺がキラキラと華やいで見えた。
だからこそ、彼女の口から聞こえた
「愛してる」の一言は彼の心に光を宿す。
彼女のために、彼女を悲しませない。
これから先も彼女のことを愛し続けるためにも、
1秒でも長く生きたいと思ってしまった。






営みが夜だけだと誰が決めた?
朝から愛し合って、その日1日を良いものにする。
そういう恋人がいてもいいと思う。
それが良い目覚めとなるのなら尚更。
唇をそっと離したそばから、
彼女の甘く甘く溶けてしまいそうな声は
止まることなく、彼の気分も上がっていく。


「は、っ……んっ………良い……
ぁあ
…」


彼の体重を全部かけるようにして
奥を目指すこの体勢は彼女の体が
いつもよりもいたく感じているようで
中の締め付けに彼も感じていく。





「イきそう?…ふ、っ………
 俺も、そろそろ来そう、……っぁ……
 一緒に、イけるかな?あ、くる……」


今にも達してしまいそうな彼女を離さないよう
体を密着させてから彼女の肩の隙間に
顔を埋めると、彼の腰は更に動きを早めて、
彼女の絶頂を促すとともに、
彼自身の絶頂も促されていった。
そして、耐えられなくなる限界点に到達すると
彼女の体をしっかりホールドして、
奥へと先ほど出せなかったタネをどくっと吐き出す。
その最中、ふぅぅ、っと歯を食いしばりながら、
どこか獣のように呼吸を落ち着かせようと
彼女を抱きしめたまま暫く離れることはなかった。



 
[主の思惑を外れたがる一匹と一人──、
 もう二匹、だろうか──は。

 どちらが愛されていたのか、どちらもなのか、
 最早確かめる術もないけれど。

 与えられた楽園を捨て去り
 自らの居場所を互いの隣に定めた。

 原罪に下された最も大きな罰は
 「いつか必ず死ななければならない」だというが
 今度の罰は、それとは真逆。

 永遠に止むことない苦楽を共にしていく。
 その果てなき果てに、あるものは────…]

 

 あ……っ


[彼が優しく頭を撫でてくれて、丁重な仕草で玄関に寝かせてくれる。それはまるで王女にでもするかのような優しい仕草で。

早く彼が欲しいのに、彼の視線や興味は胸の方に行ってしまい、おもちゃで遊ぶかのように、先端をいじめられては、やらしいと言われて―――その意地悪な言い方に、ぞくっと首筋から肩にかけて粟立つのを感じた。
引っ張られて揺さぶられて、そうされると、じくじくと彼を求める部分がうずいて仕方がない。
それに気づいたのか、ようやく彼の手が触れてほしい場所に伸びる。

 ローターを外して、そしてその肉棒を奥まで突き込んでほしいのに
 少しばかり弱めてはくれたようなのだけれど、彼は位置を調整しただけで、それを抜こうとはしない。

 だって、彼のモノはこんな振動だけとは違う。

 彼のモノの固さ、柔らかさ、しなやかさ、強さ、熱さ、滑らかさ、そういったものが与えてくれる満足度は、心まで抉って満たす。
 何よりも、彼の熱っぽい言葉に、自分を求めてくれるという視線などが、自分の女としての価値を上げてくれているような気がして、それが感じさせてくれるのだ。
 こうして、彼にお預けされ、焦らされるのも前戯であり愛撫の一環だと信じられているせいかもしれない]

 泰尚くんが欲しいのっ……。
 貴方の大きくて太いおちんちんを中に入れて、かきまわしてぇ、突いてぇ……っ


[自ら腰を突きだすように、先端部分を押し付けるだけで中に入ってこない意地悪な剛直を、少しでも飲み込もうとして。
 指先で、赤く膨れた淫芽ごとくぱぁと開いて、入りやすくさせただろうか。

 彼の大きなもので中を抉られたら、まるでそれが紙鉄砲のように奥までローターをおしこんで、一番感じる箇所にぐりぐりと振動を押し付けられてしまうかもしれない。
 ただでさえ感じすぎているのに、そんなことをされたら失神してしまうかもしれない。

 しかし、後のことなど考えられないほど、待ちかねて。

 早く入れてぇ、とおねだりをするしかできなかった*]



[ 薄ら瞼を開けば
  愛おしい人と視線も交わった。

  かみさまの楽園から逃げだして
  ヒトであることをも拒絶して

  ただひとつの凸と凹を埋めるために。


  はじめまして。
  私はあなたを攫いにきたの。
  私はあなだだけを食べるあくま流歌。 ]

[玄関先でこんな風に乱れる彼女は美しい。
触れた箇所から焼かれてしまう。そんな気持ちすら抱きながらも、彼女の姿に嗜虐を擽られ、虐め焦らした。虐める程に彼女は感度を増していく。気づいたのは、反応の良さから。其れをもっと見たい。嫌だと言われたら傷つく癖にのめり込んで、彼女の全てを求め。

その声を聞いた。]


 ……ナナミさん
  嬉しいなあ。沢山味わってくださいね。


[ふっと笑う顏は心底嬉し気に。
自ら突き出すように露わにする其処は熟れた花、喰らうことを求める食中花。自分を彼女は求めている。自分が欲しいと彼女は言ってくれる。それが嬉しい。

独占欲を抱えて
脚を更に開き、片手で背を抱いて
入りやすくなった其処へ
雌の花へと]

 


 ……っ。
  中、 に……くっ


[突いてという言葉に応えるように
彼女の中をいく。ピンク色の球体を抜くこともなく、行われた其れは太く大きいモノで彼女の中を侵し、同時に球体で彼女の良いところを押した。線が剛直の横からたれる。そのまま掻き抱く身を起こし。

立ち上がれば、彼女を抱き上げ]


 ……はっ、ナナミさん・・・


[上下に揺さぶり。
彼女を快楽の海にと落とし、唇と唇を重ね。
人工呼吸を繰り返し、下から上へ、肉体を突き上げ。唇を離し、合間合間に彼女を呼んで。

雄の先端で球体をおし
彼女の奥、大事な処へ振動を当て続けた*]

[ああ、ようやくだ。
痛苦に近いような快楽を与えてくれる肉の刀を、今か今かと待ちわびて。

―――そして]


 ひっ、ぐぅううううっ!


[嗚咽のような悲鳴のような、獣のような深い声。
 自分の漏らす高い喘ぎ声も知らなかったけれど、こんな声を自分が出せるなんて知らなかった。
膣道を彼の大きなものが割り開いて、そしてピンクの球を奥へと押し込んでいく。
その振動を生み出す物は彼のモノの窪みにぴたりと収まったかのように入り込み子宮口まで運ばれていくのが、彼に抱かれてもまだ狭い中がその形と共に教えてくれる。

ぶぶぶ、と体の奥底で震える振動が、もっとも感じる二人の弱い箇所を刺激している。

そして彼は自分を唐突に抱きしめたかと思えば]

 ぅああああああ……っ!



[それは完全な悲鳴。嬌声だったなんて聞いた人は思えないだろう。
 途中で声が途切れたのは彼の唇が自分の唇をふさいだから。
 彼から漏れる呼気が自分の吸気となり、自分の悲鳴は彼の唾液に溶けていく。
 彼が自分を上下に揺さぶり、その衝撃でも中に入り込んだローターが感じる箇所を容赦なく攻めていく]



 も……だめ、おかしくなるぅ……!!



[狂ったように首を振り、口を開き、そこから舌をのぞかせる。
目を見開いたまま涙を流し、もしかしたら鼻水で顔もよごしていたかもしれない。
 彼の押し込みに反応した中は、蠕動を繰り返して、彼の剛直を取り込んでいく。
 半ば恐慌をきたしたような悲鳴と共に、ある瞬間にふっと目から光が消え、がくん、と彼の腕に倒れこむと]

[自身の吐息に紛れるように、彼の呼吸が聞こえる。
彼も気持ち良くなっているのだと分かれば、
嬉しくて、もっと感じたくて浅く腰を揺らす。
より深く彼のものを感じて、ぶるりと身体が震えた。

限界を訴えれば、彼も同じように伝えて、
隙間を無くすようにぴたりと肌を合わせる。
肩に彼の額がぶつかって、黒色の髪が頬に触れる。

波を追い立てるように彼が腰の動きを早めて、
ぞくぞくと背筋を這い上がるような快楽が走り抜けていく。]


 ……ぁっ、あッ……ぅンッ、は、ぁッ、ぁッ……
 あんッ、だめぇッ……も、ぅッ……
 
 は、ぁンッ……ぁッ、
 あッ、
ぁぁぁぁ〜〜〜〜〜ッ…………!!



[一際強く中を穿たれて、声もなく身悶える。
背を仰け反らせ、びくんびくんっと激しく身体を震わせて達して。
同時に熱い迸りが身体の中に放たれるのを感じながら、
ふっと脱力するように身体を弛緩させた。]

[強く抱きしめられる腕の中でしばらく惚けたまま、
大きく胸を喘がせて、ひたすら呼吸を紡ぐ。

求められるように強く抱かれる腕の力が、
苦しくも心地よく、息を荒げながら彼の背を抱きしめた。

重くのしかかる彼の重さに安堵を覚えて、
緩く手を上げ、背から頭へと滑らせる。
汗でしっとりと滲んた肌を撫で、髪を撫で付けて。]


 ……ン、……きもち、よかった……、


[頬を染めながらも、小さく呟いて微笑んだ。]

[寄り掛かる人肌を享受しながら視線を隣に向ける。質問の意図を探るように、或いは質問の補足を待つみたいに。そうして少し考える素振りで、見えない主語を推測しようとするが解釈の幅が広い。

どうして。彼の言葉を心の中で反芻する]


 君はどうしてだと思う?
 ……なんて、聞かれても困るね。


[無数にある候補の中から、それらしい回答を探り当てようとして諦めた。自分でも掬い上げられないなら、信頼出来る第三者に委ねてみる。

彼の同調に安堵すると同時に、心の安寧を得ることを許さない自分自身がいる。どう言い訳を並べても、どれだけ赦されても。けれど、彼に拒絶されなかっただけでも十分に特別と幸福を感じている]

[服を与えなければ、万が一外に出られても出歩けないだろう。……という発想が全く無かった。監禁して自由を奪っている。なら出来る限り他の権利まで取り上げたくない。それが「普通」の愛し方だと思っていたから。

彼の言葉を「したくなったら困る」と解釈したが、無自覚なのか確信犯なのか、彼の誘惑に流されまいと理性を保つのに苦労した。これ以上したら立てなくなるんじゃ……いや、その方が都合が良いのか?なんて、邪な企みも過ぎった。散々煽られて、理性と感情を振り回されたら当然仕返しもしたくなる。既に洗い流したらしい中を確認しようかとも思ったけれど、自分の箍を外してしまいそうで思い留まった]


 ……瑠威? 怪我するといけないから、
 あちこち触らない方が良い。


[子どもじゃないんだから、触って良いものとそうでないものの区別はつくだろう。分かっていても、彼が傍を離れると手元の作業が疎かになってしまう。視界に入らないと声を掛けたり、返事が無ければ様子を見に行ったり。過保護過ぎると思う一方で、彼の姿が見えなくなるとどうしても心が落ち着かなかった]

[彼から母親を遠ざけなければ、と思っていた。
彼女の存在は、彼が追い詰められた原因のひとつだと考えていたから。だというのに私は彼女と同じ──それより直接的で、むしろ酷いやり方で束縛しようとしている。

銀色の手枷は歪んだ精神性の証明だ。
そう認知出来る間はいつまでも慣れないのだろう。
面倒そうな顔をするどころか、嬉しげで従順に見える彼にも]


 すまないが、使わせて貰うよ。
 君が「いい子」だと思えるまでは。


[ひんやりとした金属の輪を、彼の右手とベッドの手摺に繋いだ。さっきみたいに病室を自由に歩き回らないように。彼の左眼に「目薬」を点した時より余程緊張して、使い慣れないのもあるが辿々しい手付きになる。

──でも、必要なことだから。

そう思うことで無心になろうとする。
何も考えるな、]


 ……あぁ、すぐ戻る。また後で。


[するりと彼から視線を逸し背を向ける。
罪悪感の裏にある、束縛を許容されることへの倒錯した悦びを自覚する前に]

[外観からして広いだろう院内を歩いても、あまり人の気配を感じない。途中で洗濯室に寄って、洗濯物を機械に託しておいた。白衣を着てはいるが、やっていることは家事や介護に近いので不思議な心地がする]


 好きな食べ物……、か。


[彼の言葉を思い出し、記憶を辿る。
気遣いからの提案とも知らず、自分に興味を持ってくれたのだと単純に嬉しく思った。だから真剣に献立を考えたくなったのだが。食に頓着がないことに気がつき、頭を悩ませる。私一人で食べるなら正直何でも良いけれど、……]

[ビニール袋を手に提げ、病室に戻る。
「ただいま」と言って、ベッドの上から動けない彼が変わらずそこにいるのを確認し、頬にキスをする]


 売店で買ってきた。
 ブラックだけど、大丈夫か?


[サイドテーブルにコーヒーとサンドイッチを二人分並べる。結局、普段食べ慣れている組み合わせを選んだ。食堂のメニューでも良かったけれど、すぐ帰ると約束したので近場で済ませた。

それから白衣のポケットから鍵を取り出し、彼の拘束を解く*]



[ 翠の星が人の手により宵闇から引き摺り出され、
  主宰であるアレイズ=クロウリーは凄惨な事件を最後に
  此世の舞台から消え、二度と見つからなかった。

  彼が友と呼んだ男と設立した求道の家は
  国内からの厳しい目と次々にトップを失い弱体化した事実により
  復活は成されず、両団体そのものもまた
  度重なる各地の革命運動、独裁政権の誕生や世界戦争と
  激流の如く時代の流れに呑まれ消える。

  ――――アレイズの想定に反し、
  秘書が友の遺した団体を引き継ぎ拡大する未来は訪れなかった。

  悪魔が体現し、報復と共に我が仔を攫って行った為に
  真に力を持つ魔術師さえ確保すれば良いという認識からは
  教会も改めざるを得なかったのだ。

  
魔術師の心を翳らせていた感情も、
  悪魔の介入の真の意図も、神僕に悟れる筈も無い。
 ]



[ しかし、その後も本土から離れた島に位置するかの家は
  建物だけは使われぬまま数十年に渡り残り続けた。

  観光に訪れ、時に自身の創作の材料とした好事家達のように
  オカルトの一つとして消えた魔術師やその思想を求める者が
  保護しているからだ、とされているが。

  科学の発展とかつての迫害により、
  表立った活動を辞めるしか無かった悪魔崇拝者達が
  この地に心の拠り所を求めているというのが正しい。

  夜も深い刻、雨の中濡れた草むらに踏み入り近づいていく
  未だ少女といってもいい齢の女性もまた、そうだった。
  汚れた壁に蔦が這い、全ての窓とドアは板で塞がれ
  廃れた家など、何も知らなければ関心を向ける対象にならない。

  彼女の表情に宿る憂いと陰が、唯の見物客ではないことを物語る
  その胸には沈み彫りの技巧が施された装身具があった。 ]



[ そのブローチが、歩みの最中突然外れ落下していく。
  慌てて伸ばされた細い指を掠り、すれ違った瞬間
  不可解で非科学的な、黒い靄を噴出する現象が始まった。

  差していた傘が持ち主の手を離れ、夜露に濡れ転がる。
  本能的に距離を取り口許を覆い声も出ない彼女の前で、
  靄は人型へ寄り集まり、見る見る内に背の高い男へ完成してゆく。

  黒髪と黒服と異様な白肌で構成される彼が所有する色彩は、
  爪と両眼に宿している、鮮やかな黄色ただ唯一のみ。

  だが、目前の女性へと注ぐその丸い瞳にすら黒が含まれる。
  ――まるで狩猟の時を待つ猛禽類のようであった。 ]



此処には何も無い
どこを探しても、クローリーの魂に会えはしない

[ 突然の出来事、全てを知る口振りに驚愕する彼女が
  男の呼ぶ古き魔術師の名が自分の知るそれと発音が違うなど、
  気づく余地も無く、知ったとして理由が分かるわけもなく。

  次々と語られる内容と彼のペースに呑まれてゆく。 ]

可哀想に。知っているよ、お前の父親に起きたこと
立派な仕事をしていたのにな
摘発されたマフィアの報復で……さぞ無念だったろうね?

おまけにその上司は奴らと繋がっていて、その罪を死人に着せた
これ程酷い話があるだろうか。なあ?
何故神はお前達家族を助けてはくれなかったのだろうね

[ 装身具に描かれた姿に、
  歴史の陰で信仰され続けていた悪魔に瓜二つの男は

  今や社会で権威を喪失している教会を、
  失望により彼女が縋る対象から外れた宿敵を鼻で嗤い
  それからふ、と優しい笑顔を作った。
  年齢を定かとしない見目が、不気味な程一気に幼さへと傾いた。 ]



でも、オレなら復讐を助けてやれる

神も法も今は忘れて、お前の心の赴くままに願いを告げてご覧?

[ 作り物であることを隠してすらいない表情、
  甘く告げられる悪魔の誘惑。

  しかし、家族を襲った不幸と人々の裏切りに
  邪教に救いを求める程絶望した彼女にとってその誘いは
  こうして“彼”が応えてくれた事実は

  神に同胞に見捨てられた己に闇が齎した、
  願っても無い奇跡であった。 ]



いい仔だ

おいでよ


[ 震える声が、しかし確かに悪魔に答えたその時
  黒混じりの黄瞳が、真紅へと転じる。


   ────まるで返り血を浴び、染められてしまったように。*]



彼女の香りを直接感じるほど密接し、
耳元に聞こえる嬌声に体が滾り、
彼女の腰が少しでも自発的に動けば、
彼の口からはぐ、っと堪えるような声が出て。


「っ、ぅ……そろそろ、でるよ、ミン…っくぁ…」


彼女の声が高くも細く絶頂へとたどり着いて、
体が先ほどまでとは比べ物にならないほど
びくっと跳ね、反ってしまえば、
それにつられる様に彼の体も極限を迎える。
吐き出される熱は彼女の膣を埋めてしまいそうで
昂ぶりが落ち着くのに時間を要した。





彼女が胸を上下させて呼吸を整える様子が
肌を通じて簡単にわかり、
彼女の汗も時折触れるその肌から伝わった。
寝起きはすべすべだった肌も、
今はしっかりと汗をかいてしっとりして、
どれだけの時間が経ったのだろうかと
少しだけ考えてしまった。


「ミン、大好きだよ。
 ………今日も、凄く気持ちよかった。
 受け入れてくれてありがとう」


彼女の手が背中から頭のほうへ動き、
汗でぬれた髪を優しく撫でてくれる。
呼吸が落ち着けば、彼女の顔を見るために
体を起こして、頬を染める彼女にやさしく口づけを。
下肢も落ち着けば腰を彼女から離して
体を拭くものを持ってくると伝え、
一度ベッドから抜けようとする。





「ゆっくりしてるんだよ?」

彼女への負担が大きい動きをしてしまったので
もしかしたら、すぐには動けないかもしれない。
そうなれば、汗ばんだ体を隅から隅まで、
濡れたタオルなどできれいにしてあげたくなった。
もう1日泊まるかどうか、彼女に聞いてみよう。





 …!
 アルカード……!!


[ 此方を包み込む、ひやりとした馴染みある冷気。
よかった、と安堵するより早く ]

 
『ああ、よかった』
『これでちゃんと予定通り』


[ 先程まで話していた、聞き覚えのある声。

 その声が響くのと同時に、
 それまで澄み渡るように晴れていた空から六本、
 巨大な氷柱が此方めがけて急降下してくる。 ]


 ……っ


[ 咄嗟に身を竦ませたわたしを庇うように
 彼の腕がわたしを引き寄せた。 ]

[氷柱などは大して問題ではない。
我の中心をなしている人型の、その手を頭上に翳せば
忽ちのうちにそれらは全て砕かれ黒ずんだ雨粒へと姿を変えて
地上に注がれていく]


 ぐ…っ、 かは……ッ!?


[娘を此方に引き寄せた途端。

彼女を引き寄せた腕に、その身体を搔き抱いた我が身を灼く痛みに、堪らず低く呻く。

―――…その痛みには、覚えがあった。
娘に触れるたび、日を追う毎に強くなっていったあの感覚
それをもっとずっと、強くするとこうなるだろうと思われるような、そんな痛み。]

[……なんだ? 何が起こった?]


『驚いているのですね』
『さきほど、彼女に拡張魔術バフをかけました。
彼女の持つ光の魔力が増大するように』


……なるほどな。
随分と、小賢しい真似をするではないか。


『ええ。万が一逃げられたとき、
おそらく彼女は貴方と合流するだろうと思いましたから』

『きちんと貴方がたの性格を把握できているか、
わたくしとしては少し自信がなかったのですが』

『アウローラさんも、
彼女の影響下にある貴方も
とても素直な可愛らしいひとで、本当によかったわ』

[艶やかに笑うマティルダ
…話には聞いていたし、実際に遠目から見たこともあったが。]


―――…実に不愉快な女だな、貴様は。


[こんな女の世界を守るために、
娘は我に破滅を止まるよう働きかけたのか?
こんな女のために、
あの娘は暗闇でひとり泣いていたというのか?


全く以て、解せぬ。
全く以て……腹立たしい。
目の前のこの女は、あの虚無に我を突き落とした
忌々しい光の女神に、とてもよく似ている]*

[艶やかに笑うマティルダ
…話には聞いていたし、実際に遠目から見たこともあったが。]


―――…実に不愉快な女だな、貴様は。


[こんな女の世界を守るために、
娘は我に破滅を止まるよう働きかけたのか?
こんな女のために、
あの娘は暗闇でひとり泣いていたというのか?


全く以て、解せぬ。
全く以て……腹立たしい。
目の前のこの女は、あの虚無に我を突き落とした
忌々しい光の女神に、とてもよく似ている]*

[…それは少し、心外だわ。
もし、彼の心がわかったならば
わたくしはそう口にしたでしょう。

…美しい物語?
ありがとう、そう言って貰えるならばとても嬉しいわ。
もしも彼女の言葉を聞けたなら、そういって微笑んでみせたでしょう。

でもね、アウローラさん。
貴女は少し勘違いしているわ。

この世界で紡がれるあらゆる物語は
貴女が思うほど美しいことばかりではないの。

この世界は、何の犠牲イケニエも無しに
わたくしたちに幸福の果実を与えはしない。

わたくしは、覚えている。
この世界の成り立ちそのものが、
たったひとつの『命』を犠牲にして成り立っていることを。]



――…そう、アルカードと名乗っているのね、貴方。


[記憶を辿っても、その名前に聞き覚えはない。
だが、彼の『設定』のなかに、そういう名前があったとしても不思議ではない。
何れにせよ言えるのは]


 その名前は彼女につけてもらったの?
 それともご自分で名乗っていらっしゃるの?
 貴方の、他のたくさんの呼び名と同じように。



 ……哀れね。

 もう、自分の名前も、本当の姿も思い出せないのでしょう?


[柔く微笑みながら挑発半分に言葉を投げる。

その名も、姿も声も、話し方もその意志や思考でさえ。
誰かに望まれた、
或いはかつて望まれたものを継ぎ接ぎした
召喚者にとって都合の良いものに過ぎない。

それが彼の、この怪物ラスボス『設定』真実。]



『本当はわたくし、貴方たちともお友達になりたいのですよ?
 これは、本当にそう』
『これから先の展開を考えればなおさら、そう思いますわ』


[わたくしにとっては偽りのない本心からの言葉。
わたくしが皆と共に生きていけるようにするには、
もっと多くの力やものが必要になる。

もし、彼や彼女を味方に引き入れられたなら
とてもその能力はとても心強いものになるはずですけれど。
……流石にそれは、リスクが高くつきそうね。]*



…は。
よくもそんな戯言を抜かせるものだ。


[柔く微笑む姿は他人の目からは美しいのだろう。
悪意などないようにみえるのだろう。


そこにある『害意』に気づけるのは、
その意志が自分自身に向けられたときで。
それに気づいたときには、既に手遅れになっている。
この女から感じられるものは、まさにそれだ。


少なくとも、我のハラワタを掻き回すような、
ずけずけと心の内側に土足で入り込むような
女の言葉と眼差しは、ただ、ひたすらに不快でしかない。]




貴様がその名を呼ぶな、女。
その名を呼ぶのを許されるのは、この娘だけだ。



[娘とマティルダのあいだに立ち塞がるように位置取ると
娘に背を向けたまま、マティルダを強く睨みつける。

…そうでなければ、立ち続けることも難しかった。

今は、娘に直接触れている訳ではない。
それでも、先程、娘を抱き寄せた腕から痛みが消えることはない。

それだけではなく、娘を守るため周囲に張り巡らせた触手が
ちりちりと縮れ、灰になって砕けていく。
内心、焦りと共に砕けた影の上から新たな触手を生やそうにも、
再生の速さを崩壊が僅かに上回っている状態だ。]



……ぐ。


[直に触れるどころか、近くに在るだけで
娘の光に自身が灼かれているのがわかる。

彼女を守るため招き寄せた、この闇の……我が身の内側から
彼女自身の放つ強い光に中てられている。

そして女の手の内がわからない以上、娘から迂闊に離れることも難しい。
そして恐らく女もそれを見越しているのだろう。

自身のほうからは全く動きをみせることなく、
ただにこやかに我らの様子を伺っている]



『義姉上!!』
『此処に居たか!無事でよかった!!』


……鼠共か。


[更に厄介なことに先程図書館で遭遇した者たちも
我らの騒ぎを聞きつけてやってきたようだった]



『すまないな。
 最初に闇の精霊がいると言われたときは疑ったが
 まさか真実だったとは……』
『人払いは既に済ませてあります』
『よしよし、それじゃあ手っ取り早く
 世界を救っちゃいますかね』
『さっき逃げられた奴が何を言っているんだ』


[いっそ、呑気ともいえる奴らの応酬に内心腹を立てる。
が、それを口に出せる余裕が今はない。

理由はわからないが、
娘の特性を利用して此方に不利な状況を作り出したことといい、
彼方は我と、娘のことを知り尽くしているようにみえる。

そう呻いている間に、マティルダを中心に
男たちによって戦いの火蓋が切って落とされた]



『すまないな。
 最初に闇の精霊がいると言われたときは疑ったが
 まさか真実だったとは……』
『人払いは既に済ませてあります』
『よしよし、それじゃあ手っ取り早く
 世界を救っちゃいますかね』
『さっき逃げられた奴が何を言っているんだ』


[いっそ、呑気ともいえる奴らの応酬に内心腹を立てる。
が、それを口に出せる余裕が今はない。

理由はわからないが、
娘の特性を利用して此方に不利な状況を作り出したことといい、
彼方は我と、娘のことを知り尽くしているようにみえる。

そう呻いている間に、マティルダを中心に
男たちによって戦いの火蓋が切って落とされた]



 ―――…。


[前衛の騎士と思われる者たちから繰り出される剣戟には触手によって応戦し、
大地から生み出される土人形や風による斬撃、打ちだされる水や氷、炎の矢には、それぞれ魔獣を召喚して戦わせる。


純粋な戦況は、今のところ互角に持ちこめている。


現状、己の身に一番ダメージを入れられているのが、
我が身に抱えた娘自身というのが、気に入らないが]**

[口付けと共に降り落ちる告白は、
毎時、毎日というほど彼から伝えられる愛の言葉。
気持ちが通じ合ったその日から、
その言葉は途切れること無く、私に囁かれる。

キスを片目を伏せて受けながら、
抜け落ちていく刀身に、ン、と小さく声を漏らして、
彼が離れていくのを見届ける。

離れる際に気遣う声に、こくりと頷いて。]


 ……うん、いってらっしゃい。


[へにゃりと笑って見送ってからは、
そのままぱたりとシーツに沈んでいく。
目を覚ましたばかりなのに、運動を済ませた後のように
どっと脱力感が身体に纏わりついて、
横になっていればとろりと瞼が落ちてくる。

彼が戻ってくるまで、起きていなくては。
とは、思うものの、降りてくる瞼には勝てず、
そのまま、静かに寝息を立て始めた。**]



(ジリ貧とはこのことですね、アルカード)


[ 祈りを捧げるように両手を重ねて。
 わたくしにとって大切な彼らを支援しつつ、
 闇の精霊へと思念を通じて語りかける。 ]


(どうしても、彼女を手離すつもりはありませんか)
(ずいぶんと、彼女にはご執心のようですが)



 ……貴様になど、わかるものか。


[直接脳内へ語りかけてくる女にそう返す。

理解される気もしないし、
それ以前に理解してほしいとも思わないが。]



 はじめての、ニンゲンだったのだ。

 我に、世界の破滅を望まなかった。
 我を、友と呼んだ。

 我にこの世界は美しいものだと知ってほしいと。
 我に、これからも傍にいてほしいと言ってくれた。
 ……そう、望まれた。

[永い永い時を生きた。
そのあいだに、数多の人の子と関わりを持った。

あの暗闇の中、我を喚んだ誰もが、この世界の破滅を――滅亡を願った。

いつだって、我に届く声は世界を、他者を呪うもの。
悲しみと憎悪と寂しさと苦しみに満ちた声だけが
我を此の地へ喚び寄せる道標。

―――…そのなかで、たったひとり。

風変わりで、弱々しくちっぽけで、今にも消えてしまいそうで。
だが、我が手の中で決して消えることなく、あたたかな輝きを放ち続けた、たったひとつの星。

この命を手離さないことに、
離れがたいと願いを持つことに、理由が必要だというのなら。
……それで、十分だろう?]



(願い、ですか)
(此れは随分異なことをおっしゃるのですね)


[ふふ、と知らず微笑が浮かんでしまう。

「願いを叶える」ために存在する舞台装置システム
随分、人間じみたことを考えるものだと。]


(それも、彼女の影響ですか?)


[どうやらわたくしの知らないあいだに
既に、シナリオは大きく書き換わっていたのかもしれない。

…いいえ、それは今更ね。
既に彼に自我が発生していること自体が、
ゲームのシナリオから逸脱しているのだから。

――でも、ええ、そうね。
悪役令嬢わたくしではない、
『光の魔力』を持つ本物の"主人公"なら、できるかもしれないわ。

尤も、その不確定さに、頼るつもりはないけど。
彼女には、光の魔力の本質を知らないままでいてもらったほうがいい。
そのために、幾度となく無力感を味合わせてきたのだから。
]



―――…今度こそ終わりにしましょう。


[ 仲間たちに声をかける。
 最初の頃こそ互角に持ちこめていた戦いも、
 少しずつ変化し、今ではほぼ此方が有利になってきている。

 ここぞと畳みかけるために、仲間たちに目配せをする。
 彼等がひとつ頷くのを確認すると、
 闇を封じるため、光の女神への祝歌を紡ぐ。 ]

[ 空に、光に満ちていく。
 そうしてその光が霧散した後、空に浮かぶのは
 さながら天に開けられた真円の穴。
 闇たる彼を封じるため、女神の理の外――世界の果てへと
 続く"門"が開かれていく。

 門の向こう側にある其処は、世界の外側。
 闇に満ちた虚無の海。
 闇の精霊たる彼が、本来棲まう場所。 ]


 ―――…闇の精霊よ、在るべき処へ還れ!!


[わたくしの声と共に、皆が手にした武器を一斉に掲げた。
そうして轟音と共に大気が震え、周囲に満ちた闇が霧散し、
空の穴に吸い込まれるように消えていく。]*



 ―――…。


[ああ、此れで終いか。
天に開いた"門"を見て思ったことは、そんなことで。]


 ……、すまないな。娘。


[また、召喚者の願いを叶えてやれなかった。
今回ばかりは……たとえ、我自身迷いこそあれど、叶えてやりたかったのだが。

いつだって、人の子の、より多くが願う想いには叶わない。]

[闇が、消えていく。
我の、人の姿を形作ることも、ままならなくなっていく。

今、我の身体は、あとどのくらい残っている?
どれほど人からかけ離れた姿になっているか、
今の我には、わからないが]


 ……。


[どうにかカタチを保っている左手で娘の頬に触れる。
灼けるような痛みと、白い手袋を濡らす、果敢無い雫。]


 泣くな、……アウローラ。

 泣かないでくれ。頼む。


[名前を呼んだのは、これが初めて、だったか。
今まで散々、名前を呼べという
娘の願いを叶えてやれなかったのに。

随分と勝手なことを言っていると。
わかってはいるが。    …それでも。]

 

  ―――…お前は、笑っているほうがいい。
 
 



 ……幸せになれ。
 お前は、こんなにもあたたかな生き物なのだから。

 お前が求める愛を与えてくれる者は
 ……きっと、この世界にも存在している。 


[我には叶えられない温もりを、
与えられるニンゲンは、きっといる。

この世界は、娘にとって、美しい世界なのだから。
そう娘が信じられる限り、いつか、娘の願いは叶う]

[ほろり、ほろり、と。
身体が崩れていくのがわかる。

懐かしく、そして慣れない感覚に、
自然、苦笑いが浮かんで。

頬に触れていた手を、そっと額に移す。
炭化し、崩れてつつあるその手の形をどうにか保つと。

その額に、掌越しに口づけを落とした。]


 ―――…さらばだ。
 短いあいだだったが、心地良くあたたかい旅路だった。


[唇を離すのと同時、いつかのように
安心させようと微笑んだところで。


…その身体は灰になって、やがて、空の向こうへと消えた]*




 ―――…アルカード!!


[ 彼の掌がわたしの額に触れて
 ひやりと痺れるような、身体の熱が奪われるような
 そんな感覚に襲われる。

 けど、それ以上に。
 彼の身体が灰になって、空に開かれた穴のような門へと
 それが吸い込まれていく光景に、背筋が凍りつく想いがした ]



 いや!!
 いやだ、いやですアルカード……!!
 ああ……!!


[ 消えていく。
 彼の、何もかもが。

 さっきまで笑っていたはずの顔は何処にもいない。
 さっきまでわたしに触れていた左手は、あの冷たい手は
 いったい、何処に行ってしまったの? ]


 ……っ。
 

[ 空の門へ、舞い上がっていく彼の灰へ
 必死に縋ろうと手を伸ばす。
 けど、その手は届かない。
 震える脚は、わたしに立っていることすら
 許しては、くれなくて。
 そのまま、地面に膝をつく。 ]


 どう、して……?


[ゲーム本編と違って彼は何もしていない。
悪い事なんて何もしていない。

ただ、わたしの傍にいてくれただけ。
ひとりぼっちが寂しくて、
涙を零さずにいられなかった
ちっぽけなわたしの願いを、叶えてくれただけ、なのに。 ]



『アウローラさん』

 ……!


[聞こえてきた声と、
遠巻きに自分を見つめてくる視線に振り向く。]


『さ、帰りましょう』
『みんな、貴女の帰りを待っています』

『貴女は、ひとりじゃないわ』


 ……。


[確かに、そうかもしれない。

皆に愛され、大切にされるマティルダ。
彼女と一緒にいれば、彼女が仲介になってくれれば。

わたしは、今までみたいに
一人ぼっちではなくなるのかもしれない。
……愛してくれる人も、見つけられるかもしれない。
消える直前、彼がわたしにそう言ったように]

[ だけど。 ]


 ……アルカードは、どうなるの?


[ 小さな頃、御伽噺に書いてあった話。

 この世界でたったひとり、
 他のどの精霊とも異なる生まれ方をした
 ひとりぼっちの、強くて、優しくて、
 少しだけ狡いところのある、不器用な精霊。

 あのひとだけを、物語の犠牲イケニエにして。
 それで皆、ハッピーエンドだと笑いあう。
 
……そんなものに、わたしはなりたいの?
]

 
 
 ……。


[ 嫌だ、と思った。

 今まで誰からも見向きもされなかったのに、
 急に輪の中に入って、仲間だとか、友達だとか言われて。

 それまで一緒にいてくれたひとの犠牲に目を瞑って
 ハッピーエンドだと、笑いあうなんて。

 そんなことになるくらいなら、いっそ。 ]



 ―――…。


[ 立ち上がって、空を見上げた。
 その先にあるのは、未だ開かれたままの門。 ]


『アウローラさん?』
『行きましょう。もう、悪い夢は終わったの』


 ―――終わってなんかいない!!


[ マティルダの言葉を遮って、吠えるように叫ぶ。
 目の奥が熱い。雫が頬を伝うたび、
 そこから灼けるように熱いものがほたり、ほたりと
 地面を濡らしていく。 ]



 …終わってなんか、いないんです……。


 わたしには。
 わたしの、物語には……あのひとが、必要なの。


[ だから。 ]



 ……聞こえていますか、アルカード。


[ わたしの声が聞こえるならば。
 わたしの願いが、叶うならば。

 ―――わたしは、わたしの物語を選択する。 ]



 ―――…わたしを貴方アルカードの許へ!!


[ ふわりと、身体が浮く感覚は。
 いつか、彼と街へ行くときに経験した
 空中散歩のそれに似ていて。

 あのときと、違うのは。
 飛びあがった後、そのまま上下が反転するように
 ―――空に浮かぶ、あの門へ。

 真っ直ぐに、落ちていく―――。 ]**

[ 質問には質問が返って、けれど勝手に完結した。
 如何やら聞かれても困るらしい。彼も困っているのだろうか?

 問題を出された時と同じだけ少しだけ悩む素振りを見せる。
 即答したっていいけれど少しくらい頭を使う振りをして。
 困るほど難しい事もないのに。
 簡単なことだ。必要なのはただひとつ…… ]


 『おれのことがすきだから』?


[ 俺のことが好きだから嫌われるかもしれないことを意識し
 俺のことが好きだからそれでもなお行動したんでしょう?

 必要なのはただひとつ。
 そこさえ揺らがなければ俺はなんだって受け入れるのに。
 『どうして』だと思う?
 そう尋ねようとして、困られても困るのでやめた。
 簡単なことなんだけどね。
 けれど彼にはそう単純でもないのだろう。 ]

[ 危険なものとそうでないものの判別が付いた上で
 危険なものでさっくり派手に肉を切り裂いた前科が
 生々しく左腕の上に刻まれているからこそ
 彼が幼子相手のような不安を抱くのも尤もだろう。
 むしろ幼子よりも厄介だ。

 目を離した隙にまた何かしでかすと思われている。
 彼から与えられる過干渉とも取れるその心配が
 嬉しくて、楽しくて、堪らない。
 悪さをして気を引きたい幼子のような幼稚さだと
 自覚は多少はる。自覚だけは。 ]


 はぁい。


[ 呼びかける声にいい子のお返事を返して
 素直に大人しく彼のもとへともどる。
 けれど彼が他に意識を逸らせばまたふらりと離れた。
 気にかけてくれさえすればいいこにしているのだと
 彼に教え込むために繰り返す。

 きっといずれ疲れさせてしまうんだろうな。
 普通はそうだ。
 ずっと気が休まらないなんて精神が疲弊してしまう。
 そう思うのにやめようと思えないのを
 今は浮かれているからだと自分に言い訳をする。

 たしかに彼の意識が自分に向いていることを確かめる作業が
 楽しくて、嬉しくて、たまらなくて。 ]

[ 『母親』という生き物が『子』に向けるのと同じだけの
 熱情を向けてほしいと願うのはきっと酷なんだと思う。
 母がそうだったからといって同じ愛し方を
 親子ではない関係を望んだ彼に彼に求めるのは
 違うことくらいは頭ではわかっている。

 けれどそれ以外は上手く受け取れなくて
 与えられないと不安で与えられると嬉しくて

 俺がほかを覚えるのが先か
 彼がこれに慣れてしまうのが先か

 ……どちらでもない可能性を考えるのが少し怖い。
 俺が疲れて母から逃げ出そうとしたみたいに
 彼もいつか疲れて

 俺からまた逃げ出してしまうんじゃないかって… ]

[ 慣れない手つきで嵌められる手錠を
 外しに来るのは彼だとは思う。
 本当に?
 自分が罰される為に第三者に見せようとするかもしれない
 あの日みたいに突然姿を消すかも知れない。

 考え始めると不安で押しつぶされそうになるから
 今は考えることを投げ出した。 ]


 ふふっ、俺が「わるいこ」だったことなんかないって
 早く思い出してね、せんせぇー。


[ 買い物の最中店先に置き去りにされる犬の気分だ。
 そう思い浮かんで。
 彼に愛玩されるペットになれたらどれだけ幸せだろうと
 幸せな夢に浸ることで、投げ出しても、消えてくれない
 不安な気持ちを紛らわせた。 ]

[ …​───まるで時間が止まっていたみたいに。
 彼が視線を逸らした瞬間と寸分違わぬ姿勢で待っていた。
 一人の間、すっぽりと人形みたいに抜け落ちていた表情に
 喜色をぱっと灯して、顔を上げる。

 いいこにしてたから褒めてとねだるより先に
 与えられたご褒美に幸せそうに頬を染めて
 はにかんで笑って同じ口づけを返した。 ]


 おかえり、誠丞さん。

 ………あ〜…なるほど。
 さては食に拘りがないな?

 ありがと。
 なんでも食べれるよ。好き嫌いないし。


[ そもそも最近味覚も食欲も大分まともに機能しているか
 怪しかったことは黙っておく。
 言えば心配をしてもらえるだろうけれど
 今はこれ以上心労を増やすのも気の毒で。

 違和感はあれどもう痛みもあんまり気にならない
 自由な左腕でサンドイッチの具を確認していれば
 また慣れない手つきで拘束が解かれる。 ]

[ ちゃんと戻ってきてくれた実感と
 あと何度ちゃんと戻ってきてくれるかという感傷とが
 頭の中でぐちゃぐちゃになって

 信じていないのはどうやら彼だけではないらしいと
 今更に納得して、受け入れた。 ]


 べつに、つけたままでもよかったのに。


[ 信じられないのなら、何時までだって。
 疑ってくれて構わなかった。
 疑う分だけ信じようと悩んでくれていると思えば
 俺にとってはそれは幸福でしかないから。

 彼にとってもそうだろうか。
 普通は違うだろうか。
 ポーズじゃなく、本当に少しだけ悩み逡巡 してから
 躊躇いがちに口を開いた ]


 つけたままなら、外しに戻ってきてくれるでしょ。
 その間だけは、いなくなったり
しない、って……


 

[ ああ、違う。縛り付けたいんじゃないんだ。
 その手で外しに戻って来いと強要しているようなものだ。
 いや、違う。縛り付けてしまいたいんだ。
 なら正しいのだろうか?或いはもっと罪悪感を抉る?
 そんなひどいことはしたくない。
 そんなひどいことすらゆるされたい。
 考えが纏まらなくなって慌てて早口に遮った ]


 ごめん。なんでもない。
 よし、食べよう!いただきまぁっす。
 あ、そういえばこういうの食べるの久しぶりかも。


[ 無理に浮かれた声を作ってサンドイッチに手を伸ばした。

 なんか吐きそうだな。
 大人しくしていた食欲はすっかり情緒と同じだけ乱されて
 折角彼と一緒の食事なのに食べる気がまるで起きない。
 けれどそんな状態で笑顔で食事をすることには慣れていた。

 いっそ吐けばいいのかな。
 これから飲み込むサンドイッチと一緒に
 思ってることぜんぶ。

 けれど嫌われたくないんだ。

 彼のように嫌われでも行動を起こすなんて事できなくて
 好きだなんて簡単な感情だけじゃどうにもならない
 単純ではない葛藤の苦味を、コーヒーで流し込んだ。 ] 

 
[今日は甘さと優しさだけで包んで
 蕩けていて貰うつもりだったんだけど。

 まさかそうしている最中に
 違う方がえっちになるだなんて報告してきた流歌は。
 いつの間にそんなえっちな子になっていたんだろう!
 
やっぱ僕ヘタクソなんだな……。


 ……いや、嬉しいことに違いなかった。
 普段はわはわしてる彼女がこんなにも
 僕に寄り添ってくれていたのが意外で
 ちょっと追いつくのに苦労しただけ、嬉しさの悲鳴。]


  ……?


[「入った」時の微かな違和感は
 ヒトでないものの夢の中がはじめてゆえのものと。

 浮かれた頭では気付きようもなく。]
 

 
[自分だけが好きに内容を設定できるという
 普段と変わらぬ認識の下。

 舞台は礼拝堂に定めた。

 見せつけてやるに相応しいじゃないか。

 黒のタキシードを着た自分は
 同じ色の翼と尻尾を背後に出している。

 幸せな花嫁が攫われない為に敷かれた
 清く青い布の上を嘲笑うように踏み締めて進めば
 祭壇の前へと躍り出て。]
 

 
[静かに佇む純白の彼女をうっとりと
 目を細めて眺め、一言。]


  ────……綺麗だ、流歌


[この世で最も清廉で美しいと断言できるその姿。
 そんな彼女の腰を強く抱き寄せて。]
 

 


  愛する流歌。僕だけの流歌

  どこに僕の愛が欲しい?
    自分の手で、晒すんだ……


[問いかけはどこに痛みが欲しいかに等しく。
 ここにはエスコートしてくれる父も
 ベールダウンしてくれる母も居ない。
 薄い布越しに目を合わせようとして返事を待つ。*]
 



 ……あ



[ 隣接しあうまぼろしと現実のはざまで
  青く光る瞳は薄目でその光景をながめてる。

  革靴が踏み荒らしてゆく、
  かみさまの領域。
  白のヴェールの向こう側から
  幸せそうに目を細めた。


  下手くそじゃないよっ!ていいたいけど
  それは聞こえてないので、

  とどくのは声色の少し変わった
  愛する人の問いかけ。]
  
  



[ 抱き寄せられるまま、
  愛おしい人が呼ぶこえを、わたしが望むままに。 ]


  潮音。
  私をいっぱい、……あいしてくれる?


[ まぼろしのはざまでも
  私は最初に潮音に口づけて。

  素敵で綺麗なドレス。
  着られたの、……うれしいな。


  でも、……いらない。
 ]


[ 純白のドレスはわたしの足元、波紋のように広がった。
  

  白い翼が、手折られたようにも、似た



 
  指先のグローブだけをのこして、
  纏う白を喪った私が身につけていたのは
  黒いレースのビスチェに黒のガーターベルト。
  


  ……あ、ちょっと、これ
  さっきまで何も着てなかったのが嘘みたいに
  恥ずかしい。


  そだね、さっきは
  潮音の手であばかれていったから ]
 

 
  



[ じぶんでショーツをゆっくり下ろしてったら
  潮音が吐き出した精液と、
  私が溢すもので糸をひいて、


  ……ちょっとだけくらってなりそう。
  

  ガーターだけになったら潮音を見上げる。 ]



  ……これじゃ、だめ?



[ おりこうさんに、できたよ。
  ……ねえ、どんなふうに あいしてもらえる? ** ]


 

 
[例えばもし見つけるのが遅くて
 例えばもしもっと魅力的な男がいて
 例えばもし……

 きみが他を選んだら僕は
 遠くから見守るだけだっただろう。
 だけどそうなったことはない。

 また僕を選んでくれて、ありがとう。

 
それだけでいつも幸せだったんだよ、本当に。

 

 
[だから問いかける神父がいなくとも心に誓う。
 如何なるときもきみだけを追いかけて
 大切にし守り抜くことを。
 笑い声と泣き叫ぶ声の絶えぬ日々を重ねることを。

 ……怒った顔だけは、あまり見たくないな。
 片時も仲良しじゃないのはいやだから
 大ばか潮音がいつも全部悪かったで構わない。]


  愛すよ、愛してる、……いつまでも


[魔除けのヴェールを自ら取り払った
 花嫁からの口づけ受け止めて
 一方的な誓いを唇に封じ込めた。]
 

 
[彼女が動くので、一度抱擁を解き、
 僕に愛されたい場所をその手で晒させた。

 この後穢すことを考えるからこそ純白は美しい。]


  ……! (これ、は……)


[自分は白い衣装の下に
 透けやすい色下着なんて着けさせない。
 ……ああ、絶対にだ。

  書き換えられた世界
  入り口での違和感
  先程よりはっきりと見える気のする青き炎

           それらが示すもの、は ]

 

 
[まさか、]


  ……っ だめな訳、ないでしょ……


[結論を出すより先に
 目の前の光景に釘付けになった。

 あどけなさの残る顔に、豊かな胸。
 真っ直ぐ伸びる細い脚に、黒ベルト。

 大人になりきる前の危うい色香を纏う流歌が、
 殆ど丸裸になった流歌が、ドレスの海に立っていた。]
 

 
[答えは全部、ということらしい。
 はあ、と態とらしく溜め息を吐くけれど。]


  全く贅沢だなァ、流歌は……

  すると、先ずはどこにあげようかな……


[咎める気がまるでない機嫌の良さは
 声の色でも表情でも判るものだっただろう。
 一歩近づき指輪の嵌る手で再び腰を抱くと
 逆の手で顎を持ち上げ視線を合わさせた。
 タキシードに押し付けるように大きな胸が潰れて
 黒いヒールを履いた彼女はいつもより顔が近い。]
 

 

  かわいい舌を出してご覧


[言うことをきけたおりこうさんの舌を
 あーんと口を開いて包み込めば

 
ブチリ……ッ

 二本の牙で突き破りそのままホールドした。
 舌先だけは甘く舐ってやりながら
 強く吸い上げて傷口から溢れる血で喉を潤す。

 流歌はいい子だからとっても美味しいね。
 そう伝えるのは閉じられることのない瞳だけ。
 水平線の向こうに沈んでいく陽のように燃えている。]
 

 
[顎を抑える手が不要となれば
 舌足らずに話すしかない彼女の背中に
 鋭く伸ばした爪を突き立てていく。

 英語の授業ではShionではなくSionを使った。
 その自らの名を。

 無垢なキャンバスに刻み込む。
 幾つも、幾つも。

 ────自分のものに名前を書いて何が悪い?]
 

 
[彼女の身体も
 足下に拡がるドレスも
 染まっていく。 *]
 

[彼女と旦那さんの関係に自分は踏み込めない。
自分が踏み込むことで彼女が不利な立場になったら本末店頭だ。―――すでに、悪い事をしているのに。こうしていることも彼女の旦那を傷つけているのではと思うのに。


心は止められなくて。
ただ、待つしかできない自分が心苦しいけど
それでも好きなのだと堂々と言いたかった*]

【人】 団地妻 ナナミ

―― その後 ――

[思った以上に、夫との離婚はあっけなかった。

 相手に十二分に心を奪われていたのだろうか。
 それとも、探偵がいい仕事をしてくれて、裁判になっても言い逃れできないほど立派な証拠を突き付けたからだろうか。
 夫はあっさりと自分の主張を受け入れ、謝罪すら口にした。

 そういえば、こういう素直なところを好きになったんだっけ。
 そう思って、彼との思い出を懐かしくも思う。
 しかし、それでいて彼にすがったり、取り戻そうと思わずにいられたのは、ただ泰尚の存在のおかげでしかなかった。

 幸い子供はいなかったし、自分も働いていたので泥沼化させる必要もない。
 慰謝料は夫とその彼女に請求はするが、示談をちらつかせたら言い値で折れてくれたと、探偵社に紹介してもらった弁護士が笑いながら教えてくれた。
 こちらの成功報酬で彼に渡す分も増えるので、自分たちは彼らからしたら、いい客だっただろう]
(0) 2022/05/31(Tue) 23:19:37

【人】 団地妻 ナナミ




 この家……出ることにしたから。


[夫と離婚が成立してしばらく経った頃。
 いつものように御用聞きを装って泰尚が家に訪れた。
 きっと、彼は家の中の雰囲気がいつもと違うことに気づいていただろう。
 彼を、近くまで招きよせると、小さな声で囁いた。

 離婚に伴い夫との財産分与を済ませ、そして夫の浮気相手からの慰謝料も手にして。浮気調査で使った分以上の額がまとまって手に入り、銀行口座の残高に〇が増えた。

 夫と二人の名義で買ったこの家は、財産分与と夫への慰謝料を兼ねて自分のものになったので、そのまま住んでいればいいのだけれど、二人用の家に一人で済むのは広さがもったいないから、自分はこの家を出て貸すつもりだった。

 目の前の泰尚をちらっと見る。

 自分がこのままここを出るとしたら、接点がない分、会うことも困難になるだろう。
 別れを切り出されるのではとでも彼は思っているのかもしれない。しかし]
(1) 2022/05/31(Tue) 23:21:48

【人】 団地妻 ナナミ



 いつまでもここにいたら、貴方と私が隠れて浮気していたとばれてしまうかもしれないでしょ?

 新しい連絡先―――。二川屋さんの配達エリア外のところだけれど、貴方のバイクなら来られるでしょう? “いつでも”



[今までは、人目を気にして決まった日時にしか会えなかった。
 でもこれからは、会いたくなったら誰の目も憚れることなく――
夫も、近所の人の目も――会うことができる。
 そのために適度に離れ、適度に近い距離で、人目がない場所借りたのだった。

 隠し通していた自分たちの中は最後まで隠さなければならない。
 離婚をしたと周囲にも知られて好奇の目にさらされたくもなかったし]


 ―――会いに来てね?


[それは念を押すだけ。
 しばらくは彼の逢瀬を待つだけだろうけれど、きっとそのうちそうする必要もなくなるだろうし。なにより]
(2) 2022/05/31(Tue) 23:26:37
―― 学園内 ――


(これは……参った。完全に想定外ね)


[彼女が上空の門――その外の空間へ
飛び出していったのと同時に、門が閉ざされた。

―――後に残されたのは、
いっそ清々しいくらいの、青い、青い空。

…どうしようかと、内心、頭を抱える。
此方と彼方の虚無の海を繋ぐ門は既に閉ざされている。
彼女…アウローラを、あの虚無の海から救い出すことは事実上不可能と言ってもいい。]


 アウローラさん…。


[今度ばかりは、演技ではなく本気で祈らずにはいられなかった。

彼女はきっと知らない。
虚無の海と呼ばれるあの場所が、どれほど悍ましい世界かを。

『夜明け告げるは星の唄』は発売当時としては珍しい、
王道ともいえるストーリーのゲーム作品だ。
いや、正確には『だった』というのが正しい。

『夜明け告げるは星の唄』の発売から五年後、
新たに発売された続編――俗に『第二部』と呼ばれる作品には、前作では明かされなかった物語ストーリー上の様々な情報が明かされた。

続編が発売された当初は、それまでと違う雰囲気に賛否両論あったけれど。
徐々にゲーム本編をプレイする人たちが増えるうちに、次第に否定的な意見は聞かれなくなっていった。

――…そして、その明かされた情報の中には、
前作のラスボスである『闇の精霊』についても含まれていた]*

[―――…落ちていく。



人の子が齎した光に砕け、その身は灰になって。
そうして、懐かしく悍ましい、あの虚無の海へと我は還る。
夢うつつに、遠い過去を垣間見ながら]

[……昔の話だ。
それこそ御伽噺の中で語られるような、遠い過去の話。


一番古い記憶に在るのは、白い天井。
白い服を着た、自分よりも大きなニンゲン。

自分を取り囲む黒い鉄格子。拘束具。
小さく音を立てる、大小さまざまな機械。
手足や首や胴体に、繋がれたチューブを流れる、
赤や、黒や、透き通った液体。

身動きなどできなかった。
いつからそうだったか、なんて知らない。
少なくとも、物心ついたときには既にそれが当たり前だった。]

[―――…自分が何者かなんて、知らなかった。

白い服を着たニンゲンたちは、此方のことを数字で呼んでいた。
その番号を、自分は覚えていない。

己を示す数字を呼ばれこそすれ、
ニンゲンたちは此方と目を合わすことさえしなかった。
いつも、決まった時間に現れては、
此方の身に異常がないかを確認して去っていく。

ただ、それだけの存在だった。]

[ある日、白い壁の向こう側から声が聞こえた。

『たすけて』『ここからだして』と。

あのときの我にはその声がなんなのか、
誰が発しているものか、そのときの自分にはわからなかったが。

――…彼らの声に、応えなければと思った。
故に、繋がれて身動きできない身体をどうにか起こしながら
彼らを助けようと、声のする方角の白い壁を叩き壊した。

……厳密には、自分は何もしてはいない。
壁に触れることなく、ただ、強く念じただけだった。

だが、それを見たニンゲンたちは明らかに顔色を悪くしていた。
あの、化け物を見るような眼差しは、今も朧気に覚えている。
そうして、数日後。 ]

[…ニンゲンたちのあいだで、何があったのか。
どのような議論があったのかはわからない。


覚えているのは、ただ。

それまで自分がいた場所から連れ出され、
真っ暗な、何も存在しない空間へと放り出されたこと。

そして、そのまま元居た場所へ戻ることはなかった。
それだけだった。 ]*

[―――…嘗て、一人の子どもがいました。
その子どもには、お父さんもお母さんもいません。
家族と呼べる者は、誰も居ませんでした。

そして、その子供はとても小さく身体が弱くて
周りの助けがあってはじめて生かされるような
そんな存在でした。

本来なら、その子どもは何も知らないまま、
流れ星が尽きるように、或いは根無し草のように。
その短い命を終えていたでしょう。

そうならなかったのは、その子どもが
生まれながらに特別な力を持っていたから。
夜空を駆ける流れ星のように、他の人間の願いを叶える。
そんな力を持っていたから。


そうして、子どもは大人たちに
その力を利用されることになったのです。]

[子どもが突き落とされたのは、
どこからも光の差し込むことのない、
どこまでもどこまでも続く、真っ暗な空間。
月も星も、それどころか物と呼べるものが何一つ存在しない、真空の世界。

そこに存在するものは生き物もそうでないものも、
皆、その実体を溶かされて無へと近づいていく
そういう空間でした。

そうして、そこに落ちた子どもは
虚無に、その身体を、記憶を、魂を溶かされて。

やがて、その空間には
子どもが持っていた「力」だけが遺されました。]

[子どもを真っ暗な空間……虚無の海へ
突き落とした女は子どもの消失を確認するのと同時に
その暗闇に叫びました。
『光あれ』と。

その声が響いた瞬間、真っ暗だったその空間は
瞬く間に眩い光に満たされました。

女は、子どもの身体と力が溶けたこの空間に
さまざまな願い事を口にしました。
そのたび、かつて真っ暗で何もなかったこの空間は、
新たな命が生まれ、新たなエレメントが生まれ。
やがて、それは一つの世界のカタチを成していきました。

―――…それが、この世界の成り立ちでした。]*



彼が拭くものを用意してベッドに戻れば
彼女はやはり疲れたのか目を閉じてベッドに身を任せていた。
そんな彼女を起こさないように、
ゆっくりと顔から汗を拭き、首、肩、腕、手、胸、腹部、
そして下肢を丁寧に、念入りに拭き上げていく。
彼女が起きていれば指を挿れて中を掻き出すところだが
そうとも行かないので、少しだけ彼女の下腹部を押さえてみる。
けれども中から垂れてこなければ、それはそれ、と
頭を掻いて彼女が起きてから謝ろうと決める。


「すぐに戻る。……いい夢見ててね」


彼女が着ていた彼の服も新しいものに変えてあげて
ボタンをぷちっ、ぷちっと2番目からつければ、
多分彼女も寝苦しいということにはならないはず。
彼はシャツを持って一度部屋を出て、
もう1日いることと、洗い物をする場所を教えてもらった。



[――…あれから、どれくらいの年月が流れたのか。
今となっては最早、嘗ての自分を思い出すことも難しい。


永い永い時間、己の存在を糧に生まれてきた世界の外で
己は存在し続けた。
そのあいだ、幾度となく声が我が許へ届いた。

それは世界を呪う声。
悲しみや怒り、絶望。
世界の内にいるものには届くことも響くこともない、
そんな微かな声が我が許に届くたび。
我は此の地へと姿を現した。]



「大好き。これを毎日言うことができるなんて、
 俺はとても幸せものだ。これからも頑張って、
 ……独り言はここまでにしよう。」


汗を吸っているような彼女が着ていた服を
洗う前に一瞬嗅ぎ、ふっと笑みを浮かべて
手洗いをすることにした。
本当は1回くらい袖を通しても怒られないかと
考えたけれども、彼女に多分色々と言われてしまうと
思ったので、何もせずに、匂いを嗅いだだけは許されたい。
部屋に戻ったら魔法ですぐに乾燥させ、
彼女が眠っているベッドの中に彼も戻ることにした。





「愛してるよ、ミン。
 また起きたら、食事にでも行こう。
 …………ふぁ、…気持ちよく眠れる…」


彼女を抱きしめて、ふにっと唇を頬に当てて。
彼女同様落ち着いたのか、
瞼が落ちてきて微睡みに沈んでいく。
旅はこういうことがあってもいいと思っているから
彼女も怒らないであろうし、
これもひとつの思い出と思えば、大丈夫。
まだまだ2人だけの時間が続くと夢見て。**



[特段、我自身が世界を滅ぼしたいわけではない。
否、我自身はこの世界のことなどどうでもよかったのだ。


それでも、我が許へ聞こえてくる声を
…暗闇の中、聞こえてきた小さな囁きを、
誰にも顧みられることのない嘆きを
捨ておくこと等、できなくて。
我はその度、その声の主に寄り添おうとして、
そしてそのたび、光に阻まれ続けてきた。


この世界を継続させようという、光の女神と、
より強い人の子の意志に、我は何度も退くこととなった。]

[数多の人間が、我にさまざまな破滅を望んだ。

我に知性を求めず、
ただただ純粋に破壊のみを求める者も居れば
恋人や失くした己の子の変わり、
都合の良い存在として己を求めてくる者もいた。

我に知性や意志など求められることはあまりなかった。
そもそも人の子は災厄に自我を求めたりなどしない。
だから、自分は他者に求められるまま、
己の在り方を変え続けた。
声も口調も人格も、己を呼ぶものの望むままに。

だから―――…あの娘は、
我にとっては何もかもが初めての存在だった]

[娘は破滅を望まなかったが、
代わりに、我には望まれた役割があった。

娘の『友達』になれという願い。
知識として知ってはいても、具体的なところは我自身、
理解の及ばぬ概念であった。

だから、学ぼうとした。
書物から、娘自身の言葉から。
破滅を望まない、この世界にとっては
より多くの命が何を考え、求めるものか
我は、それが知りたかった。

そして娘にも此方から言葉をかけた。
己の物語を、己自身の選択を大切にしろと。

たとえ、この世界の誰に省みられることがなくても、
我にとっては、我を喚び寄せたその声のほうが
その想いこそが重要だったのだから。]

[そして、娘と共に在るようになって、
人の子の在り方を学ぶうちに。
我の心には次第に迷いが生まれてきた。

我は愛など知らない。

もし、娘が求めるものが他のなにかであったなら
我は何と引き換えてでも、娘の願いを叶えようとしただろう。

だが、我は愛など知らない。
愛した記憶も、愛された記憶もない。
そも、己自身が他に愛されるような、そんな存在ではないだろう。
娘の願いは叶えたいが、己にそれを果たすことができるとは思い難い。

この世界を破滅させることには何の感情も湧かないのに
ただひとりの娘に幸せを与える方法には散々思い悩む。
こんなことは、初めてだった。]

[―――結局、我はまた、
何もできなかったということだろう。
嘗て我をあの世界に喚び寄せた者たちに、
何もしてやれなかったのと、同じように。

……。

暗闇のなか、こうして思い出すのは。
初めて娘と出逢ったときの涙と、
我があの世界から消失する直前の、
あの泣き顔ばかりであるのだから]*

―― ――

 ……ここ、は。

[ 彼を追いかけて空へと落ちた、
 その先にあったのは何もない真っ暗な場所。

 上下左右の感覚もない。
 眼を閉じても開けても、見える景色は何も変わらない。]


(……ああ)


[此処が、彼の居た世界なんだ。]

[まだ小さな頃、貴方を想って泣いたことを思い出す

あのとき思い描いた暗闇よりもずっと、
此処は暗くて、広くて、寒い。
わたし自身の存在すら、曖昧に消えてしまいそうだけど。 ]


 ……。


 アルカード。
 聞こえているのでしょう?


[ 目の前の暗闇に、声を響かせる。

 わたしたちの生きる世界が生まれる前、
 その前に存在した闇こそが彼であるならば
 今、わたしの目の前にある闇の世界はきっと彼そのもの。

 だから、きっと、わたしの声も聞こえているはず。
 わたしの存在も、わかるはず。 ]

[ ぎゅ、と胸の前で祈るように両手を重ねる。
 目の前のあまりにも巨大な暗闇に、
 怖い気持ちがない訳じゃない。

 でも、それよりも、
 ……貴方がわたしの前からいなくなるほうが
 もっとずっと、恐ろしくて、悲しい。
 世界の外、この闇の中に貴方を一人でいさせるほうが
 わたしは、嫌だ。 ]


 わたし、貴方に謝らなければならないことがあるの。

 ゆうべのわたしの話に
 貴方からのお返事を、わたし、まだ聞いていません。


[ あのときは、気恥ずかしさが半分。
 残りの半分は、拒絶されたらどうしようと
 そんな不安から、貴方の返事を聞かないままでいた。

 そのくせ、きっと大丈夫だろうなんて
 心のどこかで貴方の優しさに甘えていた。 ]



 ねぇ、アルカード。
 初めて出逢った頃、貴方はわたしに言いましたよね。

 大切なことは、わたしが選ぶか選ばないかだと、
 わたし自身の物語に、貴方が必要か否かと。


[ 何も見えない暗闇に、そっと両手を伸ばす。
 わたしは此処にいると、そう示すように。]


 わたしの物語には、貴方が必要です。


 此処に来る前、
 「幸せになれ」と貴方に言われました
 でもね、貴方がいない世界で、
 わたしが幸せになれるなんて思えない。


[ たとえ、誰に人並みの幸福を説かれたとしても
 きっとこの気持ちは変わらないし、譲れない。
 たとえそれが、貴方であっても。 ]
 
 
 どうか、わたしの幸福を決めつけないで。

[ それから、すぅ、と深呼吸をひとつ。 ]


 わたしは、貴方に傍にいてほしい。
 貴方と一緒に、生きていきたい。

 わたしが幸せでいるためには、
 貴方が必要なんです。
 そして、何より。

 ……わたしが、貴方を幸せにしたいんです。
 貴方を、愛しているから。

[ だから、]
 
 
 貴方にもう一度会いたいです、アルカード。

 貴方に触れて、貴方と共に生きていたい。
 貴方と、命も愛も全てを分かち合いたい。


[ どうか、この願いを叶えてほしいと、
 差し伸べた手を強く、握りしめた。 ]**



[ ふたりしかいない、
 ふたりきりの場所で
 ふたりだけの誓いを交わす ]


 私も愛してる。
 何があっても ――潮音の側にいる。


[ もう1人きりでかなしい思いはさせない。
 幸せな花嫁は微笑む。
 
 しあわせだよ ]



[ 青い炎は揺らめいた。
 気づいてくれた? ……なんて
 本人が変化に気づくのは ――もう少し先の話?
 今はきっと目の前の 潮音に自ら魅了されている。 


 白い無垢なドレスは足元で
 あなたの色に
めてと 誘う ]

 



[ おそれと、きたいと
  贅沢だなって褒めてもらって
  今から何があるのかな、……こわい。
  うれしい、しあわせ、

 

  
  わたしだけ。 ―流歌だけの
  潮音でいて、と願いながら 

  
  ちろ、と赤い舌を出したら



  ゆらめく陽の灼きつくすような 光。
  きれい     きれい       ああ ]


 

 


  ……ひ!あっ!ひおん、ひお……



[ 痛くてしかたない、でも
  その瞳にとらえてもらえるなら 私
  何度だって 名前を呼ぶ。

  そのせいで血がさらに溢れることも厭わない。
  涙を流しながら、    ただひとりだけを。 



  その瞳に潮音自ら刻む文字が映るようなことがあれば
  私は幸せ過ぎて、また死んじゃったかもしれない。

  ……絶え絶えになりながら、痛みに泣き叫びながら、
  ドレスをあなたに作り変えられた色で染めながら


  ゆびさき、私から流れる血の色をすくって
  潮音の頬をなぞる ]

 




 
Luca








 貴方を捕らえ離さない罪の名を。 **


**

 
[ひおん、と呼んでくれるたびに
 かわいい舌が裂けて
 僕の口腔内、美酒が溢れる。

 ああ、もう────、
 そんな事をしたら
 痛みが増すだろうに、……愛おしい子。

 止めるどころかそのいじらしさに感けて
 舐って、啜って、尖りのある喉を動かし続けた。

 美味しいね。かわいい。良い子だよ。

 青を映す瞳に込めて伝えながら。]
 

 

  ……ン、……ふふっ……あはは!


[頬の上を滑る指の動きで
 記された文字を察した。

 それは罪であり唯一の赦しだった。
 差し込むことを望む一条きりの光。

 悪魔を受け入れてくれる告解室など
 この世の何処にもありはしないのだから。]
 

 

  っぷ、は……嗚呼、もォ……
  かわいすぎてどうしよう……


[貫いていた牙を抜き、口を離せば、
 溢れる血が惜しく舌舐めずりをして飲み込んだ。

 羽毛のような優しさで包んで
 誰より何より大切にしたいのにさ。
 意地悪な僕がだいすきって
 えっちな顔で締め付けられたのまで
 思い出したら……、止まれない。

 止まらなくて良い、ってことだよなァ……?]
 

 
[右手で前を寛げて肉竿を取り出したら
 その手で左膝を抱え上げて
 とろとろと二人分の体液を溢す秘裂に
 容赦なく捩じ込んでしまう。

 立ったままだから重力が位置を固定して
 先ほどより子宮を愛してあげやすい。]


  ……あ、ハ……流歌のナカ、最っ高……
  僕を美味しくたべてね

  前でも、後ろでも……


[犯す孔は一つのみならず
 黒尾が横を通り抜けて流歌の臀部に回り込めば
 ハートの形を返したような尾の先端が
 前からあふれる滑りを纏い、慎ましい窄まりへ。

 ぺろぺろと皺を舐めて許しを乞う。]
 

 
[少しでも嫌がるようなら
 そちらの処女を奪うのは
 今度にしてあげるけど。

 尻も臍も口も眼孔も鼻も耳も尿道も……、
 流歌の孔は全部僕専用の孔だから。

 その内ぜんぶ犯し尽くしてあげるね。]
 

 
[────突き上げる。
 尻たぶと脚とを鷲掴む手の指は爪ごと喰い込み
 その細い身体には衝撃を逃す自由すら与えられない。]


  ……ッ、そう、流歌の好きなところ、だけど

  ちょっと子供っぽいところが、すきだな
  付き合ってから、潮音呼びになったけど
  たまにしーくん、って呼ぶじゃん

  あれもすき


[突くたび身体中に刻んだ傷口がぱくぱく開いて
 彼女の身体を幾重にも彩っていく。
 ああ、とてもきれいだ。
 こんな芸術存在しないね。誰にも見せてやらないけど。]
 

 
[────突き上げる。疲れを知らず只管に。
 子袋ばかり執拗に壁越しに突き続ける。
 後ろが許されていたならそれも加勢し腸壁越しに。

 なぜだろう。
 今なら叶う気がするんだ。]


  るかちゃん、て呼んでたのも
  僕はすきだったよ
  なんでやめちゃったの

  かわいかったのに、なぁ……


[僕らの子も、もしできたら絶対にかわいいよね。
 だって流歌がかわいいんだもん。]
 

 

  ……ハァ、……ふふ、
  挙げ切れる気がしないなァ

  かわいい流歌の全部がだいすきだよ……ッ


[紅に染まる唇に口づけを。

 一度だけで済みはしないだろう
 血も汗も飛び散らす種付けは
 物言わぬ十字架だけが見下ろしていた。*]
 

【人】 酒屋の息子 ヤスヒサ

―その後―

[もどかしさを味わう他ない。
力になれない申し訳なさを抱えこみ、御用聞きを重ねたある日、彼女が口にしたのは、思いがけない言葉だった。でる―――その言葉と、片付いた室内。それを見て、まず思ったのが彼女に会えなくなるのでは。

そういうことだった、けど。]

 え?

[そうだ、彼女は強い人だ。
ふんわりとした雰囲気と柔らかな優しさを持っているとともにしっかりとした大人の女性だ。自分が思うよりも自立している。だからこそ、彼女の支えでもありたいし、彼女に頼られる存在になりたい。

眼をぱちくりさせて]
(3) 2022/06/01(Wed) 20:25:34

【人】 酒屋の息子 ヤスヒサ


 その、旦那さんとは?


[今更な事を聞き。
彼女が離婚したことをしれば、ああ。と手を口に添えただろう。新しい連絡先を教えてもらい。それを見つめれば、彼女の方を見。]
(4) 2022/06/01(Wed) 20:29:53

【人】 酒屋の息子 ヤスヒサ


 はい、会いにいくっすよ。

 ……ナナミさんもいつでも連絡ください。
 配達外だけど、いつだって


[飛んでいきますから。なんて笑い。
それから、一目のつかぬ位置で彼女を抱きしめた。強い人、でもそんな彼女の心内を、柔らかな部分を知っているからこそ。微笑んで。]
(5) 2022/06/01(Wed) 20:30:11

【人】 酒屋の息子 ヤスヒサ



 引っ越し祝い配達しますね。


[すぐにでも会いに行くと。
晴れやかな顏を見せたのだった*]
(6) 2022/06/01(Wed) 20:31:22


 [ うれしい。
  しおんよろこんでくれた。

  わたしだけの潮音が嗤う姿を
  幸せそうに、うっとりした表情でみつめてる。


  カミサマにも、ほかの女の人にも
  未来の私にも過去の私にもとられたくない
  私だけの 潮音 


  名前書いて 何が悪いのかな? ]




  


[ 漸く牙から解放されて
  血と涎にまみれた口も、潮音は優しく拭ってくれる。

  それでも息はまだくるしいのに
  ふやけたあたまと身体は、潮音のかたくておおきなモノを
  簡単に飲み込むから、また痛くてしあわせで、声を漏らす。 ]


  あふ、ひおん、っ、らめぇ
  おひり、はいん、なひ


[ 嫌ならやめてくれるってつもりはあったみたい。
 嫌かそうでないかわかんない。
 だってそこは、えっちのときにする場所だなんて
 そんなのしらないよう!

 ひくひくさせて、きっとまた私は反応して締め付けた。
 

 身体はやじゃないの、きっとつたわっちゃった。


 潮音のかわいいハートは
 くりゅくりゅ、わたしのおしりのなかまで犯してしまう ]

 



 やら、くるひ、いたい、ふあ、あふ
 ひおん、うれひいよお らすけへ


[ 痛い。いたくてくるしくて、
  きもちよくてあたまおかしくなりそうなのに
  ね、わたしのすきなとこいってくれる。

  どうして潮音はそんなに、
  いっぱい、幸せ、わかんない! ]

 



 るか、らっへ
 …………しおんに、ちかづきたくて!
 あっ、あっ、はっ
 らはら、おほなに、なりたくへ、


 しおんに、好きに、なってほしくって、
 いはい、……あっ、あ、くるし、やだ


 あっ、あっひああっ

[ 痛みをこらえて、うまくつかえない舌をいじめて
 ね、がんばってそれだけは伝えたかった。

 なのに立ってるのもくるしくて、
 痛くて痛くて痛くて、
 からだが潮音でつぶれて、こすれて、
 きもちよくておかしくて、

 がまんできない悪い子は
 潮音の腕にだかれながら、勝手にイってしまったの ]
 


[ 潮音のあかちゃん、うむのかな。

  イッたせいで一瞬ふわってしたのに
  お尻にある爪のいたみと、

  内側からも犯される律動に耐えきれなくて
  再びなきごえをあげた。 ]


  しおん、しおんっ


[ くるしくていとしくて、何度も何度も。
  一度で終わるはずもなく、何度も何度もあいしてもらえる。

  ……うれしい。 


 私の全部を捧げるの。
 尻も臍も口も眼孔も鼻も耳も尿道も……、
 流歌の孔は全部潮音専用の孔だから。
 
 わたし、しあわせ 。 。 ]



[ 飢えた世界で
  貴方に似た 子を 宿すまで。

  あいしてる、あいしてる あいしてる
  ――――潮音。 ] **


 

[存外シンプルな答えを貰い、苦笑する。
なるほど。上手く答えられないというより、このまま続ければ自分の歪んだ本懐を話すことになりそうで。それが少し困る]


 そうだな。君が好きだから。

 だが、……改めて言葉にすると
 なかなか独り善がりな動機だな思う。


[常に根底にはあったけれど、当たり前過ぎて見えていなかった。もしくは理由足り得ない、と除外していたのか。
理由が何であれ、彼なら受け入れてくれる。そう思っているけれど。好意を盾にするような台詞を自分の口から吐くのは、少し躊躇われた]


 ……君の幸せはどうでも良くて、
 「好きだから」生きて私と一緒にいて欲しい。


[もっと直接的な表現で回答を補足しておく。
願うことなら私の願望が彼の幸せが同じであれば良い。
彼の双眸を見つめて、真面目なトーンで紡いだ]

[姿が見えなくなった彼を呼び戻し、気配を近くに感じ安堵して目を離せば、同じことを繰り返す。何かを試されているのか、それとも単に退屈で遊んでいるつもりなのか。聞き分けの良い返事さえ聞ければ、私も同じような注意を重ねる。

「いい加減にしろ」だとか「集中出来ないから勘弁して欲しい」とか。あえて言わなくても、理解した上で傍を離れているなら、彼にとってこれは必要な作業なんだろう。そう勝手に解釈した。ドアの鍵は掛かっている。何処にも行けやしないという慢心が、私を寛容にしているのかもしれない。

彼を呼び戻す度に、余計な物を持っていないかと目視で確認した。あとで病室の備品を確認して、なるべく物を隠しておかなければと思った。例えば刃物……メスなんて置いてあったら最悪だ、と]


 ……、……誰にとって「いい子」だったのか。
 価値観か定義のズレがある気がするな。


[返事だけはいい子の間違いじゃないか?
先程の彼を思い出し、皮肉めいた台詞が口をついて出そうになったが。どうしても危うい印象が強いだけで、私の中では彼はずっと「いい子」だ。学生時代も再会してからも、そして今も同じ]

[躊躇いこそあったが、物理的な拘束のおかげで得られた安心感は大きい。ベッドから数歩も移動できないと分かっていても、部屋を出る前と変わらない彼の姿に自然を表情が緩んだ。キスのお返しを貰い、幸福を噛み締める一方で。労うつもりが、ご褒美を与えられたかような彼の反応に。また調子が狂う心地がして、目の前のことに意識を逸らす]


 君と共有したくなるくらい、
 好きな物があれば良かったんだが……。

 ん、好き嫌いがないなら安心だ。


[無いよりはマシだろうと、野菜も入ったミックスサンドを選んだ。その手で封を開けられるだろうかと過ぎり、ちらりと横目に見たが。そういえば散々動かしていたなとも思い出した]

[右手の拘束を解いて、──手錠のもう片方は柵に括り付けたまま。どうせまた使うのだから、此方まで外す必要はない。大人しく待っていた姿を見たばかりでも、根付いた不信が揺らぐことはなく。
それどころか、二度目に対する抵抗感が無自覚に薄れていた]


 ……そうなのか?


[手錠があってもなくても、病室から出られないから大差ないのか。それとも患者を信じられない私を気遣った故の言葉か。

どちらの予想とも異なる返答に唇を結んだ。必ず戻って来ると言葉で言うのは簡単だが。昔、彼を置いていなくなった前科を思えば、不安にさせてしまうのも当然のように思えて。言葉を選んでいる間に、早口に遮られる。

明るい声や表情が今は空元気に見える。テーブルにある自分の分の食事の存在を忘れて、食事をする横顔をじっと見守る。普段と一見変わらない振る舞いだからこそ、複雑な気持ちにさせられる]


 私は君から目を離すことが怖いし、
 君は私が戻って来るかどうかが不安なら。

 ……コレに頼るのも、そんなに悪くないのかもな。


[柵から吊り下がっていた手枷を外すと、ジャラリと硬質な金属音が鳴る。玩具みたいだ、と手中で弄びながら思う]

[食事中の彼の片手を捕まえて、勝手に再び拘束する。食べ難いかもしれないが、左手でも飲み食い出来るだろう。

そうして、もう片方を私の左手に繋ごうとして──途中でやめた。代わりに銀の輪を彼に差し向けてみる]


 ……瑠威。君が付けてくれないか?


[一日中付けていられるほど鎖の長さに余裕はない。
あとで外す無意味な拘束だと分かっていても。
今はそうしたい気分だった*]

―― 転居先 ――

[今日は引っ越しして、三日め。
ようやく彼を家に呼び寄せることができた。
引っ越ししてしばらくはなんやかやで彼に会うどころではなかったのだけれど。
片付けをしたり段ボールの引き取りや家電の取り付け作業の手配などで人を呼べるような家ではなかったから。
彼なら手伝いますよ、と言ってくれただろうけれど、それにはしのびないと思ったというより―――。


 どうしてもやりたいことがあっただけ]



 もう、来るかしら……。


[自分はこうして泰尚を待っている時が一番楽しいかもしれない。
彼のことだけを考え、彼を喜ばせることだけを考え。

今日は特別メニューで彼をもてなしたいと思ってるけど……気に入ってくれればいいけれど。
 
 そうこう考えていたら、聞きなれないバイクの排気音がした。
 きっと彼が来たのだろう。
 今までは駐輪場と家までの距離がありすぎて、彼のバイクを見たことがなかったし、バイクに乗る姿も見たことがなかった。
 いつかバイクに乗るためのスーツもプレゼントしようか、と考えていたら、チャイムが鳴った。

 立ち上がると、いつものように鏡の前の自分を確認するように見つめ、1つ微笑んでから玄関に急ぐ。

 そして、ドアを開いた]

 いらっしゃい。


 ううん、お帰りなさい、かしら?


[塀の内側にあるこの玄関は、外から覗こうとしてもわからない。
だからこそできるのだ。

 白いたっぷりしたフリルのついたエプロン。その下は素肌だけだ。
 久しぶりの彼に自分から抱き着くと、彼が前に準備をしてくれたものと同じピンクのローターを出してきて握らせた]


 
 遅くなってごめんね?
 ちゃんとやりなおしましょう。


[彼からしたらなんのことだかわからないかもしれない。
あの時に、彼が後悔だけで終わってしまったあの日のことがずっと気になっていた。
本当は、ちょっとああいう風に強引なことをされるのが好きというか、されたいというか。
 男らしい彼も恰好よくて好きだったので。

 こんな風に誘いかける自分を淫乱だと彼は思うかもしれないけど―――。

 エプロンでかろうじて隠れている、零れ落ちそうな乳房をぷるん、と揺らして胸元を強調するようにして、彼を下から覗き込んだ]


 泰尚くんが好きなこと、いっぱいしてあげるから。


[人目も声も、自分の戸籍もしがらみもようやく気にしなくて済む場所にこれたのだ。
その解放感だけでも、自然と笑顔になってしまう]

[呼ばれたのは彼女が引越してから三日後のこと。
声をかけてくれたのなら、手伝ったのに。と少し不満にも思うが彼女にも秘密があるのだろう。彼女から連絡を受け、向かう足取りはしっかりしたもので、何時も使うバイクに乗って、向かった先は知らぬ場所で。

御用聞きをしていたときは、二川屋ですと言っていたが、今は、こんにちは。とナナミさん。を呼び。

彼女が出てくるのを待った。
緊張の瞬間である]


 ………ナナミさん?


[出迎えてくれる彼女の姿が
緊張よりも驚きをもたらした。白いエプロン。それもフリルが付いている。それだけなら料理の途中だったのだろうと思えた。ナナミさんかわいいなあ。とそんな気持ちで、見ただろう。けど、その下にあるはずの衣類はなく。]



 ……良いんっすか?
 俺、きっと我慢できないっすよ。


[抱き着いた彼女が握らせたのはピンク色のルーターで、こぼれんばかりの乳房を強調した彼女を抱きとめ。笑顔の彼女をのぞき込み、こつんと額と額を合わせ。
笑う彼女をじっと見つめれば、一度瞬き。]

【人】 甲矢 潮音

 
[────ざあ、ざあ……]
 
(7) 2022/06/01(Wed) 23:45:45

【人】 甲矢 潮音

 
[真っ直ぐに伸びた水平線。
 遊び疲れてもたれ掛かるように寝てしまった子を
 柔らかく細めた眼差しが見下ろしてる。]


  
…………流歌、



[起こさないよう小さな声で呼んで
 子の頭上、最も大切なひとと秘密のキスをする。

 ……別に隠さなくたって良いのだけど、
 見られると最近ママは僕のだってうるさいから。

 まったく誰に似たんだか。
 
お前のじゃない、僕のだぞ。

 
(8) 2022/06/01(Wed) 23:46:41

【人】 甲矢 潮音

 
[一つの場所に長くは留まれないけれど
 さした問題にはならないだろう。

 どの時代にも存在する。
 何処へでも行こう、ふたりと、……ひとり?
 何人いてもいい。


   愛してる、愛してる 愛してる。
   ────流歌。
   きみさえいれば、そこが楽園だから。** ]
 
(9) 2022/06/01(Wed) 23:48:21
[ 正解ではあるが正論ではないらしい。
 たしかに道理には外れた行為だ。
 好きだからといって強要すべきではない。
 
 けれどそれを相手が望んでいるのなら
 それで問題ないと思うけれど。
 望んでいることが伝わっていないわけではないだろうに。

 俺が従順なふりをして逃げ出す機会を伺ってるとか
 そういう疑いを彼が持っているようには見えないと思う。
 俺もこの状況を望んでいることは伝わっているはずだ。
 ……男に抱かれて散々感じて善がってみせてまで
 そこを疑われているとは考えたくないとも言うが。 ]
 

 どうでもいいの?
 俺は幸せじゃないと「うっかり」しちゃうのに?

 どうせへたくそなんだから
 無理に悪者になろうとしなくていいのに。
 どうせなら幸せにする方に無理してよ。

 例えば……そうだな、
 幸せにするから一緒に生きて欲しい。
 くらい言えたら、及第点かなぁ。

 

[ 『どうでもいい』ならば
 好きな相手をわざわざ不幸にしたいとか
 そういう特殊な性癖でもないだろう。

 嫌われる覚悟で攫ってくるくらいに
 嫌われたままでも構わず囲おうとするくらいに
 俺を好きなら、俺が幸せな方がいいだろうに。

 そこを言葉にすればいいのに馬鹿みたいに不器用なのが
 彼らしくて、愛おしく思えてしまう。

 どうしようかな、赤点の告白だけど。
 それが彼らしさであり愛おしさを感じてしまうなら
 俺にとっては満点の告白なのかもしれないと思い直す。

 そもそも告白でもなんでもなくただの補足なのだけれど
 余りにも真剣に見えたから、
 そう聞こえても仕方あるまい。 ]



 俺は、誠丞さんの幸せはどうでも良くないから。

 誠丞さんがそれで幸せなら、……いいよ。
 俺も誠丞さんが「好きだから」。


[ ちょっと照れくさいけれど目を逸らさずに受け止めて
 真面目な声で答える。

 なにやってんだろう、こんな状況で。
 いい大人が二人揃って。
 けどこんな状況にならなければ
 お互い言葉に出来なかったのも事実だから、
 思うだけで、何も言えない。 ]

[ 刃物なんか見つけたって、どうせ死ねやしない。
 正気でなくとも縫い合わせれば問題ない程度だった。

 なのに未だ彼が刃物に怯えているとは知らないから
 何も持って戻らないことを確認されていると気付いた時点で
 何か持ってもどるべきか少し考えたけれど
 興味を惹かれるものはこれといって見当たらなかった。
 無論自分のではなく、彼の、だ。
 彼が何に興味を惹かれるか見当がつかなかったせいもある。

 従いはするが止めず繰り返したことを指摘するような
 少し険のある言葉に、思わず笑う。
 どうやら彼にとっては「いい子」ではなかったらしい。

 そりゃそうだ。彼の前でだけは素の自分でいられたから。
 生意気で可愛げのない子供だった自覚は、ある。
 今も過去も、それを全部許したのはあなただけだった。
 今も過去も、それを全部曝け出せるのはあなただけだ。 ]


 ……「いい子」じゃない俺はきらい?


[ なんとも幼稚でひどく馬鹿げた問いかけだった。
 自覚はあったけれど、許されたくて、受け入れられたくて
 せめて目一杯可愛い子ぶっておこうと
 可愛い女の子がやれば可愛らしく見えそうな
 あざとい所作を試みる。
 自分で笑いそうになった。耐えた。 ]

[ どこにでもありそうなサンドイッチを裏返す。
 ラベルに書かれた製造者で地域が特定できるかと思って。
 遠く移動しているのか、
 案外近い場所なのかに興味はあった。

 俺から離れれば彼はすぐにでも元の生活に戻れるのか
 冷蔵庫の中とか生ゴミとかちゃんと片付けてきてるのかな。
 割と突発的だった気がするので少しだけ気懸りで。

 好きなものがないなら今からでも俺のために探してきなよ。
 そう言いたいのに、今はまだまだ言えない。
 その距離はまだ少しだけ怖くて。

 これから先いつまでになるかはわからない入院期間を
 四六時中一緒にも居られないだろうから
 いずれはそうなるだろうことはわかっている。

 けれど今はまだ考えたくなくて、頭の端に追いやった。 ]

[ ほんの少し溢した本音は、案外あっさり許容された。
 ほっとして、何故だか泣き出したくなって
 ごまかすためにサンドイッチにかぶりつく。

 相変わらず味はよくわからないし
 よくわからないせいで気持ち悪くて吐きそうだけど
 何故だか美味しい気がしてくるから単純なものだ。

 手錠で遊ぶばかりで一緒の食事を始める気のない彼の口に
 食べ掛けの齧ってない反対側の鋭角を差し出せば
 その手が捕まりもう一度拘束される。

 何を始めたのかと思うだけで
 これといって抵抗は見せず見守っていれば
 ベッドの手摺ではなく
 今度は彼自身と繋ごうとしているのが見えた。

 それはいい。お互い絶対に離れられない。
 そう思うのに、そうじゃないのに、と思って…… ]



 えぇ……どうせ手に金属嵌めるなら
 もっとロマンティックなのがよかったなぁ。


[ 俺の手で拘束して欲しいという。
 言っていることはわかる。
 俺だってそうされたいと願うからこそ
 拒まず受け入れているのだから。

 つながる先の右手で受け取って、
 自由な左手で彼の手をとって望むままに左手に……


 付けようとするふりこそしたが指示通りにはせず
 にんまり悪戯っ子の笑みで笑って
 彼のではなく自分の左手に拘束を。

 ささやかな金属音で左右の手首が繋がった。
 仏頂面を顰めるくらいはするだろうかと
 彼の顔色を伺って反抗の代償の気配を探った。 ]

[ そうじゃないと彼が指摘しだす前に
 座る彼の膝を、よいしょと跨いで
 繋がった両手の間に彼の頭を通した。

 金属の玩具でもロマンティックかどうかは定かではない
 指に嵌めるやつでもなくて
 両腕と、体重を以て彼を拘束する。

 距離が近くなったついでに、ご機嫌取りも兼ねて
 ちゅ、と可愛らしい音を立てて唇を啄んで
 じゃれつくように鼻先を彼の鼻梁に擦りつけた。 ]


 うん、こっちのほうがいいや。
 直接繋ぐより、動けないでしょう?
 これなら誠丞さんはどこにもいけないし
 俺から目を離し様もないよね。

 ふふ、けどちょっと、流石に……
 このまま食事を続けるのは、馬鹿みたいだねぇ。


[ けどまぁいいか、馬鹿でも。
 もう外面よく優秀でいる必要もなければ
 今は他に誰の目もなのだいし。

 多分俺には馬鹿になるのが必要だ。
 きっと真面目すぎる彼にも。
 馬鹿みたいにいちゃついて馬鹿みたいに幸せでいれば
 不安でいる必要性も忘れてしまえるかもしれない。 ]



 たしかに今はまだ、不安だけど。
 こんなのに頼らなくても……
 ちゃんと信じられるようになるから。
 なりたいんだ。誠丞さんのこと、信じられるように。

 なれるまで、一緒にいてくれるんでしょう……?


[ 疑問でも確認でもない断定させるための​、
 してくれると信じきって甘えた語尾で、問う。

 けれど返事なんてどうせ決まっているとばかりに
 返事を待たずに 食事の続きを強請る為に
 雛鳥みたいな態度で口を開けた。

 強請ったのは勿論食事の続き、サンドイッチだ。
 なのに距離感のせいでサンドイッチでなく
 口付けを強請ったみたいに見えてしまったかもしれない。

 そうなるかな、とは思ったけれど
 どちらかといえばそっちの方が欲しかったので、
 勘違いすればいいのに、なんてささやかな悪巧みを。* ]

[彼の言葉の方がよほど正論らしく聞こえ、得も言われぬばつの悪さを感じる。

「どうでもいい」なんて、一度も思ったことはない。けれど意思も自由も蔑ろにしてしまうなら、結果だけ見れば「どうでもいい」のと同じだ。

……なんて、そう思いたいだけで実際は違う。分かってはいる。道理から外れた自分の選択に、彼を巻き込んだことにしたかった]


 ここに来る前は、私が君を幸せに出来る未来が
 どうしても思い描けなかったから……、


[ただでさえ赤点の答案を、減点されかねない言い訳を小さく零した]

[真っ直ぐに向けられる瞳から目を離せず、流しきれなかった気恥ずかしさを口元に浮かべた。彼の紡ぐ「好き」が口先だけの台詞ではないと、身を以て知っている]


 人の道を外れたら幸せにはなれない。
 昔よく言われたけれど、
 私がそう思う限り、君も幸せになれないのは嫌だ。

 ……一緒に生きて、私と幸せになって欲しい。


[及第点を貰いたい気持ちはあるが、表現がやや控えめになった告白をやり直す]


 どうでもいいは撤回させてくれ。
 「うっかり」されるのは、……心配だからな。


[冗談の軽さで聞こえるよう声色に気をつける。本当にそうなったら、自分が何をしでかすか分からないのが怖かった]

[たとえ致命傷にならなくても、好きな相手が自傷しているところを見るのは御免だ。彼が私を好きでいてくれる限りは、きっと置き去りにすることはないだろうと思ってはいる。頭で理解していても発作的に不安になるだけで。

彼の振る舞いに心を乱されている分、大人げない言い回しになってしまった。笑い出した彼に、じとりと不満げな視線を向けてみせたけれど]


 好きだよ。どんな君でも。


[どれだけ悪戯を仕掛けられようとも、彼が「いい子」だと信じ切った上で。迷わずにそう答えた。可愛らしい仕草につられて彼の頭を撫でて]


 「いい子」でいてくれたらもっと好きになる。

 ……と、言いたいところだけど、
 君に我儘を言われるのは嫌いじゃないんだ。


[私にだけ見せる彼の一面に、特別を見出していた学生時代を思い出す。男がするには違和感のある所作でも、かわいいという感想に落ち着くのは、惚れているから余計にそう見えるのだ]

[包装紙に貼られたラベルに製造元が記載されていても、そのまま貼り付けておいた。成分表示しか記載されていない可能性もある。初めて此処に来た時の私なら気にかけて排除しただろうが。別に知られても構わないと思った。あえて隠すのも何となく気が引けて。

目の前に差し出されたサンドイッチより、手首の方に興味が向く。好機とばかりにその手を取った]


 左手の薬指に嵌めるには、かなり大きいな。


[愛を誓うには物騒で重い銀の輪。
私ばかり彼を束縛している。彼にも私を縛る権利があり、そうすることで少しは不安が解消されるのではないかと。短絡的な思考で片方を彼に託した。

悪戯めいた笑みを浮かべた彼が、思惑通りに行動しないと察知しても、その笑顔に魅入っている。不自由になった彼の両手に、ぱちりと瞬いて視界を洗う。

繋がれなかった自分の片手を降ろすが、彼の行動を反抗と捉えるより驚きの方が勝って。膝の上に乗られ反射的に動いたものの、気づけば彼の腕の輪に拘束されていた。物は試しに身動ぎをして、どれぐらい動けないのか試すが。すぐに戯れつく彼に意識が引き寄せられた]


 すごいな、……手錠より窮屈かもしれない。

 
[訳が分からない体勢がおかしくて、くつくつと堪え切れず笑う]

[──彼の言葉に頭を殴られたような衝撃を受ける。
「こんなもの」で一時的な安心を得て、そして抵抗無く受け入れ始めていた私とは大違いだと。
それがショックであり、同時に懐かしい感覚になる。彼に希望を見出した昔を思い出して。心臓が期待するように駆け足になり、視界を占める彼の口元しか目に入らない。他に何か餌付けるべきものがあったとしても、それらを差し置いて眼前の唇に噛み付くように口付ける。彼の断定に応える前に。

食事もだが、こんな格好でキスをしている光景もなかなか馬鹿みたいだと頭の片隅で思う。食事の代わりに味のしない唾液を口移して、今更思い出した空腹を彼で解消する]


 っ、……はは。もちろん。
 君が私を信じられるまで。
 どれだけ時間がかかっても、此処から出た後もだ。

 私も、君を信じられるよう努力する。
 いつかは此処から出られるように……、

 ……だけど、信じたいけど信じられなくて
 それで疲れてしまうくらいなら別にやめても良い。


[希望的観測に過ぎなくても、前向きな言葉だけ並べておくべきだと思う一方で。一番大事なものを蔑ろにしてはいけないとも考える]

 
 どんな瑠威でも好きだよ。


[食事よりも彼を食べたくなったが、あまり自由の利かない両腕を回して抱き締める。プラトニックめいた台詞を囁き、彼の唇に口付けて。誓いを立てる*]



 ―――…。


[暗闇の中、我を喚ぶ声がした


それだけで、十分だった。
いつだって、我は娘の光を見失ったこと等ないのだから。
初めてまみえたあの夜から、ずっと。]



 ……。


[虚空へと差し出された娘の両手に
己の手を重ねるようにして、その姿を現す。]


 娘よ……本気で、言っているのか?


 たとえ、光の魔力を持っていたとしても
 お前は、まぎれもなく人の子だ。

 他者から愛される資格も、幸せになる資格もある。
 それを、むざむざ捨てるというのか?

[不意に、握りしめた掌に実体が宿る。
懐かしい声、懐かしい姿に、よかったと安堵を覚えるのと同時に]


 アウローラ、です。


[ 間髪入れず答える。
 貴方に、そう呼んでほしいから。 ]


 ……さっきも、言いましたよね?
 わたしの幸せを決めつけないでほしいと


[ それでは、マティルダと同じ。
 わたしの意志や願いを無視して、
 選択の余地すら与えてくれないのと同じ。]


 ……それに。
 

[ 重ねていた手を離すと、その両手を彼の頬へと伸ばす。

 触れた白皙からは、
 いつも感じていたひやりとした感覚はなく、
 ほんの微かな熱を感じるばかり。

 そして、それは彼のほうも同じはず。]



 大切な人に、触れられないのは寂しいから。
 貴方に触れても、貴方を抱きしめても、
 傷つけることのないわたしになりたいんです。


[ それが、わたしの選択。
 貴方と共に生きていきたい、わたしの願い。 ]

[ それから、もう一つ。 ]


 ゆうべのお返事、聞かせてもらっていいですか?


[これから先も、ずっと傍にいてほしい。
ううん、わたしが傍にいたい。

たとえ光差すことのない暗闇の世界でだって、
貴方と一緒ならわたしは何も怖くない。
何も恐れはしない。
彼の頬に両手を添えたまま、その赤い双眸をじ、と見つめ返す。]


 ……アルカードは、嫌、ですか?
 そうであるならば、無理強いはできません。

 先に言った通り、わたしは、貴方を幸せにしたいから、
 わたしの考えを押しつけることは、
 本意ではないんです。

[―――…。]
 
 
 ……莫迦だな、お前は。
 今更、名前な、ど……。


[言いかけて、口を噤んだのは。
以前、彼女に勧められて読んだ絵本の1フレーズ


―――…ぼくがずっとほしかったのは名前じゃない、
名前を呼んでくれる人なんだ、と。


名前など、自分にはなかった。
だから、どんな呼ばれ方をしても気にならなかった。

それでも、この娘にアルカード、と。
仮の名であるはずのそれを呼ばれるたび、
不思議とあたたかかったことを思い出す。]

[ため息を一つ吐くと、瞳を閉じて。
頬に添えられた手を軽く揺すって離すように促す。]


 ……アウローラ。


[名前を呼ぶのは、これで二回目か。
娘の肩に手を回して引き寄せると、唇を重ねた。
掌越しではない、はじめての口づけ。 ]



 ―――…これが、我が返答だ。


[伝われ。]

[引き寄せられ、抱きしめてくる彼の身体には
確かに温もりがあって]


 …えへへ。ありがとう、ございます…。


[自分でも、しまらないなって思う。

でも、うれしい。
うれしくて、あたたかい。

彼に出逢う前の悲しさが、思い出せないくらいに。]*

【人】 乙守 流歌




これは、とある幸せな"魂"のおはなし。
(10) 2022/06/02(Thu) 7:45:44

【人】 乙守 流歌


[ やがてそれは新たな名を受けました。 ]


  こんにちはっ
  お隣に越してきました、甲矢と申します。
  これ おいしいので皆様でめしあがってくださいね。

  ……そうなんですっ!
  実はもうすぐ生まれる予定で。

  ……あ!かえってきた。
  こちら私の夫です。

  夫婦共々どうぞよろしくお願いいたしますね。


[ そして、時は流れます。 ]
(11) 2022/06/02(Thu) 7:47:22

【人】 乙守 流歌



[────ざあ、ざあ……]


 
(12) 2022/06/02(Thu) 7:47:44

【人】 乙守 流歌




 ねえ、しーくん
 覚えてる?

 あの子が起きないようにって、小声で
 キスしてくれたこと。

 本当にあの子は、私に似てヤキモチやきで
 困っちゃったよね。
 

[ 皺を深めた指先に光る指輪を、
  愛する人の手に重ねて、微笑み合う。

  しわくちゃだけど、とても幸せな顔。 ]

 
 
(13) 2022/06/02(Thu) 7:48:21

【人】 乙守 流歌



 私、幸せだったよ。


 潮音にあえて。
 本当に幸せな人生だった。



[ 約束したものね。
 幸せなおばあちゃんになるって。
 海の音を聴きながら、波の歌をうたう。


 流歌も上手でしょ?
 くすくす、笑うのです。


 幸せな人生でした。
 甲矢流歌となってからは、たくさんの愛につつまれて
 かこまれて


 わたしは 本当に 幸せでした。 ]

 
(14) 2022/06/02(Thu) 7:50:11

【人】 乙守 流歌




[ ――終わりの訪れることのない、
 永遠の牢獄に閉ざされたふたり。 ]



 もう、ここにはいられないね。
 ……気に入ってたんだけどな。



[ 立ち上がってまた、手を取る姿は
 潮音が好きって言ってくれるころの私かもしれない。 ]

 
 
(15) 2022/06/02(Thu) 7:58:49

【人】 乙守 流歌





 ―――いこっか。




[ ふたり手を繋ぐ。
  あいだにはあの子達もいるかもしれないね。


   愛してる、愛してる 愛してる。
   ────潮音。
   潮音さえいれば、そこが楽園にかわるから** ]
(16) 2022/06/02(Thu) 8:01:54

【人】 甲矢 潮音

 

  甲矢です
  妻と新しい命共々宜しくお願いしますね


[肩を抱いて完璧な笑顔で牽制するのを忘れない。
 若い夫婦だからって舐めさせないから。
 黒が好きだけど仕事は白く定時で帰ってべったり。
 おなかのなかで24時間一緒なの羨ましい……、は、
 流石に変態すぎるから黙っといた。]
 
(17) 2022/06/02(Thu) 8:44:12

【人】 甲矢 潮音

 
[直線が望む砂浜にきれいな歌声が響く。]
 
(18) 2022/06/02(Thu) 8:44:20

【人】 甲矢 潮音

 
[僕もヤキモチやきというのを隠すのは
 男の意地みたいなもので。

 ……全く隠しきれてない人生だったかな?
 でも、良い人生だったのに違いない。]


  それはね、流歌に出逢えた僕こそだよ


[お互い負けず嫌いみたいに
 愛して、愛されて、 しあわせだ。]
 
(19) 2022/06/02(Thu) 8:44:43

【人】 甲矢 潮音

 

  ────うん


[立ち上がって手を握る。
 その姿はどんなものだったか。

 何歳の流歌でもいい。
 好きじゃないときはなくて

 るかちゃんも
 大人になってく流歌も
 奥さんな流歌も
 しわくちゃな流歌だって

 誰よりきれいでかわいくて
 毎日欠かさずそう伝えてたし、これからも。]
 
(20) 2022/06/02(Thu) 8:47:35

【人】 甲矢 潮音

 
[また新しく、は勿論良い。
 別の制服着てる流歌も絶対かわいいから。

 このままの姿、どこかの島を頂戴して
 歌声すら独り占めして
 仙人か魔女が住んでる なんて
 しばらく噂されてみるのも良いかも知れない。

 討伐しにきた勇気ある誰かに
 魔王として倒されたふりしてみるのも

 ……いや、うそ、そんなことより
 流歌をかわいがりたいかな。]
 
(21) 2022/06/02(Thu) 8:49:08

【人】 甲矢 潮音

 
[愛するための時間は幾らあっても足りないよ。**]
 
(22) 2022/06/02(Thu) 8:49:21

 んー……俺の理解している限りでは
 「治療の為に転院した」だけ、じゃなかった?

 人の道なんて外れてないし
 何も問題なくない?
 だからさ……


 俺は誠丞さんと一緒にいられるだけで割と既に幸せだけど
 それじゃ満足できなるかもしれないし
 先のことはわからないけど、努力するよ。

 同性愛なんてまだ……
 世間には受け入れられないことも多いだろうし
 俺は身体的なハンデはあるし
 なんなら無職なのに今は家事も出来ない役立たずだけど。 

 ………俺でよければ、喜んで。


[ やり直しの告白には及第点を超えた満点の笑顔を。
 我ながらなかなかの不良債権で
 彼を幸せに出来るなんてこっちだって思えない。

 けど努力を積み重ねる事は得意なんだ。知ってるでしょ?
 彼も一緒に努力してくれるのなら
 きっと大丈夫だって
 何時になく楽観的に前向きなことを考える。 ]

[ 彼の生徒だったあの日語って魅せた
 パフォーマンスの夢の話よりも
 今の方が余程夢みたいな話だとは思う。
 努力って何を如何?とか
 漠然としすぎていて具体性がゼロだし。

 けれど、ふわふわの曖昧な夢を語るのは
 誰もが納得出来る根拠に基づいた手順で固めた
 誰もが思い描く理想を謳ったあの頃よりずっと楽しかった。

 今度こそ、本当にそうなりたいと心から思える
 はじめて俺自身で描いた目標だったから。 ]

[ あざといぶりっこな所作はあっさり受け入れられて
 それはそれで計算通りだけど羞恥は加速し
 意味もなく叫びだしたい気分になる。耐えるけど。

 頭を撫でて触れてくれる手も今は嬉しいよりも
 どうしても気恥ずかしいが優って
 今までみたいに擦り寄ることもできない。 ]


 せんせぇーはさ、おれのこと、なんでもゆるしすぎだよ。


[ あの頃からそうだったから。
 ついあの頃の呼び名に戻る。

 じとりとした視線を向けるのは今度はこちらの番で
 けれど不機嫌はポーズだけで照れが滲むばかりなその視線に
 彼を責める強さはない ]

[ 別段媚びようと努力したわけでもないのに
 本心から、可愛い子ぶってるみたいな台詞が溢れた。

 遅れてふと自分で気付いて。
 恥ずかしさに襲われる。耐えた。

 ……と思ったが今度は耐え切れなかったので。
 普通に、あああああ゙!!!とか癇癪を起こしたみたいに
 かき消す為の唐突で無意味な声を上げてひとり悶えた。 ]

[ 彼が派手に暴れれば、傷口にも触れる金属が擦れ
 痛みを訴えることになっただろうけれど
 控えめな確認のおかげでその手間も省けた。

 幾らでも抵抗できる拘束に律儀に囚われる彼に
 満足気な笑みを浮かべて返した唇を
 望んだ通りに彼の唇にたべられた。

 甘ったるい口付けに、彼に移って、唾液に溶けて戻ってきた
 サンドイッチの塩味を僅かに感じて
 その色気のなさが、何故だか
 この行為が特別なものなんかじゃなく
 日常の延長のように思えてきて、嬉しくて、胸が熱くなる。 ]


 誠丞さんも、疲れたら休んでいいからね。
 だいじょうぶ、挫折しても何度だってやり直せるから。
 生きてる限りは、何度でも。

 だから、一緒に頑張ろうね。


[ とりあえず今はまだ繋いどいていいから
 手始めに冷蔵庫とか整理してきなよ。
 そんな現実的な指摘をするのは今じゃなくてもいいだろう。

 彼と一緒に、これから先を努力しながら歩む
 幸せな夢に今くらい酔いしれていたって
 今は、ふたりのことを誰に咎められることもない。 ]



 ふふ、じゃあ「もっと好き」になってもらえるよう頑張ろ。
 俺も、いろんな誠丞さんを好きになりたいから
 これからもたくさん、おしえてね、誠丞さんのこと。


[ 誓う口付けを幸せそうに受け止めた後に
 可愛らしさを装った所作でそう答えて……

 始めたばかりの食事を投げ出して
 不自由な彼を、欲望を剥き出しにして押し倒した。
 甘やかすばかりの彼はきっと受け入れてくれるだろうと
 甘え切った可愛げのない態度で、彼の愛を貪るために。* ]

【人】 入院中 阿出川 瑠威

​── 後日・「孤島病院」正面入口前 ──


 見て!すっごい綺麗な青空!!
 散歩日和じゃん!!


[ 久しく見る晴天の広がる空に
 思わずはしゃぐ心を落ち着けるため
 心地よい風を浴びて、深呼吸を。
 子供みたいに今にも駆け出してしまいたい衝動はあれど
 ひとりで駆け出したりせずに、彼を待つ。

 まだ俺を信じられない彼のために手を差し伸べる。
 金属で繋ぐよりもこっちの方が余程いいでしょ、って
 しっかりと指を絡めて、互の手のひらを重ねた。

 彼はまだ怖がっているだろうか。
 けれどきっと一緒に努力してくれるはずだ。
 彼もまた努力の人だから。 ]
(23) 2022/06/02(Thu) 9:57:14

【人】 入院中 阿出川 瑠威

[ 好きな相手には幸せになって欲しい。
 そのために、二人きりの夢の城から一歩踏み出す。

 ……のは、まだ今日じゃないけれど。
 この手を離さなければ
 彼と一緒なら、どこへでも行ける気がした。* ]
(24) 2022/06/02(Thu) 9:57:39
 




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