お疲れ様！

私、本気で勝たせるつもりだったのよ？
…………でも負けちゃったわ。(ぷくー

────おつかれさま。

コトネが勝ったら何を願っていたのかが一番気になっていた。

お疲れ様。

ジェイドが勝って今とても安心してる。複雑だけどね。

私？
そうねぇ……ぽきゃに向かって「一生私達の前に現れないで！」とか衝動的にお願い使っていたかしら。

────────え？

（まさかの願い……）

だってそもそもは、ぽきゃがこんな変な話持ちかけてきたから悩むし戦う羽目になってるのよ？
実際、私自身はそんなたいそうな願いを叶える権利なんていらないんだわ。

コトネさんロック〜(せめてジェイドが日光克服させてあげたいなって思ってた)

僕倫理観ガバガバ美少年だったしジェイドの地雷を裸足でタップダンス！だったと思うので、ジェイドのそれでもキネイの幸せを願う気持ちが嬉しかったし、救われたなぁ

僕がかっちゃったらどうしてたんだろうなぁ……

キネイが勝ったら吸血鬼になっていいじゃない？と思ってたわ。
実際には説得が入ってなんだかんだ…みたいな世界の修正が入るんだろうなとも思ってたけど…。

"僕が勝ったら？"をずっと考えていたんだ。
どっかの灰にも埋めたんだけど。

その１
僕を人にしてもらう。
でも人になる前にキネイを眷族（まあ実質吸血鬼だよ）にする。もし望むのならコトネも。その後、僕は人になる。

その２
僕とキネイの"種族"を交換して貰う。
それなら僕は人に、キネイは吸血鬼になれるよね？

どちらかが、いや、どちらでも、それが丸く収まる方策かなと思ったんだ。

でもね、僕はやっぱりキネイに吸血鬼になって欲しくはない。

決めたよ、カピバラ。
僕の願い。

はい、なんなりと仰ってくださいませ！

キネイがこのまま人として成長する未来を与えて欲しい。
────ただし、キネイが望む容姿で。

はい！………はい？
それで、よろしいのでございますか？

…………。

[何度か瞬いた後、キネイとジェイドを見比べた]

元々持ってた僕の願いは、僕しか救わないんだ。
そして本当のところは、叶ったところで救われないんだ。
人になっても、その先の未来は僕には見えていないから。

キネイを絶望のまま生きさせたくはないし、その傍らに居るコトネにも辛い気持ちになって欲しくない。

こっちの方が、僕の見えない未来より余程輝いて感じられるよ。だから、この願いにした。

えっ

承知しました！
ではキネイ様、ジェイド様のオーダーはいささかざっくりでございますゆえ、ぽきゃにお育ちになりたいご理想の容姿を教えてくださいますか？

仰っていただかずとも叶えることは可能でございますが……その場合途中で理想が変わると変な事になりますゆえ、そちらはご了承くださいませね！

とりあえず毛は要らないとか、芸能人の○○みたいになりたいとか、そんな感じで結構でございますよ！

あの、えっと。

背も、毛も、ジェイドみたいな感じがいい、デス。

……………………。

（これで僕が、「え、胸毛もじゃもじゃだけど」とか言い出したらどうなるんだろう）

（…………生えてないけどね？）

僕が、僕のまま、ジェイドみたいな感じになりたい……わかる？伝わる？
っていうか黄色いのなんで話してるの？よく考えたら怖っ

大体オッケーでございますよ！

[ジェイドをじろじろ見る]

………はい、かしこまりました！問題ございません！

[キネイの周りを何度か跳ね回り、満足げに頷いた]

これでよろしゅうございましょう！！！

それでは願いを承りましたゆえ！
数年後か数十年後をお楽しみにお過ごしくださいませね！

目に見えないと、効果って判らないものだね。

[餅がただ跳ねている風にしか見えなかったなと零しつつ]

────そうか。"数年後か数十年後か"、か。

[少しだけ楽しそうに呟いた]

………本当に願いを叶えたのかしら？
キネイ、大丈夫？変なところはない…？

[心配そうに近寄り、ためつすがめつ]