人狼物語 三日月国


224 【R18G】海辺のフチラータ2【身内】

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【念】 口に金貨を ルチアーノ

自分の予想は大体合っていて間違っていた。
それでも、
どちらでもいいだろう
、とした部分が
結局丁度良くはまったので、都合よく利用させてもらった。
果たして
無実の人間
を牢に入れた事実を友人達は許してくれるだろうか。

「――なるほどなあ。あの馬鹿が結局……。
 やはり体が足りん……手回しも足りん。後で部下に書き直した送らんと」

誰かの背を追いながら男は一人ではない夜道を歩く。



「結局お嬢さんには会えんかったか」
「すまんな。本当の
裏切り者
はこの俺だ」
(!11) toumi_ 2023/09/23(Sat) 9:30:57

【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → 口に金貨を ルチアーノ

「勝手なこと言って」

頼んでもないワインとカルパッチョを見て、深々と息をつく。
朝はともかく夜は食べようと思えば食べれないことはない。
カルパッチョくらいの量なら、まぁ、なんとか。

ただ、寝るために深酒をしているだけなものだから。

「……はぁ、今夜は薬を飲むしかないかな……」

薬はあんまり好きではない。
力ずくで強制的に意識が途切れてしまうから。
それでも明日にはやらねばならない仕事もあるなら、鋭気は確かに養っておくべきなのは本当で。
男は、眉を下げてぱくり、とカルパッチョを一枚口に放り込んだ。

その日はいつもよりも随分少なめに酒を終わらせて、静かに帰路についたことだろう。
(-564) eve_1224 2023/09/23(Sat) 9:43:37

【秘】 黒眼鏡 → 路地の花 フィオレ

わざと音をたて、零れだす愛液を啜る。
太腿に爪をたてるよう、かりかりと刺激し、抓り、優しく摩る。
舌先で、肌で、音と感触。
すべてで情欲と快感を彩って、それでも無理矢理にではなく
体の奥底から誘うように押し上げる。

「………、……」

──そうして、腕の中で痙攣し跳ねる肢体を、
  かき抱くように抱きしめて。

「………はー、………」

あなたの体を、その曲線を確かめるようにゆるゆると撫でて。
…屹立した自分自身をばつが悪そうに、
どうしたもんかと首をかしげて。


「フィオ」


どうしてほしい、とは言外に。
脱力した体をくいと抱き寄せ、自分の腰やら膝に凭れかからせると。
あなたの眼前に、血液と昂奮でぱんぱんに張り詰めた性器を突きつけた。
(-565) gt 2023/09/23(Sat) 9:50:37

【秘】 傷入りのネイル ダニエラ → マスター エリカ

指先のエナメルを眺めた。
傷がまた、ひとつ増えている。

左手小指のエナメルは約束の証だ。
だからどれだけ傷がついても、女は剥がしたりしない。

「……今度こそ」


どっちつかずの蝙蝠が、どちらの居場所も認められるなんて間違ってる。
…犯した罪は消えやしないのだから、その分くらい、憎んでもらわないと。

/*
お疲れ様です。おさとうかえでです。
重ねまして、情報屋ロッシありがとうございました!

discordにて先にお伝えしておりましたが、本日の襲撃対象は
アリーチェさん
ということで本人に予告も済ませております。
よろしくお願いします!
(-566) oO832mk 2023/09/23(Sat) 9:54:52

【秘】 暗雲の陰に ニーノ → 幕の中で イレネオ

笑っている。
こわい。

愉しんでいる。
こわい。

声にはまだ優しさと暖かさが残っているようにも思えるから。
だからもっと、こわかった。

そうして、指先が。


「ほんとに、し、らな、」
「ん」


肯定の意は最後の一音まで紡がれずに。
ふれる、唇にやわらかな、

「……?、??」


まるでその刹那だけ痛みを忘れたみたいに。
大きな瞳を丸くさせて、呆けた表情で貴方を見つめ。
何をされたのか分からない、そんな目をして。

けれど。
すぐ、理解する。

──くちづけ、だ。


[1/2]
(-567) mspn 2023/09/23(Sat) 10:01:08
ニーノは、家族以外に触れられることが、こわい。
(c26) mspn 2023/09/23(Sat) 10:01:44

【秘】 暗雲の陰に ニーノ → 幕の中で イレネオ


「…………ぁ、」


理解したと同時に、青褪めてゆく。
ちいさなころ、なんども、なんども。

身体があついのに奥底がつめたい。
いやだった、きもちわるかった。

「ゃ……だ、ゃ……っ」


声は幼子が駄々を捏ねるそれとおなじだ。
引き剥がすために動かそうと、意識した手には未だペン先が突き刺さったまま。
あつい痛みを脳が再度知覚し始めればまた涙が溢れる。
だって、こんなのなおさら、わけがわからない。

「な、ん……で…………?」


──どうして今、
そんなこと
ができる?

わからない、貴方のことがなんにもわからない。
鼓動が煩いのが痛みのせいなのか、恐怖のせいなのか。
或いはそのどちらもか。
"
たすけて
"と、音も無く唇が動いた。

[2/2]
(-568) mspn 2023/09/23(Sat) 10:04:26

【秘】 傷入りのネイル ダニエラ → 無敵の リヴィオ

「えー。いいなあ。」
「あたし、犬の方はまだ会ってなくてえ。」

最後の欠片も、ぱくり。
咀嚼し飲み込むと、また水を1口、流し込む。

「でも猫は、触りましたあ。」
「…ぐーぜんですけどお。」

猫カフェも調べてたのになあ。
そうからころ笑って。
どっちが好きかは、犬も触ってから決めまあすなんて。

指先をナプキンで拭いて手を合わせる。

「ごちそうさまでしたあ。」
「ふふ。結局リヴィオさん、食べませんでしたねえ。」
(-569) oO832mk 2023/09/23(Sat) 10:06:20

【秘】 黒眼鏡 → 路地の花 フィオレ

「まぁ、出てきたっちゃ出てきた」

──夢について僅かなりと語るのは珍しい。

「喧嘩な……」

掌をぎゅう、と握って、離して。

「しなくちゃならない喧嘩ってのはある。それをいつでもできるように、ちゃんと鍛えるワケだ」
「それはそれとしてトレーニングは嫌いじゃない。
 自分にとって信じられる体を維持するのは、俺にとっては人生みてえなもんだから」

ははは、と軽く笑う。――口許だけ。
その目はぐらぐらと、どこか遠くを見て。
はるか先を見通しながら、その炉に炭をくべ続けている。
牢屋の中で座り込んだまま、
アレッサンドロ=ルカーニオは、どこかへ向けて進み続けている。今も。


「まあ、そういう法だ。捕まっちまったもんはしょうがない。
 出てきたあとと――……今のケアをちゃんとしてやれ。頼むぜほんと」

念を押すように頼んで、あなたが頷けば安心したように息を吐いて。

「頼むぜ、泥棒サン。あ、車は危ないから触んなよ〜」
「食べ物は…あ、パン。ホットドッグ用のパン、買ったバッカで放置してんだ。
 なんとかしといてくれ、あれ。珈琲は好きにしろ、あんなん誰でも入れられるから。それとだな――……」

ちゃかちゃかとあれこれ、残した食材やらの指示をする。
…どうしてプレーンのパンだけを業務用みたいな規模で仕入れるのだろうか?
(-570) gt 2023/09/23(Sat) 10:08:47

【秘】 黒眼鏡 → 口に金貨を ルチアーノ

「ハハハ、悪い悪い。
 喧嘩の時は周りが見えなくなる性質でな」

結局改善されなかった悪癖を、未だに恥じるそぶりもない。
自分が"そう"なのだから致し方ないと、
アレッサンドロは悔やんでもしょうがないことは悔やまない。
むしろ、そのことを誇りに思っているフシすらあった。

「おめー、ヴィトとそんな仲良かったっけ?」

きょとんとした顔。

「マ、罪がどうだろうがあいつはもうダメ・・だろうな。
 部下には命令しといたが、サテ何人聞くことか。
 ったく、仕事増やしやがって」

──ぼやくようだけど、なんとも楽しそうな顔にしかそれは見えない。
罪の内容・・だとかに興味を示す様子が一切ないのは、
彼の中ではもう"どうするか"が決まっているからだろう。

(1/2)
(-571) gt 2023/09/23(Sat) 10:20:24

【秘】 黒眼鏡 → 口に金貨を ルチアーノ

「いつも世話になるな」

溜息をつくあなたを見て。
こうして誰かに"頼る"時、
アレッサンドロは一番、嬉しそうに笑う。

「今回の喧嘩は、いっとう相手がデカいからな。
 迷惑も文句も出るだろう。
 なあルチアーノ」

今から忙しいぞ〜、なんて。
──鼻歌すら歌いそうな調子で。

「楽しみだなあ」

――ただそれは、昔ほどには楽しそうではない。
──どこか、寂しそうな顔だった。

(2/2)
(-572) gt 2023/09/23(Sat) 10:22:48

【秘】 無敵の リヴィオ → 傷入りのネイル ダニエラ

「おや、まだ会えていなかったか。
 ……それじゃあ」

「それじゃあ、今度一緒に犬カフェに行こうか」

犬カフェ、君とならきっと楽しいから。
リヴィオ・アリオストは落ち着いたら行こうと、
未来の話を君にする。

それから、手を合わせる君に頷いて。

「はは、君との話に夢中になってつい、ね。
 どうせまだまだ業務は残っているし、
 きっとお腹も空くだろう。後で食べるよ」

元々君にと買ってきたものだが。
分け合うってのも素敵なものだ。
このままいただいていくとしよう。
(-573) sinorit 2023/09/23(Sat) 10:23:31

【秘】 渡りに船 ロメオ → 路地の花 フィオレ

グイと引き寄せられた先、
頬に感じた感触に目を細めて「ハハ!」と笑った。
かわいい犬にじゃれつかれたみたいな気分になったからだ。

「いいよ。あんたが知りたい事、なんでも」
「オレが教えられるのにも限度があるけど……
 あんた、どこでどうやって殺したい?」

希望があればそれを聞こう。
それに沿った事を教えるのがいい。
直属でなくともファミリーなのだから、
そのくらいの事は喜んで教えよう。

「いいね。そういう人間は好きだ。
 正義だ悪だ言ってる奴は皆病気だからな」

機嫌が良さそうにそう言って、
残ったボンボローニを口に運ぶ。

どんな色の花が咲くのかが楽しみだ。
花は咲き続けるのか、それとも──咲かずに終わるのか。

「ま、まずは奴さんがムショから出てくれねえとな。
 牢屋の中の人間をやるにゃ骨が折れる」
(-574) susuya 2023/09/23(Sat) 10:27:07

【秘】 門を潜り ダヴィード → 渡りに船 ロメオ

「着ぐるみ作って?全世界チェーン展開……?」

いつぞや貴方に言ったように、今はまだそれを実行に移すことはない。
本当にしようとした時に挫折や苦しみを知ったとして、貴方が隣にいてくれるなら、怖いことなんて半分くらいに減るだろう。
男はそう思った。

「へへ、そんなに褒めても……何か出るかな……
 うーん、なにもない……」

ごそごそとポケットを漁るが端末しか出てこなかった。チョコの一粒でも残っていればなあ、と残念そうな顔をする。

男はずっと、ある意味では祈り続けているのだろう。
仲間の眠りが安らかであり、食事がきちんと取れているか周りの人間から気にかけられ、心から愛されているように、ずっと。
貴方たちが幸せでありますように。

「やった。
 じゃあ、ロメオさんも捕まったりとか……
 どこかに行っちゃったりとか、ダメですからね」

祈りが天に届くだとか、そういったことは深く考えていないのだろう。
神様は助けてくれなかったから、祈り続けていればいつか人が動いて現実になる。
その『人』に自分がなれるなら一番いい。
(-575) NineN 2023/09/23(Sat) 10:28:50

【秘】 黒眼鏡 → 花浅葱 エルヴィーノ

/*
牢屋トークありがとうございました、ポップコーンです!
修得した情報はエルヴィーノさんのリソースですので、ご自由にしていただいて構いません。
こちらがやること自体はあんまり変わらないので、その辺りのロールに応じて適度に合わせていきますね。
以上、何卒宜しくお願いします!
(-576) gt 2023/09/23(Sat) 10:30:50

【念】 傷入りのネイル ダニエラ

ひと回りほど小さくなったアジトのデスク。

7色の缶の紅茶アソート。
薄紅色のバスボム。
ライムグリーンのウィッグのテディベア。
ブーゲンビリアの花束。
そして冷蔵庫の中には、少しお高めのチョコレート。
部屋の片隅に、大きなボストンバッグとスーツケース。
鞄の中には、15mlの小瓶が複数と、脱脂綿にオイル。


この部屋にある、女の私物はそれだけだった。
女の自室とまた別の意味で、生活感のない部屋だった。
けれど変わらず、その部屋の明かりが消えることはない。
帰ってくる時女は、誰もいないその部屋に必ず、「ただいま」といった。
(!12) oO832mk 2023/09/23(Sat) 10:33:23

【秘】 渡りに船 ロメオ → 暗雲の陰に ニーノ

「なーにをナイショにすんだよ」

そんなもんあんのか、と肘で小突いた。
あったとしても責める気は無いし、聞き出す気も無いけど。
人に触れられたくない部分があるのは、
当たり前だと思っているから。

爽やかで、まったりとして、甘やかで。
たまにはこういう時間も悪くないと思った。

『幸せ』に後ろ指を指されている。
お前にそんな資格はないと。早く孤独を思い出せと。

今はその声を、無視することにした。


(-577) susuya 2023/09/23(Sat) 10:36:08

【秘】 渡りに船 ロメオ → 暗雲の陰に ニーノ

「よくないで〜〜す……」

どうしようかな、と思っていた。
自分は酒は飲むが、一定のラインを超えると逆に酔わない方だった。酔い方に波が無い。少しふわふわする程度に留まる。

「お前、そんな酔い方するんだ……」
「ここで寝ないよ。帰るか、フレッド」

てろてろな貴方をよっこいせと剥がせば、
きっと酒のせいでより体温が高くなっているのだろう。
子供か、なんて胸中独り言ち。

「立てる? なんならおぶるか?」
「家行けっかな……オレんちでいいか……」

お泊り会は案外早く来るかもしれない。
(-578) susuya 2023/09/23(Sat) 10:36:36

【秘】 門を潜り ダヴィード → 黒眼鏡

「その『転んだ』傷が治るまでは禁止です、禁止!
 筋肉にも泣いてもらいますからね」

いったい何を禁止されるのだろう。おそらく筋トレや負荷のかかる行為全般を指している。
先ほどまでの暗い顔をさっぱり忘れてお節介なお説教をする姿は怒っている風な顔を装っている。

「珈琲、楽しみにしてます。
 ……開いてることを祈ってますよ」

それでも、もし緊急避難用の魔法の鍵を使うなら夜がいいだろうな。
電動バイクも借りっぱなしだから使わせてもらおう。
それから、ふと。

「そういえば、これも……ですか?」

途中で言葉を切り、人差し指をたてて口に当てる。
条件はジェラート屋の時と同じ。運ぶことだけを指すのか、誰にも言うな、というところまで同じなのか。念のための確認だ。
(-579) NineN 2023/09/23(Sat) 10:42:56

【秘】 暗雲の陰に ニーノ → 路地の花 フィオレ

名前が幾度も呼ばれている。
鉄格子越しに貴方の姿が見える気がする。
声が聞きたいと、姿が見たいと願うばかりに見ている夢か。
だとしてそれでもよかったから。

近づこうとした。そのために立ち上がろうとした。
熱が収まらないから足に力が入らなかった。ならば這い寄ろうとした。
手錠に繋がれた両手を地面について、そのまま。
──ズキリ。


「ぃッ」


刹那走る痛みに声を詰まらせて身体を折る。
情けなく地に一度伏せ、それでもと求める場所へ寄ろうとする。
もう少し光の届く場所へ、その体躯が辿り着いたなら貴方にも見えるだろうか。
薄汚れてはいるが酷い外傷はあまりない──ひとつを除いて。

右手の甲が腫れ上がり、
ちいさな穴が開いている

その腫れ方から骨が割れているのだと、人より傷を見たことがある貴方なら理解できるだろうか。


「……ねえ、さ、ん」


[1/2]
(-580) mspn 2023/09/23(Sat) 10:50:48

【秘】 暗雲の陰に ニーノ → 路地の花 フィオレ


──会いたかった、会いたかったな。


貴方を見上げた。泣きじゃくり続け濡れた瞳で。

──ずっと考えてたんだ、オレの悪いこと。


今のこの状況を、迎えるに相応しい己の悪事はなんだろうと。
熱に浮かされ朦朧とした頭で考え続けたらいくつか出てきた。
そのひとつをだから、貴方に会ったら、言おうとして。

「……ご、めんな、さい」


これが今までの罰だとするなら、ほら、帳尻が合うだろう。

「ごめん、なさい」


思い出す。
この世の掃き溜めの隅。
だれもいない場所で歩けなくなった日のこと。
目が覚めたら暖かなベッドの上にいたこと。

──連れ出された新たな場所陽光の元には、あなたがいなかったこと。


「オ、レだけ、ひろわれて、ごっ、めんなさ、ぃ……」

燻る罪悪感は今になってその重さに耐えきれなくなったように。
頭を垂れた、許しが欲しいんじゃなかった、ただどうしても謝りたかった。
壊れた涙腺がまたはたはたと涙を零したけれど、もうそれもよくわからなかった。

[2/2]
(-581) mspn 2023/09/23(Sat) 10:52:34

【秘】 渡りに船 ロメオ → 門を潜り ダヴィード

「名がデカくなるな……」

今はもしも話でいい。
逃げずに現状維持ができるのが一番なのだ。
今が一番いい。ロメオはそう思っているのだから。
けどまあ、慰安旅行くらいなら現実的かもな。

「良いよ出さなくて。ハハ……」

案外、ロメオは祈りに護られているのかもしれなかった。
穏やかな願いがヴェールになっているのかもしれなかった。
祈りのそれだけで、十分幸せに値する。
贅沢だ。

「……そんなつもり無いよ。必要がなけりゃね」
「オレは替わりが利くけれど、
 それはオレが消えていい理由とイコールにはならない。
 しっかりしがみついて、皆の言うこと聞いてるよ」

使い捨ての駒にされても構わないけれど、
そうされなければいいな、と思っている。
貴方も、自分も。

「捕まっても帰って来るよ」「オレはしぶといからね」
(-582) susuya 2023/09/23(Sat) 10:54:08

【秘】 口に金貨を ルチアーノ → 渡りに船 ロメオ

「……、っ……」

やけに、わざとらしいな。本当に"あいつ"みたいじゃないか。
幻のように付き纏う幻影をよりくっきりさせたような、否、違う熱で上書きするその手に背筋が震えた。
大人しく撫でられていた男は思わず貴方の腕をつかんで、そのまま動きを止める。

「……人を甘やかす天才だなあ、お前。
 何が目的だ、俺を放っておけないのは俺が病人だからか。
 さっさと食うものを食って、治ったらもう構わんな?」

流されそうになる、この体に染みついた"教え"がその手に媚びることを覚えている。
表に出すまいと隠し通していた失態をあんなふうに晒すとは思わなかった。
その上で何の反応も示さないどころか、願い通りに甘やかしてくるこいつはいったい何なんだ。

もっと、と次を求めるような乾きがのどまで出かかった。
まるで大事にされていると錯覚しそうになって。
どうせ置いていくくせにと、いつかの己が心の中で叫んでいた。
まったく女々しいったらありゃしない、そんな他人行儀と不信を隣人に抱え理性は保っている。
(-583) toumi_ 2023/09/23(Sat) 10:59:07

【秘】 暗雲の陰に ニーノ → 渡りに船 ロメオ

「なんで……」

なんでではない。
剥がされると中々に不満そうだった。
勿論回るアルコールのせいで体温はさらに高くなってしまっている。
冬のカイロにちょうどいいぐらいだろう。

「たて、ぅ」

それでもできる?を尋ねられると、できる!を言いたくなるのが子どもというものだ。
立ち上がろうとして……当然のようによろめいて。
目の前で貴方が見てくれていたので、多分支えてもらったりしていたのかもしれない。

「……たててる……」


だめそう。
やっぱりお泊り会は案外早く来るかもしれない。
(-584) mspn 2023/09/23(Sat) 11:05:57

【墓】 黒眼鏡

アレッサンドロ・ルカーニオ。
裏社会での通称を"黒眼鏡"という男が率いるのは、
ノッテ・ファミリーの活動において、主に物流を取り仕切る部門である。
彼らは密輸や禁制品の販売、人、物──場所を動かすだけで金が発生するもの。
そのほぼ全てに関わり、あるいは自らで全てを賄い動かしていた。

特にアレッサンドロの支配力が強いのは、多くの港湾設備を擁する三日月島周辺。
当然ながら海運業が強く発達したヴェスペッラにおいて、
彼らはいつしか──少なくとも、先代のカポ・レジームの時代には既に――"港"と呼ばれるようになっていた。

元ソルジャーらしさ、というのか。
規律と不正にひどくうるさいアレッサンドロの剛柔組み合わせた監視の下で、
"港"は強く統制されファミリーの地盤を固めるための一角を担っていた。

アレッサンドロ曰く、
「あって当たり前の仕事でミスるとリスクがデカい」
「需要が常にある以上、こちらからリスクを取るより顧客を依存させたほうが稼げる」。
商品がなんであれば、物流とはまるで生物の血管のごとく、
常に物を動かし続けることこそ最大の利益を生む。


そういった理念の下、"港"はそれが非合法的性格を多分に含むことを除けば
ごくまっとうで理想的なビジネスのように運用されていた。
(+4) gt 2023/09/23(Sat) 11:06:02

【墓】 黒眼鏡

だがそれはあくまで、アレッサンドロ・ルカーニオの影響だ。
従わないもの、自らの運営方針・・・・にそぐわないものに
直接的な脅迫、あるいは暴力をためらいなく行使し、
従うものにはポケット・マネーからの恩賞を躊躇わない。
それが正しいかはともかく、部下にとって「従うことにメリットがあり、従わないことにデメリットがある」ことのみを徹底的に叩き込んだ彼の下であるからこそ、そのシステムは正常に機能していた。

それゆえ、アレッサンドロ・ルカーニオが逮捕されてからの"港"の人員たちの反応は、大きく別れた。

一つは、システムを維持する者たち。
全体の六割を占めるこのメンバーは、思惑はどうあれ数日前と同じことを行い、数日先も同じことを行った。
これが長期化するならばともかく、多少のトラブルで今までうまく行っていたやり方を変える必要はない、と思ったのだ。
勿論中にはアレッサンドロのシステムこそが心地よいと感じるものもいたし、
あるいは「気を抜いた途端に黒眼鏡が戻ってくるのではないか」とバグベア悪妖精に向けるような怖がり方をした者もいるが、
とにかく当面の間大きな動きをすることもないし、する必要もない者たちだ。
それは実に合理的な判断に思えたし、それこそが自然であると信じる者も多かった。
(+5) gt 2023/09/23(Sat) 11:08:08

【墓】 黒眼鏡

一つは、これを機であると動き出す者たち。
アレッサンドロは部下たちに十分な利益還元を行っていたが、
十分なんてものはない・・・・・・・・・・
逮捕の報をきいて早速自らの利益を拡大しようと、種々様々な活動が行われた。
そしてそれがうまくいくかどうかは置いておいて、アレッサンドロは"港"が自分の指揮下から外れた際、こういった活動を咎めるような仕組みまでは構築していなかった。
彼のことをよく知る部下曰く、「好きにやるならそれはそれでいいと思っていたのでは」──などというが、果たしてどうだろうか。
元々がマフィアという、法とは利益をどうやって味わうかのドレッシングに過ぎないと思っているような連中だ。
これらの数もそれなりに多く、後にファミリーが調べたところによれば全体の三割がこういった"独立"にいそしんでいたという。

そして残った、全体の一割程。
彼らは一見普段通りに業務を進めていたが、ときたま妙な振る舞いをしていた。
普段入らない場所に入り、普段しないことをする。
それはほんの少しだけ、ちょっとだけ足を延ばす程度のことで、
けれどそれをする意味も必要もないことだった。
それを見とがめられるものもいたが、「アレッサンドロからの指示で」と言えば大抵の場合は見逃される。
そしてそれは、別段長く続くものではない――ほんの少し、たとえば荷物を運ぶだけ。
そのことに気が付くものが、はたしてどれほどいただろうか?
いたとして、それが何を意味するのか、組み立てられるものはいるだろうか。
多くの者は、「アレッサンドロが釈放されでてくれば分かるだろう」と気に留めることもなかったが。
(+6) gt 2023/09/23(Sat) 11:08:33

【墓】 黒眼鏡

──とにかく。
総合すれば、"港"は七割が普段通り。つまりはビジネスにおいて影響は無視できない程度ではあるものの、これまで通りに営業を続けていた。
ヴェスペッラの海には今日も、静かに白と青が揺蕩い踊っている。

三日月島の朝焼けはあの日も今日も、変わらずに美しい。
(+7) gt 2023/09/23(Sat) 11:09:23

【秘】 黒眼鏡 → 門を潜り ダヴィード

エー、なんて不満の声が格子の向こうからっ越えてくる。

「こんなん直ぐ治るって〜」

…実際に負傷や外傷には強いタイプの男ではあるが、どうだろうか。
たのむよ〜、なんてわめく姿は、年を食っただけの子供のようだ。
筋肉くんも泣いている。

「おう、とっておきのブレンドを作ったんだ。
 …しょーじきどう違うのか俺にもよくわからんが、
 楽しみにしてろよな」

開いてる開いてる、と語るその言葉は無責任。
無責任かつ信頼感溢れる放り投げをしつつも、
人差し指を一本立てて。

「サプライズだ。
 頼むぜ」

に、と笑った。


「そうだ、あのジェラート屋開いてるときに行ったか?
 イチゴがオススメ。美味いぞ」

…ジェラートが似合うようで似合わない男は、能天気に言ってくる。
仕事の話は終わりということだろうか。
(-585) gt 2023/09/23(Sat) 11:14:43

【秘】 傷入りのネイル ダニエラ → 無敵の リヴィオ

「ええー。いいんですかあ?」

間延びした口調のまま、そのトーンだけが微かに持ち上がる。
嬉しそうに女はへらりと笑った。
この笑顔は決して嘘ではなかった。


「んー。そおですかあ?」
「お疲れ様ですねえ…。あ」

思い出した、とでもさも言いたげに立ち上がる。

 
懐には2つの小物。
犬の小さなヘアクリップと、銀色の大人びたヘアピン。
犬のヘアクリップはごく普通の購入品。
だがヘアピンの方には仕込みがされている。


「リヴィオさあん。」
「ちょおっと、じっとしててくださいねえ」

あなたに近寄り、手を伸ばす。
女にはあなたを調べねばならない理由が2つあった。
だから、迷う必要なんてどこにもない。


そうして、ふたつの中からひとつ。
女はその手の中に、選び取る。
(-586) oO832mk 2023/09/23(Sat) 11:16:02
ダニエラは、ふたつの中から、犬を選んだ。
(a23) oO832mk 2023/09/23(Sat) 11:16:18

【秘】 傷入りのネイル ダニエラ → 無敵の リヴィオ

…そうしてそれを、あなたの前髪に。丁寧に。

「ふふー。お手伝い、でえす。」
「…本当に、お忙しそうですからあ。」

満足げに、微笑みかける。
そしてあなたから離れる刹那、衣服のポケットへ銀のヘアピンを滑り落とした。


それまでの人生、受け取ってばかりだった女は、
あなたが贈り物のヘアピンを大事にしてくれるのが本当に嬉しかった。
…だからこそ、この銀のヘアピンをあなたへの贈り物にはしたくなかった。
今までの贈り物と、同列にしたくなかったのだ。
(-587) oO832mk 2023/09/23(Sat) 11:17:03