人狼物語 三日月国


81 【身内】三途病院連続殺人事件【R18G】

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セナハラ! 今日がお前の命日だ!

【人】 遊惰 ロク

 間借りしている病室にて。
 ベッドに腰掛け、音が弱まった外の方へ視線を向ける。
 閉め切られた儘の雨戸。
 外の様子は、何一つ窺い知ることが出来ない。

 手持無沙汰、右手は耳介を弄っている。
 幾らも開けた穴を埋める色取り取りの耳飾り。
 白く光る小さな石はそこに無く、穴が一つ、空いた儘。
(1) 2021/07/07(Wed) 22:31:33
ロクは、今日も死んでいない。
(a1) 2021/07/07(Wed) 22:32:10

【人】 遊惰 ロク

 いつかの様に、空のタライを持って二階をふらつく。
 弱まった雨風の合間を縫って、滴る雫の音が聞こえる。

 意味も無く、雨漏る箇所を一つ一つ順に巡る。
 その内の幾らかは新たに修繕されていた。
 ――誰が、いつの間に。
 その答えをとうに持っている様に思われて、
 けれどもしかし、未だ認め切れずにいる。

 伸びる廊下、フラリフラリと歩を進め乍ら、
 躊躇いじみた間を置いて、それから開く扉があった。
 開けようとしない扉があった。

 何かを、誰かを。
 避けながら、けれどもどこか探している様な足取りで。
 男はタライ一つ抱えて彷徨っているのだった。
(3) 2021/07/08(Thu) 2:34:13
「孤独〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!」

「……あはは……なーんちゃって……」

「…………」
「…………………」

メイジは、ひとり手術室にあった椅子に座り込み
膝を抱えて蹲った。


メイジは、ふと顔を上げた。
それは誰かがいるような気がしてそうしたのか
ただなんとなく顔を上げたのか
ただ何もないところを見つめている。

「…………」

「オレさあ、駄菓子屋で働いてるって言ってたじゃん?」

「あれね、ウソなんだ」
「でもねーそういう、子供が喜びそうな
 店に行ってみたかったのはホント」

「ほんとは、ちっさい工場でさ、雑用してるんだ。
 良いか悪いかっていったらね、悪いと思う。
 人使いは荒いし、電話番とかなんて一生したくない。
 親父よりはマシだからなんとかやってた
 もしかしてオレって親父に感謝すべきかな?」

「君はあんまり外の世界を知らないみたいだったから
 オレのせいで夢を壊したくなかったんだ」

「ごめんね、嘘ついて」

つらつらと、懺悔のようなただの独り言だった。


「あと他に嘘ついたことあったかな?」
「……癖になってんだよね。嘘つくの」

「──、──……」


ぶつぶつ、つらつら、独り言を言っている。



「──あ。ミロクさんも解体しないと食べ物なくなっちゃうね」

「せっかく、死んでくれたのに」

「もう、やらなくていい?」

「やらなくていい?」

「…………最近、人を殺すことばかり考えてた」

        
刺し殺そうと思った。

──最初は、身を守ろうと刃物を取った。
本当は、話がしたかっただけだった。


けれど、暴力に屈するばかりだった無力な少年に
確実に、急所を狙う力なんてなかった。
逃げるのに十分な傷だったことなんて、気付ける頭脳もない。

   
父親

ああ、脅威がまだ動いている、息をしている。
また"狼"が牙を剥いて来る。

──次は殺されるかもしれない!


ぼろぼろの壁際に寄り掛かる男
刻まれたふたりの子の名と数字。
かつては、幸福の記憶が染みついていたであろうボロ家

恐怖の感情に支配された少年は、牙を剥いた。
……動かなくなるまで、恐怖が、消えるまで。
この手で、首を絞めて、息の根をとめてやった。

もう誰もいない空っぽの空間。

この嵐と共に沈んでいくことを、願った。

「……よせばいいのにね」

「…………」

だれかが、傍にいたような気がした。
以前感じた悪寒はない。根拠もない。
ただ彼のことを思い出していたから
そう思い込んだだけかもしれない。

メイジは、ふいに立ち上がって
干されていた"肉"をかき集めて、その場を後にした。

【人】 遊惰 ロク

>>4
「オハヨウ、お嬢サン」

 ポツンと佇む少女の背後から声を掛ける。
 これまでと変わらぬ笑い顔、軽快な調子で。

 
一つ深く息を吐いた事、それが震えていた事。
笑い顔をシッカリ作ってから声を発した事。
それらは全て、少女の視界の外での出来事だ。
(6) 2021/07/09(Fri) 21:01:27

【人】 遊惰 ロク

>>7 フジノ
 見てねェなァ、と答え乍ら、釣られた様に辺りを見回す。
 
少なくとも、生きている人間の姿は周囲に無いだろう。


「……散歩がてら探しに行くとするかねェ」

 距離を掴み損ねている様子で、
 提案とも独り言ともつかぬ言葉を吐いた。

 少女と面と向かうのは、商人の遺体を前にして以来だ。
 あの時は会話どころでは無かったから、
 もう一つ遡れば無暗に怖がらせてしまって
>>2:104
以来。

 どことなく、気後れしていた。
(8) 2021/07/09(Fri) 22:57:21

【人】 遊惰 ロク

>>9 フジノ
 言われた儘、少女のことを待って。
 返ってきた上着を受け取り、袖に腕を通す。

「おれこそこんくらいしか役に立てねェで。
 ……なにかしようなンざ、思わねェでいいンだよ」

 それに、と付け加え乍ら、
 自然な仕草で少女の頭にポンと手を置く。

「お前サン、なんにもしてねェこたねェよ。
 ホラ、はじめにあのひと見つけてやっただろ」
(10) 2021/07/10(Sat) 10:41:08

【人】 遊惰 ロク

>>11 フジノ
 つい置いてしまった手と、跳ねる少女の薄い肩。
 その反応が反射的なものだと察すれば、
 浮かしかけた手でそっと一度、緩く撫でた。

 それから手を離し、上着のポケットに突っ込み。
 漂う匂いの方向へ顔を向ける。

「……お医者サンかねェ。
 ゴショウバンにあずかろォか、お嬢サン」

 そう言ってフラリと歩き出す。
 
――そんなことを言い乍ら、
この男はここに来てから殆どものを食べていない。
(12) 2021/07/10(Sat) 11:55:30

【人】 遊惰 ロク

>>15 【調理室】
 少年の口振りに疑問を覚え、
 何とはなしに出入り口の辺りを見る。

「……お医者サンはいねェのか」

 それから、皿に置かれた肉、少年の仕草を見て。
 ニカリと笑みを浮かべてこたえた。

「そうだなァ、腹ァへっちまった。
 おれもひと切れ、もらっていいか?」

 
……それが“何”の肉であるか、少年がした事。知っている。
全てでは無く、憶測も多分に含むけれども。
(16) 2021/07/10(Sat) 15:55:16
これは、誰かが遺体を見る少し前の手術室──

メイジは壁際に座り込んだまま動かない男と
結構な時間、寄り添っていた。
悲しみに暮れていたのか、動く気力がなかったからか。

「やっぱ起きないや」

当然だ。己の手で殺したのだから。
やがてそれにも飽きたのか、気だるそうに立ち上がり
ずるずると遺体を手術室の中央まで引きずっていた。

「………重い」


持ち上げて、仰向けに手術台に寝かせた。
だらりと投げ出された手を胸の前で合わせる。

「………………重たいよ」


消え入りそうな、忌々しげな声が
腐敗臭のただよう手術室にむなしく響いた。

【人】 遊惰 ロク

>>17 >>18 >>19 【調理室】
 少年の言葉に、僅かに笑みを濁らせる。
 この状況だ。言っている意味は直ぐに分かった。

「そうかい。せっかく焼いてくれたんだ、
 “会いに”いくのはこれ食ってからにしようかねェ」

 イタダキマス、と皿の上に手を合わせてから。
 薄い肉を一切れ、口に放り込んで咀嚼する。

 
――嚥下しづらいのは、込み上げる嘔吐感は。
久しぶりの食事に体が驚いたからかもしれないし、
肉の正体を思って心が拒絶していたからかもしれない。
……どちらでも良いと思った。


 この場で男が口にしたのはきっと、その一切れだけだ。
 空腹を満たすための食事では無いから。
(20) 2021/07/10(Sat) 19:38:48

【人】 遊惰 ロク

>>21 >>22 【調理室】
「――ゴチソウサマ」

 机に頬杖をつき、二人が食べ終わるのを待ってから。
 
もし、全て食べ切ろうとする少年が苦しげであれば、
食べる量を減らすため多少手伝っただろう。


 使える水も限られている。
 軽く濡らした布で皿を拭い、重ねて。
 クルリと振り返り、明るい調子で声を掛ける。

「そンじゃ、お医者サンのとこいくかァ」

 そうして少年に案内を任せ、その少し後ろを、
 ポケットに手を突っ込んでフラフラと着いていくだろう。
(23) 2021/07/11(Sun) 0:22:05
メイジは、用事がある時以外は、ずっと手術室にいる。
手術台の上でずっと、突っ伏して
返事も帰ってこない抜け殻に話し続けていた。
少年は死後の世界があるなんて知るはずもない。

……だからこそ、友達にも嘘を吐き続けた。
なにも知らないままでいてほしかった。


「セナさん、雨と風弱まってきたんだ
 ……もうすぐ帰れるかな。助けなんてくるのかな」

【人】 遊惰 ロク

>>24 >>25 【手術室】
 静寂の中、手術台に横たえられた骸へと歩み寄る。
 その首に残る痕を眺め、争いの跡が無い事を見てとって。

「“手伝った”のは、お前サンかい」

 寂しげに佇む少年の方へ半身で向き直り。
 暗い色した瞳に少しの怒りと哀しみを混ぜ込んで、
 その癖いつもの笑い顔、軽い口調でそう問うた。
(26) 2021/07/11(Sun) 10:31:45

【人】 遊惰 ロク

>>27 >>28 【手術室】
 揺れる瞳を見下ろす。
 少年の傷口に触れあぐね、深くを問えなかった。
 只、己と幾らか近しいのだろうと、そう思うだけで。
 知ったのは、事が起こり終わってから。

「――お前サンのトモダチから」

 何とも言えない顔で、それだけを口にした。
 “骸に聞いた”、そんな荒唐無稽を。
(29) 2021/07/11(Sun) 12:50:43
「セナさんがいなかったら
 ……誰がオレを助けてくれるの……?」


そうして呟く背中は、ただの小さな子供のようだった。

「……あはは……もうそんな子供みたいなこと
 言ってられないよな……。
 もうひとりだ、オレ。家族はみんな死んじゃったり
 出ていったり、いなくなっちゃったから」

「自分でやったんだ」

実の父親も、──優しい父親がいたらと夢見た人のことも。

「最後、なんて言おうとしたのかな」

ふいに思い出す。考えてもわかるはずもない。
メイジには何も見えない、聞こえない。
だから、ずっと目の前の遺体だけを見つめている。

「死んだら、どこにいくのかな」

「やっぱ地獄かな? 悪いことしたもんね」
「楽になれないかもね」

「オレのこと、実はどっかで見てんのかな
 ……それはそれで、いやだな」

「オレも死んだらおなじとこ行けるかな
 悪いことしたからさ」

思い浮かんだ言葉を脈絡もなくぽつぽつ。

ロクは、とある日の事。ヒラヒラ手を振り見送った。サヨウナラ、お兄サン。
(a5) 2021/07/11(Sun) 16:03:18

【人】 遊惰 ロク

>>30 >>31 【手術室】
「まァ、そうそう信じられるモンでもないわなァ。
 おれも正直、自分のアタマは信用ならねェ」

 だから気の違えた男の戯言と思ってくれても構わない、
 そんな風に前置いて。

「“友達”だってよ。責めないでやってくれ、だと」

 少年に向かって語る合間、少女の方をチラリと見る。
 知らせぬ儘、聞かせぬ儘でいた方がいいのかもしれない。
 けれどもきっと、遅かれ早かれだ。
 その時に、只の罪として背負うくらいならば――

「……病気で先が長くねェこた分かってて、
 どうせ死ぬならお前サンらが助かる方がいいってさ。
 食ってやらねェ方が恨まれちまう勢いだったなァ」▼
(32) 2021/07/11(Sun) 16:29:13

【人】 遊惰 ロク

>>32 【手術室】
 そうしてもう一つ。己への言葉を彼らへ転嫁する。
 それが、祝福にも呪いにも。如何様にもなると知り乍ら。

「“頑張って生きてね”とも言ってたかなァ。
 ――あの子、恨んじゃいねェよ。
 トモダチのことも、センセイのことも」
(33) 2021/07/11(Sun) 16:29:56
遊惰 ロクは、メモを貼った。
(a9) 2021/07/11(Sun) 18:01:59

「頭から焼きついて離れないんだ」

バラバラになっていく手足や、開かれる胸、鮮血
赤黒い内臓、砕かれる骨──頭だけになった、人間の姿が。
人を刺して、肉を切る、感触が──

この手で、脈打っていた鼓動を止める瞬間が。

忘れろ、と言われたことは覚えている。
忘れられる日なんて、来るだろうかと今は思う。

胸が痛い、頭が痛い、とうの昔に治ったはずの傷が疼く
メイジは、よく怪我をする少年だった。

 




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