人狼物語 三日月国


87 【身内】時数えの田舎村【R18G】

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【人】 少年 編笠

「………?」

夢の中。
誰かの別れの言葉を聞いたような気がした。
ちょっとノスタルジーに浸りすぎかと首元を掻いた。

アカネの言う通りだ、田舎ってやつは
郷愁で否応なしに俺達の心を押しつぶしてくるらしい。
まあでもそれが幻聴だったとしても、虚空に呟いた。

「……ああ、またな」

布団で上半身を起こしたまま誰に言ったわけでもない言葉は、
今日も変わらず高い朝空に、
誰にも聞かれることなく消えていった――――――――
(0) 2021/08/14(Sat) 21:18:58

【人】 少年 編笠

「……?」

夏祭りに向かう道――。
小さな自分の背中を見つけた。

親から与えられた千円を握りしめて、
楽しいはずの祭りに向かう子供の自分がいる。
それは初めてで、最後の、独りだけの祭りの記憶だ。
結局その千円は俺の小さな手に握りしめられたまま、
親の財布に戻っていったことだけは覚えている。

どんな食べ物だって。
どんな遊興だって。
みんながいなければ、何の価値もなかった。
みんながいなければ、何の意味もなかった。

……大丈夫だよ。

その小さな自分の、俯いた頭に触れる。
優しく、安心させるように、静かに。
幻影のそれに触れられるわけはないけれど、
何も言わなくても伝わるように。

……――俺が絶対に、助けてやるから。
(10) 2021/08/15(Sun) 15:04:58
編笠は、ずっと皆で。――この祭りに来たかった。
(a1) 2021/08/15(Sun) 15:06:20

【人】 少年 編笠

>>c8 卯波
「よーう、卯波。
 楽しみだな祭り。
 子どものころよっかテンションあがらねえけど」

言いながらも普段着のままポケットに手を突っ込んで、
遠くから聞こえてくる祭囃子に耳を澄ます。
(14) 2021/08/15(Sun) 17:40:38

【人】 少年 編笠

>>+12 卯波
楽し気にカメラを持つ卯波に少しだけ違和感を覚える。
何かが、決定的に変わった様なそんな違和感。
焦燥に後押しされるように口を開く。

「俺は……。
 そういや、昔からあんまり祭り得意じゃねーらしい、実は」

ポケットに手を突っ込んだまま、言う。

「別に嫌いってわけでもないし、好きなんだけど。
 それでも、苦手なんだよ。
 祭りは必ず終わりを迎えて、
 終わった後の日常は始まる前より寂しいから。

 なあ卯波、祭りの最中に、この祭りが
 ずっと続けばいいなって思ったことねーか?」

薄暗くなってきた周辺の真ん中に立ち、
静かにそう尋ねた。表情は何も変わらない。
(18) 2021/08/15(Sun) 18:10:18

【人】 少年 編笠

>>+15 >>+13 卯波 アカネ
「………。
 そういうもんか」

そういうもんかもしれない。
そういうもんだって思えたら。
もしかしたらそういう器用ささえあれば。

暗がりでずっと独りで
声も涙もなく泣くこともなかったろうなと思う。
卯波の差し出された手を取りかけた瞬間、
後ろからアカネの声が聞こえてきて、
手を引っ込めて振り返った。

再びポケットに両手を入れて。

「おう。
 まあそうだな、お前の言うとおり、
 アレくらい楽しめるように努力するか、俺も」

アカネを見ながら静かに微笑んだ。
(20) 2021/08/15(Sun) 18:31:27

【人】 少年 編笠

>>a6 百千鳥
それがいつの時間かは分からない。
どこかの時間の隙間。

――遠くに祭囃子が聞こえる。
屋台には子が親に食べ物をねだる姿がある。
幾人かの少年少女が連れ立って花火の席に走る姿。

その明るさを横目に見ながら、
ベンチの端に腰掛ける百千鳥に声を掛けた。

「よお。
 ちょっとここ、いいかい」

返事も待たずにそのベンチの反対の端に座って、
祭りを遠くに眺める。

「……ちょいと疲れちまったんで休憩させてくれ」
(21) 2021/08/15(Sun) 18:37:23

【人】 少年 編笠

>>+16 卯波
祭りの明るさを背にしたその姿は、
いつの間にか目を細めないと眩しいくらいに明るい。

「お前……年上に言うようになったな……。
 それに、
 そんなに格好いいやつだってのは、知らなかった」

暗がりでポケットに手を突っ込んだまま、いたが、
少しだけ覚悟を決めて一歩だけ、電灯の下に足を踏み出した。

アオもいる。
アカネもいる。
そして、卯波がいる。
だからこれは多分、きっと、楽しい祭りなんだから。
(24) 2021/08/15(Sun) 18:55:55
編笠は、いつの間にかポケットの中に入って居たメモに気づき、祭りの最中に開いて見た。
(a9) 2021/08/15(Sun) 19:17:24

【人】 少年 編笠

>>27 百千鳥
その祭りの最中にあって、
……今ここだけはその祭りから一番遠い。

「……
もだ。
 随分歩き回ったせいかもな」

沢山の営みが目の前にある。
友人、恋人、家族、そして他人たちの。
そのどれもが、今はどこか遠い。
相手のりんご飴が赤く屋台の光を反射して光っている。

「……でも、俺は祭りに来て、
 人間の腕が二本しかない理由が分かった。
 多分……美味そうな屋台があっても、
 どう頑張っても伸ばせる腕の数しか
 持てないようにだろうなって」

「それ以上持つと服も顔も汚れてぐちゃぐちゃになるらしい。
 ……知ってたか?」
(28) 2021/08/15(Sun) 19:38:12

【人】 少年 編笠

「……子どものころは。
 大人になりゃもう少したくさん屋台の食べモン、
 抱え込んで食えると思ってたんだけどな」
(29) 2021/08/15(Sun) 19:39:28
編笠は、メモを畳んで、りょーかい、とだけ言ってそれをパーカーに仕舞った。
(a11) 2021/08/15(Sun) 19:56:05

【人】 少年 編笠

「よーう、アオ。
 いうと思った馬子にも衣装。
 お前のために言わずにとっておいたからな」

それなりに祭りを楽しんでいる様子の親友に、
雰囲気だけで笑いながら言う。

「そういや花火とかも打ちあがるらしいな。
 なんか毎年限られた予算のなかで頑張るよな……」
(32) 2021/08/15(Sun) 19:58:19

【人】 少年 編笠

「多分俺そもそも、花火をケツに突っ込まれて
 怒らないタイミングってねえと思うんだ」
(33) 2021/08/15(Sun) 19:59:11

【人】 少年 編笠

>>35 百千鳥
ハハ、と。愉快に。
誰にも見せたことのない笑顔で笑う。
心から笑う顔を見せたのは、貴方にだけ。

「そうかい。
 そりゃ、随分聞き分けがねえ子供だな。
 大人に見つかったらきっと怒られちまうんだろうなぁ」

空に静かに、もうすぐ花火が打ちあがるらしい。
いよいよ、花火がこの祭りをクライマックスにしてくれる。
さっきクジで外れが出てもらった、出来の悪い水鉄砲を置く。

「そうだな。
 じゃ、通りすがりのアンタよ。
 お互い最後まで祭りを楽しもうぜ。
 これ、やるよ。多分次の一回しか撃てねえけど。
 俺は十分遊んだから。やる。

 さて……俺もちょっと、
 抱えきれないくらいのメシ、屋台で買ってくるかな。
 ……我慢できねーらしい」

んじゃな、とベンチから離れた。
(37) 2021/08/15(Sun) 20:22:47

【人】 少年 編笠

「いやたこ焼きは分けろよ。
 悪かった。超似合ってる。
 可愛すぎて目が潰れそうで直視できねえし、
 正直これが本当の「孫にも衣装」と思って悪かった」

たこ焼きは食べたい。なぜならたこ焼きは美味しいので。

「そうだな。
 大人になるとなんか仕組みとかが気になって、
 純粋な気持ちで楽しめなかったりするんだな。
 やっぱあの時が一番楽しかったな……ジジくさいか」
(38) 2021/08/15(Sun) 20:37:27

【人】 少年 編笠

「子どものころもっとりんご飴って
 でけーもんだと思ってたがそうでもないことに気づいたり、
 フランクフルトとかもここじゃなく、
 都会のコンビニで買った方が安いなとか考えると
 気持ちが後ろ向きになるのが大人になるってことか……?」

そんな大人のなり方嫌すぎるので。

「なるほどな、大人はちゃんと考えてくれてるんだな。
 ……まさかこうやってまた四人で
 夜空見上げるとは思ってなかったな。
 もうすぐ打ちあがるんかな、花火」

夜空の方を見上げる。
(42) 2021/08/15(Sun) 21:27:23

【人】 少年 編笠

そのアオの言葉を、無言で聞いている。
そのアカネの言葉を、無言で聞いていた。

「おい、せっかくの祭りなんだ。
 祭りが終わった後のこと考えるの、早いんじゃないか。
 ……なあ、卯波」

ギシと。
何かが歪む音がする。

「アオ、お前が呼べば俺はいつでも帰ってくるよ。
 アカネ、まだまだずっと、ここにいられるはずだろ。
 卯波だって、ずっと見たいモノ見せてやるよ」

「だから。
 もう。頼むから。
 ――どこにも行くなよ……」


大きな花火が上がって、小さく囁いた言葉は掻き消される。
(45) 2021/08/15(Sun) 22:00:15
編笠は、ずっとずっとこの時間が続いてほしいと、思っていた。
(a17) 2021/08/15(Sun) 23:18:00

【人】 少年 編笠

>>+50 夕凪
膝までを、川の水につけて。
夕凪と、ここで初めて会った場所で空を眺めている。

まるで一秒前にはここにいなかったような、そんな心地があった。
髪の毛が少しだけ濡れていて、犬のように頭を振ると、
そのわずかな水滴が水面に輝きを零す。
裾を絞ると川の冷たい水がぼたぼたと元の流れに戻っていく。

「……夕凪の姉さん」

声を掛けると、彼女はそこにいる。
探し始めたらすぐに自分が見つかるのと同じで。
出会いたい場所に自分が存在して、出会いたい場所で出会える。

夢とは、そういうものだから。

「何か用かい」
(75) 2021/08/16(Mon) 20:14:31

【人】 少年 編笠

>>+51 夕凪
「ああ、似合ってる。
 祭りの最中にばったり会ったら、
 思わず恋に落ちちまいそうなくらいには」

それは掛け値なしの本音だ。嘘偽りはない。
前髪から水が滴る。虚ろな魚のような目を夕凪に向けた。

「……………。
 夕凪の姉さん。
 
 多分な。
 もしここじゃなけりゃ。
 もし今じゃなけりゃ。
 もし俺が俺じゃなけりゃ。多分任せとけって言ってたと思う。
 初恋の残滓だって、火を付ければそれなりに燃えるはずだからな」
(78) 2021/08/16(Mon) 20:40:29

【人】 少年 編笠

>>78 夕凪
視界の中の風景は、過去を移す。
憧れであり、淡い思いを抱いていた相手の姿が、
憧れであり、追いかけていた背中である誰かが、
今の夕凪に重なる。

「でも、ごめん。
 俺はここで、嘘を吐くことに決めて。
 だから、その嘘に今縛られてんだ。

 ……ここにきて。
 俺のことを好きって言ってくれたやつがいるんだ。
 でも俺は、応えられなかった。
 答えすら与えてやれなかった」

それはもう実感としてあるかもしれない。
この世界が、誰かの思いで紡がれていることを。

「"夢"が"夢の中"である限り。
 俺にとっては、それは"夢のような言葉"なんだよ。
 黙ってようと、思ったんだけどな……」

そしてそれを自覚した今。
この夢の時間が綻び始めていることにも気づいている。
(79) 2021/08/16(Mon) 20:42:14
 




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