【アルカディア事件:顛末】

■該当艦船名:アルカディア実験観察移民船
人間考古学研究者によって建造され、観察用移民を募った実験移民船。自然派懐古主義と呼ばれる人々が移住と記憶操作を希望し、人工環境の中で原始的生活を営んでいた。
限りなく古代に近い環境の中で暮らす人々は、世代を重ね歴史をなぞるように発展を始める。

研究者倫理規定への抵触が提言され、連合によって解体が決定された時点では、住民達は宗教の発生まで辿り着いていた。

集落からは一人の少年が生存状態で発見されたという記録がある。
元住民達の証言により、彼らの宗教における巫であったと判明。然しその実態は生きながらに暴力的欲求を一身に引き受ける贄であったとのこと。

長年における暴行・凌辱の痕跡が見られたが、心的外傷等の後遺症も見受けられず。生来の精神特性と環境適応の結果、精神崩壊を免れたと見られる。
保護観察支援の後、社会生活へ帰属したとのこと。

人の根源的暴力性の犠牲者であり、アルカディア事件における最大の被害者とされる。

他者の能力をイメージした場合はそれは模造に過ぎない。完璧な物にはなり得ない。