人狼物語 三日月国


145 【R18G】星仰ぎのギムナジウム2【身内】

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車椅子に揺られている。


『───ご飯、今日は……食べられないな』

食堂に瞳を向けて。
数少ない情緒を映し出していた唇は、
堅く、きつく閉じられているというのに。

『中庭に行こう。
 あまりびっくりさせてはいけないから』

どこかしらが、代わりに言葉を紡いでくれる。
ずり落ちかけだった帽子は、
今日はしっかりと頭のてっぺんに乗っかっている。

不安な言葉を溢れさせない。あまりにも、不自然なほどに落ち着いている。

ここにはいない。人より食べ物が乗ったトレイも、慌ただしくて軽い足音も、今朝はここにない。


『動くのには不便じゃないし、
 こうして喋ることもできる。
 目を使えば文字だって打てるし、
 
 最初はどうなる事かと思ったけど、
 意外と普段通りに生活ができちまうな』

まるで眠っているみたいに、
身体が弛緩していて、呼吸で胸が上下してるだけ。
それでも饒舌な電子音は独り言を垂れ流す。

『ああ、でも本は読めないな、───
 エルナトから借りた本、返すのはいいとして、
 できれば読み切ってからがいいんだけど』

誰かに読んでもらおうかな。
それとも、与えられたタブレットに、
どうにかして入れてもらえないかな。

大人にどんな我儘を言ってやろうか考えながら、
電動の車椅子は少年を乗せてゆったりと進んで行く。

その裏には、ひたすらな不安を隠したまま。

普段もたもたと食事を選んでいる青年は、今日も小等部を誘導する。
遠巻きに。青年を避ける子は日に日に増えたり、減ったり。
だからいなくなった人々のようにはうまくはできない。
それでも、姿を現さない子どもたちに目を向けて、誰がいないかを確認したりはした。
出来ることは少ないものだ。彼らのようには、できない。

クロノ
「……大丈夫?」「配膳、手伝おうか」

やっぱりそうした仕草をするまでには時間が掛かったから、
最初に貴方に掛けられた声、というわけではなかっただろう。
それでも、通りすがりにちらと声を掛けたりはした。
大きく返事はなかったとしても、気づけになるくらいでいいのだ。

メモを貼った。

やはり不安はとめどなく湧いているけれど、
それを表現する方法は今のところ奪われた。

選択肢が無くなってしまったら、
考えることが少なくなって済む。
消極的な、ポジティブ的思考だけを頼りに。

これがもたらされた治療の結果で。
バレンタインに与えられた、
“病と、ギムナジウムに対して最適な形”だ。

クロノ

「……」「ごめん」

誰でも心の準備はあったはずだ。畳み掛けてしまったなと、反省。
思えば戻ってきてから、その前も、誰かのためとなることはあまりしていない。
準備をする背中だけを見守るように追いながら、自分もそれに続いた。

僕も自分の何もかもが嫌いなわけじゃなかった。

少なくとも、永遠にこのままなわけじゃないらしいから、それでよしとした。

「……」

青年は今日もゆっくりと食事の列に並ぶ。
選ぶ品目はごく少なく、決まったものなのに、やけに長く食べるものを選ぶ。
それからやはりいつも通り、短い時間食卓に着く。
喋る口数も少ない。青年に話しかける人間は少ないから。
けれど、その日は違って。

「……何か」
「顔を出せるようになった時に」
「ちょっと、安心できること」「してあげられないかな」

重く立ち込める空気に耐えかねたか、ようやくそれを察知したのか。
ぽつ、とその場に残った人間に投げかけるように、短く声を発した。

      
「──トット?」


殆ど飾りの様な担当だったとしても、
無意識にまず同班の小等部に目が映り、他の班に移る。

同僚アオツキよりも自分の担当の方が遥かに問題が多かった。
己が未熟だからなんて死んでも認めたくない。
まだ
一人いるのに何も声をかけないのだって、
聞こえてしまったからこそ何も言えない。

「……馬鹿な奴」

将来への思想や病への向き合い方などこの男より遥かに大人だった。
それを本来は馬鹿と表せる筈もないのに咄嗟に口を吐いた言葉はそれだった。

最後に告げた言葉は禄でも無かった。
最後に見た顔が思い出せない。
だからあの時の言葉を考えたくない。
考えたって、言ってしまった事実は変わらない。それが怖い。

バット

「え、何急に。そんなの言う奴だっけ。
 お前が急に何かしてくる方がビビるんじゃねえの。
 
……冗談だって。
されて嬉しい事でも考えれば?」

やや動揺して声が上擦ったのは秘密だ。
実習生はこの有様だが、学生時代よりは緩和している。
なにしろ当時なら話を聞いてない振りをしていた。

「あ、中等部の面子の好み。
 僕は殆ど知らないから役に立たないぞ」

「苺も、もう品切れだ」

唯一喜ぶものを知ってる相手にあげられるものがもうない。

メモを貼った。

食堂
「ん」「……考えてみる」

肯定が飛んだのは、自分は怖がられているということなのか、
何かしら喜ぶことを考えるということなのか。
やっぱりいつも口数の少ない彼の言葉からは、判然としない話。
少なくとも食卓の席では、催しの相談もそれで終わってしまった。
いつか何か、動きがあるかというのはまた別の時間の話になるのだろう。


結局、それほどひどいことをされたとは思っていない。
治療の内容に納得してしまっているから。
不安を溢れさせてしまう不出来な容れ物には蓋が必要だ。

ただ、会う人会う人皆なぜか悲しそうな顔をする。
自分を心配性とからかった生徒だって。
自分を寝坊助だと叱った先生だって。

『……』

僕を担当してくれた、あの人だって同じ。

いつものように中庭の木陰で休んでいても、
頭の上に花冠が乗っている、なんてことはない。

ああ、なら早く治らなきゃな。
皆が見たいのは、多分病が完治したバレンタインだ。

眠っているかのようにそこにいる。たまに歌を口遊みながら。

エルナト

『───もちろん、起きてるよ。
 もう眠気に頼らなくてよくなっちまったし』

伸ばした前髪の隙間からは変わらず青い瞳が覗き。
見つめていると、僅かに瞬きのような震えをする。

『本は…… ───
 途中まで読んでたし、最後まで読もうとしてたけど。
 ごめん、暫くはそうできそうにねえや』

僅かに視線を逸らす様子は、
図書室で気まずそうに頭を下げた、
あの時の面影をありありと残していて。

『愛や恋の力で奇跡とか起きるんなら、
 それに越したことはなかったんだけど。

 どうやら僕にはやっぱり、夢みたいな話だったな』

無機質に喋りかける偽りの声は、
それでもどこか皮肉気なニュアンスがこめられていた。

エルナト

『うん…… ───今はそう思う』
『想像して、勝手に鬱屈として、塞ぎ込んでしまうよりは。
 最後まで読んじまった方がいいんだろうな』

『不安は今でさえずっと湧いてくるけれど、───
 希望を持つことだって、今だからこそできるから』

だから、君もそんな顔をするなよ。
渦中の僕が言った所で、どうにもならないんだろうけど。

ここが物語の最後のページではないことは、
いくら自分でも分かっているから。

『あー……その手があった。
 何で思いつかなかったんだか。

 部屋に置いてあるけれど、───うーん……』

『読みかけの本が結構、そこらに置いてあるから。
 エルナトがそれを見て、気をやらないといいが』

小麦の香りを感じた。一度たりとも顔に出したことはないけど、食事は結構好きだったな。

読みかけの本をあらぬところに置く悪癖がある。その先を読めなくても、忘れないために。

君から渡された本は、きっと、ベッドの上に置いてあるだろう。

メモを貼った。


『124ページ目、「太陽には烏、月には兎───
 ……“センセイ”もそうだったのかな』

少し考え事をすれば、
独り言みたいに頭のてっぺんから声が出る。
これだけは余計なお世話だな、とさらに独り言ちて。

さらに遡り、自分の両親のことも考える。
彼らだっていつか愛のもとに集まったはずなのに、
傷だらけになったり、いなくなったりするものだから。

『…… ─── ───』

バレンタインは、睡眠そのものはあまり好きじゃない。
けれど、夢を見るのは好きだった。
大抵は叶わないものだということを知っているからこそ、
それを不安に思う必要も、何も無いから。

でも、叶うかもしれない、と信じることくらいはしてみようと思った。

それで不安になっても、表現するものがないから、いっそ。

 エルナト

『124と125ページの間……
 の、どこかまでは忘れちまったから、
 その頭から読んでくれたら大丈夫。──ありがとう』

君が離れてから身体は微動だもしていない。
肉声も、表情すらもないけれど、
内側には気持ちが色々、沢山籠っている。
それを伝える手段がないのが心惜しいだけ。

『動けるようになったら……すぐに、──
 いやすぐには保証できないな。ともかく、

 ずっとこのままなわけじゃねえし。
 筋肉が衰えないようにと起こされた時に、
 身体が大丈夫そうだったら戻しに行くよ』

車椅子を進めて、ちょっとだけ距離を詰める。
『あ』と短く声をあげれば、少しの沈黙が挟まれて。

『……読み切ったら、でいいかな。
 もっと時間がかかるかもしれないけど』

反応を返すことはできないが。目はずっと本の文字を追っていた。

パン祭り

「……なに、急にパン作り出して。菓子でもなく」

通りすがりに、どうぶつパンに惹かれて寄ってきた。
まさか食べられなかったら自分の口に突っ込まれようと
計画をされていたとも知らずにノコノコと飛んで入ったのである。

得意では全くないが基本的に内向的な事ばかりが好きだ。
琴の演奏とワイルドストロベリーを育ててる辺りで今更だが。
なお、繰り返すが実はパンも菓子作りも得意でもなんでもない。

通り魔のようにどうぶつ度が(39)1d100%のパンを作って行った。

全然動物に見えなくて無言になった。ラピスのを見て更に悲しくなった。


夕暮れ。物語を反芻する。
特別なものはなにもない、
愛が成就する、普通の結末を。

きっとそういうものだ。
夢みたいなものなのは、愛それ自体であって、
普通の幸せを得ることはそれほど難しいことじゃない。

不安の病を患っていても、同じことだ。

ましてやどんでん返しで不幸になることなんて、
そうそうあるはずもない。なるべくしてなるもの。
僕のこの身体も、彼の語った恋の結末も。

『僕たちは、──望み過ぎたんですよ。
 もっと普通でいいんです、センセイ。

 身の丈に合った幸せと向き合わなくちゃ───
 それ以上は手に入らないだけだったんだ』

誰かに話しかけるように。
手紙もまた認めなくっちゃな。

「咲く」ってか。嬉しくないやい。

 エルナト

『あ、いや───独り言だ。
 こうなってから心の声が、
 だいたい筒抜けになって困るんだよな』

隠し事のひとつもできやしない、と、
喉が機能していればため息のひとつでも吐いていたところ。

『……ずっと姿を見せてねえと、
 それこそ心配されるだろうし、行くか。

 食事は……食べることもそうだけど、
 生活の空気をみんなで共有するのが、好きだし』

眠気の奥に、不安と一緒に隠れてた好みを放り出して。
自分で行けるのにな、とか言いつつも、
厚意に甘えて食堂まで押して行ってもらおうか。

冗談言うなよ……とげんなりした。それが本気であるとは露知らず。

昼過ぎ。急に現れては、なんでもなかったようにいつも通り。

頭の花飾りは無くなって、代わりに右眼に花が咲いていた。

夢でも見てるかのように、ずっとふわふわと幸せそうに笑っている。

 




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