人狼物語 三日月国


81 【身内】三途病院連続殺人事件【R18G】

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【人】 遊惰 ロク

 嵐が去り雨があがれど、
 救助の手が届く迄にはもう少しばかり時間を要する。

 それ迄は生きねばならない。
 何せ恐らく残っているのは子ども達と己の三人きり。
 放り出す事は憚られた。……これ以上、死を見せる事も。

「――残ってても雨でやられちまってるかねェ……
 …………アー……ここは入っていいモンかなァ」


 ――という訳で、男は今日も生きている。
 これからは食事も多少は口にするのだろう。

 今はどうやら、探し物をしているらしい。
 独り言をぼやきつつ、院内をフラフラ歩き回っている。
(1) 2021/07/12(Mon) 13:41:56

【人】 遊惰 ロク

>>a0 >>3 メイジ
 探し物の途中、何やら引き摺る少年の姿を見かけた。
 シーツに包まれた、人間一人分程度の荷。

「――どこまでだろ」

 フラリと近付いて運ぶ先を短く問い乍ら、
 反対側に手をかけ、見かけより重たいそれを持ち上げる。
(4) 2021/07/12(Mon) 17:13:07

【人】 遊惰 ロク

>>5 メイジ
 はいよ、と頷き目的地まで運び込んで。
 手術台の上、シーツを剥がされ露わになった死顔、
 それから左耳の飾りに目を奪われる。

「――、お前サン、ひとりでやるんじゃ骨が折れるだろ。
 おれにも教えちゃくれねェか」

 一つ瞬いて、視線を引き剥がして。
 少年に笑いかけてそう口にするとメスを手に取った。
 それから、静かに付け加える。

「……墓、つくんのも。手伝っていいか」
(6) 2021/07/12(Mon) 19:29:01

【人】 遊惰 ロク

>>7 メイジ 
 説明を聞き乍ら、手順を想像して。
 メスを動かす少年の様子を案じたものの、
 兎も角己も手を動かそうと、目の前のそれに刃を向ける。

「――――――、
あ  」  

 からん。硬質な音。
 取り落とした刃物を拾い上げた。

 それから、何事も無かったかの様に事は進む。
 ツプリと刃を突き立て、ぐ、と力を籠める。
 それに合わせて、耳元、黒の十字架が揺れる。

 教わり乍ら、真似をし乍ら、
 死体をバラバラに――食らう為の“肉”へと変えていく。
 元々手先が器用な男だ。飲み込みも悪くは無い。
 滞りなく作業は進行されるだろう。

 その間、何を考えていたのか、いないのか。
 他のものが窺い知ることは難しい。
 男は、誰よりも隠す事が得意だったから。
(8) 2021/07/12(Mon) 21:27:13

【人】 遊惰 ロク

>>9 >>10 メイジ
 少年の声を聞くうち、手が止まる。
 内心をチットモ面に浮かべず涼しい顔していた男の、
 紫に黒を少し落とした、暗い色した瞳が揺らぐ。

 瞬いて、少年の方を向いて、それから下を見て。
 いつの間にやら詰めていた息を細く吐き出した。

「――ついでって、ハハ、ひでェひとだなァ。
 おれは“ガキども守って死んでくれ”って、
 ……たしかに、そう。……、言ったってのに」

 真に酷いのは誰か知っている癖、酷い人だと詰って笑う。
 きっと、これまでで一等下手くそに。

 そうして、最早形を留めていない肉塊。
 そこに彼の心は無いと知り乍ら、ボソリと呟きを落とす。

「……そんなのが、うれしかったのか、お前サン。
…………ばかだなァ


 生首の、耳に光る白い石。触れようとして――
 伸ばした手が赤く濡れている事に気がついて、止めた。▼
(11) 2021/07/13(Tue) 11:19:47

【人】 遊惰 ロク

>>11 メイジ
 伸ばしかけた手をダラリと下げて、
 手を止めた儘、暫くぼうっと一点を見つめてから。

「――坊チャン。
 次は、どうしたらいいだろ」

 少年の方を向いた男は、もういつも通りの顔をしていた。
(12) 2021/07/13(Tue) 11:22:17

【人】 遊惰 ロク

>>13 >>14 メイジ
「……はいよ、セキニンは取ろうかねェ」

 笑い顔を僅かに歪めて、そんな風に返事をした。
 困った様なその顔は、少しだけ幼く見えるだろう。

 それから。もう一人を台に寝かせ、刃を入れる。
 手順は大凡理解した。
 肉を断ち骨を折り、テキパキと進めていく。
 
こんな時間、早く過ぎ去ってしまう様に。


「――そういやお前サン、こないだ、ここで。
 キット質問をはきちがえてたと思うンだよなァ」

 事を進め乍ら、合間にふとそんな事を語り掛ける。
 続く一言を口にする時だけは手を止めて、
 少年の大きな片目を正面からジッと見据えて。

「おれは“この医者の自殺を”手伝ったかってきいたんだ」

 スイと視線を外し、再び手を動かしつつ。
 それが当然の事のような軽々しさで、一度言葉を締め括る。

「こいつは自殺だろ。      
しょ

 お前サンが殺しただなンて、そう背負いこむ必要はねェさ」

 
この時の男は医師の死んだ経緯も知らなければ、未だ遺書を目にしてもいない。
只、抵抗の跡が見て取れなかったという事実だけでそう確信していた。
(15) 2021/07/13(Tue) 20:28:31

【人】 遊惰 ロク

>>16 >>17 メイジ
 視線は下へ向いた儘。男が初め口に出来たのは、

「――そうかい」

 その一言だけだった。
 ―― 一つは、男は己が手を汚した訳では無かったから。
 少年の言うところの、分け合う痛みを知らない儘でいる。

 もう一つは、それでも男は人を死なせたから。
 少年の背負いたいと言うそれの重みが、
 カンタンに下ろせるものでは無いと分かっている。

 長くも短くも思えた沈黙が通り去ってから。
 男は再び口を開く。

「背負いたいってンならしかたねェわな」

 ヘラリと笑い掛けて、そうして。▼
(18) 2021/07/13(Tue) 23:03:01

【人】 遊惰 ロク

>>18 メイジ
「……アー、ンなこと言うのはガラじゃねェんだけども」

 落ち着かなげにそう前置く。
 両手が汚れていなければ、きっと髪でも掻いていた。

「殺したときにはお医者サン。捌いたときにはおれ。
 お前サンと半分ずつで持ってるっての、覚えててくれ」

 カラリとした笑い顔、軽快な口振り。
 詰まる所、いつもの調子で少年へ告げる。

「――思い出すのは、寝れねェ夜くらいでいいからさ」
(19) 2021/07/13(Tue) 23:07:52

【人】 遊惰 ロク

>>20 >>21 メイジ
 “会えるんだったら”。そういや見てねェなァ、と思う。
 どこぞに隠れてしまったか、もうここにはいないのか。
 
その答えが分かるのは、きっとこの後直ぐの出来事だ。
 

 “やっぱりやさしいね”。やさしかねェよ、と小さく笑う。
 
――生きてたらこの年頃だった、きょうだいの様な友らがいた。
放っておけなかった理由は、只それだけだ。


 汚れた手をよくよく洗って、綺麗に拭いて。
 座る少年に近寄り「拭くぞ」と一声かけてから、
 顔の汚れをグイと拭う。
 痛みのない程度に、しかし繊細さの足りない力加減で。

 それからそこかしこが赤く染まった包帯を替えてやる。
 その儘ではお嬢サンの前にも出づらかろうと。

「――そンじゃこれにて。
 おれの方こそ、どうもアリガトウ」

 それらを終えれば、ブリキのバケツを一つ手に取って。
 蓋したそれを抱えて暇を告げ、少年を残して部屋を出た。
(22) 2021/07/14(Wed) 12:11:24

【人】 遊惰 ロク

 少年と少女が訪れていた
(>>26〜)
のとは又別の時間。

 部屋に入り、机の上の缶詰に目を留めて。
 側に置かれた紙をペラリと手に取ると、

「――あァ、お嬢サンか」

 納得した様に一つ頷き、元の様に缶切りを紙の上に置く。
 この缶詰も食べて、もう少し。
 あの子らがキチンと助かるまでは生きなければならない。

 ――億劫だなァと胸の底が僅かに重くなる。
 終わりが見えている事は気を楽にするけども、
 それがまだ暫くは先である事は、焦ったさを齎した。▼
(34) 2021/07/14(Wed) 20:51:03

【人】 遊惰 ロク

>>34
『ロクサン』と紙の上、並べられた文字に再び目を遣る。

 過ったのは、
  せめてこの礼を言うまでは生きねェとなァ、とか、
  そもそもこの子ら放っては死ねねェよなァ、とか、
 ……それから、探し物の事。

 うまく道具が揃えられたら。
 一つや二つ、披露してやろうかなんて考えて、
 ここのところ院内を彷徨いていたのだった。

 種も仕掛けもある奇跡。
 きっと物珍しいそれは、気晴らし程度にはなるだろうと。
 
……結局のところ。
作り物の奇跡を嫌いになんてなれなかったのだ。
(35) 2021/07/14(Wed) 20:52:54

【人】 遊惰 ロク

>>35
 そんな事が頭を巡るうち、
 何だかその四文字に生かされている様な気すらしてきて。

 死にたがりの青年は、
 クツリと喉を鳴らして笑うのだった。
(36) 2021/07/14(Wed) 20:53:23
ロクは、死んでいない。まだ、今のところは。
(a14) 2021/07/14(Wed) 20:53:41

ロクは、一先ず、今日も生きていた。
(a19) 2021/07/14(Wed) 20:57:41

 




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