人狼物語 三日月国


81 【身内】三途病院連続殺人事件【R18G】

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【人】 被虐 メイジ

ばしゃりと泥が跳ねた。
靴が濡れるのも構わずぬかるんだ道をふらふらと歩く。

──外に出ようと思ったのは、晴れたからではない。
無駄に動いて、体力を消耗することは避けている。
薄くなった雲間から差し込む、わずかな光に目を眇めた。
外は、こんなにも眩しいものだっただろうか。

バケツをひとつふたつ、みっつ、運んでいく。
アユミの、ニエカワの、セナハラの。
あのまま置いておくのは、忍びなかったから、全部。
ミロクのはロクにまかせておいた。

気だるげに顔を少し上げると、濁った水が流れていくのが見えた。──この位置からは、メイジの実家は見えない。

「…………」

ゆるく頭をふった。適当な場所にバケツを置き
しゃがみ込んで顔を伏せ、長い溜息を吐いた。
(24) 2021/07/14(Wed) 13:08:31
メイジは、探してきたスコップで穴を掘っている。無心で。
(a5) 2021/07/14(Wed) 15:05:21

メイジは、ざく、ざく、ざく、ざく、ざく、ざく。
(a6) 2021/07/14(Wed) 15:07:29

メイジは、それほど不慣れではないようだ。土とスコップがぶつかる音だけがしばらく響いた。
(a7) 2021/07/14(Wed) 15:08:49

タマオは、穴の数を増やした。ざく、ざく。土とスコップがぶつかる音が多かった。
(t2) 2021/07/14(Wed) 16:32:26

メイジは、夢中で作業していたので、しばらく音が多いことに気づかなかった。
(a8) 2021/07/14(Wed) 16:39:12

メイジは、ふと顔を上げた。なぜか掘った穴が増えていた。
(a9) 2021/07/14(Wed) 16:40:30

メイジは、「  ?  」
(a10) 2021/07/14(Wed) 16:40:45

【人】 被虐 メイジ

長い時間をかけて掘り、地面に深めの穴ができた。
なぜか増えていた穴にしばし首を傾げたが
考えることを放棄した。助かったので見えない誰かに感謝した。


メイジはじんわりと汗が滲んだ額を拭う。
せっかく替えてもらった包帯がまた少し泥で汚れてしまった。

……そおっと、バケツの中身をひとつひとつ、穴の底へ。
別れを惜しむように睫毛を伏せて、土をかぶせていく。

そうしてしばらく、その前に座り込んで、手を合わせた。

──どうか安らかに、なんて祈る資格はないかもしれないけれど。
(25) 2021/07/14(Wed) 17:47:08
──ある人が言っていたことを思い出した。

"もし何か悪い事をしたとしても、それは生きる為にした事"


いい子のままでは生き残れない。そう、メイジに説得してくれた時の彼は
まるで自分に言い聞かせているようだったのを、覚えている。
それと同時に
"自分のやった行いは許されるものではない"

と、また別の人の言葉も思い出してしまうけれど。

それでも"死にたくない"とメイジは選び、ここまできた。
誰かを犠牲にしてまでもそうする術を教わって。

"僕は、たとえ死んでもきみに賛同し続けます"


覚えている。背を押してくれた言葉を、頭を撫でてくれた温もりを。
死後の存在に確信のない少年には
今でもそうであることを信じて、祈るだけだった。

それは"尊敬"に近くて、すこし"同情"にも似た感情。
彼が医師を志した理由をきいてしまったからだろうか。

【人】 被虐 メイジ

泥遊びでもしてきたのだろうか。
少々顔に新しい汚れをつけたまま、戻ってきたメイジは
なによりも先に缶詰 >>23 が目に入った。
なんと自身の名も書いてあるではないか
天からの恵みだろうか。

「かんづめだ……」

缶詰だ。メイジは、語彙力がなくなっていた。
きょろりと辺りを見回してから、近くに座った。

誰かがいるならば一緒にいただくだろうし
ひとりならひとりで、空腹に負けてそのまま
いただくのだろう。

ふと、置きっぱなしだったおはじきの箱が目に留まる。
……遊んでいた時が、遠い昔のようだった。
(26) 2021/07/14(Wed) 18:56:51

【人】 焦爛 フジノ

>>26 メイジ
「缶詰、だよ」

缶詰です。
水を煮沸して、飲み水を工面していたようだ。
薬缶を手に戻ってきて隣に座った。


「ミロクさんが、死ぬ前に、貰っていたの。
 ……私だけ、食べるのは、ダメだと思ったから」

だから、ふたりの分。

「……ねぇ、メイジ。あのおはじき、いくつか、貰ってもいい?」

貴方の視線の先にあるおはじきを見て、ぽつりと尋ねた。
(27) 2021/07/14(Wed) 19:18:08

【人】 被虐 メイジ

>>27 フジノ

「これやっぱりフジノの仕業?
 君がいいなら、いいんだけど……」

あなたは人より倍食事が必要なのでは、と思ったところで腹が鳴った。お言葉に甘えていただくことにしよう。

「あ、いいよ。気に入ったの? かわいいもんね」

何ならあの時遊んだまま、メイジが負けたっきりの
数のまま入れてあるかもしれなかった。
ふたつある箱のひとつを差し出す。
この箱はミロクからもらったものだった。
(28) 2021/07/14(Wed) 19:27:25

【人】 焦爛 フジノ

>>28 メイジ

「うん、いいの。私の分も、ちゃんとある、から。
 ……ふふ。ほら、だから、ちゃんと食べて、ね」

たしか魚の缶詰だと言っていた。
……魚なら、『猿肉』の味を思い出すこともあまりないだろうと、思う。

「うん。かわいい、し、それに……
 見たら、メイジとミロクさんの事、思い出せる、から。
 近くにあったら、心強いなって、思ったの」

ありがとうと言って箱を受け取る。
箱の重みにほんの少し、得意げになれたあの日を懐かしく感じた。

「……メイジが、住んでいる所は。
 ミロクさんの教えてくれた場所と、近い?」

ふと、貴方に会える場所を知らない事に気付いた。
自分の行く場所はここだと、ミロクに渡されたメモを見せる。

きっと会えると言ってくれたけど、自分で会いに行ける方法も知っておきたかった。
知りたいと、思った。
(29) 2021/07/14(Wed) 19:41:20

【人】 被虐 メイジ

>>29 フジノ

「……ありがと。
 そういえばオレもフジノのハンカチまだ持ったままだ。
 家に帰ってさ、洗ってから返したいって思ってたんだ」

魚の缶詰を開けて、動物の如くにおいを嗅いでいた。
なんだか"猿肉"以外を食べるのは、久々だった。
いただきますと手を合わせて、味わった。

「オレの住んでる場所はね、──」

あなたが自分の名を書いていた紙に、書き記す。

ミロクが言っていた場所と近いかと言えば
どうだろう。メイジの住んでいる場所は
少し見上げれば、赤い塔がみえるところだった。

「フジノまで会いに来てくれたらすれ違っちゃわないかな」

メイジは、頬杖をつきながら笑った。
(30) 2021/07/14(Wed) 20:01:18

【人】 焦爛 フジノ

>>30 メイジ

「そう、だったね。……わかった。
 次に会う時、返してね」

気にしなくていい、という言葉は飲み込んだ。
次の約束を確かにできる口実が、欲しかった。
そんな欲を持ってしまった。
紙を手に取り、書き記された住所をじっと見つめた。

「そんな事……あったら、どうしよう。
 きっと大変で、でも……会った時には、おかしくてお互い、笑っちゃうかも、ね」

駅に名前を書いておこうか、と呟く。
都会ではそういう場所や物があると、学校の本に書いてあった。
そんな知識が役立つことが来るとは思ってもいなかった。
(31) 2021/07/14(Wed) 20:18:08

【人】 被虐 メイジ

>>31 フジノ

「うん。たのしみだな、向こうで会えるの。
 指切りでもしよっか」

メイジはそっと、小指を差し出した。

「あのさ……ねえ、フジノ。オレもし帰れたらさ
 ひとつやりたいことができたんだ」

ぽつり、と思い出したようにふいに口にする。

「今からものすごい勉強して、大学行ってさ──、」→
(32) 2021/07/14(Wed) 20:39:27

【人】 被虐 メイジ

>>32 フジノ

「──やっぱり、次会ってからの秘密」

そうやって、薄く笑って、口実を増やした。
やがて救助がやってきて、都会でまた会えるといいなと
前を向くことだけを、考えようとした。
(33) 2021/07/14(Wed) 20:40:52
流転 タマオは、メモを貼った。
(t3) 2021/07/14(Wed) 20:44:29

メイジは、どうみても読んでと言わんばかりのその手紙を、開いた。
(a11) 2021/07/14(Wed) 20:49:28

【人】 遊惰 ロク

 少年と少女が訪れていた
(>>26〜)
のとは又別の時間。

 部屋に入り、机の上の缶詰に目を留めて。
 側に置かれた紙をペラリと手に取ると、

「――あァ、お嬢サンか」

 納得した様に一つ頷き、元の様に缶切りを紙の上に置く。
 この缶詰も食べて、もう少し。
 あの子らがキチンと助かるまでは生きなければならない。

 ――億劫だなァと胸の底が僅かに重くなる。
 終わりが見えている事は気を楽にするけども、
 それがまだ暫くは先である事は、焦ったさを齎した。▼
(34) 2021/07/14(Wed) 20:51:03
メイジは、思わずつぶやいた「馬鹿じゃないの……」
(a12) 2021/07/14(Wed) 20:51:36

メイジは、泣いていた。
(a13) 2021/07/14(Wed) 20:52:24

【人】 遊惰 ロク

>>34
『ロクサン』と紙の上、並べられた文字に再び目を遣る。

 過ったのは、
  せめてこの礼を言うまでは生きねェとなァ、とか、
  そもそもこの子ら放っては死ねねェよなァ、とか、
 ……それから、探し物の事。

 うまく道具が揃えられたら。
 一つや二つ、披露してやろうかなんて考えて、
 ここのところ院内を彷徨いていたのだった。

 種も仕掛けもある奇跡。
 きっと物珍しいそれは、気晴らし程度にはなるだろうと。
 
……結局のところ。
作り物の奇跡を嫌いになんてなれなかったのだ。
(35) 2021/07/14(Wed) 20:52:54

【人】 遊惰 ロク

>>35
 そんな事が頭を巡るうち、
 何だかその四文字に生かされている様な気すらしてきて。

 死にたがりの青年は、
 クツリと喉を鳴らして笑うのだった。
(36) 2021/07/14(Wed) 20:53:23
ロクは、死んでいない。まだ、今のところは。
(a14) 2021/07/14(Wed) 20:53:41

ミロクは、この年の夏に起きた事件を奇跡だと信じている。
(a15) 2021/07/14(Wed) 20:53:51

傷痕 メイジは、メモを貼った。
(a16) 2021/07/14(Wed) 20:54:50

ミロクは、またこの夏に空を見上げ、誰かの生誕を祝うのだろう。
(a17) 2021/07/14(Wed) 20:54:56

【人】 警官 ハルカゼ

──時は令和三年。東京オリンピックの開催が迫る、夏のことだった。

「あれ、まだ読んでたんですか?
 ……ま。長いから暇潰しにはなりますよねェ。
 昨日は忙しかったから、尚更退屈ですよ」

ハルカゼは溜息を吐く。
小さな駐在所の中は片付いていた。
綺麗好きのハルカゼが赴任してから、所内はいつも整頓されている。▼
(37) 2021/07/14(Wed) 20:55:23

【人】 焦爛 フジノ

>>32 >>33 メイジ

「ほんと?……うん。指切り、しよう」

小指を絡める。
針千本を飲む気も、飲ませる気もない。
きっと貴方は守ってくれるのだ。

「やりたい、事?
 ……なら、次に会った時。教えてね。絶対、だよ」

大学へ。勉強をして、メイジは何をするのだろう。
早く次が来るといい。
そして次にまた、その次へ繋がる口実を二人は作るのだろう。

いつか口実が無くても会えるようになるまで、何度でも。
そうなったらいい。
いつかの未来を願って。
腹に置いていた手を、そっと貴方の手に重ねた。
(38) 2021/07/14(Wed) 20:56:15
セナハラは、遠くから見守っている。
(a18) 2021/07/14(Wed) 20:56:40

タマオは、初雪の日に彼を一言祝います。何度も。
(t4) 2021/07/14(Wed) 20:56:49

【人】 警官 ハルカゼ

>>37

「昨日、廃病院に来てた学生達が言ってたのはその事件です。
 丁度東京五輪の年に起こった事件ですから、
 誰かしら来るかなァとは思ってたんですよ。
 ……ね?
 僕が言った通り、年休取らなくて良かったでしょう」

ハルカゼがテレビのチャンネルを変え、ニュース番組を映す。
政治、日本代表、感染者数……。
目新しい情報は無いように感じた。
ハルカゼもそう思ったらしく、チャンネルをバラエティ番組に変えていた。▼
(39) 2021/07/14(Wed) 20:57:19
ロクは、一先ず、今日も生きていた。
(a19) 2021/07/14(Wed) 20:57:41

【人】 警官 ハルカゼ

>>39

「さっさとあんな病院壊しちまえば良いのにねェ……、
 仕事が増えて仕方ねェや」

コーヒーの空き缶を片手に持つと、ハルカゼは立ち上がる。
資料はまだ少し残っていたが、その背中に気になっていたことを問うた。

「ン? ……ああ、そうです。
 第一発見者の“ハルカゼ巡査”は、僕の祖父です。
 たまにボケた爺ちゃん婆ちゃんが、
 僕のこと“タダシさん”って呼ぶでしょ?
 あれ、祖父の名前なんですよ」▼
(40) 2021/07/14(Wed) 20:58:44
メイジは、フジノと約束をした。また会えますように。
(a20) 2021/07/14(Wed) 20:58:47

フジノは、願った。また、次が、ありますように
(a21) 2021/07/14(Wed) 20:59:50

タマオは、相槌を打った。「はい、よく似ていると思いますよ」
(t5) 2021/07/14(Wed) 21:00:02

 




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