……はい。
こんなことでよろしければ。

[ゆるゆると髪を撫でながら大人しくしている]

しばらく、このまま……。
［目を閉じてうとうと…］

ゆるゆる。

ねぇ、変なこと言うようだけど。
この瞬間が続けばいいのに……って思うわ。

[叶うはずもなく、叶えるべきはずもない囁きをこぼした]

これが、執着でもエゴでもなく
ただ、愛しいという感情なのですね。


私はサラの記憶は持っていますが、サーリフとして独立したのはつい最近。
「サーリフ」にとっては、初めてだらけです。

って、どうでも良いことを言いましたね。
どうか安らかにおやすみなさい。

そうですね……

はじめ、うろんげに下を向いていた皆さんが、死後で尚強く輝き、お互いの交流で刺激しあい、心が更新されていく姿は、私たちにとって筆舌に尽くし難いものがありました。

この瞬間が続けば良いのに、と、思えること自体が幸福です。

ええ、ラナー。
あなたが地上を諦めてさえくれれば良い話では？
[くすくす]

何言ってるんだか！
……わかってるでしょ？
あたしが、地上に戻すことを諦めるはずもないってこと。

"永遠"なんて何処にもないわ。
だから今がこんなにも愛しいのよ。

[柔らかく、目を細めて]

ねぇ、サーリフ。

あたしはあの人たちに、愛を、恋を、教えられたと思うわ。
正直、サラの気持ちはずっとぴんと来てなかったけど───今ならわかる気がするの。

あの人たちが生まれ変わろうと、
あの人たちと離ればなれになろうと、

あたしはきっと、何度だって恋をするんだわ。

恥ずかしげも、躊躇いもなく
そう言い切ってしまうのが、ラナーの天使たる所以ですね。

私は、私は。
……サラの中の、天使ではなかった部分のようです。
正直に申しますと戸惑っています。

永遠なんてない。
何度だって皆さんに恋をする。
煉獄からでもそれは約束できましょう。
とても強い衝動です。

ただ、ただ……闘いが終わったら、きっと寂しいです。
私はそれが、まだ、怖いです。

そうね。
恥ずかしさも、躊躇いも、あたしの領分じゃないわ。

───天使あたしは、そういうものだわ。

寂しいのはあたしも一緒。
でも怖いかと聞かれたら、きっと違う。

サーリフ、あたしはあんたの幸せも願ってるわ。
サラの、天使ではなかった部分。
あたしの大切な片割れ。
何時だって、あたしはあんたを見てる。

だから、怖くないわよ！

キミに言われると、怖がるのも馬鹿らしくなってきますね。

ええ、そうなんですね。
キミも私ももう覚悟を決めているのだから
どうあったって、「幸せ」を見失うことは、ないのでしょう。

ふふ、かしら？

そうよ、あんたもあたしも覚悟を決めた。
それぞれの「幸せ」を追うためにね。

…………まあでも、ナディルに愛想尽かしたとか、そうじゃなくともとにかく行き場に困るようなことがあったら、戻ってきて良いのよ。

あたしは何時だって、天国で待ってるわ！

名残り惜しいが…
［こめかみにかるく口づけて］

恐らく何度もは言えぬから聞いておいてくれ。


［耳元で声を潜めて囁き、身体を離した。］

私は何と答えれば良いのでしょうか。
キミの小さな呟きにただ満たされてしまいます。

そうですね。
きっと同じ。
私も愛していますよ、ナディル。

[離れていく熱に、微笑んだ]