人狼物語 三日月国


87 【身内】時数えの田舎村【R18G】

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【独】 陽は落ちぬ 夕凪

チリーン……風鈴の音が鳴ります。


数年前、夕凪たちがまだ、大人になる前のこと。
よく、みんなのことを思い出しては話をしました。

「宵兄さん今何をしているんだろうね、
 もしかしてフリーターとか?
 路上に居ても生きていけそうだよね」


「それは失礼じゃないかしら?
 でも格好良かったし、アイドルとか似合うかも」


「ダウナー系?」


「クール系になるわよ。真剣な顔をするとき素敵なんだから、夜凪もちゃんとみておきなさい」
(-1) toumi_ 2021/08/16(Mon) 23:49:31

【独】 陽は落ちぬ 夕凪


チリーン……風鈴の音が鳴ります。



「実は憧れてた人、……格好いいなって思ってた兄さんがいるんだけど。
 覚えてる? 御山兄さんのこと」


「もちろんよ、ちょっと落ち着くって言うか癒やされてた。
 安心できる感じ? 兄さん達の中では体つきもよくって」


「夕凪は筋肉フェチだったりするの?」


「? そんなことないわ。
 ああいう人が肉食系だったりすると格好いいなって」


「(ギャップが好きなのかな、夕凪)」

(-2) toumi_ 2021/08/16(Mon) 23:55:25

【独】 陽は落ちぬ 夕凪


チリーン……風鈴の音が鳴ります。


「この雑誌の人……清兄さんに似てない?」


「似てないわ、もっと兄さんは目尻がしゅっとしてて、顔立ちがいいの」


「思い出補正が入ってると思うよ、それ。
 確かに昔から顔も整っていたけれど。
 ……まあでもこのモデルさんも笑顔も作り物っぽいし、
 いっぱい編集加工してるし、やっぱり清兄さんには似てないか」


「――夜凪もかなり補正はいってるわよ、私たち面食いね?」


(-3) toumi_ 2021/08/16(Mon) 23:59:00

【置】 陽は落ちぬ 夕凪

 夜凪はとある日、一人暮らしを始めたいと言い出した。
 理由は――語られるのなら夜凪の口からだろう。

『アルバイトをしながら絵描きの道を目指す』
 あまりに無謀だと止められ、難しいもの。
 夕凪は夢を否定したかったわけではない。
 それよりも、離れることが寂しかったと、喧嘩をした。


 喧嘩をしたその日。

 不幸にも夕凪は交通事故にあい救急車で運ばれた。


 知らせを受けた夜凪は、顔を青ざめた。
 でも命を無事だと家族に教えて貰ったとき、
 安心したと同時に不安が襲ってきた。

 怪我は重傷でもなかったが、頭を強く打ったらしく。
 起きていられる時間がとても短いらしい。
 完治までまだ時間はかかると言われていて、
 家族が看病に向かう中。

 夜凪はずっと顔を合わせることが出来ていない。
(L1) toumi_ 2021/08/17(Tue) 2:57:50
公開: 2021/08/17(Tue) 3:00:00

【独】 陽は落ちぬ 夕凪



チリーン……風鈴の音が鳴ります。


数年前、夕凪たちがまだ、大人になる前のこと。
よく、みんなのことを思い出しては話をしました。

「これって、あ。卯波か、可愛いなーちっちゃくて」


「卯波くん? ああ、ひとつうえの子たちと結構遊んでた子だよね。
 可愛かったなあ、たくさんじゃないけど覚えてるよ」


「なーんか誰かに似る気がするんだよね、兄さんとかじゃなくて。
 それこそもっと上の兄さんとかからとか?」


「好きな人のまねをしたいって奴? どうなのかな。
 案外自分らしく自分の武器で戦う子かもしれないよ、男の子だもんね。
 会えたらどんな趣味が増えたのか聞きたいな」


(-17) toumi_ 2021/08/17(Tue) 12:07:59

【独】 陽は落ちぬ 夕凪



チリーン……風鈴の音が鳴ります。



「茜ちゃん見た目結構変わったって聞いたんだけど、夕凪はみた?」


「ううん、みていないよ。茜ちゃんって、竹村茜ちゃんのこと?
 昔は、小さいみんなと混じって遊んでた子だよね。
 見た目――は黒っぽかったと思ってるんだけど、変わったんだ」


「なんか最近の若者らしくなったって母さんが言ってた。
 女って本当に変わるよな、――夕凪が珍しいくらい」


「私も変わったよ? ほら、えっへん」


「……???? どんな風に変わったか気になるな……。
 ちょっと構いたくなるような子だったから」

(-18) toumi_ 2021/08/17(Tue) 12:09:27

【独】 陽は落ちぬ 夕凪



チリーン……風鈴の音が鳴ります。


「あ、こういう木のよじ登り方添木くんにおしえてもらったな」


「時々私をのけ者にしていたやつね?
 女はってすっごく悔しかったんだから。
 夜凪だけ特別扱いされてたんじゃないの?」


「僕からみたら夕凪だけ特別扱いだよ。
 そういうんじゃなくってさ、男同士の……秘密っていうか。
 欲しかったわけ! そういうの教えてくれた兄さんだったよ」


「そんなロマンで小さい頃の私を拗ねさせていたのなら、
 添木くんにあったら一発入れたいわ?
 髪の毛の色かわってちょっとびっくりしたけど……」


「あれは僕もびっくりした……黒ってなんかしまっていいよね。おとなっぽい。
 でもーおそろいの色好きだし、僕たちはこのままがいいな」


(-19) toumi_ 2021/08/17(Tue) 12:11:50

【独】 陽は落ちぬ 夕凪



チリーン……



「嘘つきって言うと、花さんの事を思い出すね」


「私、花さんのこと好きだったからあんまりその噂信じていなかったの。
 だけど、みんなが言うならやっぱりそうだったのかしら」


「それは、あの周りの人しか知らなかったかもしれない。
 僕たちは少し離れていたから。……でも、嘘を作ってどうしてだと思う?」


「隠したいものがあるからかしら? 言いたくないことの代わりに言うとか。
 そういうのが当てはまるような気がするわ」


「僕は、―――そうだね。黙っていたい。
 本当のことを言わなければ伝わらなくてすむから、かな」


「難しいことを言うわね夜凪、でもね。
 お話ししていたら、黙っていてもわかるわよ。
 あなたのことも、嘘つきさんのことも」


(-20) toumi_ 2021/08/17(Tue) 12:13:53
陽は落ちぬ 夕凪は、メモを貼った。
(a9) toumi_ 2021/08/17(Tue) 12:40:21

【人】 陽は落ちぬ 夕凪

>>25 編笠

「……大げさ。
 それでも、夕凪は楽しみにしてる。
 怪我してこないでよ、…急ぎすぎないで。
 夕凪は、ただ。
 こんな約束ができただけで、十分なんだよ」

小指を絡めただけの意味のない約束。
少年はなにに固執していたのか、今になってわかったような気がした。

編笠の"夕凪たち"に対する気持ちが聞きたかったのだ。

夕凪として聞きたかったのか。
夜凪として聞きたかったのか。
今となっては混ざってしまって明確にするのは意味をなさないだろう。

一度でも任せてしまいたくなったこの気持ちも。
一度でも隣を夢見た形にならないこの気持ちも。

あなたへの気持ちが泡沫のように消えてしまうのかは、この約束さえあれば不安じゃない。

"なれなかったこの気持ち"は、成熟する前に夢が覚めていく。
(26) toumi_ 2021/08/20(Fri) 20:50:23

【人】 陽は落ちぬ 夕凪

>>26 編笠へ

だから今この祭りの間だけは、
夕凪としてこの夏、ここにいる。

「お願いって、何?
 わざわざ改まって」

あなたの言葉を聞くために、ここにいる。


――ねぇ、淡い初恋を話してくれるのが楽しみよ。
大切な思い出が存在したことが嬉しくて仕方ない。
今も思ってくれていたことに胸がいっぱいで。
本当に来ていたら、その手を掴んで、水に飛び込んでいたでしょうね。
お魚さんは、逃げちゃうのかしら、捕まっちゃったのかしら。
夜凪なら、きっとそうしたわ。あなたのことが好きだから。
だから私も、言葉があふれる前に体が先に動いてしまいそうね。
(27) toumi_ 2021/08/20(Fri) 21:05:45

【人】 陽は落ちぬ 夕凪

>>31 編笠

なれるに、決まってる。
最初から、許していた。
だから今、聞いたんだ。

こたえが、欲しくて。
聞いたんだ。

お前ならそばにいてくれるのかって。


「一人じゃ何もできないから。
 ――たくさんの仲間を連れて?」

思わず繰り返した。
僕がそこにいたからだ。

一人で進もうとすることは否定されてない。
一人になろうとすることを心配されたのだ。
ついてきてくれる友人がいること、片割れの言葉を思い出して。

再会の約束に、ああよかったって。
編笠のまわりに、みんなが見えた気がして、笑った。


夕凪たちはそこにいたんだ。
(32) toumi_ 2021/08/20(Fri) 23:10:39

【人】 陽は落ちぬ 夕凪

>>32 編笠
たち


「『なんだか楽しみ、賑やかそうで。
  もちろん伝えてあげるわ。
  今の言葉、夕凪にはさっぱりわからないのに。
  夜凪がずっと聞きたかった言葉だってすごく思うの。
  男の子同士で伝わるものなんて、なんだか妬けちゃうな』」

伝わらないかもしれないけど。
全部勘違いかもしれないけど。


「『夢から覚めたら、―――』
 夕凪たちの物語も、これから紡がれていくんだから。
 私から夜凪たちに伝えることは、
 一生があれば、大抵のことは大丈夫ってこと


ここには凪いだ波しかなくて。
何一つ紡がれていなかったとしたら。
未来に繋がる"それ"さえ、あれば。
夕凪たちは二人でいくらでも待てるよ、だから。


「「待ってるね、編笠。
  夕凪たちはきっと、そう言うよ。双子だからわかるんだ」」

青い空に、朱い灯火に、黄色の太陽に、緑の山に。
忘れ物はもうしなくてすむように。
もし、なくしたものがあったなら。

一緒に探して、また、魚でも捕まえて帰りましょう。
思い出はいつだって、みんなが来るのを待っている。
(33) toumi_ 2021/08/20(Fri) 23:20:57

【独】 陽は落ちぬ 夕凪

チリーン……風鈴の音が鳴ります。


「呼子ちゃんの話最近聞かないけれど、どうしているのかな」


「どう、なのかしら。私も連絡取れなくなってしまって知らないのよね。
 モモチくんも分かれたときはとても小さかったから心配だわ」


「なんだか二人には同じ者を感じてたな、姉弟がいるって……感覚」


「あのさ、いつか会えると信じていながら
 そのまま会えずに終わっちゃったらどう思う?」


「突拍子もないけれど、そうね。
 それは―――悲しいわ、ニュースを騒がす行方不明でも、殺人でも自然死でも。
 あなたがいたことが嬉しかったって伝えるすべがなくなってしまうのが悲しい」


「それって僕は死んでもいいってこと?」


「何言ってるのよ、夜凪。私たちは一緒よ、思ってもないことを言わないの。
 それで悲しむ人だって居るんだから。
 そうじゃないのよ、死んで悲しいんじゃなくて会えなくなることが悲しいの」


「夕凪、きっと僕は。
 君たちがいなくなったことが悲しくなると思う」


「それじゃあ、私は君にたくさん残していかないといけないわね。
 さみしがり屋の弟を持つと大変ね」
(-51) toumi_ 2021/08/21(Sat) 14:34:14

【独】 陽は落ちぬ 夕凪

チリーン……


「お兄ちゃんから手紙来てた!」


「本当! ふふ、今年もちゃんと来てよかったわ。
 電話でせかせばくれるけど、やっぱり忙しいのかしらね」


「夏は犯罪が増えるから忙しいんじゃないのかな」


「私たちより犯罪が大事? こんなこと言ったら迷惑かかるわね。
 さっそくお返事書きましょう。

 大好きなお兄ちゃんへ――あなたより魅力的な男性が現れないです。
 どうすればいいのかな? 私の心を奪ってやまないのです。
 だから夜凪と同じように人間観察をよくするようになりました」


「夕凪、それ本当に送るの……?
 じゃあ僕も、お兄ちゃんにラブレター書こうかな。
 お兄ちゃんへ。……添木くんみたいな黒髪の方がやっぱりモテる?」
(-52) toumi_ 2021/08/21(Sat) 14:35:52

【独】 陽は落ちぬ 夕凪

チリーン……

風鈴の音が鳴ります。




「雪子おばさんに教わったパンナコッタよ、夜凪!」


「夕凪慣れない料理は―――」


「私の向上心を叩き潰すのはよくないわ。
 雪子さんが6割つくったから味は平気よ」


「味噌汁ですらちょっと味付けぶれてるじゃん……。
 ちゃんとはかってさ。細かいところ面倒くさがらないで。
 どうしてそうなるのかを理解をするのが上達の一歩だよ」


「几帳面ねそういうところは。
 夜長さんはなにしてもうなずいてくれるって言うのに。
 晴臣くんもよ! 私の作る料理美味しいって言ってくれるわ!」


「僕の料理の方が数秒美味しいって言うの早いよ」


「言ったわね。
 今度どっちが美味しいかって言わせる勝負をしましょう。
 お菓子作りならまけないわ!!
 雪子さんの味で二人を落としてみせるんだから」



(-55) toumi_ 2021/08/21(Sat) 14:46:39

【独】 陽は落ちぬ 夕凪

「たまにはさ、……僕に美味しいもの作ってよ夕凪」

「何か言った? 夜凪」

「なんでもないよ。
 その場で感覚で生きている夕凪が好きだなって思ったんだ」

「あら、私も。
 どんなときでも几帳面でみんなを見ている夜凪が大好きよ」

「……」

「……」

「「ふふ。 知ってる」」
(-56) toumi_ 2021/08/21(Sat) 14:49:26
 




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