人狼物語 三日月国


102 【身内RP】泡沫に消えし夢の随に

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   チップケチらんと
   もっと渡しといたらよかったなぁ〜


[ 荒い息と流れ出る赤で衣類と肌を染めたまま
  大きな岩に背を凭せ、昼だか夜だかもうわからない
  空を見上げた。

  記憶の中の彼の口調を真似て戯ければ、
  いつかのドラゴンステーキを想う。

  重い瞼をゆっくりと閉じればにしし、と
  悪戯っぽい笑顔が瞼の裏に浮かんで、

  終わろうとする世界の片隅、
  西の山で、

  大事な友人の無事を心から祈った。 ]
 

 
 暗闇の中。
 音と気配だけを頼りに、横に飛ぶ。

 小さく、息を詰めて
 槍を握る手に力を込めた。

 世界は暗闇だというのに。
 相変わらず眠くて、身体は重くて。


 自分では気づいていないけれど、
 腕には黒い痣が広がっていた。

 けほ、と時折、咳をすれば
 こぽり、と口から何かが零れる。

 口の中が鉄錆のような味で気持ちが悪い。

 

 
 
 もう生きる意味などない。
 そう思うのに、身体は勝手に戦ってしまう。
 魔族の本能か、狩人としての癖なのか。
 

  「 燃え尽きろ!! 」
 
 
 血を吐きながら、叫べば
 炎を纏った槍で、対峙していた悪夢の化け物の
 頭部を突き刺した。

 はぁ、はぁ、と荒い呼吸と
 ぽたり、ぽたりと、血を流していれば、
 ふいに懐かしい顔を思い浮かべる。
 

 
 
  「 助け、に……こんままじゃ〜
    いけんよね〜 チップ返さんとかな〜? 」
 
 
 同族の青年。
 あの日、多く貰ったチップの分。
 彼を手助けする日は、未だに来ていなかった。

 にへへ、とわざとらしく緩く笑ったら、
 頬を伝うものを感じて、もう一つ笑い声を落とす。
 
 槍と杖にするように、大地に突き刺して
 大きく一呼吸すれば、見えはしないが、
 空を見上げて、祈った。
 
 
 大事な友人が、無事であることを――

 
 

 
 それから、森の匂いに誘われて
 木々の合間を歩んでいれば、ひゅーひゅーを
 隙間風のような音が微かに聞こえた。
 
 槍を構えながら、音に近づいた。
 
 
  「 生きてるヒトかな〜?
    生きてるなら、なんか話してくれんかな? 」

 
 慎重に進み、警戒をしながら、
 口調だけは、緩やかにそう告げれば、
 身じろぐ気配を感じた。

 だが、その人はもう、手遅れのようだった。
 もうすぐ悪夢の化け物になってしまうらしい。

 自分の意識がなくなる前に殺してくれと頼まれた。
 

 
 
 
俺は――――
 
 
 
 

 
 俺は、彼が望むままに、トドメを刺した。
 エルフの青年だったらしい。
 青年と言っても、恐らく俺よりは年上だと思うけど。

 こういうことは、よくあった。
 悪夢が蔓延るようになってから、何度もあった。
 
 仕方がなかったんだ。
 もうどうしようもなかったんだ。


 創造主様ですら、悪夢の化け物になったものを
 殺して浄化するしかできない。

 浄化したとしても、その人は元には戻らないんだ。
 

 
 
 
  「 ………… もう、疲れた、なぁ 」

 
 
 
 乾いた声が、乾いた風に乗って、      
 カサカサと、木々の葉を揺らしていた。**  

 


 
 誰もが笑い、誰もが幸せで、誰もが失うことのない
 美しいもので溢れた世界 ────

 そんな「夢」みたいな世界はやっぱり
 存在なんてしなかったんだ。


  

  大丈夫だ、私。
  まだ化け物にはならないよ。
  救わないといけない人が沢山いるからね。
  大丈夫だよ。


[ そう自分自身に言い聞かせる。
  徐々に侵食される世界の中でできることは
  あとどれくらい残されているのだろう。 ]
 



  いくら私が大丈夫だと言っても
  大丈夫にならないことは沢山あるのに。


[ 現在の侵食値:(69)1d100** ]


【人】 創造主 エルフェリール

 
[ 祭りの喧騒の中をゆったりと進む。

  声をかけられる度に、一度止まって
  手を振って、言葉を交わせば、また歩き出す。
 
  小さな子どもの頭を撫でて、ふわりと微笑めば
  幸せだと思う。泣く聲が聞こえたなら、近づくだろうが。

  その先に見えた白髪に、足を止めた。]
 
 
   …… ストル?


[ 私の夢守り、愛しい子。
  彼女は、確か神殿の中で別の仕事をしていた筈だ。

  良く似た色合いに首を傾げたが、
  良く見れば違うことは分かる。

  だが、本当によく似ていて、
  見つめる瞳は、いつもより慈愛に満ちていた。]
 
(20) 2021/10/21(Thu) 23:01:59

【人】 創造主 エルフェリール

 
[ それから、また歩き出す。
 
  丁寧に創り上げたこの世界。
  少しずつ、少しずつ、歪みが発生して。
  それをまた調整して命を削る日々。

  まだ大丈夫だ。
  これくらいどうと言うことではない。


  子どもと言うのは、過ちを犯すもの。
  きっと正していける筈だ。

  愛しい子らよ、光ある道をどうか
  これから先も、どうか進んで行って欲しい。

  この幸せな日々が、いつまでも続くように
  祈るように、願うように、
  愛しい色が混じる空を見上げていた―― **]
  
(21) 2021/10/21(Thu) 23:02:04

[ 歌い続けても、いくら歌っても。

  悪夢からは、逃げられないのです。

  悪夢の化け物に姿が変わったものを
  歌の力でもどせたらどんなによかったか。

  わたくしにできることは、生きている者に
  生きて、と生を願うように歌うことだけ。
  癒しを少しでも届けることだけ。


  それすら微々たる力にしかなりませんから。
  魔族の方に助けていただいた時は
  泣きそうになっていました。
  怪我を負わせてしまったと、無力さを痛感して。 ]

  



[ それでも、わたくしが泣き叫ぶことだけは。
  それだけは許されなどしないのです。

  だから、声を殺して、泣くしかできなくて。 ]

 
 


[ 今だって、そうです。
  創造主様の声が聞こえても
  声を殺して震えながら、目からあふれる涙を
  止めることなど出来はしませんでした。

  あの方は、ご無事でいらっしゃるのでしょうか。

  怪我をしていたら、どうしましょう。
  わたくしはどうなったって、いいから。


  ―――あの方に、生きていてほしい。
  

         何かに浸食(98)1d100
         されていく感覚を感じながら。
         思いをはせていました。    ]**

  


[ もともと日の光の下では見えづらかったのだから。

  額から流れる血が目に入って赤く染まる視界は
  もうどうでもよかった。

  瞼を閉じれば、宝石のような葡萄色が
  手に取れるように鮮やかに描けるから。 ]
 


[ 大人しく言うことを聞いて、種族の繁栄にでも
  とっとと励んでいれば
  この世界を蝕む悪夢から、護るための手を
  ひとつでも増やすことが出来たのだろうか。

  早く嫁をもらえ、と会うたびに口から炎を
  吐いていた母を思い、微笑う。

  母の言うことに反発するだけで、何ひとつ
  孝行らしいこともしてやれぬまま、

  この手で屠った、母のことを。


  愛しんでくれた恩を返すこともなく、
  かつて母だったモノの首を切り落とした時の
  ぐにゃりとした肉の感触が、

  いつまでも、いつまでも手に残って。 ]
 


[ 創造主の声が聞こえる。
  己が知るそれとは異なり
  凛とは言いがたいその声に、思わず顔が歪む。 ]



   わるいなぁ、
   主様、ちょーっと厳しそうやわぁ。




[ こんなにも、護ってもらうばかり。

  心底申し訳ないと憂う。
  その命を削って、残された者を護ろうとしている
  創造主の、
  最期の願いさえ、
叶えることは(71)1d100──────

 


[ レーヴは、どうしているだろうか。

  俺のことはもう、どうでもいいと思った。
  生き延びてほしい、一人でも多く。

  それから、
  ほんの銅貨1枚で頼めた義理もないのだけれど。


  足りへん分は、ツケでなんとかひとつ、
  助けてやってくれへんかなぁ、と
  自重気味に呟いて、嗤う。  ]



   ─── ……ユーラ、



[ 口に出して名を呼べば、吐息と共に
  焼けるような赤が、口端から溢れて
  蛆のように黒く変色した痣を染めた。 ]**
 

 
 
 創造主様が、守ろうとしてくれている。
 だというのに、生きる気力が湧かなかった。

 そんなことを思っていたから
 罰が当たったんだろうな。

 銅貨1枚分の奇跡だって。        
 本当は、貰えたかもしれないのに。    

 
 

 
 
  「 休む暇もないってぇのは、
    こ〜いうことなんかねぇ、鬱陶しい 」
 
 
 陽が落ちるにつれて、
 あたりはジリジリとした不快な音が多くなり、
 迫る気配に飛びのきながら、愚痴をこぼす。

 疲れたと、血反吐を吐いても、身体は勝手に動くんだ。
 
 だけど、そう。
 何かぬめるものを踏んでしまって、
 身体がぐらりと、傾いた。

 ぐ、と小さく呻いたところで、
 腹に、胸に、痛みが走った。
 
 

 
 
  「 ッ、ぐ……かッ、 」
 
 
 焼けるように熱く、痛む。
 そして、何かに浸食されているような気配に、
 嫌な汗が、額から流れ落ちる。

 

 
 
 
 このまま
ぬのか――

 
 
 

 
 
 そう思ったら、悔しくて。
 気づけば、呪文を唱えていた。

 今までで一番強い炎の魔法。
 
 
  「      」
 
 
 声にならない叫びの中で唱えれば、
 周囲総てを炎に彩って、すべてを
やし尽くして。
 
 

 
 
 
 俺が最期に見たのは、
 赤々と炎に炙られるように
 照らされた――――――― 綺麗な星空だった。**
 
 
 

 




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