人狼物語 三日月国


105 身内村

情報 プロローグ 1日目 2日目 エピローグ 終了 / 最新

視点:


到着:春野 清華

【人】 春野 清華



 これは、ありきたりな話。

 きっと、ごく普通に、ありふれた話。

 愛した人と、噛み合わなかっただけ。
 うまく、いかなかっただけ。
 誰も悪くない。わたしも、悪くない。
 彼も、悪くない。
 ただ、それだけの話。

 
(6) ななと 2021/10/28(Thu) 1:06:24

【人】 春野 清華


 
 仕事を終えて帰ると、そこには小さな画面に向けて
手を振るW彼Wの姿があった。
相手は桃農園で出会った家族なのだろう。
綻んだ顔で、画面に向かって語りかけている。

その横顔をただ黙って、見つめていた。

 別れの言葉を告げて、電源が切られる。
かたん、と音がして、そばにあった
コーヒーのカップを持ち上げる。

それは『彼』のでもなくW彼Wのでもない
来客用の───他人のための、もの。

 
(7) ななと 2021/10/28(Thu) 1:06:42

【人】 春野 清華



彼をこの家に連れてきたとき、その荷物の少なさに
驚きを覚えたものだけれど。
わたしが、何も知らない、何もわからない
彼のことを置いていったから。
あの日から今まで、彼の中で変わったことを
何を知ったのか、何がわかったのか
それすら知らないまま。
その荷物の少なさが、何かを物語っている気がして
ただそのなにかがわからなくて、
わかる、とはおもえなくて。

いまだにその距離を計りかねている。

 あの日別れを告げた彼にもう一度出会って。
どうしようもなくまた、焦がれてしまった。
ああやはり、私は《彼》から、離れられない。
そこから動くことができない。
触れたい。この人のことを、愛している。

 
(8) ななと 2021/10/28(Thu) 1:06:59

【人】 春野 清華



W彼Wが『彼』と同じでないことはわかっている。
脳では理解していても、感情は追いつかない。
奇妙な感覚だ。わたしはあのとき、あの場所で
再び出会ったW彼Wを愛していると、
確かに言えるはずなのに。
『彼』のことも、未だに愛している。
忘れられるわけがない。
それが膿んだ傷だとしても、一生。

その横顔から視線を落とした。一歩踏み出す。


 「ただいま」


そう、声をかけた。

夢を見る。
おなじ、夢を見てくれる。

私と彼は今、どんな、関係なのだろう。*

 
(9) ななと 2021/10/28(Thu) 1:07:17

【秘】 ろぼ先生 夏越 清正 → 春野 清華

[妻の中には、確かに“僕”がいる。
 しかし、彼女の心の中には「僕」もいる。

 辛い記憶が付けた傷ごと消えてしまえ、
 “僕”こそが彼女を愛しているのだから、と。
 何度打ち消しても、男の脳裏には
 時折そんな言葉が浮かんだ。

 でも、もう絶対に口にはしない。

 彼女が男に心の自由をくれたのと同じように
 男もまた彼女の心に自由をあげたい、と。
 大事な人達を持ったことで、殊更強く
 そう思うようになったから。]
(-2) シュレッダー 2021/10/28(Thu) 3:35:42

【人】 春野 清華


 振り返って笑う、そのふにゃりとした表情を。
わたしはかつて、暮らしていたその人の
そんな表情を、うまく思い出せなかった。

思い出せないのならば、見ていないのと同じだろうか。
……それとも、思い出せないのではなくて、
本当はそんな表情、見せてくれたことは
なかったのかもしれない、とさえ。

 
(14) ななと 2021/10/29(Fri) 1:04:13

【人】 春野 清華



嬉しそうに、楽しそうに話してくれる彼に
こちらも微笑みを浮かべて頷き返す。
 
その内容は確かにW彼Wの見つけて手にした、
大切な大切な日々のかけらだった。

W彼Wと「彼」が別のひとなのだと実感するたび
重ねてしまう罪悪感がつきんと痛む。
わかっているのに、うまく処理できない。


 「うん、そっか、いいね、」


 一生懸命話してくれる彼に微笑みを浮かべて、こくこくと頷きを返しながらエピソードを聞く。
その間も、つきん、つきん、刺すような痛みが。


 「あ……うん、順調。
  おいしかったって、好評だったよ」


 そう微笑みかけてから、彼の話を促した。
(15) ななと 2021/10/29(Fri) 1:04:32

【人】 春野 清華


 ふと、彼の言葉が不自然に途切れる。


 「うん?」


 首を傾げてそちらを見れば、落とされた視線に
釣られるようにして、そちらをみる。
そこには他人用のマグカップがひとつ。
言葉を待って、それから微笑み返した。


 「……もちろん。…大丈夫、明後日お休みなの。
  マグカップ、買いに行こう。」


*
(16) ななと 2021/10/29(Fri) 1:04:59

【人】 春野 清華




 名前のない関係を、私たちがどうしていくのか
それは、きっと互いにしかわからないこと。
それでいて、今はきっと、どちらにもわからないこと。

計りかねた距離が、この奇妙な関係を曖昧にする。
夫婦でも、友人でもない。名前をつけるなら、
W恋人Wが近いのかもしれないけれど、
そう呼ぶにはずいぶんとぎこちなかった。

「彼」との関係を進めた時、わたしは、
一目散にそちらに向かって走ることができたのに
今は、それがうまくできそうになくて。
それがどうしてかと尋ねられれば、
あの日々のことが……
───いいえ、それに繋げてしまった、
きっと、自分の中の何かがまた、W彼Wを
苦しませてしまうのではないか、と
思ってしまうからかもしれない。


(20) ななと 2021/10/30(Sat) 7:07:19

【人】 春野 清華




あの日々の中、わたしも苦しかった。
彼もきっと、苦しんでいた。
何一つ、生み出さないあの時間を、
ただ互いに削り、疲弊し、枯渇したあの時を
また、繰り返すのだけは恐ろしくて。

彼のことを解放して、
私も自らを解放したかった、のかもしれない。
それがただの自己愛で、彼にとっては
苦しめるだけになるとわかっていたのに。


(21) ななと 2021/10/30(Sat) 7:07:38

【人】 春野 清華



 微笑みを返すと、彼が子供のようにはしゃぐ。
「ずっと欲しいの」という言葉に、唇を結ぶ。 

また、気づけなかった。W彼Wの求めるもの。
あの頃のように、W彼Wは手を挙げることはない。
同じ顔。おなじ、声。同じ背丈だけれど、
彼はその人じゃない。
W彼Wは怒鳴らないし、手を上げない。
それでも、私が気づかないことばかりが続けば
いつか、その手が振り下ろされるんじゃないかと
フラッシュバックして身構えることもある。
頭では理解しているのに、この人は、
きっとそんなことしないって、わかってるのに。
どうしたって求めてしまう。
「彼」に望まれた自分になれないかと、いまだ。
囚われて、ばかりだ。

 
(22) ななと 2021/10/30(Sat) 7:07:59

【人】 春野 清華



 伸ばされた手が、頬に触れる。
滑らかで、柔らかなその熱に、眉を上げた。
問われた事柄に、ぱちぱちと瞬きをして、
それから結んだ唇を解き、返事の代わりに目を閉じた。

優しく触れた唇に、少しだけ肩が上がる。
離れれば、薄く目を開いて、まつ毛の隙間から
彼の顔をじっと見つめる。
いまだ、計りかねる距離を縮めたいとは
ずっと、ずっと思っていて、だから。

包み込む。手の甲に自分の手を重ねて
軽く頬を寄せ,目を閉じる。

いつだってそう、優しく問いかけてから触れるのは
彼もきっと、計りかねているから。


彼は、『ヒトではない』はずなのに。
どうしてこんなにも優しく、あたたかいのか。


 
(23) ななと 2021/10/30(Sat) 7:08:28

【秘】 春野 清華 → ろぼ先生 夏越 清正




  わたしはね、あなたを愛してる。


    
───WあなたWを愛したいの。



 
(-4) ななと 2021/10/30(Sat) 7:09:20

【人】 春野 清華




ゆるく、口許は弧を描く。
ゆっくりと瞼を開いた。


 「ねえ、清正くん」


やり直すわけじゃない。
ただ、もう一度。
ただ、───何度でも。


 「明明後日も、お休みにするから、
  どこかに泊まって、小旅行、しない?

  場所は、清正くんの行きたいところがいい。」


 あなたとの思い出を重ねたくて。*

 
(24) ななと 2021/10/30(Sat) 7:09:57

【人】 春野 清華



 彼の喜色を帯びた表情に安堵する。
ほ、と胸を撫で下ろして、それから笑んだ口許。


 「もちろん」


とつぶやいてひとつ、頷いた。
彼が唸る。考え込む様子をみていたら、
出た結論に、また唇は少し弧を描いた。

 
(31) ななと 2021/10/30(Sat) 18:39:05

【人】 春野 清華




 「そうね、温泉あるとこに、しよっか」


別にビジネスホテルが悪いわけではないけれど、
せっかくの旅行なのだから、少しいいところに
泊まったってきっとばちはあたらない。

わたしがリクエストしたのはただそれだけ。
あとは、彼にお願いしておいた。
───無責任かもしれないけれど、
わたしは、彼の行きたいところに行きたくて。
彼の、みたい景色が見たかった。

ろくに遠出もできなかった『彼』への
せめてもの、償いだなんて思ってない。
ただ、わたしはW彼Wの目から見た世界を
「彼」じゃないその世界を、知りたい。

 ささいな仕草を見ていると、あの頃よりも
ずっと、「彼」とはちがっていて。
W彼W自身がちがうひとになっていっている
そんな気もしてくる。
それにどんな感情を抱いているのか、
わたしには自分でもよくわからなかった。

 
(32) ななと 2021/10/30(Sat) 18:39:24

【人】 春野 清華


 そんな、翌朝。
つけっぱなしのテレビをとくに真剣にみるわけでもなく
スマホで天気を確認して、コーヒーを啜っていたら
彼が声をあげたから、わたしも小さな画面から
顔を上げて、そちらを見た。

ぱちぱちと目を瞬かせ、指されたテレビの画面には
それはそれは立派なもやしの料理がうつっていて。
首を傾げて、まるで麺のようなそのもやしを見る。


 「これが、食べたいの?」


 たしかに、珍しそうではある。
正直、もやしにそこまで心惹かれるかといわれると
それは残念ながら否、ではあるけれど。
それでもそれが、彼のしたいこと、ならば
断る理由などひとつもなかった。

 
(33) ななと 2021/10/30(Sat) 18:39:37

【人】 春野 清華



 「……うん、いいよ。
  じゃあ、青森、行こうか。」


と微笑みかけて、コーヒーをまた一口。


 「普通のもやしなのかなあ……」


リポーターの頬張る料理を見つめながら
ぼそりとこぼす。
おばけもやし、とでも称されそうなその大きさ。
そばもやし,と呼ばれているのを知って、
麺類というのはあながち間違ってなかったな、
なんて考えながら。
み青森って他に何があるんだろう。
青函トンネルとか、りんご?」と、それはそれは
薄い青森知識を頭の中で巡らせた。*

 
(34) ななと 2021/10/30(Sat) 18:39:49

【秘】 ろぼ先生 夏越 清正 → 春野 清華



  
例えば旅先で素敵なものを見つけてさ、
  それを使って美味しい料理を作ったら、
  もっとお客さんが喜んでくれるんじゃないか、って。

  “僕”だって、君の夢の続きが見たいんだ。


 
(-7) シュレッダー 2021/10/31(Sun) 13:48:27
 




情報 プロローグ 1日目 2日目 エピローグ 終了 / 最新

視点:


トップページに戻る


←↓■□フィルタ

注目:清華 解除する

生存者 (2)

清華
16回 残----pt

 

夏越 清正
9回 残----pt

すきすき

犠牲者 (1)

とある書物(2d)
0回 残----pt

 

処刑者 (1)

VI(3d)
0回 残----pt

 

突然死者 (0)

舞台 (0)

発言種別

通常発言
独り言
内緒話
囁き系
死者のうめき
舞台
置き手紙

一括操作




発言種別注目






















(0.13 CPUs)
運営 moonpupa
人狼物語 by あず/asbntby
人狼議事 by ななころび
トップバナー画像 by naomyplum
人狼物語画像 by Momoko Takatori
Schwarzwald(黒い森) by hagios
トロイカ TYPE:А / 哀愁のタタロチカ by かえるぴょこぴょこ/あさくら
ようちえんせんき かりんか / ハロリンカ / 凍れる水車 by かえるぴょこぴょこ/あさくら
霧雨降る街 / 少し大きな霧雨降る街 / 蒸気満ちる宴 by きりのれいん
メトロポリス / バビロン / ギルガメッシュ / Valhalla by すむろ水
ひなだん by hinaki
壱番街 / 壱番高校 by 壱猫[onecat]
外道大戦 by mtmt
都道府県キャラセット by kairi(企画代表)
繋<つなたま>魂 / 班帝家の一族 / H)SOCIUS(A by めいあ
もふぁんたじぃ / もふぉれすと by ほのゆる
Cathedral / 学園Cathedral / Grand Cathedral / 学園Grand Cathedral by Izuya
夜月町 by 夜月けい
南区 / 古今東西 by 南
IRO-COLORE(いろころる) by Izuya, 南
お茶会 / 演奏会 / 花見会 by ゆひろ
GNL / GNL+ by guiter-man
ジランドール / イルミネーション by may-co
シキメグリ by afinter
-汝人狼也-人物画 by 878, かんこ
closure / closure' by 閉
Emoricu / Cumorie / 黎明街 by milk_sugar
ワンダーズ言戯団 by pike
宝石箱《Jewel Box》 by 宝石箱制作委員会
文明開化 by sin
カティサーク by apricot with y_hyuga
月狼学園 / 人狼署 / 狼達の軍歌 by apricot
花一匁 / 桃酔郷 by さね
po!son / Girl's Talk by pure_g
madparty by シロクマ
rhizome by CH3COOH
曲芸会 / 曲芸会Hello! by otokasa
AtoZ by 築
瑞洋館 by ういろ
LastSunday / HeaVen by 志摩
かくりよ by plmi
桃色concerto by 桃昆布
狼兎 by クロマ
人狼ヶ谷学園の放課後 by 竜山明日佳
bAroQue / tradimento by souya
Bokuyume. by 卜部
FGOキャラセット by 有志一同
魔法少女は眠らない by 魔法少女チップ企画
Liberte by みぃな
噛志野医院 by manamiz
メギド人狼 by メギドチップ企画
absolventi by ぶんちゃん
歳時抄 by 小由流
文アルセット by 文アルセット企画
荘園パック by ARC(企画代表)
Friends by 真知
城下町の酒場 / 大神学園 by じっぷ
エッグ by 朧恩
ぐれすけ・ぷらす by 純
ニューホライズン by youden
バーバチカ / プトロレ by たべ
ユメツナギ by 天瀬春日
StarGazer / LittleStar by CONBE
御常紀学園 by HS_29
オハナシノクニ by オハナシノクニ制作委員会
Fragment of Jewels by 粉海月
花園女学院 / 他種族孤児院 by はこみ
xxxx組 by サイコ瓦
おりふし学園 by めんるい
Fairytale Syndrome by hTuT
Salute by むくっこ
Le parterre by イヌバラ
Troopers by 人類管理連合
お野菜キャラセット画像 by 無料素材倶楽部
Siuil a Run by 匈歌ハトリ
紫煙をくゆらせ by 空砂
RocketPencil by 山本羅刹
エトリエ / エトリエ・戦国 by とり
ボワボンボン by あとらそふと
古の迷宮 by とり夫
JEX Online by katarazu
煌夜の決闘 by ジュエルセイバーFREE
こだわりアイコン by fatcow
トランプ画像 by しろま空間
リンソン by moonpupa