『今度の連休、デートしたいな。

　　　よかったらお泊り付きでどこか行きたいけど、

　　　ダメなら普通に遊びに行きたい。』



［　一目惚れしちゃった女の子をデートに誘うって、
　　こんなにハードルの高いものだったのかとふと思う。
　　メッセージを送信して、相手の名前を見るだけで
　　顔が綻んでいく姿はただただおかしな人間。

　　けれども、それを気にしないくらいに、
　　1つのやりとりが自然と唇を緩ませて行く。
　　もしどちらかにOKが来たなら、
　　どういうところに行きたいか聞いて、
　　デートプランを軽くでも提示して準備を進めて
　　彼女に会う当日を楽しみに授業を受けた。　　］*

［　“デートできるの嬉しい” なんて天に舞うしかない。

　　初めて出会ったのは兄の家。
　　可愛いだけじゃなくて、芯が通ってて、賢い。
　　惚れ込まないわけがなかった。
　　一筋縄ではいかないからこそ、会話も楽しくて。　］


　　次の日は予定あり、ね。水族館か……。
　　アフタヌーンティーとか好きかな。

　『それなら、ここでアフタヌーンティーからどう？

　　この水族館のナイトショーが綺麗なんだって。
　　　
　　ベッド、1つでもいい？それともやっぱり2つ？』


［　アフタヌーンティーのホテルで泊まりたいことも添えて。
　　つまりプランとしては、ゆっくりお昼に待ち合わせ。
　　アフタヌーンティーを楽しんで、チェックイン。
　　そのあと近くにある人気の水族館へ。
　　夜まで満喫したら夕食もどこかで食べて部屋に。
　　彼女の用事に間に合うようにチェックアウトして
　　見送りができるかな、くらい。

　　ホテルや水族館のURLと共に、上目遣いな犬のスタンプ。
　　こんな顔で画面の奥で返事を待ってる、と
　　暗に示ていたら、優しい彼女は笑ってくれるはず。　］

　　楽しいデートにするために、課題……。
　　兄さんに見てもらおうかな。


［　彼女に会うまでの時間がそんなに遠くないはずなのに、
　　亀の歩きのように遅く感じられたと、
　　兄の家に遊びに行った時に話したら、
　　兄が笑っていたことが記憶に新しい。　　　　］


　『待ち合わせは駅前ね。

　　当日の服装は朝写真送るよ』

*

　『じゃぁ、決定だね。予約しておくよ。

　　流れでOK出してくれるかなって期待？

　　ちゃんと2つで取っておくね、安心して』


［　流石にダメだったか、と返事を見て笑い
　　きちんとツインでホテルの予約を取る。
　　その代わり、いい部屋取ったから
　　驚いてくれるといいな、と淡い期待を抱いて。

　　彼女からの提案にすぐ答えられるよう、
　　元々からデートスポットを探していたので
　　いい反応があると誇らしげになりやすい。
　　だからそれは気をつけるように、と
　　兄から言われていることをふと思い出す。　　］

　　
　　ダメダメ、謙虚にいかないと。
　　でも…少しは押すことも大切だよな。


［　駅前の目印を伝え、返事が返ってきたので
　　もう彼女から連絡が来ることは当日まで
　　ないかな、と集中しようと思っていると
　　画面が明るくなったので中身を確認した。　］