人狼物語 三日月国


150 【R18G】偽曲『主よ、人の望みの喜びよ』【身内】

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マユミは、カナイを待っています。きっと、約束をした場所の傍で。
(c0) shell_memoria 2022/06/06(Mon) 22:50:37

【墓】 神の居ぬ間に弓を引こう マユミ

>>0 叶

叶は容易く、その気配を見つける事が出来るでしょう。
場合によっては、あなたを呼んでいるようにすら。
静かに、しかし体中を軋ませて、待っているのです。
そして、いくつかの角を曲がった先に、それは居ました。

みし、ぱき。骨で形作られた片翼と手足が軋みます。
その中心で俯いていた顔が微かに上がり、
そして安堵の顔を見せました。
タブレットは足元に落ちていて、
骨の足の長さのせいで半ば浮いている少女に
それを拾う事は出来ないのでしょう。

だから、視線をあちらこちらに送るだけ。
和装が溶けてしまったせいで露わになった上半身。
両肩から肘までは、檸檬色と葡萄色の結晶に覆われています。
そして胸元をぎちぎちに締めているサラシの上部から、
鎖骨の上辺りまでを血の色をした結晶が守っているようです。


だから、口をはくはくと動かすだけ。

「よかった」


だから、涙を流すだけ。

「きてくれた」
(+0) shell_memoria 2022/06/06(Mon) 23:03:28

【墓】 神の居ぬ間に弓を引こう マユミ

>>0 >>+0

そして、そして――それだけです。
少女は静かに待っています。
ただ、骨と結晶が軋む音が徐々に大きくなっていくでしょう。

今は、抑えているだけで。
少女の大部分は、考えているのです。
『変わりたい』
と。
その為に……あなたのすべてをたべてしまいたい、と。
『あなたになりたい』
、と。

少女は、あなたを待っています。
約束を果たしてくれるのを、待っています。
(+1) shell_memoria 2022/06/06(Mon) 23:09:02

【墓】 神の居ぬ間に弓を引こう マユミ

>>1 >>2 >>3

みし、ぱき、ばき。
骨の身体は、両の前足がゆっくりと、地面に向かっていきます。
四足歩行の構えをとろうとしているのでしょう。
震えながら、至極緩やかな動きで。

肉の身体は、たったひとつ。
ためらいと、かなしみと、あなたへの期待と喜びを込めて。
静かに、微笑んで。頷いてみせました。

「ころして」


確かにそう口が動いて――骨の前足が、地面に着きました。
ばき、べき。少女は、弓を引きました。
その向こうが神か、運命か、あなたかはわかりませんが。

次は、あなたの番です。
(+2) shell_memoria 2022/06/06(Mon) 23:44:40
マユミは、その大きな骨の手足と翼の根元を、結晶で補強しているようでした。
(c1) shell_memoria 2022/06/06(Mon) 23:44:49

【墓】 神の居ぬ間に弓を引こう マユミ

>>4 >>5 >>6

あなたの独白。あなたの想起。
あなたの決意。あなたの――あなたとの、約束。
それらを聞き、想い、抱いて……

放たれた矢のように、その四ツ足は床を蹴りました。
あなたの全てを磨り潰して、啜る為。
愛しい人の胸に飛び込むように、跳びました。
その瞬間、あなたの目にはしっかりと。

血色の結晶が映っていました。


そしてそれは、激しく爆ぜるのでしょう。
空気を震わせて。身体を砕いて。その少女を壊します。

ぱき、ばき、と音がして。
それが肉体からか、結晶からか、骨の手足からか。
判別は難しいのでしょう。ただひとつわかる事は、
あなたの前には、結晶も、骨の手足も。
剥がれ落ちた血塗れの少女が転がっているという事です。
(+3) shell_memoria 2022/06/07(Tue) 1:40:36

【墓】 神の居ぬ間に弓を引こう マユミ

>>4 >>5 >>6

少女は、実にあっさりと、死んでいました。
きっと殆ど痛まなかった事でしょう。
きっと苦しまなかった事でしょう。

幾分か軽くなった少女が、
軽くなった分だけ血を床に広げて動かなくなっています。
その顔は、苦しみも、恨みも、つらみも、持っていません。

ただ、微笑んでいました。
最後に微かに動いた唇は、筋肉になんらか、
電気信号が通っただけかもしれません。
それでも、それを信じるなら――
『ありがとう』

たしかに、そう言っていたのです。


唯一、後に残ったのはつけっぱなしのタブレット。
きっと、少女がそうなる直前まで手にしていたのでしょう。
幾つもの変わりたい願望や、呪詛めいた言葉が沢山。
テキストファイルにいくつもいくつも、連なっています。

ずっと蓄積したそれらの末尾、一番最後の空白。
沢山の改行はきっと、その感情から遠ざけたかった言葉です。
そこに――
(+4) shell_memoria 2022/06/07(Tue) 1:49:13
マユミは、カナイに向けて。『いきて』と、遺しました。
(c2) shell_memoria 2022/06/07(Tue) 1:49:48

【墓】 神の居ぬ間に弓を引こう マユミ

>>7 >>8 >>9 >>10

あなたの背か、胸か、腕か。
運び込む際に触れた場所に、少女の血が付着します。
それが血色の結晶になったりはしません。
ただぽたぽたと、水音だけを残して寝台に横たわります。

微かに開いていた唇は閉じられてなお微笑みの形で。
薄い透明な液が通った跡が残る目元は穏やかなまま。
死んだ人間はきっと、何も語らないから。

だから電気を消してしまえば、そこにはもう闇だけ。
日向のような明るさはすっかり、消えてしまいました。
それでも……もし、暗く塗り潰される想いの下に、
この少女の生命が残っていたのなら。
神というクソッタレ

  運命  に向かって弓を引く、その誇らしげな顔が、
きっとあなたの隣に立っていたのでしょう。

だから、いつか陽がまた日が昇るのなら。
その時は、あなたと同じ日向に居させてくださいね。

それじゃあ、おやすみなさい、なのです。
(+5) shell_memoria 2022/06/07(Tue) 10:16:58
(c3) shell_memoria 2022/06/07(Tue) 10:27:38

【独】 神の居ぬ間に弓を引こう マユミ

/*
『叶様がメチャクチャ心配なのです。
 というかあの人無茶しすぎなのです。
 一回甦ってビンタしに行ってやりたいのです。
 勿論自分の事はスカイツリーの棚にあげたのです。
 ですがここで起きるのも無作法というもの……』

「というか普通にあの世胡乱時空だと喋れますが。
 テレパシー内でも喋れますね。
 本当は喉を変容させて叶様とお喋りとか
 したかったんですけどね。でもそれすると今だと
 叶様と同じ声になっちゃうんですよね。こわい。
 喋れない方が状況的にも美味しいと思いましたし、
 後悔はしてません。でもいつか自分の本当の声を
 手に入れる時があったら叶様と喋れたら嬉しかったですね」

『うーんテキスト入力のがやっぱ落ち着くのです。
 猫被りすぎて猫になってしまったのです?
 まあにゃんと言ってるのは叶様の方で
 僕はわんになっていましたが。
 書いた通り勿論モチーフは叶様の愛犬様なのです』

『暇だからってシリアスの裏で独り言言うもんじゃねーです』
『死体として大人しく……
 叶様のくれた慈悲を抱いて静かにしているのです』
(-42) shell_memoria 2022/06/07(Tue) 19:31:31

【独】 神の居ぬ間に弓を引こう マユミ

/*
『はぁーーーーーーー……』
『西に行くからって黄昏にならなくともいいでしょうに』
『大バカヤロー、なのです』
『あの世で会ったら20回くらいデコピンするのです』
『少なくとも僕は地獄行きなのです』
『叶様も地獄に行くならまた会えるのです』
『それはそれとしてぷんぷんなのです』
(-46) shell_memoria 2022/06/07(Tue) 22:52:20

【独】 神の居ぬ間に弓を引こう マユミ

/*
『そりゃ勿論ぷんぷんなのです。
 あたりめーなのです。
 コーラを飲んだらゲップが以下略なのです』

『でも、まあ、』
(-47) shell_memoria 2022/06/08(Wed) 0:36:27

【独】 神の居ぬ間に弓を引こう マユミ

/*
『かっこよかったのです。
 よく頑張ったのです。
 いいこいいこするのです。
 それから――ありがとう、なのです』

『おやすみ、なのです』
(-48) shell_memoria 2022/06/08(Wed) 0:38:10
 




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