「時間ですね」
いつも通りの素振りで席を立って。
「行きますよ、シャト」足を処刑室へ。

「……なるほど」

結果を見て、呟く。
処刑室へ、軽くふわふわとした踊り出しそうな足取りで向かい。

「歌は必要です？」

できる限り、に。死なないように頑張る、その中に。
歌による高揚は必要だろうか、と。

声を発する。しかし、いつもよりずっと大人しく。
そのくせ透き通りよく通る声は、高揚というよりはやる気を僅かに引き上げる効果を含み。

歌い出す。静かながらも通る声で。
神聖で、厳かで、優しく、。
そんな鎮魂歌だ。

いつもの楽しげな高揚、というよりは、真剣さを聞いたものに与える声だろう。

「…………。」
真剣に人を殺したことがないわけではない。

だからって真剣に考えるほど、考える程に身体は動かなくなる。
そもそも処刑とはなんだ？毎日人を殺す必要性は？看守の必要性は？無礼講に必要な物とは？

すべて考えて、何を考えているかもわからなくなって、振り返ると、怪物かわいくておさないこどもがいた。

>>+1　ミズガネ

結果を一瞥し、いつも通り……少し出遅れたが処刑室に向けて歩き出す。頭には鳥も乗っている。
その途中、見慣れた青を見てつい声をかけた。


「なにやってんのそんな所で。入んねえの？
怖いならあそこのレヴァティみたく離れまくってていいんだぜ。絶対参加でもないからな」

肩に軽くポンと励ますように手を置こうとして、それを成否に関わらず部屋の中に向かおうとする。

>>+19　ミズガネ
「随分素直だな……鳥を置いていくんじゃ駄目か？
　明日は宇宙トカゲが「痛え！」

いつも通りの漫才、もとい変に不器用で察しの悪い弟に姉が怒っているみたいな図になっている。



まだ駄目だった所がわかっていないようだが、掴まれた手を振り解くことはなく、戻ってきて貴方の隣にしゃがんだ。

「守ってやってもいいけどよ、俺弱いぞ？」

>>+21　ミズガネ


「くそ〜…なんか「そうだ！」って納得しあってやがる……捻くれてる奴を相手にするのも多いから感覚が狂うんだよな」

同じようにしゃがむ貴方に視線を向けると、クロも貴方の肩に飛んでいく。守ると言いたげに少しだけ膨らんで体を大きく見せた。

「お前ね……。ま、いいぜ別に。実際死んでも何とかなるのが俺らだ。本当に精神に来そうなレベルなら肉壁の一つや二つはなる。そん時はちゃんと真っ先に逃げろよ。強めの奴んとこ逃げ込め」

「…そう、本気でやるのが望みみたいですね」
大きくなって駆け回っている愛犬を、暫しながめる。
大きくなっている愛犬だ。獣の本質は何も変わっていない。

「それが貴方の意志なら…上に立つ者として、応えなくてはいけませんね」
取り揃えた武器の一つを取り出して───。

それから愛犬の視界に映りこんで。
い一滴に濡れた刃先、大鎌を揺らす。誘うように。

>>+26 ミズガネ
「はあ〜〜？看守様に合わせろや〜？
まあ出来る事に越した事はないけどね……。俺あんまわかると、持ってかれそうだから。変に捻じ曲げはしないけど、努力しようとはしないの」

何を持っていかれるか。今もクロと言う名前を付けるのは許したのに、本人が呼ぶことがない事から、薄々察しが付くだろうか。

「強めはそりゃお前より強い奴だよ。要は誰でもいいから駆け込め。優先は現場から離れる事だが、無理な時の話な。突っ込んで泣いて懇願すりゃ大体は見捨てられないだろ。多分」

なんて事を語り合いながら、外で時間を過ごすだろう。
ちなみに、出てたら豆鉄砲^armsで戦ってた。

言葉にもならないことを考えていた。
過去のことも未来のことも考えていた。
叶わぬ夢と治らぬ病を考えていた。

「……っ！」

でもちゃんと向かってくる爆弾のことも見えていた。処刑対象のことも見えていた。
これだけ考えていたのに前回より、その前より

「…………。」
大きく跳ねて、横に転がった。
爆風で更に兎みたいに飛んで、人間のように着地した。
でも、まだ我はあり、処刑対象が見え、身体は痛むけど問題はない。　なくなったわけではない。

少し痛む足で、猟銃を取りに歩いていった。

そう、急いでまだ使ったことのある武器を手にした。
それは確かに自分の好んだ懐古主義の獲物だが、同時に自分の使ったことのある武器の中では一番その獣を倒すのに最適だった。
サーベルほど気取っていないし、斧ほど振り回されることもなかった。それが猟銃だった。

待つという程にはそんな時間はなかったが、それでも一瞬の考える隙間はあった。
狩りの得意な子供に教えられたとおりに待った。

自分はきっとあとからまぐれだと言うだろう。
そう真剣なほどに冷静に、その空中で動いて跳ねている時ではなく地面に落ちて止まるその一瞬を狙った。

一発。

爆音、銃声。目に入る攻防、飛び散る。
全て視界に収めているのに、意識に上るまで時間がかかる。



ヒールの音が聞こえて、やや遅れて視線を移す。
今まで処刑には参加しなかった姿が見えた。



歌は途切れない。止めるつもりもない。

うたう、うたう。
歌の歌詞と乗せる力が一致するとは限らないように、この歌と男の考えが一致するとは限らない。


けれど、餌に食いつく獣を見て。撃ち込まれる電撃を見て。
戦いに疎い自分にすらこれは『好機』なのだと知れた。

今動けるのは誰だ？そして、戦うことができるのは？

「──立ちなさい、シャト」
薄らいでいく意識でも聞こえるように。
「まだ、ニアの相手が終わっていませんよ」
いくつかの武器を紅く揺らしながら、待つ。こちらに来い、と。

「ニアを待たせるなんて、とんだ飼い犬がいたものです」
「そこで力尽きるような貴方"シャト"ではないと。示すのでしょう」

知っているだろう。皇ニアはスパルタだ。
足掻け。生きろ。でなければ、
「生命を、強さを」

が監視者の手から、解き放たれた。
命の最期まで、走り抜けると意志を示した。

1つ2つ、3つ。。
軌道は真っ直ぐで分かりやすいが、避けるであろう先に投げられている。
壮健な頃では致命にはなるまいが、今ならば1つ受けるだけでも意識が揺らぐだろうか。

貴方がどう切り抜けようと、貴方が銃器でなくその弾丸である限り次はだ。
地を這うように広範囲を薙ぐ刃は、まともに喰らえばその命を刈り取るだろう。

大鎌の間合いを抜ければ、すぐさまそれを放って武器を。


力を認め、生を認め、存在シャトを認め、ゆえに殺す。
それが"シャト"の主の、皇の務めならば。

生に食らいつく牙、生に突き立てる爪。
その意志は数度の剣戟の末、曲剣を砕くだろうか。

「────っ、ふ」
「…良く出来ました、シャト。」
微笑みながら…褒美とばかりに、右腕を差し出す。

貴方が喰らいつこうと牙を剥き、顎を開いたのを見計らって。
差し出した右腕を、

貴方がそれを咀嚼するよりも速く、小さな獣の喉奥に自分の爪を立て、。
口腔から噴き出すは、貴方のものと自分のものが入り混じって───

喉を潤した雫が…そのまま貴方を、安楽に導く。
苦しみはない。あるのは、抱きかかえるようにして添えられたもう片腕の温もりのみ。

「────最期の晩餐には、これ以上ないでしょう」
「今日はもう、おやすみなさい。貴方はよく働きました」

何が起こったのか、傍目には分からなかった。
齧り付いて、血を飲み下し、そこで力尽きたように見えた。

止めてしまった歌を、今尚止めたまま。
ずるりと力を抜くようにその場に座り込み。

「」

はた、と周囲を見渡した。

「──喉から内臓にトドメを刺しました」
嘘ではない、くらいの弁明をして、食いちぎられた右腕の残骸引き抜く。

「…前回やられたのも右腕でしたね。逆にするべきだったでしょうか」
どうせ新品にするなら…とぶつぶつ言いながらも、左腕は添えたまま。

「看守、どなたかこの子をお願いします。ニアは…自分で行きましょう」

>>+57　細い隙間からの貴方
「」

いつも通り、貴方も何度か見た通り、へたり込んでるし声がカスッカスになっている男が答えた。声出てないが。

「」

それとなく指摘。

「」

ボロボロには変わりなく、死んでいるように見えても仕方ないかもしれないヴェルクを見て、動くのを見て、細く息を吐いた。

言葉の意味は、どうとでも取れるだろう。

>>+59　ヴェルクさん
「」

カスッカスの声でそんなことを言う。
貴方の血に塗れたとしても、近くにまで寄って。

「」
「」

きっと自分より遥かに頑張ったであろう。その証拠にこんなにボロボロだ。
労いの言葉は、そのまま貴方に返した。

>>+60　安全地帯さん
確かにそこが一番安全。いつとばっちりくるか分からないからね、処刑室内。

「」
「」

軽く手を開いて無傷をアピール。

>>+61　ヴェルクさん
「」



「」

立っていられなくなったから這った。それだけだ。それだけの意識だから、貴方の言葉にはあまり納得いっていない。
笑う様子も然りだ。なんで笑ってるんですか、なんてもう口に出しはしないが。

「」

素直な様子ににこやかに笑ったところで、かわいそうな怯え人が呼ばれたのに気付いた。あーあ。


>>+62　宿屋の主人
「」

スササッ！になっている様子に思わず笑った。
すごいビビってるなぁ。

戦えもしないのに平然と処刑に加わり、終わってからものんびりその場で休む方がおかしい気はする。大丈夫、ちゃんとそんな気はしてる。

「……あーあ、終わった終わった。」
猟銃を手放さないまま、また尻餅をついた状態で、そう言ってみた。
吐き出した声も震えているので、うまく言えたかもわからない。

>>+56　治療申請
「僕は歩けるけどどうせなら連れてってほしいなー」
怪我は痛い程度のはず。実際、猟銃を杖にして立ち上がれた。

ふらりと死者の前に歩み寄り、俯き目を閉じる。
そのままで何秒か静止したあと、また顔を上げた。

「なんで人狼ゲームなんだろうね。なんで囚人なんだろうね。」
真剣さが抜けきらないまま、治療で運ばれていくか自分で歩いて治療室に向かっただろう。

>>+56 看守メレフ
「それはもう、迅速にお願いします。見ての通り、」
今もなお血を滴らせながら、治療の到着を待つ。
程なくして、この場を後にするだろう。

>>+67 >>+66
彷徨っていたヴェルクの手が、何を思ってなのかを考える前に、その手はレヴァティに掴まれていた。


その矢先にそろそろ死ぬと言われたもので、レヴァティと共にちょっとオロッとした。

「とりあえず、連れて行きましょう、とはいえ、私運ぶほどの力はないんですが」

レヴァティさん運べます？もしくはちょっと頑張って歩きます？くらいの声色。
なんとかして連れていけるなら、付き添うつもりくらいはある。