［意気揚々、
　えまであることを肯定すると
　戸惑いを多分に含んだ反応が返ってきた。>>2:11

　２、３年ぶりに会った人にも
　大仰に驚かれるくらいに背も伸びて
　男くさくなったから。

　当然といえば当然なんだけども、
　どもった感じが
　なんか、ちょっと…可愛かった。］
　

　


　　　でしょ？



［自分のことだけじゃなくて
　しろうくんのこと
　今、感じたことも含めて
　述べたい感想はいっぱいあるんだけども。

　次から次に溢れてきて
　人前で言うのは憚られるようなことまで
　口走ってしまったらマズいから

　とりあえず、
　ふたりきりになれる車へ誘う。］
　

　
［しろうくんがスマホに慣れていないのも、>>2:13
　ひとこと送ってくれるのに
　何時間も掛けてくれてたのも>>1:9
　知らなかったけど。

　その度にこちらは
　うはーー−−−−−って
　狂喜乱舞してた。

　どたん、どたん、ごろんごろん。

　家具が倒れたんじゃないか、って
　１階の親が不審がって
　飛んでくるくらいに跳ねて転げた。］
　

　
［でも、そのあと
　「電話で話そう」って言われたら
　どうしよう…ってのも、必死に考えた。

　恥ずかしいとか
　照れくさいからとか理由をつけて
　逢ってからにしようね、なんて
　かわいく、やんわり先延ばしにしてみたり

　どうしてもって時には
　風邪ひいてるって
　ささやき声だけで乗り切るつもりで
　こそこそ話の練習したりもした。

　ありがたいことに、使わずに済んだんだけど。］
　

　
［嫌われたらどうしようって
　懸念さえなければ、

　本心では話したくて堪らなかったから

　まだ、こんな
　ちょこっとだけど
　それでも会話できてることが>>1:22>>2:11
　奇跡みたいに嬉しくて、

　浮かれてしまう。］
　

　
［今の自分も好きになってほしいって
　下心ありありの提案は>>2:6
　ありがとうって遠慮されてしまった。>>2:14

　食い下がるのも変だから
　おとなしく引き下がろうと頷いて────］



　　　ん、わかっ…　た　



［あんまりにもビックリして
　心臓が飛び出して行った気がした。］
　

　
［しろうくんの
　しろうくんの
　しろうくんの、手、だ。>>2:14

　すっとずっと思い返して
　焦がれて
　自分の手と手で再現しようとしてたのとは

　全然違うくて
　
　飛び出していった心臓が
　手のところで
　ぎゅって
　握られてるみたいに

　どくどく、どくどく、する。］
　

　
［こんなに変わってしまった自分でも

　えま、だって
　受け入れてくれてるんだって
　繋いだとこから伝わってくるから。

　もう、やばかった。

　嬉しすぎて
　むしろ、頭が追っつかない感じで
　きゅって握り返すのが
　やっとで。

　車の位置が一瞬、飛んだ。］



　　　あ、え・・・と
　　　そうだ、今日はすごく奥なんだった…　こっち！



［なんとかたどり着いた車に
　乗り込めば
　人目は遠くにあるけども

　ふたりっきりだ。］
　

　
［こういう礼儀正しいところも>>2:16
　昔とおんなじ。

　うちの親の信頼も厚くて
　しろうくんと一緒なら、大丈夫ねって
　どこに行くのも許してくれた。

　おかげで世界がどんどん広がって
　体も丈夫になって。


　　　（やっぱり好きだなぁ…）


　眩しそうに目を細めて見つめてしまった。］
　

　
［と、シートベルトを締めたキミが

　朝からずっと
　そわそわしまくってたのを
　見透かすみたいな台詞を言うから>>2:17
　どきり、としてしまう。］
　

　
［空港に来てからは１時間くらいだったけど
　家で準備が完了してしまって
　まだ早すぎる…って
　鏡の前で何度も髪を梳かしなおしたり
　マウスウォッシュしなおしたり
　そんなのも含めたら
　言葉通り、随分早くから待っていたもので。

　いや、そうじゃなくて、暑いからか？

　素直に白状すべきかどうか逡巡しながら
　早急にエアコンを！と
　エンジンを入れていると］



　　　んん、　？



［ふいに笑われた。>>2:17

　心の中を読まれちゃったのかと
　内心焦りながら、
　またしろうくんに視線を戻して───］
　

　
［────見惚れた。］
　

　
［さらに、
　かわいいって言われて
　髪まで褒められて

　手が、
　宝物に触れるみたいに
　優しく撫でてくれるものだから>>2:18］



　　　



［覆いかぶさるように身を乗り出して
　突き上げる衝動のままに
　、して　　］
　

　
［しまいそうになった。

　既のところで止まったのは
　こつん、と先に
　眼鏡とぶつかってしまったから。］
　

　
［欲情した雄の顔を、慌てて離して］



　　　あ、…　ごめ、　眼鏡　平気？



［ダッシュボードに衝いた右手を
　窓際のエアコン吹き出し口に移動させて
　当たる位置を調整する。

　シートベルト締めてて
　避けるのも難しい状態だっていうのに
　説明もせず
　気持ちも確認してないまま
　こんなのは先走りすぎだって思う。］
　

　
［思うから、］



　　　なんか、
　　　すごく好きだなって思ったら‥‥、つい

　　　これ
　　　見たらわかるだろうけど
　　　俺、男だよ



［視線の先にあるのは、デニムを押し上げる形。］
　

　


　　　死にかけで生まれたもんだから
　　　古い習わし？だかなんだかで
　　　７歳まで女の子として育てるってのを親がやってて
　　　おかげで今も元気に生きてるのかもだけど、

　　　自分が男だって
　　　知った時はびっくりしたし、
　　　日本ではしろうくんと結婚できないんだって
　　　分かった時は
　　　めちゃくちゃショックだった。

　

　

　　　男だとバレたら
　　　約束がなかったことになったり
　　　もう会ってもらえないんじゃないかって思ったら
　　　言えなかったんだ。

　　　ずっと黙ってて、…ごめんね


　

　
［数え切れないくらい
　何度も考えて、シミュレーションしてきた筈で
　どんな反応されても諦めたくないって
　決意も固めて臨んでいるけど。

　それでも、不安に飲み込まれそうになる。

　さっきまで膨らんでいた期待も
　しゅーんと萎んで来て、
　叱られる前の犬みたいな表情で、
　しろうくんの顔をおずおずと見つめた。］＊
　

　
［繋いだ手は拒まれなかった。>>5>>6

　嬉しいな。

　重なるところが強く脈を打って
　どちらの音だかわかんないや。

　えまちゃんとこうしてたら
　どこにでも
　行けそうな気がするんだ。

　それで得意げに手を引いて
　一歩踏み出して
　……止まった。］
　

　

　　　あ、っと……車、どこだろ？


［うぅん、恥ずかしいな。

　そんな失態は照れ笑いで誤魔化して、
　教えて貰った場所は「すごく奥」だった。

　……�W今日は・�W、ということは、
　空港は普段から利用しているんだろうか。>>7

　僕以外の誰かを、迎えに来たり？］
　

　
［……あ。それは、妬けるかも。

　えまに友達がたくさん出来るのは
　喜ばしいこと、なんだけど。ううん。

　

　

　ああもう、ダメダメ。

　まだきちんと
　彼氏にして貰った訳でもないのに
　勝手に嫉妬をしたりして
　めーっちゃ格好悪いぞ、僕……。］
　

　
［乗り込んだ車内は熱せられてて
　えまがエアコンを操作してくれると
　通気口から出てきた生温かい風が
　頬を撫でていく。>>10

　直に涼しくなるのだろう。
　……と思いながら、
　髪を触らせて貰っていたのだけど。］


　　　っっ、


［えまが急に近づいてきて

　顔

　顔が、>>12］
　

　・
　・
　・

　
［……結局、我に返ったらしく
　眼鏡を揺らしただけで
　えまは離れていったけど>>13

　間近で見た表情が
　目に焼きついて離れない。

　今まで感じたことのない
　心の奥の方から湧いてきた感情を
　何と表現したら良いのか……、
　今は、うまく出来そうにないけど。

　……ちょっぴり物足りない気持ちが
　僕の中に残ったのは確かで。

　瞬きも忘れて、視線がえまの顔を追いかけた。］
　

　
［すごく好き、って突然の告白に
　だらしなく緩んで

　これ、って示された先を見て
　ぴしっと固まって

　表情筋は忙しい。>>15］


　　　ああ、あ、おと、男……！
　　　そうだったんだね……？！


［薄々そんな気はしてたけどね！？
　エチケットとして
　初めて知りましたの反応をしてしまった。］